過去ログ - 提督「ドッキリで死んでみる」
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13:名無しNIPPER[saga]
2015/10/28(水) 01:16:58.48 ID:iHsws6qc0
黒いオーバーニーブーツも脱ぎ捨て裸足になり、純真無垢な白い下着姿となると提督に添い寝するように布団の盲縞を波立たせた。提督の胸元をワイシャツ越しにしばらく撫で回すと、噛み付くように小さなボタンを一つ一つと一息もらしながら、ゆっくり開けていく。

開いた隙間から指先を滑り込ませる。ぞっとするほど冷たかった。冷気は指先から上腕を伝い背筋を流れてつま先をぎゅっと縮め込めた。榛名は上腿を交差するようにして腰をくねらせる。それは提督の冷たさに不気味さを覚えたわけではなく、冷たい炎で暖をとろうとしたような観念と事実とのズレに驚く肉体的反応に過ぎなかった。

しかし、また榛名がその冷たい生命としての提督にある感激を覚えたのも事実ではあった。マネキンのような無関心に起因する人工的冷たさではない。擬死的な冷たさ。生を中断し己を完全に委ねるような冷たさ。完全な委託。絶対的信頼の証。女性的庇護欲を刺激された榛名はしばらく死体に向かって己の肉体を擦り付けるように蠢かせた。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/10/28(水) 01:19:33.11 ID:iHsws6qc0
榛名は提督の腕を人形遊びでもする如く自由に曲げて遊んだりし、次に榛名は内ももで提督の陰嚢をぐいと押し込んだ。ぐにゅりと逃げるような感触。普通の男性なら痛がって榛名を叱責するところだが、死体である提督は寛容にもその粗相を許しきっている。榛名は肉体に過負荷を与えることに愉悦を覚えた。

しばらく嗜虐的母性を満足させるべく榛名は性的遊戯にふけっていたが、そのうち落ち着きを取り戻してくる。なぜなら、死体には生殖能力がないので、榛名と提督の状況はいつまでたっても遊戯の領域を超えることがなかったからだ。

また提督の精神状態も冷静さの要因であった。広く死者に認められる精神的症状の特徴として完全な無気力と感情の平板化に伴う徹底的な沈黙が挙げられる。どれほど挑発的な言葉を治療者が放とうとも無関心は持続する。死の状態は最近の研究において「全知全能の存在との受動的な結合という性的な願望と関係がある」と考えられており、榛名にとって全知全能を演ずるのは少し重荷であった。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/10/28(水) 01:22:36.93 ID:iHsws6qc0
もしかしたら、対象である榛名の方から仕掛け人である提督に「ドッキリ成功!」と伝えなければいけないのではないか。というのも、提督がこの「ドッキリ」で意図したであろう榛名との親密さの向上は既になされたのだから、後は宣言が残るのみである。考えてみたら、死人には口がないのだから宣言する方法がないと今更ながらに気づく。

問題はどのようにして仕掛け人に「ドッキリ成功!」と伝えるかであった。死人には耳もないのだから、ただの発言では不十分であることは明白である。そして、ここで通常予想されるであろうことは榛名が問題を解決しようと何かしらの伝達手段を考え出すということである。

しかし、純愛を貫こうとする榛名は「ドッキリ成功!」と榛名自身が宣言する行為の意味に不穏なものをみとめた。私が「ドッキリ成功!」と完全に宣言した時、それはこの死体の状態である提督を否定しているのではないか。純愛とはいかなる状態であろうとその対象を愛することではなかったのか。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/10/28(水) 01:28:16.68 ID:iHsws6qc0
不純な愛は対象をよく知ろうと欲して、その過程で愛に値するものとしないものとをふるい分ける、愛する故に憎しむというアンビバレンスはここで生まれる。不純な愛に関する洗練は基準を徐々に厳しくすることでなされていく。そして、しまいには基準をクリアするような愛に値する対象は砂粒程度になるという結末を迎え、「愛に値する対象が無い」と嘆く羽目になるのだ。

