3:名無しNIPPER
2017/04/02(日) 09:19:24.26 ID:8+rDTmig0
あの夜、あの子が見ていた景色はどうだっただろうか。…こうして畳に寝転がるたび、同じ格好をしていたいつかのあ
の子を思い出します。
だらしないです、畳のあとが着きますよ、そんなことを言ってはこちらを向かせようとしたのですが、あの夜、ここに並べて敷いた布団の中で、ついに彼女はこちらを向いてくれませんでした。
あの時にはすでに、もう何を言っても彼女には届かなかったのだ。
心の弱い私はそう自分を慰めようとしましたし、絵里や凛たちも、自分のことはさしおいて代わる代わる私やことりに声をかけてくれましたが、今もときどき、あの子と寝た夜の光景をこうして、流感のように時々患ってしまうのです。
4:名無しNIPPER
2017/04/02(日) 09:20:24.16 ID:8+rDTmig0
高校三年の夏ごろ、雪穂に高坂家の秘密を打ち明けられました。
あの子が夏風邪をこじらせて授業後に倒れた日の夜二人でおかゆと氷枕を支度する合間のことでした。
私とお姉ちゃんは、半分他人なんだって。叔母さんの三回忌の時に、親戚の人から聞いちゃつたの。
連れ子のくせに要らん口を出すなって、お姉ちゃん怒鳴られて、お父さんも何も言わなくて。
姉と同じ色の瞳を蒼く曇らせうつむく雪穂に、その倒れそうな姿に思わず私は手を伸ばすのですが、触れる手前で払いのけられてしまいます。
5:名無しNIPPER
2017/04/02(日) 09:21:03.73 ID:8+rDTmig0
時はめまぐるしく過ぎていきます。気づけば凛たちも大学を卒業する頃で、ことりは表参道とフィレンツェのオフィスを往復する日々、私は会社勤めを続ける傍ら、糖尿病で体を崩した父に代わって家を守る母に付き添い、やがて親戚筋から跡継ぎの話を持ちかけられるようになります。
あの夜からほんの少しの期間、私は心療内科のお世話にもなりましたが、ことりや絵里たちのおかげですぐ立ち直れたそういうことにしました。
この部屋で夜眠るとあの子の幻を見てしまって、ことりの家に泊まらせて頂いたこともありました。
そんな夜も、汗水垂らして働くうちに遠のいて、こうして薄まっていくのです。
私たちは一人残らず大人になっていきます。
6:名無しNIPPER
2017/04/02(日) 09:21:41.65 ID:8+rDTmig0
畳とは違う肌の柔らかさをストッキング越しに感じた時、私の目は、条件反射のように涙を浮かべはじめました。
ほのか、ほのか、ほのかぁ……私は、あの子の名前を何度も呼びながら、子供に戻ったように泣きついていました。
腰にしがみつき、ハンカチを汚してしまう私の頭を、大丈夫、大丈夫だよ海未ちゃん、と撫でながら、ことりは私の名前を何度も呼んでくれました。
目をつむり視界をふさいだ向こう側で浮かんだのは、くちづけを交わしあうあの子たちの姿でした。
あの夜よりも少し前、たしか二人のことを知った辺りの頃です。
7:名無しNIPPER
2017/04/02(日) 09:22:42.08 ID:8+rDTmig0
私は、......あんな風に、幸せに満たされた顔をしたことがあったでしょうか。
ことり、私はいま、幸せなのでしょうか?
──うん。海未ちゃんは幸せだよ。
──ほんとうに?
8:名無しNIPPER
2017/04/02(日) 09:23:49.91 ID:8+rDTmig0
つづく
9:名無しNIPPER[sage]
2017/04/02(日) 10:11:09.86 ID:yG0ES75e0
おもろい
10:名無しNIPPER[sage]
2017/04/02(日) 11:07:39.53 ID:1JdfvmA00
つまらん
きもい
11:全知全能の神未来を知る金髪王子様の須賀京太郎様[二次元美少女達は金髪王子様の須賀京太郎様の嫁]
2017/04/02(日) 11:47:39.92 ID:zovpxJst0
長文最古コピペ乙ラブライブアニメは全部ネタばかりでアニメ化失敗
12:名無しNIPPER[sage]
2017/04/02(日) 18:01:18.14 ID:FiroG3vao
つまんね
13:名無しNIPPER
2017/04/02(日) 18:05:04.09 ID:dOb8nfriO
―――
対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。
21Res/16.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。