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俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 18:17:10.02 ID:0Wfq2DaSo
■前スレ
俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.8
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298976928/

■関連SSスレ
○京介「桐乃…お前に人生相談があるだが…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297644807/
○俺の妹が身長180cmなわけはない
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294927055/
○桐乃「デレノート……?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295702504/
○【俺の妹】高坂京介は落ち着かない
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1296372251/
○グラハム「私の妹がこんなに可愛いわけがないっ!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297087278/

■まとめwiki
http://www43.atwiki.jp/vip_oreimo/

・鬱、エロ、NTR、オリキャラ、クロス作品の場合は、投下前に断り書きをしましょう
・完結させてからの投下が望ましいです。3回以上中断する場合は別スレを検討しましょう
・やむを得ず中断させた場合は、再開時に前回のものをアンカーで知らせてください
・前の作者の投稿から3時間程度の間隔をあけるのが望ましいです。無理な場合は一言断りましょう
・被り、苦情防止のために事前に投下時刻とカップリングを宣言しておくのもオススメ
・SS作家さんには惜しみない賞賛を
>>980 を踏んだ人が次スレを立てましょう

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【幽白】戸愚呂弟「ここは冥獄界なのかねェ」さとり「いいえ、幻想郷です」【東方】 @ 2019/12/06(金) 03:10:15.43 ID:9LNUMMUB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1575569415/

ソシャキチ!映子さん「アイドルマスターシンデレラガールズ」 @ 2019/12/05(木) 23:42:31.43 ID:i7uitGeD0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1575556951/

北颪 @ 2019/12/05(木) 20:13:30.37 ID:oQ17mNM20
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1575544410/

【バンドリ】 スタッフ「コミュニケーション不足?」 安価 その3 @ 2019/12/05(木) 19:41:09.44 ID:amsgbOC40
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1575542469/

【安価・コンマ】ファンタジーな世界でアマゾネスに立ち向かえ @ 2019/12/05(木) 18:28:41.31 ID:uGqz5ncj0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1575538121/

京太郎「すこや姉さん、きちゃった」すこやん「京くん!」 @ 2019/12/05(木) 12:22:45.08 ID:QUmnMYoa0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1575516164/

ss速報総合雑談スレ @ 2019/12/05(木) 08:29:04.72 ID:+dd5iOjCO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1575502144/

楓「このステッキ、とっても素敵」 @ 2019/12/05(木) 04:47:06.11 ID:JobI8Wpk0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1575488825/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/26(土) 18:26:57.10 ID:4VMu2sJ5o
スレ立て乙っす!
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 18:47:28.42 ID:0Wfq2DaSo
■関連SSスレ
○【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300627984/

追加です
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 19:20:59.16 ID:geH58BxIO
>>1
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/26(土) 20:17:36.75 ID:v/3esz+F0
>>1
乙です
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/26(土) 21:30:34.88 ID:XGi0RBdl0
>>1乙だなぁ!
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/26(土) 22:35:14.21 ID:PLKw+aO4o
                            _____
                         ´: : : : : : : : : : : `丶、
                        / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
                   /⌒ : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
                      /: : /: :/_{/): : : : : : |: : : : : ヽ: : :、 : : ',
                  i : : { ´/ イ: : : : j : 人 : :\: : : : :ト、 : :i
                 jレ'´ / /-八: : :八/─\ {‐\| :│゙\|
                   ´    ノ─-\\{  /-─-、 │: |\_}}-―- 、
              _/      /〃⌒\\   / 〃⌒\ヽ | :│ : 八'⌒  \
           /く    _. イY {{ (⌒ヽ  }=={ {{ (⌒ヽ }=: jーy′  ̄ ̄ ̄
.         /⌒(    `<}   |人 \_/ /  \ \_/ /│: |^iハ
        /    \.   /   i| 介ー‐一 ´ '     ー一 ´ | : jノリ´\   >>1さん乙でござる
       /     / \_/    i :!///            /// /: 厶イ/: : : :ヽ
      /      /     ⌒〉   | :│ゝ.    ー ―一'   /: / _∨: : : : : :}
.     /  \__厶   -‐/   八: :|/ : : : 、         イ: :/'´: : : : : : : ノ
    /      /   /ノ    _  )、| : : : />、__ 厂 ̄/|/ : : :   -‐'´
   ノ     ′   广Y⌒く`ー{ : : : :⌒f∧ | │∧/_;斗-―<
.  {     { /   /     \人 : : : : /  } 」 _/  {/ -‐‐< \
   \   / ー―-   リ    }\\: :/ /「o (⌒7  /   \  ヽ
     `'<        /ー ─ ┼ハ/: ノ 〈.  |´  ∨          丶  、
       `  ー=<    \ / 厶イ  ∧_ノ   /  /         }
                ー=ニ二\ _,∨__/__[__厶-='¬        j八
                   ̄/ /  ノC厂 /  \       /  }
                     /  / ノ   (      \   /彡イ
                  / /  //   ノ      ヽ/_ノ-‐{
                  { {  /    /        /´   |  |
                   V八 /              /      |
                        \∨_∠     _ イ       j  /

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/27(日) 00:07:40.96 ID:v/6AOpUB0
>>1
今スレも多くの良SSが投下されることを願います
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 02:50:33.62 ID:dTxPAG2DO
>>1


>>7
ぶち殺されるかと思ったらまったくそんな事はなかったでゴザル

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 11:29:41.57 ID:J3bR2qESO
さて,最初のSSは誰のかな?
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 12:36:24.41 ID:+qPxcHMco
黒猫派が力を溜める期間だからあと2.3日は投下ないかもしれんな
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 13:05:06.17 ID:kTMAhB12o
ならその2、3日の間は幼女天下だな
13 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:15:28.52 ID:4SRjOM3Xo
まさか前回の話に続きがあるなんて……知らなかった。
桜の季節ということもあり、わけの分からん題名でスンマセン。
これ以上この話は続きません。

題名:『桜が咲く頃に』

投下:16時30分から 投下します(19レス)
カプ:京介×あやせ
展開:いつもの展開
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 16:25:22.64 ID:nwELR0n1o
ピザ頼んだからそれを食べながら見るわ
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/27(日) 16:27:49.97 ID:CNUtWNBAO
>>13
>まさか前回の話に続きがあるなんて……知らなかった。

これどういう意味?
16 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:30:31.97 ID:4SRjOM3Xo

悪夢のような今年のホワイトデーから数日後の土曜日。
俺とあやせは、地元の千葉中央駅からも程近い、県民の森公園に来ていた。

「お兄さん、ここどこなんですか? ディズニーシーじゃなかったんですか?」
「だから昨日も電話で謝ったじゃねえか。
 ディズニーシーは、また別の機会にしようってことでさぁ、な。
 それに、今年は桜の開花も早いみてえだから、今回はこれで勘弁してくれよ」

不機嫌極まりないあやせに、俺は朝っぱらから両手を合わせて謝る羽目になった。
そもそも、何でこの俺があやせをディズニーシーへご招待しなきゃいけねえんだよ。
言っちゃ悪いけど、ホワイトデーにお返しを用意出来なかったくらいでさぁ。
バレンタインのお返しは通常三倍返しとか世間じゃ勝手なこと言ってるけど、
ディズニーシーつったら、一体何倍返しになるんですかっての。

俺だって、何も金が惜しいわけじゃねえよ。
せっかくのあやせイベントを、そう簡単に無駄にしたくはなかったしな。
僅かばかりの預金も含めて、俺の有り金を全部掻き集めても足んなくて、
リビングの絨毯の下とかテレビの後ろとか、金が落ちてないか家中捜したんだけど無駄だった。
日払いで金がもらえるアルバイトも、今みたいな不況じゃ早々見つかんなくてな。
最後の手段として、恥を忍んでお袋に小遣いの前借りを頼んだら、あっさり拒否されちまった。

「あやせとの約束を守れなかったのは俺だから、何言われても仕方ねえと思ってるよ。
 でも、これだけは言わせてくれ。あやせの持ってる手提げ袋って、中に何が入ってるんだ?」
「……お弁当と、レジャーシートですけど……それが何か」
「おまえはディズニーシーで、レジャーシート広げて弁当食うつもりだったのかよっ」
「お兄さんこそ何を言ってるんですか。あそこは、お弁当とか持ち込み禁止なんですよ」

いつもながらの俺とあやせの噛み合わない会話から、本日のあやせイベントは開幕した。
公園へ来てからまだ五分と経ってねえけど、俺は心の中で既に帰り支度を始めていた。
17 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:31:04.49 ID:4SRjOM3Xo

今年は暖冬の影響からか、桜の開花も例年に比べてかなり早かった。
そうは言っても、まだ朝夕冷え込むこの時期では、ここの桜も三分咲きがいいところだ。
この様子じゃ満開になるのは、月末近くか四月早々だろう。
それでも今日は朝から天候にも恵まれ、春の穏やか日差しに誘われたのか、
家族連れやカップルが何組も見受けられた。

「あやせ、すまねえなぁ。思ってたほど咲いてねえなぁ」
「そうですねぇ。……三分咲き、といったところですか。
 でも、全く咲いてないわけでもないですし、満開になったらまた来ればいいじゃないですか」
「また来るって、あやせと一緒に来るのか?」
「当然じゃないですか。……あと、ディズニーシーの方もお忘れなく」
「……何だか俺、あやせに借りが溜まってゆくみてえだな」
「そう思うのならお兄さん、少しでも早めに返してくださいね」

会話の内容はともかく、あやせの顔が何となく微笑んでいるようにも見えた。
桜の花は期待したほど咲いてはいなかったが、どうやら機嫌は直してくれたらしい。
俺の心の帰り支度も、しばらくは取りやめってことだろうな。

俺たちがいる公園は、県民の憩いの場所でもあり、千葉県民なら知らない者はいないだろう。
地元じゃちょっとした桜の名所で、俺のお気に入りの場所でもある。
あやせだって子供の頃から何度も来たことがあるだろうに、
さっきは『ここどこなんですか?』なんて、わざとらしく言いやがって。
それでも弁当まで用意して来てくれたんだから、満更いやだったわけでもあるまい。

「あやせ、せっかく来たんだから、桜でも眺めながら少し歩くか?」
「そうですね。何のアトラクションもないですし、歩くくらいしかやることないですものね。
 ……それに、そうでもしてもらわないと、お兄さんのお腹が減らないじゃないですか」

あやせのヤツ、ボソボソと呟くように言うもんだから、後の方はよく聞き取れなかったけど、
どうやら俺は有難いことに、今日はあやせの手作り弁当にありつけるようだった。
18 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:31:45.68 ID:4SRjOM3Xo

あやせから弁当だのレジャーシートだのが入った手提げ袋を受け取り、
俺たちは桜並木の続く遊歩道をのんびりとした歩調で歩いた。
桜の花は三分咲きでも、園内では今を盛りと、色取り取りの花が咲き乱れている。

「わぁー、きれいなお花。……何ていう花だろう、凄く小さくて可愛いですよね」

遠目から見ても鮮やかな濃いピンク色や、真っ白い色をしたその小さな花々は、
遊歩道からかなり外れたところで地面を覆い尽くすように群生していた。
桜を見ていただけでは、気付かずに通り過ぎてしまってもおかしくはない。
あやせは小さく感嘆の声を漏らしながら、その花の咲くところへと駆け寄った。
仕方なく俺もあやせの後を追った。

「とってもきれいで可愛いんですけど、何という花か、お兄さん知っていますか?」
「芝桜っていうんだよ、それ」
「……随分あっさりと言うんですね。何で知っているんですか?
 以前から不思議だったんですが、お兄さんって、どうでもいい事をよく知っていますよね」
「ほっとけっ!」

花の名前に少しくらい詳しいからって、あやせのヤツ、さも不思議そうな顔しやがって。
人間なんだから取り柄のひとつくらいあったっていいじゃねえか。
お袋はガーデニングが趣味で、庭なんか小さいくせにやたらと花を植えるもんだから、
俺も手伝わされる内にいつのまにか詳しくなっちまっただけだよ。

「お兄さん、もしかして“お華”とかやってないですよね?」
「あやせの言う“お華”ってのは、いわゆる華道ってヤツか? 俺がやってるわけねえだろっ!」

俺が畳の上でかしこまって花を活けてるなんて、想像もしたくないわっ。
一体どういう神経をしていたら、そういう発想が出て来るんだか。
もしそんなことになったら、桐乃のオタク趣味なんてまともに見えるぜ。
19 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:32:20.15 ID:4SRjOM3Xo

俺とあやせは遊歩道を並んで歩きながら、あやせが指差した花の名前を俺が答えるといった、
どうでもいいような会話を延々と続けていた。

「このピンク色の花は?」
「それは、かたくりの花だよ」
「……もしかしたら、片栗粉ってこの花から作るんですか?」
「昔はそうだったらしい。でも、今はじゃがいもから作ってんだろ」

あやせは俺が花の名前を答えると、その都度感心したり、答えに詰まると嬉々として喜んだ。
ついにはタンポポまで指差して、俺に名前を聞いてくる。
タンポポを知らん人間なんていねえだろと思いいつつ、それでも答えてやった。

「あやせ、その花がタンポポ以外の何に見える?」
「あっ、そうですよね。……でも、花の名前に詳しい男の人って、なんか素敵ですよね。
 きっと、将来何かの役に立ちますよ」
「なわけねえだろ。おまえ、俺のことからかってんだろ」

俺があやせの頭を軽くコツンと叩くと、あやせは肩をすくめて舌を出した。
花の名前に少しくらい詳しくたって、将来役に立つことは多分ねえだろうけど、
あやせの機嫌を直すことには役立ったようだ。

その後も俺たちが、学校のことなど他愛もない会話を続けながら遊歩道を歩いていると、
前から保育園児たちが二人ずつ手を繋ぎながら、列を作って歩いて来た。
保育士らしき女性が二人、園児の列を前後に挟むようにして引率している。
園児の列が俺たちの横を通り過ぎる時、園児の一人があやせに向かって手を振った。
あやせは満面の笑顔で、手を振ってそれに応える。
園児たちが全員通り過ぎてしまってから、俺はあやせに声を掛けた。

「あやせって、見るからに小さい子供が好きみたいだもんな。
 やっぱ、将来は保育士とか幼稚園の先生が夢か?」
「うーん、まだそこまでは考えてないんですが、でも、子供は大好きですよ。
 お兄さんは、将来結婚したら子供は何人くらい欲しいんですか?」

返答に詰まるような質問をしてくるんじゃねえよ。
20 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:33:09.09 ID:4SRjOM3Xo

時計を確認すると、そろそろ昼時分になっていた。
俺はどこか日当たりの良さそうな所で昼飯にしようかと思って、あやせに聞いた。

「そろそろ昼だけど、芝生広場にでも行くか? あそこなら日当たりも良いしよ」
「芝生広場でもいいですけど……わたしは、出来れば桜の木のある所の方がいいです」
「そっか、じゃあ、あそこがいいかな」

俺は飯を食う場所にこだわらない。
あやせの手作り弁当が食えるんなら、どこだっていいんだよ。
桜の木があって、そこそこに当たりも良い場所へ俺はあやせを案内した。
県民の森公園のことなら俺に聞けって程じゃねえけど、
それくらいのこと、遊歩道を歩いている時から目処は付けてあるさ。

「お兄さん、お弁当か何か買って来なくていいんですか?」
「……あやせ、その冗談は笑えねえよ」

デートでよく有りがちなのが、彼女が作ってくれた弁当がスッゲー不味いってやつ。
それなのに彼氏の方が無理して、さも美味そうに食うってのがあるだろ。
俺なんか彼女がいないもんだから、そんな話しを聞くとアホかって思うんだよ。
不味いモンは不味いって、はっきり言ってやりゃあいいじゃねえか。
その方が彼女だって、次こそは頑張ろうって思うんじゃねえのか。
21 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:34:02.46 ID:4SRjOM3Xo

あやせの作ってくれた弁当を食わせてもらうまでは、俺は確かにそう思っていた。
だけど、そんなくだらない考えは、あやせの弁当を食わせてもらってすべて消し飛んだ。
弁当が美味いとか、不味いとかそういう問題じゃない。
ただ、あやせの左手の親指と人差し指に巻かれた、小さな絆創膏を見ちまったら、俺。

「お兄さん? どうかしたんですか?」
「なっ、なんでもねえよ。……ちっと、目にゴミが入っちまったみてぇでよ」

こんなの卑怯じゃねえか。
俺はあやせに気付かれないように、手の甲で涙を拭った。
あやせがどんな想いで今日の弁当を作ってくれたのか、それを想像しちまったら……

「本当に大丈夫ですか?」
「……あ、ああ、大丈夫だ。……俺、ちょっとトイレ行って、目ぇ洗ってくっから」

もし、自分の彼女が作ってくれた弁当を貶すヤツがこの世にいるなら、
俺はそいつを片っ端から張り倒してやりたいね。
彼氏でもない俺なんかのために、あやせはきっと早起きして弁当を作ってくれたんだろう。
コンビニ弁当だって、俺は一言も文句なんか言わねえのによ。
次から次へと涙が溢れ出てきやがる。
あやせが心配して俺の背後から声を掛けてきたんだけど、
そんなあやせの声を無視して、俺は一気にトイレに向かって駆け出した。
22 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:34:37.77 ID:4SRjOM3Xo

トイレで顔を洗って急いで戻ると、相変わらずあやせは心配そうな顔で俺を見ていた。
まさか、あやせの作ってくれた弁当に感激して泣いたなんて、言えるわけねえもんな。
俺はあやせに少しでも感謝の気持ちを伝えたくて仕方がないのに、
それを素直に言葉に出来ないことがもどかしくて歯痒かった。

「お兄さん、ゴミ、取れましたか?」
「あ、ああ、水道で洗い流したら取れたよ。心配掛けてすまねえな」

俺がそう言うと、やっとあやせも安心したらしく、いつもの笑顔に戻った。
それにしても、女の子の作ってくれる弁当なんて凶器と一緒だろ。
男の胸に容赦なく突き刺さるじゃねえか。
誰だかは知らねえけど、あやせの彼氏になるヤツは最高だね。
見てくれよあやせを、この輝くような笑顔、この優しさ、そして絆創膏付き手作り弁当。
突然おかしくなる性格さえ克服出来れば、その野郎はきっと世界一の幸せモンさ。
あやせが指を怪我してまで、俺のために作ってくれた弁当だもんな。
感謝して食わなきゃ、罰が当たっちまうよ。

「あやせ、この厚焼き玉子、すっげー美味いじゃん。俺のお袋とは大違いだよ」
「そうですか? その厚焼き玉子は、お母さんに作ってもらいました」
「……そ、そうなんだ。……じゃ、じゃあ、このから揚げは?」
「から揚げは冷凍食品です。レンジでチンすればいいんですよ」
「これが冷凍食品? それなら、えーっと……このホウレンソウの――」
「ああ、それはホウレンソウとベーコンのソテーで、それもお母さんです」

弁当のオカズのタッパーには、他にカニクリームコロッケとブロッコリーのサラダが入っていた。
カニクリームコロッケは冷凍食品だろうし、ブロッコリーは多分茹でただけだよな。

「あやせ、気に障ったらごめんな。さっきから気になってたんだけど、その指の絆創膏は?」
「これですか? これは、リンゴでウサギさんを作ろうと思ったんですが、
 失敗してしまって、ちょっとだけ切ってしまったんです。うふっ」

何が『うふっ』だよっ、笑って誤魔化すんじゃねえよっ! 俺の涙を返してくれよ。
大体どこにウサギがいるんだよ。
リンゴの先っちょに赤い皮が少しだけ残ってるヤツがウサギだってか?
頭のてっぺんだけ赤い丹頂鶴かと思ってたぜ。どんだけ不器用なんだよ、あやせって。
23 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:35:24.30 ID:4SRjOM3Xo

結局のところ今日の弁当は、あやせのお袋さんが作ってくれたってわけか。
玉子焼きといい、ホウレンソウのソテーといい、あやせのお袋さんって料理上手なんだろうな。
あやせも、いつかはお袋さんのように料理上手になるんだろうけど……。
それにしても、あやせも黙っていれば分からねえのに。
いつだったかあやせが、嘘を吐かれるのが大嫌いだって言っていたのを俺は思い出した。
嘘を吐かれるのと同じくらい、自分も嘘を吐きたくないんだろう。

お袋さんに作ってもらったなんて臆面もなく言いながら、
もくもくと弁当のオニギリを食べるあやせを見ていて、俺はふと疑問が湧いた。
料理上手のあやせのお袋さんにしては、あやせが今食っているオニギリって、
何となく形が不恰好じゃねえか?
さっき俺が食った時は、全く気が付かなかった。って言うか、普通の三角形だった。
俺はあやせが自分用だと言っていた、まだラップに包まれたままのオニギリをひとつ掴むと、
そのラップを取り去った。

「あっ、お兄さんっ、そっ、それはダメなんです」
「………………」

ラップを取ったオニギリは、三角形と言うには少しだけ形が崩れていた。
あやせは慌てふためき、顔が見る間に赤くなってゆく。

「……そっちは……失敗作なんです」

いくら鈍感な俺だって、どういうことか理解出来るよ。
オニギリだけはあやせが作ったんだろ? 料理は苦手な筈なのに。
いくつもいくつもオニギリを握って、上手く握れたやつだけを俺にくれて、
自分は失敗したやつを食ってるんだろ。
あやせのヤツ、どんだけ俺を泣かせりゃ気が済むんだよ。
24 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:35:54.87 ID:4SRjOM3Xo
あやせは顔を真っ赤にしながら、俺の手からオニギリを取り上げようとした。
俺はそんなあやせには構わず、形の崩れたオニギリを口へ運んだ。
さっきまで俺が食っていた三角形のオニギリと、何ら味に変わりはないはずなのに……
何十倍も美味く感じるのは何でだろうな。

「お兄さん、無理しないでください。……そんな形が崩れたのなんて……」

胸がいっぱいで、噛んでも噛んでも、なかなか飲み込むことが出来なかった。
もう目にゴミが入ったなんて誤魔化すことは出来ない。
いや、少なくともあやせには、そんな誤魔化しはしたくねえ。

「なあ、あやせ……」
「何でしょうか? ……もしかして、まだ目にゴミが残ってるんじゃないんですか?」
「いや、そうじゃないんだ。……なあ、俺にあんまり気を使わないでくんねえか。
 あやせが作ってくれたもんなら、俺は何だって喜んで食わせてもらうから、な。
 それにさぁ、以前のあやせだったら、俺にこんなに気を使わなかったじゃねえか。
 気のせいかも知れんけど、何か最近のあやせって、おかしくねえか?」

最近俺があやせに感じていた疑問を、思わずストレートにぶつけちまった。
だってそうだろ。今日だって、先日のホワイトデーにバレンタインのお返しを
あやせに渡せなかった代わりっていうのが発端だったはずだ。
それも約束したディズニーシーなんかじゃなくて、地元の県民の森公園だってのに。
それにもかかわらず、あやせは俺のために弁当まで作って来てくれた。
俺は聞かずに置こうと思っていた最大の疑問を、ついに口にした。

「おまえ、俺のこと、好きなの?」
「好きですよ」

突然の俺の問い掛けにも、あやせはそれを予想していたかのように平然として答えた。
しばらく逡巡するかのように、膝の上で絡めた指先を弄んでいたあやせは、
俺の視線を避けて遠くを見つめながら訥々と話し始めた。
25 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:36:24.29 ID:4SRjOM3Xo

「初めてお兄さんと出会った時、優しそうな人で何となくいいなぁと思ったんです。
 その後しばらくして桐乃のことがあって、ほんの少しだけ嫌いになりかけました。
 わたしはまだ子供だから、あの時は、お兄さんの本心がわからなかったんです。
 でも、家に帰ってから、冷静になってゆっくりと考えてみたんです。
 もしお兄さんが、あのようないかがわしい――ごめんなさい。あのような趣味を
 本当に持っているのなら、わざわざ人前に晒すようなことをするだろうかって」

そこで一旦言葉を切ると、小さく溜息をついた。

「よく考えてみれば、答えは簡単に見つかるんですよね。
 ……桐乃を守るため、桐乃とわたしを仲直りさせるため、ですよね?」

俺がもし、あの時のことは今あやせが言った通りだと言えば、どうなる?
たしかに俺の汚名は返上出来るだろうな。
しかし、そうなると桐乃は――

「今あやせが言ったこと、俺は肯定することも否定することも出来ねえ。
 あやせなら、何でだか分かってくれるよな」
「はい、わかっています。
 このことは今日を限りに、わたしの胸の内にしまって置こうと思います。
 ……お兄さん……わたしの顔、きっと真っ赤ですよね。
 さっきから心臓がドキドキして、自分でもわかるくらいですから。
 でも、いつかお兄さんに伝えないと、きっと後悔する。……そう思っていたんです」

あの出来事から数日後、あやせからもらったメールで分かってはいた。
しかし、誤解されたままでも、別にいいと思っていたのもたしかだ。
今日だってこうして、傍からみればまるで恋人同士のように過ごしているわけで、
俺に取っちゃ何の実害もないわけだからな。
でも、あやせから直接聞くと、また違った思いが湧いてくる。
何事も曖昧にして置きたくはないというあやせの性格かとも思ったんだが、
長い沈黙の後、次にあやせが口を開いた時、それは急展開を迎えた。
26 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:36:59.79 ID:4SRjOM3Xo

「わたし男の人って、何だか苦手だったんです。
 同級生の男の子から、付き合ってくれって告白されたこともあります。
 でも、わたしが断ると、陰で悪口を言われたり、良くないうわさを流されたり……。
 ……学校ではわたし、男子からあまり好かれてないんです。
 モデルだからお高くとまってるとか、あいつは男より女に興味があるんだとか言われて。
 そんなことないのに、わたしにだって好きな人くらいいるのに……」

あやせは両手の拳を強く握り締め、悔しそうに下唇を噛み締めると、
頬を伝わる涙を隠そうともせず、想いの丈を一気に吐き出した。

「わたしは、お兄さんのことが好きです。大好きなんです」

何ら飾ることのないストレートな言葉で、あやせは俺に想いを伝えてきた。
あやせが俺のことをどう想っているかなんて、薄々気付いてはいた。
まさか今日この場で告白されるとは、夢にも思っていなかったけどな。
でも、残念だけど今の俺には、あやせの想いを受け止めることは出来ねえ。

「さっきの男子から嫌われてるかもって話だけどさぁ、あやせの思い過ごしだと思うぜ。
 あやせはグリム童話の『すっぱい葡萄』って話し、知ってるか?
 その話ってのは…………何だっけかな……」
「お兄さん、それを言うなら『きつねとぶどう』じゃないですか?
 それに、その話はグリム童話ではなくて、イソップ物語です」

手の甲で涙を拭いながら、あやせは俺を睨み付けながら言った。

「えっ!? そっ、そうだったっけ? まっ、まぁ何にしても……
 俺が言いたいのは、それはあやせに振られた男どもの“負け惜しみ”だってこと、
 決してあやせが嫌われているわけじゃねえよ」
27 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:37:34.06 ID:4SRjOM3Xo

「あやせ、ちょっと聞いてもいいか? もし言いたくなけりゃ、それでも構わんから」
「何でしょうか、聞きたいことって」
「あやせは初恋っていくつの時だった? さっきも言ったけど、答えなくてもいいけどさ」
「別に恥ずかしいことじゃありませんし……
 たしか、小学校四年生の時、同じクラスの男の子でしたけど、
 何となくカッコいいなぁと思いました。……でも、それがどうかしたんですか?」

俺にも同じような経験がある。
そのくらいの年齢になると、誰にも同じような想い出があるんじゃないだろうか。
ちょうど第二次性徴が始まる時期に、男子も女子もお互いに異性を意識し始めることが。
でも、それと初恋は違うものだと俺は思っていた。

「あやせがどう思うか分かんねえけど、それは初恋とはちょっとだけ違うと思うんだ。
 別にあやせの言ったことを否定する気はねえから、でも、気に障ったらごめんな」
「気に障ったりはしません。小学生の時の話ですから。
 ただ、お兄さんが何を言いたいのか、わたしには分からなくて……」
「そっか、俺の言い方が足りなかったよな。……怒らないで聞いてくれるか?」
「……はい」

いつの間にあやせと恋の話になっちまったのか、分かんねえけどな。
穏やかな春の日差しと、桜の木の下というシチュエーションが、俺をそんな気にさせた。
あやせに、いや、あやせだからこそ聞いて欲しいと思ったのかも知れない。
しかし、あやせとこの手の話をする時には、言葉は慎重に選らばねえとな。

「俺が思うに、あやせの初恋って、今なんじゃねえか?」
「……どういう意味ですか? 今って」
「上手く説明する自信がねえけど、とにかく怒らないで最後まで聞いてくれ、な」

あまりにも突拍子もないことを俺が言うもんだから、
当のあやせは、きょとんとした顔で俺を見つめるだけだった。
28 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:38:09.54 ID:4SRjOM3Xo

「今、あやせは恋をしているんじゃねえかな。
 それはあやせにとっての初恋なんだと思う。初めて誰かに恋をしたってことさ。
 なにも四六時中とは言わねえけど、そいつのことが頭に浮かぶんだろ?」

あやせは見る間に顔を真っ赤に染め、恥じらいと怒りの入り混じった表情で俺を睨みつけた。
俺がどう言えば、あやせがどう反応するかなんて、十分承知していたさ。
それでも敢えて言わざるを得なかった。

「だから怒るなって言ったろ、最後まで聞いてくれよ。
 でもな、初恋って、多くは一過性のもんなんだよ。
 俺に言わせれば、そういうのって、大抵時間と共に目が覚めちまうんだ」
「お兄さんは、わたしもいずれそうなると、そう言いたいんですか?」

あやせの質問に、肯定をする意味で俺は頷いた。
崩していた膝を抱え、その膝の上にあごを乗せながら、
あやせは俺の言った言葉の意味を考え込むようにして押し黙った。
俺はそんなあやせの仕草を楽しむように、彼女の横顔を見つめていた。
時間が止まってしまったような、でも、幸せなひと時だった。

「わたしも、お兄さんに聞いてもいいですか?」
「何を?」
「お兄さんは初恋って、いつでしたか?」
「俺か? 俺は中一の時かな。……ちなみに、相手は妹の桐乃だ」

俺は言うと同時に地面にひれ伏すと、頭を抱えてあやせからの攻撃に備えた。

「勘違いすんなよっ。別に桐乃とどうこうしたいなんて思っちゃいなかったさ。
 あやせだから、俺は正直に話すんだけどな。
 俺は、あいつが実の妹でなけりゃどんなにいいかと思ったこともあるよ。
 兄貴の俺が言うのもなんだけどさ、桐乃ってけっこう可愛いだろ?
 今じゃ性格はアレだけど、昔は素直で本当にいいやつだったんだよっ」
29 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:38:37.90 ID:4SRjOM3Xo

いつまで経ってもあやせからの攻撃が無いことを訝しく思い、
頭を抱え込んだまま、俺は恐る恐るあやせの様子を窺った。
不思議なことに、あやせは何が可笑しいのか穏やかに微笑みながら俺に言った。

「お兄さん、頭を上げてください。わたし、殴ったりしませんから。
 それに、お兄さんの気持ちも分からなくはないです。
 女のわたしから見ても、桐乃ってとっても可愛いですし。
 もし、桐乃がお兄さんの妹でなければ、好きになってもしょうがないと思います」

あやせから殴られる恐れがないと分かって、俺はゆっくりと姿勢を元に戻した。
以前ならとっくに殴られてもおかしくない情況だろうに、
今日のあやせはいつまでも顔に笑みを湛えて、俺を見つめている。
まさしく、ラブリーマイエンジェルあやせたん! ってところかな。
それに気を良くした俺は、思いもかけない方向へ話を持っていっちまった。

「俺は思うんだけどさ、初恋なんて、ちょっと風邪を引いたみたいなモンでな。
 気が付くといつの間にか直っちまってて、あの時の気持ちって一体何だったんだ、ってな」
「それじゃあ、お兄さんは、わたしがお兄さんを好きな気持ちもいづれは消えてしまうと?
 お兄さんのように、初恋の相手は実妹だって堂々と言い切れる人の言葉を、
 わたしは素直に受け止めていいのかどうかわかりませんけどね」

俺に対する痛烈な皮肉と、取れないこともない。
あやせの顔を見つめながら、今のあやせになら、俺は誰にも話したことのない、
妹を好きになった当時の心境を話してもいいかと思い始めていた。

「あやせ、少しだけ俺の話をしてもいいか?」

俺がどんな話をするのかも知らないくせに、あやせは優しく微笑んで小さく頷いた。
30 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:39:21.52 ID:4SRjOM3Xo

桐乃のことを異性として意識し始めたのは、俺が中学生になったばかりの頃だ。
クラスにも可愛い子や、中学生にしては美人な子も中にはいることはいた。
しかし、当時の俺にとって、妹の桐乃ほど心がときめくヤツはいなかった。
それまで兄貴が実の妹に恋するなんて、エロ小説かエロ漫画の世界だけだと思っていたから、
まさか、この俺がそうなるとは夢にも思わなくて、マジでその当時は悩んだもんさ。
“兄妹愛”なんて陳腐な言葉じゃ説明しきれねえし、そもそも“兄妹愛”って何だよって、
悩めば悩むほどドツボに嵌まる思いだった。

妹を好きになっちまった罪悪感と、俺自身に対する嫌悪感に苛まれる日々が続いた。
そんな苦しみから逃れるために俺が出した結論は、桐乃を“無視”することだった。
徹底的に無視することによって、俺の心の中から桐乃を追い払う。
それまで仲の良かった俺たち兄妹の間に溝が出来始めたのも、思い起こせばその頃だ。
桐乃も当初は急に冷たくなった俺に戸惑い、時には泣いて抗議したこともあったけどな。
しばらくする内にあいつも諦めたのか、俺に話し掛けて来ることもなくなった。

俺たちは同じ家で暮らし、同じ食卓に着きながらも、お互いいないものとして振舞った。
会話を交わすことなんて滅多になく、すればしたで桐乃は俺に必ず悪態を吐いた。
当然と言えば当然だよな。桐乃は何で自分が兄貴から無視されてんだか知らねえんだから。
そんな日常を何年も重ねる内に、俺自身なぜ桐乃を無視するようになったかさえ忘れちまった。

俺と桐乃の修復不能とも思えた冷え切った関係に、変化の切っ掛けを作ってくれたのが、
玄関先に落ちていた、たった一枚のDVDケース。
それが、俺と桐乃の錆び付いた歯車を再び噛み合わせ、最初はぎこちなくともゆっくりと、
そして日を追うごとに急速に回し始めた。
俺たちの間の溝を埋めるように。そして、失った時間を取り戻すように。

失った時間は大きかったが、決して無駄じゃなかった。
その間に俺は精神的にも成長し、桐乃を本来の妹として見ることが出来るようになった。
俺にとって、妹に恋したことは疚しいことでも恥ずかしいことでもない。
初めて恋をした女の子が、たまたま妹だったというだけだ。
それに、何といっても妹の親友のあやせに出会えたじゃねえか。
今、隣りで黙って俺の話を聞いてくれている、あやせに。
31 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:40:14.74 ID:4SRjOM3Xo

長い間、心の奥底に封印していたことをあやせに話し終えて、
俺は肩の荷を降ろしたような気分だった。
そんな俺をあやせは、慈愛に満ちた優しい眼差しで見つめてくれていた。

「お兄さん、何故その話をわたしにしてくれたんですか?」
「何でだろうな。……誰かに聞いて欲しかったのかもな。
 ……いや、そうじゃねえ。俺はあやせに聞いて欲しかったのかもな」
「お兄さんが正直に話してくれて、わたし、何だかとても嬉しいです」

俺が妹のことを好きだと人前で言ったのは、これで二度目だ。
よりにもよって、その二度ともがあやせだとはな。
兄貴として妹の桐乃には、誰よりも幸せになって欲しいと心から思う。
それと同じくらい、あやせにも幸せになって欲しいと願っている。

「ところでお兄さん、わたし、さっきからずっと気になっていることがあるんです」
「気になっていることって?」
「なんだか、話をはぐらかされているような気がして仕方がないんですが?」
「俺が話をはぐらかしたって、何が?」
「わたし、さっきお兄さんに好きだと、何気なく告白したつもりなんですが……。
 気のせいかも知れませんけど、わたしのこと何気なく振ったんじゃないんですか?」
「分かっちまったか?」
「………………」

あやせは一瞬固まったように見えたが、すぐに顔を真っ赤にしてオニギリを包んでいた
ラップだの空のペットボトルだのを俺に投げつけ、口を尖らせながら怒った。

「それって、あんまりじゃないですか?
 わたしがお兄さんを振るならともかく、何でわたしが振られなくちゃいけないんですか。
 信じられませんよ。大体お兄さんに、わたしを振る資格なんてあるんですか?
 今まで散々セクハラみたいなことをして置きながら、どうなんですか?」

手近に投げ付ける物がなくなったあやせは、弁当のおかずのタッパーに手を掛けた。
ラップや空のペットボトルくらいなら我慢できるけど、タッパーはねえよ。
当たり所が悪かったら、いくらなんでも俺だって泣いちまうよ。
32 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:40:44.91 ID:4SRjOM3Xo

あやせから告白されても、彼女を傷付けねえように上手くかわしたつもりだった。
それなのに、これじゃあ振り出しに戻っちまったじゃねえか。
何もあやせが言うように、俺があやせを振るつもりなんて微塵もねえって。
ただ、今の俺には、あやせの気持ちを受け止めてやるだけの自信がねえんだ。

「俺はあやせが思っているほど、大した男でもねえし、何の取り柄もねえだろ。
 強いてあげれば、花の名前に詳しいくらいじゃねえか」
「お兄さんはそういうことを言って、また、わたしをはぐらかすんですか?」
「はぐらかすつもりなんてねえって。さっき俺があやせに話した初恋の話、覚えてるだろ。
 ……俺は、そんなことであやせを失いたくねえんだよ」

初恋なんて風邪を引いたみたいなモンで、時が経てば想い出に変わっちまう。
俺はあやせを、いつの日か想い出の中だけに住む彼女にはしたくなかった。
あやせが俺の妹なら、仲違いしたとしても、桐乃の時のように何かの切っ掛けがあれば、
再び仲が良かった元の状態に戻れるかも知れん。
しかし恋人ってのは、お互いに好きだという気持ちだけで結ばれているもんだから、
一度その関係が壊れちまうと、元の他人同士よりも遠い存在になっちまうものなんだ。
恋人同士にはなれなくても、今日のように一緒に出掛けたり、時には怒られたりしながら、
いつまでもあやせには、俺の近いところにいてくれることを願った。

「お兄さん、もしかしたら、今も桐乃のことを……」
「それはねえよ。それだけはあやせに誓ってもいい」
「そうですか。……それを聞いて、少しだけ安心しました」
「もう俺のことなんか、嫌いになっちまったんじゃねえのか?」

あやせは抱えた自分の膝の上にあごを乗せると、可笑しそうに笑いながら俺に言った。

「そうですね。嫌いになったかもしれませんよ。
 ……取りあえず、今日わたしが、お兄さんのことを好きだと言ったことは忘れてください。
 わたしがお兄さんに振られたなんて、納得がいきませんから」

俺はあやせに投げ付けられたラップだの、空のペットボトルだのを片付けてから、
頭上に咲いている桜の木を見上げた。
33 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:41:11.13 ID:4SRjOM3Xo
 
「この公園の桜も、もうしばらく経たなきゃ見頃になんねえなぁ。
 ……本当に、今日はごめんな。もうちっと咲いててくれてもいいじゃんかなぁ」
「わたしは、このくらい咲いている方が好きですよ。
 だって、桜って満開になるとすぐに散ってしまうじゃないですか。
 桜が散る時って、とてもきれいなんですけど、何だか寂しい気もします」

桜の花が嫌いだという人を俺は知らない。
花が散って、道路に散乱している様子はあまり見られたもんじゃないが、
一気に花開いて潔く散る桜は、人々の心の琴線に触れる不思議な力を秘めている。

「お兄さん、桜の花を一輪だけ摘んでもらえますか?」

あやせがふと何かを思い付いたように、桜の木を見上げながら言った。
咲いているとは言っても、やっと今週辺りから咲き始めたばかりだ。
決して満開の桜から受けるような、誰をも魅了する華やかさなんて感じられない。
むしろ、弱々しく儚げな印象すら感じられた。

「まだ咲き始めたばっかだし、もう少し待てばもっときれいに咲くぜ」
「わたしも、今摘んでしまうのは可愛そうだって思っています。
 でも、わたしには、今この場に咲いている桜じゃないと意味がないんです」

何かを思い詰めたようなあやせに気圧されて俺は立ち上がると、
手近な枝から、ようやく咲き掛けた桜の花を摘み、あやせの手のひらに載せてやった。
もう一日待っていれば、翌朝には完全に開花したであろうその花びらを見て、
可愛そうなことをしちまったかなと、少しだけ後悔した。
でも、今のあやせには満開の桜よりも、この方が似合っているのかも知れん。

「わたし、この桜の花で押し花を作ろうと思います。
 押し花にすれば、ずっとこのまま、いつまでも変わらない姿で残せるから。
 ……お兄さんは初恋なんて、いつか想い出に変わってしまうって言いますけど、
 この桜の花を見るたびに、わたしは今日のことを想い出します」
34 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/03/27(日) 16:41:49.51 ID:4SRjOM3Xo

手のひらに載せた一輪の桜をじっと見つめていたあやせは、
ゆっくりと俺に視線を向けると、俺の眼をしっかりと見据えてから言った。

「来年の桜が咲く頃に、今日お兄さんに摘んでもらったこの桜の花を見た時……
 わたしのお兄さんへの想いが、今と変わらずたしかなものなら……」
「あやせが俺に、改めて告白するって言うのか?」
「……違いますよ。来年の春になれば、わたしは高校生ですよ。
 今よりも、もっといい女になっているに決まっているじゃないですか。
 だから、その時はお兄さんが、わたしに告白をするんです」

あやせの自信に満ち溢れ、そして勝ち誇ったような笑顔を見て、俺は頭を掻いた。
その言い方からすっと、俺があやせに告白することが既定路線ってことか。
俺もあやせもお互いの顔を見合わせて、笑うしかなかったよ。

「じゃあ、その時俺があやせに告白したら、あやせは俺と付き合ってくれるってか?」
「いいえ、一度目は丁重にお断りします。……今日わたしに、意地悪をしたお返しに。
 だからお兄さん、もう一度わたしに告白してください。
 そうしてくれたら、わたしも真剣に考えてあげてもいいですよ」

今こうして俺の顔を見ながら無邪気に笑い掛けてくれるあやせも、
一年後には遥かに美人で可愛くなっているに違いねえ。
その時まで、あやせが俺への想いを持ち続けてくれるかは、誰にも分からねえけどな。

「お兄さん、桜が満開になったら、また連れて来てもらいますから」

それが当然とでも言いたげなあやせを見ていたら、思わず吹き出しちまった。
だけど、あやせは無邪気に笑ってっけど知らねえだろ?
俺の手のひらの中にも、一輪の桜がそっと握られていることを。


(完)
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 16:58:58.81 ID:qtLUR+lyo
乙。ヤンでないあやせは天使だなぁ…
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/27(日) 17:14:48.94 ID:CNUtWNBAO
乙です
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/03/27(日) 17:17:28.41 ID:BKZhDtp+o
乙。なんと綺麗なあやせ

あやせの弁当の中身が、昔おかんに作ってもらってた弁当とそっくりでワロタ
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 18:20:45.87 ID:FTmE1b9DO
なんだか切ないぜ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 18:45:31.77 ID:DTOw2s7/o
乙です

ヤンでるか、暴走してることが多いけど
ノーマルならあやせたんマジ天使だな



>>37
お前のカーチャン実はあやせじゃね?
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/03/27(日) 19:01:45.51 ID:KMeItoUx0
乙!
相変わらず素晴らしい

『すっぱい葡萄』には笑ったww
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/27(日) 19:34:28.34 ID:+zESCf1AO
乙!

これこそまさしくラブリーマイエンジェルあやせたんだな
いや暴走気味のあやせたんもかわいいけどね
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/27(日) 20:15:00.43 ID:Vnul95tAo
個人的には、これ俺妹である必要なくね?と思ってしまった
あやせらしいあやせも読みたいな
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 20:21:38.27 ID:kTMAhB12o

なかなか読みごたえのある大作だった
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/27(日) 20:51:38.99 ID:lKJLs5aQo
乙。
文章上手いだけに、誤字脱字が気になった。
そういや花見なんて相当してないなぁ……。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/27(日) 21:10:37.21 ID:AfhQTaQAO
>>13
乙!
なんとなく、やるドラ思い出してしまった…
あと心当たりがあるかないかわからないけど、題材や描写が普遍的なぶんインスピレーション刺激されてgood

ほうれん草のソテーは定番と思われ。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagee]:2011/03/27(日) 21:24:42.61 ID:bR35bxe/0
>>34
乙。しかし、ネズミの王国はあとでエージェントが怖いぞw

>>45
俺も、ダブルキャスト(だったか?)を思い出したわ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/27(日) 21:41:21.58 ID:VzcOF4WKo
乙だぜぃ!

何このあやせ、俺の知ってるあやせより可愛いんですけど。
そしてこのキュンキュンする胸の高鳴り、どうしてくれる。

一番槍は持っていかれたが、二番手は私が頂く!

