39:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:49:48.51 ID:kEcSo673O
しばらくしてその店員が湯気の立つマグカップを二つ持ってくる頃には、何とか森久保の涙も収まった。
ココアを受けとる時、彼女が小さく頭を下げる余裕を見せたので、ようやく安心した。
40:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:50:28.53 ID:kEcSo673O
二人で初めてのサボタージュ。そこで一緒に頬張ったガトーショコラは甘く、そしてほろ苦かった。
口を小さくもごもごと動かし、こちらの視線に気付くと、
41:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:51:28.14 ID:kEcSo673O
我に返ると依然として、ざわめきが俺たちを囲んでいた。インカムを付けたスタッフが走り、衣装を身にした少女達がうろうろと歩き回る。
その中で森久保は、きょとんとした顔をこちらへ向けている。
42:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:52:22.62 ID:kEcSo673O
ライブが始まりました。
舞台裏は相変わらず、皆さん忙しそうにしています。
43:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:53:03.76 ID:kEcSo673O
緊張と不安を合わせた顔で動くアイドルの皆は、しかし同時に、生き生きとしてもいました。
……そう、まるで私とは真逆のように。
44:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:53:57.27 ID:kEcSo673O
一方で、そんなジメジメした胸の内で、驚いたこともありました。
「凛さん、次お願いします!」
45:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:54:41.39 ID:kEcSo673O
観客の歓声や、出演中の方の歌声、潮騒のような拍手。
そういったものが、くぐもりながらも耳に届きます。
46:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:55:25.85 ID:kEcSo673O
それから少しして、Pさんが同僚さんに呼ばれました。それを待つ間、私はぽつぽつ一人で歩いて、あちこち見回っていました。
47:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:56:18.89 ID:kEcSo673O
先程までここで青ざめていた女の子は今、ピンクの衣装を揺らしながら、愛らしい歌声と共に笑顔を振り撒いています。
出番のギリギリまで担当プロデューサーと確認をしていた神経質そうな女の子は、妖艶な濃紺の衣装で微笑みながら、観客を虜にしています。
48:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:56:59.85 ID:kEcSo673O
私が我に返ったのは、三十分程経ってからのこと。
戻ってこない私を心配して、Pさんが探しに来たのに気付くまで、私は延々とステージに見惚れていたのです。
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