22: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:26:38.34 ID:QvQsG1d2o
「あなたは失敗したのよ。それぞれが別の道に進めば、自ずと成長できるだろうとか思ってたんじゃない?」
「……そう、かもしれません。あなたの言うとおりに、私は」
穂乃果には私が必要なのだと思っていた。穂乃果に頼られることが嬉しかった。穂乃果を律することが私の役割だった。
23: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:28:07.37 ID:QvQsG1d2o
「あなたは穂乃果に引け目を感じている。原因はあなたが大人になれていないから。それで、あなたはどうしたいの?」
私が、どうしたいか。私は、どうしたかったのだろう。
真姫は私が失敗したといった。恐らく、それは真姫の語った中で唯一の間違い。
24: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:28:46.14 ID:QvQsG1d2o
「真姫、ありがとうございます」
頭を下げる。穂乃果とあったことで生まれたしこりが解れ、朝起きた時よりも思考がクリアだ。
やるべきことも決まった。
25: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:29:13.65 ID:QvQsG1d2o
世の中には親友を越える関係がある。恋人だとか、家族だとか。
私と穂乃果と、そしてことり。私たちの関係性は親友という枠組みに収まっておらず、家族というものに近かった。
親、だったのだ。私は、穂乃果の親のような役割を担っていた。
26: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:29:42.94 ID:QvQsG1d2o
ふらり、ふらりと街を歩く。
この前とは違い目的はある。目的地、といったほうが良いか。
夕暮れ時。多くの人が混じりあう駅前。そこに近づくにつれて、聞きなれた歌声が届いてくる。
27: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:30:13.87 ID:QvQsG1d2o
「ありがとうございましたー!」
その言葉を皮切りに、人がまばらに散っていく。中には穂乃果に声をかける者までいた。
熱心なファン。そういえば、μ'sの時にも、穂乃果はそういう人に恵まれていた。
28: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:30:41.40 ID:QvQsG1d2o
「お疲れ様です、穂乃果」
マイクとスタンドを片付け終えた穂乃果に声をかける。
「あ、海未ちゃん。来てたんだ」
29: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:31:12.38 ID:QvQsG1d2o
少しだけ値段の張るレストラン。チェーン店ではなく、それなりの格調があるところ。
かといって過度に上品というわけでなく。大学生の私たちでも気兼ねなく入れる場所だ。
雑談を交えながら料理を注文する。さっきの歌はどうだったとか、新しくできたファンのことだとか。
30: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:31:39.03 ID:QvQsG1d2o
「私は、あなたと一緒にいたかったんです。でも、それじゃ駄目だと思ったんです」
「うん」
「だから、進路のことも聞きませんでしたし、言いませんでした。その方が私たちにとっていいことだと思ったからです」
31: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:32:05.68 ID:QvQsG1d2o
「な、何故笑うんです」
「いやぁ、海未ちゃんらしいなぁって」
「わ、私らしい?」
32: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:32:33.05 ID:QvQsG1d2o
確かに覚えがある。μ'sとしての活動が軌道に乗っていたこと。ことりに留学の話が来ていたときだ。
神田明神にて、ことりが私たちにいつまで一緒にいられるのだろうと問いかけたのだ。そして穂乃果がずっと一緒だと答えた。
「私たちは確かに別々の道に進んだけど、バラバラになっちゃったってわけじゃないでしょ?」
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