15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 19:59:14.99 ID:UMEp/1BY0
肇「――!?」
P(あ、ようやく気付いたっぽい)
16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:00:16.63 ID:UMEp/1BY0
肇「おっしゃる通りです。その地味で面白くない器は、私が作りました」
肇「その器は、私自身なんです」
17:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:02:35.79 ID:UMEp/1BY0
P「……お話は分かりました。仰ることも理解できます。確かに豊富な人生経験というのは、創作活動を行う上でこの上ない武器になることは間違いありません」
P「より良いものを作りたいという気持ち、そしてそのために未知の領域に足を踏み入れる勇気。それは、とても素敵なものだと、私は思います」
18:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:05:14.24 ID:UMEp/1BY0
PM5:00 オーディション会場
オーディションは無事終了した。今は一部候補者は家路につき、希望者――と言ってもほぼ全員だが――がモバプロ内の施設を見学している。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:06:33.79 ID:UMEp/1BY0
PM5:30 オーディション参加者控え室
見学が終わって控え室に戻ってきた肇は、他の候補者に聞こえないように小さく溜め息を吐いた。
周りの候補生は皆、浮かれたようにキャピキャピと先ほど見て回ったモバプロの各施設の感想を言い合っている。
20:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:08:34.97 ID:UMEp/1BY0
PM6:00 モバプロ内モバPマイルーム応接室
コンコン
21:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:10:10.29 ID:UMEp/1BY0
肇「……プロデューサーさん、だったんですね」
P「ええ。今は『C-BLUE』という4人のアイドルユニットを担当させて頂いています。ご存知ですか?」
22:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:12:10.57 ID:UMEp/1BY0
肇「才能、ですか……? お恥ずかしい話ですが私は非才の身、それは貴方も――」
P「先ほどの器の話ですね。あの時も言ったように、僕は陶器の専門家じゃありません。というより、むしろそこいらの人より審美眼に劣ると言っても過言じゃない。
茶碗なんて米がよそえて飯が食えたら陶器だろうがプラスチックだろうが気にしない。
23:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:14:11.41 ID:UMEp/1BY0
P「『C-BLUE』というユニットは――モバプロ内でも多少特殊なグループです」
P「リーダーの水木聖來は、路上でダンスをしているところをスカウトしました。彼女はもっとダンスをしたい、もっと大きな舞台で、ダンスを通じて自分を表現したい、自分を魅せたい、そういう欲求があった。彼女との出会いが、僕のプロデューサーとしての方向性を決定付けたと言っても過言ではありません」
24:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:15:44.68 ID:UMEp/1BY0
P「そしてもう一つ僕が懸念しているのは、この道に進むことで、貴女の陶芸家としての未来を潰すことになりやしないかということです」
P「先の面接でも言いましたが、いずれ陶芸の道を進むのであれば、寄り道せずに進んだ方が良いのではないかと――」
25:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:17:56.10 ID:UMEp/1BY0
肇「アイドルになって、自分という器が何を表現できるのか……自分でも、まだ分かっていません。
自分という器に、何を入れられるのかも……でも」
肇「良い器は、どんなものをも、美しく引き立てます。
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