786:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:04:08.34 ID:HHfyV3AE0
御託を並べても仕方がないので結論から言うと、零華の予想は的中していた。
俺は彼女をそういう目で見ている。
というか、そういう目以外で見ていた時間の方が少ない。
787:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:05:21.91 ID:HHfyV3AE0
ただ、そういった感情は俺にとって行き場のないものだった。
彼女とキスをするまでは。あるいは、同じ学校になるまでは。
そして、俺はその溜まってしまったものを発散する方法を持ち合わせていない。
788:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:06:21.29 ID:HHfyV3AE0
家の前まで歩いていくと、ちょうど奈雨が玄関から出てくるのが見えた。
結構暗くなっている時間なのに。なぜか門をくぐるまでの間が長く感じる。
彼女は俺の姿を捉えるなり、少し驚いた様子で駆け寄ってくる。
789:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:07:09.75 ID:HHfyV3AE0
「でも……」
「でも?」
790:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:07:43.28 ID:HHfyV3AE0
「あと、わたしが繋ぎたいから」
そう言って、ポケットに入れたままでいた右手を彼女の左手に強引に繋がれる。
昼と違って普通の繋ぎ方だった。だからって何もないけれど。
791:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:08:14.85 ID:HHfyV3AE0
飲み物コーナーでひとつ、お菓子コーナーでひとつ、レジ前のホットスナックをひとつずつ適当に選ぶ。
会計をする間はさすがに手を離して、店を出てからまた手を繋ぐ。
今度は指を絡ませられた。どういう心境の変化だろう。
792:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:10:21.63 ID:HHfyV3AE0
【VS】
ドアを開けると、彼女は二階へ向かうことなくテーブルにつく。
そして、目の前の様子を気にせずに、買ってきたものを袋から取り出す。
793:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:11:06.84 ID:HHfyV3AE0
「おにいと付き合ってんの?」
「答える必要ある?」
794:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:12:02.58 ID:HHfyV3AE0
「お兄ちゃんが、わたしに一緒に部屋に戻ろうって言ったんだよ?
それをとやかく言う筋合いがどこにあるの?」
「はあ?」
795:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:12:44.05 ID:HHfyV3AE0
でも、いくら踏み出そうとしても足がうまく動いてくれない。
吐きそうになるほどの不快感。金縛りにでもあったように、身体が強張る。いつもそうだった。
佑希がこちらに縋るような目を向けている。
796:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:13:34.49 ID:HHfyV3AE0
そして、それは優しさではなく俺の利己的な思考に基づく態度だった。
俺がやるしかなかったから、今まで彼女を支えてくれる人は現れなかったから、誰も使い物にならなかったから。
──先輩以上にそういう役目が適任な人はいないと思います。
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