過去ログ - これから日記を書く 七冊目
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63: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/25(火) 00:17:17.43 ID:GpWFD7CH0
放浪者は闇に紛れていた。彼の視界には、WWPの兵士が動いているのを捉えているが、兵士達は放浪者を視界に捉えてはいない。普段の彼なら、目の前にいる8人程度の兵士を、理解できる間もなく屠れる確信はあった。しかし、彼としてはわずかな危険性だとしても、それを冒す価値は今のところない。

重要なのは情報提供者と名乗る、DJフレンドに敵対している勢力。エコーの音響探査によって潜伏しているであろうと言われた場所へ急ぐ。

工場地帯は、その立地や建築物の関係で潜みやすいところが大半だ。集団とはいえ、少数の人間を探すには骨が折れるだろう。それに、まだWWPの目的ははっきりとしていないが、それを理由にここへ訪れているであろうWWPとって、情報提供者を探すのは二の次だろう。精々、探索の障害として認識され、目撃したら容赦なく撃ち殺す、その程度の腹積もり。基本的な部分について、放浪者はそう読んでいる。
以下略



64: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/25(火) 01:15:56.33 ID:GpWFD7CH0
「…先輩。マジ、寝すぎ」

「仕方がないわ。無茶をしているのは先輩なのだし…」

1階に部分の物置が物資を置くためと思われる小さめの部屋に、三人組はいた。先輩と呼ばれている男は簡易に作られた寝床で横になっている、疲れているのか側にいる女が額の髪を払っても、身じろぎもしない。もう1人の女は、その部屋の北側にある2つのうち右側の窓から外を警戒している。
以下略



65: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/25(火) 02:09:55.58 ID:GpWFD7CH0
2人の少女共に、銃へと手を瞬間的に伸ばそうとして、止まった。1人は自身が身に着けた護身術から相手の戦力を理解してしまい、もう1人は攻撃しようとした時に相手の攻撃を止められない予感が身体を貫いた。頼りの綱は眠っているもう1人の仲間だが、それでも目の前の男に敵う想像は出来ない。じわりと、汗がにじむ。

「…驚かしてすまない。俺の名は放浪者。単刀直入に言おう、DJフレンドとの会合の場を設けたい。着いてきてくれるか?」

放浪者の言葉を2人が素直に受け止めることはない。それは彼もわかってのこと。しかし、敵対する気はないと理解に時間を割くより、目的を話した方が齟齬は起きないと判断してのことだ。
以下略



66: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/25(火) 03:14:50.36 ID:GpWFD7CH0
「それであんたは、DJフレンドの知り合いなのか!?」

「…騒ぐな。奴等に気取られる」

警戒を含めて、放浪者が剣の柄に手をやるのを見て、3人とも身構える。信頼を勝ち得るとも思っていない放浪者は、それを特に気にする様子はなかった。
以下略



67: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2017/04/25(火) 03:19:21.15 ID:GpWFD7CH0
>>61
ありがとう

>>62
さて、どこまで実力を出すのやら
以下略



68:名無しNIPPER[sage]
2017/04/25(火) 06:07:53.35 ID:Uy9ZXZpv0
乙!
よしよし、ここまで何とか上手くいってる!


69:名無しNIPPER[sage]
2017/04/25(火) 08:42:45.75 ID:FABw9si70
乙 うまく運びそうな感じかな 続きを待つ 


70:名無しNIPPER[sage]
2017/04/25(火) 18:24:49.28 ID:eE87YRHU0
久しぶりに普通の生存者グループっぽいな


71: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/27(木) 02:13:05.34 ID:DSCeJHgm0
世闇の中を4人は進む。当然、WWPの兵士は周囲にいる、場合によっては放浪者が持ってきたナイトゴーグルのように、闇に対しての装備を備えている可能性もあるだろう。そういう装備を自分達は揃えられないのだから、一ヶ所に留まってやり過ごすことが賢明ではある。

だというのに、放浪者の足取りに迷いはない。3人にとって内心ヒヤヒヤする場面があって、それでも放浪者は問題ないの一言で突き進んでいき、見つからずに済んでいる。今のところは。

相対した時から3人は、それぞれに放浪者に対して気圧されていた。そして、この振る舞いを見るだけで、有利な状況で3人で襲い掛かっても、勝てる想像が出来ない。彼等もここまで生き延びてきた生存者、それなりの戦いの経験を積んでいる。その上での話だ。
以下略



72: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/27(木) 02:44:54.20 ID:DSCeJHgm0
しばらくの間、3人の息遣いだけが響いた。香坂が話したことだけなら、注意すれば済むだけのはず、こうやって身を隠すよう指示した以上、何かが起きた。そう彼は判断したということだ。しかし、疑念が残っていない訳ではない。もし仮に、放浪者がDJフレンドとの関係者ではなく、WWPに組する者だとしたらこれ自体が罠ではないのかと。

恐怖感から育まれたその疑念を持って、香坂は先輩と呼ぶ少年。新井へ視線で訴える。しかし、そうされても彼は答えようがない。この状況下で3人だけで行動して、果たして無事に隠れ場所へ戻れるかと言えば、ほとんどあり得ない。彼等が潜んでいた建物はかなり離れてしまっている。

静かなやり取りは、緊迫による時間経過の遅さを助長させる。もう一人の少女、大倉もその緊張感に耐えられない様子で震えている。
以下略



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