17: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:17:25.57 ID:CGnHuaAk0
風は強くなり、前を向くことができず視線は否応なしに足元へ……そこで見たものは、氷の向こう側で、華やかな衣装をまとい、長い髪を揺らし、素敵な笑顔で歌う女性。
心の底から楽しそうに歌う彼女を見て、私もそちら側へ行ってみたいと思うようになりました。
18: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:18:47.18 ID:CGnHuaAk0
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19: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:21:12.97 ID:CGnHuaAk0
本を開き、物語の中に入り込もうとしたとき、チリンチリンと入口の扉に取り付けたベルが鳴り、侵入者の存在を知らせます。
珍しくこんな時間にお客さんが……
20: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:22:41.40 ID:CGnHuaAk0
それから、月日が経ち。
外に出ると北風と共に木枯らしが吹いていたこの季節も終わりを迎え、代わりに東風がやわらかさと、暖かさを運んできたある日。
私はとあるアイドル事務所のレッスン室にて、指導を受けていました。
21: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:25:44.54 ID:CGnHuaAk0
トレーナーさんには、笑顔を意識してほしいと言われましたが、中々に、うまくいきません。
自分の指で、口の端と端を無理矢理上げてみますが、笑顔とは言えない、奇っ怪な表情になってしまいました。
22: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:27:05.58 ID:CGnHuaAk0
「お疲れ。文香ちゃん」
側に飲み水の入ったペットボトルを置き、周子さんが私の隣へ座ります。
23: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:29:01.54 ID:CGnHuaAk0
事務所の扉を開けると、暖かな空気と、とても賑やかな声が聞こえてきました。
お帰りなさいですわと雪乃さんから紅茶を頂き、みちるさんからパンを頂きました。
胃の中に食べ物を入れられるか不安でしたが、存外、そんな不安もダージリンの香りが掻き消していきます。
24: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:30:18.67 ID:CGnHuaAk0
笑顔と笑顔。
そらさんも、朋さんもとても、アイドルらしい、とはいえ彼女達もアイドルなので当然と言えば当然なのですが、素敵な笑顔でみちるさんの元へと駆けて行きます。
25: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:32:39.46 ID:CGnHuaAk0
少し冷えたのを見計らって、紅茶を口に含みます。
熱いものは、熱いうちにとは、思っていますが、とてもお恥ずかしい話ながら、私はどうも熱いものが苦手な様で……
26: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:35:08.21 ID:CGnHuaAk0
少し肇さんの事が気になり、視界を回しながら探しているとソファーに腰掛け、プロデューサーさんと何やら話しています。
私の視線に気付いたのか、肇さんはペコリと音が鳴ってしまうぐらい綺麗に会釈をします。
その後に、彼女は立ち上がりこちらへ近付いてきます。
27: ◆ULuwYLs/ds[saga]
2016/05/05(木) 12:36:49.05 ID:CGnHuaAk0
「ここが……私の叔父の古書店になります」
日が出ていた日中とは違い、空気がどこか冷たく感じる夕方に、いつもとは違う、裏口の方から二人を案内します。
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