16:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:22:56.43 ID:2xfEaWy9O
「ふわぁ〜」
車内に大きな欠伸が響いた。欠伸の主はサイキックアイドル堀裕子だった。
「眠いなら寝ていいぞー」
17:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:23:32.02 ID:2xfEaWy9O
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「早苗さん、紹介したい二人がいます」
18:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:24:53.09 ID:2xfEaWy9O
「アー、アー、私は超能力者デース」
「普通に自己紹介しろ!」
「え? あ、はい。コホン……堀裕子、十六歳、特技は超能力です!」
19:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:25:28.57 ID:2xfEaWy9O
「早苗さんと雫、裕子の三人にはユニットを組んでもらう」
「ええ!!」
驚きの声を上げたのはサイキック少女裕子だった。というか、裕子は知らなかったのかと早苗はそちらに驚いた。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:25:59.39 ID:2xfEaWy9O
そこでやっと思い出した。この懐かしさは早苗をスカウトしていた時のプロデューサーの熱と全く一緒なのだ。自然と笑みが漏れてしまう。
「お、どうしました早苗さん。楽しそうじゃないですか」
「そりゃそうよ。こんな楽しそうなことないわよ! 二人とも安心しなさい! お姉さんがビシバシ鍛えて、引っ張ってあげるわ!」
21:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:26:49.60 ID:2xfEaWy9O
「まあ、職務中の婦警さんをナンパしちゃうような下心持った人の言葉と、熱意溢れるアイドルお姉さんの言葉じゃ、重みが違うってことじゃないかしらねえ」
「え? プロデューサーそんなことしてたんですかー?」
「ちち、違う! ナンパじゃない! スカウトだスカウト!」
22:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:27:26.87 ID:2xfEaWy9O
気付いた時にはプロデューサーは早苗相手にもタメ口になっていた。タメ口になってると気付いた時、早苗は嬉しかった。距離が近づいた気がしたから。
別に異性として好きなわけではない。正直容姿的に言えばアウトオブ眼中というやつだ。プロデューサーとアイドル。その枠組みにおいてはプロデューサーは誰よりも信頼できる人だった。いわば相棒というものか。信頼できる相手というのは本当に居心地がいい。めんどくさくない。早苗はそう考えていた。
「ほら着いたぞー。早苗さん、そいつら起こして」
23:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:27:56.30 ID:2xfEaWy9O
「三人ともお疲れ様。だけど、ライブまでもう日がない。しばらくきついレッスンになるが頑張ってくれ」
「うー、頑張りますー」
「ふ、ふふふ、サイキックアイドルユッコに、任せてください!」
24:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:28:23.60 ID:2xfEaWy9O
早苗から日報を受け取り、確認する。
この日報制度だが、実は会社が取り入れているものじゃない。このプロデューサー個人が実施しているものだ。日報からアイドルの状態やレッスン状況、進捗などを確認する目的で始めた。少し負担になるかもしれないが、それ以上にメリットがあると思っているため、プロデューサーはこれを廃止しない。
「はい。ありがとうございます。じゃ、帰っていいよ」
25:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:28:52.47 ID:2xfEaWy9O
「……あたしがここまで夢中にさせられるとは思わなかったわ」
早苗さんのその表情からは真剣味が感じ取られたため、プロデューサーは黙って聞くことに徹した。
「最初は変な奴に絡まれたと思ったけど、どんどん心を占める割合が大きくなっていって、気付いたらアイドルになってた。デビューするまでは不安でいっぱいだったけど、デビューして初めて、初めてあんなに楽しいと思えたわ……ほんと、顔に似合わずいい手腕だったわ」
26:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:29:19.25 ID:2xfEaWy9O
「もう照れちゃってるの?」
「ああ、うるせえうるせえ! 早苗さんもさっさと帰れ!」
「嫌よー。というか今の流れは完全に飲みに行くかって流れでしょ!」
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