【オリジナル】「治療完了、目をさますよ」2【長編小説】
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172:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:07:58.82 ID:Eb2omwdb0
「元老院という組織がある。それは、自殺病を利用して人々の心にウイルスを拡散させ、患者を増やしている機関だ。治療すると同時に、繋いだネットワーク越しに別の人間にウイルスが感染し、ねずみ算式に自殺病患者は増えていく。そういうシナリオさ。でもね、その元老院っていう組織は、君達がいる現実には存在しないんだよ」

目を見開いた汀(なぎさ)に微笑んで、坂月は言った。

「いくら探しても見つからないわけだ。だって、元老院の人間達は、既に自分達の意識を夢の中に落とし込んで、『こちら側』の住人になっているんだから。自分達だけは安全な場所で、世界を玩具のように動かしている存在だったんだ。まさに、悪魔だと思わないかい?」
以下略 AAS



173:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:08:37.68 ID:Eb2omwdb0
彼は車椅子を汀(なぎさ)に向き直らせ、続けた。

「中萱はこう考えた。元老院を全員殺した後……不要になったスカイフィッシュを、どうやって破壊しようかと。そこで選ばれた存在は、君だった」
「私……?」
「そうだ。君が新たなスカイフィッシュ、『アンチスカイフィッシュ』となり、目的を達した後、邪魔な敵をすべて駆逐する。俺は、その橋渡しをする役目だった」
以下略 AAS



174:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:09:18.62 ID:Eb2omwdb0
「あなたは……」
「俺の目的は、中萱とは違う。アルバート・ゴダックの殺害と、『スカイフィッシュ』の根絶、その二点だ。だから今回、君をスカイフィッシュへと誘導するのではなく、その精神中核を返すことにした」

淡々とそう言い、彼は手を伸ばして、ギプス越しに汀(なぎさ)の頬に触れた。

以下略 AAS



175:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:10:05.66 ID:Eb2omwdb0
微笑んだ坂月が、続けて何かを言いかけ……そして彼は弾かれたように顔を上げた。

「予想よりかなり早いな……やはり、あの子の改造は失敗だったのか……」
「え……?」
「猫ちゃん、この子が目覚めるまで頼むよ。俺はどうやら、ここまでみたいだ」
以下略 AAS



176:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:10:48.28 ID:Eb2omwdb0
汀(なぎさ)は頭を抑えて悲鳴を上げた。
割れた空の向こうは、銀色のどろどろしたものが流動している空間だった。
そこをかき分けるようにして、小さな病院服の女の子が落ちてくる。
彼女は持っていたチェーンソーを砂浜に叩きつけた。
轟音と砂煙が上がり、彼女がゴロゴロとすり鉢状にえぐれた地面を転がる。
以下略 AAS



177:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:11:21.83 ID:Eb2omwdb0
暗い笑みを発した坂月を、歯ぎしりして睨みつけ……しかしソフィーは、続けて砂浜に落下してきたもう一つの影を見て、慌ててショットガンを何発も発射した。
もうもうと砂煙が上がり、銃声と飛び散る薬莢に、汀が固まって体を丸める。

「私の体に、スカイフィッシュの腕を移植して……こんなことに……!」

以下略 AAS



178:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:12:04.27 ID:Eb2omwdb0
「手伝いなさい、坂月健吾。アレをどうにかしないと、ここで私達は全員殺されるわ」
「勿論、できるだけ足掻かせてはもらうつもりだよ」

車椅子をソフィーの脇に移動させた坂月は、自嘲気味に小さく笑った。

以下略 AAS



179:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:12:42.94 ID:Eb2omwdb0
唖然として動けないでいる汀(なぎさ)の目に、細切れの肉の塊になったアンリエッタと、砂浜に幾百も突き刺さる日本刀という悪夢のような光景が飛び込んでくる。
吐き気を抑えきれず、その場に胃液をぶちまける。
しかしその光景を見ていたソフィーと坂月は表情を険しくて汀(なぎさ)を守るように少し後退した。
細切れの肉塊になったアンリエッタの、「それぞれ」が蟲のように蠢いた。
それぞれから百足のように節足動物の足が生え、カサカサと動き回り始める。
以下略 AAS



180:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:13:23.89 ID:Eb2omwdb0
「冷静に解説している暇があって?」

ソフィーに睨まれ、坂月は黒い百足が砂浜に軍隊のように整列し、ムクムクと膨れ上がり始めたのを見て、ギプスの指先で鼻の頭を掻いた。

「確かに、その暇はなさそうだ」
以下略 AAS



181:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:13:54.30 ID:Eb2omwdb0
「あなたの分裂スカイフィッシュを呼ぶことは出来ないの?」
「この夢は俺の隔離された夢の中だ。『俺の悪夢の元』は入ることが出来ない。それに……」

坂月は軽く笑った。

以下略 AAS



182:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/24(水) 16:14:27.85 ID:Eb2omwdb0
落ちそうになった彼女を、舵を取るもう片方の手で押しとどめ、ソフィーはヨットを、暗い海へと驀進させた。

「あ……」

手を伸ばした汀(なぎさ)の目に、車椅子に乗った坂月が、無数の手斧に叩き潰され、そして黒い影に飲み込まれるのがうつった。
以下略 AAS



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