投下:22時から
カプ:京介×加奈子
展開:マネージャー奮闘記 Part2
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/27(日) 21:47:25.38 ID:F90hhYFg0
>>34
乙です!
相変わらず文上手いなぁ…

>>47
かなかなちゃんの続きだ!期待してます!
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/27(日) 21:58:59.24 ID:AfhQTaQAO
前々から思ってたけど、(福井県)はやっ!?
三倍ってレベルじゃない…
これはもう半裸待機しないと

(北海道)といい、(兵庫県)といい、賑わってきて何より。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/27(日) 22:01:10.51 ID:VzcOF4WKo
刻限となったな。
今回はちょっと長めだ、引き締めろよフラッグファイター。

以下、投下。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:01:59.41 ID:VzcOF4WKo
春と訪れと共に始まった俺のマネージャー生活も、早いもので五ヶ月が経った。
俺の担当である来栖加奈子は順調に知名度を上げ、タレントとして着実に成果を上げている。
そう、何もかも順風満帆。誰もがそう思っていた。……俺を除いては。

「……またか」

俺はたった今まで読んでいた紙束をデスクの上に投げ捨て、天井を仰いで目頭を揉んだ。
ここ最近、同じような内容の文書ばかり読んでいたため、正直辟易している。
デスクの上にブチ撒けられたものもそうだ。その内容は――――。

「ブリジットとセットでオファー……これで何件目だ?」

二ヶ月前に出演したバラエティ番組をきっかけに、加奈子たちへの取材や出演オファーが激増した。
芸能事務所としては、そのことについて何かを言うつもりは無い。
だが、俺は不安だった。
一時の人気で、加奈子たちが食い潰されるかもしれない。
仮に人気が続いても、ずっとブリジットとセットで扱われるかもしれない。
それでは駄目なのだ。それでは、加奈子の夢を「本当の形」で実現できないと思った。
加奈子は努力してきた。アイドルになるために、何年も努力し続けてきたんだ。それが無駄に終わるなんて、俺には耐えられない。
努力しても、才能があっても、それが必ずしも報われるなどという保証は無い。そんなことはわかってる。
高校時代、俺はそういう連中を何人か見た。
黒猫やフェイトさんにとっての桐乃、桐乃にとってのリアがそうだった。
だからって、このまま手をこまねいているだけなんて耐えられない。
俺は加奈子のマネージャーなんだ。アイツの才能を、努力を生かしてやらなければならない場所に立っているんだ。
なんとか、なんとかしてやりたい。……けど、

「俺に……何ができるんだろう……」

有効な打開策は思いつかなかった。まったく、自分の無能さに嫌気が差すぜ。

「一息、入れるか……」

淹れてから全く手をつけていなかったため、コーヒーはすでに冷めてしまっている。俺はコーヒーカップを手に取り、喫煙所へ向かった。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:02:45.75 ID:VzcOF4WKo
ーーーーーーーーーーーー


ファッション誌のモデルほど、季節感が狂う職業は無い。俺はそう思っている。
まだ夏も終わりきっていないというのに、冬物の衣装を纏って、撮影を行うんだからな。
今日の仕事はそういうものだ。スタジオで、秋に出版する雑誌に載せる写真の撮影。衣装は冬物だ。
世間でいくら猛暑だの暖冬だのと声高に叫ぼうが、日本から四季が消えてしまわない限り、この不可思議現象は無くならないだろう。
カメラを見つめる彼女達の姿は華々しく、慣れていない者にとっては眩しく見える。
けれど、俺の目はそこには向かず、心はここに無く、思考は別のことに使われていた。

「高坂さん?」
「うおっ!?」

突然掛けられた声に、思わず大きな声をあげてしまった。
目の前には美しく着飾った加奈子の姿があり、俺を驚いた表情で見上げていた。

「す、すみません!大きな声を出して……」
「い、いえ。私の方こそごめんなさい……」

お互いに謝り、そのまま沈黙。……むぅ、気まずい。
と、とりあえず!この空気を何とかしなければ!

「「あの……」」

ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ……。気まずさアップ!
もうやめて!俺のライフは0よ!

「あの、どうかしましたか……?」

気まずさの海からなんとか生還し、俺は言葉を発した。

「いえ、休憩に入ったんで声を掛けただけなんですが……」
「あ!す、すみません!ボーっとしちゃってて!」

休憩に入ったことすら気付かないとは、業務中に何をやってるんだろうね。
俺は慌てて、先程コンビニに行って買ってきたものを取り出そうと、袋の中をまさぐった。
あれ?無い、無いッ、無いッッ!いつも買っている加奈子のお気に入りが入ってないッ!
いくら中を検めても、いつものカフェスイーツは見つからなかった。代わりに俺のお気に入りである、チルドカップに入ったエスプレッソが二つ。
まさか……買い忘れた、のか?本当に、俺は何をやっているんだ……。

「すみません!いつもの買い忘れたんで、急いで買ってきます!」
「あ、待って!」

スタジオを出ようと走り出した俺の腕を、加奈子は少し強引に掴まえた。

「そんなに気にしなくても大丈夫ですから……」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:03:22.37 ID:VzcOF4WKo




俺たちは今、スタジオの脇に設けられた休憩スペースで、並んでエスプレッソを飲んでいる。
撮影の方は、どうやら機材関係でトラブルがあったらしく、今はスタッフが全力で復旧作業中。その間、モデルたちは長めの休憩となった。

「本当にすみませんでした」
「あの、そんなに謝らないでください。それにコレ、美味しいですよ。私もこういうの、色々試してみようかなぁ」

仕事中に別のことを考えて、いつも出来ていることでミスをして、その上慰められている。
はは……、本当に、今日の俺はダメダメだなぁ……。ここまで来ると、自己嫌悪を通り越して笑いが出てくるぜ。
今日はいつもより苦く感じるなぁ、このエスプレッソ。

「高坂さん、どうかされたんですか?」
「へ?」
「その、元気が無さそうに見えたので。私の思い違いなら良いんですけど……」

どうやら、顔や態度に出てしまっていたらしい。いや、女の勘というヤツか?
どちらにせよ、加奈子に話すべきことではない。ここは誤魔化さないと……。

「ええ。プライベートなことで少し悩んでまして。すみません、変に心配させてしまったみたいですね」
「そうですか。私で良ければ、相談に乗りますけど……」
「大丈夫です。大したことじゃないですから」

心配そうに見つめる加奈子に、俺は笑顔で答えた。
嘘を吐いたことは心苦しいが、これは俺の仕事なのだ。俺が四苦八苦する場面であり、彼女に要らぬ心配をかけてはいけない。
ごめんな、加奈子。
俺は心の中で、加奈子に詫びた。

「お待たせしましたー!五分後に撮影を再開しますので、モデルの皆さんは準備をお願いしまーす!」

機材のトラブルが解決したらしく、スタッフがスタジオ全体に聞こえるよう声を張り上げた。
俺はエスプレッソを飲み干し、席を立つ。

「高坂さん」

そこで、俺の背後から加奈子が声を掛けてきたので、首だけ動かして振り向いた。

「あの、あまり無理をしないでくださいね」

加奈子は、未だに心配そうな表情で俺を見ていた。まるで、俺の悩みを知っているかのようだ。
つくづく思う。女というのは、どうして誰も彼も勘がいいのだろうか、と。

「ありがとうございます。でも、大丈夫ですから」

けれど、今の俺に言えるのはそれだけだった。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:03:52.48 ID:VzcOF4WKo
ーーーーーーーーーーーー


それから俺は、時間の合間を見つけてはテレビ局の人間を中心に直接会い、加奈子やブリジットの単独出演について交渉した。
どうしても会いに行けない時は、電話やメールでその旨を伝えた。
営業の人間や、事務所内で対外交渉を行う後輩たちにも協力を仰いだ。もちろん、加奈子には秘密にするよう言い聞かせてな。
休日も潰し、残業時間も増やして、俺は色んな人間と交渉を繰り返した。その結果は……、

「はい。はい。そうですか。いえ、無理を言って申し訳ありませんでした。はい。今後とも、よろしくお願いいたします」

とあるテレビ局の番組制作ディレクターとの電話を終え、俺は大きく息を吐いた。

「また駄目だったな……」

衰退の激しいこの業界は、勢いのあるモノについては積極的に利用する。これは、いつの時代でも同じことだった。
この場合、「加奈子とブリジット」という二人が当てはまるが、個人についてはそうではないようだ。
商業価値の低い、もしくは無いモノに関しては、その扱いは手厳しい。道理である。
出演を断られたのは、先の電話を含めると、もう三十件を超えていた。これだけ断られると、妹様の無理を散々叶えてきた俺も気が滅入ってくる。
首を回し、凝り固まった筋肉をほぐす。首の骨がゴキゴキと鳴った。

「無理があるのか……?加奈子には価値が無いとでも言うのかよ、ちくしょう……」

もちろん、そんなことは無い事などわかっている。
加奈子は女性に人気のあるファッション雑誌で、モデルを務めている娘だ。彼女単体の人気も、その雑誌の読者である女性からは当然高い。
けど、それはテレビ局の人間には通じなかった。
このままブリジットと共に知名度を上げていけば、二人でアイドルデビューも出来るかもしれない。
だがそれは、本当に加奈子の望んだ結果なのだろうか?
時流に乗り、一時の金儲けに付き合わされ、価値が無くなればそれまで。それを前提でやる仕事など、俺は彼女にさせたくなかった。
実力もあり、努力もしてきた彼女に、そんな刹那的なことはさせたくなかった。
だが、現実はいつでも厳しいものだ。俺のような凡庸極まりない人間には、時代の流れを変えることなどできはしない。

「まだだ。諦めるには、まだ早い……」

俺は自身を鼓舞する意味も込めて、そう口にした。
スクリーンセーバーが起動しているディスプレイを切り替え、息抜きがてらネットの海に潜る。
一応言っておくが、サボってるわけじゃないぞ。これも立派な仕事だ。最新のトレンドを把握するためのな。
ニュースサイトを巡回していると、一つの記事が目に入った。俺はその記事をクリックし、詳細を読み始めた。

「これは……」

それは、俺にとって天啓だったのかも知れない。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:04:20.64 ID:VzcOF4WKo
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「オーディション……ですか?」

翌日、俺は事務所の会議室を借りて、加奈子と一対一の打ち合わせを行った。
前日に作った資料を加奈子に手渡し、内容を説明する。

「ええ。アマチュアの人たちを対象としたものが多いですが、芸能プロや事務所に所属している人でも受けられるものって、結構あるんですよ」

そう、俺が考えた策は「オーディションを受ける」ことだった。
芸能プロ主催のタレントオーディションなどは、一般人でも知るところだろう。
今回加奈子に出場を提案したのは、すでに芸暦のある人間でも受けられる、歌手のオーディションだ。
合格すれば、著名な音楽プロデューサーの支援を受けてCDデビューも果たせる。加奈子の夢である「アイドル」の第一歩を踏み出せる可能性があった。

「うまくいけばCDデビューも出来ますし、審査員に実力を示せば、そこからアイドル活動を始めるきっかけにもなると思いまして……」

俺の説明を聞きながら、加奈子は資料に目を通していた。
オーディションへの出場は、本人の了解が無いと出来ないことだが……。感触は上々と言えよう。

「ここで来栖さんに新たな価値を付加すれば、今後の活動にもプラスになります。どうですか?」
「そう、ですね。良いと思います。元々、私はアイドルを目指していましたから……」

資料に目を通し終えた加奈子は、俺の顔を真っ直ぐ見つめてきた。

「最近お忙しそうだったのは、これを調べるために?」
「そうですね。来栖さんの実力は理解してますし、これを機に単独でのテレビ出演も出来るようになるのではと思いまして……」
「あの……。それ、どういう意味ですか?」
「え?」

加奈子の質問の意味が理解できず、俺は間抜けな声を上げてしまった。
その加奈子はと言うと、席を立ち、俺を見つめていた。だが、その瞳の色は冷たい。

「オーディションのお話はわかりました。けれど、単独出演というのは、どういう意図を持っておっしゃったんですか?」
「いや……あの……」
「はっきり言いなさいっ!!」
「はいぃぃぃっ!」

加奈子の剣幕に圧され、俺は今回の話を持ってきた経緯を全て話した。三つも年下の女の子に負ける俺、マジカッコワルイ。
加奈子はその話を黙って聞き、全てを話し終えた後、ふぅ、と息を吐いた。

「高坂さんが元気が無かった理由って、こういうことだったんですね」
「黙っていたことは謝ります。ですが、これは俺の仕事です。来栖さんにお話して、無用な心配をかけるのは……」

パァンッ!

会議室に、乾いた音が響いた。
左の頬が熱い。口の中に鉄の味が広がる。
唇を指でなぞると、ヌルッとした赤い液体が付着した。そこで俺は、加奈子に頬を叩かれたのだと理解した。

「……けんな……」

左頬を押さえ、加奈子の顔を見た。
彼女は歯を食いしばり、憤怒の形相をしていた。こんなに怒っている加奈子の姿見たのは初めてだ。
そして目には、大粒の涙が浮かんでいた。

「っざけんなっ!なにが心配かけたくねえだっ!加奈子のこと馬鹿にすんのも大概にしろっ!!」

加奈子は昔の口調で、声を荒げて、俺を罵倒した。
俺はただ黙って、それを見ていることしか出来なかった。

「糞マネ、言ってたよな。加奈子たちはパートナーだってよ。そのパートナーに黙って、一人で勝手に動いてよぉ。それで上手くいって、加奈子が喜ぶとでも思ったのかよ?」
「お、俺は……」
「っせえ、しゃべんな!」

目から涙が溢れ、メイクが流れ落ちる。
美しく飾った顔のことなど気にせず、加奈子は続けた。

「パートナーってのは、お互いに信頼してないといけないんじゃねえのかよ。それとも何か?そう思ってたのは加奈子だけで、お前は加奈子のこと信頼してなかったのかよ!」
「違う!俺は……!」
「違わねえだろうがっ!加奈子に隠れてコソコソして、心配しても気にも留めねえ!これで『信頼してる』なんて言われても、信じられるわきゃねえだろうがっ!!」

加奈子はハンカチを取り出し、涙を拭いた。
白いハンカチは、マスケラごと目元を拭ってしまったので、黒く汚れてしまった。

「……少し、外します」

加奈子はそれだけ告げると、顔を隠しながら会議室を出て行った。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:04:52.99 ID:VzcOF4WKo



十数分後、加奈子は会議室に戻ってきた。
崩れてしまったメイクは直され、可愛らしい顔立ちを大人っぽく演出している。ただ、目は赤いままだった。

「すみません。急に大きな声を出して……」
「いえ、俺も配慮が足りませんでした。申し訳ありません」
「高坂さんが私のことを思って、いろいろしてくれたのはわかってます。それなのに、私……」

お互いに自分の非を詫び、黙り込んでしまった。
こんなにつらい沈黙は、親父と向き合ったとき以来だ。この空気をなんとかしたいが、今の俺が何を言っても、すべて嘘に聞こえるような気がした。
五秒……十秒……。実際にはそれほど経っていないのだろうが、俺にはずいぶんと長く感じられた。
その沈黙を破ったのは、俯いたままこちらを見ない加奈子だった。

「私、受けようと思います。オーディション」
「え?」

意外だった。断られると思っていた。
加奈子のことを無視して進めた事だ。彼女が拒否しても、おかしくないと思っていた。
加奈子は顔を上げ、俺の顔をまっすぐ見つめる。瞳に怒りの色は無く、穏やかな笑顔を浮かべていた。

「アイドルは私の夢です。そのための努力もしてきました。だから、受けようと思います。いえ、受けたいんです」
「そう……ですか」
「だから、高坂さん……」

そこで加奈子は、歯を見せて笑った。普段はあまり見せない、イヒヒと笑うあの顔だ。

「サポート、しっかり頼むぜ」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:05:23.05 ID:VzcOF4WKo
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俺は今、とある会場の喫煙スペースで煙草を吹かしている。
あれから俺たちは、オーディションに向けて動き出した。日程を調整し、普段の芸能活動に支障を来たさないようにした。
ボイトレのトレーナーに頼み込み、送付用の歌唱データを録音した。
一次審査を通過し、全国七箇所で行われた予選大会を勝ち抜き、そして今日、最終審査を兼ねた決勝大会の日を迎えた。
6,000組を超える応募者の中から勝ち抜いた10組が、6人の審査員と2,500人の観客が身守る中、今日この場で雌雄を決する。
俺に出来ることはもう無い。あとは加奈子が、決勝ステージで自分の力をフルに発揮してくれることを祈るばかりだ。
そろそろ決勝が行われるホールに戻ろうとした矢先、胸ポケットに仕舞っているケータイが震えた。
ディスプレイには『メール着信 1件』と表示されていた。送信者は、今はファイナリスト用の控え室にいるはずの加奈子だ。

『今すぐ、控え室前に来てください』

本文にはそれだけしか書かれていなかった。
何かあったのだろうか?俺はケータイを仕舞うと、急いで加奈子のところに向かった。




「すみません。突然、お呼び立てして」
「いえ。それより、なにかあったんですか?」

スタッフに無理を言って裏に通してもらい、俺は控え室前までやってきた。
加奈子はすでにそこにいて、壁に寄りかかって俺を待っていた。

「高坂さん。あの、少しの間だけ……目を瞑っててくれませんか?」
「はい?」

なにか火急の用があるのかと思いきや、いきなりこれである。はっきり言おう。ワケわからん。
加奈子はそれだけ言うと、俯いてしまった。なにやらもじもじしているが、緊張しているのだろうか。意図はわからんが、俺は素直に従った。

「これでいいですか?」
「はい。まだ開けちゃ駄目ですよ。ちゃんと目を瞑っててくださいね」

俺の視界は、未だ暗闇の中だ。いや、何かチカチカしてるな。ああ、瞼の裏かコレ。
さて、ここからどうするのだろうか。そんなことを考えていると、甘いコロンの香りと、温かく柔らかな感触を感じた。

「あの、来栖さん?」
「まだ!まだ開けちゃ駄目です!」

加奈子が大きな声で俺の動きを制す。
俺の胸から、温かさが伝わってくる。柔らかな感触は、俺の脇を伝い、背中にも感じられた。
甘い香りと心地よい圧迫感。目を瞑っていても、加奈子が何をしているのかはわかった。
自分の心臓の音がはっきり聞こえた。うるさいくらいだ。
どのくらいそうしていただろう。おそらく十数秒ほどだ。衣が擦れる音と共に、俺の体を支配していた感触が消えた。

「も、もういいですよ」

目を開けると、加奈子が立っていた。さっきよりも、俺との距離が近い……気がする。
加奈子は頬を赤らめ、俺を見上げていた。お互い声が出せず、しばらく見つめ合う。
すると、加奈子がイヒヒと笑った。

「もう大丈夫。大丈夫です」

口調はいつもの丁寧なものだ。表情だけが昔のまま。
何のためにあんなことをしたのかはわからない。けど、加奈子の表情を見て、俺は安心できた。
さあ、もうすぐ時間だ。俺はホールに戻るため、加奈子から離れた。

「おーい、糞マネ」

背後から声を掛けられ、首だけで後ろを振り返る。
加奈子はまだイヒヒと笑って、こちらを見つめていた。

「煙草、少しは控えろよ」

昔の口調で放った言葉は、およそ今の状況とは関係ないものだった。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:06:03.43 ID:VzcOF4WKo
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ホールでは今、四組目のファイナリストの講評が行われていた。
ここで、この決勝大会の流れを説明しておこう。
出場者の出演順は、事前に行われたくじ引きですでに決められている。
決勝大会では歌を二曲披露する時間と、三分のアピールタイムが与えられ、その総合点が最も高い者が優勝となる。
アピールタイムとは、要は歌以外で何が出来るのかを審査員に示すのだ。
楽器でも、モノマネでも、ガンプラ組立でも何でもいい。ちなみに今言った諸々は、これまでの出場者がアピールしていった特技だ。
加奈子はダンスを披露することになっている。
これまでの出場者を見ていると、歌に関しては特徴が異なるものの、歌唱力に関しては拮抗しているように思う。つまり、みんな上手いのだ。
こうなってくると、アピールタイムでどれだけ審査員の心を掴めるかが、勝負のカギとなるだろう。さて、どうなることやら。
そんなことを考えている間に、講評が終わった。次は加奈子の出番だ。

「エントリーナンバー3,018番、来栖加奈子さんです。どうぞー!」

女性司会者の快活な紹介を受け、加奈子がステージ上に現れた。
ここで見る限り、過度に緊張しているということはなさそうだった。これなら彼女は、自分の実力を遺憾なく発揮できるだろう。

「来栖加奈子です。よろしくお願いします」

簡単な自己紹介を終え、お辞儀をする加奈子に拍手が送られた。最初は歌の披露だ。

一曲目は、某人気ガールズバンドの曲。ノリの良いロックナンバーだ。
加奈子は、その可愛らしい容貌からは想像できない、陳腐な表現をすれば「カッコ良い」声で、その曲を見事に歌い上げた。
観客からは拍手と共に指笛などが、ステージ上の加奈子に送られた。

二曲目は雰囲気をがらりと変え、女性シンガーのラブソング。少しマイナーな曲のようで、俺はアーティスト名を聞いてもピンと来なかった。
静かなピアノ伴奏が流れ始め、加奈子の声がそれに乗った。
女性視点で書かれた独白のような歌詞が、切ないメロディとマッチしていた。
その歌詞の中のあるフレーズが、なぜか引っ掛かった。

『貴方がいる それだけで もう世界が変ってしまう
 モノトーンの景色が ほら 鮮やかに映る』

なぜこのフレーズが気になったのか、それはわからない。
わからないが、言葉が、メロディが、加奈子の歌が胸に沁みる。気付けば、俺の目から涙が流れていた。

「ははっ。すげえな、加奈子」

お前の歌、俺の心に響いたぜ。思わず涙が出るくらいにな。
大丈夫だ。お前の歌のスゴさ、きっと審査員連中にも伝わるよ。
二曲目を歌い終わると、会場がシンと静まった。
その中、俺の拍手だけが響き渡る。それに触発され、あちこちから拍手が鳴り、それは大きなうねりとなった。
さあ、今度はダンスアピールだな。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:06:31.67 ID:VzcOF4WKo
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「惜しかったですね」

決勝大会が終わり、俺と加奈子は駅に向かって歩いていた。
時刻は夜の7:00。街灯やビルの明かりが、闇夜に抗い、街を照らしている。
素晴らしいパフォーマンスをした加奈子だったが、残念ながら優勝は逃してしまった。優勝したのは、どこの事務所にも所属していないアマチュアの女の子だった。
彼女の歌は、他の参加者と比べても頭ひとつ抜けており、アピールタイムで見せた新体操の技も圧巻だった。
でもさ、俺は加奈子の方が劣っていたとは思ってないぜ。加奈子は凄かった。ただ、今回はあのアマチュアの娘の方が審査員の心を掴んだ。それだけだと思う。
優勝は逃したものの、加奈子は審査員特別賞を受賞した。加奈子のパフォーマンスは、俺以外の心にも響いたということだ。

「そうですね。でも、こんなことで諦めません。また挑戦します」
「その意気ですよ。来栖さんなら大丈夫です」

加奈子も、優勝できなかったことは悔しかっただろうが、表情は晴れやかだった。すでに次の機会を見据えている。
目算は外れたが、この調子なら、加奈子自身が注目される日もそう遠くないだろう。今はそれで満足だ。
さて、次はどうしようか。そんなことを考えていると、胸ポケットに入っているケータイが震えた。表示されているナンバーは、事務所の電話番号だ。

「はい、高坂です。はい。はい。え、本当ですか!?はい、はい!本人も隣にいます!はい、ちゃんと伝えておきます!ありがとうございます!」

通話を終え、ケータイをポケットに仕舞い、隣にいる加奈子に向き直った。
何があったのか把握出来ていない加奈子は、不思議そうな顔で俺を見上げていた。

「来栖さん、喜んでください。今日、審査員の一人だった方から連絡があって……」
「は、はあ?」
「来栖さんさえ良ければ、プロデュースさせてほしいとの事です!」
「え!?」

流石の加奈子も、これには驚いたらしい。
俺がガッツポーズ全開で喜んでいる間、呆然と突っ立ってたからな。周囲の歩行者から奇異の視線を送られたが、構うもんか。
だってよ!俺は今、最高に「ハイ!」ってやつだァァァァからなッ!!

「あの……本当ですか?」
「はいっ!詳しい話は、後日事務所で行うようです。もちろん、来栖さんにも同席してもらいますから!」

俺がガキみたいに喜んでいる中、加奈子はうなだれ、静かに涙を流した。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:07:11.89 ID:VzcOF4WKo
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あれから一ヶ月が経った。
事務所に連絡してきたのは、大手レコード会社に勤めるA&R(アーティスト・アンド・レパートリー)担当の男性だ。
その方の話では、いきなりCDデビューというわけではなく、まずは一曲だけ着うたなどでネット配信し、そこで好評を得れば正式に契約、ということだった。
利益を生み出さなければならない立場にいる人なので、これは仕方ないと思った。だが、チャンスをもらえたことは事実である。
次へと繋げるためには、俺や、宣伝・広報の人間が尽力しなければならない。これについては、望むところだと言わせてもらおう。
そして今日は、レコーディング初日だ。
予定通りにいけば、三週間後には加奈子の歌が配信される。少々密なスケジュールだが、加奈子から文句は出てこなかった。


本日のレコーディングは無事終了、時刻は夜の8:30。
スタジオを後にした俺たちは、車で事務所に戻っていた。時間も時間なので、残っている人間は数えるほどしかいない。

「今日はお疲れ様でした」
「はい、お疲れ様でした。明日もよろしくお願いします」

明日も午後からレコーディングだ。明日の予定を確認し終え、これで本当に本日の業務は終了である。
帰り支度をしている加奈子に、俺は包みを持って近付く。

「来栖さん」
「はい?」

ショルダーバッグを担いだ状態で、加奈子は俺に向き直った。
その加奈子に、俺は手に持った小さな包みを差し出す。俺の行動の意味がわかってないのだろう。加奈子は小首をかしげている。

「遅くなりましたが、アーティスト・来栖加奈子誕生のお祝いです。受け取ってください」
「え?あ、あの……」
「受け取ってもらえないと、俺が困るんですが……」
「す、すみません。ありがとうございます」

加奈子は戸惑いながらも、俺からのプレゼントを受け取った。
しばらく包みを見ていたが、そのあと上目遣いで俺を見つめてくる。「開けてもいいですか?」と目で訴えていた。
俺は笑顔で頷く。それを見た加奈子は、綺麗に包装を剥がし始めた。黒色の細長いケースの蓋を開ける。

「綺麗……。ブレスレット、ですか?」
「ええ。お気に召すかどうかはわからないですけど」

俺がプレゼントしたのは、とあるブランドのプラチナブレスレットだ。二連チェーンのシンプルなもので、加奈子ぐらいの年齢の娘じゃ、少し物足りないかもしれない。
けど、加奈子に似合うと思うんだよな。派手じゃないけどエレガントさがあるし、こういうのも良いと思うんだ。
結構なお値段だったが、今回はお祝いだ。小さいことは言わないでおこう。
加奈子は早速ブレスレットを手首に巻き、色んな角度からそれを眺めている。

「似合ってますよ」
「そ、そうですか?私には少し、大人っぽ過ぎるんじゃないかなぁ」
「そんなことないですよ。普段の来栖さんに比べると少しクールに見えますけど、俺は良いと思います」
「あ、ありがとうございます。……その、大切にしますね」

うしっ!気に入ってもらえたようで何よりだ。俺のセンスも、この業界に入ったことで少しは磨かれたのかも知れんな。
さて、帰るか。俺が自分の鞄を手に持つと、目の前に細長い包みがあった。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/27(日) 22:07:40.39 ID:VzcOF4WKo

「あの、私も高坂さんにプレゼントを。その、いつもお世話になっているお礼です」
「え?いや、そんなに気を使わなくても……」
「わ、私も!受け取ってもらえないと困ります!」
「ありがとうございます!!」

ここまで言われたら、受け取らんわけにはいかんでしょうよ!け、決して加奈子の剣幕に圧されたわけじゃないんだからねっ!ホントだよ?
俺は受け取った包みを眺める。なんか、さっきとは逆だな。
加奈子は俺の様子をまじまじと見つめている。声には出さないが、「早く開けてください」という念がひしひしと伝わってくる。ぐっ……!なんだこれ?
俺は丁寧に包装を剥がし、中に入っていた箱を開けた。

「ネクタイ、ですか」
「はい。その、気に入らなかったですか……?」
「い、いえ!決してそのようなことは!スッゲー嬉しいっす!ありがとうございます!!」

加奈子さん、そんな捨てられた子犬のような目で俺を見ないでください。
けど、嬉しかったのは本当だ。加奈子から送られたネクタイは、華美なものではない。青を基調としたシンプルなものだ。これなら、普段使いにも適しているだろう。

「本当にありがとうございます。早速、明日着けてみますね」
「はい!」

ネクタイを鞄に仕舞い、俺たちは揃って事務所を出た。駅までは一緒なので、二人並んで歩いていく。
いや、これは「並んで歩く」と言っていいのかね?だって加奈子のヤツ、スゲー自然に腕を絡めてきたんだよ。

「あの、来栖さん?」
「いいだろー、別に」

あ、こりゃ駄目だ。だって昔の口調なんだもん。
こういうときの加奈子って、普段と違ってスッゲー我侭なんだ。俺が「離してくれ」って言っても聞かないね、うん。

「あのさ……」
「ん?」

俺が心の中だけで溜息を吐いてると、加奈子が声を掛けてきた。さて、次はどんな我侭が来るのかね。

「その……、これからもよろしくな」
「え?いや、その……」
「きょ、京介は加奈子のマネージャーなんだからよぉ!これからも加奈子さまのために働けよ!」

な、なんて理不尽なんだ……。我が家の妹もかくやと言うレベルの理不尽さ。パートナー云々に関して説教したかなかなちゃんは、一体どこに行ったんでしょうか?
そして、何故呼び捨てなんでしょうか?
でも、なんだ。そんなことはさ、今さら言われるまでも無えっての。だって、俺は加奈子のマネージャーなんだからよ。
仕事モードの加奈子なら、我侭を聞いてやらんでもない。

「当たり前だろ。今さらだな、それ」
「うっせー。オメーは加奈子さまの言う事聞いてりゃいいんだよ」

返事をしたら、なぜかそっぽを向かれてしまったでござる。何が悪かった?口調か?口調なのか?お前に合わせたのにそりゃ無えよ……。
ま、何を言われても、俺はこいつのために働くけどな。やれやれ、我侭なタレントの担当はつらいねぇ。おまけに有望なタレントだから始末が悪いぜ。
こりゃ、これからも忙しくなりそうだな。だからと言って、辞める気は無いけどよ。
俺のマネージャー生活は、まだまだ波乱が起きそうだ。そう思ったよ。


おわり
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/27(日) 22:09:58.21 ID:VzcOF4WKo
以上。

マネージャー話は、これで一旦終了です。
ここに投下することはもう無いでしょう。
話が膨らんだり、書きたくなったら今度はスレ立てます。
回を重ねるごとにクオリティが下がるこのSSに、長々と付き合ってくれた諸君には感謝し切れん。
次回は、別カプで投下しますぜ。

ありがとうございました。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/27(日) 22:13:00.05 ID:CNUtWNBAO
毎度乙です
トリップは付けないのかな?
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/03/27(日) 22:20:13.90 ID:szRi9gvQo

楽しみにしてるぜ
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/27(日) 22:37:18.91 ID:F90hhYFg0
乙です!
大人かなかなちゃん可愛い…
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/27(日) 22:42:47.82 ID:xB+hK/Qp0
乙です

次回の投下、楽しみにしてます
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/03/27(日) 23:27:16.41 ID:4SRjOM3X0
乙です。
大人っぽい加奈子って、なんかいいね。
原作でも身を呈してブリジットを守ったりとか、
根はけっこう性格いいんだよね。
シリーズ化に期待。

マスケラ? 黒いことは黒いんだろうケド……
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/27(日) 23:30:37.92 ID:VzcOF4WKo
>>67
ああ、マスカラだったね……orz
ちくしょう、なんて紛らわしい。刈り上げとから揚げくらい紛らわしい。
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/27(日) 23:34:38.74 ID:BKZhDtp+o


読む側としては、トリップがあれば便利かなとは思いました
あの人の続きか、と簡単に思い出せるので。(福井県)氏とかでもいいっちゃいいんだけども

俺の記憶力が心もとないだけかも知れないが
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/27(日) 23:55:49.38 ID:AfhQTaQAO
乙〜
加奈子は燃えが似合うって点じゃヒロイン随一かもしれぬ

うん、近未来ものもいいなぁ…
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/27(日) 23:58:55.20 ID:VzcOF4WKo
トリップは次で20個目になるんで、その時つけます。
名前欄に#〜で良かったっけ?
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/27(日) 23:59:38.50 ID:wB7/iXIA0
乙としか言いようがねぇ!


ぜひ続けてくれっ
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/28(月) 00:01:16.17 ID:3KkWQfh4o
>>71
それで、おk
#は半角だから注意ね
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/28(月) 00:03:40.13 ID:kMRFj7fmo
>>73
レス、ありがとう。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage saga]:2011/03/28(月) 00:48:04.22 ID:WA/y1DO70
真剣な兄貴がこんなにかっこいいわけがない!





………私の前で今…兄貴は顎の下に手を置き、前にある机を真剣に見ていた
なにか大事な事を考えているのだろう、その目から放たれる眼光は何時もとは違い、本気で相手を見たら殺せるのでは、と思うほど鋭い

ゴクリ……

私は生唾を飲み込むと何を考えてるのか聞こうと歩き出し、口を開こうとした、その時だ

グゥウウウウゥウウウゥ

そんな音が兄貴のお腹から聞こえてきたのは
私はまるで昭和のアニメのようにガクッとその場でずっこけた

ちょ、兄貴!!、それは無いって!!
私がそんな事を考えながら苦笑いしてもう一度兄貴を見ると、その表情は一切変わっていなく、逆にもっと真剣さが増しているように見えた
額には先程よりももっと深い皺が刻まれていて、机に向けられていた瞳は憎憎しげに窓の外へと向けられていた

それから何分経っただろうか、兄貴はふとため息をつくと勢いよく立ち上がり私が隠れているドアに向かって歩いてきた

ちょ、なんでいきなり移動!?、やばい、やばいって!!
そんな事を私が小声で言い、慌てながら隠れ場所を探していると、間に合わなかったのだろう、兄貴が扉を開く音がこの場に響いた
その時から私の頭は隠れ場所を探すモードから、言い訳をするモードにシフトチェンジした

さあ、かかってこい!!、といわんばかりに兄貴を見る私
だが兄貴はそんな私をチラッと見ただけで何も無かったように階段を上っていった

何か困ったような、後悔しているような目をしながら。


な、な、な、何よ!!、なにも無視しなくていいじゃない!!

私は文句を言おうと勢いよく階段を上って兄貴の扉の前まで行く。道中何回かこけそうになったけど、動揺してたからなんかじゃ絶対ないからね!?

とにかく、私が兄貴の部屋の前まで行き、何を言ってやろうか、と考えながらドアノブを掴み
正に開けようとしたその時だ、その呟きが聞こえてきたのは

「もう………食っちまおうか、見るたびに我慢できなくなってきてるしな……」

その言葉を聞いた瞬間、私の頭はフリーズして、再び動き出した時はさっきのフリーズが嘘のように勢いよく働き出した

え!?、ちょ、なに!?、何を食っちまう気なの!?、まさか私!?私なの!?

そんな風に私がパニクっていても兄貴の呟きが止まる事はなく、今もずっと続いていた

「もう、桐乃の部屋に行ってムリヤリ奪っちまうか……、日ごろの人生相談のお礼だと思えば安いもんだろ………」
何を奪う気ですかあーーーーぁぁああ!!!!

やばい、そんなの嫌だ!初めてはもっとムードのある時で兄貴と……、じゃなくて付き合っている人と…

「いや、今なら桐乃は下にいるしこっそりと行けるな、こっそり行って物を持ち出してくるか!!」
物って何!?、やっぱりパ○ツ!?パンツ○の事なの!?
落ち着け!!、落ち着くのよ桐乃!!、もはや○の意味が無くなっているから!!
私の頭はどうやらかなり動揺してるみたいだ

とにかく!!兄貴が出てくるまでひとまず逃げるのよ!
この場に居てはまずい、いつ兄貴が出てきてもおかしくない状況だ

私は物音をたてないように慎重、かつ敏速に階下へと移動したのだった


ギィイ


そんな音がやけに大きく響く
それにしても、兄貴の部屋はなんであんなにボロいんだろ、あんな音私の部屋じゃ絶対鳴らないんだけど
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage saga]:2011/03/28(月) 00:48:46.83 ID:WA/y1DO70

どうでもいいことを私が頭の片隅で考えていると目的の物を手に入れたんだろう、もう一度兄貴の部屋の扉の音がこの場に響く

……、さて、そろそろ行きますか

もういいだろ。そう私が考えてもう一度階段を上りだす
や、や、やっぱり今兄貴は私のパ、パ、パンツを使ってナニをやってるのかな?

そこまで考えたところで私は自分の顔が赤くなってきてるのを自覚してしまう
なに考えてんのよ!

自分を一喝すると改めて兄貴の部屋の前に立つ。

そしてドアノブを掴むと勢いよく引く
「あ、あ、兄貴!!、早く私の物を返しなさい!!」
上ずった声が出てしまったが何とか伝えたい事は伝える事ができた

言い切って数秒が経つと私はゴクッと生唾を飲み込み、そっと目を開ける

だが、そこには私が思っているような光景は無く、兄貴が私が買ってきていた低カロリーのカップラーメンを貪っている光景があった

「………は?」
思わずそんな声が漏れてしまう

兄貴も最初は目が点になっていたが正気に戻ったのだろう、凄い勢いで地面にオデコをぶつけ、わずか三秒で土下座の体勢になった
そして物凄い大きな声で謝ってきた
「すみません!!!、腹が減りすぎてたんだ!!!」
うわぁ、兄貴、汗で顔テカッてんなぁ

そんなくだらない事を無意識の内に考えていた私もやっと頭が現状に追いついてきた
え?、なに?、ってことは全部私の空回りだったって事?
どうしても結局はそこに戻ってしまう

その考えに至った瞬間、私の体と顔は光ってるんじゃないか?、という位に熱くなり、頭も上手く回らなくなってきた

私はとにかく恥ずかしくて、なんだか兄貴が無茶苦茶ムカついて
兄貴の顔面を思い切り蹴ると、お腹の底から声をだし、こう叫んだ



「期待させんな!!、バカ兄貴!!!!」




その後私は兄貴の顔とか脛とか鳩尾とかを殴り続け
兄貴が意識があるうちに今週の土日を私のために働かせる約束をしてから、とどめとして連続で鳩尾を十発ほどお見舞いして安らかに兄貴を眠らしてあげたのだった




終わり
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage saga]:2011/03/28(月) 00:50:03.39 ID:WA/y1DO70
オマケ、ていうかその後?




「……はっ」

俺が気絶から立ち直り、体を起こす
今は夕時なのだろう、オレンジ色の光が部屋を照らしていた

あれからそんなに経ったのか

今や俺が奪ったカップラーメンは麺がスープを全て吸い取り干上がったミーラみたいになっていた
今更そんな物体を食べたいと思えるはずもなく、俺はもう一度寝る事に決めてベッドの方向に顔を向けた

その瞬間に俺は目を奪われた

夕日に染まって真っ赤に見える髪と顔、光に当てられて作られた夢の様に薄い影
家に居るにしてはちょっとオシャレすぎる服装

そこには、眠り姫がいた

そう思った瞬間に思い出されるのはやはり王子さまのキス
やっぱりお前にもそんな奴が現れるのかねぇ

「面白くねぇな」

思わずそう呟いてしまう
そして顔を近づけるが、やっぱりそんな事が出来る筈もなく、わずかな距離、あとちょっと動けば触れてしまう様なところで進めなくなった

何やってんだか、こんな事やったって何にもなんねぇのによ

俺はその場から一刻も早く立ち去ろうと体を動かそうとした
その時、事件はおきた

桐乃のやつがいきなり身じろぎをしたのだ

チュッ

そんな音がするのかと思っていたが、実際は違った、俺の初めては何の音も無く、ただ柔らかい感触だけが俺の唇に残った

「な、な、な」

何も言えない、何も考えれない、ただ……

「なぁーーーーーー!!?」

俺は勢いよく部屋を飛び出た。

え?何?逃げたのかって?
うるせぇ、俺みたいに突発的事故でファーストキスを失ってみろ、誰だってこんな事になったまうんだよ!!
そんな言い訳を心の中で叫びながら俺は落ち着こうと近くのコンビ二に向かったのだった


その後、俺が気まずくて顔を一週間合わせれなくて桐乃と冷戦状態に逆戻りしたのはまた別のお話
俺がいなくなった部屋で「意気地なし」、と誰かが呟いたのもまた別のお話
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage saga]:2011/03/28(月) 00:55:50.76 ID:WA/y1DO70
突如投下してすまない

衝動的投下、共にグ〜ダグダだが後悔はしていない、何故かって?
答えは簡単、俺は現実を直視しないニート野郎だからだ
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 01:09:58.87 ID:8tmG/viDO
乙だぜぃ。

最近きりりん成分が不足してたから、よかったぜぃ。
それにしても、きりりんさん容赦なさすぎwwww
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/03/28(月) 01:15:02.93 ID:Om/dJXKjo
ヒューッ また書くんだな
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/28(月) 01:43:55.04 ID:vWhwk434o
乙であります
こういう笑いの要素があるSSが俺妹っぽくて好きだな

ちなみに「ようそ」で変換しようとしたらヨウ素が出てきたぜ…
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/28(月) 02:43:33.23 ID:BvsHHOCgo
>>62
 乙でした。大人な加奈子も良いけど、クソガキな加奈子もいいと思うんだ……。
 次の投下も楽しみにしています。

>>78
 乙でした。
 桐乃の容赦のなさは半端ないな。
 にしても、なんで京介の部屋で寝ていたんだ?
 あと、末尾に句点がつかないと地味に読みにくいな。

> 干上がったミーラみたい
 ミイラの間違いかな?
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 08:06:27.60 ID:NWLZo+PDO
桐乃久しぶりに見た気がする
また頼む
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage saga]:2011/03/28(月) 10:12:33.41 ID:WA/y1DO70
>>82

すまないミイラ○ミーラ×だった
これであってると思っていたが何か違和感があったので助かった、サンクス
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/28(月) 12:05:52.63 ID:EjfPL2hm0
へんな事きくけどこれって新作ですかい?
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/28(月) 13:49:37.75 ID:agqORXwAO
乙です
面白かった
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 15:30:51.42 ID:Kfa08V/IO
>>85

いや、新作ではない
これはブログにのしてた物を転載した物だ
ま、オマケは書き足したがな
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 19:38:56.05 ID:gqKd6v2y0
京介×黒猫でありがちなお弁当ネタを書いてみました。
内容が薄いわりにはそこそこ長いので、今回は前編のみで投下させていただきます。
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 19:40:32.93 ID:gqKd6v2y0


『お昼休みは恋人と』


「ウチの教室の外にすげえ可愛い子がいたぞ!」


昼休みになってから少しして、購買から戻ってきた俺のクラスの男子が若干興奮気味にそんなことを言いながら入ってきた。
それを聞くと、他のヤツラも何かに理由を付けて教室から出て行く。
無論、テキトーな言い訳をつけて教室から出て、その子を一目でも見ようと企んでいるのである。

「マジだ!可愛い!」「誰かの彼女?」「いや、ウチのクラスにそんな甲斐性のあるヤツなんて…」
「ありゃ多分俺らの学年じゃねえな」「何年の子だろう…」

帰ってきた連中の間からこんな声が聞こえてくる。
そこまで言われちゃ俺も気になってきちゃうじゃないか。

どれどれ、そんなに可愛い子がいるなら、俺もちょっと拝ませてもらおうかね。

そう思って俺は『購買に行ってくるぜ宣言』を行った。
たとえ自分に彼女がいたとしても、「可愛い子がいるぞ!」と言われれば見たくなってしまうのが男の性だ。
それは俺も例外じゃない。

若干ドキドキしながら教室の戸を開ける。
すると、確かにそこには噂に違わぬ美少女が立っていた。


雪のように白い肌に清楚な顔立ち。
均整のとれた体型に艶のある長い黒髪。
これなら皆がドキッとしたのも頷ける。

しかしその子を見た瞬間、俺は皆とは違う意味でドキッとしてしまった。
いや、確かに可愛いが、コイツは――


「…く、黒猫!?」

そう。
皆さんのお目当ての可愛い後輩とは、他でもない俺の彼女だったのだ。
今日は何故か赤い巾着袋を両手で大事そうに持っている。

自分の彼女が友達から高く評価されていたことを考えると嬉しいやら気恥ずかしいやら。
だが、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。
俺は慌てて周りの視線でガチガチに固まって俯いてしまっている黒猫に近付いた。

「や、やっと現れたわね…」
「おい!お前、こんなとこで何やってんだよ!?」
「何って……」


「なっ!?高坂が“あの子”と普通に話してるぞ!?」

この、驚きを全く隠しきれていない大声によって、俺たちの話は一時中断されてしまった。

気がつけば何かすごく注目を浴びてしまっている気がするんだが…。
まあ…そりゃそうか。話題の彼女が同じクラスの男子と話してりゃな。
それにしても、この空気は無理だろ!は、恥ずかしすぎる………

「と、とにかく、ここじゃマズいから移動するぞ!」
「ちょ、ちょっと!」

雰囲気に耐えられなくなった俺は急いで黒猫に小声でこう告げると、その手を引いて足早に教室を離れた。


90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 19:43:17.46 ID:gqKd6v2y0

☆☆☆☆☆


「…随分と遅かったわね。待ちくたびれてしまったわ…。」
「遅かったって……教室の外で黙って待ってられてもわかるわけねえだろ!?」
「ふ、ふん!壁一枚挟んだくらいで主の気配すら察知出来ないなんて、使えない隷属…」
「ムチャクチャ言うな!」

たった今、俺たちは場所を“例の”校舎裏のベンチに移動したところだ。
まあその………俺たちにとっては、所謂『思い出の場所』だったりするわけだけど…。
暖かくて微風が吹いているようなとても麗らかな天気なのだが、周りにはまったく人影が見えない。
人がいないからこそココを選んだってのもあるんだが。

…それにしても、こいつの言い分聞いたか?何だって俺が責められなくちゃいけねえんだ!?
俺の言い分は間違ってないと思うぜ!?『気配を感じろ』って、そんな超能力者じゃあるまいしよ…。
しかも俺のことを隷属扱いしやがって!ここはハッキリ否定させてもらうぞ!?

心の中に変なプライドが発生してしまった俺は強い口調で言った。


「つか、俺はお前の隷属じゃねえ!俺はお前の――」

…ダメだ!この続きは恥ずかしくて面と向かっては言えねえ……………
ああそうだよ!どうせヘタレだよ!笑うなら思いっきり笑え!
しかも、赤面地獄に陥った俺が言わんとしていたことを察知したのか、黒猫も少し顔を赤らめて俯いちまってるし…。
これじゃ完全に自爆だよ。また居づらい雰囲気になっちまったな…。


「そ、それにしても、お前いつから教室の前にいたんだ?」

俺は何とか無理に平静を装って話題の転換を図った。
我ながら、声が上ずっていて無理矢理感が溢れ出ている。


「あ、貴方が教室から出てくる2,3分ほど前よ。」

でもこころなしか、向こうも無理に平静を装って返しているような気がするな…。
この調子で行けば何とか俺のペースを持ち直せるかも!?


