6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:46:05.14 ID:F96eyaHp0
「…あの、Pさん。明日なのですが、私の実家に寄らせてもらえますか?」
「ああ、勿論それは構わないが…お爺さんと話しに行くのか?」
「いえ…工房で器を創りたくて。今の私に出来る全てを祖父に見せたいんです」
7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:46:46.23 ID:F96eyaHp0
翌日、朝一から肇の実家を伺うと、ご両親だけでなくお爺さんも留守にしているようだった。
「おじいちゃんの車が無い…出かけているみたいですね」
「アポイントも取らずに来たのはまずかったかな?」
8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:47:26.85 ID:F96eyaHp0
肇に誘われ、土をこねるのを見様見真似でやってみたが、想像以上の重労働だった。
「すまん、ギブアップだ…明日は間違いなく筋肉痛だな」
「練りは慣れないと大変ですから。こねかけのものは私の土に混ぜてしまいますね」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:48:06.98 ID:F96eyaHp0
練り上げた土をロクロに乗せ、器を形作っていく。
しばらく陶芸から離れていたこともあり、作業は難航しているようだ。
「Pさんと出会って…衰えたとは言わせたくないから。昔のやり方を思い出すだけじゃ…。思い出して、さらに…超える…」
10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:49:25.79 ID:F96eyaHp0
工房の外に出ると、気持ちの良い風が吹いていた。
肇が持ってきてくれたお茶を飲みながら縁側に座っていると、普段の生活が慌ただしいだけに、老後はこういう家でのんびり過ごすのもいいもしれない、なんて思ってしまう。
「イメージは…出来ているんです。アイドルになる前の私では創れなかった器が、今ならきっと…」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:50:18.44 ID:F96eyaHp0
「なんじゃ、帰って来とったのか」
「うん、ただいま、おじいちゃん」
「どうも、ご無沙汰しております」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:51:06.98 ID:F96eyaHp0
ほどなくして、一つの器が出来上がった。
「できました。あがいて、もがいて、一度は陶芸から遠く離れて、やっとつくれた器…。これが藤原肇の新しい形です」
「相変わらず、色合いはそんなに華やかではないかもしれません。離れていたから形もいびつですし、曲線も慎ましやか。おじいちゃんには、100点はもらえないかも……」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:51:53.06 ID:F96eyaHp0
肇が創った器は、お爺さんからも高評価を貰えたようだ。
二人で窯に入れる際の位置などを相談しているが、素人の自分には良く分からなかった。
「見ていて、おじいちゃん。藤原の窯に、新しい風を吹かせてみせるから」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:53:03.21 ID:F96eyaHp0
いくつかの器を創り、お爺さんとも少し話をしてから、肇の家を後にする。
山道を運転していると、肇がこんな話をしてくれた。
「小さい頃、おじいちゃんから聞いた、忘れられない話があるんです」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/10/22(土) 12:56:27.65 ID:F96eyaHp0
以上になります。読んで頂きありがとうございました。
ピックアップはあと2時間ほどですが、恒常追加なので今後ふらっと肇さんがあなたの事務所に訪れるかもしれません。
その際にはぜひ育てたり、ホームに置いたり、ルームの一員にしてみたりしてあげてください。本当に素敵な娘さんですから!
16:名無しNIPPER[sage]
2016/10/23(日) 10:27:13.39 ID:2SnafmT7o
よかった
おつ
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