過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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2: ◆gzM5cp9IaQ[sage]
2015/09/27(日) 16:18:31.51 ID:jH77HIQD0
 捻じ曲げられた糸は、歪められる原因となった応力が消えた時その弾性に従い元の形へと戻る。ならば同様に世界を決定付ける糸たちも、俺というイレギュラーが消えた時、いつか元の姿へと収束するのだろうか。
 答えは見つからない。結局のところ、宇宙の中に住む我々に宇宙の広さが計り知れないように、神の視点を持てぬ我々に世界線の構造もまた解明しきれないのだろう。我々は結局、ただの人なのだから。
 けれどもこれだけは言える。

 この身が──例えば消えても──意思は残留し未来のあなたにいつかは辿り着くだろう。
以下略



3: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:20:30.90 ID:jH77HIQD0
Chapter1



 俺たちはこれから、35年かけて世界をねじ曲げる。そのために、旅立つ。敢然と顔を上げ、運命に立ち向かっていく。行ったら戻ってこれない一方通行の旅。でもそれは、閉ざされた2日間よりもずっと刺激的で──
以下略



4: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:24:46.73 ID:jH77HIQD0
 2010年 8月13日



 俺たちを新たな未来へと導く機械は、変わらずラジオ会館の8階の壁を割って鎮座していた。
以下略



5: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:27:10.13 ID:jH77HIQD0
「な、おい……鈴羽?」

「それに、君のことだけは絶対に……絶対に忘れたくないから……」

 ”君のことだけは”──その言葉が俺の心臓が跳ね上げた。
以下略



6: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:29:39.52 ID:jH77HIQD0
「さあ、行こう。岡部倫太郎……」

「そうだな……。今頃、手紙を読んだまゆり達が大騒ぎのはずだ」

「……うん」
以下略



7: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:33:09.67 ID:jH77HIQDo
「……ホントに、いいんだね」

「……無論だ」

 俺は足を踏み出す。未知なる世界へと──
以下略



8: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:35:14.57 ID:jH77HIQDo
「はぁ……呆れた」

 再び大きく息を吐きだした紅莉栖が落胆の表情を浮かべた。
 それも束の間、すぐに表情を引き締めて──

以下略



9: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:36:11.58 ID:jH77HIQDo
「あんたたち、1975年に跳んだとしてどうするつもり?」

「な、なんとかIBN5100を手にして……」

 鈴羽が自信なさげに言った。
以下略



10: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:37:27.12 ID:jH77HIQDo
 ”過去に飛ばせるわけにはいかない”、紅莉栖の口から発せられたその言葉に、俺は頭がカーっと熱くなるのを感じる。気づけば声をあげて叫んでいた。

「だからと言って! このまま指を加えてまゆりが死ぬのを見ていろというのか!」

 だってそうじゃないか。
以下略



11: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:38:36.24 ID:jH77HIQDo
「岡部倫太郎……」

「…………」

 紅莉栖は目を見開き、驚きの表情を隠せないでいた。だがそれもすぐに伏し目がちに視線を落とし、後ろを向いて消え入るような声でつぶやいた。
以下略



12: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:39:59.13 ID:jH77HIQDo
「世界線の大きなズレ……俺たちにも予想はできない。しかしいかなる結果が待とうとも、少なくとも何もしないよりはずっとマシだ。……何もできず、都合のいい世界に逃げこむことだけは……もうしたくない」

 俺は何度もループした2日間を、頭の中で思い浮かべた。
 いつの間にか世界から色が失われていく感覚。自分の中でいくつもの声が聴こえる感覚。自分が自分じゃなくなる感覚。
 トラックに轢かれそうになるダルを見殺しにしてしまおうかと考えたのは何度目のループだったか。
以下略



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