43:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:34:35.57 ID:6D4QUdRpo
◇ ◇ ◇
美優が海外に行っている間も日中は事務所に居なければならない楓だったが、半休を取るなどしてなるべく蘭子の面倒をみるようにしていた。
44:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:35:24.64 ID:6D4QUdRpo
楓の隣にはもう1人、面接官がいる。
しかし彼は彼で妙に緊張していてさきほどから一言もしゃべらない。
無理もない。
そもそも、まだ会社に入って1年に満たない新人の彼がなぜ面接官をやっているのか。
45:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:36:00.05 ID:6D4QUdRpo
楓「というかよく見たら履歴書にだいたい書いてありましたね」
美波「…………」
美波の志望動機は、要約すると「たくさん持ってる資格を活かしたい」という事だった。
46:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:36:44.34 ID:6D4QUdRpo
楓「すごいですね。大会で準優勝したんですか。私なんてスポーツはめっきりで……武内くんはスポーツとかやるんですか?」
武内「自分ですか!? い、いえ自分はそんな運動はあまり……」
楓「でもすごくガタイが良いですよね。レスリングとかやってそうな……あ」
47:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:37:19.51 ID:6D4QUdRpo
楓「具体的な事業内容、ですか……」
今度は楓が困り果てる番だった。
楓「難しいですねえ。そういえば武内くんは普段どんな仕事をしてるんですか?」
48:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:37:59.33 ID:6D4QUdRpo
楓「私の場合は……例えば演劇をやったりします」
美波「え、演劇?演劇というのは、その、お芝居の演劇ですか?」
楓「その演劇です。最近だと、こんなお話を演じてますね」
49:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:38:48.24 ID:6D4QUdRpo
美波はもう帰りたいと思ったが、楓がなにやら少し考えるように下を向いて黙ったので、とりあえず何か言い出すのを待っていた。
楓「……ああ!ありました、まともそうな仕事が」
美波と武内くんが身を乗り出した。
50:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:39:41.16 ID:6D4QUdRpo
美波「エンジニアとしての技術力が必要ということでしょうか」
楓「それももちろん必要ですが、この仕事においてもっとも重要なのはセンスです。ダイビングに長けているのなら分かると思いますが、ネットの深層に潜れば潜るほど共感覚のフィードバックが増えて自我領域の安定が難しくなりますよね?」
美波「はい」
51:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:40:28.93 ID:6D4QUdRpo
分かったような分からないような、いや、やっぱり分からない、と美波は思った。
美波「……あの、もう一つ質問よろしいでしょうか」
楓「はい?」
52:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:41:01.96 ID:6D4QUdRpo
楓はふと時計を見て、予定の時間を過ぎていることに気づいた。
楓「……というわけで面接は以上になります。合否は後日、メールにてお伝えしますね」
美波「……ありがとうございました」
53:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:41:55.67 ID:6D4QUdRpo
この日の面接は1件だけだったので、楓は報告書を宮本先輩に提出すると半休の申請をして午後はすぐに帰宅した。
家に着くと、蘭子は相変わらずテレビにかじりついていた。
楓「ただいまー」
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