過去ログ - P「輿水幸子は無数に存在する」
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48: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:51:24.48 ID:LNih3IB00
 俺は階段を上がり、『さちこの部屋』と木製のボードの提げられたドアの前に立つ。

 深呼吸。息を整えて、口を開く。

「幸子、俺だ。無理矢理連れ戻しに来たわけじゃない。まずは、お前と話をしにきた」
以下略



49: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:53:28.04 ID:LNih3IB00
 眠ってしまっているのかもしれない。
 そんな不安を振り払い、言葉を続ける。
 まだ夕方だぞ。起きているに決まっている。きっと、聞いてくれているはずだ。

「だから、お前が心配するようなことは何もない。再開するのはすぐじゃなくて良い。気持ちが落ち着いてからで良い。ただ、話だけでも、返事だけでもしてくれないだろうか」
以下略



50: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:57:03.23 ID:LNih3IB00
 そして日が暮れ、さらに夜が明けるまで、ノックの音は計3回だった。

 俺はノックの音を耳にすると、すぐさま立ち上がり、幸子へ「どくぞ」と声をかけてから隣室へと移った。
 ドアの開閉音がして、しばらくし、二度目の開閉音を耳にした後に、幸子の部屋の前へと戻る。
 それを3回繰り返した。
以下略



51:名無しNIPPER[sage]
2016/12/08(木) 21:58:35.85 ID:oNFst+uio
これ一睡もできない状態って相当クるけど次の身体に疲労は引き継がないのかな


52: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:01:43.56 ID:LNih3IB00
 廊下の突き当たりには小窓がある。
 そこから差す朝の日差しが、鋭く俺の目を襲った。

 眠れば俺は世界から縁を切られてしまう。
 裏を返せば、眠らなければ良い。
以下略



53: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:04:47.29 ID:LNih3IB00
 深夜3時頃にノックの音があった。
 足音からノックまで少し間があったので、何かしらの迷いがあったのだろう。
 俺は「どくぞ」と声をかけ、隣室へと移動した。
 再び開閉音があったのでドアの前へと戻ると。

以下略



54: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:06:09.42 ID:LNih3IB00
 二度目の夜が明け、さらに変化があった。

「プロデューサーさん、どいてください」

 ノックではなく、幸子が、直接声をかけてくれるようになったのだ。
以下略



55:名無しNIPPER[sage]
2016/12/08(木) 22:08:01.16 ID:WjwsAtHYo
期待
好きな作品がことごとくエタるから頑張って欲しい


56: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:12:05.78 ID:LNih3IB00
 朝方、4時になって、控えめなノックの音があった。

 状況が悪化してしまった。
 声からノックへと戻ってしまったのだ。

以下略



57: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:16:04.47 ID:LNih3IB00
 物音で幸子の両親を起こしてしまわないよう気をつけながら、風呂を借りた。
 数日ぶりに浴びたシャワーは実に爽快だった。

 再び階段を上り、幸子の部屋で、ベッドに背を預けて幸子と横に並んで座る。
 ぼーっとした時間が流れ、やがて過ぎ去ったのを見計らい、俺は口を開いた。
以下略



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