「なんだ、たった2,3分か。よかった。ならそんなに待たせたわけじゃ…」
「思い上がらないで頂戴。」
「………は?」
「さっきも言ったはずよ。『待ちくたびれた』と。
 私は随分待たされたわ…。貴方のクラスメイトからの、まるで異世界の者を見るかのような視線に耐えながらね。
 今度私にあんな辱めを受けさせたら…塵として滅するわよ?」

どうやら回復能力は相手が上だったようだ。
先程までの動揺を感じさせない見事な厨二返しを食らっちまったぜ…。
そして俺には言い返す言葉が見当たらない…と。うん、見事に完敗だな。
いや、でもこれは仕方ないだろ!?
俺のことを馬鹿にするヤツは、『塵として滅するわよ』って言われた後の神懸かり的な返し方を是非教えてくれないか?

…とにかく、情けない話だが俺の実力じゃ調子を取り戻したコイツには勝てない。
こうなったら、おとなしく本題に入ろうかね。


「…それで?俺になんか用か?お前がわざわざ教室まで訪ねてくるんだから、そこそこ大事な話なんだろ?」

話題転換の下手さは仕様だ。誰が何と言おうと仕様なんだ!
しつこいようだが、『塵として滅するわよ』と脅された後に普通の話題を上手く切り出せるような文句があるなら………って、黒猫…?

「……………」
「ど、どうした?」

俺の問い掛けに黒猫は俯いて黙ってしまった。何か考え込んでいる様子にも見える。
こいつがこうなった時は、たいていこの後に意味深な一言を言うんだけど…。


そして黒猫はしばしの沈黙の後、小さな声で逆に俺に問い掛けてきた。


91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 19:44:36.45 ID:gqKd6v2y0

「私は………何か用事がなくては、貴方に会いに来てはいけないのかしら?」
「えっ?いやっ、別にそんなことはないが…」

それはおよそ黒猫らしくない言葉で、口調もどこか寂しげだった。

でも、言われてみれば確かにその通りだよな。なんせ俺とこいつは…つ、付き合ってるわけだしよ?
本来であれば『どうしても貴方に会いたくて来てしまったのよ…』なんて言われてもおかしくない関係なのかもしれん。
でもそんなこと黒猫は絶対に………いや、一応聞くだけ聞いてみても……………

「も、もしかしてお前さ……ただ単に、俺に会いたかったから教室まで来てくれたのか?」
「なっ………勘違いしないで頂戴!だからといって、私が何の用事もなしに来たとは言っていないでしょう?
まったく、これだから人間風情は………」
「わかったよ!うん、俺の勘違いだった。わかったからそんなに興奮するなって!」


やはり、俺の彼女がそんなに可愛いわけが…なかったか………。
でもそんなにムキになることもないと思うんだけどな…。顔真っ赤にしちゃってさ。これ、絶対怒ってるよな?
…あれ?なんだろう?やけに読者諸君からの冷ややかな視線を感じるんだが……………



「…と、ところで先輩。先輩はもう昼食を済ませたのかしら?」

こりゃまた唐突な質問だ。しかも、この変に声が上ずった感じは…さっきの俺と全く同じじゃないか。
さては、こいつも無理に話題を変えようとしてるな?
まあ俺も言えた義理じゃないから心の声に留めておくけど…。黒猫よ、お前もなかなか話題作るのヘタクソだな…。


「いや、昼飯はまだだよ。誰かさんが急に訪ねて来たもんだから食いそびれちまってな」

俺はちょっとしたさっきの仕返しのつもりで軽い嫌味を入れてみた。
まあ実際のところ、一応購買でおにぎりは買ってあったから嘘をついたわけじゃないけど。
だが思いのほか、黒猫はなんだか安心したような素振りを見せている。
俺が飯を食いそびれたのがそんなに嬉しいんだろうか?


「そんな言い方………でも、それなら丁度いいわ。」

そう言って黒猫は、さっきから手に持っていた大きめの巾着袋に手を突っ込んだ。
教室の外で見かけた時からずっと持ってたから俺も地味に中身が気になってはいたんだよな。
おそらくこの巾着袋も手作りなんだろう。その証拠に、こいつお得意の黒い猫の刺繍がされている。

「これを…」
黒猫が取り出したのは、これまた大きめなサイズのプラスチックで出来た長方形の容器だった。
至ってシンプルなデザインだが、この箱の感じには何度も見覚えがある。
そしてこの流れからすると、これはもしかして…いや、間違いなく………

「…これって弁当箱………だよな?まさかお前、俺のために弁当を…」
「違うわ!」

俺がほのかに寄せた期待は即座に否定されてしまった。
が、ここはさすがに俺の見当違いじゃないはずだぜ?もう少しだけ粘ってみることにしよう。

「いや、でもこれどう見ても…」
「くどいわ、先輩。これは…魔道具の一種・“常闇の匣(ハコ)”よ。疑うのなら開けて御覧なさい。そうすれば手っ取り早いわ。」
「そんなにムッとした顔で言わなくてもいいじゃねえかよ!?
へいへい…それじゃ、開けさせてもらうぜ?」

これはどう考えても弁当だ。俺にとっては人生初の愛妻弁当どころか初めての彼女の手料理だ。
それはもちろん素直に嬉しいのだが、重大な疑問があることも確かである。

こいつの作る弁当には一体何が入っているんだ…?
変にキャラにこだわって黒魔術の食材みたいの入ってないだろうな?トカゲとか。
いや、そんなもの一般市場では手に入らないか…
うーむ、まったく予想できん…。


俺は期待半分・不安半分で箱を覆っていたゴムバンドを外し、蓋に手をかけた。


92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 19:46:11.77 ID:gqKd6v2y0


「おお…」

だが、蓋を開ければ先程までの不安はどこへやら、俺は思わず感嘆の声を上げてしまった。
蓋を開けるとまず中心に梅干を据えた白米ゾーンが目を引き、その脇を焼き鮭や漬物や卵焼きや煮物などの和食ベースのおかずが固めている。
更にはやけに厚底だとは思っていたがこの弁当箱は二層式となっており、下層には唐翌揚げ等の肉類から大学芋まで、バラエティ豊富な料理が用意されていた。
黒魔術の食材なんてとんでもない。こりゃちょっとした花見用の弁当みたいだぜ。
香りもとても食欲をそそり、今すぐにでも食べてみたくなるような気持ちにさせる見事な出来だ。
しかもこれを黒猫が俺のために作ってくれたんだと思うととても嬉しかった。

俺が若干感動しながら弁当の中身を眺めていると、隣から強い視線を感じた。
どうやら黒猫が俺の顔をチラチラ覗き込みながら反応を気にしているようだ。
そんなに心配そうにしなくても……俺の第一印象は最高評価だぜ。

「これ…本当にお前が作ったのか?」

黒猫は返事の代わりに、恥ずかしそうに無言でコクンと頷いた。

「すごいよ………。
 もう見た目だけでもメチャクチャ美味そうだぜ!これ…作るの大変だったろ?
 それをわざわざ俺のために……………」

俺の賛辞の言葉を聞くと黒猫は安堵したような表情を見せ、機嫌も何だかさっきよりも良くなったような気がする。
いつもこんな感じだったら可愛げがあんのになぁ…。まっ、そうなったらそうなったで調子狂っちゃうかもしれないんだけどさ。

「ふふふ……。匣(ハコ)から溢れ出る闇のオーラに圧倒されているようね?」
「ああ、確かに予想以上にボリュームあったし美味そうだし圧倒されたけど……これはどう見ても弁当箱…だよな?
でもホント嬉しいよ。こんな美味そうな弁……」
「違うわ。夜の世界に古より伝わる魔道具・“常闇の匣(ハコ)”よ。」
「いや、まったく闇要素の欠片も感じられないんだが。むしろお前の温かな愛情を…」
「ま、まだ言うつもり?違うと言っているでしょう?
私と契りを結んだということは即ち、共に闇の眷属として生きるということに他ならないのよ?つ、つまり……」


ここで黒猫は言葉を詰まらせた。
なんか必死に言い訳を探してるように見えるのは俺だけか?設定が不完全のまま見切り発車するなんて、こいつにしては珍しいな。
いや、こいつがこうやって誤魔化してるのは照れ隠しだってことは薄々わかってるよ?
わかってはいるけど、少しからかってみたくなっちまったのさ。
それにしても、焦って厨二台詞を搾り出そうとしている黒猫は何だか新鮮で可愛くて、思わず応援したくなってくる。


…お?あの顔は、そろそろベストな暗黒理論が閃いたのか?
黒猫は勝ち誇ったかのように口元をニヤッとさせると、怒涛の反撃を開始した。


「つまり!貴方も…あ、貴方も、最低一日に一度は夜の住人に相応しい食事を摂る必要があるわ!
そうしなければ先輩の身体は日の光によって犯され、やがては消滅という末路を辿ってしまうでしょうね……。
この“常闇の匣(ハコ)”は私の魔翌力を凝縮して閉じ込めた魔道具。 これは私達の母なる暗闇空間であるあちら側の世界、つまり永遠に続く夜の世界のことなのだけれど――」

「お、おう」

「――そこに存在するありとあらゆる種の禁忌の果実を無尽蔵に供給し続けることが出来るわ。
よって、この匣(ハコ)の中身を食すと、こちら側の世界の昼間においても我々の種族の宵闇の力を増幅・貯蓄させることが可能になるの。
更には漆黒の結界を張って貴方の肉体を浄化の光から守護することも………これでこの魔道具の利便性が理解できたかしら?」

「へえ…そりゃ…すごいな………。」
「そして最も重要なことは…“常闇の匣(ハコ)”を食すのは夜の従者の義務である、ということよ。当事者の生存意欲に関わらずにね。
これを拒むということは即ち極刑に値するわ。
先輩もまだ、『磔にされた状態で蠢く獣影達に魂を貪り食われる』に不様な死に方はしたくないでしょう?
いいえ、“死”というよりは、『精神がなくなっても朽ち果てた肉体だけが残っている』という抜け殻に近い存在になってしまうと言った方が正しいわね…。」
「う、うん…」
「とにかく!これは我々の世界の絶対的な掟、ルシファーと夜魔の女王である私が定めた崇高なる規則なのよ!
だから細かいことは言わないで…だ、黙って“常闇の匣(ハコ)”を受け取りなさい!」


93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 19:46:46.69 ID:gqKd6v2y0
うん、溜めただけあっていつもよりだいぶ長いな…。照れ隠しのためにここまで頑張るヤツなんてなかなかいないと思うぜ?
そして、抑え気味の声量だったとはいえこれだけの厨二台詞を一気に語ったせいか、さすがの女王様もゼエゼエと少し息切れしてしまっている。
そんなに必死にならなくても…。
まっ、いつも通り意味はよくわからないけどよ…。なんか俺が処刑されることになってた気がするが気のせいかな?
これは英文翻訳とはまた違った難しさがあって、何度聞いても一発で詳細は理解出来ない。
まあでもアレだろ、最後の部分から察するに…要約すると『とりあえず黙って食え!』ってことだよな?多分。


「ま、まあ、闇の世界の掟についてはイマイチわからんが………とにかく、お前が俺のために弁当作ってきてくれるなんて嬉しいよ。ありがたく頂くぜ。」

隣ですかさず黒猫が「だからそんなものではないと…」と呟いていた気がしたが聞かなかったことにした。
皆曰く俺は鈍感らしいから断定は出来んが、ここは多分深く突っ込んじゃいけないトコだろう。
また困らせてもかわいそうだし、意地になって更なる超暗黒理論が襲い掛かってきても厄介だしな。


「それじゃ、いただきます。」

そんなこんなでようやく実食タイムが訪れた。俺が黒猫をからかわなかったらもう少し早く食べられたのかもしれないが。
しかし、すでに見た目でかなり期待が持てるとはいえ、作った本人を前にして食べるのはなかなか緊張するものだ。
チラッと横目で隣を見ると、その作った本人である黒猫も、やや緊張気味に俺の箸の動きを目で追っている。

俺は最初に白ご飯を軽く口に含み、焼き鮭をかじった。


――うん。やっぱり美味しい。
しょっぱ過ぎず薄過ぎず、尚且つ鮭本来の旨みが感じられる絶妙な塩加減だ。ご飯にもちゃんと合う。
しかも鮭の大きい骨はちゃんと取り除いてくれていて食べやすい。
次は卵焼きに箸を伸ばしてみる。
これは……なんか甘い味がするな。砂糖で味付けしてるのかな?
ウチのとは違うけど、でもこれはこれで全然アリだ。普通にイケる。卵焼きもやはり見た目に違わない味だ。
どうやら黒猫の料理の腕は本物みたいだな。こんなに料理の上手い彼女を持てて俺は幸せ者だぜ!


俺は夢中になって生涯初の愛妻弁当を黙々と食べ続けた。いや実際、普通に美味しくて箸が止まらなかったんだよ。
だが黒猫は、感想すら一言も口にせずただひたすら食べ続ける俺に対してどうやらしびれを切らしたらしい。
俺の顔色を伺いながらいつもの調子でこう切り出してきた。

「どう?この匣(ハコ)に込められしは純粋な闇。漲るような魔翌力を感じるでしょう?…それと……………」

ここまでは完全に、いつもの愛すべき厨二病患者・“黒猫”モード。
だがこの続きは一気にトーンダウンして、素の“五更瑠璃”が見え隠れしていた。

「貴方の…口に合うかしら………」

この、期待と不安を兼ね備えた、思わず抱き締めたくなるような俺の彼女の表情といったら!不覚にも一瞬ときめいちゃったよ!
付き合ってる俺が言うのもなんだけどさ、“黒猫”からの“五更瑠璃”は反則だと思うんだよね。ギャップ萌えってヤツ?
…お前ら、そんな目で見なくてもいいじゃないか……。俺だってたまにはノロケたくなる時だってあるんだよ!

「うん。すげえ美味しいよ!味付けもなんか俺好みでどんどん食べたくなってくるっていうか…。
お前は手先が器用なだけじゃなくて料理も得意なんだな。その…なんか惚れ直したよ。」
「あ、貴方は何を言っているの!?ここは学校よ!?また莫迦なことを…。」

黒猫は俺を罵倒しながらも目に見えてホッとしていた。
きっと俺から『美味しい』って言われるのを、ずっとドキドキしながら待ってたんだろう。
いや〜、可愛い。うん、可愛い。どうだ!こいつ、俺の彼女なんだぜ!?
薄々わかってはいたけど、こいつから厨二病を取ったら至って普通の乙女になるんだな…。


「ところで、このくらいの量で足りるかしら?今まで父以外の男性には作ったことがなかったものだから……」
「ああ、全然大丈夫だぜ。十分十分。」

むしろ少し多いくらいだ、と思ったが言わなかった。まあ食いきれない量じゃないし。
おそらく、量が足りなくて俺が空腹にならないように多目に入れてくれたんだろう。こういうところからも黒猫が持つ細やかな配慮が感じられた。
――こいつは、きっと将来いい嫁さんになるだろうな。

94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 19:47:26.63 ID:gqKd6v2y0
さて、一通りのおかずに順番に手を付けたところで、俺は一旦箸を止めた。
…ん?お味はいかがでしたか、だと?愚問だな。もちろんどれも美味しかったさ。お世辞抜きでやみつきになっちまうレベルだぜ?
本来なら『お前らにも食わせてやりたい』と言いたいところだが、やっぱり食わせたくないな。なんせこれは俺専用の“常闇の匣(ハコ)”だからさ!

俺は一通り食べた感想と再度のお礼の言葉を言おうと隣を見た。
すると黒猫は相変わらずただひたすら俺の顔色を気にしている。
そんなに自分の料理食べてる俺の反応が気になるのか?こいつも素直で可愛いとこあるじゃねえか…。
でも…そんな黒猫の様子を見たら………俺的にはちょっと気になることが出てきたんだよな。

その結果、実際に俺の口から出てきたのは感想でもお礼でもなく、こんな疑問だった。

「そういえばさ………お前は、昼飯食わないのか?」
「!?」

黒猫はわかりやすくギクッとして動きを止めた。
その挙動からは、『イタいとこを突かれた!』って感じがありありと溢れ出ている。

「まさか、これ…本当はお前の分の弁当だったんじゃないだろうな?」
「そ、そんなわけないじゃない。それは貴方の分よ。」
「じゃあ、お前の分は?」
「もう…さっき食べてしまったのよ………」

何か様子がおかしい。こいつ絶対に嘘をついてるな?
それにさっきから何かを我慢してるような気がするんだよなぁ……………

俺が胡瓜の漬物を食べながらあれこれ思案していたその時、突如として校舎裏に、最近では聞き慣れない不協和音が響いた。


ぐぅ〜きゅるるるるる………………………


…何だ?この漫画の効果音みたいなのは!?これは俺じゃないぞ!?
だが、今ここには俺たち二人しかいないはずだ。
ってことは……………


(続く)
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/03/28(月) 19:51:59.60 ID:nsw98KrIo

後半楽しみにしてます
黒猫まじかわええ
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/28(月) 20:00:14.67 ID:52TgNTP0o
黒にゃんぺろぺろ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/03/28(月) 20:01:35.27 ID:k9ozv51jo
厨二っぷりが微笑ましい
瑠璃ちゃんマジ堕天聖
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/28(月) 20:45:34.68 ID:DCpqs46AO
乙〜
食べ物ネタは良い。けれど
それだけじゃお腹が空くわ…的な

原作にもまま見られた京介のメタ語りが全開だなぁ。ウザいのに笑える、ふしぎ!

ヒロイン黒猫で書くときは[saga]しといたほうが無難かも。
無駄に変換されちゃうかんね>「魔翌力」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 21:03:10.39 ID:BIKfZQyvo
黒猫んちは母子家庭だと思ってたわ
100 :94 [sage]:2011/03/28(月) 21:43:01.84 ID:gqKd6v2y0
>>98
ご指摘ありがとうございます。
言われてみれば過去作でも同じ間違いを繰り返していたような…orz
後編ではsaga忘れないようにしたいと思います。

>>99
母子家庭…でしたっけ?(汗)
まずい!もしかして自分は重大なミスを!?
…おとなしく原作見返してきます。ご指摘ありがとうございました。
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/03/28(月) 21:48:33.06 ID:V+TEzYPZo
>>100
大丈夫だ、母子家庭と断定できる情報はいまのところない…よな?w

乙!
続き楽しみにしてる!
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 22:36:10.69 ID:Lu+ssMZfo

なんか黒猫がこんなに男子にチヤホヤされてるのってさり気なく新鮮だな
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/28(月) 22:38:07.83 ID:YrS51+n4o
乙でした。
なるほど、希に見る「魔翌翌翌力」ってのは変換されてたからなのか……。納得。
前々から変な言葉だとは思ってはいたのだけれど、自分が識らないだけでそういう言い回しがあるのかと思ってたわ。

個人的には、原作での黒猫はあんま厨二発言しても痛々しく感じないんだけど、二次創作なんかだと途端に特殊ルビが
必要な発言をしたりして、微妙に違和感を感じることがある。
むしろ、アニメの方が痛々しい言動をしているような印象。
まあ、可愛いから問題ないけどな!

続きも楽しみにしてます。
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 22:46:12.04 ID:2yLxFpXDO
普段の邪気眼発言なきゃ美少女だもんなー
ゴスロリじゃなく制服だからなおさらか
105 :94 [sage saga]:2011/03/28(月) 23:01:13.37 ID:gqKd6v2y0
前後編に分けた意味がまったくない気もするんですが、
案外早く書けちゃったんで続き投下させていただきます…
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:02:11.35 ID:gqKd6v2y0


ぐぅ〜きゅるるるるる………………………


…何だ?この漫画の効果音みたいなのは!?これは俺じゃないぞ!?
だが、今ここには俺たち二人しかいないはずだ。
ってことは……………


俺がおそるおそる隣を見ると、案の定、黒猫が真っ赤な顔をして腹を押さえていた。
小学生でもわかりやすいようなジェスチャーしやがって…。
おそらく、今のこいつの状態を『顔から火が出ている』状態って言うんだろうな。

「お前さ、もしかして………自分の弁当を家に忘れてきたのか?」
「わ、私は…確かに朝のうちに鞄に入れておいたのよ!?ほ、本当よ!?きっと、私の力を恐れた天使どもが…」

黒猫の口調からは最早“夜魔の女王”の風格は全く感じられず、完全に焦りと恥ずかしさでテンパってしまっている。
鞄から弁当を抜き取る天使って…どんだけセコいんだよ!?……………とはあえてツッコまないけどさ。
さっきの厨二台詞もだけど、黒猫がこんなあからさまにミスするなんて珍しいな。今夜は沖縄に雪でも降るんじゃないだろうか?
でもなんにせよ、この状態のまま放ってはおけないだろ。


「そういうことなら……これ二人で分けようぜ。」
「要らないわ。だってそれは貴方の…」
「元はと言えばお前が作ってくれたもんだろ。それにな、いくら夜魔の女王といえども昼飯抜きじゃこの先の授業がツラいと思うぜ?」
「私はこのくらいで辛くなんか……でも、そこまで言うのなら……………」

黒猫は意外にも俺の説得であっさり折れた。
こいつはプライドが高いからもっと抵抗すると思ったんだが……もしかして、自分の空腹感に限界を感じたからだったりしてな?


107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:03:23.46 ID:gqKd6v2y0


それにしても…『彼女が作ってきた弁当を二人で食べる』なんて、俺たちもいよいよ恋人らしくなってきたもんだ。
でもさ、ここまできたならさ。
せっかくここまできたなら…アレもやってみたいよなぁ………


『先輩。こっちを向いて。』
『?急にどうしたんだ、黒猫?』
『ほ、ほら、口を開けて頂戴。ア〜ン♪してあげるわ………///』
『く、黒猫………///』


…みたいなね!?いや、だいぶ妄想入ってるけども。
まあ別に男のロマンとまでは言わないけどさ、男なら、その…ちょっとは憧れるだろ!?
人間という生き物は、少しでも幸せな気分に浸るとどんどん高望みをしてしまうものだ。
黒猫に『汚らわしい人間風情が』とも言われてしまいそうだが、この時の俺もまさにそんな感じだった。


…だが、現実というのは非情なものだ。皆様お察しの通り、あの恥ずかしがりやがそんな事するわけがない。
妄想中でボーっとしていた俺は、突然黒猫に箸を奪われてしまった。

「あっ!ちょっ、まだ食べてる途中…」
「…あら、貴方が言ったのよ?『二人で分けよう』とね。貴方が匣(ハコ)持っていたら、私が食べられないでしょう?」
「いやっ、そりゃそうだけどさ…」
「食い意地の張った雄ね。そんなに心配しなくても、私が一通り食べたらまた貴方に返してあげるわよ。」

更には動揺してる間に弁当箱まで奪われる始末だ。
この《弁当箱交換制》を崩さない限り、俺の妄想は絶対に叶わないだろう。
しかも、また“黒猫”モードに戻っちゃってるしさぁ…。
いやいや、別に“黒猫”成分が嫌いなわけじゃない。それもひっくるめて俺の大事な彼女だしな。
ただ、この場合は…“瑠璃”でいてくれた方が助かるんだけどなー……って話だ。そこは誤解しないでくれ。


まあしかし、こうなってしまったからには、例の半強制的手段に出るしかねーか…。
正直この方法は使いたくなかった。成功する可能性も限りなく低いかもしれない。
だが、このチャンスを逃してなるものか! 恋人との甘いひと時のためなら、俺は勝負に出てやるぜ!!

そう決意した俺は、さっきとは逆に黒猫の食事風景をじっと見ながら、来るべきチャンスを伺った。
…それにしても、黒猫の食べ方は綺麗だなぁ……。元々美味そうな弁当が更に美味そうに見えてくるよ。
なんつーか、箸さばきがイイな。きっと小さい頃から仕込まれてるんだろうね。
ちょ、ちょっとガツガツしてるような感じもするケド…お前、そんなに腹減ってたのか?

………ん?
なーんて言ってる間に、黒猫が一口サイズ(←ココ重要!)の唐揚げを箸でつまんだぞ!?今だ!

108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:04:13.76 ID:gqKd6v2y0

「な、なあ黒猫。俺にもその唐揚げくれないか?さっき食べた時美味しかったからさ。もう一個だけ欲しいんだけど…ダメ?」
「ええ…。別に構わないわ。それじゃあ貴方の分を残しておいてあげ――」

黒猫はそこまで言いかけてようやくこっちを見た。
そして動きを止めた。
そう、横目で隣をチラ見しながら口をパクパクさせて待機している俺に気付いたのだ。


…ふっ。どうよ?これが俺の秘策だ!
我ながら、さっきの腹押さえた黒猫並にわかりやすいジェスチャーだろ?
俺だってまさか直球で『ア〜ン♪してくれ!』とは言えんさ。
でも、これならさすがの黒猫も空気を読ん………で……………あれ?


「――な、何なの?その呆けた面構えは…?自分で鏡をよく見て御覧なさいな…。」

…って、こいつ明らかに不審がってるじゃねえかよ!!!ソッコー目逸らされたぞ!?
何でだ!?確かに100歩譲って怪しい行動なのは認めるが…こんなにもわかりやすいジェスチャーじゃないか!!!
何故俺の気持ちに気付いてくれないんだよ黒猫ォォォ!!!!!


その黒猫はいうと、どんよりと俯く俺の方をいかにも怪訝そうな目つきで見つめている。

「とにかく、見ているこっちが恥ずかしいわ。即刻その間抜け面を引っ込めて。」
「すいません……」
「ど、どうしてそんなに落ち込んでいるのよ!?」
「いや、別に…」

これにて作戦終了だな…。俺の小さな野望は儚く散ったというわけだ。
やっぱ無理だったか…。ちょっと高望みし過ぎちまったな…。
まあでもね!弁当作ってきてもらえただけでも大きな一歩だしね!続きはまた今度………

俺は気をとりなおして、弁当箱を受け取ろうとゆっくり顔を上げた。


しかし、“奇跡”というものは突然起こるものである。


俺は、黒猫がやけにそわそわしているのに気がついた。
今度はこいつが俺の方をチラチラ見ながら挙動不審になっている。明らかにこっちの様子を気にしている感じだ。
そして、意を決したように俺の方に箸でつまんだ唐揚げを向け……………

「…そ、そんなに落ち込んでいる暇があるんだったら………さっさと口を開いて頂戴っ。
…いつまで経っても………た、食べさせられないでしょう?」


こ、こいつ…もしかして、最初からア〜ン♪してくれるつもりで………

俺の心は、驚きと感動のあまり思わず大爆発を起こした。

「く、く………くろねこォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」
「なっ…!?!ば、場所を考えて頂戴!!そんなに大声で叫んで……はっ、恥を知りなさい、恥を!!!」
「痛っ!」

唐揚げと一緒に、羞恥で紅に染まった夜魔の女王からそこそこ威力のあるビンタを食らってしまったが、この時の俺は心底幸せだった。


109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:06:10.72 ID:gqKd6v2y0

☆☆☆☆☆


たった今、俺は愛妻弁当の最後に残っていたタコウインナーを飲み込んだところだ。

「――ごちそうさま。すげえ美味かったし、お前の手料理食べられて嬉しかったよ。ホントにありがとな。」
「大袈裟なんだから…。別に大したことではないわ。
でも………貴方をそんなに満足させられたのなら、こちらとしても用意した甲斐があったというものね。」

俺が心からの謝礼をすると、黒猫はフフッと笑って嬉しそうにこっちを見た。
その表情はとても穏やかで、さっきこの女の子にビンタされたなんて信じられないくらいだ。

ちなみにあの後は、真っ赤になって暴走する黒猫を何とかなだめ、《弁当箱交換制》を復活させて無難に弁当を二人で分けた。
それに伴い、さっきの逆バージョンである俺の幻の台詞・「黒猫。口…開けろよ。」はカットされてしまったわけだが。
ちょっと残念な気もしたけど、そうでもしねえとあの時の黒猫は弁当食うどころじゃなかったし…。
…とは言っても無言で食べてたわけじゃなく、今度はちゃんと料理を褒めるのも忘れなかったぜ!
黒猫には軽く受け流されたけど。
もっとも、俺はアイツの口元が緩んでいるのを見逃さなかったがな。いつも通り素直じゃないけど可愛いヤツだ。



「…そういえばさ、どうして今日は弁当作ってきてくれたんだ?今日は何かの記念日とかじゃない…よな?」
「ええ。今日は別に何の記念日でもないわ。」

その言葉を聞いて、俺はホッと溜息をついた。
実は密かに気になってたんだよ。“付き合ってから○日経った記念”とかだったらどうしよう、ってさ。
こっちからは何の贈り物も用意してないしな…。

「何なのかしら?そのいかにも安堵したような表情は…。…それと、“常闇の匣(ハコ)”を渡した理由ならさっきも言ったはずよ。
これは夜の住人となった貴方を光から守護するために――」
「いや、そうじゃなくてだな…俺たちの世界っつーか仮の世界っつーか……現世?人間界での理由?
え〜と、とにかく、普通の理由を教えてくれないか?」
「それは………」

ここで黒猫は、またさっきみたいに言葉を詰まらせた。
嫌な予感がするぜ…。まさか、暗黒理論再来か?俺はちゃんと“普通の理由”って言ったはずなんだけど…。
しかし、今度の黒猫はどっちかというと、『考えている』というより『言おうかどうか迷っている』ようにも見える。
発表するのを拒むくらいの“普通の理由”って何なんだろうか………?

「それは……………」

言いよどめば言いよどむほど、黒猫の声はどんどん小さくなっていく。そしてそれに比例して、顔もどんどん赤くなっていく。
そして最終的には、さっきのタコウインナーくらい赤くなって俯きながら、蚊の泣くような声で言った。

「…貴方に……会いに行くためよ………」

「…えっ?」


俺に……会いに行くため?どういう意味だ?


核の部分を口に出してしまって勢いがついたのか、黒猫は軽く赤面しながらも続けた。

「何よ?それが理由では不服だとでも!?」
「いやっ、別にそういうわけじゃないけど……それと弁当作ってきてくれたことに何の関係があるんだ?」
「相変わらず察しが悪いわね…。も、もし私が、貴方の昼食を作って持って行けば…こうして渡す時に会うことが出来るでしょう?」

『こんなことを私に言わせないで頂戴』とばかりに、黒猫はジト目でこっちを睨んだ。

鈍感で悪かったな!
でも、いきなりそんなこと言われたってよ……………

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:07:11.17 ID:gqKd6v2y0


確かに恋人らしいことは殆どしていないが、俺たちの仲は決して冷え切ってるわけじゃない。
一応毎日一緒に帰ったり、頻繁に遊んだりはしている。
『遊ぶ』とは言っても、いつも通り黒猫作のゲームを俺がデバックしたりするだけなんだけどさ…。
でも、言われてみれば付き合ってから一回も昼休みに会ったことはなかった。
俺がここんトコ課題に追われて昼休みにやってたってこともあるし、黒猫も最近は少しはクラスに馴染んできたみたいだし。
まあ…言ってみれば、『特に会う理由がなかった』ってことになるのかもしれない。


「要するに、俺に会う口実が欲しくて、それでわざわざ弁当を作って持ってきてくれたってこと…なんだよな?」

俺が再度確認すると黒猫は黙って控えめに頷いた。明らかに恥ずかしがっているのがわかる。
しかしその後すぐ、ハッとしたように顔を上げてこう続けた。

「で、でも!…だからと言って、一切手を抜いたりはしていないわ!
その…あ、貴方に喜んで貰いたかったということもあるし……。そこは、誤解しないで頂戴…」
「ああ、それはもちろんわかってるよ。」

そんなことくらい、いくら鈍感な俺でもあの弁当を食べればすぐにわかるさ。
あれは言い訳のためにテキトーに作ったもんじゃねえ、ちゃんと俺のこと考えて作ってくれたもんだってな。


「でもよ…そんなまわりくどいことしなくても、別に普通に会いに来てくれりゃよかったんじゃねえのか?
ウチの教室ってそんなに入りにくい雰囲気か?」
「だって…貴方は一応受験生の身だし……それに、ここ3,4日はずっと勉強していたでしょう?だから声をかけられなかったのよ…。
ほ、本当は今日だって、ただ渡して帰るつもりだったのよ?それを貴方が無理矢理連れ出すから…」

黒猫は相変わらず小さな声で恥ずかしそうに答えた。


なんだ。気を使ってくれてたのか。やっぱり、こういう気遣いが出来るところも黒猫の魅力だと思うね。
しかも3,4日の間、こそこそ俺の様子見に来てたんだぜ?実にいじらしいじゃないか。
でもごめんな…実は俺が最近課題に追われてたのは、深夜までエロゲやってたせいなんだ…。
いや、違うよ!?桐乃のヤツが強制的に……でも、ホントにごめんな…。

「そ、そうか!そりゃ悪いことしちまったな…。
でもな、別に俺だっていっつも勉強ばっかしてるわけじゃないぞ!?むしろ息抜きしてることの方が多いっていうか……。
と、とにかくさ!そんなに遠慮しなくてもいいじゃねえか。だって俺は――」

かなり間接的とはいえ、『エロゲのせいで彼女を気まずくさせた』という若干の後ろめたさを感じながらも、俺は決意を固めた。
さっきは言いそびれちまったが、俺はお前の隷属じゃねえんだぜ?
今度は恥ずかしくない。なんせ、こいつだって勇気出して本音言ってくれたんだしな!

「俺は――お前の彼氏だろ?彼氏に会いに行くのに、いちいち用事なんていらないじゃねえか。」
「あ、貴方という人はそんなことを平気で……。た、確かに、それは…そうなのだけれど……。
でも、貴方だって、今日私が来た時は真っ先に『何の用だ?』って確認したじゃない………」
「あっ、いや、それは…急に訪ねてきたからビックリしただけで……」

俺だって平気でこんなことを口にしたわけじゃない。でも、改めて考えてみても本当にその通りだと思ったんだ。
黒猫が俺に会いに来てくれた理由なんて、『恋人だから』で十分じゃないか。
わざわざ『何の用だ?』って訊くなんて、あの時の俺はやっぱり間違ってた。

しかし、黒猫は俺の言葉で動揺を露にしたものの、まだしぶとく完全にデレてはくれない。
更には思い切った様子で本音をぶっちゃけてきた。

111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:09:41.57 ID:gqKd6v2y0


「それに、何の理由もなしに会うなんて…。
そんなの………ぞ、俗に“バカップル”と呼ばれる、あの恥知らずな男女と変わらないでしょう!?
陰で何を言われるか、わかったものじゃないわ…」

…こいつ、そんなこと気にしてたのかよ!?普段はコスプレしながら平気で街歩いてるくせに…。
まっ、黒猫らしいと言えばらしいけどさ。
でもバカップルってのは、なんかこう…人前でも平気でキスとかしてイチャつくようなやつらでさ、少なくとも俺らは違うと思うぞ?
それに――

「別にいいじゃねえか。バカップルで何が悪いんだよ?俺はお前とだったら、そういう噂がたっても嫌じゃないぜ?」
「わ、私は厭よ!少しは世間体というものを気にしたらどうなの!?」

嫌なのかよ!?せっかく俺がそこそこ勇気を出して言ってやったのに!
まあ…照れ隠しだってこたぁわかってるけどよ。でもな、それでもちょっとは傷付くんだぞ!?
だが、ここまで来たら俺も引かないからな。さっきみたいに奇跡を起こしてやるぜ!


「…なら、理由があればいいんだな?」
「…えっ?」

黒猫はさも意外そうな顔でこっちを見た。こころなしか少し期待しているような感じもする。
ただでさえこいつは素直じゃないんだから、こういう時くらいは俺から積極的に動かねえとな。
俺は話を続けた。

「だったらさ、暇な時だけでいいんだけど…昼休みは俺の勉強を見ててくれないか?
監視役みたいなノリで、『ちゃんとやってるか』ってさ。」
「私が……先輩の勉強の監視を?」
「場所は…図書室にでも行けばいいし。あそこは確か、飲食出来る場所もあったよな?」
「飲食場所もあったと思うけれど…。先輩は大丈夫なの?その……私がいたら、邪魔になったりしない?」
「大丈夫だよ。むしろ昼休み中ってなんかダラダラしちゃうことの方が多いしさ。お前が監視しててくれた方がはかどると思うんだ。
それにな…俺だって、お前と一緒に昼休み過ごしたくなったんだよ!…ダメか?」

実際、これは本当だ。所詮1時間足らずしかない昼休みってのは勉強しようと思っていてもなかなか身が入らないことが多かったりする。
側であの猫の如き鋭い眼光で見られていると思うとサボれないだろうし、俺もそろそろ更なる本気を出さなきゃならない時期だし…。
まあ、丁度いい機会だ。
桐乃には悪いが、二次元妹の攻略はしばらくお預けとしよう。

もちろん最後の一言も本当だ。これは別にリップサービスじゃなくて、紛れもない俺の本音だよ。
あれだけ自分の彼女のいじらしい一面を見せられたら、男ならこう思って当然だろ?
でも、どうやら相手にとってはこれが殺し文句になったらしく……………


「し、仕方がないわね!?そこまで言うなら…昼休みは『毎日』貴方の為に時間を割いてあげてもいいわ?
た、単なる使い魔である貴方ごときが夜の支配者である私の時間を拘束出来るなんて、身に余る幸福に感謝なさい!」


…ふう。俺の願いは、なんとか女王様に聞き入れてもらえたみたいだ。
黒猫の声はいかにも渋々感を装ってはいたが、その表情はどう見ても機嫌が良さそうだった。
ツンデレというか厨二デレというか…相変わらず素直じゃねえけど、これも黒猫だ。
俺はこいつの彼氏なんだぜ?こいつの言葉の裏側に隠されたデレメッセージくらい、余裕で解読出来るさ。
もっとも、まだ例の暗黒理論はよくわからんが……こっちは、これから徐々に慣れていけばいいよね!?


それとな…『黒猫は思いがけない幸福を運んでくる』って信じられてる地域もあるみたいだが、
俺の黒猫は時折、思いがけないデレを運んできてくれるんだぜ!?
さっきのア〜ン♪もそうだっただろ?
あとは…そうだなぁ……………例えば、こんな風に。


112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:11:25.31 ID:gqKd6v2y0

「あの…先輩?」
「ん?」
「先輩がもしよければ、の話なのだけれど…。
そういうことなら、昼食は……わ、私が毎日用意してあげてもいいのよ?」
「…えっ!?ホントか!?」

こういうのを『棚からぼた餅』っていうんだったっけ?まあいいか。
…これってアレだろ!?明日からは『毎日』“常闇の匣(ハコ)”が…じゃなくて、あの愛妻弁当が食えるってことだよな!?

俺が予想外の展開にポカーンとしていると、黒猫が心配そうな顔になった。
いけねえいけねえ。弁当の感想の時といい、こういう時はすぐに返事しないとダメなんだったぜ。

「どうしたの?べ、別に強制するつもりはないから…厭なんだったら………」
「いや、そんなことない!普通にすごく嬉しい!
お前の弁当が毎日食べられるなら、昼休みはもちろん、眠くなる午前中の授業も頑張れそうな気がしてきたぜ!
…でも、毎朝手間かけさせんのは何か悪いなぁ……。お前は大丈夫なのか。」
「それは問題ないわ。
どちらにせよ妹の分は毎朝作らなくてはならないし、いつも食材が中途半端に余ってしまうから私は構わないのだけれど…。
…ど、どうかしら?」

これでもう、遠慮はしなくていいんだよな?
よーし、そういうことなら……俺の言葉はこれで決まりだ。

「じゃあ遠慮なくお言葉に甘えさせてもらうぜ!黒猫、明日からよろしくな!今日みたいに美味いの頼むぞ!?」
「ふふふ…。当然でしょう?明日は先輩を更なる深淵の闇へと誘うことを約束するわ。」

…更なる深淵の闇、か。
よくわからんが、こんなに自信たっぷりに豪語してくれてんだから、こりゃかなり期待してよさそうだな。
明日が楽しみになってきたぜ!


113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:12:20.28 ID:gqKd6v2y0

☆☆☆☆☆


腕時計を見ると、もうすぐ昼休み終了のチャイムが鳴る時間になっていた。

「…そろそろ、戻らねえとな。」
「そうね。」

黒猫の教室訪問サプライズから始まって………今日の昼休みは、俺たちにとってやけに充実してた気がする。
だがもうすぐ、俺と黒猫が初めて過ごした『恋人同士の昼休み』は終わるのだ。そう考えると少し惜しい感じもしてくる。
…まあ、明日からはずっとこんな感じだけどな!


「先輩。明日は、図書室の前で待つことにするわ。」
「了解だ。確か今日はゲー研ないよな?じゃあ、帰りはいつも通り校門の前で。」
「ええ。それじゃあ…」

俺たちは階段の前で何気ない会話を交わして、互いに背を向けて歩き出した。
――が、その直後に俺は黒猫に呼び止められた。

「先輩!」

その声は、昼休み終了間近に発生する独特な雑踏に混じっていてもよく聞こえた。
そして――

「帰りは…なるべく早く校門に来て頂戴。私も努力するから…。夜魔の女王を待たせたら、その代償は高くつくわよ?」


これはもう、こいつが何言いたいのかは黒猫初心者でもわかるよな?
というか、隠れてるかどうかも怪しいレベルだ。

…俺か?
俺はもちろん、自分の中では最高の笑顔で応えたつもりだよ。

「おう!びっくりするくらい速く行くから任しとけ!」ってさ。







これから教室に帰ったら、俺はクラスのヤツらに黒猫のことで尋問されるだろう。
「ホントにあれお前の彼女か?」なんてね。
でもその時は、逆に思いっきり自慢してやろうと思ってる。

見たかお前ら!俺の彼女は、あんなに可愛いんだぜ!

…ってな。

(終わり)
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/03/28(月) 23:16:33.56 ID:gqKd6v2y0
以上です。
なんか一人で長文書いてしまって申し訳ないです…。
アドバイスをくれた方々、ありがとうございました。
せめてwiki掲載分の「魔翌力」は、過去作含めて自力で直してみようと思います。
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:28:51.38 ID:2yLxFpXDO
黒猫たんマジ堕天聖!
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/29(火) 00:06:48.42 ID:d0RfmdU0o
乙だぜぃ。
この黒猫さんはデレ成分多めで良いですな。
次も期待してる!

料理ネタか……。いいな。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 01:34:42.67 ID:VaS1x3SSO

デレ猫可愛い
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/03/29(火) 02:00:54.25 ID:ja2TVrIl0
一応黒猫の家は生活はまともにできてるんだよな?生活費の切り詰めで弁当を一人分しか用意できなかったとかだと中猫・末猫が哀れだな。
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/03/29(火) 02:04:54.52 ID:uH4czZPg0
京介×桐乃 SF要素あり
初投稿です読んでいただけると嬉しいです

二時十分ごろからあげていきたいと思います
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/03/29(火) 02:09:11.79 ID:uH4czZPg0

「俺の名前は高坂京介ごくごく平凡な高校生だった。だったというのはこの春俺は高校を卒業し、大学生となるからである。
 そして今日は幼馴染である田村麻奈美と大学で使う(予定)の電子辞書を買うために近所の電気屋へ向かう予定だ・・・・いかんいかんこんなこと話してる間に時刻は12:55約束の時間に遅れちまう。
俺は自室のベットから立ち上がり、下へ降りて行った。

「「なんであんたが出てくんのよ!?」」
電話でもしているのだろうか、リビングのほうから馬鹿でかい声が聞こえてくる。声の主は高坂桐乃、俺の妹である。この妹には何度も何度も困らされてだな・・・・いや、やめておこうこの話をすると文庫本7冊ぐらいはかかりそうだ。
関わるとまずいことになりそうな予感がする。ここは関わらぬのが得策っ!長年の経験がそう言っている!
「いってきます。」
俺はさっさと家を出た。


自宅から歩いて数分、田村屋へと到着し俺は押しなれたインターホンを押す。
ピンポーン
ドタドタと騒がしい足音が聞こえてきて扉があいた。
「ハイよっ!ってなんだアンちゃんか。」
「ようロック久しぶりだな。麻奈美はいるか?」
「オウいるぜ、ねぇちゃーん!!アンちゃんが来たぞぉい!!」
「今いくよぉ。」
今度はパタパタと足音が聞こえてきて俺の幼馴染でありお婆ちゃんでもある麻奈美が出てきた。
「少し早かったか?」
「そんなことないよぉ。」
「そうか、じゃあとっとと行っちまうか。」
「うん、そうしよっか」
俺たちは田村家を後にし電気屋へと向かった。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/03/29(火) 02:10:50.43 ID:uH4czZPg0
 
三十分ほど歩き電気屋についた。運がいいことに渡った信号はすべて青で、30分ほど早くつき時刻は2:00。
「電子辞書は2階に売ってるみてぇだな。」
俺は店内案内版を見て言った。まぁ秋葉の電気屋を散々見た俺は案内板など見なくてもどこに何があるのかなんて感覚でわかるけどなっ!・・・・なんか悲しくなってきた。
「どうしたの?京ちゃん。」
「なんでもねぇよ。」
電気屋のことを詳しく知りすぎてて、悲しくなってました。なんていえるか!!


