903:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:00:50.00 ID:ogkZSEtjo
◇
霧雨に煙る街を僕は歩いた。
904:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:01:17.53 ID:ogkZSEtjo
建物の中には人の姿がなかった。
奇妙な空間に迷い込んでしまったような、そんな違和感を覚える。
905:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:01:47.76 ID:ogkZSEtjo
ガラス張りの窓の向こうで街が離れていく。
ああそうだったと思い出した。
高いところに昇る理由。
906:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:04:04.26 ID:ogkZSEtjo
「――あなたを止める。絶対に。それがわたしの責任だと思うから」
――不意に聴こえたその声に、眩暈がしそうになった。
907:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:04:58.71 ID:ogkZSEtjo
「……間一髪、で、間に合わなかったね」
すみれの肩越しに、ざくろと目が合う。彼女はおかしそうに笑った。
908:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:05:25.12 ID:ogkZSEtjo
「無理なの」とざくろの声がした。
“背後”からだった。
909:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:06:01.31 ID:ogkZSEtjo
「ねえすみれ――本当にわたしを捕まえられる?」
「本当にわたしを止められる?」「わたしは無理だと思うな」「現に捕まえられていないから」「あなたにわたしは止められないから」
910:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:06:29.94 ID:ogkZSEtjo
◇
――不意に哄笑が響き、
911:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:07:10.27 ID:ogkZSEtjo
すみれは、ふと、僕の方を振り返った。
「遼一、ごめんね。やっぱりわたしが、巻き込んでたみたい」
912: ◆1t9LRTPWKRYF[saga]
2017/11/21(火) 01:07:56.01 ID:ogkZSEtjo
つづく
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