過去ログ - 開かない扉の前で
1- 20
13:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:27:51.19 ID:BFmKl9Djo

「……だけど?」

 言葉に詰まったわたしを見て、ケイくんは続きを促したけど、わたしは何も言わずに、かわりに景色を眺めた。

以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:28:19.04 ID:BFmKl9Djo

「ね、一本ちょうだい」

「いやだよ」

以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:29:05.81 ID:BFmKl9Djo

 学校の敷地内を、ぼんやりと見下ろす。

 下校しようとしている生徒たちの姿が見える。階下から吹奏楽部の音階練習、剣道部が外周を走っている。
 武道場から畳を打つような音、体育館からバスケットボールの跳ねる音。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:30:11.42 ID:BFmKl9Djo

 わたしはその言葉を聞き流しながら、いくつかのことを思い出した。

 母さんのこと、叔父のこと、妹のこと。そのどれもがなんだか遠い。

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:31:33.72 ID:BFmKl9Djo

「……どうしてなんだろう?」

 思わず、そう声をあげたとき、ケイくんが不可解そうにこちらを見た気がした。
 わたしは彼の方を見ていなかったから、彼の視線がどこに向かっていたかは、本当のところ分からなかったけど。
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:32:28.47 ID:BFmKl9Djo

「本人に聞けよ」

「だって、もう死んじゃったし」

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:34:06.36 ID:BFmKl9Djo

 それでも五分もしてしまえば、泣き続けるのにも疲れてくる。
 尽きない悲しみがあったとしても、それをずっと貫けるほど肉体は付き合いがよくない。

 彼は気を遣わないわけじゃない。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:34:58.39 ID:BFmKl9Djo

「それ、どんな話?」

 わたしは、ただのくだらない噂か何かなんだろうと、そう分かっていたのに、
 どうしてか変に気になって、思わず聞き返してしまった。
以下略



21:名無しNIPPER[sage]
2016/07/04(月) 00:35:28.31 ID:qZtjRuTp0
なんかいいな
この2000年代前半のジュブナイル小説みたいな感じ


22:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:36:45.18 ID:BFmKl9Djo

「……隣の市に、遊園地の廃墟があるの、知ってる?」

「あの、心霊スポットとかっていう?」

以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:38:38.60 ID:BFmKl9Djo

 ケイくんが舌打ちをする。わたしの頭のなかを、いくつかの景色が過ぎる。 
 無性に走り出したいような気持ちになる。何かを叫びたいような。でも、何を叫びたいのかなんて自分じゃ分からない。

「……雨だな。戻るか」
以下略



992Res/853.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice