過去ログ - 白坂小梅「笑うDJ」
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24:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:11:44.84 ID:Sa18P+fH0

 往々にして幽霊さんは、自分のことのわかる小梅ちゃんにだけ用がある。
 それ以外の人に関わるときはイタズラが殆どで、俺に用があるなんて幽霊さんは初めてだった。

 当然、俺は幽霊さんを見ることができないし、触れることもできない。
以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:12:15.06 ID:Sa18P+fH0
 
 ところがどっこい、俺に用があるときたもんだ。俺の知り合いなのか? 
 なんの恨みか。祟られるのか。

「……大丈夫な人?」
以下略



26:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:12:43.31 ID:Sa18P+fH0
 

 ドアを開けた瞬間俺の目に映ったのは、ふわふわ浮かぶ一升瓶だった。




27:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:13:19.46 ID:Sa18P+fH0

 あぁ、これは小梅ちゃんが困る訳だ。俺だって困る。
 どこから持ってきたのだろうと思ったが、一升瓶くらいなら事務所にはいくらでも転がっている。それで良いのかこの事務所。

 机に置かれたコップには、残り少しではあるけれど透明な液体。見たことのあるラベル。
以下略



28:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:14:17.39 ID:Sa18P+fH0

 俺がブースに入った瞬間、ふわふわ浮かぶ一升瓶が傾いて、机のコップに注がれる。
 今度はコップが浮き上がり、安焼酎が揺れて、減ってゆく。

 どこに消えていくんだろう。
以下略



29:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:14:54.12 ID:Sa18P+fH0

 なんなのだこの一升瓶のオバケは。

 ニマニマ笑うように揺れている。なにの返事もないし、信楽焼きの狸に話しかけているみたいだ。
 俺に幽霊さんの声は聞こえないから、当然なのだけれど。
以下略



30:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:15:28.82 ID:Sa18P+fH0

 嘘だろう。コップの中の焼酎は空になっていた。

「あと……スーツ、似合ってないな……だって……」

以下略



31:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:16:01.97 ID:Sa18P+fH0

「小梅ちゃんも、座りなよ」

「うん……」

以下略



32:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:16:42.44 ID:Sa18P+fH0

 親父、会いに来てくれたんだな。
 死に目に会えなくてごめん。
 連絡もしないでごめん。

以下略



33:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:17:21.10 ID:Sa18P+fH0

「親父はなんて言ってる?」

「あのね……誰の許可を得て、私とくっ付いてるんだ、だって……」

以下略



34:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 22:18:10.81 ID:Sa18P+fH0

 時間が経つのはあっという間だった。
 小梅ちゃんが親父の言葉を通訳してくれて、ネット時代から小梅ちゃんを応援してくれていたこと、入院中に、小梅ちゃんの出ている番組を見るたび、力が湧いたこと、いろんな事を親父と話した。

 少しづつ、少しづつ俺たちは飲んで、話をして、このまま一升瓶が空になるまで、いくらだって話せそうな気がしたのに。
以下略



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