過去ログ - 海辺の町と赤く染められた国
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1:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:24:29.61 ID:1/zk8vPV0
色んな事に自信をなくしかけていた「僕」。
夏休みに大好きな幼馴染でそして親戚でもある奈緒の一家と共に祖母の家がある海辺の町へとやってきた。
僕は奈緒と共にその海辺の町で安らぎを得る三日間。

一方その頃、記憶をなくした「私」は赤く染められた国で、とある少女に拾われた。
しかしその国は今、正に滅亡の一途を進んでいる…
滅亡を食い止めんと敵対する人々…私はそれに知らず知らずに巻き込まれていく三日間。

これは一人の少年が喪失感を感じながらも成長する旅のお話…

長いけど、暇な人はみてくだされ

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2:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:25:09.20 ID:1/zk8vPV0
プロローグ 部屋





3:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:26:24.53 ID:1/zk8vPV0
「では、最初に思い出せる所からで良いから話してくれる?」

そう言われたのは僕がウトウトしかけていた時だった。
慌てて目を開いて目の前に居る男に答える。

以下略



4:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:27:07.94 ID:k0/bWBKq0
「…寝てたの?」
「え?何がですか?」

男の言葉に僕は慌てて男を見た。

以下略



5:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:27:53.89 ID:k0/bWBKq0
「そんな事より、さっき言った様に思い出せる所からで良いから話をして欲しいんだ」

シャーペンのコンコンはまだ続いていた。
男はその作業をしながら机の上に無造作に置いてあるルーズリーフを自らの手元に持って来る。
何を書くんだろう…?
以下略



6:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:29:45.50 ID:k0/bWBKq0
「本当にどこからでも構わないんだ。何なら昨日の夕食のメニューからでも構わないよ」

何、そのアメリカンジョーク。
後、一々外人の言葉を和訳した様な話し方は何なの?
僕は彼の言葉をスルーして椅子の背もたれに体重を掛け少し腕組みをして今更ながらこの部屋を見回した。
以下略



7:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:31:13.52 ID:k0/bWBKq0
部屋の観察を終えて今度は正面に座る男を見た。
年の頃は三十代中頃位で中肉中背。
白いワイシャツに濃い赤と青のストライプのネクタイをしている。スーツは着ていない。
彼の顔は特にこれと言った特徴が無かった。
多分僕に予備知識が無く街ですれ違えば彼と出会った事など一生思い出す事などないだろう。
以下略



8:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:32:13.42 ID:k0/bWBKq0
「…あの」

僕の言葉にエリート風上司は「うん」と頷いた。

「…名前を…」
以下略



9:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:33:09.73 ID:k0/bWBKq0
「いや、色の名前じゃ無いよ…村崎と言う名前なんだ」

どうやらエリート風のムラサキは僕の心を見透かす事が出来るらしい。
いや、それとも僕が顔に出やすいタイプなのかも知れない。
…てか、どうでも良い。つーか、長い。
以下略



10:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:34:16.98 ID:k0/bWBKq0
ムラサキのシャーペンのコンコンがやたらと激しくなってきた。どうやら彼も少しイライラし始めたらしい。
これ以上彼を怒らせてはいけないのかもしれないんだが…

「じゃあ…どこから…」
「いやだから、どこからでも良いんだよ…ただ君の住所とか電話番号とかはもう良いよ。本当に」
以下略



11:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:35:08.13 ID:k0/bWBKq0
ただこれ以上は本当に不味そうだ。ムラサキのシャーペンが破壊されてしまうかもしれない。

「それじゃあ…かなり昔の話からでも…良いっすか?」
「もちろん構わない」
「じゃあ、千年位前からの話を…」
以下略



12:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:36:12.30 ID:k0/bWBKq0
コンコン…コンコン…コンコン。
ムラサキが奏でるそれは僕の記憶を呼び覚ます何某かの道標になったのかも知れない。
脳の片隅に海が広がる。それは太陽の陽射しをキラキラ反射している夏の海の風景だった。

「…夏休みに…」
以下略



13:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:37:05.33 ID:1/zk8vPV0
「修行に行ったんです。お祖母ちゃんの家に」
「え…?何、君…忍者か何かなの?」
「は?違いますよ。何で忍者なんすか?」
「いや…修行って言うから…」
「は?!修行って言ったら必殺技の修行に決まってるでしょ!」
以下略



14:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:38:28.51 ID:1/zk8vPV0
「スプラッシュトルネードです!」
「え?え?ス、スプラッシュ…?」
「スプラッシュトルネード…海をも切り裂くパンチですよ…ムラサキさん…!」
「…うわぁ…」

以下略



15:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:39:30.51 ID:1/zk8vPV0
「…君は本当にそれだけの為に、あの海に行ったのかい?」

ムラサキが尚も念を押す。
多分…問題無い筈だ。僕は修行に祖母の家に行った。
だが…。
以下略



16:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:40:48.94 ID:1/zk8vPV0
僕と同い年の女の子…。
青のマスクと赤いプロテクターを纏ったヒーロー。

「…奈緒…津村奈緒…」
「うん…?」
以下略



17:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:41:27.73 ID:1/zk8vPV0
ようやく完全に落ち着きを取り戻した僕は額から手を外すとムラサキに呟いた…。

「津村奈緒に…」

ムラサキはジッと僕を観察している。
以下略



18:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:42:17.16 ID:1/zk8vPV0
誰も見てないんかな?


第一章 海辺の町  DAY1


19:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:44:18.56 ID:1/zk8vPV0
ようやく長い山合いの道を抜けると目の前には青い海が広がり僕は自転車を停めた。

「よっしゃあああああああ!」

汗だくの僕はそう雄叫びを上げて両手を空へと突き出す。
以下略



20:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:46:02.77 ID:1/zk8vPV0
あれ…?
自転車を降りて立った状態でズボンを探しまくる。
勿論、ただの短パンなのでポケットの数なんて知れていた。
冷たい汗が止めどなく流れ始めていた。

以下略



21:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:47:26.06 ID:k0/bWBKq0
ああ…もう、どこ…?
何なんだよ荷物、訳わからんもん入れ過ぎだろ…何でチクワなんか入れてんだよ…
真夏の喉渇きまくりの時に何でチクワを食べるのか昨日の俺にレポートを提出させろよ…。

僕の冷たい汗が暑さの汗を完全に上回った頃。
以下略



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