「はぁ〜電子辞書って言ってもいっぱい種類があるんだねぇ。」
「まぁどれ選んでも大した違いはねぇだろ。」
と言ったもののどれを選んだらいいものか全くわからず、結局店員のお世話になったのは内緒だ。
時刻は2:45俺は真っ黒の電子辞書、麻奈美は俺と同じ機種の真っ白の電子辞書を購入し本日の予定はこれで終了だ。
一階へ降りる途中さっきまで俺たちがいた電子辞書のコーナーに桐乃がいたような気がしたが。・・・まぁ気のせいだろう、あいつがこんな小さな電気屋に来る訳もないしな。



「キ・・・・ア・・・・キィ!!」
店を出て数分歩いたところで誰かが俺を呼んだ気がした。
 振り向く
→振り向かない
気のせいだろうと俺は再び歩き出そうとした瞬間
「うぉっ!?」
俺は後ろから誰かに突き飛ばされた、慌てて後ろを振り向くと・・・
ドン!!!
脳まで響き渡る鈍い音が聞こえ、喉が一瞬にしてカラカラになる、俺は目の前で起こった出来事を全く理解することができなかった。
「桐…乃?」
小さな声でゆっくりと呼びかけた。
なんだ?どういうことだ?目の前で妹が桐乃が車に轢かれた?
「桐乃!!」
俺は倒れている桐乃へ再び声をかける今度は強く大きく。
返事は返ってこなかった……………

122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/03/29(火) 02:12:34.19 ID:uH4czZPg0
 
俺の妹が死んで一週間がたった。死因は交通事故、酔っ払い運転。
・・・そう・・わかっているのに実感が湧かない、「妹」が死んだという実感が。いや分かりたくないだけなのかもしれない。
親父、お袋、麻奈美、黒猫、沙織、あやせみんな口をそろえてこう言う。
「お前は悪くない…悪いのは犯人だ」
「アンタは悪くないわ…」
「京ちゃんはわるくないよっ!」
「先輩…貴方は悪くないわ自分を責めないで?」
「京介氏!京介氏は決して悪くございませぬどうか自分を責めないでください。」
「お兄さんはっ悪くないですから…」
なんでだ?俺があの時「振り向いて」いれば桐乃は…助かったのかもしれないのに。
俺がまた深い深い自己嫌悪に陥りそうになったとき
Prrrrrr prrrrr prrrrrr
電話が鳴った・・・
「誰だよ…」
俺は誰から繋ってきたのかも来たのかも確認せず電話に出た。
「「あっもしもしあやせ?たしか今日暇だったよね?」」
聞き間違えか?いや聞き間違えるわけがねぇ!
「桐乃...なのか?」
「「なんであんたが出てくんのよ!?」」
「っ!?なんつー馬鹿でかい声をだしやがる!?鼓膜が破れるかと思ったわ!」
「「うっさい!!あやせの携帯からなんであんたが出てくんのよっ!!」」
落ちつけ俺が今電話している相手は死んだはずの桐乃。・・・どうなってやがる?
「「早く答えなさいよっ!」」
「ちょっと待てこれは俺の携帯だぞ?」
俺は現状に戸惑いながらも真面目な声で言った。
「今から俺の質問に答えてくれ。」
「「な、なんなの?」」
「お前は今生きているのか?」
・・・なんつーアホな質問だこれっ!?
「「はぁ?何言ってのアンタ頭大丈夫?」」
うぐっ、さすがに今回ばかりは否定できねぇぜ。
「じゃあ今日は何日だ?」
「「チッ...いい加減にしてよね?」」
「いいから。何日だ?」
「「・・・・3月の20日だけどそれがなに?」」
「まじかよ。」
俺は思わずそうつぶやいていた。だって信じられるか?今日は27日だぜ?すなわちこの電話は過去から繋ってきたことになるんだぞ?そんなのアニメやマンガの話だろ?
・・・だけどこれは違う現実だ。
「「で?なんなの?どういうことなのか説明してくれる?」」
「桐乃、黙って俺の話を聞いてくれないか?バカなこと言ってると思うだろうが嘘じゃない。」
「「・・・・言ってみなさいよ。」」
「俺の今日の日付けは27日なんだ、・・・たぶんこの電話は過去から未来へと繋がっている。」
「「アンタ自分が何言ってんのかわかってんの?」」
桐乃から呆れたような声が聞こえてくる。いや実際に呆れてるのだろう。俺だって今自分で言ったことが信じきれてねぇ。だけど
「ああわかっている、嘘じゃねえ頼む信じてくれ。」
「「そんなの信じれるわけn「20日にオメェが死んじまったんだよ!!俺は今死んだはずの奴と今電話してんだよ!」
「「何・・言ってんの?え?アタシが死んだ?」」
「・・・・・・」
「「ちょっと?え?」」
「交通事故で…俺をかばって………」
気づくと俺は泣いて桐乃に頼んでいた。
「頼むっ!今日1日家から出ないでくれ、そしたら未来が今が変わるかもしれねぇ。俺はお前に死んでほしくなんかねぇんだよ!」
ブツッザザーー
電話が切れた-----
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/03/29(火) 02:15:07.20 ID:uH4czZPg0

「「もしもし桐乃?」」
「えっあ、あやせ?」
「「どうしたの?桐乃?」」
「えっとあっとや、やっぱ後で話すね!」
「「え?あ、うん」」

・・・夢だったのだろうか?未来の兄貴に電話がつながって?アタシが死んで????
冷静になり兄貴の言ったことを考える…アタシの兄貴は冗談であんなことを言う人間ではないましてや泣きながらなど。
つまり「あの」兄貴の言ったことは本当のことなの?考えたところで答えが見つかるはずもなかった。
兄貴曰くアタシは兄貴をかばって死んだらしい、そこで一つの疑問が頭の中に浮かび上がってきた。じゃあアタシが兄貴をかばわなかったら?
最悪の結末を考えてしまいアタシはリビングを飛び出し兄貴たちが行った電気屋へ走っていった。時刻は1:45分


アタシの脚なら走って15分あればつくはずだった。
「なんでこんな時に限って信号が赤ばっかなのよ!?

運が悪いことに渡った信号はすべて赤、30分ほど遅れて時刻は2:30ようやく電気屋へとついた。
兄貴たちが何を買いに来たのか知らないアタシはまずは一階をしらみつぶしに探すことにしたが全くみつからない。この階にはいないのだろうか、アタシは二階を探すことにした。時刻は2:45
エスカレーターに乗っている時間が惜しい、アタシはエスカレーターを一気に駆け上がり目についた電子辞書のコーナーへと向かった。しかしここにも兄貴たちの姿はない、だんだん不安と焦りが募り口から弱音がこぼれていた。

「だめだみつからないよぉ」
アタシは頭をぶんぶんと振り、泣いてしまいそうになった自分を奮い立たせ、再び兄貴を探し始めた。

「あっあれ!」
二階の窓からふと外を見ると兄貴らしき人物が地味子らしき人物と歩いている、まちがいないアタシがあの二人とほかの誰かと見間違えるわけがない。
今まで何度も見てきたあの二人の後ろ姿・・・絶対・・絶対見間違えるわけがない。
アタシは店を飛び出し二人のもとへ急いだ。

「はぁ・・・はぁ・・はぁはぁっ・・」
やっと…おい…ついたっ…
アタシはカラカラになった喉を振り絞り大声で叫んだ。
「アニキ・・アニキィイィィイイ」

124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/03/29(火) 02:17:40.17 ID:uH4czZPg0

桐乃が・・・俺を呼んだ気がした。
→振り向く
振り向かない
っ!?なんだあの車!?こっちに突っ込んで来てやがる!?俺は考えるよりも先に桐乃のもとへ向かい桐乃を抱え、ハリウッドもびっくりな動きを繰り出し突っ込んできた車から回避することに成功した。
「大丈夫か桐乃!?」
「だいじょぶだよ・・あんたは?」
「ああ大丈夫だ。」

少し腰をひねったけどなっ!慣れないことはするもんじゃねーな・・・だけどもし俺が「振り向かなかった」ら考えただけでぞっとするな。
だがこれもそうとうな事故だろう。あ〜あ電子辞書がつぶれてやがる。

「京ちゃん、桐乃ちゃんだいじょうぶ!?」
「ああ俺も桐乃も怪我はねぇよ。お前は大丈夫か?」
「うん、だいじょうぶ」


この交通事故はどうやら運転手の酔っ払い運転が原因だったらしい。翌日の新聞に小さいながらも記事が載っていた。

事故の日の夜俺は桐乃からこんな話を聞かされた。
「実はね・・・・・・」
まったくアニメやマンガじゃねぇんだからそんな話があるわけねぇだろ
……しかし俺には桐乃が嘘を言っているようには不思議と聞こえなかった。


〜end〜
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/03/29(火) 02:22:58.67 ID:uH4czZPg0
以上です
あらためて見てみるとこれはひどいww
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/29(火) 03:16:01.32 ID:prjWRUmeo
乙!
鬱かと思ったらそういうSFかww
面白かったよ

空行あけるところとあけないところ、とか、そういう決まり(統一感)を作ると読みやすくなると思う。
細かいこと言うと他にも色々あるけど、まとめWikiとか読んで、他の人の書き方を参考にするといいかも。
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 03:20:41.54 ID:34+99KxDO
乙だぜぃ。
ジュブナイルっつうの?
こういう要素を含んだSSって、俺妹じゃ見たことなかったから新鮮だったぜ。
最初の文を見たときは、「きょうちゃん、ついに一人語りが声に出るようになっちゃったのね……」って思ったがwwww

ただ、麻奈実の名前を間違えたのは、麻奈実好きの俺としては許せねえ!
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/03/29(火) 03:28:04.11 ID:uH4czZPg0
>>126
たしかにめちゃくちゃ読みずらいですねww
またあげる機会があれば気を付けたいです

>>127
すんません
確かに麻奈美ってなってますねww気が付きませんでした
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/29(火) 03:47:07.45 ID:6GvTPAvAO
乙。
俺妹で多世界解釈とは珍しい……って自分も書いてたな、前

願わくば桐乃を喪った>>122の京介にも何らかの救済があってほしいが。
電話はまた繋がったりしないんだろうか。
それはそれで切ないか…

脳内BGM:Karmaで
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/29(火) 03:56:59.85 ID:prjWRUmeo
>>128
おせっかいかもしれないが、wikiの方で気になった点を手直ししてみた
http://www43.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/333.html

話は面白かったので、また次回作を期待してます!
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/03/29(火) 04:52:48.89 ID:Y77bPy9o0
世にも奇妙な物語 「過去からの電話」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 04:59:01.59 ID:NvdvRlpDO
>>114
厨二デレに悶絶させていただきました
かわいすぎだろww
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/03/29(火) 07:24:36.25 ID:rh0aeKD3o
>>114

黒猫ちゃんマジ堕天聖

>>125
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/29(火) 07:45:19.05 ID:k/+kPwVT0
>>125
乙です
こういうのは『結局過去は変えられない』ってのが王道だけど、安心のエンドでよかった!
次作も期待してます!
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 10:32:10.44 ID:uAneUb2IO
>>125
乙!次回作も期待
それと通話中の相手のセリフは「「」」よりは『』のが読みやすいかも
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/29(火) 11:53:25.79 ID:RFPt7PBco
>>125
最初桐乃の台詞が二重にカギ括弧で括られているので、桐乃の存在が多重化しているのかと思った……。
場面毎に、肉声は普通のカギ括弧、電話からの音声は二重カギ括弧の方が見易いかな。
あと、・・・は…(三点リーダ)に変換した方が良いかも。
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/29(火) 12:18:33.61 ID:d0RfmdU0o
ちぃ、間に合わなかったか。
13話配信前に投下しようと思ったのだが……まあいい。
京介×桐乃の短編でござる。ただし、イチャイチャは無い。

以下、投下。
138 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/03/29(火) 12:19:51.72 ID:d0RfmdU0o
「は?親父が入院?」
『そうなのよ。まあ、検査入院なんだけどね』

昼休み。
満腹感と午前中の疲労が睡魔を呼び寄せるこの魔の時間、俺の安眠を妨害したのはお袋からの電話だった。
なんでも、この間の健康診断で肝機能関係に異常が見られた親父の検査入院に付き添うから、今日は帰りが遅くなるとのことだ。
ウチの親父は結構酒を飲む。毎晩の晩酌も、酔ったところを見たことが無いから意識していないが、飲酒量は多いのだ。
こう言っちゃなんだが、来るべき時が来た、って感じだな。
親父のことも心配だが、今一番の心配事は……。

「メシまでには帰ってくるの?」
『う〜ん、多分無理ね。だから、適当に食べておいてくれる?お金はいつものところに置いてあるから』
「あいよ。親父によろしく言っておいてくれ」

通話を終え、ケータイをポケットに仕舞った俺は、再び昼寝の体勢に入った。
だが運の悪いことに、そこで昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。


ーーーーーーーーーーーー


「ただいま〜」

いつもの丁字路で麻奈実と別れ、家に帰宅した俺を迎える者はいない。お袋は病院だしな。
リビングの扉を開けて中に入ると、すでに定位置となっているソファの上で、桐乃は寝そべりながら電話をしていた。
話し方から察するに、学校の友達が相手のようだ。つうか、いるなら「おかえり」くらい言えよ。別にいいけどよ。
桐乃の脇を通り過ぎ、俺は冷蔵庫に向かった。
いつもなら冷蔵室の扉を開けるだけだが、今日は野菜室の中身も確認する。
残念なことに、ろくな食材が入っていなかった。これはお袋が怠慢なわけではなく、逆に毎日マメに買い物をしているので買い溜めがあまり無いだけだ。
俺は一度自室に戻り、鞄を置いて服を着替えると、再度リビングに向かった。
お袋が買い物の時にいつも使っている財布を持ち、出かける準備をする……と、その前に。

「スーパー行ってくるけど、欲しいものあるか?」

いつの間にか電話を終えた桐乃に一声かけた。
桐乃はファッション誌を読んでいて、こちらを一瞥もしない。

「じゃあ、アイス。ダッツのいちごね」
「あいよ」

何も言ってこないところを見ると、こいつにもお袋からの連絡は行っているようだ。
出来合いの惣菜を買ってくると思ってるんだろうが、今日はちょっと違うんだぜ、桐乃。
俺は心の中でだけそう呟き、家を出た。
139 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/03/29(火) 12:20:47.96 ID:d0RfmdU0o
ーーーーーーーーーーーー


「さて、はじめますかね」

スーパーで食材と妹様ご所望のアイスを買ってきた俺は、アイス以外のものをキッチンに広げて独り言ちた。
手も洗い、エプロンも付けて準備万端だ。
ここで、俺が何をしようとしてるか、一応説明しておこう。ずばり「料理」だ。
……気のせいか、やたら心配そうな視線を感じるな。
言っておくが、俺だって料理くらいできるぞ。そりゃ毎日やってるお袋や、料理を趣味としている麻奈実には負けるけどな。
俗に言う「男の料理」というヤツだけどな。……オイ、だからそんな目で見るなっての……はぁ。

気を取り直して、まずはサラダからだ。
レタスの葉を6〜7枚、食べやすい大きさに手で千切り、水にさらしておく。
水洗いしたトマトはヘタを落とし、少し大きめに切る。6等分くらいでいいかな。
皮を剥いた人参は薄く細長くスライス。胡瓜もスライサーで薄くスライス。
レタスの水を切り、切った野菜を深めのボウルに全部入れる。その上からコーンを適量。俺はコーンが好きなんで少し多めに。
野菜にごま油をかけて混ぜ、その上から塩を少々。最後に、もう一度軽く混ぜる。
レタスを一枚つまんでみた。うん、美味いな。ごま油の香りが良い感じだ。
出来上がったコイツは冷蔵庫に入れておく。

次は味噌汁。今日の具は玉葱にするか。
皮を剥いた玉葱を丸ごとラップに包み、レンジで30秒ほど温める。これは、玉葱を煮込む時間を短縮するためだ。
温めた玉葱を半分に切り、そこからざく切りに。

……と、そこでリビングの扉が開いた。今、この家にいるのは俺以外に一人しかいない。

「アンタ、なにしてんの?」

もちろん桐乃だ。ここで桐乃以外のヤツが出てきたらめちゃめちゃ驚くけどな。
それにしても……「なにしてんの?」は無えだろう。キッチンに立って包丁を使ってたら、誰が見てもわかると思うんだがな。

「見りゃわかるだろ」
「……刃物を扱う練習?」
「間違っちゃいないけど、絶対ブラックな意味合いを込めて言ってるよね、それ!?」

まったく、失礼な野郎だぜ。女の子だけどよ。
あやせじゃねえんだから、んなワケあるか。おっと、こういう時にあやせを引き合いに出すのは良くねえな。
見た目だけなら天使だし、もしバレたら何されるかわかったもんじゃねえ。ふぅ〜、くわばらくわばら。

「料理だよ、料理。晩飯作ってんだ」
「はぁ?アンタ、料理なんて出来んの?」
「簡単なモンならな」

失礼な桐乃はほっといて、さっさと作っちまおう。
鍋に水を入れて、火にかける。沸騰する前に微粒タイプのだしの素と味噌を用意。
水が沸騰したら、だしの素を適量。さっき切った玉葱を入れて、しばらく煮込む。頃合いを見て、味噌をゆっくり溶かしていって……、

「あんた、マジで本物?なんか妙に手慣れてるんですケド……」
「うっせーなぁ。味噌汁くらい、小学生でも作れるだろうが」
「頭を引っ張ったら皮が剥がれて別の顔が、なんてこと無いよね?」
「そんなに心配なら銭形のとっつぁんを呼んでこい」

ったく、本当に失礼だな。料理作ってるだけでルパン扱いしやがって……。あれ?ルパンって料理上手な設定ってあったか?
まあいい。そいつは重要じゃねえからな、今は。俺は味噌を溶かしながら、桐乃の顔を見ずに質問した。

「お前、俺が作ったメシは食いたくねえの?」
「当たり前じゃん。あんたの作った料理なんて、どんな暗黒物質が出てくるかわかったもんじゃないし」
「へーへー、さいですか」

そりゃ、今まで俺がキッチンに立った光景なんて見たことないだろうからな。そう言ってくる気持ちもわからんでもない。
でもさ、もう少しオブラートに包んで言ってもよくね?激しく傷付いたわ。
食いたくないんなら好きにすればいいさ。桐乃のことなんざ無視無視。
味噌を溶かし終え、フタを閉めて弱火でしばらく煮込む。その間に、桐乃は冷蔵庫を開けて飲み物を持ち、リビングから出ていった。
140 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/03/29(火) 12:21:14.26 ID:d0RfmdU0o
最後はメインだな。
軽く洗った茄子のヘタ部分と下のでっぱりを切り落とし、縦に半分に切る。そこから包丁を斜めにして細かく切った。厚さは6〜7mmくらいか。
切った茄子はざるに入れ、しばらく水にさらす。
豚バラ肉を食べやすい大きさに切り、軽く湯にくぐらせる。余分な脂を落とすのと、調理時間短縮のためだ。
熱したフライパンにサラダ脂を少量入れ、豚肉を少し焦げ目が付くぐらいまで炒める。
そこに切った茄子を投入、少しくたっとなるくらいまで炒める。
その後、あらかじめ湯で溶かしといた味噌と少量の酒を入れて、具材とよく混ぜ合わせながらしばらく炒める。
……さっきから炒めてばかりだが、こうするんだからしょうがない。
味噌とよく絡まったら、塩・コショウで味を調える。ここは好みが別れるところだが、俺は薄味が好きなのであまり入れない。
最後に、香り付けのために醤油を数滴垂らして……と。あとは弱火でしばらく放置。味噌が焦げ付かないように注意な。


コンロの火を止め、エプロンを外す。時計を見ると、時間は6:50。いつもならまだメシの時間じゃない。ま、今日は二人だけだし、律儀に守ることもないだろう。
豚肉とナスの味噌炒めを皿に移し、サラダと一緒にテーブルに乗せて、俺はリビングを出た。
階段を上がり、桐乃の部屋の前まで移動して、ドアをノックする。

「メシ出来たぞー」

返事が無いが、まあいい。
俺は溜息を吐いて、その場を去った。
141 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/03/29(火) 12:21:44.91 ID:d0RfmdU0o
ーーーーーーーーーーーー


自分用のご飯と味噌汁をテーブルに置き、さあ食べるかと思ったところでリビングの扉が開いた。
桐乃はこちらを一瞥すると、すぐにそっぽを向いてしまった。何がしたいんだ?

「お前も食うか?」
「……うん」

桐乃はしばらく黙っていたが、頬を赤らめながらこちらを見て、小さな声でそう言った。
俺は席を立ち、桐乃の分のご飯と味噌汁を用意する。
いつもの位置に座り、二人揃って箸を持つ。

「「いただきます」」

俺はまず味噌汁に手を掛けた。
だしの味もしっかりしてるし、玉葱もいい感じにクタクタだ。俺一人だけなら、玉葱をごま油で軽く炒めてから味噌汁に入れるんだけどな。
ただ、そうすると香ばしさは出るんだが、油分が多くなる。天下の読者モデル様がいるんだから、油の多用は控えた方がいいだろう。
桐乃も味噌汁を飲んでいた。汁を飲み、玉葱を食べる。よく見てないとわからないレベルだが、どうやら少し驚いているようだ。

「どうだ?」
「へ?」
「美味いか、って聞いてるんだよ」
「え……あ、えと……。ま、まあ!悪くないじゃん!」

桐乃は頬赤らめながら、感想を述べた。褒め言葉として受け取っておこう。

次はサラダだな。ボウルから好みの量を小皿に移し変え、そのまま野菜をつまむ。
野菜の歯応えが心地よく、塩で味は調っており、ごま油の香りが鼻を抜ける。うん、我ながらいい出来だ。
桐乃はそれを見て、俺と同じように食べ始めた。口に入れて数秒後、今度はわかりやすい表情で驚きを示した。

「これ、何のドレッシング?」
「いや、ドレッシングは使ってねえよ。ごま油と塩だけだ」
「へぇ〜」

油を使っているので、これはダメ出しされるかと思ったが……どうやら妹様もお気に召したようだ。

最後はメインのアイツ、豚肉とナスの味噌炒めだ。
これも小皿に移し変えて食べる。う〜ん、もうちょっとコショウが利いてても良かったかもな。これはこれで美味いんだけど。
さて、桐乃の反応は……?
おし、表情を見る限りでは悪くないな。

「これ、味噌使ってるよね?」
「おう」
「味噌汁もあるのに味噌使うとか、ネタ被りもいいトコなんですケド」
「うっ……」

ご、ごもっともです……。
自分の好きなモンを作ったから考えてなかったが、言われてみれば確かにそうだな。
はぁ、次からは気をつけよう。次がいつになるかはわからないけどな。
俺が桐乃に凹まされていると、リビングの扉が開き、見知った姿が現れた。
142 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/03/29(火) 12:22:12.67 ID:d0RfmdU0o
「ただいま〜」
「あれ?お母さん、もう帰ってこれたの?」
「ええ。お父さんに、『俺はいいから、早く帰りなさい』って言われちゃってねぇ〜。まあ、動けないわけじゃないんだし、後は看護師さんに任せてきたわ」

スーパーの袋を提げて帰ってきたお袋は、少し呆れた感じでそう言った。
親父も、いきなりのことで俺たちを心配して言ったのかね。今は自分の心配しとけっての。
買ってきたものを冷蔵庫に入れようと動き出した……ところで、お袋はテーブルの料理に気付いたようだ。

「あら、晩御飯作ったのね」

そう言って、サラダをひとつまみ。お袋、行儀が悪いぞ。

「へぇ、なかなか美味しいじゃない。今度から桐乃に作ってもらおうかしら」
「え?あ、あの……それは……」
「何言ってんだよ。それ作ったの、俺だぞ?」
「え!?」

俺の言葉を聞いたお袋は、それはもうわかりやすすぎるくらい驚いてくれた。桐乃といい、ウチの女どもは失礼なのばっかだな。

「あんた、料理なんて出来たの?」
「多少はな。サラダくらい、別に難しくないだろ」
「へぇ〜。じゃあ、こっちの炒め物は桐乃が作ったんだ?」
「それも俺だ」
「え!?」

お袋、わかりやすいリアクションをありがとう。だが、そろそろ控えてくれると嬉しい。
地味に傷付くからね、それ。

「じゃ、じゃあ!味噌汁ね!味噌汁は桐乃が作ったのよね!!」
「え……と……」
「それも俺」
「…………」

へんじがない。ただのおふくろのようだ。
しばらく呆然としていたお袋だが、意識が回復した途端、こう言いやがった。

「あんた、本当に京介?」
「親娘揃って失礼だな!?」

もうヤダこの家!田村さん家の子になりたい……。


ーーーーーーーーーーーー


それから二日が経ち、親父は家に帰ってきた。
とりあえず大丈夫なようだが、医者からは酒を控えるように言われたらしい。へへっ、ざまぁみやがれ。お大事にな。
お袋も入院初日しか病院には行かず、その後俺がキッチンに立つことはなかった。
家族四人で過ごす、いままでとなんら変わらない日常がまた訪れ、高坂家は至って平穏である。

ただ、一つだけ変わったことがある。
俺が晩飯を作った次の日から、桐乃がキッチンに立ってお袋を手伝い始めたことだ。
どういう心境の変化だろうね。
そんな桐乃に俺が苦しめられる事件が起こるわけだが、それはまた別の話だ。


おわり
143 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/03/29(火) 12:23:38.83 ID:d0RfmdU0o
以上。

黒猫さんの弁当話に触発されて書いた。反省はしていない。
今後はこのトリ付きで投下するっす。さあ、13話見よっと。

ありがとうございました。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 13:49:26.47 ID:VaS1x3SSO

料理の出来る男子はカッコイイぜ
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/29(火) 14:58:24.42 ID:sOXPFpWs0

母親が知らないってことは田村さん家で覚えたとか?
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/29(火) 15:32:22.06 ID:sg13NJs9o
おつ。ごま油+塩って美味いよな

原作ではかわいいと思えなかった瀬菜がアニメだとかわいいだと……
いったいどういうことだ
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/29(火) 18:49:22.94 ID:k/+kPwVT0
乙です
京介さんにこんな才能があったなんて…
見てたら腹が減ってきたので飯食ってくる
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/29(火) 21:58:03.80 ID:6GvTPAvAO
>>143

出来るオトコ京介△

全く同じく、弁当エピに刺激を受けて
「でもそのままじゃなぁ…いっそ京介が料理する側の話でも」
と思ったら完全に被っていて吹いた。失礼。

調理ネタは読後感がいいし、いっそ1つの企画みたいに広まると面白いかもしれんね


それはさておき。
122のその後がどうしても気になって朝から何度も空想に耽っていたものの、
一時期の韓流ドラマもかくやって悲壮な展開しか思い浮かばない件について

パンドラの箱に最後に残されたのは果たして希望なのか?的な重苦しい話が膨らみんぐ

いや、勝手言ってゴメンね>>125
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage]:2011/03/29(火) 22:30:46.83 ID:j6M4zgJw0
>>148
書いてみた>>122の続き

prrrrrr・・・・・・
「はいもしもし?」
『あんたちょっとありえなくない!?』
「なんだよ、また俺が何かやったのか?」
『それ以外にアンタに電話かける理由なんて無いでしょ!』
「そんな寂しいこと言うなよ」
『うわ、シスコン!キモ!』
「ほっとけ、それで今回はなんなんだ?」
・・・・・・・・・・

今、俺が電話している相手は3ヶ月前に死んだ妹の桐乃だ。
俺がちょっとあいつのことを無視してしまったばかりに交通事故で亡くなってしまった。

それから七日後、俺の携帯に電話がかかってきた――相手は一週間前の桐乃。
何のいたずらか俺の携帯は過去と―いや、パラレルワールドと繋がるようになってしまった。
この世界の桐乃は死んでしまったけれど、電話の向こうの世界の桐乃は無事らしい。

それ以来何度も電話で妹と話をしている。
一度は妹を失ってしまった俺は、もう二度と離すまいと硬く決心したのだ。

まあ、電話の内容はほとんどが“あっちの俺”の愚痴なんだけどな?
しかしこうやって客観的に話を聞かされると俺って相当鈍いんだな〜と実感する。
桐乃の気持ちになんでこうなるまで気付いてやれなかったんだろう?


「心配すんな、お前の事嫌ったりしてねーって」
『ほんとに?』
「本当さ、“俺”が言うんだから間違いない」

同じ世界の兄貴じゃないからか“俺”に対しては桐乃はけっこう素直だ。
その為か俺も素直になれる、もっと早くこうなれれば良かったのに・・・

「まあ、頑張れ」
『・・・うん、頑張る』

電話を切って一人ふと思案にふける。
俺がもっと早く気付いてやれれば・・・・・

「どうなんだろうな?」

もう一度携帯に手を伸ばす――
押した番号は、よく知っているのに、全くかけない番号だ――


「出てくれよ、“俺”!」

                    fin
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/29(火) 22:56:22.40 ID:6GvTPAvAO
なんという俺得
今ちょっとリアル涙出た。ありがたや……

だよなー、この設定なら京介同士の対話になるのは必然の流れ!

にわかにシスコン度を増した京介(lost)が電話バレして周りから失調・乱心を哀れまれる、まで幻視した。
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 23:11:29.52 ID:hFWvvKnSO
>>149
>>122の人?
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 23:15:11.87 ID:j6M4zgJw0
>>151
いや全然別の人です
>>122さん、勝手に続き書いてごめんなさい
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 23:46:40.38 ID:34+99KxDO
沙織が可愛かったんで、13話はいい回です
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/03/30(水) 00:17:06.87 ID:ycJEhX4Oo
面白いから続き書いて欲しい
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 00:37:30.62 ID:LnY8xOLDO
これ、続くとしてもどういう展開になるんだろ。
貧困な発想しか出来ない俺には、シュタゲ的な展開しか思い付かない。
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/30(水) 00:55:29.61 ID:fIBlJi1Vo
他人のに勝手に書き足すのはマジでやめよう
ということで、元の作者の次回作に期待
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/03/30(水) 01:59:04.43 ID:sOBH+6s3o
続きじゃなくて勝手にIF書いてみた、でいいんじゃなかろうか
あくまで最初の作者のものはちゃんと独自に展開するものとして
面倒だけどそういうのの可否も最初に書いとくとかすれば色々広がるかも知れない
158 :122 :2011/03/30(水) 02:36:00.81 ID:F1oaDrQW0
>>152
自分が書いたやつより、おもしろすぎて少し悔しいww
俺が言うのもなんだけど続き書いてほしい
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 02:53:31.89 ID:LnY8xOLDO
原案:>>122
著作:>>149

という流れ?
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/30(水) 02:55:43.96 ID:2BmaPh3+o
アイデア拝借の流れは以前もあったし原案者がおk出せばいいでしょ
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/30(水) 02:59:16.21 ID:fIBlJi1Vo
OK出た後ならもちろんいいと思うよ
あくまで「勝手に」書くのはやめよってことで。嫌がる人もいるからね。
162 :122 :2011/03/30(水) 03:03:55.05 ID:F1oaDrQW0
>>159
>>149が続きを書いてくれるなら余裕でおkっす
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 03:16:36.18 ID:LnY8xOLDO
原案者様からお許しが出たけど、>>149がこの流れ見たら焦るな、きっとwwww
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/30(水) 03:20:08.49 ID:JNS3jnKAO
13話配信で瀬菜ちゃんSS増える予感
165 :122 :2011/03/30(水) 03:20:09.85 ID:F1oaDrQW0
>>163
続きを書かざるを得ない流れになるとは思わなかっただろうなwwww
166 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:45:53.50 ID:2BmaPh3+o
こんな夜更けだけど投下させてもらおうかな

注意
プラモ成分が濃いです。プラモに全く興味がない人は全部読むのは少々面倒臭いかも知れません
一応、始め二つ+最後二つの部分だけ読んでも意味は繋がりますので、興味がない方も読んでって頂けると嬉しいです
ちなみに、プラモに関して偉そうに講釈たれてますが、自身の腕前は素人に毛が生えた程度なので「おい、そこはそうじゃねえよ」という突っ込みは大歓迎です

では、以下投下
167 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:46:43.11 ID:2BmaPh3+o
「みなさま方、先日連絡しておいたブツは用意していただけましたかな」
「おう、当然だ」
「あの時、あんだけ言われて引き下がれるわけないっしょ。あたしの本気見せてあげるから」
「ふっ、あれは自業自得でしょう。プラモをデコるなんて……流石ビッチの発想は違うわ」
「なんですって!」
「なによ」
「お〜い。そこらへんでやめとけ」

とある休日の午後。俺たちはいつもの四人で俺の部屋に集まっていた。
この面子なら本来桐乃の部屋に集まるのが妥当な所なのだが、今回は違った。桐乃の「なんか部屋汚れそうだから嫌だ」の一言で俺の部屋に集まることになったのだ。
そう。俺たちはこれから沙織の指導の下、ガンプラの製作にチャレンジするのだ。
桐乃に関しては“再”チャレンジだがな。これは、以前桐乃がプレゼント用のガンプラをこれでもかとデコった挙句、パーツを余らせるという失態を演じたことがあるためだ。



沙織のガンプラ講座@
〜〜好きなキットを選ぼう〜〜

「では早速、各々が用意したブツを見せていただきとうござる」
「俺はこれな」
「おお、HG(ハイグレード)1/144マスラオですな! 以前頂いたスサノオといい、京介氏はどうやらその系統の機体がお気に入りのようで」
「いやあ……やっぱかっこいいよな、これ」
「続いて黒猫氏は――」
「私はこれよ」

黒猫が背後に置いてあった箱をドンと、自らの面前に置く。
さっきから思っていたが、改めて見るとやっぱりでけえ。箱の大きさだけで言えば、俺のやつの倍くらいあるんじゃないの、それ。

「これは……MG(マスターグレード)1/100デスサイズヘルカスタムでござるな。最新技術が用いられたいいキットです。それにしても……しょっぱなからMGとはまた豪儀な」
「あら、いけなかったかしら」
「いえいえ、そんなことはありませんぞ。MGはHGに比べパーツ数こそ多いですが、素のままでも非常に完成度が高いので初心者の方にも意外とおススメなのでござる」

黒猫が選んだガンプラは、その名の通りでかい鎌を持った、死神を連想させるガンダムのプラモだった。
だが……なるほどね。MGとやらはでかくて複雑でとても初心者には向いてないと思っていたが、そういう解釈もあるわけか。

「でも作るのはやっぱり大変なんだろ?」
「ええまあ、それなりには。ですがその分完成した時の喜びもひとしおでござるよ」

腕を組み、上を見上げしみじみと語る沙織。きっと彼女の脳内ではガンプラを完成させたときの感動が思い起こされていることだろう。

「トリはあたし! これを見よ!」

沙織の感動をぶった切って意気揚々とブツを取り出す桐乃。
168 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:47:50.16 ID:2BmaPh3+o
ででん! という効果音がこれ以上に似合う場面もそうそうあるまい。
桐乃が取り出したそれは黒猫の物よりさらにでかい――1.5倍くらいある代物だった。

「そ、それはっ!」

沙織は一瞬驚愕の表情を見せ、そしてどんどんと青ざめていく。
なんだ? そんなにやばい代物なのか? あれ。

「き、きりりん氏……よりにもよってそいつを選んでしまうとは」
「え……な、なんか駄目だった?」

沙織の異常なリアクションに選んだ桐乃自身も戸惑ってしまっている。

「MG1/100 Ex-Sガンダム。……初心者に最もおススメしてはいけないガンプラの一つでござる」
「あなた、さっきは『MGも実はおススメ』みたいなことを言っていたじゃない」
「そうではないのです……そうではないのですよ黒猫氏。こいつに関しては別なのでござる」
「というと?」

沙織の発言に対し、横から質問を入れる。俺だって、沙織の言葉の意味は気になるからな。
まあ、こいつはそんなことしなくてもきっと説明してくれるだろうが。

「圧倒的なパーツの多さ――これに尽きるでござる」
「……そ、そんなすごいの?」

桐乃が冷や汗を張り付けて沙織に尋ねる。若干、口元が引きつっているのが確認できた。
そりゃ、あんな大げさなリアクション取られたら誰だって心配になるよな。

「パーツ数でいえば、普通のMGの倍くらいあるでござる」
「あれ? そんだけ?」

素っ頓狂な声をあげる俺。
なんだ、あんな驚き方するからもっとすごいのかと思ったぜ。
これなら案外なんとかなるんじゃないの?

「京介氏、Ex-Sを甘く見てはいけません。熟練の者ほど箱を開けた瞬間、絶望のあまりそのままそっと箱を閉じてしまいたくなるほどのキットなのです。実際、拙者もこれを完成させるのに半年かかったでござる」
「「「半年!?」」」

沙織以外の、俺たち3人の声がハモる。
沙織ほどの奴が半年!? ……ごくり。いったいどんな中身してるんだあの箱の中は……。

「まあ、拙者の場合はぐだぐだしながらの上に塗装も行ったものですから。ただ組み上げるだけならもっと早く済むでしょう」
「そ、そうだとしてもとんでもねえな」

こりゃあ相当の覚悟をしねえと駄目みたいだぞ、桐乃。頑張れよ。

「……HGにしといてよかったぜ」
169 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:49:16.08 ID:2BmaPh3+o
沙織のガンプラ講座A
〜〜必要な道具を揃えよう〜〜

「まずは、必要な道具の確認でござる。ぶっちゃけ爪切りさえあればそれで作れちゃうのですが、今回はもうちょっと踏み込んでみましょう」

え……爪切りで作れちゃうの? なんか思ってたよりも敷居低いんだな。

「今回は拙者が用意した道具を使って下され」
「ありがとう。悪いな、沙織」
「お気になさらず。たくさん余っていますから」

自分の鞄をごそごそと漁り、いくつかの道具を並べだす沙織。
さりげなくスルーしかけたけど、道具が余ってるってどういう状況なんだろう。不思議だ。

「これがニッパー。パーツの切り出しはこれで。――続いてヤスリ。ゲート処理はこれを使います。ゲート処理については後程説明するでござる。以上が今回使用する道具となります」
「あれ? ヤスリなんて使うの?」

桐乃がきょとんとした顔で沙織に尋ねる。

「ええ。ほんのちょっとの工夫で見栄えががらりと変わるのですよ」

そう言ってにやりと不敵に笑う沙織。
彼女とすれば今この瞬間が楽しくて仕方がないのだろう。まるでメルルやエロゲによってオタクのスイッチが入った桐乃状態だ。
うちの妹や、黒猫に限らずオタクってのは自分のフィールドだと異常にハイになるらしい。
まあ、沙織に関しては普段から、なんというかヘブン状態なのでテンションの上下がわかりづらいんだけどさ。
170 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:49:59.82 ID:2BmaPh3+o
沙織のガンプラ講座B
〜〜実際に組み立ててみよう〜〜

「まずは説明書を隅から隅まで見てニヤニヤしましょう」

沙織先生の教えに従い、説明書を黙々と読みふける俺たち。

「……」
「…………」
「……これ、本当に必要なのかしら。甚だ疑問だわ」
「ふっふっふ、プロは作る前にこうやってモチべを高めるのですよ黒猫氏」

おまえは一体なんのプロだ、なんの。

「それでは実際に製作に入りましょう! まずはニッパーを使ってのパーツの切り出しでござる。この際、一つ注意事項が」
「お、講座っぽくなってきたな」
「ふふん、それほどではござらん。で、その注意事項でござるが、部品とランナーの繋がる部分――ここを少し残して切り取ることでござる」
「え〜、めんどくさくない?」
「これをしないとパーツに変な力がかかって変色してしまう場合があるのですよ」

意外とデリケートなんだな。
誰かと同じで手間のかかるやつだ。

「……」
「…………」
「………………こんな感じか?」

説明書に書かれた番号に従って部品を切り出す。

「この少し残した部分はどうするのかしら」
「よくぞ聞いてくれました黒猫氏! それをどうにかするのがゲート処理と呼ばれる作業なのです!」
「ああ、これをさっきのヤスリで削るのか」
「ご明察でござる、ワトソン君」
「誰がワトソン君だ、誰が」

慎重にヤスリをかけ、切断面を目立たなくさせる。思った以上の手間だ。
ちらり、と桐乃の方を見やる。あいつは、この作業を、あの山のようにあるパーツ一つ一つに対して行わなければならないんだろう?
……地獄だな。

「あれ? 削った後が白くなって、思ったより目立つんだけど?」

ヤスリをかけ終わったパーツを見て少し驚いてしまった。俺、どこかでミスったかな。

「ご心配には及びませんぞ京介氏。それでいいのでござる」
「そうなのか?」
「ええ、最後にトップコートなる魔法のスプレーを吹きかけるとたちまち目立たなくなりますから」
「そんな便利なものがあるなら最初から使えばいいのではなくて?」
「実はこれは“細かい傷”しか隠せないのでござる。だから、切断面のような“大きな傷”はヤスリで削って細かい傷へと変えなくてはいけないのでござるよ」

へー。何事もそうそう上手い話はないってことか。

「実は“最初から余裕を残さずに切り取って切断面を爪でこすってやる”という裏技もあるのでござる。そちらでも切断面は結構目立たなくなるので、もしめんどくさくなったらこっちをおススメします」
「ちょっと、そんないい裏技あるなら最初っからそっち教えてよね」

教えてもらう立場にありながら、沙織に文句を垂れる桐乃。
まあ、自分がこれから進む苦行の道を考えたらそんな愚痴がでるのも当然だろうな。

「で、こうやって切り出したパーツを組み上げればいいんだな」
「はい。向きや組み込む順番に注意しなければならないパーツもありますからそれに気を付けてくだされ」
「あいよ」

切り出した複数のパーツを、パチリパチリと組み合わせていく。

「……げっ!?」
「きりりん氏、どうされました?」
「……これ挟み忘れた」
「ポリキャップのハメ忘れでござるな。なんというあるある。大丈夫、そんなときはパーツの隙間にカッターの刃なりを滑り込ませてぐりぐりとしてやれば――」
「あっ、外れた」
「このように割と簡単に外れますので慌てなくても大丈夫でござるよ」
171 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:50:45.70 ID:2BmaPh3+o
沙織のガンプラ講座C
〜〜最後の仕上げ・墨入れ。そしてトップコートへ〜〜

「できたー!」
「おお、京介氏は完成したようですな」
「おう。いやあ、これだけ作るのにえらい手間がかかっちまったぜ」
「いやいや、十分早い方ですよ。胸を張っていいでござる」
「そ、そうか?」 

へへ、そう言われると悪い気はしないな。

「……キモッ。デレデレすんなっての」
「沙織の本性を知った途端これだもの。嫌になるわね」
「だいたい、あんたのが一番簡単なんだから早く出来て当たり前じゃん」
「ぐっ……」

相変わらず言いたい放題言ってくれやがる。
だが、俺のが一番簡単なのは事実だから言い返せもしねえ。ちくしょう。

「まあまあ。プラモは早く作ればいいってものでもござらん。重要なのはいかに丁寧に作るかでござるよ」

この程度の仲裁は朝飯前と言わんばかりにするりと会話に入ってくる沙織。
この辺の上手さは、ほんと尊敬に値するよ。

「京介氏の物が完成したことですし、ここらで最後の仕上げについて説明しておこうと思いますがよろしいですか?」
「ああ、そうしてくれ。いいよな? 桐乃も黒猫も」

黒猫はともかく、桐乃は絶対に今日中には終わらねえもんな。
それならば、今のうちに最後の仕上げとやらについて説明してもらった方がいいだろう。
俺の言葉に対して無言で頷く二人。
いつもなら勝手に決めるなだのの文句が飛んできてもいいのだが、ゲート処理作業の繰り返しに桐乃も黒猫もどうやら精神的にキているらしい。眼がトロンとしてやがる。
この中断も休憩代わりとしてはちょうどいいだろう。

「墨入れとは、プラモに彫られた“溝”に沿って線を入れる作業でござる」
「ふーん。どんな効果があんの? それ」

疲労のせいか、桐乃の質問も心なしか投げやりだ。

「百聞は一見に如かずでござる。ここに取り出したるは二つの同じパーツ。このパーツの溝に沿ってこの墨入れペンをなぞらせて――そして後から拭き取ってやればあら不思議!」
「お、なんかシャキッとした感じになったな」

陰影のような黒い線が見えることによって、のっぺりとした質感から、より立体的に見えるようになっている。
例えるならこんな感じか。
(´・ω・`)ショボーン → (`・ω・´) シャキーン

……いや、我ながらこれはないな。忘れてくれ。

「その通り。まあ、墨入れの方法は一つではありませんので、試行錯誤して自分に合ったやり方を見つけるのがいいでござろう。ちなみに、この墨入れペンを用いたやり方は最も簡単な方法の一つですな」
「これが終わったら完成か?」
「それでも構いませんが、今回はトップコートを吹いてみましょう」
「ああ、さっき言っていた傷が隠れてくれる――というやつね」
「ええ。傷隠しというと語弊がありますが、この際その認識でも構いません。――今回は無難に缶スプレーの半つやでいこうと思います」

また知らない単語が出てきたな。半つや?

