過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える 続きと終わり
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:36:05.43 ID:kAKMmD4ho
「いやだから、俺と付き合ってくれって……わざとか?聞こえない振りしてんのか?難聴系か?」

付き合ってくれ。付き合う。

……念のため、確認しておこう。
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:40:53.02 ID:kAKMmD4ho
私と彼はいつまですれ違い続けるのか。

───まるで、喜劇だ。

「……ごめんなさい。少しだけ、落ち着かせてもらえないかしら……。もう何がなんだか……」
以下略



17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:41:54.96 ID:kAKMmD4ho
部室や生徒会室で彼と二人きりになることはこれまで何度もあった。

そんなとき、一人でいることがさほど気にならない私と、同じく元来からそうであろう彼は互いに干渉しなかった。そう取り決めをしたわけではないが、それが暗黙のルールのようなものになっていた。

でも今はとても同じようにはできない。ここに他の人が来ることはないし、本に目を通すわけにもいかない。
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:43:21.05 ID:kAKMmD4ho
キッチンに向かい、ティーセットとカップを用意する。この家に湯呑みはなかった。お湯が沸くまでの僅かな時間にも考えを纏めようとしたが、そうしようとするだけ無駄だった。

でも紅茶を淹れて慣れた香りが立つと、少しだけ落ち着けたような気がした。

二つのティーカップを持ってリビングに戻ると、彼は窓の外へ目を向けていた。
以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:44:41.29 ID:kAKMmD4ho
「もう落ち着いたか?」

「ええ、さっきよりは」

彼も自分を落ち着かせるように、ふーっと長い息を吐いた。私も息を呑み、耳を傾ける。
以下略



20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:45:32.09 ID:kAKMmD4ho
しかし、私は自分が傷つくのが嫌で、周りを寄せ付けないようにしていただけだ。あんな後悔を二度としたくなくて、姉さんの強さを真似しようとしただけだ。

そう思っているからこその発言なのに、彼はそれを否定する。

「お前らしさは、お前のものは最初からちゃんとあるだろ」
以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:45:58.73 ID:kAKMmD4ho
犬の散歩に行くので休憩


22:名無しNIPPER[sage]
2015/10/17(土) 17:52:26.48 ID:CF6b0Sj7o
乙です!


23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 19:40:48.38 ID:kAKMmD4ho
決していい出会いではなかったと思うが、不思議と忘れたことは一度もなかった。

あのときの彼との問答の記憶は、いつでもすぐ取り出せる場所にある。

「お前の言葉は強く印象に残った。特に、変わらなければ誰も救われないってところだ」
以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 19:41:40.35 ID:kAKMmD4ho
「元のお前は強くなかったとしても、変わろうとしたお前自身は、変わろうとしたこと自体は誰かの真似でそうしようとしたわけじゃねぇだろ。俺が憧れてたのは、過去を否定するんじゃなくて、弱さを肯定した上で変わろうと足掻くお前の在り方なんだ」

言葉が出ない。彼がそんな風に私を見てくれていたなんて。

「世の中に、この世界に自然に真っ直ぐになるもんなんて存在しねぇんだよ。だからお前の、なりたいものに向かって真っ直ぐ進もうとする姿勢はきっと、お前自身の強さによるものだ。俺はずっとそこに憧れて、惹かれて……」
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 19:42:25.91 ID:kAKMmD4ho
「……俺はずっと前から、雪ノ下のことが、人として、一人の女の子として好きだった」

飾り気のない、愚直なまでに真っ直ぐな言葉。それ故に、私の心に大きく響き、揺らす。それでも彼は飽き足らず、さらに私に畳み掛ける。

「今はもっと、前よりもずっと、強い部分も弱い部分も、真っ直ぐな部分も、素直じゃない部分も全部、雪ノ下の持ち物全部が好きだ。だから、俺と……」
以下略



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