1:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:21:05.68 ID:HDvSvbTV0
アイドルマスターシンデレラガールズ、渋谷凛のお話です。
独自設定、キャラ・文章が変などは大目に見て頂けると幸いです。 地の文あります。
世界観とかは
北条加蓮「世界の終わる日に」
ex14.vip2ch.com
などと同じです。
単純に今度は凛メインなだけです。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:21:47.51 ID:HDvSvbTV0
仕事が終わって奈緒と加蓮の二人で某ハンバーガーショップに来ている時だった。
「私さ、Pさんにフラれたんだよね」
加蓮がポテトをくわえながら投げやりな様子で伝えてきた。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:22:13.47 ID:HDvSvbTV0
「行儀悪いよ」
無駄だとは知りつつも軽く窘める。
「もう、凛まで奈緒みたいなこと言うのー?」
4:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:22:58.36 ID:HDvSvbTV0
「はぁ……」
「奈緒に見つかるよ」
大きくため息を吐く加蓮に注意をする。見つかったところで問題はないのかもしれないが、こういう事は穏便に済ませておくべきだろう。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:23:30.04 ID:HDvSvbTV0
「ねぇ」
ふと思いついた黒い考えを加蓮にぶつけてみようと口を開いた時だった。
「待たせたな! いやぁ、最近のハッピーセットのおもちゃは出来が良くってさぁ〜」
6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:24:01.51 ID:HDvSvbTV0
食事を終え、二人と別れて家に向かう帰り道。先ほどの加蓮の言葉を思い出していた。
「プロデューサーにフラれた、か……」
アイドルが恋愛なんてご法度だろう。でも、私達はそれを理解出来るほどに大人にはなりきれない。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:25:04.25 ID:HDvSvbTV0
一度口が塞がってしまうと今度はしゃべれなくなるようだ。帰宅してから一度も口を開かなかった私を心配してか、布団に入るまでハナコが常に傍に居てくれた。
「ハナコは優しいよね」
いつもは私のベッドの下にあるハナコ用のベッドで寝ているのだが、今日だけは私のベッドの上に居る。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:25:41.23 ID:HDvSvbTV0
「私は絶対に失敗すると分かっている事に挑戦する勇気は出ないよ」
先ほどまで鳴き声も上げずに私にただ撫でられているだけだったハナコがくぅーんと言う鳴き声と共に私を見上げてくる。
「もし、もしもだよ。私がプロデューサーに告白して成功したら、それはとても幸せだと思う」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:26:08.82 ID:HDvSvbTV0
「もし、私が神様だったらこんな世界は作らなかったよ」
アイドルとして幸せになれた世界だが、女の子としての幸せは掴めない世界。
伸ばした手をぎゅっと握りしめる。私が神様だったら、それだけで幸せは掴めただろう。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:26:36.82 ID:HDvSvbTV0
しかし、決意をしたのは良いが、中々神様も意地悪なものでタイミングを掴めずに居た。
決意した次の日からタイミングを見計らってはいたのだが、中々二人きりになる機会は無かった。やれ仕事だ、やれ営業だでプロデューサーは片時も一所に留まっていないのだ。
「はぁ……」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:27:23.26 ID:HDvSvbTV0
「あれ、お客さん居ないのか?」
「いらっしゃいま……せ?」
私がそんなとりとめのない事を考えていると、思い焦がれた人が目の間に現れた。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:27:50.26 ID:HDvSvbTV0
「ねぇ、プロデューサー」
私が声をかけるとプロデューサーはこちらを向いてなんだ、と尋ねてきた。
「これから私が言う事はアイドルの渋谷凛が言うんじゃなくて、花屋の娘の渋谷凛が言う言葉だから」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:28:26.50 ID:HDvSvbTV0
私の顔から目を背けると、プロデューサーはあらぬ方向を向きながら一言、すまんとだけ返してくれた。
「……なんで?」
「アイドルとは付き合えないよ」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:28:56.38 ID:HDvSvbTV0
「……わかった」
なんとか一言だけ絞り出す。泣く訳には行かないから、限りなく無表情のままで。
「すまん」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:29:39.94 ID:HDvSvbTV0
後日、仕事を終えた私達トライアドプリムスはいつぞやのように某ハンバーガーショップに来ていた。
前と違うのは私と加蓮の座る場所だけだ。奈緒は相変わらずハッピーセットのおもちゃを選んでいるし、加蓮はポテトを加えている。
「私も告白したよ。プロデューサーに」
16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:30:06.80 ID:HDvSvbTV0
私の問いかけにしばらく無言のあと、加えていたポテトを飲み込んでただ一言だけこう返した。
「わからないよ」
「だよね」
17:名無しNIPPER[sage]
2016/03/15(火) 01:32:45.96 ID:780gvLyR0
乙
18:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/15(火) 01:35:16.70 ID:HDvSvbTV0
以上です。タイトルはチャットモンチーさんの「世界の終わる夜に」から拝借しました。
誰かが幸せを手に入れると、他の誰かはその幸せを手にすることは出来ないんですよね。
だから奈緒が来てくれないのは、きっと他の誰かが幸せになるのに必要だったからなんです。
19:名無しNIPPER[sage]
2016/03/15(火) 03:21:37.82 ID:Ro9EXR8xO
おつ
20:名無しNIPPER[sage]
2016/03/15(火) 20:07:48.43 ID:2j4UZR+2o
乙
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