7: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 22:59:49.33 ID:7ab73rSh0
「法子。それを食べ終わったら、ラジオ収録行くぞ」
豚がすっと立ち上がり、法子へ呼びかける。
どうしてこの豚は、法子相手だとまともなプロデューサー面をするのか。不思議だわ。
8: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:03:01.15 ID:7ab73rSh0
「あっ。ホントだ。……と、時子様……すみません……」
手帳に記された予定を認めたのだろう、豚は私の膝元へ駆け寄ってくる。
その様子があまりにも惨めで情けなかったので、「謝罪の言葉を口にするくらいなら行動で示しなさいよ、家畜風情が」と罵ってあげた。
9: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:03:51.56 ID:7ab73rSh0
「ともかく! あたし、もう行きますねっ! そろそろ出ないと収録に間に合わなくなっちゃいますから!」
法子はそう言うと、残ったドーナツを口の中へ放り込む。
「おう、頑張れよ」
10:運営終了は犯罪です[sage saga]
2016/10/04(火) 23:08:03.92 ID:Od+Qrumm0
イケメン須賀京太郎様に処女膜捧げる時子様マダ
11: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:08:57.94 ID:7ab73rSh0
財前家の寄贈したリムジンの中。
事務所を出て以来、沈黙は五分以上も続いていた。
……本当にこの豚、気が利かないわね。
12: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:11:47.07 ID:7ab73rSh0
「貴方、私のスケジュールを忘れるの、これで何度目? プロデューサーの自覚が足りないんじゃない?」
「そ、そんなことは――」
「法子の面倒を見るのに躍起になって、私の方が疎かになるんなら、プロデューサー失格よ。これからは法子一人に専念したら? あの子も頼み込めば、貴方をなじってくれるわよ。それで私には、事務所として別の人間をよこしなさい」
13: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:15:13.28 ID:7ab73rSh0
「でも、自分でも何でかわからないんですよ。時子様を疎かにしてるつもりなんてないですし」
「アァン?」
「い、いえ、あの、もしかすると、あれかもしれないです。法子はほら、まだ13歳ですし、頼りないところがあるじゃないですか。だから俺がちゃんとしてなきゃいけないっていうか。でも時子様は――」
14: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:19:06.10 ID:7ab73rSh0
オーディションは上々に終わった。
一切のミスはなく、演技も概ね審査員から高評価だったかと思う。私なんだから、当然ね。
オーディション参加者は俳優が多かったけれど、私と同じようなアイドルも混じっていた。
映画のオーディションは不慣れなのか、みな緊張した様子だったのを覚えている。
15: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:22:22.35 ID:7ab73rSh0
「時子様っ! オーディションどうでしたか!」
オーディション参加者用の待合室を出ると、廊下の奥から豚が小走りで駆けてきた。
私をずっと待っていたのだろう。こういうところは家畜らしくて可愛いわね。
16: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:24:42.68 ID:7ab73rSh0
車に戻ったら、話の続きをしてあげなければならない。
もちろん、私もあの豚に何かを期待してるわけじゃないわ。
私一人でどうにかならないことなんてないし、だからプロデューサーも必要ないと言える。
でも、この世界で上を目指すには、まだまだ足りない。
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