138:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:02:07.93 ID:Hr1jCc1H0
「時読みは、ああ言った物言いをします」
ナオが歩きながら私に言う。
「そうなんだ」
139:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:03:30.79 ID:Hr1jCc1H0
「まあ、あれも商売なんだろうな」
「ですね」
そう二人で笑い合っていると、又もや頭の中に何かの違和感を感じる。
私は違和感の元を探ろうともう一度景色の記憶を目を閉じて巻き戻してみた。
140:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:04:29.54 ID:Hr1jCc1H0
そう言うと私はナオを左側に在る小さな路地へと押し込める様に曲がった。
「どうしたんですか…?」
ナオが少し驚く。
141:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:05:11.27 ID:Hr1jCc1H0
「走れ!」
私の声で弾かれた様にナオは先頭に立ち走り出した。私もその後に続き走り出す…!
「…ぐ、くそっ!」
142:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:06:23.10 ID:Hr1jCc1H0
「地震による被害は家屋の倒壊と火災が発生した様です」
ウォルフはそうアビルに告げると彼は倒れた書棚を直しながら溜息をつく。
「…死者の数は」
143:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:08:00.20 ID:kqsr3JY+0
「…どう言う事だ?」
「まだ、見つかっていないオーウェン卿よりも王位継承権が上位に居る方々を探し出している様なんです」
「…なるほど、そう来たか…と、言う事は」
「はい。我々が探しているカレン皇女のご落胤を探しております」
144:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:09:17.13 ID:kqsr3JY+0
太陽が沈む…。
王都より西に位置する砦の城壁に立っていたエヴァンはそう思った。
首相派のエヴァンは権謀に長けている。だから首相のインカは彼をこの砦に派遣させたのだった。
そう、目の前の男を懐柔するために…。
145:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:10:51.26 ID:kqsr3JY+0
不躾…礼儀知らず…
それが国王直轄騎士団二番隊隊長、通称『ウツボ隊』のモーレイの評価だ。
実力はある。だが、彼はいつまでも一番隊に昇格出来ない。
勿論、一番隊隊長の実力もあるがモーレイのこう言った所が昇格の邪魔をしているのは確かだった。
だが、彼が昇格出来ない最もの理由は…。
146:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:11:53.26 ID:kqsr3JY+0
五百…。
エヴァンは少し慄く。いくら烏合の衆と言えども五百人。こちらのウツボ隊は二十名だ。
「…モーレイ、大丈夫なのか?人数が余りに…」
「おい!」
147:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:14:04.71 ID:kqsr3JY+0
彼等全員がモーレイに向かって走って行く。
モーレイはそんな中、一人立って敵達を見据えていた。
五百人の男達が┣¨┣¨┣¨┣¨!と言う地響きに似た音とウオオオオオと言う咆哮を立てて剣を構えながら凄い勢いで走り寄り砂煙がもうもうと立ち込めた…その時だった。
モーレイはやっと剣を抜くと、その一瞬で眼前に迫った敵を一閃した…!
148:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:15:22.96 ID:kqsr3JY+0
…どれ位の時が経ったのだろうか?
エヴァンは口を開けてその演舞に見惚れて時間の経過を忘れていた。
気が付けば城壁の下には無数の屍の山が築かれている。
ここに居る殆どの者達は死に絶え、その他の人間も虫の息、若しくは戦闘不能状態に陥っている。
そして半数の者達はモーレイに恐れ慄き逃げ去ってしまったのだった。
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