38:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 19:53:27.55 ID:JL8wN2Aao
しかしさっき自分を呼んだように思えた声には、もっとはっきりとした意志が感じられた。
叫び、焦り、こっちへ来いと強制するかのような声だった。
その感覚があまりにもリアルだったので、ヒビキは、
自分の周りの動物たちに声の出処を確認したのだ。
39:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 19:56:10.34 ID:JL8wN2Aao
小さな影はあっという間にヒビキたちのすぐ目前の空にまで達した。
それは巨大な、飛行する円盤であった。
動物たちが一斉に声を上げる。
警戒と威嚇を込めた咆哮。
40:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 19:58:25.13 ID:JL8wN2Aao
その挙動を察したのか、再び円盤たちはこちらへの接近を開始した。
ヒビキは自分より足の速い動物を先に行かせて、
体の小さな動物たちは抱えられるだけ抱きかかえ、円盤に背を向けて駆け出した。
ヒビキ「森に入って! でも離れちゃ駄目だぞ、ひとかたまりで逃げるんだ!」
41:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:00:48.08 ID:JL8wN2Aao
木々を打ち倒し、下草を踏みつけて、
ロボットは傍若無人な振る舞いで森の中を進行した。
ヒビキの目に入ったのは、巣を破壊されて逃げ惑う動物たちの姿。
皆住み場所を奪われ、中には踏み潰されてしまった者もいるかもしれない。
42:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:03:04.68 ID:JL8wN2Aao
ヒビキ「お前たち……」
心配するヒビキの声に返ってきたのは、怒りのこもった唸り声だった。
動物たちにしても、森を荒らされるのを許してはおけないのだ。
43:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:07:07.99 ID:JL8wN2Aao
対するロボットはその姿を“目”で追うが、その視界に、
木々の上から飛び出した小動物たちが割り込んでくる。
攪乱されたロボットは、一瞬、ヒビキの姿を見失った。
そのわずかなチャンスを逃すことなく、
ヒビキは空中で一回転して、見事、一体のロボットの肩に着地した。
44:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:09:33.80 ID:JL8wN2Aao
姿勢制御のための重要なデータ取得を突如遮断され、
ロボットの巨体が大きく揺れた。
その足元に、森の中にあった長い蔦を咥えたイヌ美とネコ吉が迫る。
二匹はそれぞれ蔦の先を咥え、平行に並んで走っていた。
45:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:12:04.99 ID:JL8wN2Aao
『待ってください。私たちは、戦いに来たのではありません』
機械的に拡声されたその声は、凛としたよく通る女の声だった。
出鼻をくじかれた形で、思わず跳躍を躊躇してしまったヒビキであったが、
対する人型ロボットたちもまたスイッチが切れたかのように動きを止めた。
46:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:15:45.40 ID:JL8wN2Aao
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ヒビキたちに語りかけてきた声の主は、自らをタカネと名乗った。
大抵のことでは驚かない自信があったヒビキだったが、
47:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:17:06.09 ID:JL8wN2Aao
しかしよくよく見てみれば、
アンコウ人間の皮膚は魚類であるにもかかわらず何やらモフモフと柔らかそうで、
しかも腕や足の関節部分では、その皮膚は不自然にダブついていた。
そして一際怪しさが感じられたのは頭部だった。
48:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:18:01.82 ID:JL8wN2Aao
タカネ「お目通りを感謝します。
つきましては、そのお礼も含めて私の船へと招待したいのですが」
怪しい姿のまま恭しく頭を下げるタカネに、
精一杯の警戒を示しながらも、正直ヒビキは戸惑った。
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