12:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:28:33.46 ID:snFV7Fpq0
「疲れたよね、お疲れさま」
私は少し頬を熱くしました。
見透かされたように思ったのです。
13:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:29:08.41 ID:snFV7Fpq0
上品なダークグレイのスーツに包まれた細い体。
締まったというよりこけた頬と、濃い隈の隠せない目元。
街灯の明かりが差し込まないと、車内の陰に溶けてしまいそうな人でした。
しかし彼こそ、私をかぼちゃの馬車に導いた、立派なプロデューサーなのです。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:29:41.85 ID:snFV7Fpq0
初々しい感じ。
私は胸の内で繰り返しました。ほめられているのでしょうか?
しかし浮かんだ疑問は置いて、よかった、と私は口にしました。
15:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:30:15.37 ID:snFV7Fpq0
今日のお仕事はCDの販促でした。
レコード屋さんのスペースをお借りして、来てくださったお客さんと握手したり、ご購入いただいたCDにサインをしたり――
これまでの人生、立ち寄ったお店で偶然出くわすと、遠巻きに見ていたような出来事。
机を挟んだ反対側から、私はそこに参加したのです。
16:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:30:48.81 ID:snFV7Fpq0
「焦るなよ〜?」
「ええ?」
17:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:31:22.32 ID:snFV7Fpq0
「ほら、まだ始まったばっかだから。最初はこんなもんだよ。アンテナ張ってて、アイドルめっちゃ好きです好き過ぎますーみたいな、ありがたいお客さんしか来ないから。これからだよ、ゆかりちゃんのロードは」
「ロード?」
18:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:31:55.66 ID:snFV7Fpq0
「そう、です、ね」
しかしそんな思いと裏腹に、私の口は、自然と言葉を紡いでいました。
19:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:32:45.74 ID:snFV7Fpq0
あの一瞬。
先のことを考えた、あの一瞬の内に、私は何かを取りこぼしてしまった。
そんな気がしてならなかったのです。
20:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:33:19.64 ID:snFV7Fpq0
2
朝は早く起きる。
21:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:33:53.88 ID:snFV7Fpq0
放課後は事務所に足を運ぶ。
プロデューサーさんに挨拶して、スケジュールの確認や簡単な打ち合わせを済ませたら、社内の練習室でレッスンを受ける。
ダンス、歌、表現力。
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