過去ログ - 高森藍子「誰かを笑顔にできるなら」
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7: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:10:15.95 ID:wiTHyHYmO
担当するアイドルがいないなら、スカウトすればいいじゃないか。
そんな事を言う人がいたら渋谷でも原宿でもいい、実際に街角に立ってみてほしい。
どこからこんなに沸いてくるのかと思うくらい大勢の人が歩いているが、これはと思う相手に巡りあう確率というのは非常に低い。
8: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:11:12.80 ID:wiTHyHYmO
スカウトの仕方が分からないなら先輩に聞いてみるという手もある。
しかし俺はほとんどそれをしなかった。
断っておくがうちの会社は「仕事は見て覚えろ」だの「テクニックは盗むもの」だのと言った前時代的な風潮に支配されているわけではない。
9: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:12:39.84 ID:wiTHyHYmO
外に出てのスカウトがダメなら事務所で書類整理とでも思うのだが、ウチの会社にはやたらと有能なアシスタントがいる。
どこで売っているのか疑問に思うような明るい緑色の制服を着た彼女は、俺が一枚書類を完成させる間にその五倍は処理している。
彼女は電話を掛けながらパソコンのキーボードを叩き、手元のファイルから目的の書類を探すくらいのことは平気でやってのけている。
10: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:14:27.79 ID:wiTHyHYmO
いつ頃からだろうか、俺はスカウトをしてくると言って事務所を出て、街で時間をつぶすことに慣れてしまった。
断っておくが俺にだって最低限のプライドというか節度というものはある。
勤務時間中はパチンコ屋やマンガ喫茶など見られて言い訳のできない場所には入らないことにしている。
11: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:16:19.23 ID:wiTHyHYmO
今日もまあ二時間近くは街角で粘ってみた。
何人か綺麗な女の子に声もかけた。
出来るだけの努力はしたのだ、結果が出ないのは時の運というやつだ。
12: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:18:18.31 ID:wiTHyHYmO
「こんにちは」
ふいに声をかけられた。
花柄のワンピースを着た少女がこちらを見て微笑んでいる。
13: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:20:13.69 ID:wiTHyHYmO
向こうから声をかけてきたんだ。俺は覚えにないが前に会ったことがあるに違いない。
見た目は派手ではないが、なかなか可愛い。
スカウトで声をかけた覚えもないし、この年代の子で知り合いの可能性があるとすれば学生時代の友人の妹とか…
14: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:21:46.70 ID:wiTHyHYmO
「ふう、今日はポカポカでいいお天気なんですけど、日差しが強くて…動くとちょっと暑くなっちゃいますね」
「ああ、そうだね」
そう言う彼女の首筋にうっすらと汗が浮かんでいるのが見えた。
15: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:23:38.66 ID:wiTHyHYmO
「あ、それってもしかして」
しまった。
彼女に見とれていたのを悟られないように誤魔化したつもりだったが、ついさっき隠した缶ビールを手に取っていた。
16: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:24:48.98 ID:wiTHyHYmO
つくづく日本語というのは難しい言語だと感じる。
もし彼女の口から出た言葉を文字に起こし、国語のテストのようにどういう気持ちでこの発言をしたでしょうか、という設問をこしらえたら答えはきっとこうなるだろう。
『いい若い者が仕事をサボってブラブラして明るいうちから酒を人前で飲むなんて恥ずかしくないのか』
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