過去ログ - 開かない扉の前で
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12:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:27:13.17 ID:BFmKl9Djo

 ケイくんは煙草の灰を空き缶の縁で落とすと、足元にその灰皿を置いた。

「ゴミ収集の人が困るよ」

「俺は困らない」とケイくんは言う。

 それはそうだ、とわたしは思った。

「でもバカな使い道だな、缶コーヒーってさ。普通こういうのって、進学とか、何かあったときのためとか言って、とっとくもんだろ」

「うん。そう思ったんだけどね……」

 言葉を続けようとしたけど、どう説明していいかわからなくなって、やめた。

 そういう使い方をするところを叔父がもし見ていたら、きっと呆れて笑うだろうから?
 そんな想像に心地よく浸りたかったから?

 あるいはわたしは、叔父が大切に使ってほしいと思って遺しただろうお金をこんなふうに消耗することで、
 こんなお金なんかよりも、もっと生きていてほしかったのだと、けっして伝わらない主張をしているつもりなのかもしれない。

 よくわからない。




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