8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:25:41.23 ID:HDvSvbTV0
「私は絶対に失敗すると分かっている事に挑戦する勇気は出ないよ」
先ほどまで鳴き声も上げずに私にただ撫でられているだけだったハナコがくぅーんと言う鳴き声と共に私を見上げてくる。
「もし、もしもだよ。私がプロデューサーに告白して成功したら、それはとても幸せだと思う」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:26:08.82 ID:HDvSvbTV0
「もし、私が神様だったらこんな世界は作らなかったよ」
アイドルとして幸せになれた世界だが、女の子としての幸せは掴めない世界。
伸ばした手をぎゅっと握りしめる。私が神様だったら、それだけで幸せは掴めただろう。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:26:36.82 ID:HDvSvbTV0
しかし、決意をしたのは良いが、中々神様も意地悪なものでタイミングを掴めずに居た。
決意した次の日からタイミングを見計らってはいたのだが、中々二人きりになる機会は無かった。やれ仕事だ、やれ営業だでプロデューサーは片時も一所に留まっていないのだ。
「はぁ……」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:27:23.26 ID:HDvSvbTV0
「あれ、お客さん居ないのか?」
「いらっしゃいま……せ?」
私がそんなとりとめのない事を考えていると、思い焦がれた人が目の間に現れた。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:27:50.26 ID:HDvSvbTV0
「ねぇ、プロデューサー」
私が声をかけるとプロデューサーはこちらを向いてなんだ、と尋ねてきた。
「これから私が言う事はアイドルの渋谷凛が言うんじゃなくて、花屋の娘の渋谷凛が言う言葉だから」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:28:26.50 ID:HDvSvbTV0
私の顔から目を背けると、プロデューサーはあらぬ方向を向きながら一言、すまんとだけ返してくれた。
「……なんで?」
「アイドルとは付き合えないよ」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:28:56.38 ID:HDvSvbTV0
「……わかった」
なんとか一言だけ絞り出す。泣く訳には行かないから、限りなく無表情のままで。
「すまん」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:29:39.94 ID:HDvSvbTV0
後日、仕事を終えた私達トライアドプリムスはいつぞやのように某ハンバーガーショップに来ていた。
前と違うのは私と加蓮の座る場所だけだ。奈緒は相変わらずハッピーセットのおもちゃを選んでいるし、加蓮はポテトを加えている。
「私も告白したよ。プロデューサーに」
16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:30:06.80 ID:HDvSvbTV0
私の問いかけにしばらく無言のあと、加えていたポテトを飲み込んでただ一言だけこう返した。
「わからないよ」
「だよね」
17:名無しNIPPER[sage]
2016/03/15(火) 01:32:45.96 ID:780gvLyR0
乙
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