過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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296:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:31:19.14 ID:ilA7zgD60
「わざわざ廊下に出なくてもいいのに」

「まあ、聞かれたくない話でもするんじゃない?」

 部長はそう言って、「うふふ」と口に手を当てた。
以下略



297:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:31:57.85 ID:ilA7zgD60
 それから五分くらい経って、ハルがスマホ片手に戻ってきた。

 扉を開けると全員が(何人かはニヤつきながら)自分のことを見ていたので、彼は少したじろいでいた。

 落ち着かなさそうに髪を撫でて、ハルはありがとう、とねえちゃんにスマホを返した。
以下略



298:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:32:30.51 ID:ilA7zgD60
 ファミレスに着くと、案の定、人が多くて、しばらく待つことになった。

「なんかごめん」

 部長は申し訳なさそうに項垂れた。
以下略



299:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:33:14.34 ID:ilA7zgD60
 二時間近くドリンクバーで粘って、店を出る頃には、俺たち以外に客はいなかった。

 店員さんには申し訳ないことをした。

 でもまあお金は払ってるし、と自分に言い聞かせる。
以下略



300:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:33:51.02 ID:ilA7zgD60
 結局その日は、夕方まで騒いだり笑ったりして、家の中でほとんどを過ごした。

 お喋りしたり、ゲームしたり、お喋りしたり。
 何でもないようだけど、普通に楽しかった。

以下略



301:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:34:35.05 ID:ilA7zgD60
 玄関から物音。

 振り返ると同時に、イチの声が聴こえた。

「スマホ忘れちゃってて」
以下略



302:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:36:39.65 ID:ilA7zgD60
 公園には、誰もいなかった。

 夕方。赤トンボ。遠くで聞こえるセミの声。

 二人きり。
以下略



303:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:37:57.14 ID:ilA7zgD60
「あのさ」

 言葉に詰まる。

 額が熱くなる。こめかみが激しく脈打っているのが感覚でわかる。
以下略



304:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:38:57.18 ID:ilA7zgD60

「あっ、えっ」

 イチが俺の目を見て、椅子から跳ねるようにして立ち上がる。

以下略



305:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:40:32.05 ID:ilA7zgD60
 でも、夕陽のせいか、イチの耳が、少し赤く染まって見える。
 少し見えるその顔も、夕陽のせいで赤みを帯びている。

 それを見て、また、
 しつこいようだけど、また俺の心臓は激しく鼓動を打つ。
以下略



306:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:41:54.85 ID:ilA7zgD60
 イチが、

 深呼吸をしたのを、見て、

 ーーあぁ、逃げられるかな、と思って、
以下略



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