無対象を愛する純愛にそのような破局の心配はない。ただ困ったことには、榛名が提督を純粋に愛する時、その対象である提督とは何者かが不明になるという問題を抱えざるをえなかった。

榛名は布団から出た。大窓からはいまだ朝日が執務室に差し込んでおり、榛名の裸体を黄色く照らし出した。花火を見るため夏に改装した大窓は縦滑り式に少しだけ開けられており、そこからふかまった秋の冷たい朝風が室内のフラワーアレンジメントを幽かに揺らしている。提督の死体を発見した時から既に相応の時間が経過したはずだったが、榛名が操作したところ以外の状況は何も変わっていなかった。
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/10/28(水) 01:31:46.69 ID:iHsws6qc0
客観的には実在しない真っ黒な水平線の境界に榛名は魅入った。「NO DATA」、情報量ゼロの存在に境界があること、「NO DATA」の空に「NO DATA」の海と個別化が可能であると示す景色に榛名は何か感じ入るものがあったのではないか。

世界の大部分である空と海が「NO DATA」と無化してしまったことは世界という存在にとって大変な危機であるのだから、榛名は焦燥や絶望を持つべきであったのかもしれない。しかし、榛名は提督を純粋に愛する純愛者であって、それ故に世界の滅亡をそれとなく喜ぶ気持ちが大きいのは否めない事実であった。

「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」「どうして世界は、つまり何を意味するにせよ具体的対象があるのか」という問は世界が存在する必然性の根拠を尋ねる。これに対する解答は次のように考えることもできよう。
以下略



18:名無しNIPPER[sage]
2015/10/28(水) 01:34:13.72 ID:A9CQEdFho
吹雪型と早霜の人?


19:名無しNIPPER[saga]
2015/10/28(水) 01:38:07.18 ID:iHsws6qc0
世界存在の必然性が無の単一への収束に基づくというのなら、榛名の純愛と世界の存在はトレードオフの関係にあると言えた。榛名の純愛対象たる提督はもはや全ての状態属性を抽象された何者か『X』であり、それは何ものも含まない無であるべきだった。

もし『X』に何かがあるというなら、愛は所詮その何かを条件的に愛しているに過ぎない。榛名が純粋に提督を愛す時、それはもはや提督を愛していては純愛足り得なかった。提督の肉体、精神、環境、記憶、思い出といったあらゆる属性が欠落しようと反転しようと愛すること、それが榛名の決定した究極の純愛である。

しかし、榛名が愛する無は提督を抽象した後に残る空虚『X』ただ一つである。抽象すれば全ては無に帰すからといって、榛名の純愛が『X』以外のものにまで及ぶはずもない。純愛は一途であるものだからだ。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/10/28(水) 01:43:19.92 ID:iHsws6qc0
今まで書いたドッキリスレは読者の反応が余り良くなかったので、今回の筋書きとして「提督がドッキリして、ネタばらしして、対象艦娘と仲良くなって、結婚して、性関係を結び、対象艦娘が世界を敵にするほどの純愛に目覚める」というテンプレートを採用してみた。

細かい所を抜けば比較的親しみのある展開になったはず。

ドッキリスレ
以下略



21:名無しNIPPER[sage]
2015/10/28(水) 01:50:57.67 ID:jUtB7ISqo

つまり榛名は見境なしのビッチってこと?


22:名無しNIPPER[sage]
2015/10/28(水) 01:56:15.82 ID:iHsws6qco
>>18
ジュブナイル系で幾つか書いたことがあるから、これらだったらその人です。

提督「深雪、夏の太陽に照らされ淡雪を知る」
ex14.vip2ch.com
以下略



23:名無しNIPPER[sage]
2015/10/28(水) 03:24:00.78 ID:NVmbYyPIo

死姦する辺りまでは面白かった。
あんまオチた感じしない


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