過去ログ - 高森藍子「誰かを笑顔にできるなら」
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15: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:23:38.66 ID:wiTHyHYmO
「あ、それってもしかして」
しまった。
彼女に見とれていたのを悟られないように誤魔化したつもりだったが、ついさっき隠した缶ビールを手に取っていた。
16: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:24:48.98 ID:wiTHyHYmO
つくづく日本語というのは難しい言語だと感じる。
もし彼女の口から出た言葉を文字に起こし、国語のテストのようにどういう気持ちでこの発言をしたでしょうか、という設問をこしらえたら答えはきっとこうなるだろう。
『いい若い者が仕事をサボってブラブラして明るいうちから酒を人前で飲むなんて恥ずかしくないのか』
17: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:26:24.23 ID:wiTHyHYmO
「ああ、お店で買ってからここまで運ぶのにちょっとぬるくなってるけど…こうやって広々とした場所で飲むといつもと違って美味く感じるね」
「あ、分かります。普段食べているようなものでも外で食べると何故か美味しく感じるんですよね。そういえばこの間、家族とピクニックに行ったんですけど…」
彼女はポケットアルバム取り出すとこちらに見せてくる。
18: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:28:09.46 ID:wiTHyHYmO
ガサガサ
不意に後ろで音がした。
見るといつのまにか現れた黒い猫がコンビニの袋に頭を突っ込んでいる。
19: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:29:43.87 ID:wiTHyHYmO
パシャリ
音がした方を見ると、少女がいつの間にか取り出したカメラを手にしていた。
「あ、ちょっと」
20: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:30:53.56 ID:wiTHyHYmO
「ああ、もうこんな時間か」
彼女との会話と猫との格闘に夢中になっていた俺の腕時計の針は予想よりも先に進んでいた。
「あ、ごめんなさい。ついおしゃべりに夢中になっちゃって、お仕事の方は大丈夫ですか」
21: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:32:34.10 ID:wiTHyHYmO
「えーと、これは…アイドル事務所のプロデューサーさん、ですか」
担当アイドルが居なくてもプロデューサーを名乗っていいのだろうか。
多少の罪悪感を覚えながらも彼女に見栄を張りたい欲が勝り大きくうなずいてしまった。
22: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:34:34.99 ID:wiTHyHYmO
「ああ、あのさ…キミ、アイドルに興味はないかな?」
「え、アイドルって私がですか?」
「もちろん」
23: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:37:14.42 ID:wiTHyHYmO
「それでは私はこれで…あの、この公園にはよく来られるんですか?」
「え、えーと…たまに立ち寄るけど」
「私もです、またお会いできるかもしれませんね」
24: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:50:53.36 ID:wiTHyHYmO
「プロデューサーさん、どうしたんですか。ずぶ濡れになって」
「帰りに雨に降られちゃいましてね」
「ちょっと待っててください、今タオル持ってきますから」
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