過去ログ - 桜の木の下には幸子が埋まっている
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1: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:18:16.59 ID:jnzm6XxsO
『ねえ、知ってる?』
『桜の木の下には、死体が埋まってるんだって』
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2: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:20:16.47 ID:jnzm6XxsO
「ここが……ウワサの……」
ある春の日の夜。とある廃校の敷地内、桜の木が並んでいる校舎裏に一人の少女が訪れていた。
少女の名前は白坂小梅。手が完全に隠れる長袖のパーカーにスカート姿で、長物の入った布の袋を背負っている。
3: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:24:31.70 ID:jnzm6XxsO
そして小梅がわざわざ遠方からこの廃校へやってきた理由は噂にある。
小梅はある噂を聞いたのだ。
『あの廃校の裏にある桜の木の下には、女の子の死体が埋まっている』
4: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:27:23.88 ID:jnzm6XxsO
よくある類の噂だ。桜の木にはありがちなホラーともいえる。
真下で告白すれば願いが叶うというのと同じくらい桜の木にとってメジャーなおとぎ話。
特別珍しくもなく、普通の人はいちいち相手にしない。
5: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:29:36.11 ID:jnzm6XxsO
死体が埋まっていると噂される場所でスコップなど持っていたら、誰からもその目的がわかり止められてしまうだろう。
しかしここは普段から人が通ることはなく、今は深夜と言っていい時間。
小梅は人目をはばかることなくスコップを取り出し、これから死体探しをする自分を奮い立たせる。
6: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:31:49.31 ID:jnzm6XxsO
さて、この中で少女が埋まっている桜の木はどれだろう。
全部の木の根本を掘り起こしていては、朝になってしまうことは明白だ。
それは困る、と小梅がどうにか狙いの桜を判別できないかと考えていたら。
7: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:34:30.30 ID:jnzm6XxsO
「あなたは見たところ地元の人ではないですね?わざわざカワイイボクの噂を聞いて遠くから来たんですか?」
「やれやれ、まさか他の土地にまで噂が広がってるなんて。ボクの可愛さは留まることを知りませんね」
「ああ、もはやこれは罪深いほどの可愛さと言ってもいいでしょう。もっとも、死体を供養もされず埋められるほどの罪かどうかは考えものですが」
8: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:36:35.67 ID:jnzm6XxsO
突然始まった幸子の捲し立てるような自分語りを、小梅はある意味感心しながら聞いていた。
喋るのが遅い自分では口を挟むこともできない。
そしてなにより、恐ろしいほどに「幸子が自分の可愛さに自信がある」ことしかわからない。
9: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 12:40:49.48 ID:jnzm6XxsO
小梅は少しの緊張とともに尋ねる。
「さ、幸子ちゃんは……幽霊、なの……?」
先ほど幸子は「ボクの死体」と言っていた。その後も、自分が噂の埋められた少女であると示すようなことを言っていた。
10: ◆8ozqV8dCI2[sage]
2017/04/11(火) 12:41:40.06 ID:jnzm6XxsO
続きは夜。
11:名無しNIPPER[sage]
2017/04/11(火) 14:44:07.36 ID:TeYNJguqo
もういいです
12:名無しNIPPER
2017/04/11(火) 18:00:13.76 ID:5P+Hmu69o
ババーンかと思ったら全然違った
超期待
13:名無しNIPPER[sage]
2017/04/11(火) 21:07:29.06 ID:8U55Lk/6o
期待
14:名無しNIPPER[sage]
2017/04/11(火) 22:26:02.99 ID:udeQkAGZO
ババーンにわろた
15: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:22:36.30 ID:bw4yw+6v0
「わ、私、白坂小梅……。よろしく、ね……」
「小梅さんですか。よろしくお願いします。確認ですけど小梅さんはボクの死体を掘り出すために来たんですよね?」
「う、うん……」
16: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:24:50.13 ID:bw4yw+6v0
「ボクの可愛さを他の人の目に晒したくないと土の中へ埋めた人の気持ちもわからなくはないですが、やはりカワイイものは人々の注目を浴びるべきでしょう」
「いい加減、ボクもボクの体を世間の目に披露すべきだと考えていたんです」
「天岩戸のようにボクが隠れていたのでは、やはり皆さん不幸でしょうから。ボクの姿が見えない世の中なんて、年中冬みたいなものですし」
17: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:26:12.15 ID:bw4yw+6v0
「ありがとうございます。フフーン!こんな親切な人に出会えるなんて、日頃の行いがいいからですね!」
幽霊は日頃どんな行いをしてるんだろう、と小梅は思ったが、また長い自分語りが始まりそうなのでやめておいた。
代わりにふと疑問に思ったことを聞く。
18: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:27:42.07 ID:bw4yw+6v0
「私以外に、人は来なかったの……?」
地元民ではない小梅が噂を聞いたぐらいだ。もっと他にも同じような人が来てもおかしくない。
「そうですね。噂を聞いて集まる人はそれなりにいました。大半はボクの死体よりも死体が埋まっている桜を見るのが目当てで、スコップ持参の人は少なかったですけど」
19: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:30:11.41 ID:bw4yw+6v0
「そ、それで……いたの……?同年代の女の子……?」
「……小梅さんが一人目です」
「……ふふっ」
20: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:51:18.89 ID:bw4yw+6v0
「ふふっ……じゃあ、さっそく幸子ちゃんの死体を探そうか……」
幸子の返事に気を良くしたまま、小梅はスコップを構える。
善は急げ。
21: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:53:52.47 ID:bw4yw+6v0
小梅は頭を抱える。
いや、まさか、そんなことは。
嫌な予感とともに、恐る恐る、小梅はもう一度聞き直す。
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