1: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:23:44.81 ID:4N5ngplN0
ステージの袖へと下がり、安堵の息を漏らす。
そのときになって初めて、自分が拳を握りしめていたことに気が付いた。
ほんの一歩分ほどの違いしかありはしないのに、歓声と退場を促すアナウンスが、遠く聞こえた。
駆け寄ってきたスタッフの人からお水とタオル、それから「暗くなってますので足元お気をつけてください」と言葉をもらった。
私が「ありがとうございます」と返すと、そのスタッフさんはくつくつという忍ぶように笑う。
もしや、と思い、深くかぶられた『STAFF』と書かれた帽子を引っ手繰る。
「びっくりした?」
そこには、したやったり、とでも言いたげな表情でにやついているプロデューサーがいた。
2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:24:39.19 ID:4N5ngplN0
○
「もう。何してるの、ほんとに」
3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:25:31.12 ID:4N5ngplN0
○
楽屋には既に衣装さんとメイクさんが控えていて、私が到着するなり綺麗に揃った「お疲れ様でした」をくれる。
4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:25:58.74 ID:4N5ngplN0
○
メイクさんにしてもらったお化粧は、やっぱり自分でするよりも出来栄えが違くて、毎度のことながら感心してしまう。
5: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:26:27.26 ID:4N5ngplN0
○
やがて全ての帰り支度が終わり、私はプロデューサーからの連絡を待つのみとなる。
6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:26:54.22 ID:4N5ngplN0
○
「改めて、お疲れ。かっこよかった」
7: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:27:32.02 ID:4N5ngplN0
○
プロデューサーのあとを、てくてくついて行き、スタッフの人たちが撤収作業をしているステージの上に出る。
8: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:28:08.69 ID:4N5ngplN0
○
関係者用の通用口から会場を出ると、外はもうすっかり真っ暗で、しんとした夜の冷たさが身に染みた。
9: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/12/04(火) 03:28:39.34 ID:4N5ngplN0
○
プロデューサーの車へと乗り込んで、後部座席に荷物を置く。
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