「半つやはつや有りとつや消しの中間にあたるものです。つや有りは文字通りつやつや、つや消しはマットな質感に仕上がるのでござるよ」
「へえ」
「ここでもまた注意事項が一つ。決して雨などの湿気が多い日に吹かないこと!」
「吹くとどうなるの?」
「真っ白くなってしまうのでござる! 所謂“かぶる”という状況に陥るのですよ。……丹精込めて作ったプラモの仕上げでこうなって心を折られたモデラーが何人いることか」

両掌を上に向け、「おおお」と狼狽する沙織。
やっと完成したプラモ。トップコートを吹き、わくわくしながら乾燥を待つ。
そして――
なんということでしょう。匠の悪戯心で丹精込めて作ったプラモが真っ白に。

「悲劇ね」
「まったくだ」
172 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:51:57.91 ID:2BmaPh3+o
沙織のガンプラ講座おまけ
〜〜プラモを楽しく作るコツ〜〜

「実はこれが一番大事なことなのですよ」
「だからそんなのあるなら初めから言っといてってば!」

もはや桐乃は投げやりを通り越してご立腹だ。
元はと言えばおまえがそんなごついプラモ買ってきたのが悪いんだろうが。
とはいえ、俺も気になるな。聞かせてもらおうか、そのコツとやらを。

「それはプラモ製作のモチベーションを維持し続けることです。疲れたらさっさと中断する! 気が載らない日は作らない! これに限ります」
「それ、なんかすごいだらしなくねえ?」

もはや、怠けたいがための言い訳にしか聞こえねえよ。

「はははは、プラモ製作者の大半はこんなものですよ。最初は違ってもその内こうなるでござる。趣味が苦行になっては元も子もありませんからな」

そう言って、いつものようにからからと快活に笑う沙織。
なるほど、そりゃそうだ。苦行を趣味にして喜ぶのは重度のマゾくらいなもんだろ。

「まあ、モチべを維持する方法は他にもなくはないでござる。これは人によって違うのですが……その機体が出て来るアニメを見ながら、あるいは好きな音楽を聴きながら――要は好きなことをしながらその片手間に作るのでござる」
「片手間って……初心者には無理だろ」
「そうでもありません。要はだらだらと、根を詰めずに作ればよいのです。深く考えたら負けでござる」
「そんなもんかね」
「そんなもんでござる」

ま、沙織がそういうならそうなんだろ。

「……好きなことか」
「ん? どうした桐乃」
「な、なんでもないっ!」
「?」
173 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:53:24.33 ID:2BmaPh3+o
――――――――――――――――――――――――――――――

「ごちそうさま」

夕食を終え、自室に戻る。
沙織達はすでに帰宅し、我が家もすっかりいつもの静けさを取り戻している。
結局、時間までに組み終えたのは俺一人で残りは各自の宿題となった。

「桐乃のやつ……あれ、終わんのか?」

ベッドに横になり、なんとはなしに壁越しに桐乃の部屋を見やる。

「ま、俺には関係ないか。精々頑張れよ」

と、独りごちた瞬間。
バン! と、俺の部屋のドアが勢いよく開かれた。一体何事かと目を丸くした俺が見たのは、とても不機嫌そうな妹様だった。
そのままズンズンと俺の室内に進入した桐乃は俺のベッドの隣でその歩みを止めた。

「お、おい、ノックぐらいしろって。いったいどうしたんだよ」

尋ねるが、桐乃は一向に口を開こうとしない。
その口はへの字になっていて、機嫌が悪いことを如実に語っていた。
だが、これは怒りからくる機嫌の悪さではない。なぜか、直感的にそう思えた。
拗ねている――いや、違うか。上手く表現できないが、ともかく違うんだ。こいつは怒ってるんじゃない。

「どうしたんだ?」

今度はなるべく優しく、諭すような口調で尋ねてやる。
こいつは昔からこういう言い方をしてやれば素直に口を開くのだ。

「……手伝って」
「あん?」
「手伝ってって言ってんの! プラモ!」
「俺がか!?」
「あんた以外に誰がいるってのよ!」

お、俺にあの苦行の道をともに歩めと――そうおっしゃるのですか?
ぐぬぬ、なんという展開。

「い、いやいや、落ち着け。なんで俺が手伝わなくちゃならんのだ。沙織だってだらだら作ればいいって言ってたじゃねえか」
「それじゃあ黒いのに先超されちゃうじゃん」

おおう、なんてこった。
どうやら桐乃はこんなところでも黒猫と張り合っているらしかった。
おまえらが仲がいいのはわかったから、俺を全力で振り回すのは止めてくれないかな?
とはいえ、かわいい妹様の頼みを断れるはずもなく。

「カリビア――」
「謹んでお受けさせて頂きます」
174 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:53:57.36 ID:2BmaPh3+o
――――――――――――――――――――――――――――――

「ただいま」
「いやー、あれから手が進んで進んでたった二日で完成させちゃった。あたしってほんと何やらせてもすごいよね〜」

俺が学校から帰ると、桐乃はいつものようにリビングのソファで誰かと電話をしていた。

「沙織の言った通りだった。モチべ維持できるとすごい楽しいんだって」

どうやら電話の相手は黒猫か沙織のどちらかみたいだな。
そのまま冷蔵庫へと歩を進め、麦茶を取り出す。

「えっ? モチべ維持の方法? あははは、あんたに教えるわけないじゃ〜ん」

この相手を小馬鹿にするような話し方……電話相手は黒猫の方だったか。

「うええっ!? ちっ、違う! 兄貴は関係ないって!」

俺は、麦茶をコップに注ぎ、それをぐいと飲み干した。

「し、しつこい! もう切るから!」

そう言って(多分)一方的に電話を切った桐乃。
直後、桐乃が俺の方を見たせいで視線が交差する。

「ば〜〜〜か!」

俺に対して、いきなりすぎる暴言を吐き、そのままリビングを出ていく桐乃。

「なんだありゃ?」

わけもわからず立ち尽くす俺。
ただ、馬鹿にされたというのに不思議と気分は悪くなかった。



おわり
175 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/03/30(水) 04:55:58.63 ID:2BmaPh3+o
>>166について訂正
×始め二つ+最後二つの部分だけ読んでも
○始め二つ+最後三つ〜

バイクネタ書こうと思ってたんだけど先駆者がいらっしゃったので、もう一つの趣味ネタであるこっちに変更
もっと簡潔に書くつもりが書き始めると止まらなかった……。これがオタクスイッチか
もっとプラモ作る人が増えますように
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 08:43:35.95 ID:lXKFgnLDO
相変わらずプラモ愛溢れてんなww
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 09:46:56.45 ID:UoM7opMn0
乙!参考になったぜぃ
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/30(水) 10:26:43.24 ID:Oq6PPv0Do
乙だぜぃ。

プラモはマジで、ちょっとした一手間加えると見違えるほどカッコ良くなるからなぁ。
ゲート処理。合わせ目消し。スミ入れ。塗装。つや消しは個人の好みだけど。
最近のキットは完成度高いから、ぶっちゃけ素組みだけでもめちゃくちゃカッコイイから困る。
きょうちゃん次に作るとしたら、HGブレイヴかね。
あれは良いキットだし、塗装箇所もシール部分だけならスゲー少ないからオススメだ。
きりりん氏は、パーツ数が多く、キットとしてもクレームの多いPGストフリ持ってくると思ったのにwwww

勝手に妄想すると、他キャラがガンプラ選んだらこんな感じかね。

麻奈実:RGガンダム
あやせ:HGリボーンズガンダム
加奈子:HGアルケー
赤城:HGUCシナンジュ
瀬菜:MGインジャス
部長:HGUCクシャトリヤ
真壁:HGUCユニコーン(ユニコーン)

最近の機体ばかりなのはご容赦願いたい。
うん、欲望が体の端からにじみ出てしまったようだ。

いや、マジで乙。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/30(水) 10:53:11.68 ID:JNS3jnKAO
乙!
素組みしかしたことない俺にも楽しめましたw
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/30(水) 11:03:58.86 ID:17IsIjee0
乙です
相変わらず読ませるなぁ
181 :149 ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/30(水) 11:51:14.49 ID:3FAuO/Vu0
んじゃ、続き書きます。かなり強引なハッピーエンドです
あわてて書いたので粗があるかもしれませんがご容赦を

―――――――――――――――――――――――――

あたしは今、兄貴の部屋にいる。
あたしの部屋と違ってこの部屋に鍵は無いから自由に出入りできるのだ。
特に何かをするわけでもなく椅子に座ってぼーっとしている。

「あれから3ヵ月かぁ・・・」
あの不思議な電話がかかってきてからそれくらい経つ――
長いのか短いのかよくわからない。あれ以来ほぼ毎日この部屋で過ごしていた。
そして今日も同じようにそこに居たら、突然携帯が鳴り出した。

―――――――――――――――――――――――――

「出てくれよ、“俺”」
祈るような気持ちで自分の携帯の番号に電話をかける――
機械的なコール音が鳴り響くので繋がっているのは間違いないはずだ。

プッ

「おお!繋がった!!びっくりしてるだろうがまず話を聞けよ!」
焦って相手が誰なのかなんて確認もせずまくし立てると、聞きなれた声が返ってきた―
『あ、兄貴!?ねぇ兄貴なの!?』

―――――――――――――――――――――――――

突然鳴り出した兄貴の携帯に出てみると、そこから聞こえてきたのは兄貴本人の声

『おお!繋がった!!びっくりしてるだろうがまず話を聞けよ!』
「あ、兄貴!?ねぇ兄貴なの!?」
『なんだ?桐乃か?人の携帯に勝手に出るなよ、そこに俺は居ないのか?』
3ヶ月ぶりに聞く兄貴の声は憎たらしいほど能天気で明るかった。

「い、居るわけ無いでしょ!?だってアンタは・・・!」

・・・・・・・・・・

3ヶ月前、“一週間後の兄貴”から電話がかかってきた。
内容は『交通事故にあってしまうから今日一日家から出るな』という頼み事

あの時のあたしは馬鹿だった。電話の兄貴は『俺をかばって死んだ』と言っていた。
ならば、あたしが兄貴をかばわなければ必然的に兄貴は・・・!
その事に思い至りさえすればあんな事にはならなかったのに、
いつに無く真剣な声で頼む兄貴の言う事を盲目的に聞いてしまった代償は

     ―兄貴の死―

その事を誰も責めない、あやせも黒いのもでかいのも、両親でさえ。
『悪いのは犯人』口をそろえてそう言った、でも違う。
あたしは事故が起きることを知っていたのだ。それなのに・・・

「な・ん・で!そんなに能天気な声で話しかけてくるのよ!このバカ!!」
この3ヶ月、兄貴を失った悲しみの中にいたのに、いざ兄貴の底抜けに明るい声を聞くと
なんだか無性に腹が立ってきて、散々兄貴を罵った。
こんな会話も、三ヶ月ぶりだ・・・・・
182 :149 ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/30(水) 11:52:23.99 ID:3FAuO/Vu0
―――――――――――――――――――――――――

「そっか、そっちの俺はもう居ないのか・・・」
ひとしきり無神経だの能天気だの頭がお花畑とまで罵られた後事情を聞くと、
どうやらいつもの桐乃ではなく、また別の桐乃のようだ。
そういえばこっちから電話をかけたのは初めてだったし
まさかそんなところに繋がるとは思ってもいなかったが・・・

「でも良かった、そっちのお前も無事だったんだな!」
それだけで俺は本当に満足だった、桐乃が無事ならそれでいい。
桐乃が死んでしまう世界なんて、今俺がいるところだけでたくさんだ。

「なぁ、俺はお前さえよければそれでいいんだからさ、
 あんまり引きずらないで元気になってくれよ、頼むぜ」
一人の桐乃を出来るだけ励ました後、電話を切る―

それにしても、このことをあっちの桐乃に教えたらどう思うんだろうな?

―――――――――――――――――――――――――

『なぁ、俺はお前さえよければそれでいいんだからさ、
 あんまり引きずらないで元気になってくれよ、頼むぜ』

勝手にそんなことを言ったかと思うと、また勝手に電話を切る。
あたしがこの3ヶ月どんなに寂しかったか知らないで!!

prrrrrrr・・・・・・・

まだまだ話し足りないあたしは急いで着信履歴からリダイヤルする。

『・・・・・はいもしもし?』
またとぼけた声が聞こえてきて腹が立つ!
「あんたねぇ!!あたしが切るまで待ちなさいよ!何勝手に電話切ってるのよ!」
『・・・どういうことだよ?』
電話に出た兄貴の声は本当に混乱しているようだった――

―――――――――――――――――――――――――

「あんたちょっとありえなくない!?」
「それ以外にアンタに電話かける理由なんて無いでしょ!」
「うわ、シスコン!キモ!」

壁越しに聞こえてくる桐乃の声――
最近俺となにかするたびに誰かに電話をかけてるようだ。

猫かぶりの口調ではないから学校の友人と言うわけでもなさそうだが、
黒猫や沙織でもないらしい。一体誰だ?『シスコン』なんて呼ばれているのを聞くと
もしや赤城なのか?という疑問も湧く。正直なところ相手が気になって仕方ない――
一体誰にどういう用事で電話をしてるのか・・・

prrrrrrr・・・・・・・

なんとなく耳を澄ましていたら俺の携帯が鳴り出した。
誰だろうかと思ってディスプレイにうつる番号を見るとそれは自分の番号―

「ど、どういうことだ?」
携帯会社のシステムエラーか何かの間違いだろうか?
おそるおそる電話に出る――

「・・・・・はいもしもし?」
『あんたねぇ!!あたしが切るまで待ちなさいよ!何勝手に電話切ってるのよ!』
電話から聞こえてきたのは隣の部屋にいるはずの妹の声――

「・・・どういうことだよ?」


その日から俺と“桐乃”の電話相談という名の『女心説明指導』が始まった・・・
183 :149 ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/30(水) 11:53:31.82 ID:3FAuO/Vu0
―――――――――――――――――――――――――

「もうすぐ一年だね」
「そうだな〜、あいつらいつまで電話するつもりなんだろう?」
「“あっちのあたし”はなんて言ってたの?」
「『“あたし”にあんまり心配かけな!』だってさ」
「へー、もうそんなに心配してないのにね?」
「桐乃の方はどうなんだよ?“あっちの俺”は何て言ってるんだ?」
「『頼むから桐乃を幸せにしてやれ』ってさ」
「はっ!!今更言われる必要もねーな!」
「えへへ〜、なんかあたし愛されてるね〜///」
「・・・ふん、電話で話をすることしか出来ない奴に負けるかっての」

どうにも奇妙な自分への嫉妬をあらわにしながらこの一年間を振り返る。
平行世界の妹からの奇妙な電話――
その電話に後押しされながら俺はこっちの妹との関係を深めていった。
それはきっと桐乃も同じだろう。
平行世界の俺との電話に何度も励まされ慰めてもらった、と言っていた。
今の俺たち二人の幸せは、電話の向こうの俺たちによって支えられている。
でも、もうきっと大丈夫だ。
この先俺と桐乃が気持ちをすれ違わせて悲しむ事は無いだろう――

「やっぱさ、寂しいんじゃないかな?」
「そうだよな・・・」
俺たちの世界は俺たち二人が無事に一緒に生きている。でも“あいつら”は一人きりなのだ。
何かと俺たちの心配をしてくれる“俺たち”は、
大事にしたい兄や妹を失ってしまっている・・・

「そっちが心配だよ。“あっちのあたし達”にも幸せになってもらわないとさ」
「そうだよな、今度の電話でそう言ってみるか?」
「うん、そうだね。そんでしばらくは電話しないでさ、かかってきても出ないの。
 いつまでも“こっち”の心配させてるだけじゃ“あたし達”も前に進めないじゃん」
「そうだな、荒療治だけど“俺たち”なら大丈夫なはずだしな!」

だれか良い相手を見つけてくれればいい。心の底からそう思う。
平行世界の自分たちの幸せと、隣で笑う笑顔の桐乃を守る決意を新たにして、
澄み切った青空を見上げる―――

―――――――――――――――――――――――――

「もういいかな?」
「もういいだろ」
「そうだね、もういいよね」
「じゃ、かけるか」
「うん」

―――――――――――――――――――――――――

prrrrrr・・・・・・・

「お、桐乃からだ」

もはや定番になった“あっちの桐乃”からの電話―
目の前で妹を亡くした悲しみに耐える事が出来たのはこの電話のお陰だ。

ここに居なくても、別の世界で元気にしている桐乃が居る。
その事実だけで俺がどんなに慰められたかわからない。

「はいもしもし」
『あ、兄貴?元気してる?』
「当たり前だろ」
『うん、それはいいんだけどさ・・・』

―――――――――――――――――――――――――

prrrrrr・・・・・・・

「あ、兄貴からだ」

もはや定番になった“あっちの兄貴”からの電話―
あたしの想像力不足で兄貴を失ってしまった罪悪感を拭ってくれたのはこの電話のお陰だ。

あたしが身代わりになった世界の兄貴と、二人とも無事だった世界の兄貴が
『お前が無事ならそれでいい』って言ってくれた。

「はいもしもし」
『よ、桐乃。ちょっといいか?』
「当たり前じゃん」
『はは、それはそうとさ・・・』
184 :149 ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/30(水) 11:54:14.64 ID:3FAuO/Vu0
―――――――――――――――――――――――――

「「もう心配しなくていいからさ」」
「「うん、だからお前/あんたもちゃんと幸せにならなきゃ」」
「「うん・・・うん・・・それじゃ、またな/またね」」

ふたり揃って電話を切った。
おそらくこれでこの奇妙な電話の中継も最後だろう。
隣の桐乃と目を合わせてふっと笑みをこぼす――

「さぁ!これからどうなるかな?」
「んー、どうにかなるっしょ」


一人きりの俺が電話をかければ、ここの桐乃が出て
ここの俺が一人きりの桐乃にかける

一人きりの桐乃がかければ、ここの俺が出て
ここの桐乃が二人いる所の俺にかける

そして二人いる所の桐乃がかければ、ここの俺が出て
ここの桐乃が一人きりの俺にかける

「二人揃ってる所のあんたは、結局一度も自分からかけなかったね」
「やっぱ目の前に本人が居たらからじゃねーの?」
「ふふっ、やっぱ筋金入りのシスコンじゃん」
「ほっとけ!」

ここは平行世界の狭間――?
いや、ここも俺たちが今眺めている3つの世界と同じく、無数にある世界の1つかもしれない。
あの事故以来、俺と桐乃はここでこの3つの世界を眺めていた。
―――この不思議な電話だけがある世界で


「もう、お役御免でいいんじゃない?あたし達もそろそろ次の行き先決めなきゃね」
「そうだよな、でもどこに行くんだ?」
「アンタは決まってるでしょ」
ビシッ!と桐乃が指したのは一人きりの桐乃のお腹――

「へっ!?マジかよ!?」
「そうよ!『またな』って言ったでしょ?会いに行かなくてどうすんの?」
「いや、しかしそれは・・・・・」
「多少のマザコンは大目に見てあげるからさ、アンタはあそこで決まり!これは決定!」
「ちょっ、なんかせこくね?なんでお前が決めるんだよ!!」
「だってあたしの行き先はあんたが決めるんだからこのくらい当然でしょ?」
「どういう意味だよ!?」
「黒いの?でかいの?あやせ?地味子?それともまさか加奈子?」
「・・・・・・・・・・」
「あんたが選んだ相手の中に行かなきゃ会えないじゃん」
「そういう意味かよ・・・」

でもまぁ、俺もそうしてくれた方が嬉しいしな。

「ファザコン娘になるぞ?」
「別にいいじゃん、それよりアンタは誰を選ぶの?」
「今の俺じゃお前以外の選択肢の可能性は平等だからな、正直全くわかんねー」
「はあ、あんまりぐずぐずしてられないのに・・・」
「ま、もう少し待っててくれよ」

二人して自分たちの行く末を見守る――
あの二人は出会うことは無いけれど、あの二人のもとに俺たちが行く事は出来る。
そうすればまた“俺たち”は会える。

「楽しみだね」
「楽しみだな」






二十数年後、仲良し兄妹のもとに生まれたマザコン一人息子とファザコン一人娘が
従兄弟同士でどたばたの恋愛劇を演じるのは、また1つ隣の世界のお話。―fin―
185 :149 ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/30(水) 12:08:00.04 ID:3FAuO/Vu0
>>183に脱字があったorz 訂正
「『“あたし”にあんまり心配かけるな!』だってさ」
「へー、もうそんなに心配してないのにね?」
「桐乃の方はどうなんだよ?“あっちの俺”は何て言ってるんだ?」
「あんたに『頼むから桐乃を幸せにしてやれ』ってさ」

>>174
この桐乃のモチベーション維持法は萌える!!まさしく乙だ!

>>122>>150
期待に応えられてなかったらごめん、その場合は遠慮なく別の話を書いて下さい
186 :122 :2011/03/30(水) 12:58:38.08 ID:F1oaDrQW0
>>185
無理な願いを聞いてありがとうおもしろかった
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/30(水) 15:22:05.74 ID:8qcI72bn0
偽9-2と9-5だっけ?あれを全裸待機で待ってたが、そろそろ冷えてきた。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/30(水) 23:20:19.62 ID:Oq6PPv0Do
>>185
乙。

何度か読み直してやっとわかったが、3つの世界線にそれぞれ兄妹が、
それを見守る高次存在的な兄妹もいて、計4人ずつってことでおk?

書きたいネタがあるのに、文字に興せない……。
SS作りもガンプラ作りに通ずるところがあるな。きっと今日は書けない日だ。
189 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/03/31(木) 00:05:36.72 ID:37DQrt9DO
>>188
ああ〜やっぱり分かりにくいみたいですね
説明入れますorz

2人とも無事だった世界と最初に出てる桐乃が死んじゃった世界、今回追加した京介が死んじゃった世界の3つ
そして死んだ京介と桐乃が死後にたどり着いた電話だけがある世界
合計4つの世界と3組の兄妹です

実は異世界への電話が可能なのは死後の世界だけで、
残された方の桐乃と京介が立ち直れるように、死後の桐乃と京介が
2人とも無事な世界の兄妹と会話させていた(一度死後世界を通して)

んで立ち直った様子をみて転生先にお互の子供を選んでるってオチです



くぅ、改めてあらすじ説明するって恥ずかしい!
読んだ人に伝わるように書ける文章力が欲しいなぁ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/03/31(木) 00:18:48.42 ID:sK5gxeuRo
>>189
なるほど。読み直すと、確かに書かれてるな。
死んだ方にも救いのある話だったわけね。さんきゅ。
いや、わざわざすまんね。
気にしないでくれるとありがたい。
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/31(木) 00:21:48.99 ID:sfgvhI8ro
次スレ立てたら併せて前スレのHTML化依頼もしておいてね
ここは過去ログ化が自動じゃないので。ちなみに依頼済みっす。

■ HTML化依頼スレッド Part1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929122/
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/31(木) 00:24:54.62 ID:V9g0hJGjo
あれ? 1000に到達した場合は依頼必要ないんじゃなかったっけ?
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/31(木) 00:26:11.55 ID:G3BiAmdAO
>>191
とりあえず依頼スレの>>2を見てみようか
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/31(木) 01:23:02.93 ID:sfgvhI8ro
>>193
すまぬーすまぬー…

いつのまにか変わってたんだね(´・ω・`)
あっちでも訂正してきた
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/31(木) 01:42:12.77 ID:6iRgaHmAO
>>194
こ〜のドジっ娘めっ☆
196 : ◆rcTx115mSE [sage]:2011/03/31(木) 03:46:12.17 ID:5Xyh4cZ/0
testet
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/31(木) 03:46:51.05 ID:2OwPi0hYo
次スレ気づかんかった
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/31(木) 16:12:19.37 ID:V9g0hJGjo
ブリジットな予感
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 17:03:56.01 ID:DkvmCDJSP
桐乃を連れ戻しにアメリカにきた京介が、友達に会いに来たという道に迷ったブリジットを発見
いつものおせっかい発動。何故自分を知っているか疑問に思うブリジットだが
優しいお兄さんモードの京介に事情説明
実はその友達とはリアであり、向かう目的地も一緒なので行動を共にすることに……


なんていう誰得ネタが思い浮かんだが、設定が特殊すぎて一文字も文が思いつかないという
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/31(木) 19:09:17.39 ID:wzJPzbC5o
桐乃を連れ戻しにアメリカにきた京介が、タクシーの運ちゃんと仲良くなり
人質取って立てこもってる強盗犯のいる銀行に突っ込み事件を解決したり
暴走列車に飛び乗ったりするネタを誰か形にしてください
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/31(木) 20:20:06.55 ID:wK5+vdWGo
>>174
 乙でした。
 プラモ作りとかしたことないけど、楽しめました。

 しかし、原作でもそうだけど桐乃ってうかつだよね。口が軽いって言うか、うっかりしすぎというか……。
 電話で黒猫に自慢(?)なんてしたら、例えば学校なんかで京介に確認されたりしたらバレちゃうのになぁ。


>>184
 乙でした。
 なんかややこしい感じの関係性だけど、たまにはこういう、原作にそぐわないSF(少し不思議)ってのも面白いね。

 ああ、そういう意味だったのか……。ちょっと勘違いしてた。
 私の読解力もたいしたことないなぁ。>>189
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 20:39:45.29 ID:UN5VUQiDO
>>199やっぱ文字にするのムズいよな…
俺も受験後の京介がコンビニやファミレスでバイト始めていろんな人が冷やかしにくるってのを思いついたけど、掛け合いが難しくて諦めたorz

このネタ活用できる人だれか拾ってくれ
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagee]:2011/03/31(木) 22:15:24.43 ID:B0Zntmco0
>>200
それをするにはドレッドの黒人と、メガネをかけた白人(?)の手助けが必要だな。
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/31(木) 22:33:31.24 ID:9K91hhIq0
>>175
乙です
ガンプラ講座とか見てるとなんか作りたくなってくるww

>>185
乙です
どこの世界でもハッピーエンド(だよね?)で安心した
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 23:17:22.02 ID:HEiHkpFSO
13話見たら無性に黒猫ものが読みたくなってしまいました
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/04/01(金) 00:31:31.48 ID:n0MrNcxV0
あされ
207 :122 :2011/04/01(金) 06:02:50.07 ID:Oj9UyXtR0
先日「桐乃からの電話」を書いたものです。
続編ではありませんが新作ができましたのであげていきたいと思います。

「高坂桐乃の消失」カプなし 六時十分ごろからあげていきます。
208 :122 :2011/04/01(金) 06:07:48.73 ID:Oj9UyXtR0

少し前までの暑苦しさが嘘のように消え去り、まるでど忘れしていた
かのを思い出したかのような勢いで寒くなってきた今日この頃、俺がベッ
トで寝転んでいるとだ、テロリストでも入ってきたんじゃねーかと思
うほど乱暴な勢いでドアがバンッと開いた。

「クリスマスパーティーをするわよ! 」

どこぞの団長様のごとく桐乃はこんなことを言いだした、…パーティか、
まぁ悪くはないよ?
だが俺はこいつにまず言うことがある。

「お前はいつもいつも………ノックをしろと何度言ったらわかるんよ!? 」

まぁいつもの切り返しだけどな……桐乃の性格は親父似だと思うが、
ノックをしないのは完全にお袋譲りだな、うん。

「はいはいわかったわかった、次は気を付けるからさ」
桐乃といいお袋といいこのセリフを言って”次”を気を付けたこと
など一度もねぇじゃねーか!?
これを言ったら話が変わっちまいそうだ、俺は喉まで出かかった
言葉を飲み込こみ別の言葉を口にした。

「いつ? どこで? だれと? 」
「そんなのクリスマスイブにきまってんじゃん?場所は沙織が
用意してくれるって 人はいっぱい来る予定!! 」

桐乃は実に楽しそうにそう答えた。

「だれがくるんだ? 」

あやせがくるのか!? なぁそうなのか!?

「えーとっ黒いのでしょ、あやせでしょ、せなちーにせなちーのお兄さん
あっあと加奈子とブリジットちゃん!……あんた目の色かわりすぎじゃない? 」

どうやら俺の目は今相当輝いているらしい。いやでも仕方なくね?
だってあやせとイブを過ごせるっておい
イブを共に過ごす=恋人 と見ても全く問題はないはずだ。
テンションが上がらないわけがないだろ?まぁそれはともかく

「俺から誰か誘っちゃまずいか? 」

さすがに男子が二人というのは俺にとっても赤城にとっても少し辛いだろう、
だから部長や真壁君を誘いたいところだ。

「あ〜もしかして部活の人? 」
「まぁそれもあるし、麻奈実も誘いたいんだが駄目か? 」

麻奈実の性格なら桐乃や黒猫はともかく、ほかの奴らとはうまくやれるだろう。

「べつにぃ〜いいんじゃないのぉ? ほかの人がいいっていえばさぁ」

桐乃さんマジUZEEEEEEEE!!話題に麻奈実が出た途端露骨に態度変わり過ぎだろっ!? 
いやまぁわかってたけどね………ハァなんでこいつはこんなに麻奈実のことが
嫌いなんだろ?まぁ人間だれしも馬が合わない奴はいるけどさぁ? もうちっとなんとかなんねぇもんかな?

「まぁクリスマスくらい大目に見てやるわよ、アンタのブス専にも」
「ぶっ飛ばすぞ!! てめぇっ! 」
「はいはい、後で沙織に聞いておくから感謝しなさいよねぇ? 」
「へーへー、要件はそれで全部か?」
「…………ッチ」

耳障りな音を残し桐乃は部屋から出て行った。

「フンッ…」

俺は泥を被るようにして、布団の中にもぐりこんだ。
209 :122 :2011/04/01(金) 06:12:05.71 ID:Oj9UyXtR0
………悪いことをした…かな? 明日謝るか、パーティーなんだから
…たの……しく…やらない…と…な。
俺は薄れていく意識の中でそう決めた。


ジリリリリンッ ジリリリリンッ ジリリリリンッ

……朝か、桐乃に謝ってから学校行くか。まずするべきことは1つ

ジリリrカチッ

目覚ましを止めることだ。
余談だがこの目覚まし時計は俺が小学校にあがる年のクリスマスに
もらったものなんだ。この目覚ましじゃないと何だかよく起きれなくてだな?
え?どうでもいい?まぁそれもそうだな。俺もこんな話を長々と続けるつもりはないけどよ。
………?
自分の部屋を見回し俺はなぜか違和感を感じた。その違和感の正体を
探ろうとしたが朝食の用意ができたようなので、俺はすばやく着替えをすませ、リビングへ向かった。

そこに桐乃はいなかった……特に珍しいことじゃない部活の朝練があったのだろう。
俺はあまり気にせず、黙々と飯をほうばった。
いつもなら、お袋が俺と桐乃を比べた嫌味の1つでも言ってくるのだが、
今日はそれがなく極めて爽快な朝を迎えることができた。

「いってきます」

俺は自宅を出て高校へと向かった。



「よっ、麻奈実」
「あっおはよう京ちゃん」

ああそうだ、ねぇとは思う一応確認しとくか。

「来週のクリスマスイブ空いてるか?」
「くりすます? もっもしかしてでで、でーとのお誘い!? 」

麻奈実は顔を真っ赤にしている。もしかして…………これは…風邪か?

「大丈夫か?顔赤いぞ熱でもあるんじゃないか? それとデートじゃなくて桐乃
やあやせ達とパーティーをしようって話になってな?お前もどうだ?」

なんだ?なんかものすごく不思議そうな目でこっちを見てやがる。どうしたんだ?

「京ちゃん、あやせちゃんと知り合いなの? 」
「へ?」

思わず間抜けな声をだしちまった。お婆ちゃーんボケるのはさすがにはやすぎるんじゃないかな?

「それと桐乃ちゃんって誰?」

おいおいマジで大丈夫かよ麻奈実?こりゃまちがいなく熱があるな。
「桐乃は桐乃俺の妹だろうが? その親友の新垣あやせは俺がお前に紹介してやったんだろ? 
お前まじで熱があるんじゃねーの? 」
210 :122 :2011/04/01(金) 06:16:21.67 ID:Oj9UyXtR0
麻奈実が一瞬とても驚いたように見えた、そして俺を心配するかの
ような目でこちらを見て言った。

「京ちゃんは一人っ子だよね? あとあやせちゃんは京ちゃんに紹介して
もらったんじゃなくて私が図書館で知り合ったんだよ? 京ちゃんこそ熱があるんじゃない? 」 

心配してくれているのだろうが俺にとってその言葉は、体のありとあらゆる場所に突き刺さる
ような鋭く冷たい言葉のように感じた。
俺はまさかと思いつつも声を荒げて叫んだ。

「はぁっ? 何言ってんだよ麻奈実? だから桐乃だって! お前には
 何度も桐乃に対する愚痴を言っただろ!?」

麻奈実は無言で首を横に振る。

「嘘だろ? 」

なぁそうなんだろ? 俺をからかってるんだろ?
首を再び横に振る。
………麻奈実はそんなことする奴じゃない、誰よりも俺がわかってるじゃないか。

嫌な予感しかしない。

「悪いが先に教室行っていいか?」

俺は麻奈実の返事を待たず学校へ走って行った。


俺はすばやく教室に入り、暇そうな顔して座っている赤城に叩きつけるような勢いで話しかけた。

「お前俺の妹をしってるよなっ!?」

麻奈実は熱があったんだ。だからあんなことを言ったんだ。お前は俺の求めている
セリフを言ってくれるよな!?

「お前に妹なんかいたっけか? つーかどうしたんだよ?そんな声荒げちまって?」

赤城は少し驚いているようだがいつものペースで聞いてきた。

「い、いやなんでも…ない」
「なんでもねぇってツラしてねぇぞww なんかあったら言えよな高坂」
「大丈夫だって」

きっと今の俺の顔はとてもぎこちないだろう。
どんな顔をしたらいいのかわかんねぇよ。チキショー。
くそっなんなんだよ……おい……これじゃまるで俺がおかしいみてぇじゃねぇか。
どっかの小説じゃねぇんだからよ、俺の周りには神様なんていねぇぞ?
ましてや宇宙人や、未来人、超能力者だっていやしねぇ、いるのはごくごく平凡な俺とちょっと変わった大事な友達だけだ。

「おーい高坂―?そろそろHRがはじまっぞー?」

赤城の声で我に返りふと周りを見ると、ほとんどの奴が席に座っていた。
その中で麻奈実が俺のことを心配しているように見えた。
……やめてくれよ。


もちろんこんな調子で授業など頭に入るわけもなく、俺は半日机に頭を突っ伏していた。
何度か麻奈実や赤城が話しかけてきた気がするが、どんな内容だったかは覚えていない。

211 :122 :2011/04/01(金) 06:20:44.91 ID:Oj9UyXtR0

放課後になり俺はユラリと立ち上がり、不完全な巨神兵のように
ユラユラと歩きある場所へ向かっていった。
向かった場所はゲー研の部室だ。もう正直俺は今絶望のどん底にいる、考えれば考えるほど
悪い方向にしか考えられなくなってやがる、だけど黒猫なら、黒猫ならきっと何とかしてくれる。
なんでもいい希望にすがりたい、俺は黒猫に頼みの綱を託し
部室のドアをノックした。だけどもし俺の考える最悪の展開だとしたら……

がらがらっとトビラがあいた。

「はいなんでしょうか?」

やめてくれよ真壁君、なんでそんな他人行事なんだよ?どうやら俺の想定していた最悪の展開らしい。

「えーと?なにかご用ですか?」

友達に取られる他人行事ほど胸にくるものはない。少なくとも俺はそう思ったね。

「あ〜ここに俺の知り合いがいるはずなんだが、ちょっと覗かせてくれないか?」

泣き崩れちまいそうな自分に嘘をつき、あくまで平静を装った振りをして聞いた。

「はい、どうぞ」

真壁君はそういうとヒョイと体をどけた。
お前も知り合いの一人なんだけどな…俺は心の中で大きなため息をついた。
中を覗くと部長と瀬名、二人と目があったが何も反応しないところを見るといよいよ
まずくなってきたんじゃねーのと不安になる。
見ようとしなかった現実と向き合わなきゃまずそうだ。

「どいて頂戴」

俺がそんなことを考えていると、後ろから聞きなれた声が聞こえてくる。

「黒猫……いや五更か?」

たのむっ! 俺のことを覚えていてくれ。

「そんな魔翌力は抑えているはずなのに…貴方何者? 」

俺の望んだ答えは返ってはこなかった。

「その魔翌力、抑えておいたほうがいいぜ? 」

俺はやけになりこんなセリフを吐いてゲー研を後にした。


俺が肩を落としながら家路を歩いていると向こうから1人の女の子が、
俺と同じように肩を落とし歩いてきてるのが見える。

その女の子はあやせだった。まぁだからどーって事はないけどな。
ちょっと前だったら、話しかけることができたがあいにくだが今の俺が
あやせに挨拶したらとどめを刺されかねない。

ここはスルーするのが俺の精神力を削らなくて済む唯一の方法だろう。

とかそんなことを考えていると、あやせがこっちに走ってきてそして
俺に抱き着いて泣きながら訴えかけてきた。
「お兄さんっ!! 桐乃が桐乃がどこにもいなくてっ! クラスの人がっ誰も
桐乃の事をっおぼ…えて…な…くて…お兄さんはっ!! 」
いた------絶望しかなかったこの世界で桐乃がいなくなっちまったこの世界で
俺以外に桐乃の事を覚えてくれている奴が。

精神力が削られるどころか、限界突破しちまいそうだ。

「あやせ…俺のことがわかるのか? 桐乃事を覚えているのか?」
「はいっ!!」

あやせは涙を拭い笑顔でそう答えた。
212 :122 :2011/04/01(金) 06:24:07.78 ID:Oj9UyXtR0

俺たちは今例の公園にいる。
 あやせもどうやら俺と似たようなことになっていたらしい。

「何度も言いますけど本当に桐乃のこと覚えてるんですよね?」

まったくよく飽きないなこれで何回目だよ? まぁ気持ちはわからなくないけどさ。

「覚えてるって大体忘れるにも忘れらんねーだろ、あいつの事はよ」
「そうですよね」

あやせはふふっと笑った。←マジ天使

「そろそろ家に帰ろう、俺は家に帰ったら桐乃痕跡を探してみるよ」
「そうですね時間も時間ですし、お兄さん…ありがとうございます」
「礼を言いたいのはこっちも同じだよ、ありがとな桐乃の事を覚えていてくれて」
「親友ですから、忘れるわけ……ないじゃないですか」

あやせはそう言うと走っていった。
……さてと家に帰るか。


「ただいま」
「おかえりー」
リビングのほうからお袋の声が聞こえてきた。
まず自室に向かいバックを置いた。
「あっ!なんかたんねーと思ったらパソコンがねーんだ!」
どうやら朝の違和感はパソコンがないものによるものだったらしい。
これで沙織との関係もなしってことになるな……くそっ
俺はそれから桐乃の部屋へと向かった、そこが桐乃の部屋ではないと
知りながらも、少しだけ希望を持って。

部屋の前に立ったがドアからして全く違う、やはりここは桐乃の部屋ではないようだ。
ギィッ!と音を立て扉が開く、以前のような甘ったるい匂いはせず
そこは桐乃の部屋となる前の、ボロ和室であった。

「はぁぁああぁぁ」
深く大きなため息を1つついた。

「この小説ってこんな世界観だっけ?」

俺はわけのわからんことを呟いた。気がまいっているんだ許してくれ。
何かないものかと部屋をうろうろしあることに気が付く、あそには
もしかしてなにかあるんじゃねーのとおもい桐乃が趣味を隠していた襖に俺は手を伸ばし、そして一気にあける

タンッ! 

なんとそこには今の高坂家には合わない物………ノートパソコンがあった…
桐乃が使っていたものと同じ物だ……
俺はそのパソコンを自分の部屋へと運び込み電源をつける。
パソコンの画面にはこう記されていた。

「貴方にとってこの世界は大嫌いな“桐乃”がいない世界です。
 貴方が望んでいる普通に生きることができる世界です。
  Q 貴方は“普通”が好きなのでしょ?選ぶのは貴方。
  A                           」
213 :122 :2011/04/01(金) 06:28:20.80 ID:Oj9UyXtR0
なんだよこりゃ……………でも考えてみれば確かにそうだ。

俺はこんな世界を望んでいたんじゃねーのか? 
普通に生きていくことを望んでいたんじゃねーのか? 
大嫌いな桐乃に振り回されるそんな毎日が嫌だったんじゃねーのか?
平々凡々、目立たず騒がず穏やかに、のんびりまったり生きていくのが俺の夢だったはずだ。
だったら迷うことはねぇ俺はこの世界で生きていくだけだ。

だけど……俺は今まであいつが起こしてきためんどくさい人生相談の数々に対してどう思っていた?
めんどくせぇ。
勝手にしろ。
しるか。
そろそろ面倒みきれねぇぞ?

「………………」

心臓が強烈に痛む。
心ならずも兄貴だから仕方なく妹の面倒事にイヤイヤながらも奮闘していた
”普通“の高校生…それが俺だ、高坂京介だったはずだ。
そして今このパソコンは俺に対して聞いている。“普通”が好きだったはずだよな?おめーはよ?と
 
それでだ、俺。そう、お前だよ、俺は自分に訊いている。大切な質問だからよく聞けよ?
 そして答えろ。黙っているのは反則だ。前者か後者で答えるんだ。いいか?いくぞ?
 
-----お前はそんな大嫌いな桐乃の相談を受けてからの“普通じゃない”生活と、
   俺の好きな“普通”だった生活どっちの方が楽しかったんだ?

答えろ俺。考えろ。お前の考えを聞かせてくれよ。どうなんだ?

 桐乃の相談を受け秋葉を連れ回され、大事な友達が増え、そいつらにわけのわからん
アニメの話を聞かされ、桐乃の趣味を守るため親父にぶん殴られて、
親友との仲を取り持つために自ら泥を被ったり、友達と一緒にゲームをつくったり、
コスプレしたり、桐乃をアメリカから連れ戻したり……盗作された作品を取り返したこともあったな。

そんな普通じゃない生活が楽しくなかったのかよ。
  めんどくせぇ。
----こんな生活、疲れるだけだ。

お前はそう感じていたんだろ?だったらお前選ぶ答えは1つだけだ。
俺は“普通”だった生活の方が楽しかったそう言いたいんだよな。
  
----そろそろ素直になれよ。
214 :122 :2011/04/01(金) 06:31:34.97 ID:Oj9UyXtR0
じゃあなんでお前は大っ嫌いな桐乃を探したんだ? 
嫌いな妹の事なんて知らんふりしとけばよかったんじゃねーの?
あんな必死になって探す必要なんてどこにもなかったんじゃねーのかよ。

兄貴だからって逃げは今日は無しだ。

結局お前は“普通”じゃない生活を桐乃とのやり取りを楽しんでたんだよ。
いい加減認めて帰ろうぜ? 俺が大好きな“普通じゃない”生活へとさ。

Q 貴方は“普通”が好きなのでしょ?選ぶのは貴方。
A俺は前者……“普通じゃない”生活が好きだ。

打ち込んだ瞬間、世界がぐるりと回りだしたような感覚に襲われた。
瞬間俺は言葉では表すことができないような不思議な感覚、しいて言うならまるで
夢でも見ているような感覚に陥った。

「お兄ちゃん、メリークリスマスっ!!」
「ありがとうっ!! 兄ちゃん嬉しいぞ」

どこか遠い昔みたことあるような気がするやり取りが広がっている。
兄妹だろうか?
妹の頭をなでる小学生くらいの男の子と撫でられてうれしそうにしている女の子。
そしてその男の子がもらったものは…………

ジリリリリンッ ジリリリリンッ ジリリリリンッ
…………我ながらなんという夢だ。

枕の下に「涼宮の消失」なんて本を入れたのが間違いだったな。
まぁいいまずするべきことは1つ
ジリリrカチッ
目覚ましを止めることだ。
まだ完全に目が覚めてないのか俺はつい机の上にあるパソコンを確認してしまった。
………ったくそんなことあるわけねぇだろうがよ。
俺は苦笑し、着替えを済ませ下へ向かった。

あいつらの事だ、どーせ普通じゃないパーティーをするつもりだろう。
まぁその予定について話す前に俺は桐乃に言わなくてはいけないことがあるけどな。

   昨日はすまなかった、パーティ楽しみにしてるぜってな。



            

            〜end〜
215 :122 :2011/04/01(金) 06:34:11.84 ID:Oj9UyXtR0
以上です。
夢落ちになってしまったことを許してください。
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2011/04/01(金) 08:04:32.46 ID:DwdSnyMKo
おつ!
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/01(金) 11:08:52.59 ID:oaGIA95mo
乙!
すごい時間に書いてるなww
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/04/01(金) 12:08:22.58 ID:BrfqCBUVo
キリリリリンッ キリリリリンッ キリリリリンッ

というよく分からないものを幻視した
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/01(金) 14:18:13.07 ID:62TC9T550
乙です。

京介とあやせだけが覚えていたって所が、また良いね。
この後、二人の距離は相当縮まったんだろうなきっと。
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/04/01(金) 17:13:36.12 ID:H2DfIQ3bo
最後の選択で悩む京介に強烈な違和感
221 :122 :2011/04/01(金) 19:26:51.43 ID:Oj9UyXtR0
>>220
違和感を通り越してもはや別人だなぁ
原作読み直してくる
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/01(金) 19:28:50.93 ID:mzL6QeLXo
おつ。まあ二次創作ですし


ところでブリジット√はまだかね?
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/01(金) 19:35:00.19 ID:uE+AydQAO
乙!面白かったすよ
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/04/01(金) 19:35:43.67 ID:UmF5+ULzo
乙。
SFパートはyouに任せた!

>>222
歪みねえなぁ
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/04/01(金) 20:05:05.32 ID:mt6jX6xvo
>>200
このネタもらってもいいすか?
あんまり長いのは書けそうにもないけど。
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/04/01(金) 20:48:15.98 ID:UmF5+ULzo
キャラ崩壊、死亡描写、残酷描写があるSSって、控えた方がいい?
注意書きすればおk?
一つ書き終えたんだが、そういう描写があるんで聞いてみたい。
ちなみに内容は厨二バトルものなんだが。
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 20:58:49.00 ID:KG/DlPvzo
注意書きさえ怠らなければ苦手な人はNGするしおkでしょ
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県) [sage]:2011/04/01(金) 21:19:07.71 ID:ny2rejxUo
もしきりりんやあやせが黒猫と同じ高校に入って
きりりん氏がゲー研に入部してあやせとカナカナも後を追ってきたら
ゲー研がリア充の象徴みたいになるな
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 21:22:49.85 ID:UWm4BGDDO
>>228
真壁君、ハーレムすなぁ
つか、ゲー研入部希望者多数で一気に部に昇格すか?
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/01(金) 21:32:58.48 ID:LGGqrY130
>>228
だが桐乃なら妹研究部略してイモ研を作るんじゃないか?周りからは芋を研究してるクラブだと勘違いされそうだが…。
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/01(金) 21:45:10.51 ID:q6L4wWIBo
ゲー研を隠れ蓑にした瀬菜ちーのよくわかる腐女子講座「如何にして私はスプーンとフォークでプリミティブな絡みを連想することができるか」が始まったり。
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/01(金) 21:45:31.59 ID:mzL6QeLXo
>>226
注意書きあればおkでそ。投下待ってる
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/04/01(金) 21:48:57.86 ID:UmF5+ULzo
プリミティブって聞くと、ぎっちょんを思い浮かべてしまうぜ。

んじゃま、推敲して投下しますかね。
投下時間は深夜を予定。
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 22:58:56.08 ID:LeqwNng8o
部長がゲー研のみんなからくさい言われるの何巻だっけ?
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 23:08:04.45 ID:UWm4BGDDO
>>234
7巻第2章 あやせに手錠をかけられた後
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 23:11:13.51 ID:LeqwNng8o
>>235
サンクス。ちょっと読み直してくる
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/01(金) 23:53:07.22 ID:UmPjh4xAO
>>215

冒頭の数行を読んだ時に涼宮来ると確信した
こういう世界観の話書けるの羨ましいです
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/02(土) 00:05:42.30 ID:nGJXjcnAO
>>174
乙〜
俺、いま書く予定のSS全部書ききったら
MGのEx-Sを買いに行くよ。

>>185
乙!!
第三世界とは。とんでもないアクロバティックな展開に心奪われた。
この気持ち、まさしく愛

>>202
今度試す。
既に書いてる人と被らないといいな。うぅ…

>>215
夢落ちにしては、すごく……SFです…
この京介はそれだけハルヒ派だったのか。
ところで122氏、自分も122設定を拝借したく候。宜しかろうか
239 :122 :2011/04/02(土) 00:40:37.06 ID:oO+SezhO0
>>238
どうぞどうぞ、こんな設定でよければww
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2011/04/02(土) 01:03:49.59 ID:i1LYuYF3o
※キャラ崩壊、死亡描写、残酷描写注意

いい時間だし、推敲も終わったし、投下します。
改めて読み直したが、俺妹でやる必要性を全く感じない。

カプ:特に無し
展開:厨二バトル

以下、投下。
241 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:05:06.43 ID:i1LYuYF3o
黒く、暗く、重い帳が世界を支配している。
月と星の光だけがそれに抗うが、この絶対的な闇の前ではそれも儚く、弱く、脆い。そんな夜だった。
とある洋館の一室。
この広大な空間は、常ならば華やかな社交の場として、多くの紳士淑女が集い、絢爛な舞踏会が催されていたのだろう。
だが、今は違った。煌びやかな照明も、豪華な食事も、美しいワルツも、何もない。
あるのは闇。月明かりすら入ってこないほどの闇だけだ。
その中に、光が浮かび上がる。この部屋の中央に、青白い炎がぼうっと。
吹けば消えそうな炎はふらふらと彷徨い、ゆらゆらと舞い上がり、天井付近でパンッと弾けた。
光が部屋全体に満ち、それを合図に全ての照明が点く。
そこには四人の少女がいた。

真紅のドレスを纏った、輝くようなライトブラウンの髪を持つ少女。
この夜を切り取ったかのような漆黒のドレスを着た、黒髪の小柄な少女。
真白いドレスとは対照的な、濡羽色の長髪を持つ少女。
茶色いドレスを着慣れていないのが丸分かりな、短髪の眼鏡を掛けた地味な少女。

少女達はお互いの姿を確認し、それぞれ違う表情をする。
ある者は、この場にいる人物に驚き、
ある者は、親の仇を見るような目をし、
ある者は、誰をも魅了する笑みを浮かべ、
ある者は、困惑の表情を浮かべていた。

そこに新たな登場者が現れ、少女達に声を掛ける。

「やぁやぁ、各々方。お揃いのようですな」

その声もまた、少女のそれであった。
大柄で均整の取れた肢体にタキシードを纏い、シルクハットとステッキを身に着けた、男装の少女。
一つだけ言うことがあれば、それだけ見事な格好をしているのに、その瓶底眼鏡はいかがなものかということだけだ。

「忌々しいピエロのお出ましね。わかってはいるけれど、一応、今回集められた理由を訊いておこうかしら」

漆黒のドレスを着た少女が、汚物でも見るような視線を男装の少女に向けながら訊ねた。
冷たい視線など意に介さず、男装の少女は答える。

「黒猫氏はせっかちですなぁ。いいでしょう、お答えします」

男装の少女は、ダンスホールに設けられた二階席の手摺に足を掛け、トンッと宙を舞い、ホール中央に着地した。
ステッキをくるくると回し、さながら舞台俳優のような大仰な仕草をしながら、少女は話し始める。
242 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:05:37.49 ID:i1LYuYF3o
「今宵はワルプルギスの夜。神に叛く魔力的諸力が増大する日でござる。よって魔女の皆様には、この場にて雌雄を決してもらおうという所存」
「はぁ?なんであたし達がそんなことしなくちゃいけないワケ?意味わかんないんですケド」

抗議の声を上げたのは、真紅のドレスを纏う少女だった。
疑問と嫌味をない交ぜにした声を聞いても、男装の少女の飄々とした態度は変わらない。むしろ心地よさげですらある。

「ふっふー。嘘はいけませんな、きりりん氏。古来より、この地に棲む魔女達によって決められたしきたり。その末裔であるあなたが知らぬはずがない」
「チッ!」

真紅の少女は舌打ちをし、そっぽ向いてしまった。こんな場でなければ、年相応の可愛らしい仕草と言えるだろう。
代わって、真っ白なドレスを着た少女が訊ねる。

「高い魔力場を形成するこの地の支配権。それを決めるんですよね?」
「いかにも。あやせ氏の言う通りでござる。もっとも、支配権とは名ばかりで、
 この地に安定と安寧をもたらすよう魔力を操作する役を決める、と言った方が正しいですな」
「なら、わざわざ争う必要は無いんじゃないかな?」

疑問を呈したのは、眼鏡を掛けた地味な少女。
それを聞き、男装の少女は困ったように肩をすくめた。

「それがそういうわけにもいかぬのですよ、麻奈実氏。このしきたりには、この地の魔力に実力を示す意味合いもあるのです。
 つまり、相応しい者を戦いにて見極めなければならない」
「要は、弱い者になんか使われたくないのでしょ。御託はいいからさっさとはじめなさいな」

そう結論付けたのは、漆黒の少女。先程からずっと不機嫌な様子である。

「黒猫氏の意見もごもっとも。要は、最も強い魔女を決めるのですからな。そして監督役は、拙者、沙織・バジーナが務めさせていただきまする」

儀式の説明と自己紹介を終えた少女――――沙織・バジーナは、右足を引き、右手を体に添え、左手を横方向へ水平に差し出すというヨーロッパ式の礼をした。
その直後、沙織の頭上から黒い刃が幾十と降り注いだ。

ズガガガガガガッ!

