過去ログ - 高森藍子「誰かを笑顔にできるなら」
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17: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:26:24.23 ID:wiTHyHYmO
「ああ、お店で買ってからここまで運ぶのにちょっとぬるくなってるけど…こうやって広々とした場所で飲むといつもと違って美味く感じるね」
「あ、分かります。普段食べているようなものでも外で食べると何故か美味しく感じるんですよね。そういえばこの間、家族とピクニックに行ったんですけど…」
彼女はポケットアルバム取り出すとこちらに見せてくる。
18: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:28:09.46 ID:wiTHyHYmO
ガサガサ
不意に後ろで音がした。
見るといつのまにか現れた黒い猫がコンビニの袋に頭を突っ込んでいる。
19: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:29:43.87 ID:wiTHyHYmO
パシャリ
音がした方を見ると、少女がいつの間にか取り出したカメラを手にしていた。
「あ、ちょっと」
20: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:30:53.56 ID:wiTHyHYmO
「ああ、もうこんな時間か」
彼女との会話と猫との格闘に夢中になっていた俺の腕時計の針は予想よりも先に進んでいた。
「あ、ごめんなさい。ついおしゃべりに夢中になっちゃって、お仕事の方は大丈夫ですか」
21: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:32:34.10 ID:wiTHyHYmO
「えーと、これは…アイドル事務所のプロデューサーさん、ですか」
担当アイドルが居なくてもプロデューサーを名乗っていいのだろうか。
多少の罪悪感を覚えながらも彼女に見栄を張りたい欲が勝り大きくうなずいてしまった。
22: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:34:34.99 ID:wiTHyHYmO
「ああ、あのさ…キミ、アイドルに興味はないかな?」
「え、アイドルって私がですか?」
「もちろん」
23: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:37:14.42 ID:wiTHyHYmO
「それでは私はこれで…あの、この公園にはよく来られるんですか?」
「え、えーと…たまに立ち寄るけど」
「私もです、またお会いできるかもしれませんね」
24: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:50:53.36 ID:wiTHyHYmO
「プロデューサーさん、どうしたんですか。ずぶ濡れになって」
「帰りに雨に降られちゃいましてね」
「ちょっと待っててください、今タオル持ってきますから」
25: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:52:45.14 ID:wiTHyHYmO
島村卯月、高垣楓、天海春香、日高舞、Jupiter…
時代やジャンルは様々だがトップクラスのアイドルたちが完成度の高いパフォーマンスを繰り広げているのを見ていた。
みんなステージの上で歌い、踊り、自分たちの持つ輝きを精一杯に放って観客を魅了している。
26: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:55:11.89 ID:wiTHyHYmO
「あ、すいません。つい…」
「今日はどうしたんだいったい。何かいいことでもあったのか」
俺に言葉を投げかけながらも先輩は手際よくパソコンの電源を入れ、起動の待ち時間でホワイトボードに何か書き込み冷蔵庫から缶コーヒーを取り出していた。
27: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:58:04.19 ID:wiTHyHYmO
「けど、普通ってのは悪いことじゃないって思ってたからな」
先輩は取り出した書類に判を押すとそれを上司のデスクに放り投げる。
「個性が無いことが、ですか」
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