過去ログ - 【モバマス】美嘉「もう一つの物語」
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2017/03/05(日) 22:20:09.34 ID:QFvfrLAg0
 会社の決定、分かってる。 
 路線変更の意味…分かってる…。きっと。 
  
 莉嘉に言った言葉だって、言い過ぎたかもしれないけど… 
 遊び半分でアイドルなんて出来ない…! 
28: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 22:22:18.62 ID:QFvfrLAg0
 「納得って…!仕事なんだよ。全部納得して出来るわけじゃないじゃん」 
 「…」 
 「アタシが足踏みして、奈緒や加蓮…後輩たちに迷惑かけられない…! 
 アタシは、覚悟を持ってやってる」 
 「覚悟、ね…」 
29: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 22:28:08.32 ID:QFvfrLAg0
 「あなたの言う覚悟を持つというのは、 
 なりふり構わず、自分を捨ててでも走り続けることなのかしら?」 
  
  
 だから、その言葉はアタシを大きくぐらつかせた。  
30: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 22:30:51.58 ID:QFvfrLAg0
 「少し冷静になりなさい」 
  
 そう言って奏は腰を上げ、レッスン室の出口へと向かった。 
  
 「周りを良く見ることよ。 
31: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 22:43:17.08 ID:QFvfrLAg0
 誰のために…何のために…誰のために… 
  
 レッスン室を出たアタシはその言葉に、答えを見つけられないまま、 
 フラフラと事務所の廊下を歩いていた。 
  
32: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 22:46:12.09 ID:QFvfrLAg0
 ぶつかってしまった人は、事務所の先輩、高垣楓さんだった。 
 …コーヒー、かけなくて良かった… 
  
 そこで、アタシは社員さん同士がしていた会話を唐突に思い出した。 
 …楓さんが、常務の仕事を断った、という話を。 
33: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 22:50:02.87 ID:QFvfrLAg0
 「そ、その…どうして、楓さんは断れたんですか?」 
 そう言うと、楓さんはうーんと小さくうなりながら、少し困った顔で首を傾げる。 
 しかし、パッと表情を明るくし、胸の前で小さく手をパン、と鳴らすと 
  
 「じゃあ…逆に質問」 
34: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 22:54:35.97 ID:QFvfrLAg0
 「ええ。それはね、笑顔が無いとか、元気が無いとか、そういうことでは無くて、 
 美嘉ちゃんがどういう思いで、どうありたいのかが、見えないなあって」 
  
 どうありたいのかが、見えない… 
 それは、とても厳しい言葉のようで、でも楓さんの口から発せられる言葉は 
35: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 22:58:36.00 ID:QFvfrLAg0
 「違うの、美嘉ちゃん。間違っていないことと、私がありたい姿は、決して同じではないの」 
  
 「私は、その場でお断りをさせてもらったわ。 
 アイドル一人が、判断していいことじゃないかもしれない」 
  
36: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 23:01:14.92 ID:QFvfrLAg0
 普段、余り話すことの無い、 
 そして自らを口下手だという楓さんが、ここまで自分のことを、 
 そしてアタシのために話してくれている… 
  
 「あ、ありがとうございます!」 
37: ◆4L0B/P2YzYpZ[saga]
2017/03/05(日) 23:03:34.33 ID:QFvfrLAg0
 「じゃあ、せっかくだから約束しない?」 
 「約束?」 
 「ええ、今のそのモヤモヤが無くなったら、ゆっくりお姉さんと飲みに行きましょう♪」 
  
 今日出会ってから、一番の少女のような笑顔で嬉しそうに胸の前で 
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