刃は大理石の床を砕き、ホールの一角を無残な姿に変えた。

「これはこれは、ずいぶんと嫌われましたなぁ」

いつの間に移動したのか、沙織は二階席の手摺の上に立っていた。
漆黒の少女は舌打ちをし、沙織に向き直る

「とっとと失せなさい、糞兎。ハンプティ・ダンプティになりたいのなら、別に止めないけれど」
「ふふ、怖い怖い。では拙者は、安全な場所にて行く末を見守りましょう。皆様、良い舞踏を……」

沙織はシルクハットを頭上に掲げ、手を離す。
シルクハットは重力に従い、床に落ちた。
そこにはハットだけが残るのみで、沙織の姿はなかった。

「相変わらず、憎たらしい兎ね。ずっと不思議の国に引きこもってればいいものを……」

漆黒の少女の悪態は、空しく響いた。
243 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:06:04.81 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


「目障りな兎もいなくなったことだし……」

黒猫は視線をホールに戻し、他の三人を見渡す。
両手を広げ、その体から黒い魔力の奔流が立ち上らせながら。

「はじめましょうか。楽しい楽しいダンスパーティーを、ねぇ!」

目を見開いた瞬間、体から立ち上る魔力が球体と化し、他の三人を攻め立てた。
その数、実に三十。一つ一つに必殺の威力が込められた魔力球が、十球ずつ降り注ぐ。
初撃を避けるも、魔力球は敵を追尾してくる。だが……。

「くっ!」

黒猫に攻撃を加える者がいた。その重い一撃を防御するため、黒猫は魔力球の制御を放棄し、両手で光の壁を形成する。
先程まで執拗に追ってきた魔力球は、全てあらぬ方向に飛んでいき、爆散した。

「もう。いきなりなんて危ないよ、黒猫さん」
「その危ない攻撃を掻い潜って、私自身を攻めるあなたは、もっと危ないんじゃないかしら」

光の壁を爆発させ、距離を取る黒猫。視線の先には、眼鏡を掛けた地味な少女――――麻奈実が立っていた。

「やはり、あなたが一番手強そうね。ベルフェゴール」
「べ、べるふぇ?何のこと?」
「ここに来てもとぼけるなんて、いい性格をしているわ」

黒猫は体全体に魔力を纏う。腕、足、頭、胴は黒い炎の鎧で覆われ、周囲に黒い刃が浮かんでいた。
遠距離攻撃の術式と、近接攻撃力・防御力アップの術式を同時に展開し、戦闘態勢を取る。

「知ってるのよ。あなたの力の根源のことを」
「……そっか。じゃ、隠すことも無いかな」

麻奈実は目を閉じ、胸の前で両手をパンッと合わせる。
すると、麻奈実周辺の床からコールタールのようなものが現れ、彼女を包み込んだ。
もごもごと蠢き、気色の悪い音を立て、何かを形作っている。
現れたのは、細身で豊満な体躯。腕と首周りは赤いレザーのような衣服と二股の帽子。
胸と股間は紐のようなもので隠され、足には派手なガーターベルト。扇情的だが、露出狂と思われてもおかしくない格好である。
それよりも目を引いたのは、背中から生えた蝙蝠のような翼だ。
『変身』を終えた麻奈実は、ふうっと息を吐き、目を開く。瞳は、血のように紅かった。

「流石は『怠惰』『好色』を司る悪魔、と言ったところかしら。破廉恥極まりない格好ね」
「わたしも、この格好は恥ずかしいんだよ!?ぷんぷん」
「知らないわよ、そんなこと。契約した悪魔のことくらい、事前に調べておきなさいな」
「うう〜」

田村麻奈実。彼女は、他の魔女とは一線を画す存在であった。
多くの魔女が使う『魔術』は、内包する魔力を長大なプロセスを経て形成・行使するものであり、天使や悪魔の力を人間用にダウングレードしたもの。
だが、麻奈実は悪魔を、その中でも高名な存在と契約し、その力を取り込んだ。
故に、詠唱や儀式を伴わずとも強大な力を振るうことが出来るのだ。
麻奈実を相手にすること。それは、悪魔と戦うことを意味する。

「本物の悪魔の力。存分に見せてもらうわ」
「うう〜。やっぱり、戦わないとだめ?」
「くどいわね。そもそもこの場にいるのだから、最初から戦うつもりだったのでしょ?」
「そ、そんなことないよっ!!」
「そう。じゃ、大人しく果てなさい!」

黒き鎧を纏った魔女は、悪魔の力を持つ少女を強襲した。
244 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:06:31.05 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


一方、他の二人は……。

「はじまっちゃったね……」
「そうだね……」

互いを見つめながら、そう呟く。
だが、互いに力を行使する素振りは見せない。

「ねえ、あやせ。やっぱり戦わなくちゃダメなの?」
「本当なら、わたしも桐乃と戦いたくなんてない。でも、この街を、家族を守りたいの。大事な親友が相手でもそれは変わらない」

あやせは目の前に手を掲げ、四尺はある黒太刀を顕現させた。
武器を出されながらも、桐乃はまだ迷っていた。本当に戦いは避けられないのか?親友を手に掛けなければならないのか?
そんな心情は、あやせにも伝わった。

「桐乃。戦いたくないなら、それでもいい」
「あやせ……」
「安心して。桐乃が負けても、わたしが勝つから。勝って、この街も、『あの人』も守るから」
「!!」

あの人――――。
その言葉が出た途端、桐乃は息を呑んだ。
あやせが言う『あの人』のことを、桐乃は知っている。それは、桐乃に取っても大事な人。
たとえ親友でも、大事な人を渡すことは出来ない。
桐乃は光り輝く魔力を放出し、体に纏って戦闘態勢を整えた。

「いくらあやせでも、『アイツ』は渡せない」
「そう……。それでいいんだよ、桐乃」
「行くよ……」

戦いを拒めば、二人は今でも笑い合えていたかもしれない。穏やかに過ごせていたかもしれない。
だが、二人は選んだ。拳を、刃を交えることを。
お互いの大事なものを、大事な人を守るため、少女は戦う。最愛の親友と。その命を奪うため。
245 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:08:39.23 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「はあああああああああああああああああっ!!」

白い拳撃が、黒い剣撃が交じり、弾け、砕き、斬り裂く。
幾合もの攻防が、床を、壁を、天井を瓦礫に変える。
逆袈裟を受け止め、左正拳突きを捌き、胴蹴りを受け止め、右下段蹴りを避ける。
右正拳突きを柄で受け止め、体を回転させて突きを返す。突きを拳で打ち上げ、空いた胴に突っ込む。
桐乃からタックルを喰らったあやせは、そのまま壁に激突した。

「はあっ……はあっ……」

桐乃は少し離れたところに降り立ち、息を整えている。
瓦礫と粉塵が舞う中、あやせが姿を現した。こちらも消耗が激しく、息が荒い。

「はあっ……流石だね、桐乃。刀一本じゃ……手数で敵わない……」
「あやせこそ……よく捌いてんじゃん……。正直……かなり手強いよ……」

戦況は拮抗しているように見えるが、そうではない。
あやせは大太刀の斬撃のみ、桐乃は体全体を使った徒手空拳の攻撃。手数で圧倒的に上回っている。そのため、体力の消耗が激しい。
だが、桐乃の言う通り、あやせはそれを捌いて、攻撃を加えていた。後の先を取る形であり、このまま行けば桐乃は負けるだろう。
だから桐乃は、戦法を変えることにした。構えを解き、身に纏う魔力を霧散させる。
桐乃の突然の行動に、あやせは訝しげな声を出す。

「どういうつもり?まさか、負けを認めるの?」
「違う。あたしは負ける気なんて無い」

桐乃の周囲から魔力が溢れる。それは先程よりも丁寧に練られ、金色に輝いていた。
それを足のみに纏う。さながら、鎧の足部分だけを身に着けたような姿。

「攻撃しても捌かれるなら……捌けない攻撃をするだけ」

瞬間、桐乃の姿が消えた。

「!」

あやせは驚き、桐乃の姿を探す。視線を上げた瞬間、下から強烈な攻撃を喰らった。

「ぐっ!」

体を打ち上げられながらも、あやせは懸命に桐乃の姿を探す。
今度は背中に攻撃を喰らい、床に叩きつけられ……る前に、横から攻撃を喰らって吹っ飛んだ。
刀を突き立て、なんとか激突は免れるもダメージは大きい。
あやせは黒太刀を消し、黒い小太刀を二刀出現させ、逆手に構えた。

(違う。消えたわけじゃない。速過ぎて見えないんだ)

桐乃が取った戦法。それは「超速移動からの攻撃」だった。
いくら攻撃しても捌かれるのなら、捌けないほどの速さで攻撃を繰り出す。後の先も取れないほどの先の先で相手を撃ち倒す。
確かに、相手が見えなければあやせも容易に攻撃を捌けない。

(焦るな。攻撃を繰り出す瞬間、確かに桐乃はそこにいる。そこを狙えば……)

目を閉じ、神経を研ぎ澄ます。
聞こえるのは遠くの戦闘音と、桐乃が移動するときに出す音。その音と気配だけに、意識を集中させる。
……………………………………。

(ここだっ!)

ガキィンッ!!

あやせは左手に握る小太刀を、自分の背後に突き出した。
あの速さから出した蹴りを受け止められ、桐乃は驚愕の表情を浮かべている。

「せえええええええええええええええええええええええいっ!!」

左手はそのまま、あやせは振り向き様に斬撃を放つ。
それは桐乃を捉え、真紅のドレスごと身を斬り裂いた。

(このチャンス!絶対に逃さない!!)

あやせは左右二刀を高速で振り回し、桐乃を攻撃する。
先程と違い、桐乃は全身に魔力を纏っていない。そのため、斬撃がダイレクトに桐乃を苦しめていた。
ドレスが、身が裂け、血が飛び散る。
246 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:09:06.47 ID:i1LYuYF3o
「こっ……のおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

桐乃は捨て身覚悟の蹴りを放った。あやせはそれを一刀で受け止め、もう一刀で桐乃を狙う。
だが、桐乃は蹴りを受け止められた反動を利用し、あやせから距離を取った。
15mの間を空けて見つめ合う少女達。

「まさか……これも捌かれるなんてね」
「同じ手は、もう通用しないよ。桐乃」

あやせは二刀を構え、不敵に笑う。勝利を確信したように。
しかし桐乃の顔には、まだ諦めの色は浮かんでいなかった。

「獲物を前に舌なめずり。三流のすることね」
「なんですって……?」

あやせの顔から笑みが消えた。
この期に及んでも、まだ諦めない親友。一体、何をしようというのか。
あやせの心に疑念が広がる。

「あたしは負けない……絶対に!!」

瞬間、桐乃の姿が消えた。それは、つい先程の再現。
だが、あやせに焦りは無い。落ち着いて行動すれば、相手の攻撃を防げることは実証済みだ。

(桐乃……。ごめんね)

意識を集中させながら、あやせは心の中だけで詫びた。
自分の勝ちは揺るがないという絶対の自信と、親友をこの手に掛けてしまうことへの自責の念。それらをない交ぜにして。
だが、彼女にも譲れないモノがあるのだ。だから覚悟した。命を奪うことを。愛しいあの人の、大事な人の未来を奪うことを。
……音がする。桐乃の動く音が。
呼吸を整え、反撃の機会を待つ……。

「殺(と)った!!」

あやせは頭上に小太刀を掲げた。

ガキィンッ!!

金属がブチ当たるような音が響く。
あやせは勝利を確信し、もう一方の小太刀を振るった。

「!?」

だが、そこに桐乃の姿はなく、あやせの斬撃は空を斬るのみ。
無防備となったあやせの腹に、衝撃が走った。

「がっ!」

上空に吹っ飛ばされたあやせ。防御の構えを取る暇もなく、次の攻撃が飛んできた。
上、下、左、右、前、後ろ……。
全方位から衝撃が飛来し、あやせを容赦なく襲う。白いドレスは破け、血に染まり、無残な姿をさらした。

「これでえええええええええええええええええっ!!」

床に落ちることも許されず、空中に投げ出されたままのあやせの目の前に、桐乃が現れた。
縦に何回も回転し、必殺の踵をあやせの体に放つ。
桐乃の踵はあやせに直撃し、あやせはようやく、地面と再会を果たした。
十数秒前とは違い、その姿は見るに耐えないものとなってはいたが……。
あやせはなんとか立ち上がろうとするも、ダメージが大きく、足が言うことを聞かない。

「はぁっ……がはっ……。桐乃……あれが……全力じゃなかった……んだね……」

ヒューッ、ヒューッ。
あやせは呼吸すらままならないながらも、そう呟き、親友の姿を見る。
桐乃は、親友のそんな姿を悲しげな表情で見つめていた。

「今……楽にしてあげるね……」

桐乃は右足を前に出し、膝を曲げ、中腰になり、その足の上に右腕を置くという構えを取った。
右足に纏っている魔力鎧が、より一層輝く。
輝きはそのままに、桐乃は飛んだ。高く、高く。
空中で一回転すると、あやせに向けて流星の如き飛び蹴りを放った。

(あーあ、負けちゃった。やっぱり、桐乃には敵わないなぁ……)

あやせは、自身の敗北と死を覚悟した。
247 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:10:02.35 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


黒い拳と刃が飛び交う。
クロスレンジから右拳を突き出し、左足を蹴り上げる。
それを左手で掴み、右足で受ける。
右足で相手の体を蹴り、拘束を解く。距離が空いたところで刃を射出し、刃と共に相手に迫る。
飛来する刃を右手で振り払い、後ろにいた相手から放たれた前蹴りを避け、その足の上に乗る。

「!?」

繰り出した右足を軸に体を回転させ、左回し蹴りを放つ。
それも避けられ、再び距離が空く。

「さっきから攻撃をしてこない。やる気はあるのかしら?」
「体を慣らしてるところなの。そんなに焦らないで〜」

戦う素振りを見せない相手に、黒猫の苛立ちは募る。
おまけにこの態度。莫迦にするにもほどがある。

「そう。じゃあ、ウォーミングアップで終わらせてあげるわ!!」

黒猫は空を疾り、麻奈実に攻撃を加える。
小柄な体から、高速の突き、蹴りが繰り出される。
麻奈実はそれを平手で捌き、受け止め、決定打を与えない。
首を狙った手刀の突きを、横から平手を加えて狙いを逸らし、胴を狙った膝蹴りを膝で受け止める。

「このっ!」

業を煮やした黒猫は、大振りの左パンチを麻奈実に放った。
麻奈実は、黒猫の手首を右手で掴んで止める。
その態勢のまま、体が開いて隙だらけの胸に平手を添えた。

ドンッ!

衝撃が、黒猫の体を襲う。
体の自由を失った黒猫の手を離し、顎に掌打を加えて吹き飛ばし、両掌打を黒猫の胴に放ち、床に叩き付けた。
黒猫を中心に、周囲の大理石が歪み、罅割れ、砕け、陥没した。
黒猫が起き上がるのと、麻奈実が降り立ったのはほぼ同時。
顎を撃ち抜かれた黒猫の口からは、ダラダラと血が流れている。
それを袖で拭い、口内の血をベッと吐き出す。

「悪魔の力も、大したことはないわね」
「そっかぁ〜。黒猫さん、すごいねぇ〜」

黒猫の言葉を受け、麻奈実は感心したように呟いた。
黒猫の眉間に皺が寄る。

(わかってて言ってるわね。忌々しい……)

黒猫は胸に手を当て、麻奈実を睨む。
悪魔の力が大したことはない。それは嘘だ。
現に、黒猫が受けたダメージは大きなものだった。魔力による鎧で防御力を上げていなければ、この胸に風穴が開いていただろう。
おまけに、顎への攻撃にいたっては手加減してくれている。本当なら、あの一撃で勝負は決まっていた。
この女、遊んでいる……。世にいる魔女の中でも有数の実力者である、この黒猫を相手に。
黒猫は魔力を練り、先程よりも強固な鎧を形成する。

(困ったわね。手立てはあるけれど、正直厳しいわ……)

黒猫は両手に魔力球を形成し、それを携えたまま麻奈実に迫る。
麻奈実の下に素早く移動して、足払いを繰り出すも、麻奈実は軽くジャンプして避ける。
相手が空中に移動した瞬間を狙って足技を放つ。前蹴り、膝蹴り、回し蹴り、両足蹴り、体を独楽のように回転させて繰り出す回転蹴り。
麻奈実は腕を組みながら、足だけで受け止め、捌く。

(まだ遊ぶつもり?本当、嘗められたものね……)

膝蹴りを膝で止められた瞬間、黒猫は空いた足を麻奈実の膝にかけ、ジャンプして頭上に躍り出る。
そこから両手の魔力球を超至近距離で放った。
麻奈実は腕組みを解き、それを両手で受け止め、黒猫に前蹴りを放つ。
蹴りを両手で受け止めながらも、黒猫は軽く吹き飛ばされた。そこを狙って、麻奈実は両手の魔力球を黒猫に放つ。
寸でのところで、黒猫は上体を後ろに大きく倒して避ける。

「!?」

そこで目を剥いた。
視線の先――――魔力球の行く先には、今まさに必殺の一撃を放とうとしている桐乃の姿があった。
248 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:10:30.79 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


あやせに止めを刺すべく、桐乃は必殺の蹴りを放つ。
それを瀕死の状態で見つめていたあやせ。だが、そこに強烈な殺気を感じた。
慈悲の一撃を繰り出すべく、空に舞い上がった桐乃のものではない。もっと別の、悪意に満ちたものを。
視線を横にスライドさせると、黒い魔力球が二つ、桐乃に迫っているのが見えた。
桐乃は……それに気付いていない。

「桐乃!?」

あやせの声で、桐乃ようやく自分に迫る魔力球に気付く。だが、迎撃も回避も間に合わない。

「ぐうっ……!」

あやせは体に力を入れ、なんとか立ち上がった。
体のあちこちから血が吹き出るも、そんなことは気にしない。気にしていられない。

(間に合え!!)

あやせは最後の力を振り絞り、足に力を込め、空に舞った。


ーーーーーーーーーーーー


「桐乃!?」

あやせの声が聞こえ、桐乃はそこであやせ以外のことに意識が向く。途端、強烈な殺気を右側から感じた。
視線を向けると、黒い魔力球が二つ、こちらに飛来してくるのが見えた。

(くっ……!攻撃モーション中じゃ、間に合わない……)

だが、気付くのが遅すぎた。あと数秒、数秒気付くのが早ければ、攻撃を中止して避けることもできただろう。
桐乃は攻撃をやめ、体を縮こまらせて目を瞑り、衝撃に備えた。
……………………………………。
しかし、いくら待ってもそれはやってこない。恐る恐る目を開けると、

「あ、あやせっ!?」

あやせが眼前にいた。両腕を広げ、桐乃を守るように。
その体勢のまま、あやせは落下していく。
桐乃は空を駆け、床に激突する前にあやせを抱きとめた。

「あやせ!あやせっ!!」

あやせの体を揺さぶり、大声で呼びかける。
桐乃の声が届いたのか、あやせはうっすらと目を開けた。

「き……りの……」
「あやせっ!」
「よか……った……。まに……あっ……た……」

そう呟くあやせの姿は、無残としか言いようがなかった。
美しいドレスはあちこちが破け、焼け焦げていた。
白くキメ細やかな肌は赤く腫れ、血が流れ出て、やはり焼け焦げていた。
これでは助からない。誰の目にも明らかだった。
桐乃は涙を流しながら、あやせに問いかける。

「なんで……。なんで、あたしを……」

あやせは笑みを浮かべ、答える。その声は、か細かった。

「決まってる……じゃない……。わたし……達……親友……だもん……」

この少女は、あれだけ痛めつけた自分を、まだ親友と呼ぶ。
本気で殺しあった今でも、まだ親友と呼ぶ。
桐乃は涙が止まらず、言葉も出せないほど泣きじゃくった。桐乃の頬に、あやせの手が添えられる。

「泣か……ない……で。どの道……死んでたん……だもん……わたし……」

あやせの手が、桐乃の頬を撫でる。その手は黒く煤けていたが、桐乃がそれを払うことはなかった。

「最後……に……大好き……な……桐乃……を……守れ……て……よかっ……た……」

それだけ言うと、あやせの手は力なく垂れた。笑みを浮かべたまま、最愛の親友は、その短い生涯を終えた。

「あやせ……あやせぇ……」

桐乃はあやせの手を握りながら、泣いた。ただただ、泣いた。
249 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:11:11.49 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


黒猫は桐乃の傍に降り立った。桐乃は、それを気にすることなく泣き続けている。
そこから20m離れた先に、麻奈実も降り立った。

「桐乃ちゃんを狙ったんだけどなぁ〜。しっぱいしっぱい〜」

軽い調子で、頭を掻きながら麻奈実は言い放つ。とても、人一人の命を奪い去った後とは思えない態度。
黒猫も、この態度には嫌悪感を通り過ぎて怒りを覚えた。

「流石、悪魔ね。虫唾が走るわ」

前に一歩踏み出そうとした瞬間、肩を掴まれた。振り返ると、桐乃が立っていた。
だが、その目はこちらを見ていない。その目は、怒りは、あの悪魔に向けられていた。

「アンタだけは……あたしがブチ殺す……」

地の底から響くような、暗く、重い声だった。呪詛を紡ぐよりも、呪いに満ち満ちた声だった。
黒猫を押しのけ、前に出ようとする桐乃。今度は、黒猫が肩を掴んで止めた。

「やめなさい。あなたの敵う相手じゃないわ」
「関係ない」
「無闇に突っ込んでも、あの娘の二の舞になると言っているの」
「カァンケイねェェんだよォォォ!!」

黒猫の手を払い除け、桐乃は吼えた。怒ったところは何度も見てきたが、今回は怒りの質が違っていた。
たとえ腕がもげ、足を潰され、臓器を抉り出され、首を引き千切られようとも殺す。言葉にすると、こんな感じだろうか。
黒猫は溜息を吐き、前に進もうとする桐乃の足を払い、転倒させた。
プギャッとみっともない声を出す桐乃。

「なにすん……!」

抗議しようと顔を上げた桐乃の頭を踏み、再び地面とキスさせた黒猫。マジ女王様。

「少し落ち着きなさい。無策で行っても、返り討ちにあうだけよ。あの娘の死を無駄にしたいのなら止めないわ」
「!?」

その言葉を聞いた桐乃は、頭に冷水をぶっ掛けられた感覚に襲われた。
黒猫は淡々と話を続ける。

「あれは、私でも簡単には殺せない。悪魔の力、伊達じゃないということね。そこで提案があるのだけれど……」

黒猫は足をどかさず、なおも続ける。
250 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:11:38.73 ID:i1LYuYF3o
「実に、実に不本意なのだけれど……私と手を組まない?二人掛かりなら、あの悪魔を殺し尽くすことができるわ」

そこでやっと、黒猫は桐乃の頭から足をどかした。
鼻を赤くしながら、桐乃は黒猫を見上げる。

「勝算は?」
「私達の連携次第ね。成功すれば確実に殺せるけれど、そこに辿り着くまでが五分……と言ったところかしら」
「じゃあ、100パーじゃん」

桐乃は立ち上がり、ドレスに付いた土埃を払い落とす。

「あたしなら、確実にその状況に持ち込める」
「ずいぶんと自信があるのね?」
「当然でしょ。あたしを誰だと思ってんの?」
「真っ正直に向かっていくことしか出来ない莫迦」
「はぁ!?」

黒猫の皮肉に、素直に反応する桐乃。見慣れた光景に、黒猫の表情が和らぐ。

「そこまで言うなら、あなたに任せてあげるわ。感謝なさい」
「なんで上から目線なワケ?チョームカつくんですケド」
「当然でしょ。作戦立案者はこの私。あなたはそれを言われた通りにこなすだけの、ただの駒なのだから」
「あ〜ハイハイ。勝手に言ってなさい。で、作戦は?」
「態度がなってないんじゃない?まあいいわ。耳を貸しなさい」

桐乃は少し身を屈め、黒猫の身長に高さを合わせる。
黒猫は桐乃の耳に手を添え、相手に聞こえない声量で作戦を伝えた。

「それだけ?」
「莫迦ね。それだけのことが、あの悪魔相手だと難しいのよ」
「ふ〜ん。ま、いいけどね。んじゃ、任せなさい」
「せいぜい失敗しないことね。命が掛かってるんだから」
「わかってるって。あんたこそ、トチるんじゃないわよ」
「それこそ愚問ね。わざわざあなたに心配されることじゃないわ」

作戦会議も終わり、桐乃と黒猫は戦闘態勢を取る。

「内緒話は終わった〜?」

二人の様子をただ黙って見ていた麻奈実は、相変わらずとぼけた様子で声を掛ける。

「わざわざ待っていてくれたのかしら。ずいぶんと余裕ね」
「そんなことないよ〜。なにをしてくるのかどきどきだよ〜」
「はン。そのクソムカつく態度、粉々にブチ砕いてやるんだから」

桐乃と黒猫。
共同戦線を張った二人の魔女は、同時に飛び出した。
251 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:12:33.18 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


先に仕掛けたのは桐乃。
あやせに見せた超速移動を開始する。今度は最初から全開、最高速だ。
瞬時に背後に回り、麻奈実の後頭部目掛けて蹴りを放つ。

(死ねェ!!)

超速移動からによる蹴り。防御も回避も、今からでは間に合わない。だが……。

「なっ!?」

麻奈実は振り返らないまま、左拳で蹴りを受け止めた。
驚く桐乃に、ゆるい声が掛けられる。

「桐乃ちゃん、速いねぇ〜」
「このっ!」
「離れなさい!!」

追加攻撃を加えようとした瞬間、黒猫の怒号が飛んだ。
桐乃が麻奈実から離れるのを見届け、黒猫は黒い刃を数十本撃ち出す。
麻奈実は翼を羽撃かせて、刃を全て撃ち落とした。

(牽制とは言え、こうもあっさりと……)

大抵の魔女なら、桐乃の蹴りで即死。たとえそれを回避、もしくは防御出来ても、黒猫の刃で殺られていたはずだ。
それをあの悪魔は、ほとんど動くことなくどちらも無力化した。やはり手強い。
黒猫は魔力を練り、攻撃の威力を上げようとした。
その間、桐乃は全包囲攻撃を仕掛けた。
上、下、左、右、前、後ろ……。
そのどれもが、あやせに見せたものより速く、重い一撃だった。
しかし、麻奈実は全て、拳か膝で受け止める。激突の余波で、建物の壁や床が砕けていくような一撃を、難なく防御する。

(ならっ!)

桐乃は助走をつけ、天井を蹴り、床に立ったままの麻奈実に向けて飛び蹴りを放った。
あやせに止めを刺す際に使おうとした、桐乃の最大攻撃。今度は桐乃自身も加速し、先程のものより何倍も重い一撃だ。
流星など置いていくほどの速さ。右足を中心に、魔力の奔流が渦を巻く。人間相手ならば塵も残さないほどの苛烈な一撃。
試したことは無いが、たとえ悪魔だろうと確実に殺せる。
麻奈実は回避行動を見せず、両腕に黒い魔力を纏い、

「は!?」
「ふふっ。つ〜かま〜えた〜」

桐乃の足を両腕で掴んだ。
桐乃を掴んだまま体を回転させ、黒猫目掛けて投擲。ジャイアントスイングだ。
黒猫は飛んできた桐乃をひらりと回避、桐乃は壁に激突した。
麻奈実から視線を外さない黒猫に、背後から怒りの声が投げ掛けられる。

「ちょっと!受け止めるなり何なりしなさいよ!!」
「嫌よ。当たったら痛いじゃない」
「アホかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

なんとも緊張感の無いシーンだが、黒猫は内心、冷や汗をかいていた。
桐乃の超速攻撃を難なく防御。防御できるのなら、回避など朝飯前だろう。
そして先程の飛び蹴りすら受け止めた。あれは、黒猫でも完全に防御できるかわからないほどの威力を持っている。
防御、回避は万全。おまけに隙が無い。「勝算は五分」と言ったが、それも怪しくなってきた。
壁から抜け出し、黒猫のところまでやってきた桐乃。
それを見届けた麻奈実は、笑顔を浮かべたまま口を開く。

「いくら速くても、あんなに殺る気を見せたら当たらないよ〜。桐乃ちゃん」
「……ご忠告どーも」

余裕を崩さず、相手に忠告すらしてくるこの態度。気に入らない。ああ、気に入らない。

「どうすんのよ?」

苛立ちを隠そうともせず、桐乃は黒猫に問いかけた。
桐乃の攻撃で隙を見せた麻奈実に、黒猫が必殺の一撃をお見舞いする。という作戦で動いていたのだが、色々と誤算が出てきた。
こちらの攻撃をいとも簡単に捌くこと。隙を全く見せないこと。問題はこの二つだ。

「あなただけで駄目なら、私も加わるしかないわね。隙が無いなら作り出すまで」
「あっそ。じゃあ、せいぜい頑張ることね」
「あなたこそ、あっさり死ぬんじゃないわよ」
「あのクソ悪魔を殺すまでは、殺されても死なないわよ」
「なにそれ?いいわ。じゃ、よろしく!!」
252 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:13:05.42 ID:i1LYuYF3o
桐乃は超速移動を開始し、黒猫は麻奈実に向かって駆け出した。
手を手刀の形に変え、急所目掛けて高速で突き出す。
麻奈実は体を揺らしてそれを避け、避けきれないものは手で払い除けた。
黒猫に集中しているところに、桐乃が攻撃を仕掛ける。それも拳のみで全て受け止める。

(二人掛かりだというのに……)
(全然当たらないどころか、かすりもしないなんて……!)

麻奈実の力は圧倒的だった。
人と悪魔、その差がこの結果だと言わんばかりに圧倒的だった。
こちらは全力なのに、相手はまだ力を隠している。その事実が、二人の心に重く圧し掛かる。
どれほど攻防を繰り広げただろうか。五分?十分?いや、もっと短いかもしれない。
だが、桐乃と黒猫の疲労の色は濃い。

「う〜ん。やっぱり二人だと、ちょっと面倒だな〜」

麻奈実は、まるで今夜の献立に悩んでいるような調子で言い、眉間に手刀を突き出してきた黒猫の腕を左手で掴んだ。

「ごめんね、もうおしまいだよ」

空いた右手を黒猫の胸に添え、零距離で掌打を放つ。

「がっ!」

黒猫は吐血しながら、遠方に吹き飛ばされた。
その時、麻奈実の頭上から桐乃が雷撃のような蹴りを放った。

「なっ!?」

その蹴りを、麻奈実はがっしりとキャッチ。
そのまま床に叩きつけた。

「がはっ!」

だが、麻奈実の攻撃はそこで終わらない。
桐乃の足を掴んだまま、何度も何度も床に叩きつける。床が凹む。歪む。罅割れる。砕ける。
それでも止まらない。まだまだ叩きつける。
一方的な暴力に晒された桐乃は、ボロ雑巾のようになっていった。
ようやく気が済んだのか、麻奈実は桐乃の足を掴んだまま持ち上げる。

「桐乃ちゃんも、げーむおーばーだね」

桐乃の首を掴み、ギリギリと力を込める。
首の骨を折らないよう加減し、時間をかけて窒息死させるつもりだ。

「が……あ……」

痛みと息苦しさで、桐乃の顔が歪む。必死に空気を求めて口をパクパクさせるが、息は出来ない。
その様子を、麻奈実は笑顔を浮かべながら見つめていた。

「ちょっと我慢してね〜。あと何分かすれば、楽になれるから〜」

麻奈実の腕を引き剥がそうと、必死にもがいていた桐乃だが、意識が途切れかかっているのか、ほとんど動かなくなった。
勝利を確信した麻奈実は、歯を見せてニイィっと笑った。
253 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:13:32.74 ID:i1LYuYF3o
ドスッ。

音がした。
硬質な何かが、肉を突き破るような、そんな音が。
麻奈実が視線を下げると、自身の腹から赤黒い腕が生えていた。

「やっと……隙を見せたわね……ベルフェゴール」

首を回し、後ろを振り返る。
麻奈実の背中に、黒猫がぴったりと張り付いていた。
ドレスの胸部分は裂け、口からはダラダラと血を流しながら。
そんな状況でも、この悪魔は焦らない。

「残念だけど、その程度じゃわたしは殺せないよ〜」
「ふっ。誰が『これで終わり』だと言ったのかしら?」

笑みを浮かべた黒猫の体が、黒く輝きだす。
終始笑顔を絶やさなかった麻奈実だが、ここに来て表情が変わった。

「いくら悪魔でも、体の内部から高純度の魔力攻撃を喰らえば、タダでは済まないはずよ」
「!? このっ……!」

麻奈実は空いた手で、黒猫を引き剥がそうとする。黒猫は腕を曲げ、麻奈実の体に爪を立て、意地でも離れようとしない。
いっそ首をもいでやろうか。麻奈実がそう思ったとき、彼女の右腕に痛みが走った。
まだ意識のあった桐乃が、その腕に爪を突き立てていたのだ。そして、彼女の体も白く光り輝いている。

「言ったじゃん……。あんたを殺すまでは……殺されても死なない……って……」
「や、やめてっ!」

麻奈実は狼狽した。
声を荒げ、攻撃をやめるよう頼んだ。それを聞き、唇を歪める桐乃と黒猫。
この悪魔がこれだけ困惑している。それは、今から自分達が放つ攻撃は『効果がある』という裏付けに他ならない。
二人の魔力の輝きは、さらに増した。

「「地獄に堕ちろ」」

その言葉を合図に、桐乃の、黒猫の練りに練り込んだ魔力が爆発した。
254 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:14:11.23 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


美しく、華やかなホールは、もう存在しなかった。
土煙が舞い、あちこちに瓦礫が転がり、名残すら残らないほど、このホールは破壊され尽くした。
天井もすでに無く、柔らかな月光がこの闇を払おうと懸命に光り続けている。
そんな瓦礫に埋もれた場所に、少女が二人。
ドレスはあちこちが破れ、体は傷だらけ、ところどころ出血している無残な姿の少女達。

「やった……の?」
「どうかしら……」

二人の少女――――桐乃と黒猫は、同じ場所を見ていた。先程まで、あの悪魔が立っていた場所だ。
今は土煙のせいで何も見えないが、もし生きていたときのために戦闘態勢だけは取っている。
だが、もし生きていたら彼女達に勝機は無い。
満身創痍、疲労困憊、おまけに魔力はほぼ使い切った。はっきり言えば、逃げる事だってままならない状態なのだ。
あの悪魔の死を祈りながら、二人は見つめ続ける。
不意に、夜風が吹いた。
土煙は払われ、視界がクリアになる。月光が、この場を照らす。
そして、二人は見た。あの悪魔の姿を。
いや、『悪魔』と呼ぶべきなのだろうか。
視線の先には、ボロボロの茶色いドレスを纏い、腹に大きな風穴を空け、その穴と口から大量に血を流している、眼鏡を掛けた地味な短髪の少女の姿しかなかったからだ。
その少女もまた、二人を見つめていた。
地味な少女――――麻奈実は、静かに笑った。

「っ!」

桐乃と黒猫が身構える。
だが、麻奈実は何もしてこない。ただ、笑っているだけだった。
……十数秒後、ようやく口を開く。

「負けちゃったか」

口の中をゴポゴポと鳴らしながら、そう呟いた。
そして、両手を広げて月を仰ぐ。月光を体全体に浴びせるかのような姿勢。
その麻奈実の体を、地面から伸びたコールタールの鞭が締め上げた。

「もうお迎えかぁ。せっかちだなぁ〜」

異様な光景を前に、驚く桐乃と黒猫。
一方、麻奈実は驚いた素振りも無い。こうなることは知っていた、そんな態度であった。
コールタールで出来た鞭は麻奈実の体を引っ張る。地面の中へ、地面の中へと。

「桐乃ちゃん。黒猫さん。お別れ、だね」

体が半分まで埋まった麻奈実は、相変わらずとぼけた調子で言い放った。
笑みを浮かべて、いつものように、別れを告げる。

「それじゃ、『永遠』にさようなら」

それが、田村麻奈実の最後の言葉だった。
悪魔との契約。それには当然、リスクが伴う。
強大な力を得る代わりに、死後、その魂は悪魔に奪われ、永遠の闇を彷徨う。
あの光景は、麻奈実の魂が悪魔に奪われる場面だったのだろう。
脅威が去り、桐乃は大きく息を吐いた。
255 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:14:38.99 ID:i1LYuYF3o
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。これで終わりかぁ」
「寝惚けたことを言わないで頂戴」

体が汚れることも気にせず、大の字に寝転がった桐乃を、黒猫は冷たい目で見つめた。

「何言ってんのよ。あの悪魔もブチ殺したじゃん」
「あなたこそ、何を言っているのかしら?まだ、私達が残っているわ」

黒猫はそう言い、歩き出した。桐乃から10m離れたところで立ち止まり、振り返る。

「まだ、続ける気なの?」
「当然でしょ。このしきたりは、最後の一人になるまで続くのだから」
「そんなことしたって、意味なんかないじゃん!!」

桐乃は黒猫を睨みながら、声を張り上げた。
黒猫は、やはり冷たい目で桐乃を見つめ返す。

「なら大人しく死になさい。それでこの馬鹿げたしきたりも終わり。私が、この地の魔力も『あの人』も手に入れるだけよ」
「……それは……それだけは……認められない……」

『あの人』。
その言葉を聞いて、桐乃の意識が変わった。
大事な親友であろうと、『アイツ』は渡さない。それはあやせでも、黒猫でも同じだった。
桐乃は立ち上がり、黒猫と対峙する。
右拳を握り、白い魔力を纏わせて。

「そう。それでいいのよ」

黒猫も右手を手刀の形にし、黒い魔力を纏わせる。
お互いに、魔力はほとんど残っていない。これが最後の一撃。これで……終わりだ。
白いドレスの少女と、漆黒のドレスの少女。二人は、同時に駆け出した。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「はあああああああああああああああああっ!!」

疾駆、交錯、破壊音。
白い拳は、漆黒のドレスを破り、腹を撃ち抜いた。
黒い手刀は、白いドレスを裂き、胸を貫いた。
黒猫の表情が歪む。桐乃の口から血が溢れ出す。
勝負は決した。
心臓を破壊された桐乃は、糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちた。

「はぁ……はぁ……」

桐乃から腕を抜き、血を払う。
体に力が入らず、膝が折れた。
腹から流れ出る血が止まらない。体温が体の外に逃げていく。

「治癒魔術も……もう……無理……ね……」

起きていることすら出来ず、うつ伏せに倒れる。
血は止まらない。意識が遠退く。目すら、開けて、いられ、な、い。
256 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:15:05.38 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


かつては立派な洋館であったこの廃墟に、コツコツと音が響く。
闇の中から響く音は次第に大きくなり、音の主が姿を現した。
月光に照らされたその姿は、大柄で均整の取れた肢体にタキシードを纏い、シルクハットとステッキを身に着けた、男装の少女。
一つだけ言うことがあれば、その瓶底眼鏡はいかがなものかということだけだ。

「おやおや。今回は皆様、お亡くなりになられましたか」

少女――――沙織・バジーナは眉を顰め、少し残念な調子で呟いた。
それも一瞬。すぐにいつもの調子に戻り、ステッキを振るう。
三つの少女の体が光に包まれ、収縮し、野球ボールほどの大きさの光球となった。
再度ステッキを振るうと、光球は沙織のもとに集まる。

「おや?一つ足りませんね」

沙織は顎に手を添え、「はて?」といった感じで首を傾げた。
しばらくして、ポンと手を打つ。

「そうでした、そうでした。一つは『あちら側』に行ってしまっていたんでした」

ステッキを縦に大きく振るうと、空間が裂けた。
ステッキの先端を裂け目に向けて、くるくると回す。すると、空間の裂け目から光球が一つ出てきて、裂け目が閉じられた。

「さて、これで全てですな。では、『元の場所』へお帰りください」

ステッキを振るうと、沙織のもとに集まっていた光球は空高く浮かび上がり、ヒューっと飛んでいってしまった。
次に沙織は、ステッキで床をトントンと叩く。
すると、先程まで廃墟であった洋館が、元の立派な姿に戻った。

「今回は適格者無し。ということで、今まで通りに魔力を循環させることにいたしましょう」

シルクハットを手に取り、くるくると回しながら、沙織は独り言ちる。

「次回はどうなるでしょうか。いやぁ、実に楽しみですなぁ」

シルクハットを被り直し、ステッキで長方形を描く。
そこにドアが一つ現れた。
沙織はノブを回し、ドアを開ける。ドアの向こう側へ行く前に、『こちら』を振り返り、

「それでは、100年後までごきげんよう」

そう言い残して、ドアをくぐった。
ドアは閉まった途端に掻き消え、洋館の照明が落ちた。


――劇終――
257 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:15:32.15 ID:i1LYuYF3o
ーーーーーーーーーーーー


「……………………」
「どうかしら?」

俺は今、自室で小説を読んでいた。隣には、小説の執筆者である黒猫がいる。
今回はオリジナルということらしいが……正直に言おう。黒猫らしくない。
かつてのマスケラの二次創作のように、膨大な設定は無く、分量も多くは無い。
内容はお粗末で、出来の悪い少年マンガを読まされているような気分だ。まるで、黒猫ではない誰かが戯れに書いたような……。

「なんつーか、お前らしくない内容だったな」
「やはり、そう思うかしら?」

やはり?やはりとは、どういう意味だ?
俺の表情からそれを感じ取った黒猫は、一応説明してくれた。

「ふと書き始めたものなのだけれど、書き終わって読み返したら、私らしさを全く感じなかったのよ」
「でもよ、お前が書いたんだろ、これ?」
「それはそうなのだけれど、不思議と『私が書いた』という実感が無いの」
「なんだそりゃ?」

黒猫は、自分のことなのにまるで他人のことを話すような口振りだった。
実に妙な話だが、俺はなぜか納得していた。

「そうかい。で、これどうすんの?」
「こんな駄作、残しておくことすら恥というものよ。データも完全に削除するわ」
「そっか。それなら、なんでそんな恥ずかしいものを、俺に見せてくれたんだ?」
「客観的な意見が欲しかったのよ」

黒猫はふぅと溜息を吐き、さらに続けた。

「私自身、『私らしくない』と感じたけれど、他の人から見たらそうでもないかもしれないじゃない」
「ふぅん。じゃあ、もし俺が『お前らしいな』って言ってたら、これをどうする気だったの?」
「これを参考に、私の悪い部分を洗い出そうと思ったのよ」
「なるほど」

これを反面教師にして、次を書こうとしてたのか。
相変わらず、好きなことには熱心なヤツだ。

「でも、その心配は無かったみたいね」

黒猫は俺に密着し、PCを操作し始めた。

「お、おい……」
「すぐ終わるわ」

ポインターを操作し、データファイルの一つをクリック。
そこでShift+Deleteキーを押す。『ファイルの削除と確認』というウィンドウが立ち上がり、黒猫は迷わず『はい』を選択した。
1秒も経たずに、問題の文書ファイルは削除された。



おわり
258 :122 :2011/04/02(土) 01:20:53.39 ID:oO+SezhO0

乙!
おもしろかったです!
麻奈実が黒すぎて泣いたww
259 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:21:14.61 ID:i1LYuYF3o
以上。

