2: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:19:47.57 ID:KohKIjyCO
視界の端で、何かが光ったような気がした。そちらを向くと、携帯のライトがゆっくりと赤く点滅している。
画面を見ると、乃莉ちゃんからメールが来ていたみたい。着信時間は……4時ってことは、もう1時間くらい過ぎている。
急ぎの用だったらどうしよう。ちらっとそんなことを考えたけれど、本当に急いでるなら階段を上がってうちに来ればいいだけだから、
ちょっとメールに気付かなくても大丈夫かな、なんて思いながら、乃莉ちゃんのメールを開いた。
3: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:21:39.10 ID:KohKIjyCO
1分もしないうちに、乃莉ちゃんからメールが返ってきた。
まるで私が返信するのを待っていたみたいで、なんだか申し訳ないような気分になってしまう。
今からそっち行っていい?
4: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:22:42.87 ID:KohKIjyCO
チャイムが鳴ると同時に、外から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
私はすぐに駆けて行って、玄関のドアを開ける。
なずな「乃莉ちゃん、いらっしゃい♪」
5: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:24:01.66 ID:KohKIjyCO
乃莉「開けてみよっか」
乃莉ちゃんが早速箱を開けると、中には細長いチョコレートが入っていた。
2人でつまんで食べてみる。半分かじると、オレンジの香りがした。
6: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:24:41.81 ID:KohKIjyCO
なずな「あ、お茶入れよっか?」
乃莉「うん、おねがい」
なずな「紅茶でいいよね?」
7: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:28:32.11 ID:KohKIjyCO
結構前になるのかな、その日、私は乃莉ちゃんと、隣駅のあたりまで来ていた。
お昼ご飯を食べて、お茶をして、その後はあてもなくぶらぶら歩いたけれど、辺りには何だかお洒落なお店がいっぱいで、ちょっと気おくれしてしまう。
そういえばクラスの子が、お洒落な服屋さんとかカフェとかが集まってる所があるって言ってたっけ。
たまたま覗き込んだショーウィンドウには、ひらひらした綺麗な服がいくつも並んでいた。
8: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:30:17.44 ID:KohKIjyCO
なずな「あっ……」
乃莉「?」
9: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:32:40.01 ID:KohKIjyCO
電車に乗って1駅戻り、帰り道とは逆の出口から駅を出る。
目的の雑貨屋さんの窓辺には色とりどりのマグカップが並べられているのが見えて、
それを見て立ち止まりそうになった私の手を引いて、乃莉ちゃんがお店の扉を開けた。
店内はまるで別世界のようだった。空気までお洒落に感じるのは、何かいい香りのものがあるからなのかな。
10: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:33:47.42 ID:KohKIjyCO
乃莉「なずな、やっぱそれ気に入ったの?」
乃莉ちゃんが最初に取ったカップと、色違いで模様が金色のカップを両手に持った私に、乃莉ちゃんが話しかけてきた。
11: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:34:17.38 ID:KohKIjyCO
乃莉「2つはいらないもんね」
なずな「うーん……」
乃莉「え、もしかして両方買うの?」
12: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:36:18.54 ID:KohKIjyCO
ぽこぽことお湯が沸騰する音に気づいて、はっと現実に引き戻された。
カップを買ってからもうだいぶ経つし、乃莉ちゃんと2人で使ったことだって何度もある。
それなのに、どうして今日はこんなことを思い出したんだろう?
ティーバッグに沸かしたてのお湯を注ぐと、紅茶のいい香りが辺りに漂いはじめた。
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