816:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:34:19.69 ID:HHfyV3AE0
十秒、二十秒、三十秒と触れている時間が過ぎていくうちに、俺の思考はびりびりとしびれるようなものから、いろいろなものに変化していく。
目を瞑る。開けたままでいると、目の前のことばかり考えてしまいそうになるから。
817:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:34:53.96 ID:HHfyV3AE0
俺は彼女と並んで歩きたかった。
お互い一人で立っていられるくらいに強くなって、それでもどこか不安を感じてしまったら、そのときは安心を与えられるような存在でありたかった。
押し付け。自分のことしか考えていない。我慢していられない。
818:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:35:36.99 ID:HHfyV3AE0
人には各々広さ大きさの異なるキャパシティが存在する。
自分のことで手一杯な人は、他者にかまけている余裕はなくなるし、ある程度余裕が持てる人、もしくは自分を蔑ろにしている人は、他者を抱え込めるだけの隙間/余地が残されている。
誰かに頼られる。それを助ける。
819:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:36:36.94 ID:HHfyV3AE0
それを求めた。無意識のうちに。
でも、自分のことですら満足にできなくなってしまった俺が、誰かを助けてあげられるだけの力を有しているとは到底思えなかった。
たまたま人よりも力を持っていたからそういう人が寄ってきただけで、その力が弱くなれば、俺のことを頼る人なんてどこにもいなくなる。
820:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:37:20.08 ID:HHfyV3AE0
目を開けると、唇はすでに離れていた。そういう感覚も、頭から抜け落ちてしまっていた。
奈雨は心配するように俺の顔を覗き込む。
ひょっとしたら、結構な時間ぼうっとしていたのかもしれない。
821:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:38:08.35 ID:HHfyV3AE0
こういうことを言えば、彼女の方から離れてくれる。
それを願った。また押し付けようとした。
822:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:38:46.97 ID:HHfyV3AE0
耳朶を打つ蕩けた声にのまれて、ベッドに彼女を押し倒してしまった。
我慢しようとした。けれど、身体が言うことを聞いてくれなかった。
彼女は一瞬だけ怯んだ顔をして、すぐにいつものようにえへへとはにかむ。
823:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:39:39.00 ID:HHfyV3AE0
このままでは駄目だ、と思う。
そういう対象として彼女を見ることができる。というか見ている。それは否定しない。勢いに任せてしまってもいいと思う気持ちもなくはない。
824:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:40:10.08 ID:HHfyV3AE0
ふるふると首を振りながら請い願うような言い方に、優しい声音で諭そうとしたけれど、
「離せって言ってるだろ!」
825:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:40:43.65 ID:HHfyV3AE0
きっと彼女は俺が何を言ったとしても許してくれる。受け入れてくれる。仮にここで彼女のなすがままに身体を求めたとしても、きっと応じてくれる。
そうなってしまったら、歯止めが効かなくなるのは目に見えている。彼女を際限なく求めて、彼女を困らせて、最後には嫌われてしまうのではないか。
そして何よりも、
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