なにこれ……。
無駄に長いし、ところどころ変だし、そもそも俺妹でやる必要ないし。
おまけに俺が投下したSSの中で一番の分量だし。
でもね、書いてる時はノリノリだったんすよ。それはもう生き生きと書いてました。
東方の「魔女達の舞踏会」って曲を聴いて、タイトルのイメージだけで突っ走りました。
この曲をヘビロテしながら書きました。はじめて一人称じゃない地の文を使いました。
ほんのちょこ〜〜〜っとでも楽しんでいただけたら幸いです。

ここで、イメージしにくいところを軽く説明します。

麻奈実の服装:BADTARDのポルノ・ディアノの服です。まんまアレです。わからない人はGoogle先生で検索を。

桐乃の必殺技前のポーズ:仮面ライダー555のライダーキック前のポーズです。まんまアレです。わからn(ry


こんなんでよければ、今後ともお付き合いください。
ありがとうございました。
260 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/02(土) 01:22:45.37 ID:i1LYuYF3o
>>259
BADTARDじゃないよ。BASTARD!!だよ!
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/02(土) 05:35:50.24 ID:7344hFeu0
>>259
乙。
最初、fateかとおもったがfortissimoか?
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/02(土) 13:56:13.59 ID:ewwpQxfl0
乙です
クリムゾンスマッシュも好きだがゴルドスマッシュも捨てがたい
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/03(日) 06:11:42.58 ID:SML/lmIzo
おつ。
週末になると過疎るのはこのスレの大半がリア充である証なのだろうか。想像するだに恐ろしい
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 14:59:30.43 ID:f/1U2MCOo
この時期は進学やら転勤やらあるからな
それに関連して飲みとかあるだろう
リア充ばっかりってわけでもなかろう
265 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 17:50:07.68 ID:qUKwgnJSo
>>200 さんの

>桐乃を連れ戻しにアメリカにきた京介が、タクシーの運ちゃんと仲良くなり
>人質取って立てこもってる強盗犯のいる銀行に突っ込み事件を解決したり
>暴走列車に飛び乗ったりするネタを誰か形にしてください

 ↑のネタを元にして書いてみた。(派手なアクションはありません)
  ……久しぶりにあやせの出番がない。

題名:適当な題名が思い付かんかった。

投下:18時00分から 投下します(12レス)
カプ:京介×???
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 17:58:59.27 ID:vFlF16gWo
wwktk
267 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:00:11.17 ID:qUKwgnJSo

桐乃に会うために遥々アメリカまでやって来た俺は、飛行機を降りてからというもの、
かれこれ一時間もの間、ここロサンゼルス国際空港のイミグレーションで足止めを食っていた。
アメリカ人の入国審査官の英語はとにかく早口で、何言ってんだか俺にはさっぱり分からねえ。
仕方がないんでスーツケースの中身を全部広げて、俺は危険なもんなんか持っちゃいねえって
身振り手振りで示したんだが、目の前の白人の大男は首を横に振るだけで全く埒が明かない。
そんな俺に同情したのか、俺の後ろに並んでいた乗客が助け舟を出してくれた。

「オマエ ニッポンジンアルカ?」
「い、いえ〜す。あいあむ、じゃぱに〜ず」

俺に声を掛けてくれた、その親切な人はどうやら中国人のようだった。
どんなに聞き取りにくい片言の日本語でも、今の俺にとっちゃ地獄に仏とは正にこのことだ。
その人の話によれば、入国審査官は俺に入国の目的を聞いているらしかった。
だったら初めっからそう言ってくれればいいじゃねえか。
英語でベラベラと捲くし立てやがって……って、初めからそう言ってたのか。

「え、えーと……さ、さいと し〜ん おーけい?」

修学旅行の時とは違い、初めて一人での海外旅行に初っ端から舞い上がっていた俺は、
あらかじめ親父が海外での注意事項を記してくれたメモのことなんかすっかりと忘れていた。
メモを見たら、イミグレーションでは必ず入国目的を聞かれるって書いてあるじゃねえか。
要は仕事で来たのか、それともなきゃ観光目的なのかを答えればいいだけだ。
何とか俺の拙い英語が通じたのか、大男は笑顔で俺のパスポートに入国スタンプを押してくれた。

「Have a nice trip」
「さ、さんきゅ〜」

俺はカウンターに広げた着替えだの桐乃への土産だのをそそくさとスーツケースに押し込むと、
入国ゲートの外で先程俺に親切にしてくれた中国人を待った。
人から親切にしてもらって置いて、礼も言わずに行っちまうなんて出来るわけがねえだろ。
ましてや桐乃以外に知り合いもいねえ、日本語も全く通じねえ外国だったら尚更だ。
古いって言われるかも知れんけど、俺の親父ならきっと同じようにしたと思う。
268 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:00:45.98 ID:qUKwgnJSo
しばらく待っていると、その人も入国手続きを終えてゲートから出て来るのが見えた。
俺はすぐさま駆け寄って礼を述べた。

「先程はどうも有り難うございました。本当に助かりました」
「シンパイナイアルネ。コマッタトキハ オタガイサマアルヨ」

何度もその人に礼を言ってから、俺はようやく空港のビルから外へと出た。
取りあえずここまでは、色々と右往左往することはあっても何とか無事に来られた。
ここから先は親父のメモに従って、タクシーで桐乃の滞在先へ向かうだけだ。

空港ビルを出ると、目の前のロータリーには客待ちの黄色いタクシーが数台停車していた。
映画やテレビで見たのと全く同じ、いわゆるイエローキャブってヤツだ。
しかし、日本で乗るタクシーならいざ知らず、アメリカで、それも一人で乗るとなると
どうしても足がすくんじまって踏ん切りがつかない。
だが、考えてみれば妹の桐乃は俺より三つも年下のくせに、こういったことも全て一人で
やり遂げて来たんだろうに。
それを思えば、兄貴の俺がこんなことでビビってるわけにはいかねえよな。
俺は意を決して、先頭で客待ちをしているタクシーに近付いた。

「…………? ドア、開けてくんねえじゃん。……乗車拒否ってか?
 あっ、そうか、外国のタクシーって自動ドアじゃなかったんだっけ」

つい日本にいる時の癖で、タクシーと言えば自動ドアかと思っちまった。
これだって良く見りゃ親父のメモに書いてあったじゃねえか。
俺はさり気なく右後ろのドアを開けタクシーに半身だけ入れると、運転手さんに桐乃の滞在先の
住所が書かれたメモを見せた。

「ここへ行きたいんすけど……分かりますか?」

俺の下手な英語が現地で通用しないことくらい、さっきの空港での一件で思い知らされた。
こうなったら俺は意地でも日本語で押し通すと心に誓ったんだ。
269 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:01:21.01 ID:qUKwgnJSo

「オマエ ニッポンジンアルカ? ドコマデイクアルネ?」
「ですから、この住所の所へ行きたいんす」

運転手さんは俺が渡したメモを見てニヤリと笑い、親指を突き立てると大声で快諾してくれた。
後ろのトランクを開けてもらいスーツケースなどの荷物を入れると、俺は再びリアシートに座った。

「モンダイナイアルヨ。ソレジャ ワタシ イクヨ オマエ シッカリツカマッテルヨロシ」

車中で聞いたところ運転手さんは中国系アメリカ人で、タクシーの運転手は副業に過ぎず、
本業は地元ロサンゼルスの大学で日本文学を教える、れっきとした講師だそうだ。
学生時代には日本にも短期留学していたから、日本語には自信があるって言うんだが……

「オマエ アメリカ ナニシニキタ?」
「妹に会いに来たんす。こっちへはスポーツ留学しているモンで」
「イモウト カワイイアルカ? モウヤッタカ?」
「いや、これから会うつもりなんで……ほんと、妹に会うの久しぶりなんすよ」
「オマエ イモウトトヤルノ ヒサシブリカ? ガンバルヨロシ」

妹属性らしき運転手さんとの会話はイマイチ噛み合わなかったし、内容がそっち方面ばっかだから
俺の心は何度も折れそうになったが、人の良さそうな運転手さんで、俺は正直内心ほっとしていた。
それにしてもこの運転手、じゃなくて講師が教える日本文学って、一体どういう内容なんだよ。
源氏物語とかはその手の話が多いんだろうけどさぁ、この講師から講義を受ける学生のことを思うと、
俺は学生に同情せずにはいられなかった。

「オマエ ヒカルゲンジ シッテルカ?」
「ああ、やっぱそうすか」

タクシーは空港を離れると、程なくして高速道路へと進入して行った。
巨大な高層ビル群が林立するロサンゼルスの街を、タクシーは猛スピードで駆け抜けて行く。
俺は車窓を流れる風景に目を奪われながら、親父が娘の桐乃のことをどれ程心配していたのか、
そしてどれ程可愛がっていたのか改めて思い知らされた。
本当は親父自身が来たかったろうに、そう思うと、街の景色が滲んで見えた。
270 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:02:01.80 ID:qUKwgnJSo

気が付くとタクシーはロサンゼルスの中心部を離れ、住宅の建ち並ぶ郊外へと入って来た。
桐乃もきっと俺と同じ風景を見ながらここまで来たんだろう。
幾らかの不安と、そして無限大の希望を、まだ幼さの残る心に抱きながら。
あいつは兄貴の俺が言うのも何だけど、たしかに凄いヤツだよ。
俺が今の桐乃と同じ歳だった時、海外で自分を試そうなんて想像も出来なかったしな。
そんな凄い妹に会って、俺はどうするつもりだ?
久しぶりじゃないか、元気にしていたかと挨拶して、それで帰るつもりなのか?
違うよな。俺は桐乃を……俺の可愛い妹を連れ――

「オマエ ツイタネ タブンココデイイアルヨ」
「あっ、ああ、すんません。……けっこう早かったっすね」

桐乃に会ってからのことを考えている内に、いつの間にやらタクシーは目的地に到着していたらしい。
そうは言っても、初めて来た俺には、ここが本当に桐乃のいる所なのかどうかなんて分かるわけがねえ。
取りあえず親父の書いてくれたメモもあるし、あとは適当に聞いて捜すしかねえか。

「どうもすんませんでした。じゃ、これで」

そう言って俺は財布から100ドル紙幣を一枚抜き取り、運転手さんに渡そうとした。
すると運転手さんは急に顔色を変え、これは受け取れないと言い出した。

「オマエ 10ドルカ 20ドルサツ モッテナイアルカ?
 ナケレバ アメックスカ トラベラーズチェックデモ イイアルヨ」
「いや、全部100ドル札と、あとは小銭しか持ってないっすけど。
 ……ところで、トラベラーズチェックってなんすか?」

運転手さんが説明してくれたんだが、アメリカじゃ100ドル札のような高額紙幣は敬遠されるらしい。
偽札の心配があるからってことらしいが、俺がそんな偽札なんて持ってるわけがねえだろっての。
しかし、いくら俺が頼み込んでも運転手さんはどうしても受け取れないって言うし、
辺りを見回しても両替してくれそうな所もなかった。
俺はここまで来ていながら、仕方なく銀行まで乗せてもらうことになったんだ。
271 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:02:43.94 ID:qUKwgnJSo

アメリカで高額紙幣が敬遠されるなんて、親父の書いてくれたメモにもなかった。
大体100ドルなんて日本円にしたら一万円にも満たねえ額じゃねえか。
それでも相手が受け取らないって言ってんだから、仕方がねえけどな。
運転手さんは良い人みたいだし、何も俺に嫌がらせをしているわけでもなさそうだった。
その証拠に、銀行までの往復料金はサービスしてくれるって言うしな。

「ココ バンクアルヨ エクスチェンジ スルヨロシ。
 オマエ マヌケアルカラ オレ ツイテイクヨ」
「……何から何まですんませんね。あと、運転手さん、あんたどこで日本語覚えたんだよっ」

運転手さんに連れて来てもらった銀行は、俺が知っている日本の銀行とはかなり趣が違っていた。
銀行の行員と客との間にある衝立は天井に届くかと思われる程高く、
そのくせお金をやり取りする部分は必要最低限なんだろうか、極端に小さい。
幸いなことに客は少なく、カウンターには先客が一人しかいなかった。
俺は何の気なしに、その客の後ろに並ぼうとしたらいきなり運転手さんが叫んだ。

「オマエ ニゲルアルヨ! ソイツハ ゴトウアルヨ!」
「……後藤さん?」

運転手さんが後藤さんと呼んだ人は、後ろ姿を見ても明らかにアメリカ人なのにな。
俺が後藤さんの後ろに並ぶと、後藤さんは驚いた様子で振り返った。
驚愕の表情で俺を見据えながら、何やら早口の英語で捲くし立てる後藤さん。
全く聞き取れねえじゃねえか。

「後藤さん、すんません。英語だと何言ってんだか分かんないんすけど」

俺が頭を掻きながらそう言うと、後藤さんは俺の目の前に何かを突き付けた。
いきなり目の前に突き付けるもんだから、焦点が合わず一瞬何だか分かんなかった。
黒っぽい金属で出来たような……何だこれ?
272 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:03:18.41 ID:qUKwgnJSo

「ああ、これ、沙織の持っていたS&W38口径リボルバーじゃんかっ。
 ゴルゴ13も愛用してるやつ。……後藤さんもファンなんすか?
 やっぱ、拳銃と言ったらリボルバーっすよね。
 ちょっとだけ触ってもいいすか? 本当にちょっとだけでいいっすから」

そう言いながら俺は、後藤さんの持っているS&W38口径リボルバーのシリンダー部分を掴んだ。
俺が拳銃のシリンダーを掴んだと同時に辺りが一気にざわめき、銀行の警備員が拳銃を手に飛んで来た。
ど、どうなってんだ? 俺はそんな異様な空気に気圧されて、
思わずシリンダーを掴んだ手を離そうとした途端、運転手さんが再び叫んだ。

「オッ オマエ! シンデモソノテ ハナシタライケナイアル!
 ゼッタイニ ハナシタラ イケナイアルヨ!」

運転手さんの緊迫した声に俺は何がなんだか分からず、思わず後藤さんの顔を見た。
後藤さんはと言えば、俺を見据えたまま固まっちまってるし……
その後、俺が見た光景は、後藤さんが警備員にフルボッコにされるところと、
運転手さんが俺に抱き付いて、早口の英語で捲くし立てながら泣いているところだった。
それから何故か行員の皆さんが俺を見て、『SAMURAI JAPAN!』と口々に言いながら
盛大な拍手をしてくれた。

一体何が起こっているんだか、英語の苦手な俺には良く分からんけど、
そもそも俺が銀行に来たのは100ドル紙幣を小額紙幣に両替してもらうためだ。
警備員にフルボッコにされ、床の上でのびている後藤さんを尻目にカウンターに近付くと、
大きく深呼吸をしてから行員へ告げた。

「ぷり〜ず えくすちぇんじ……100ドル いんとぅ 10ドル おわぁ 20ドル」
273 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:03:55.74 ID:qUKwgnJSo

無事に両替を済ませると、行員さんに礼を述べてから運転手さんと一緒に銀行を出ようとした。
すると、銀行のいかにもお偉いさんと言った感じの恰幅のいい紳士が俺に近付いて来て、
これまた早口の英語で何か言って来るじゃねえか。
その紳士は満面の笑顔で俺の手を取ると、千切れんばかりに握手をしてから、
一通の封筒を俺の胸元に押し付けた。

「オマエ ソノカタハ コノバンクノ トドリネ」
「……と鳥? なんのこっちゃ?」

受け取った封筒の中には小切手が入っていて、俺は額面を見て驚いた。

「いち、じゅう、ひゃく……一万円? じゃなくて、10,000ドル!?
 10,000ドルって言ったら、日本円に換算して八十数万円じゃねえかっ。
 わけも無くこんなのもらえないって。……えっ、えーと、の、の〜さんきゅう〜ぷり〜ず」

俺は運転手さんに目顔で必死に助けを求めた。
そんな俺の慌てふためき振りを笑いながら見ていた運転手さんは、事の次第を説明してくれた。
俺が顔色一つ変えずに、平然と銀行強盗をやっつけたと。
そのお礼として銀行の頭取が、俺に10,000ドルの小切手をくれたらしい。
運転手さんの説明を聞いて、ようやく俺はさっきの後藤さんがゴトウさんではなくて、
強盗だったことや、持っていた拳銃が沙織の持っているようなモデルガンなんかじゃなくて、
本物の拳銃だったと分かった。

「まっ、マジっすか? 俺、本物の拳銃なんか見たこともねえし……
 てっきりモデルガンなんだと思ってたっすよ」

先程の強盗は通報で駆け付けた警察官によって逮捕され、ちょうど連れて行かれるところだった。
一歩間違えれば、俺は桐乃に一生会えなくなるところだったじゃねえか。
事の真相を知って今更ながら膝が震えて来やがった。
何にしても両替もしてもらったし、こんな物騒な所からは一刻も早く立ち去るのが懸命だ。
俺は運転手さんに通訳してもらって、謝礼金の件は丁重にお断りした。
274 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:04:34.21 ID:qUKwgnJSo

銀行の頭取にも何とか納得してもらい、俺たちはやっとのことで銀行を後にした。
しかし、一難去ってまた一難とは良く言ったもので、それは運転手さんの叫び声から始まった。

「アイヤー クルマガナイアルヨ!」

どうやら銀行強盗騒ぎの間に、タクシーは駐車違反でレッカー移動されちまったようだ。
路上に残されているチラシのような紙片を見つめながら運転手さんは頭を抱えている。
やっぱ、俺のせい? 俺が銀行強盗になんか構わなけりゃ、いや、それよりも初めっから
日本を出国する時に小額紙幣に両替しとけば……。

「運転手さん……何て言ったらいいのか。……本当に、すんませんっ!」
「オマエ ワルクナイアルヨ ワルイノハ L.A.ノ ケイサツカンアルヨ」

俺は詫びるつもりで駐車違反の反則金とレッカー代を払うと言ったんだけど、
運転手さんは頑として受け取ろうとはしなかった。
それよりも、俺を妹の所まで送って行けなくなったと言って、何度も謝ってくれた。
たまたま乗せた俺のせいで、こんな災難に遭っているってのに……。

「モウシワケナイアル ココカラハ アレニノルヨロシ」

運転手さんが指差したのは、銀行のある通りから2ブロック離れた所に停車していたバスだった。
そのバスに乗れば、先程タクシーで行った桐乃の住んでいる寮の近くまで行けるとのことだ。
俺は何度も運転手さんにお礼を言ってから、そのバスが止まっている通りへと向かって歩き始めた。
きれいに区画されたロサンゼルスの街並みを、まさか徒歩で歩くなんて思いもしなかったよ。
大通りに面した建物はどれも近代的なのに、そんな建物に挟まれた路地を覗くと、
そこには古いレンガ造りのアパートなんかが今も残っている。
ロサンゼルスと言えば映画なんかの影響で近代的な街並みを想像しがちだが、俺が見たそれは、
新しいものと古いものが渾然と同居していて、いつかあやせと行った鎌倉の街並みを想い起こさせた。
275 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:05:15.19 ID:qUKwgnJSo

銀行のあった通りとは違って、バスが停車しているこの通りは東西にずっと石畳が続き、
その真ん中に路面電車の軌道が敷設してあった。
バスに乗るにはこの通りを渡って、反対側に行く必要がある。
俺は歩行者用の信号が青になるのを待った。

「アメリカじゃあ歩行者用の信号って、青と赤が上下反対になってんだな。
 車も左右反対通行だし、日本と違うと分かってても、どうも違和感があんだよな」

信号が変わる間、俺がそんな独り言を言っていると、目の前をゆっくりとした速度で路面電車が
通り過ぎて行った。

「たしかに江ノ電とは大違いだわ。やっぱ、アメリカらしいっちゃ、らしいけどな」

目の前を通り過ぎて行く路面電車を何気なく見やると、最後尾のデッキで幼い女の子が手を振っていた。
辺りを見回しても、その女の子に気付いている人はいないようだった。
と言うことは、あの女の子は俺に手を振ってるってわけか?
俺も女の子に応えるように手を振り返した。
褐色の肌の黒髪の美少女とも言えるその女の子は、俺に気付いた様子で更に大きく手を振り、
続けて俺に向かって何か叫んだ。

「……なんか、様子が変じゃねえか?」

なんて言ってるんだか分かんねえけど、様子が只事じゃねえ。
大体、あんな幼い女の子が一人で路面電車に乗ってるわけがねえだろ。
目の前を通り過ぎる時、何の気なしに見ていただけだからはっきりとは言えねえけど、
あの女の子以外に他の乗客なんていたか?
それに、俺の記憶じゃ運転士がいたのかさえ定かじゃねえ。
俺は気付いた時には、全力で路面電車に向かって駆け出していた。
276 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:05:47.69 ID:qUKwgnJSo

桐乃に会うためにロサンゼルスまで来たってのに、何をやってんだろうな、俺。
長い飛行時間で時差ボケはしてるし、思わぬ銀行強盗事件に巻き込まれて体力は限界に近かった。
それでもこうして路面電車を全力で追い掛けているのは、必死で助けを求めている女の子が、
桐乃の面影とどことなく重なったからかも知れん。
幼い時の桐乃が笑っている顔が脳裏に浮かぶと、疲れ切っている筈の俺の足は加速した。

なんとか路面電車に追い付きデッキにある手摺に手を掛けると、俺は一気に飛び乗った。
一息吐く暇も無く車内を見回すと、案の定乗客は女の子以外にはいない。
泣きながら俺にしがみ付いて来る女の子を俺はしっかりと抱き締め、そっと頭に手を置いた。
桐乃がまだ幼かった時、あいつが泣くといつも俺がしてやったことだ。
女の子が泣き止むのを待って、俺は声を掛けた。

「俺が必ず助けてやるから待ってな」

日本語が通じるとも思えねえけど、女の子は俺の眼を真っ直ぐに見つめて小さく頷いた。
取りあえず俺は女の子を車内の一番後ろのシートに座らせると、前方にある運転席に走った。
路面電車の運転なんて俺に出来るわけはねえけど、止めることくらいなら……。

「……これがマスター・コントローラー、だよな」

男だったら、小さい時に一度くらいは電車の運転士に憧れたことがあるだろ。
そんな時に必ずやることは誰しも一緒だ。
電車の運転席の後ろに張り付いて、運転してる様子を憧れの眼差しで見つめることだよ。
どうやって電車が動いてるかなんて知らなくても、運転席に付いているレバーを運転士さんが
前後や左右に動かすと、電車が加速したりブレーキが掛かったりするんだ。
こんなもんは大抵の場合、手前に引くか、時計回りに廻せばブレーキが掛かるようになってんだよ。
もしも違ってたら、そん時は逆にすればいいだけじゃねえか、だろ。
俺はゆっくりと時計回りの方向へレバーを廻した。
277 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:06:34.06 ID:qUKwgnJSo

床下からブレーキが軋む音が聞こえる。
路面電車の速度が、僅かだが落ちて来たのも分かった。
これで一安心と思っていると、後ろのシートに座らせていた女の子がいつの間にやら俺の傍に来ていた。
女の子は俺の腰の辺りに抱き付くと、黙って前方を指差した。

「……マジかよ。この先は下り坂じゃねえか」

考えている暇も無く、路面電車は下り坂に差し掛かる。
俺は更にレバーを廻したが、これ以上速度は落ちなかった。
それどころか、先程よりも加速しているようにも感じる。
俺の腰に抱き付いている女の子の腕に、力が入るのがはっきりと分かった。

「心配すんなって。……おまえのことは、俺が必ず守ってやっから」

そうは言ったものの、車窓を流れる景色の早いことと言ったら、そりゃねえだろってくらいだ。
この速度なら、一か八か俺が女の子を抱きかかえたまま飛び降りれば、命だけは何とかなるかも知れん。
いや、それはだめだ。俺はともかく、女の子だって只じゃすまねえ。
こんな年端も行かねえ可愛い女の子に、怪我をさせるわけにはいかねえだろ。
ましてや、顔に傷でも付けちまったら一生謝っても謝りきれねえ。
それに俺たちが飛び降りたら、この路面電車は無人のまま下り坂を突っ走ることになって、
街中の大惨事になることは免れない。
せめて、この女の子だけでも助けてやりてえ。
俺は一縷の望みをかけて、女の子を包み込むようにして抱き締めた。

「すまねえな。……俺、おまえとの約束……守れねえかも……」

ほんの一瞬俺が弱音を吐き掛けた時、路面電車の真横で激しいクラクションの音がした。
見ると一台のイエローキャブが路面電車にぴったりと併走している。
どこか見覚えのあるイエローキャブだった。とは言っても、どれも同じに見えるんだけどな。
見覚えがあったのは車じゃなくて、運転手さんの方だった。

「オマエ ナニヤッテルアルカ! イモウトイナガラ ロリコンダッタアルカ!」
「ち、違うって、俺はロリコンなんかじゃないっすよ!
 ……それよりも運転手さんっ、なんでここにいるんすかっ!?」
「ワスレモノアルヨ! オマエ ニモツ トランクノナカネ!」
278 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/03(日) 18:07:10.48 ID:qUKwgnJSo

地獄に仏とは正に……そういや、空港でもそう思ったっけ。
たしかにここはロサンゼルスだもんな。
天使がいるくらいなんだから、仏様がいたっておかしくねえよ。
俺は路面電車のブレーキが利かねえってことを、運転手さんに有りっ丈の大声で伝えた。
すると運転手さんは何を思ったのか、開けっ放しの運転席の窓から左腕を出し、
親指を突き立て俺に向けたかと思うと、一気に路面電車の前に回り込みフルブレーキを踏んだ。
大音響と共に衝撃が伝わり、その後電車の車内にゴムの焼ける臭いが立ち込めた。

「げっ! あんた一体何者なんだよっ。まるで……だめだ、適当な人物が思い浮かばねえ」

ハリウッド映画だってこんな無謀なことやらねえだろっての。

盛大な火花を放ちながら、イエローキャブはその身を犠牲にして路面電車を止めようとしていた。
下り坂にも拘らず路面電車は確実に速度を落とし、そして、何事も無かったかのように停車した。
イエローキャブのタイヤは跡形も無く焼け落ち、今じゃホイールだけになっている。
運転手さんは見るも無残に変形したドアを蹴破るようにして出て来ると、
俺と女の子のいる路面電車の運転席に駆け寄った。

「オマエ ワスレモノダッテ イッテルアルヨ!」

俺はアメリカに来て、初めて泣いた。

大変だったのはその後だよ。
警察のパトカーを初めとして、消防車だの救急車だのがわんさと集まって来て、
一時は人だかりが出来て大騒ぎだった。
運転手さんが機転を利かせて警察に上手く説明してくれたお蔭で、俺にお咎めは無かった。
ただ、女の子の方は、なんで一人で無人の路面電車に乗っていたのかってことで、
これから警察でこってりと絞られるらしい。
でも、運転手さんの話だと警察は子供には優しいから心配ないってことだし、それを聞いて俺も安心した。
短い時間だったけど、アメリカに来て初めて知り合った女の子だろ。
俺は女の子との別れ際、無駄かも知れねえけど日本語で彼女に聞いたんだ。

「俺は、高坂京介。……おまえは?」
「……マイネームイズ、リア! ……リア・ハグリィ。
 おにいちゃん、超好きっ! ちゅっ、ちゅっ」


(完)
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/03(日) 18:47:53.34 ID:FGkYeRqX0
京介△


続きが気になる終わりかたしてくれんじゃねーかこらぁ
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/04/03(日) 19:06:30.40 ID:+HsreOz4o
イイヨー スゴクイイヨー
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/03(日) 19:08:23.18 ID:04Y2itmdo
ちゅっちゅしている最中に桐乃と出くわしてしまう展開が簡単に浮かぶ
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/03(日) 19:31:36.96 ID:PeSDTP/qo
あんた・・・モテないからって遂に子供に
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/03(日) 20:18:28.78 ID:04Y2itmdo
銀行強盗の撃退と路面電車の一連を聞いて
「ハァ?あんたなに寝ぼけたこと言ってんの? その顔でヒーロー願望だなんて夢見過ぎだって。ウザい」
と突き放すも、
「ねぇ、聞いてよ!兄貴ったらさ、銀行強盗を退治した上に、子供を救ったんだってさ! マジカッコよくない?」
と周りがドン引きしまくるくらい自慢しまくる桐乃さん
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/04/03(日) 20:23:44.84 ID:oSoByMQi0
>>283
「わかった。桐乃って病気なんだね」で片付けられるだろうww
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/03(日) 20:38:25.19 ID:oVwluHAso
乙だぜぃ。
京介△
OOOの次のライダーは京介さんで決まりだ!

>>283
「とある兄貴の超電磁砲」ですね、わかります
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 21:56:19.62 ID:gq5kpTUTo
京介△すぎるwwwwww
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 23:48:40.48 ID:hTJ9TYMDO
ハリウッド期待の新人すぎるww
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/03(日) 23:50:38.95 ID:SML/lmIzo
おつ。

>>283
デレた桐乃の破壊力は異常。デレなくてもかわいいんだけどね

桐乃やハルヒ、大河みたいなキャラを好きになれるかどうかって
どうしてそういう行動をとってしまったかを妄想できるかにかかってる気がする
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/04(月) 01:56:04.01 ID:GtLzWZWso
※敬虔なキリスト教信者の方は、キリストに関する侮蔑表現が含まれていますので、お読みにならないでください。

アマガミをプレイしながら思いついたネタで一つ。
クオリティは超低いので、読み飛ばしていただいて結構です。
台本形式の小ネタでございます。
少々下品な言葉が出てきますんで、ご注意を。

以下、投下。
290 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/04(月) 01:57:18.04 ID:GtLzWZWso
京介さんは、某海賊マンガに多大な影響を受けているようです。



第1巻 第三章より

沙織「こちらのお二人は、きりりん氏と――特別ゲストで、その兄上様の京介氏です。そして、こちらは我がコミュニティのメンバーで――」

黒猫「……ハンドルネーム"黒猫"よ」

桐乃「えっと……きりりんです。よ、よろしくね」

京介「高坂京介だ。飛び入り参加ですまない」

京介(何だこれは? 俺はいつ、不思議の国に迷い込んだんだ? 『珍妙な格好の大女に付いていったら、ゴスロリ美少女と会わされた』なんて、
   ルイス・キャロルでも思い付くまいよ。大女は白ウサギで、ゴスロリはトランプ兵なら、次に出てくるのはマッドハッターか?)


ーーーーーーーーーーーー


第2巻 第二章より

京介「俺だって、眺めるならプレイメイトを希望するさ」

麻奈実「そうだよねー……うーん……やっぱり、わたしもがんばろっかなぁ……」

京介「……おまえはそのままでいいと思うぞ?」

麻奈実「……ほんとに?」

京介「ああ。おまえがイライザ・ドゥーリトル(※)になる必要は無え。そんなストーリーは、舞台の上だけで十分だ」

麻奈実「…………そ、そお? きょうちゃんは……そう思う?」


※ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の主人公。
 同作品は下町の花売り娘であるイライザ・ドゥーリトルを舞踏会でも通用するレディ仕立て上げるというストーリー。


ーーーーーーーーーーーー


第2巻 第四章より

桐乃「黙れっ!さんざんほったらかしにしておいたくせに、いまさら兄貴面すんな!」バンッ!

京介「ちょ……待……痛……」

桐乃「うるさいっ!」バンッ!

桐乃「あたしが……っ! あたしがどんな気持ちで夏休みを過ごしたと思ってんの!」バンッ!

桐乃「このままでいいわけないなんて……! そんなのあたしが一番分かってる!」バンッ!

桐乃「でもどうしようもないの! あたしはあやせに嫌われるようなことをしてて、やめるつもりがないんだからっ!
   もうどうしていいか分かんないの……っ!」バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!

京介(神様ってのはとんでもねえことをしやがる。仔猫みたいな外面の中にロバート・パトリック(※)を詰め込むんだからな。
   イタズラにしちゃ、趣味が悪すぎるってモンだ)

※映画『ターミネーター2』でT-1000(液体金属ターミネーター)を演じた俳優。
291 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/04(月) 01:58:12.36 ID:GtLzWZWso
第4巻 第一章より

あやせ「……なるほど。分かりました。その言い草からすると、わたしに似ているキャラがいるんですね? ではうかがいましょう、お兄さん、
    わたしが着るべきコスチュームというのは?」

京介「うむ、これだ」ペラッ

京介「ダークウィッチ『タナトス・エロス』EXモード。ちなみにEXモードってのは、いわゆる大人形態で、十数歳分成長してパワーアップする魔法のことだ。
   タナトスってのはこのアニメのラスボスでな、女の胎児に寄生して操ってるから、十四歳の姿をして、」

あやせ「ほば全裸じゃないですか死ねェェエェェェエェェェェェェエェェ――!」ハイキックゥ!

京介「ぶべあっ!!」



京介「……信じられねえ。首がもげてねえ。信心深え甲斐もあるってもんだな。アーメン・ハレルヤ・ピーナツバターだ」


ーーーーーーーーーーーー


第4巻 第一章より

加奈子「あ゛〜〜〜〜やってらんねェ〜〜〜〜〜〜〜ッ。んだよ、あのキモオタどもはよオ〜〜。なぁにが、かなかなちゃんカワイイよ、メルル萌えーだっての。
    付き合ってらんねーよジッサイ」

ブリジット「か、かなかなちゃん……あの……そんなことをいっちゃ……だめじゃない? みんな、せっかくおうえんしてくれたのに……」オドオド

加奈子「あァ? おまえ、ばっかじゃねぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜の?」ブハァー

ブリジット「けほっ、けほっ……ふ、ふぇ……」


京介(……こいつはたまげた。いつからジョージ・W・ブッシュ(※)が神様の職に就いたんだ? クソッタレめ)


※第43代アメリカ合衆国大統領(任期:1995年1月17日−2000年12月21日)


ーーーーーーーーーーーー


第5巻 第二章より

黒猫「……しかしまいったわね。こんな特殊な御趣味をお持ちのくせに、あんな偉そうな口を叩いていたなんて。きちんとしていない? 人のこと言えるのあなた?」

瀬菜「言えますゥ! あたしはあなたと違って、自分の趣味がおおっぴらにするようなものではないって分かってるんですから! えぇえぇぇそうですとも!
   どーせあたしはホモがスキですよ! 腐ってますよ! でもちゃんと隠して生きているんだからいいじゃないですか!」

黒猫「……あらそう。超腐っている赤城さんは、テニミュみたいな半生もいけるクチなのかしら」

瀬菜「余裕でいけます。自慢じゃないけど守備範囲超広いですよあたし。生モノだろうと二次元だろうと無機物だろうと、あたしの琴線に触れさえすれば、
   脳内補完して妄想が可能です。極端な話フォークとスプーンさえあればプリミティブな愛の形は表現できるのです」

黒猫「素晴らしい信念だわ。……じゃあ、もしかしてリアル男子でも妄想したりするの?」

瀬菜「ふッ、何を隠そう、昨夜は真壁先輩がゲー研の部員たちに輪姦される夢を見ました」


京介(……ッたく、ファッキン・クライスト様々だぜ。『エド・ゲイン(※)が隣に引っ越してきた』と言われても、ここまでは驚かねえ自信があるぞ)


※アメリカ合衆国に実在した墓荒らしで連続殺人者。死体を食器・家具に加工したり、殺した人間の肉を一部食用としたりしたことで有名。
292 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/04(月) 01:58:53.03 ID:GtLzWZWso
第6巻 第一章より

ブリジット「……あの……この漢字、なんと読むのでしょう?」

京介「これは、『屠(ほふ)る』って読むんだ。――ぶっそうな単語が出てくる台本だな、しかし」

ブリジット「……ありがとうございます、マネージャーさん」

京介「ああ。他に分からないところがあったら、遠慮なく聞いてくれ」

ブリジット「はい」ニコッ


京介(15年ほど前の日本ってのは、ひどい時代だったのかねぇ? ブリジットはこんなにいい娘なのに、
   桐乃やその友達連中は、揃って中身がシュワルツェネッガーみたいなヤツらばかりときたもんだ……)


ーーーーーーーーーーーー


第7巻 第三章より

京介「なんでここに? 出版社に就職して編集者になったんじゃ?」

桐乃「あ、もしかしてメディアスキー・ワークスのお仕事でいらしたんですか?」

フェイト「それがね……話せば長くなるのよ」

フェイト「熊谷さんの紹介でMAWの中途採用試験を受けに行って来たんだけど、コネで入社余裕かと思いきや超圧迫|面接《めんせつ》だったの」

桐乃「落ちちゃったんですか?」

フェイト「うう……『会社を辞めてからの期間は何をしていらっしゃったんですか?』って聞かれたから、『御社の新人賞に投稿するためにずっと小説書いてました』って
     面接で答えたの。そうしたら……もの凄い白けた空気になっちゃって……し、死ぬかと思ったわ」

桐乃「小説書くのは就活じゃないんだよバーカっていう意味の空気ですか?」

フェイト「しゅ、就活は就活だってばたぶん! でも、私がしていたのは、つぶしが利かないタイプの就活だったというだけ。
     せめてハロウに通っていれば、面接官の心証も変わったのかなあ……」

桐乃「ふうん、あれからずっと無職なんですね」

フェイト「おかげで借金が百万円を超えました。そろそろ現金の持ち合わせがなくなりそうよ」

桐乃「この前、貸してあげたお金はどうしたんですか?」

フェイト「えへ、FXで溶かしちゃった♪」

フェイト「ほ、ほら、この前ギリシャ問題とかその他諸々で豪ドルが一気に71円まで暴落したでしょ!? あれで私の88円Lがロスカットされてスカーンと大爆死よ!
     糞ポジになる暇さえなく御消滅されたわ畜生! アハッなによこの私をピンポイントで殺しに来たとしか思えない謎相場! ふざけてるの? 死ぬの? 
     1豪ドル100円を目指すって言ったのに! みんな言ってたのに! ウフフ……フフ……これもすべて面接で私を落とした正社員どものせいね。
     あれですべてが狂ったのだから……ククク……」


京介(ここまでひどい話は久しぶりに聞いたな。せめて、『隣の家の少女』(※)並のショッキングな人生にならないことを祈るばかりだ……)



※アメリカの小説家ジャック・ケッチャムの作品。ホラー小説家のスティーブン・キングが本作を高く評価していることで知られ、
 映画版についても「この20年で最も恐ろしく、ショッキングなアメリカ映画」と評されている。



おわり
293 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/04(月) 02:01:31.13 ID:GtLzWZWso
以上。

BLACK LAGOONの影響を受けたという小ネタでした。
広江さんやヒラコーみたいな台詞回しって難しい。
ブリジットのところの、京介の台詞回しなんて特にクオリティ低い。
もっと勉強しないとな。

ありがとうございます。
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/04(月) 02:01:44.18 ID:BXK7M17io
おつ。そのうち京介が「俺は弾丸だ」とか言い出すんですねわかります
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/04(月) 02:07:19.44 ID:7OC/mVsZo
ワロタww
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 02:08:36.35 ID:6u280NO0o
教養無い俺にはよくわからん。
トリップ付けたのね。
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/04(月) 02:14:56.87 ID:GtLzWZWso
>>296
恥ずかしながら、きょうちゃんの料理話からトリップを付けています。
次回は、もう少しマシなSSを投下できるよう努力いたします。
小学館から出ている「BLACK LAGOON」というマンガを読んでいただけると、多少ネタがわかるかと思います。
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/04(月) 02:48:10.16 ID:GtLzWZWso
しまった……。
リアネタも入れるつもりだったのに、忘れてた。
……ま、いいか。
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/04(月) 03:06:15.89 ID:7OC/mVsZo
アメリカ映画みたいな言い回しが鼻に付く漫画ww<BLACK LAGOON
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/04(月) 09:22:01.79 ID:h2fq/dZZ0
大統領の任期が無茶苦茶なのは、元ネタがそうなってるん?
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/04(月) 10:09:37.13 ID:GtLzWZWso
>>300
ああ……。
Wikiをコピったんだけど、テキサス州知事の任期と間違えた……。
「あれ?クリントンじゃなかったっけ?」とは思いつつも、確認を怠ってました、すんません。

正しくは、任期: 2001年1月20日−2009年1月20日

でした。ご指摘ありがとうございます。
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/04(月) 20:58:36.79 ID:VsTplk+AO
新しい試みだww
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 01:57:22.04 ID:Jw/LI//SO
毎度乙です

ぽんぽん書ける人はすごいわぁ…
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/05(火) 01:59:29.19 ID:jWZMpZbT0
そういや配信のゲー研にメルルのフィギュア置いてあったけど、あれって真壁君の私物?原作には記述なかったはず…。
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/05(火) 13:18:41.40 ID:Opfj1YMK0
フィギュアを持ち込むヤツがいるって瀬菜ちゃんが愚痴っているし、メルルかどうかはともかくとして、フィギュアはあるはず。
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/05(火) 22:05:32.09 ID:7gZfkE6y0
あの双子のうちのどちらかのものでは
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagee]:2011/04/05(火) 22:06:11.68 ID:W63vuEDY0
>>305
なるほど、原作の伏線を回収してたのか
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 00:57:36.15 ID:nWO6NZ4so
瀬菜ちゃんSS来るかと思ったけど、そうでもなかったね。
誰か書かないかなぁ?(チラッチラッ
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/06(水) 01:19:39.39 ID:h/5nVyUWo
>>304->>306
第5巻79ページ1行目に

>で、こっちのフィギュアは、ヒロインの『ファナ』か……。

という記述があることから、部長の私物かと
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/06(水) 14:04:13.41 ID:uj+AZngAO
急に人が減ったような…
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 14:43:25.92 ID:1awqpjnSO
そろそろ13話の影響で,黒猫か瀬菜ちゃんのSSがきてくれるんじゃないだろうか
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/06(水) 15:03:08.91 ID:oZjwtQCho
学生は春休みが終わったからな
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 17:08:07.58 ID:dvE3Yd5IO
ひとすくないなぁ
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/06(水) 17:22:24.93 ID:7h15zBXuo
ROMの人が多いだけで投下があればどこからともなく湧くに一票
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 17:51:05.49 ID:bfu297aSO
別スレでやってる方には人いるから、単にROMってるのかと
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 18:01:39.18 ID:NCLprIDyP
一キャラに特化しすぎるとこういうところで投下してもいいか悩むんだよな
妄想が行き過ぎて原作飛び越えてる部分とかもあるし
流石に転載はまずいし
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/06(水) 18:55:06.69 ID:nWO6NZ4so
>>316
そこらへんは、『二次創作のSSだから』ってことで許容されるんでねえの?
許容できない人は読み飛ばすと思うし
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 19:22:43.63 ID:NCLprIDyP
今朝書いて別スレに投下したやつでもいいなら一本落とせるけどこういうのって大丈夫なの?
重複掲載?になるけど
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/06(水) 20:01:56.16 ID:KSjdXVHw0
>>265-278
大変よかったのですが、考証面で間違いがあるので指摘をします。
1.ロスアンゼルスに路面電車はない。
2.急な坂って、ビバリーヒリスとかグリフィス天文台のほうにいかないとない。

何回かロスに行ったことがあるのですが、路面電車はみた事がありません。
電車とか機関車の類いは、市営地下鉄か大陸横断鉄道、貨物列車くらいしかなく、
市内の交通はほとんどがバスや自家用車、タクシーです。
また、味のある古い建物ってのもあまりない。
あるとしたらシスコですね。
もしかしたら、サンフランシスコと混同されているかもしれません。

320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 20:37:04.86 ID:T64eH25DO
西海岸で路面電車あって坂が急なところはサンフランシスコだよなぁ
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/06(水) 20:47:03.18 ID:uj+AZngAO
>>318
別スレで終えたやつはいいや
傑作ならそのスレのまとめにでも載った後でURL誘導するとか
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/06(水) 21:14:52.26 ID:h/5nVyUWo
>>319

大ウソ書いてすみませんでしたっ!

