37:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 19:51:45.05 ID:JL8wN2Aao
ヒビキ「確かになんか聞こえた気がしたんだけどなー?」
誰へともなくそう言って、今度はヒビキが首を傾げる。
巫女の血を引く彼女は、
普通の人間が感知できない気配のようなものを知覚するのは日常茶飯事だった。
天候変化の前触れだったり、
言葉を話さない相手の感情だったりがわかるというのも少なくないが、
普段ヒビキがもっとも耳にするのは、神殿に祀られている秘宝の“声”。
秘宝自体の姿はヒビキ自身も目にしたことはないので、
語りかけてくるものが果たしてどのような存在であるのかはわからない。
聞こえてくる声にしても、声、と便宜的に言ってはいるが、
明確な言語として伝わってくるものでもなかった。
それは、ある時はどこかの風景だったり、ある時はただの色だけだったり。
漠然としたイメージの奔流だけが、ヒビキの中に流れ込んでくるのだ。
つまりヒビキがいつも感じ取っているのは、そういった曖昧なものばかりだった。
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