過去ログ - 【キズナイーバーSS】 「仄かに薄れて消えるる私は」
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4: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 14:44:11.63 ID:8pdSuCqxo
 
 私は自分の身体を抱きしめた。

 そのまま手のひらを服や肌の上でそっと滑らせて、どこかに目立った脂肪がないかと探した。

以下略



5: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 14:47:57.92 ID:8pdSuCqxo

 私の口の中からにおいがする。苦い唾。身悶えする。

 かさかさと、ベッドと服が音を立てる。

以下略



6: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 14:49:02.28 ID:8pdSuCqxo

 自然と笑みが浮かぶ。

 私が、ナイフのように鋭く言葉を投げかけたときの穂乃香の表情。

以下略



7: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 18:28:59.50 ID:8pdSuCqxo

 2

 私と穂乃香がはじめて出会ったのは、間違いなくあの図書室ではない。

以下略



8: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 18:34:53.73 ID:8pdSuCqxo

 自分以外の人間にほとんど興味がない人。

 私とすごく似ている。

以下略



9: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 18:37:45.24 ID:8pdSuCqxo

 私は覚えている。

 母はしばしば確かめるように「あなたが生まれてきてくれて本当に良かった。あなたは、私のすべてなのよ」と繰り返した。

以下略



10: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 18:41:33.11 ID:8pdSuCqxo

 腎臓。

 その疾病。

以下略



11: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 21:14:01.71 ID:8pdSuCqxo

 3

 私が自分の本当の気持ちを理解したのは、穂乃香と二人で漫画を描き始めたあとだった。

以下略



12: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 21:18:36.69 ID:8pdSuCqxo

 私には、欲しいものなんてそのころ一つもなかったけれど、
そういう子――不治の病にかかった子供たちがどういうものを欲しがるのかなら、想像することができた。

 お父さんやお母さんの気持ちを想像するのと同じだった。
以下略



13: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 21:30:14.93 ID:8pdSuCqxo

 発作のとき、苦しくて、苦しくて、苦しくてたまらなくなって、身体はなんだか私の身体じゃないみたいになる。

 私の身体じゃないなら、私の望み通りになって欲しい、と考えるのはおかしい。

以下略



14: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 21:58:27.68 ID:8pdSuCqxo

 だけど私は穂乃香と出会った。

 穂乃香とはじまった。

以下略



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