過去ログ - 走れアカネ
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2:名無しNIPPER[sage]
2017/04/08(土) 22:07:40.13 ID:8f+Rtbzdo
 茜は激怒した。 
 必ず、かの邪智暴虐の専務を除かねばならぬと決意した。茜には経営が分からぬ。茜は夕陽を追い、ラガーマンと遊んで暮らしてきた。そのうえ邪悪に対しても、人一倍に鈍感であった。 

ガチャ 

以下略



3: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:08:33.72 ID:8f+Rtbzdo
茜「うおおおお燃えてきましたー!」 

専務「……わかった、もう好きにしたまえ。君のその情熱で彼女の輝きが更に増すというのなら、私にとっても不都合な話ではない」 

茜「おや!? その言い方はもしや! 私を信用していない!? どうせ無理だと! そう言いたいんですね!?」 
以下略



4: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:09:09.40 ID:8f+Rtbzdo
茜「ユッコちゃん! いい所に来てくれました!」 

裕子「茜ちゃんの助けを求めるテレパシーを感じました!」 

専務「声が聞こえただけだろう。彼女の声はいささか大きすぎる」 
以下略



5: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:09:38.55 ID:8f+Rtbzdo
 茜はその後、一休みもせず事務所の中を探しに探して、卯月がカフェにいる事を知ったのは、その日の正午、陽は既に高く昇って、ニュージェネレーションズは昼食を終えて談笑を始めていた。メンバーの1人である卯月も、その日はメンバーと共に雑談に華を咲かせていた。よろめいて歩いて来る茜の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく茜に質問を浴びせた。 

茜「何でもありません! しかし、私はすぐに戻らないといけません! 卯月ちゃんにも一緒に来てもらいます! 卯月ちゃんは元気でしょうか!?」 

 卯月は首をかしげた。 
以下略



6: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:10:10.89 ID:8f+Rtbzdo
 茜は更に押して頼んだ。ニュージェネレーションズの二人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。昼休憩が終わるまで議論を続けて、やっと、どうにか二人をなだめ、すかして、説き伏せた。 

卯月「それじゃ凛ちゃん未央ちゃん、島村卯月、行ってきます!」 

 島村卯月の、二人への宣誓が終わった頃、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。カフェで休憩していたアイドル達は、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持ちを引き立てて、狭いカフェの中で、むんむん蒸し暑いのもこらえ、陽気に歌をうたい、手を拍った。茜も、満面に喜色をたたえ、しばらくは、専務との約束をさえ忘れていた。 
以下略



7: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:10:42.51 ID:8f+Rtbzdo
― 

卯月「茜ちゃん! 茜ちゃん起きてください!」 

 目が覚めたのは午後の2時を過ぎた頃である。茜は跳ね起き、南無三、寝過ごしたか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには充分間に合う。今日は是非とも、あの専務に、卯月のアイドルとしての素質を見せてやろう。そうして笑ってステージに上がってやる。 
以下略



8: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:11:11.94 ID:8f+Rtbzdo
 茜は、卯月の疑問をせせら笑う如く、ますます激しく燃え盛る。雑巾を用意し、拭き、バケツに搾り、そうして時は刻一刻と消えていく。今は卯月も覚悟した。拭き切るより他に無い。 

卯月「島村卯月、お掃除がんばります!」 

 ああ、神々も照覧あれ! 水溜まりにも負けぬ愛と誠の力を、いまこそ発揮して見せる。茜は、ざんぶと階段に飛び上がり、百匹の蚯蚓のように広がり流れ滴る水を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、なんのこれしきと拭き取り拭き取り、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。 
以下略



9: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:11:43.99 ID:8f+Rtbzdo
きらり「にょわー! 茜ちゃん、見付けたにぃー!」 

茜「きらりちゃん! 何の用でしょうか! 私は専務の終業時間までに専務室に行かなければならないんです! 通してください!」 

莉嘉「でもでも〜、リカ達、茜ちゃんを見付けたら呼ぶようにって言われてるんだよね〜」 
以下略



10: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:12:45.37 ID:8f+Rtbzdo
 一気に廊下を駆け抜けたが、流石に疲労し、窓から午後の灼熱の夕陽がまともに、かっと照って来て、茜は幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろニ、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上がる事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。 

卯月「茜ちゃん、大丈夫ですか!?」 

茜「申し訳ありません卯月ちゃん! 階段を拭き切り凸レーションズの三人を押し倒し韋駄天ここまで突破して来ましたが、私は疲れ切ってしまいました! ここで動けなくなるなんて情けないです!」 
以下略



11: ◆WlH5kArGpE[sage]
2017/04/08(土) 22:13:28.02 ID:8f+Rtbzdo
茜「私はユッコちゃんを欺きました! 中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事です! ああ、もうどうでもいいです。これが私の定まった運命なのかも知れません! ユッコちゃん、許してください。ユッコちゃんはいつでも私を信じてくれました」 

卯月「茜ちゃんとユッコちゃんは、本当に良い友達だったんですね」 

茜「いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿した事はありませんでした! 今だって、ユッコちゃんは私を無心に待っているでしょう! ああ、待っているでしょう! ありがとうございますユッコちゃん! それを思えばたまりません! 」 
以下略



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