100: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/02(火) 01:57:18.42 ID:ITomGg4V0
ホイッスルを取り出し、大きく息を吹き込む。甲高い音が周囲に広がっていく。この状況下で支援にすぐ来られそうなのは、高速移動が可能になった山中、身体能力が強化された佐原。井門は当然交戦中。
援護がすぐに来るわけではないことを察し、一ノ瀬は吹く覚悟を決めた。一番まずいのは、互いの状況がわからないこと。そして何より、人数的な意味では井門よりもこちらの方が多い。それがたった1人であろうとも。いや、1人で出来ることが限られるなら、誰かいることはとても力強いことだ。
「やりましょう!」
101: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/02(火) 03:23:24.01 ID:ITomGg4V0
戦闘力が高い変異体を1体でもすばやく処理できるのは、もちろん話が変わってくる。相手に状況を知らせつつ、井門の負担を減らすを持ってホイッスルを吹いたのだから、これでより優位に事を進められる。
林道、もちろん一ノ瀬も人間と同じように武装して、それなりに踏み込んだ攻撃をしてくる亜種に面食らったが、それでも戦えないという訳ではない。2人いれば、十分相手の虚と捉えることが可能だ。
林道の武道家としての感覚は、戦いになれる前に仕留められれば、そこまでの脅威ではないという認識を、亜種に対している。パラノイアと戦って時はこちらの意図を読まれて苦戦したものの、この亜種はどうもこちらの動きを読んでいる節がない。何故なら動き出した後に合わせているからだ。
102:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/02(火) 23:12:29.26 ID:ceYmiMur0
乙!
さて、とりあえずお二人は来てくれるのかどうか……
103: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/03(水) 03:23:55.68 ID:OnksYk+l0
素早く弾倉を入れ替え、再装填を終えた井門はトリガーを引く指を休めない。目の前には、彼が処理したゾンビ達が並べ、覆いかぶさるように倒れている。しかし、それでもゾンビの群れも休むことを知らないように前進を続けていた。
まだ援護が来る気配はない。それでも井門に焦りの様子はなかった。それもそうだ、変異体と言える襲撃は最初のジャンピングゾンビの強襲ぐらいで、今いるのはゾンビだけ。スプレーゾンビによって強化もされていない、言ってしまえば普通のゾンビだ。
処理の仕方がわかり、ある程度の弾薬を持っていて、かつ真正面からノロノロとしか進んでこないなら、焦る理由はない。
104: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/03(水) 05:21:08.67 ID:OnksYk+l0
思考に気を取られていた井門に、瞬間的に赤い棒状のものが映り、瞬時、地面を蹴って横に避けた。金属質の音が響き、ちょうどいた場所の後ろに消火斧が突き刺さっている。
「この…!」
次の瞬間に、また斧が彼に襲い掛かってきた。アサルトライフルを盾にし、受け止める。今度は斧だけではなく、その亜種も現れ、そして文字通り攻撃を仕掛けてきた。咄嗟に前蹴りを放ち、亜種と距離を取る。そのまま銃弾を叩きこんで、この戦いを終わらせようとした。
105: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2017/05/03(水) 05:24:15.71 ID:OnksYk+l0
>>99
そのうちねー
>>102
はてさて
106:名無しNIPPER[sage]
2017/05/03(水) 06:22:32.62 ID:GQQzUoMc0
乙!
井門さん一人じゃ厳しくなってきたな。手榴弾は何個残ってるかな
107:名無しNIPPER[sage]
2017/05/03(水) 09:34:48.90 ID:vgv6wx2d0
放浪者の居ない時に仲間ロストとか冗談じゃないぞ…
ダイス神よ、そういうのいいから
108: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/06(土) 04:00:24.16 ID:Yr+ysJky0
爆発した周囲に亜種の姿は確認できない。ただ、井門にそれを確認している余裕はなく、引き金を絞る。
彼はサポートすべき存在や、守るべき存在がいる時に、結局一番力を発揮できる。惨劇後の世界で、1人というのはゾンビとの戦いで、もっとも大きなデメリットでしかなく、彼は1人の時に力を発揮できるタイプではない。
信頼していた者が狂っていくのを止められず、心ならずも略奪行為を行わなければならなかった。その自分に生きる価値があるのかを、問い続けることを止めるか。答えを見出さない限りは。ずっと。
109: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/06(土) 04:25:12.65 ID:Yr+ysJky0
一ノ瀬と林道は苦戦していた。コンビネーションやコンディションについては、まだ2人は何ら問題ない。しかし、亜種と操っている変異体のコンビネーションもまた、かなり高度なものだった。互いに決定打に至らないのは、一ノ瀬達が感染の恐れからくる、負傷覚悟の一撃を加えられないのと、亜種側は数が少ないということにあった。
そう、まだ2人はゾンビの攻撃は受けていない。あえて言うなら変異体のみと戦っている状況だ。マッスルゾンビを倒した後に、ジャンピングゾンビ2体が追加された。普段なら、他の変異体以上に動物的な反応を見せるジャンピングゾンビが、亜種の周囲を取り巻くようにして側におり、すぐに襲ってこない。それこそ、その亜種を守るかのように。
数が少ないなら、あえてこのまま井門のところへ向かう。そういうことも考えたが、コマンダーゾンビは思考を読む相手、それをかき消して一ノ瀬は戦いに集中していた。林道はどこか考え事をしているようで、動きが普段より精彩を欠くようなところがある。
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