過去ログ - 真「二人の幸せのために」
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18:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:02:19.43 ID:n3AMBxtn0


そして、付き合ってから数ヶ月して、恋人という関係だったらいつかは辿り着くであろう場所にボクらも行き着いた。
つまり、その……ボクと雪歩は体の関係を持った。

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:04:27.45 ID:n3AMBxtn0

その日――ボクの部屋で肩を並べてソファーに座り、ゆったりとオフを過ごしている時、雪歩が突然ボクにキスをしてきた。
それ自体は何も特別な事じゃない。二人きりの時にキスをするのはいつもの事だし、何の脈絡も無くしてくる事もままあった。キスをするのは嫌いじゃなかったからボクも自然にそれを受け入れていた。

ただ、いつもと違ったのは雪歩がボクの口の中に舌を侵入させてきた事だ。ボクはその感触に驚いて目を見開き咄嗟に頭を引こうとしたけど、いつの間にか雪歩の手に後頭部を抑えられていてそれは叶わなかった。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:06:59.37 ID:n3AMBxtn0

やっとの事で雪歩がボクを離してくれた時、ボクらは息も絶え絶えの有様だった。

「雪歩……どうしたの突然、こんな……。」荒い呼吸を整えながら、動揺する心のままボクは尋ねた。

以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:11:06.46 ID:n3AMBxtn0

……ボクは今の関係で十分満足していた。それになんと言っても、女の子同士でそういう事をするっていうのがボクにはあまりピンとこなかった。
でも、雪歩がそれを望むのなら……。

ボクに告白してきた時の様に不安げな顔の雪歩。その表情を見たボクは、自分の考えをまとめきる前に承諾の言葉を口にしていた。
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:13:41.73 ID:n3AMBxtn0


「女の子同士でそういう事をするのはあまりピンとこない」なんて言いながらも、雪歩と“そういう事”をするのはすごく気持ちよかった。
積極的なのは雪歩の方で、ボクは基本的に受け身だった。
でも、感じやすい体質なのかボクの方からしてあげると雪歩は大げさに思えるくらいの反応を返してくれる。それが可愛くて、なるべくボクからもしてあげるようにしていた。
以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:17:06.00 ID:n3AMBxtn0

きっかけは雪歩の些細な一言だった。



以下略



24:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:19:27.47 ID:n3AMBxtn0

十分に撫でてもらって満足した様子の雪歩は、体をモゾモゾと動かしてボクにピッタリと体を寄せてキスをした。
そして、重ねた唇の離し際、幸せそうな顔でこう言った。


以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:21:28.39 ID:n3AMBxtn0

――ボクはと言うと、枕に頭を沈めたもののなかなか眠れなくて、天井を見つめながら今の会話について考えていた。最後のやり取りのことがどうにも頭に引っかかった。

雪歩は気付かなかったみたいだけど……雪歩の「愛してる」という言葉に返事をする時、ボクは一瞬言葉に詰まった。「ボクも愛してるよ。」と言うつもりだったのに、喉で一旦引っかかって出てきた言葉からは「愛してる」が省かれていた。――何故?


26:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:23:45.12 ID:n3AMBxtn0

…………「愛してる」って言葉を聞くのが初めてだったから驚いたのかな……。
「大好き」って言葉は数え切れないほど二人の間で交わされてきたけど、「愛してる」はボクも雪歩も使った事が無かった。――ついさっき雪歩が口に出すまでは。

“愛してる”……“愛してる”ってなんだろう?雪歩の様子を見るに、雪歩にとっては“大好き”と“愛してる”はほとんど同じ意味の言葉みたいだ。
以下略



27:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:25:05.14 ID:n3AMBxtn0

心の中のガラスの玉が割れて中身が溢れ出した。ジワリ、と胸に暗い感情が染み渡っていくのがわかる。


その不安は最初からあった。だけど、時間が解決してくれるはずだと思い込む事で必死に目を逸らし続けてきた。不安自体が存在しないかの様に振舞ってきた。
以下略



28:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 23:27:10.13 ID:n3AMBxtn0

雪歩はこの世で一番大切な親友で、でも、それ以上の存在ではなかった。“愛してる”のわからないボクは雪歩と恋人ごっこをしていただけだ。その間に何かがわかる事を期待していたけれど、時間は“好き”と“愛してる”の溝を埋めてはくれなかった。

ボクは布団を頭まで被り背中を丸めて暗闇の中で縮こまった。
雪歩を騙しているという罪悪感に胸が押し潰されそうになる。
以下略



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