でもさ〜>>200さんの設定を忠実にSSにしようと思ったら、
オイラの筆力では無理だったんすよ。
“暴走列車”も最初は地下鉄にしようと思ったら、描写が多すぎて……
『ダイ・ハード』のブルース・ウィリスかっつーの。

今は反省を込めて、次回投下用に上野公園を舞台に京介×ブリジットを
おとなしく書いてます。
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/06(水) 21:57:28.06 ID:7h15zBXuo
ブリジットとな。全裸待機

ブリジットの棒っぷりがたまりません
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 22:05:58.18 ID:E99K4PjIO
>>322

さっさと書け太郎!た、楽しみにしてるんだからねっ///
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/06(水) 22:48:14.42 ID:nWO6NZ4so
wkwk
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/06(水) 23:10:34.08 ID:KSjdXVHw0
>>322
舞台をサンフランシスコにすれば良いのでは?
原作でははっきりとロスアンゼルスって書いてありましたっけ?
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/06(水) 23:15:40.46 ID:KSjdXVHw0
申し訳ない。はっきりと「ロスアンゼルスの空港」って書いてありましたね。
ロスからサンフランシスコにタクシーで行くのはかなり無理があるなあ。
演出は考証に優先するってことでスルーするか。
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/04/06(水) 23:23:12.94 ID:tGMT4f8ro
こまけえこたぁいいんだよ
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 23:48:56.26 ID:G5hvcKqNo
京介が間違えてシスコに降りちゃったってことでいいんだよ
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 23:51:08.26 ID:S8zQhhbDO
きっとミッシェルが好きなんだね、京介は

話は変わるが、初期の京介って矢車兄貴のセリフが合いそうだな。
だれか、これで書いてくれないかな。
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/07(木) 00:02:54.96 ID:h29T+pG9o
話の腰を折ってスンマセン。

黒猫「まったく、とんだクソゲーだわ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301808614/


↑のスレ気付いてました? 黒猫派にはつらい展開だけど
けっこういい感じです。
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 00:04:22.03 ID:LtykN/dDO
>>331
おお、別スレ立てたのかぁ。
着実に増えてますな、俺妹スレ。
333 :関連スレ4/7時点版 [sage]:2011/04/07(木) 00:29:25.16 ID:qqpZW4GJo
桐乃「デレノート……?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295702504/

【俺の妹】高坂京介は落ち着かない
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1296372251/

【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300627984/

黒猫「まったく、とんだクソゲーだわ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301808614/


※以下は作者お休み中

京介「桐乃…お前に人生相談があるだが…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297644807/

グラハム「私の妹がこんなに可愛いわけがないっ!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297087278/
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/07(木) 01:11:24.40 ID:o2yOqIQn0
「監督、いい加減にしてくださいよ。」
「なぜだね?役○君。視聴者は皆君がこのコスチュームを着るのを待ち望んでいるんだよ。」
「いやですよ。なんでこんな子供向けのキャラと共演しないといけないんですか。もっと子供受けする女優がいるでしょ。たとえば来栖加奈子とか。」
来栖加奈子とか、来栖加奈子とか…。

数時間後
「来栖加奈子です。ダイワめーるめるめるめるる。」
『なんで、なんで引き受けたんだ?』

撮影後
「お疲れさん。」
「あっ、役○さん。お疲れ様です。」
「しかし、よく引き受けたな。あんな恥ずかしい仕事。」
「いや、私みたいに駆け出しにはどんな仕事でもありがたいですよ。それにアキバでもともとコスプレライブとかしてましたから。」
「なるほどな。どんな仕事にも全力でってことか。よっし、俺もダイワハウチュさんに言ってXのコスチュームを着るとするか。」
ダイワハウチュ、ダイワハウチュ…。
『な、なんでダイワハウチュなんだ?』
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/07(木) 01:12:15.98 ID:o2yOqIQn0
小ネタが浮かんだんで投稿してみました。いろいろ問題ありすぎだと今は切腹しています。
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/07(木) 02:13:22.56 ID:qqpZW4GJo
介錯をつかまつろう
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/07(木) 03:32:21.69 ID:afrjIKnTo
ブリジット「だ、だいわはうちゅ」



……悪くない。きゅんときた
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/04/07(木) 11:26:47.14 ID:fM9I+xF6o
新しいスレ立ってるな
京介「モデル……?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1302140065/
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/07(木) 22:57:00.80 ID:Cl+qqbUFo
タイムリミットは48時間。
テロリストにより占拠された病院で繰り広げられるサバイバルアクション。

兄は、愛する妹を救えるのか…。


なんてネタが浮かんだ。
こういうの好きな奴いる?
ちょっと頑張って書いてみようと思うんだ。
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 22:59:05.15 ID:pYp0BSoxo
好き
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 23:00:36.85 ID:LtykN/dDO
燃え展開は大好物です。
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 23:02:49.53 ID:Bxdrgaroo
人を選ぶ内容とカプだし変に宣伝したら荒れると思って
ひっそりスレ立てしたのになぜ見つかったし
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/07(木) 23:26:04.74 ID:XIcvJ42p0
>>342
暇人が多いんだよ、言わせんなry
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/07(木) 23:43:07.88 ID:JXP9QYBdo
スレ一覧のsinceでソートとか普通にやってるから
新しいの立てば普通に気づくけど、ここから派生したのに
告知してないあたり、ひっそり目的と思って見守っていたぜ

意味なかったけど
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県) [sage]:2011/04/08(金) 02:17:22.91 ID:dUodyn3Bo
今期アニメできりりん氏の一押しは何かな
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 02:37:02.46 ID:GIiZ+DlGo
黒猫ならシュタゲだろうな
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 03:43:02.08 ID:NzIW4u+Zo
>>346
トゥットゥルー♪
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 05:15:10.96 ID:qmsBYq4DO
自分のこと「るりしー」とか言う黒猫なんてやだー!
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/08(金) 07:26:50.14 ID:aSVAqQHRo
るりしぃは、きょうちんの人質なのですー。えっへへー
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 12:32:50.10 ID:tPq+jv9Do
地味子が言いそうなセリフだww
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/08(金) 12:54:26.19 ID:7HgJbbCAO
黒猫っぽくはないが花澤ボイスでその台詞はかなりの破壊力があるな
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 14:52:26.48 ID:guZj54S00
質問なのですが
このスレって1レス何行制限でしょうか?
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 15:07:21.48 ID:Y2sv9taDO
瑠璃「きょうちん、きょうちん!」

京介「どうした、瑠璃? 声を荒げるなど、お前らしくもない」

瑠璃「どうしたじゃないよ〜。るりしぃは怒っているのです。また、るりしぃのマスケラのコミック、勝手に持ってったでしょ〜」

京介「ん? ああ。バジーナが気に入ったようでな。貸してやった」

瑠璃「もう〜。さおりちゃんに貸すのはいいけど、一言断ってほしいよ〜」

京介「別にいいではないか。アイツも我がコミュニティの一員。いわば家族のようなものだ」

瑠璃「それはそうだけど〜。るりしぃはそれでも、一言ほしいのです。きょうちんが勝手に持っていくので、るりしぃはいつも読みたい時にコミックが無くて、探さなければいけなくなるのです……」

京介「……」

瑠璃「きょうちんが勝手に持っていって、るりしぃのマスケラグッズがなくなることも多いんだから〜。あんまりひどいと、るりしぃはきょうちんとのお付き合いを考え直さなければいけなくなるのです」

京介「……すまない。以後、気をつけるようにしよう」

瑠璃「ほんとに〜?」

京介「俺が嘘を言ったことがあるか?」

瑠璃「ん〜? いっぱいあるよ〜」

京介「ぐっ! 今度は……きちんと守る……」

瑠璃「わかればいいのです。ところで、きりりんちゃんは〜?」

京介「桐乃なら、いつものようにPCの前だ」

桐乃「ふひひwwwwブリジットたんかわいいおブリジットたんwwww」

瑠璃「今日も気持ち悪いね〜。えっへへ〜♪」

京介「中身があれでも、世の女子どもから人気のある読者モデラーだというのだから、わからんものだ」

桐乃「モデラーじゃねえ! モデルだっつってんだろ!!」

京介「ああ、すまんすまん。読者モデルだったな」

瑠璃「相変わらずだね〜。えっへへ〜♪」
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 15:07:24.79 ID:h0rg4jnSO
たしか80行じゃなかったっけ
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 15:09:25.25 ID:Y2sv9taDO
80行だね。
81回改行すると怒られるもん。

それにしても、思い付きをそのまま文にするものじゃないな。
このきょうちん、るりしぃ、きりりんは無いわ〜。
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 16:10:05.10 ID:guZj54S00
>>354>>355
了解しました。サンクスです
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/08(金) 16:16:40.46 ID:tPq+jv9Do
桐乃そのポジかよ!ww
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 17:53:26.66 ID:d1pnEpcMo
るりしぃよりクロネコティーナのほうがいい
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/08(金) 19:04:29.72 ID:ZpWfeYzIo
桐乃がダルポジションなのは変えようもない事実
加奈子が働くコスプレ喫茶に通い姿が目に浮かぶ

クリスはあやせ辺りが妥当か
親が代議士でセレブっぽいしHENTAIって罵ってきそうだ
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 19:20:27.08 ID:qmsBYq4DO
>>353
ワロタ
上手いなww
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 20:42:46.55 ID:jrrORblJP
SS書いてると思うけど長編かける人ってすごいな
俺は某スレに3〜4レス程度の短編はよく書くけど長編はむずいわ
モチベーションとか言い回しが重ならないようにとか色々ボロ出るところが多すぎる

改めて長編書ける人を尊敬する
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 20:57:35.48 ID:Y2sv9taDO
>>361
書けるだけでも大したもんだと思うけどね。
台本形式に慣れてると、地の文を書くときに詰まるし、書き上がっても投下するかどうかで躊躇するし。
何個も書いてる人は、よく書けるなぁと思う。
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/08(金) 22:29:30.90 ID:apOV7xlAO
自分はコメディメインで書ける人を尊敬する。
あと、複数のヒロインの絡む話を上手く捌ける人もまた尊敬する。
一回で10レス以上まとめて投下できる人も尊敬する。

りすぺくとぜむいんざわーるど
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/04/08(金) 22:31:21.27 ID:BgrESc+30
長い文章になると冗長気味になるからね。
それを避けるには表現を単純化した方がいい。
それには原作テイストを利用する。
例えば、京介の呼ばれ方というのは意外と多い。

「高坂京介! 君の存在に心奪われた男だ!!」

と言う京介の台詞があったとする。それに対して

「あんた、熱でもあんの? キモ」
「先輩? 一体何を言っているのかしら?」
「京介氏、拙者の出番でござるな!」
「きょ、きょうちゃん! どうしちゃったの!?」
「お兄さん、通報されたいんですか?」
「マネージャーさん、恥ずかしいです」
「あんちゃん、かっけー!」
「京介、そんな相手がいたの?」
「高坂! お、お、お前、まさか!?」

と、名乗らせずとも、どのキャラの発言なのかがわかる。
この辺を上手く利用すれば、表現を単純にできる。

後は軽くネタを仕込む程度。このレスのように。
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/08(金) 22:34:01.77 ID:aSVAqQHRo
>>364
あんちゃん、かっけー!
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 23:19:41.25 ID:MZ5lNfeDO
>>364
その使い分けをサラっと出来るだけでも十分凄いとおもうよ
京介の呼称から間違ってるSSの多いこと…
ちなみに上から順番に
きりりん
黒猫
バジーナ
地味子
あやせ
ブリジットたん
ロック
京介ママンかリア
京介の彼氏
で俺の認識合ってるよな?
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/08(金) 23:31:59.19 ID:hOIuuvpQo
長編は何が大変ってモチべの維持が一番大変。書いてみてすごく実感した
長編でも短編でも書き続けられる人はまじですごいよ。だからなるべく感想レスは残すようにしてるな


>>364
慣れてくると呼び方は脳内で自動処理されるようになるよね
書いてた頃は京介の呼び方や口調で判別できるようにしてたんだけど、それだけじゃ難しい部分も出てきて困った
語尾で特徴づけしたくなっちゃうのもわかる
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 23:41:06.76 ID:Y2sv9taDO
感想もらえると嬉しいし、次も書こうって気になるもんね。

読んでる人の中には「ふざけんな」って思ってる人もいるだろうけど、そんな人でも「乙」って書いてくれることが、ただ素直に嬉しい。

批判も有り難いけどね。
「次は直そう」って思えるから。
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/04/08(金) 23:51:14.45 ID:BgrESc+30
>>366
うん。ほぼ通じた。
ただ、リアは「キョウスケ」と呼ぶね。
これは原作じゃないとわからないから、将来リアがアニメに出たとして
アニメだけを見ているとわからない。
「京介」と呼ぶのは父親母親と、7巻1話の桐乃だけ。
あと、赤城兄は彼氏扱いアッーってことかなww
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/09(土) 00:09:46.06 ID:asChsxWNo
もしも京介ががっかりウルフだったら・・・ゴクリ
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 00:31:49.14 ID:iMBt2QJDO
親父やあやせとの対決が、淡々としたものになりますな
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/09(土) 01:25:21.70 ID:EREMdhii0
なんかハードル上げすぎで投下しにくくなってないか
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/09(土) 02:14:38.55 ID:YK1PYr1Go
ネタはあったんだけど長編が終わらなくて書けない(´・ω・`)

以下、時期をはずしたアイデア2点

■4/1に麻奈実とあやせが高坂家訪問
二人曰く、出会い頭にぶつかったら身体が入れ代わった、と。
麻奈実「桐乃ぉ〜、どうしよう……?」
あやせ「きょうちゃ〜ん……、ふえぇ……」
実は「京介は『外見あやせ&中身麻奈実』が理想」だという話を聞いたあやせが
麻奈実を巻き込んで起こしたエイプリルフールの狂言。
ひとまず、麻奈実(自称あやせ)は桐乃の部屋へ&あやせ(自称麻奈実)は京介の部屋へ。
桐乃は速攻で嘘だと見破り、麻奈実から経緯を知る。
壁に耳をつけ、京介部屋の会話に聞き耳を立てる桐乃&麻奈実。
麻奈実ごっこを続けるあやせとのやり取りを半信半疑ながら続ける京介。
→ニヤニヤ展開へ

■Web配信のアニメ13話を鑑賞するオタクっ娘メンバー
アニメ本編終わった時点で、なぜか再生停止しようとする黒猫。
しかし桐乃が空気読まず、EDまで聞こうよーと制す。
♪デデッデ デデッデ デデッデ〜
京介「お、なんかこの曲イントロかっけーな」
桐乃「ちょっとちょっと、超イケてるって!」
沙織「超電磁砲みたいでかっこいいでござるなぁ!」
♪ほおかご〜 チャイムがぁ〜
→総ズコー。黒猫を弄る流れへ
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/04/09(土) 02:25:19.02 ID:wOjRxdid0
EDテーマは各キャラが歌っていることになっているから、
声優さん本来の歌唱と違うケースがあるかもね。


個人的には、タナトスモードでの早見さんの歌が聴きたいが。
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/09(土) 02:29:59.13 ID:3zNXS+bAO
エイプリルフール書いてください…
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/09(土) 02:59:49.65 ID:82ypQ7NL0
マスター:丸顔読モ
サーバント:乙女座(弓兵)
特技:単独行動 「私はマスターより独自行動の免許をいただいている。ワンマンアーチャー、つまりはたった一人の弓兵というわけさ。」
初登場:押し入れに不時着し、ブチ切れられる。

377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 04:15:30.17 ID:iMBt2QJDO
むしろライダーっぽいよね
パイロット的な意味で
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 06:03:07.26 ID:1EljeMzDO
むしろブシドー的な意味でセイバーかアサシンあたりか……?

379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/09(土) 06:49:30.81 ID:hz5wg1qZo
アンリミテッドブラザーズワークス(unlimited brother's works)
無 限  の  人 生 相 談

彼の固有結界「無限の人生相談」は、
「愛する妹(あるいは妹に立場が似ている人物)からの人生相談の構成や本質を捉え、即座に対応し解決する」という能力を持つ 
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 08:29:12.25 ID:ky2eOdXSO
ちょっと前までは作家さん大量発生してたけど,
あれはやっぱり春休みで暇してた学生さんだったんだろうか
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 11:12:44.06 ID:kfIfV/L00
>>380
もうすぐ8巻が出るからじゃないかな?
なんだかんだで新たな公式設定が明らかになる直前というのは
二次創作物は書きにくくなる気がする
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/09(土) 12:38:16.45 ID:7A1Dlj/AO
>>380
>>333で6、他トリ持ちで4人、無しも含めて11人?12人以上いる。
大量には違いないし、必ずしも学生が多数派とは限らないんでない?
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/09(土) 14:40:50.58 ID:fryBYYqr0
まあ春先って何かと忙しいし
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/09(土) 15:27:01.97 ID:kWjxoZU9o
まぁまぁ。
今は>>322のブリジットと>>373の長編に期待しとこうぜ。
他の人も、出来上がったら投下してくれるさ。
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/09(土) 16:58:18.43 ID:kWjxoZU9o
せっかくだし、いつもとは違う試みをしてみようと思いマッスル。

ネタ、シチュ、カップリングを募集。期限は今日の日付が変わるまで。
いただいたご意見の中から、一つ取り上げて短編を書いてみようかと。
日曜日中に投下したいと思うわけです。

では、よろしくお願いします。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/09(土) 17:04:18.25 ID:hz5wg1qZo
>>385
こんなこともあろうかと暖めておいたブリジット√

マネージャーとしてではなく京介として話を進展させて欲しい
加奈子にナンパの練習させられて京介だと知らずに声をかけ、振り向いたら京介だった……みたいな
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 18:40:09.70 ID:FMUoAL+jo
加奈子と黒猫が遭遇したらどうなるのであろうか
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/04/09(土) 18:57:04.06 ID:wOjRxdid0
加奈子って、実際にいてもおかしくないキャラだもんな。
そういう意味では、麻奈実と並び真っ当なキャラと言える。
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/09(土) 19:57:57.79 ID:asChsxWNo
麻奈実みたいなのが居るわけないだろwwwwww
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/09(土) 20:03:52.93 ID:Lj0q0X9s0
俺がかなかなちゃんのお兄さんになってる話誰か書いてくださいっ(>_<)
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/09(土) 20:06:09.50 ID:hz5wg1qZo
加奈子に姉がいるのは判明してるが兄は……
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 20:12:14.88 ID:iMBt2QJDO
かなかなちゃん、姉ちゃんいたっけ?
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 20:22:31.45 ID:V2IHg1mPo
加奈子がゲーセンで黒猫に出会って後日桐乃に話すネタを書いたことはあるけど没になったよ
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/04/09(土) 20:22:51.57 ID:P3wDxmAMo
>>392
多分いるよ
4巻p55でコスプレのことアネキから聞いたことあるって言ってる
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/09(土) 20:26:14.81 ID:hz5wg1qZo
>>389
麻奈実から天然成分と間延びした口調とっぱらった人なら知ってる。思考回路とかそっくりな気がする


が、それをとっぱらうと最早麻奈実じゃないな
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 20:28:46.32 ID:iMBt2QJDO
>>394
ホンマや
書いてあったわ
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/09(土) 22:07:04.36 ID:06yDL4GKo
 昨晩、すごい面白い黒猫のSSを読んだんだ。……夢の中で(ぉ
 その内容がどうしても思い出せねぇ…‥!!
 こんな悔しい気分になったのは初めてかもしれん……。

 どこかに忘れてしまった夢を思い出せる方法とか、機械とかないもんですかね……。
 という微妙にスレチなお話しでした。

 どこかからかネタが振ってこないかなぁ、という愚痴ともいう。
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 22:33:37.46 ID:Btub2SaDO
夢は記憶の再生
つまり探し物はまとめWikiにある!
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/09(土) 22:39:42.27 ID:fryBYYqr0
そういえば最近あんまり黒猫作品投下されてないね
13話配信されたし、妹達の名前も明らかになったから増えると思ったのに
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/09(土) 22:47:36.50 ID:CTqcwNcvo
>>384

>>322のブリジットはあんまり期待しない方がいいかと……
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 22:59:25.40 ID:ky2eOdXSO
>>399
まだ完全に確定じゃないとは言え,原作で「恋人になった」って記述あるしなぁ…
だから逆に書きにくいんじゃない?
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/09(土) 23:45:40.83 ID:hz5wg1qZo
あと少ししたらあやせ√投下しに来る

>>400
おいおい。俺はずっと待ってるんだぜ?
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/10(日) 00:02:23.36 ID:TgFGyPwQo
「――わかってくれたか?」
「ええ。でも、お兄さんの疑いが晴れたわけではありませんよ」
「なんでだよ!? あれに関しては誤解なんだと、今しっかり説明しただろ!?」

俺は今あやせの部屋で『桐乃との偽装デート』の際に撮ったプリクラについて必死に弁明しているところだ。
あやせがあのプリクラをどこから入手したのかとか、そんなことは今どうでもいい。
両手を手錠で拘束され、ろくな抵抗もできない俺が願うのはただ一つ――わが身の無事のみだ。

「お兄さんが桐乃とデートせざるを得ない状況にあったのは認めましょう。仕方ありません」
「だったら!」
「で・す・が! だからと言って、それはお兄さんが桐乃に危害を加えないという保証にはならないでしょう?」
「いやその理屈はおかしい」

どこに好き好んで実妹にちょっかい出す兄貴がいるんだよ。そんなのはエロゲの世界だけで十分だ。
だが、訳あってあやせには『妹に手を出す変態鬼畜兄貴』として認知され続けなければならないので強く反論もできない。

「と、とにかく大丈夫なんだ! 偽装デートだって全然楽しいとか思わなかったしさ!」

――これは嘘だ。
勿論終始楽しかったわけじゃないが、一瞬たりとも楽しくなかったわけじゃあない。
桐乃がもう一度お願いしてくるなら付き合ってやってもいい。そう思えるくらいには楽しかったさ。
それではなんで俺がとっさにこんな嘘をついたかと言うと――

俺の命の灯が今まさに消えようとしているからだ。

「お、おお、落ち着けあやせ!? 落ち着いてその金槌をしまうんだ!」
「うふふ。私、言いましたよね。桐乃に手を出したらブチ殺しますよ――って?」
「早まるんじゃない! 俺は桐乃に手を出しちゃいねえ!」
「じゃあこのプリクラは何なんです? 日常的にキスでもしてるようなバカップルにしか見えませんけど? お兄さん、しっかり楽しんでますよね?」
「ままま、待て! 話せばわかる!」
「しつこい男は嫌われますよ?」
「こっちは命がかかってるんだよ!」

こんな状況では誰だってしつこくなるわ!

「……仕方ありませんね。じゃあ、こうしましょう。お兄さんと私で『偽装デート』を再現してお兄さんが楽しそうじゃなかったらお兄さんの無実を認めましょう」
「いやその理屈もおかしい」

桐乃とならまだしも、あやせとで偽装デートを再現する理由がさっぱりわからない。
相手が変わったら再現とは言えねえだろ。
そもそもあやせとデートして楽しくないわけがない。
この賭けは分が悪いとかそういうレベルじゃない。なんという負け戦。勝ち目ゼロである。

「それに、その条件だと俺死ぬしかないんだけど」
「海と山と偽装デート――今日、これから出掛けるならどれがいいですか?」
「……偽装デートでお願いします」

俺は絶望のあまり涙が止まらなかったよ。



――――――――――――――

「私はアニメ映画よりも恋愛映画の方がいいんですけど……桐乃が見たのがこっちなら仕方ありません」

「あれ? お兄さん達ここに来たんですか? ここ、私たちもよく来るスイーツショップじゃないですか」

―――
――


「つ、ついに今日のメインイベントですよお兄さん」
「な、なあ。何もこれまで再現する必要はないんじゃないかな」
「いいえ駄目です。お兄さんへの疑惑を決定的なものにした要因をスルーするわけにはいきません」
「……どうしても駄目か?」
「くどいです」

ここまで幾度もにやけそうになるのを必死に堪えてきた俺だったが、もう駄目だ。
カップル専用プリクラというある種の密室にあやせと二人きり。
こんな状況でにやけずにいられるだろうか。いやにやけずにはいられない。
そして、一度にやけてしまえばそれで終わり。
密室を脱出するまで何とかして俺のにやけヅラをあやせから隠しきったとしても、プリクラの筐体からは動かぬ証拠が排出される。ジ・エンドだ。

「親父にお袋……先立つ不孝をお許しください」
「何言ってるんですかお兄さん?」

そう言うとあやせはぐいぐいと俺の腕をひっぱりプリクラの筐体へと引っ張っていく。
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/10(日) 00:04:29.38 ID:TgFGyPwQo
「あれ? 桐乃と撮ったのは隣のやつなんだけど」
「いえ、こっちでいいんです」
「?」

あれ? これは『偽装デート』の再現じゃなかったのか? ここまで完璧に再現してたのにこれは再現しないの?
多少の疑問を感じつつも、あやせに言われるがままプリクラの筐体内に入る。

「さあ、撮りますよ!」

あやせはぐいっと俺の腕を引き寄せにこやかにポーズを決めた。



「うん、よく撮れてますよお兄さん」

画面に映し出された写真の映像を見てたいそう満足気なあやせ。
そりゃあ、そうだろう。そこにはだらしないにやけヅラを浮かべた俺と、飛び切りの笑顔を浮かべた少女が映っていたのだから。
あやせの理論で行くと、これで俺が『桐乃との偽装デート』を楽しんだ証拠を手に入れたことになる。
説明する俺もどういう理屈でそうなるのかさっぱりだ。やっぱりこの理屈おかしくないですか? あやせさん。

今回の筐体は桐乃と取ったプリクラと違って、撮った後に文字や記号を書き込めるタイプだった。
さきほど撮った写真に、あやせは『あやせ』『京介』と互いの名前をすらすらと書き込んでいく。
桐乃とのプリクラが『日常的にキスをしてるようなバカップル』の図なら、こちらはさしずめ、『彼女に頭が上がらない情けない彼氏とそんな彼氏をまんざらでもなく思っている彼女』の図だった。



――――――――――――――

「今日は楽しかったですねお兄さん!」
「ああ、そうだね」

最早否定する気にもならない。決定的な証拠はあやせに握られているのだ。
ここで否定しても時間と労力の無駄である。それにどうせ死ぬなら心穏やかに死にたいからな。
不思議なことに今の俺は死を受け入れることができる精神状態にあった。やべーな。俺、悟り開いちゃったよ。

「じゃあ帰りましょうか」
「えっ? 海と山は?」
「え? まだ遊び足りないんですか? でも、時間も時間ですし……」
「いや、そうじゃなくて……俺が楽しんだら殺されるっていう話はどうなったの?」

……しまった! あやせが忘れてくれてるならそのままでよかったのに! 
なんで俺はわざわざ思い出させるようなことをしちゃったんだ!?
ははは、これがまさに墓穴を掘るってやつだよ。……実際に穴を掘るのはあやせだけどな。

「お兄さんもしかして本気にしちゃったんですか?」
「え……?」
「いやだなあ。私が本気でそんなことする訳ないじゃないですか」

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1514031.jpg

片目を細め、にやにやと小馬鹿にしたような表情で俺を見るあやせ。
あるいはその視線は俺を値踏みしているかのようだった。

「えっ? ……えっ?」

頭に回転が鈍い。思考が現実についていかない。

「お、お兄さん。まさか本気で信じ込んでたんですか? だとしたらかなりショックなんですけど…………」

あやせは俺の言動にショックを受けているらしかった。
だがな、あやせ。それは自業自得だというものだ。自分の行動を思い返してみろ。
手錠に金槌、そしてその他もろもろ。誰がどう見ても俺がこんな思考に陥ったのはあやせに原因があると思うんだ。
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/10(日) 00:05:15.95 ID:TgFGyPwQo
「う……あ、あれはお兄さんが変態だから仕方なくですね……」
「いいや。俺はとんでもないストレスを受け続けてきたんだ。この責任はいつかとってもらうからな」
「せ、責任って……どうせまた『結婚してくれ』とか言うんじゃ」
「ふっふっふ。そんなことしても通報されるのが関の山だ。俺はしっかり学習したんだよ」
「へえ。じゃあ、その学習の成果とやらを見せて下さい。お兄さんが要求する責任の取り方とは?」
「そうだな。偽装じゃない、再現でもない、普通のデート一回で手を打とう」
「通報しました」

ぶーーーーーーーー!
なんのためらいもなく防犯ブザーのヒモをひくあやせ。

「ちょ、通報するほどのことか!? いや、今はそれはいい! と、とにかくそれを止めて! このままじゃ逮捕されちゃう!」
「えへへ、冗談ですよ。デートプランしっかり考えといて下さいね、お兄さん」

ブザーを止めたあやせはそう言い残すと、くるりと踵を返し俺の返事を聞くこともなく去って行った。
その鮮やかな去り際は、まるで聞くまでもなく俺の答えを確信しているかのようだった。



――――――――――――――

「ちょっと話があるんだけど」
「ん? また人生相談か?」
「違う。……これ、どういうこと?」
「げっ!?」

桐乃が俺に見せつけてきた物は、以前俺があやせとの『再現デート』で撮ったプリクラだった。
そこには『彼女に頭が上がらない情けない彼氏とそんな彼氏をまんざらでもなく思っている彼女』の図が映っている

「なぜお前がそれを持っている!?」
「あんた、何あやせに手を出してんの? 死ねっ! このロリコン! 変態!」
「い、いてえ! やめろってば! 落ち着け! こっ、これは誤解なんだあああああああ!」



おわり
406 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/04/10(日) 00:08:30.58 ID:TgFGyPwQo
トリ忘れてた……

以前もやったことはあるが、適当な画像をこうやって挿絵がわりに挟むの面白いんじゃないかと思い、画像から妄想を膨らませて書いてみた。
あやせのこの表情がたまらなく好きです。これはきっと俺だけじゃないはず


ちなみにあやせが桐乃と違うプリクラを選んだのは、
『妹という生まれつきの立場=最初に書き込めるプリクラ』に対抗して『恋人(あるいはそれに近しい立場)=後から書き込めるプリクラ』を選択したからです。
プリクラという媒体では思ったより弱く、解説なしで気付いてもらえる自信がなかったので恥ずかしながら自ら解説。
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/10(日) 00:14:05.42 ID:kDUCHV2lo
これは可愛いあやせ
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/10(日) 00:42:10.51 ID:YMnqPX2Ho
これは無限ループの予感w
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/10(日) 00:52:40.75 ID:UPURqhJ/o
乙だぜぃ。
このあやせさんは素直なのか、そうじゃないのか曖昧だな。だがそこがいい。

久しぶりに地の文ありのSS読めて、おいちゃん幸せww
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 01:16:52.61 ID:QygD2oTDO
あやせたんかわいいペロペロ
この桐乃がさらに検証デートを要求し、今度は黒猫辺りがプリクラ発見し無限ループですね京介爆発しろ
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 01:44:51.00 ID:ig9rszBS0
>>410

同じ考えの奴が居たかww
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 07:27:09.88 ID:SpyBmYDDO
原作のあやせもレースに参戦して欲しいなぁ
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/10(日) 07:54:32.99 ID:dOmCZY3K0
乙です!
あやせ→桐乃→あやせ…のループで、最後は結局Wデートになるんですね
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/04/10(日) 11:50:48.87 ID:pw2/55aC0
あやせカワイイ、GJ
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/10(日) 18:43:29.23 ID:Gl/Ipadz0
乙!
桐乃→あやせ→黒猫→沙織→加奈子→ブリジット→リアと繋がっていくんだなww
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/10(日) 21:51:46.33 ID:UPURqhJ/o
>>386で書いてみた。
時系列としては、偽装デート後、御鏡騒動前。京介フリー時にしています。

以下、投下。
417 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/10(日) 21:53:38.21 ID:UPURqhJ/o
「はぁ……」

休日の朝。俺は一人で繁華街を歩いていた。
時刻は午前十時を少し過ぎたあたり。この時間だとほとんどの店が開店しており、周囲にはそれなりに人が溢れている。
こういうゴミゴミした雰囲気はあまり好きではないので、俺のテンションは下がる一方だ。
おまけに、この繁華街はつい先日、実の妹と"偽装"デートした場所でもあり、個人的にはあんまり来たくない場所だった。

「桐乃のヤツ、恨むぞ……」

夏真っ盛りの時期、人の多い場所。
俺が朝早くからこんな場所に来たのは、もちろん能動的な理由からではない。桐乃からある"お願い"をされたからだ。
そうでなきゃ、ここに来るはずがない。麻奈実と鉢合わせたことも、まだ記憶に新しいんだからな。
いつも以上に背を丸めながら、ケータイに表示させている地図で場所を確認する。
目指しているのは、この繁華街にある個人経営のゲームショップだ。
現在位置からだと、あと十分ほどで到着するはずだが……。

「あ、あのっ! そこのお兄さんっ!」

俺がケータイとにらめっこをしていると、背後から少女の切羽詰った声がした。
周囲を見渡すが、「お兄さん」に該当するような人物は見当たらない。どうも、俺のことを指しているらしい。

「あ、あの……」

今度はやや落ち込んだような声で呼びかけられる。どうやら、無視されたと思っているようだ。
う……。なんだ、この罪悪感は……。
俺は何もしていないのに、何だか悪いことをしたみたいな雰囲気が漂ってるじゃねえか!
小心者の俺は、その雰囲気に耐えられず後ろを振り返った。

「げ……」
「うっ……」

そこには可愛らしいピンクのサマーワンピースを着た、金髪の少女がいた。
自分から声を掛けてきたのに、俺が振り返ると怯んでしまい、数歩後ずさる。
だが、今はそんなことなど気にならない。
なにしろ、声を掛けてきたのは俺の知ってる娘だったからな。

「ブ、ブリジットちゃん……?」
「え? ど、どうしてわたしの名前を……」

いきなり名前を呼ばれたことに、金髪の少女――ブリジット・エヴァンスは困惑していた。
が、それも一瞬。俺の顔をしばらく見つめ、誰なのかを思い出したようだ。

「あ! 彼氏さん!」
「はは……、久しぶり」

おいおい、なんでまたここでブリジットと会うんだよ!
決して困ることはないが、なるべくなら会いたくないんだよ。この娘には、"赤城浩平"としても会ってるからな。
バレると色々マズイんだよ、主に俺の身が……。
よ、よし! なんとかこの場をやり過ごそう!

「あの、今日は彼女さんといっしょじゃないんですか?」
「う、うん。まあね。それより、ブリジットちゃんはなんで俺に声を掛けてきたのかな?」
「あ。そ、それは……」
「うん?」

俺が当たり障りのない質問をすると、ブリジットは頬を赤らめて言い淀んでしまった。
な、なんかマズったのか?そこで止まられると、俺が困るんだが。
この後、「そっかー。じゃ、俺は用があるから〜」とか言って、この場を脱出する算段なんですけど……。
なんとか話題を変えようと思案していると、新たな少女が現れた。

「なーにやってんだよ、ブリジット」
「あ、かなかなちゃん!」
「はぁ〜〜。だーからぁ〜、かなかなちゃんはやめろっつってんだろーが」
「う゛ぅ〜。い、いひゃいよぉ〜、かにゃかにゃひゃん〜」

少女――来栖加奈子は、駆け寄ってきたブリジットの頬を思いっきり引っ張っている。
びろーんと。むにょーんと。
突然の攻撃を受けたブリジットは、なんとも締まりのない声で抗議した。
はぁ、こいつにも会うことになるとはな。今日の俺の運勢は、どうやら最悪のようだ。
仕方ねえ。会っちまったからには、こいつにも挨拶くらいはしないとな。

「やあ。加奈子ちゃん、だったよね?」
「あ? オメー誰よ? いきなり馴れ馴れしく話しかけてくるとか、チョーキモいんですけど〜」

こ、このガキィ……。
変装なしで会うのは三度目だというのに、何で覚えてねえんだよ! いや、覚えてないほうが好都合だけど。
それよりも、相変わらずムカつくッ! すっっっっげームカつくッ!!

「もぉ〜。かなかなちゃんもこの間会ったのにぃ〜」
「あ? こんな地味面知らねーよ。誰コレ?」
418 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/10(日) 21:54:04.15 ID:UPURqhJ/o
コレ!? 今、"コレ"って言ったよね!?
人扱いすらしねーのかよ、このクソガキ! あああああああっ! ブン殴りたいっ!!

「ほ、ほら。かなかなちゃんのおともだちの彼氏さんだよぉ〜。ケーキ屋さんで会ったでしょ」
「……あ〜、桐乃のカレシだっけ? なんか地味だったな〜、ってコトしか覚えてないわ」
「は、はは」

もういい……、こんなことでイチイチ腹なんか立ててられるか。俺が無駄に疲れるだけだ。
コイツ等がここにいる理由も、別にどーでもいいや。さっさとここから離れよう。
ロリっ娘二人を放って、俺は踵を返す。そこで、背後から流行の曲が流れてきた。

「うーす。何か用か、あやせ?」

どうやら加奈子のケータイに設定された着うたのようだ。ま、どうでもいいか。
それよりも、さっさとここを離れて用を済ませよう。そんで家に帰って、ゆっくりしよう。うん、それがいい。
無視を決め込んだ俺だが、次の瞬間にはつい後ろを振り返ってしまった。

「はぁ!? いや、ちょっと待てって! いきなりンなコト言われても、加奈子にも予定が……!」

なにやらトラブルがあったらしく、加奈子が大声を上げたからだ。
しばらく口論していたが、やがて加奈子は通話を終え、ケータイを仕舞った。心なしか、落ち込んでいるようにも見えるが……、

「クッソ、あんのブスがぁ!! っざけんじゃねーぞォ!!」

いきなり怒りを爆発させて、地団太を踏み始めた。あまりの剣幕に、ブリジットも声を掛けられずにいる。
電話相手はあやせのようだが、一体何を言ったんだアイツ?
ひとしきり怒りを発散させたあと、加奈子はフーフーと息を荒く吐きながらブリジットに向き直った。

「ブリジット、今日はシメーだ」
「え?」
「加奈子、これから行かなくちゃいけねートコがあるから、今日はもう帰れ」
「そ、それならわたしも……」
「ダメに決まってんだろーが。ついてきたら、オメーとはもう口利かねえかんな。んじゃな〜」

加奈子は言いたいことだけ言って、駅に向かって走り出した。が、少し離れたところで止まると、

「桐乃のカレシさんよー。そいつのこと頼んだー」

などと言って、今度こそ駅に向かった。
……いや、待て。勝手に「頼んだ」なんて言われても、こっちは困るんだっつーの!!
けどなぁ、ブリジットだけをここに置いていくのも後味悪いしなぁ。はぁ、仕方ないか。

「ブリジットちゃん? もう帰るなら、駅まで送っていくけど……」
「まだ帰りません!」

正直に言おう、驚いた。
だってさ、俺の知ってるブリジットって、こんなに大きな声を出す女の子じゃないんだもん。
おまけになんか怒ってるみたいだしさ。まあ、こんな小さい娘が怒ってても、ただただ可愛らしいだけなんだけどな。
頬を膨らませてるところが、また可愛い。

「そ、そう。じゃあ、どうするの?」
「えっと……それはですね……」

さっきまで怒っていたのに、今度はもじもじ俯いて、真っ赤になってしまった。
もともとの愛らしさも相まって、非常に可愛らしいことこの上ない。桐乃がこの場にいたら、思わず持ち帰ってしまうだろう。
ブリジットはしばらくそうしていたが、やがて意を決して、俺にこう言った。

「彼氏さん! 今日一日、わたしと付き合ってください!!」
「………………え?」
419 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/10(日) 21:54:39.49 ID:UPURqhJ/o
ーーーーーーーーーーーー


「ありがとうございましたー」

エプロンを付けた中年のオッサンの声を背に受けて、俺はゲームショップを出た。
その隣には、まだ年端も行かない金髪の美少女がいる。

「ごめんね。付き合わせちゃって」
「いえ、いいんです。彼氏さんには、わたしのワガママを聞いてもらったので」

結局、俺はブリジットの突拍子もない申し出を受け入れた。
正直、気は進まなかったのだが、あのままブリジットを帰すのもなんだかなぁと思ったのだ。
幸い、受験勉強は順調だし、一日くらいはこんな風に時間を潰しても問題は無い。
それに、こんないい娘のお願いを断るのも忍びないしな。
言っておくが、俺は決してロリコンじゃないからな。年下の女の子のお願いに弱いだけだ。

「それじゃ、今からどうしようか? どこか行きたいところとかある?」
「そうですねぇ……」

ブリジットは顎に指を当て、どこに行こうか考えている。真剣に考えているようで、目を閉じ、眉を顰めながら「う〜ん……」と唸っていた。
なんというか、非常に微笑ましいな。本人にそんな気は無いだろうけど、このぐらいの年齢の娘のこういう姿は、それだけで可愛らしいものだ。
それが美少女ならなおさらである。
桐乃や加奈子が同じ仕草をしても、きっとこんなことは思わないだろう。アイツ等は普段がひどすぎる。

「あの……、彼氏さんにおまかせしてもいいでしょうか?」

必死に考えたが、妙案は出てこなかったらしい。ブリジットは恥ずかしそうに言ってきた。
それにしても、「彼氏さん」という呼び方は勘弁してほしいな。……よし。

「わかったよ。ただ、その『彼氏さん』ってのはやめてくれないかな? 今日は桐乃もいないし、なんか変だろ?」
「えっと、じゃあなんてお呼びすれば……?」
「ブリジットちゃんの好きに呼んでくれればいいよ。名前でもなんでも」
「そういえば、お名前聞いてませんでしたよね」
「あれ、そうだっけ?」

そう言われると、前に会ったとき自己紹介してない気がするな。あの時は……そうだそうだ、桐乃だけ自己紹介したんだ。
なんか変な感じだが、一応しといた方がいいよな。

「それじゃ、今さらだけど……。俺は高坂京介だ。よろしくな」
「はい、よろしくお願いします。……あれ? 高坂って……」
「あ……」

やっべええええええええええええええええ!!
しまった! ついいつもの調子でフルネームを言っちまったよ、オイィィィィ!!

「あの……彼女さんも、たしか"高坂"でしたよね?」
「うっ……」

しっかり覚えてるなんて、ブリジットは本当にいい娘だね。
ただ、今回に限っては忘れていてほしかったよ。あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜、仕方ないな。

「そうだよ。実はね……」
「はい?」
420 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/10(日) 21:55:09.25 ID:UPURqhJ/o




「……というわけなんだ」
「そうだったんですかぁ〜」

良い言い訳が思いつかなかった俺は、ことの真相をブリジットに話した。もちろん、桐乃やあやせ、加奈子には内緒にしてくれるよう頼んである。
桐乃にバレたら怒るだろうし、あやせにバレたら何をされるかわかったもんじゃねえからな。想像もしたくねえよ。
加奈子にも言わないようにしてもらったのは、アイツ経由で桐乃やあやせに話が伝わるのを防ぐためだ。あのガキ、口が軽そうだしな。
それに、こういうところから美咲さんの耳に伝わる可能性もある。嘘だってわかっちまったら、また桐乃にしつこく迫るだろうしな。

「ごめんな、なんか騙すようなマネをして」
「いえ、気にしないでください。そうしなくちゃいけない理由があったんですよね?」
「ああ。あの時は、ああするしかなかったんだ」
「じゃあ、仕方ないですよ。お兄さんが気にすることじゃないです」

ブリジットは笑顔を浮かべながら言った。
本当、いい娘だなぁ〜。桐乃も、せめてこの娘の十分の一でいいから、性格が良ければなぁ〜。
…………あ、ダメだ。軽く想像してみたが、めちゃくちゃ気色悪いモノが出来上がった。
十分の一でコレなら、ブリジットと同じくらい性格が良くなったら、はっきり言って嘔吐物だろう。想像すらしたくないわ、うん。

「じゃあ、今度こそどこか行こうか。こんなところで時間を使うのも勿体無いし」
「はいっ!」

事情も説明し終えたので、俺達は並んで繁華街を歩き始めた。
はっきり言って、どこに行けばいいのかわからない。とりあえず、適当にぶらついてみて、気になる店や場所があったらそこに行こう。
そう考えていると、俺の右手の指に温かく柔らかな感触が伝わってきた。
隣を見れば、ブリジットが俺の人差し指と中指を小さな手で握っていた。

「そっか。はぐれたりしたら、大変だもんな。ゴメンね、気が付かなくて」
「い、いえ!」

ブリジットの顔は真っ赤だ。
きっと、男とこうやって手を繋いだことがないんだろうな。八つも離れているんだから、お父さんと手を繋いでる感覚でいればいいのに。
俺はこの小さな同伴者とはぐれないよう、その手をぎゅっと握った。

「あっ……」
「あ、ゴメン。痛かったかな?」
「いえ、あの……大丈夫ですから」

ブリジットはさっきよりも顔を赤くして、か細い声で答えた。そして、俺の手をぎゅっと握り返してきた。
可愛い娘ではあるのだが、歳が離れすぎてて俺まで恥ずかしくなるようなことはない。むしろ、父性が働いてしまうので、非常に微笑ましく思えてしまった。
けど、このままじゃブリジットはロクに楽しめもしないだろう。どうしたもんかなぁ〜。…………と、その時。

ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

誰かさんの腹の虫が悲鳴を上げた。俺の虫さんではないので、そうなると当然……。

「あ……こ、これは……その……。ち、違うんです……」

ブリジットのものだよなぁ。
たとえ十歳でも乙女は乙女。腹の虫の音を聞かれたら、恥ずかしくてどうしようもないのだろう。
ただ、その慌てっぷりがおかしくてな。

「ぷっ……」
「わ、笑わないでください!」

笑いが込み上げてきちまったよ。俺の顔を見て、ブリジットはますます慌てて弁明をし始める。
それがまたおかしくて……という悪循環に陥ってしまった。

「ご、ゴメン。くふふ……。ホントゴメン……ははっ」
「も、もう〜〜〜〜〜〜〜〜」

ああ、しまったなぁ。ちょっと笑いすぎたか。
ブリジットは頬を膨らませて、そっぽ向いてしまった。顔は依然として赤い。だが……。

ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

またブリジットの腹の虫が悲鳴を上げた。
ここまで来ると、コントじゃないかと思えてくる。
ブリジットは誤魔化すのを諦めたのか、赤い顔のままで「うぅ〜〜」と唸っていた。
さすがに、これ以上は俺も笑わんよ。それくらいの分別は弁えてるさ。

「ちょっと早いけど、メシにしようか。なにか食べたい物とか行きたい店はある?」
「……お兄さんにおまかせします」
「了解」

俺はむくれてしまったブリジットの手を引いて、繁華街の中を歩き出した。
421 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/10(日) 21:55:45.16 ID:UPURqhJ/o
ーーーーーーーーーーーー


「いらっしゃいませ〜」

俺達が入ったのは、昔懐かしい雰囲気を色濃く残している老舗の定食屋だ。
老年の店主夫婦が切り盛りしている店で、以前桐乃と訪れたケーキショップのような華やかさはない。
そのせいか、店内にいたのは休日なのにスーツ姿のサラリーマンが数人。俺と同い年くらいの男連中が二グループ。女の子は一人もいなかった。
空いているテーブル席に座ると、頭には白い手拭いを巻き、綺麗に洗濯された割烹着を着た六十代ぐらいの女性が水を持ってきてくれた。ここの店主の奥さんだ。

「あの、ここは?」
「定食屋っていう、少し前の日本では割とポピュラーだった飲食店だよ」
「へぇ〜」

こういった場所は珍しいのか、ブリジットは店内の色んなところを眺めていた。
俺は壁に掛かった品書きを眺め、何を食べようか考えていた。

「ブリジットちゃんは、日本語読めたよね?」
「はい。むずかしいものでなければ、だいたいは読めますよ」
「じゃ、あの壁に掛かっているメニューから、頼むものを選んでね」
「え? あ、あれがメニューなんですか? わたし、ああいうのははじめて見ました」

最近の飲食店では、各テーブルにメニューが備え付けられているのが一般的だ。写真付きで非常に見やすいのだが、俺はこういうのも悪くないと思っている。
ブリジットもそういう店にしか行ったことがないのだろう。「ふわぁ」なんて言いながら、品書きを眺めていた。

「お兄さん。わたし、エビフライ定食にしようと思います」
「わかった。じゃ、頼むかね。すいませーん!」
「はいはーい。ちょっと待っててくださいねー」

俺は大きな声で奥さんを呼んだ。
程無くして、厨房にいた奥さんは、片手にメモを握ってぱたぱたとこちらに駆け寄ってきた。

「お待たせしましたー。ご注文は?」
「チキンカツ定食、ご飯大盛りで。あとエビフライ定食を」
「はいはい。チキンのご飯大盛りとエビフライ。ひとつずつね?」
「はい」
「じゃ、ちょっと待っててね」

注文を聞き終えた奥さんは、厨房に向かった。そこで、ブリジットから声が掛かる。

「あの、お兄さんはこのお店によく来るんですか?」
「そんなことはないよ。友達と何回か来たことがあるくらいだし」

注文した品が持ってこられるまでの間、俺とブリジットは他愛のない話をして時間を潰した。




「お待たせしましたー。チキンカツ定食のご飯大盛りと、エビフライ定食ね」
「ども」
「ありがとうございます」
「それじゃ、ごゆっくり」

約二十分後、注文した品がテーブルに届けられた。
ブリジットの頼んだエビフライ定食の乗った盆には、スプーンとフォークも置かれている。奥さんの気遣いだろう。

「ふわぁ、たくさんありますね〜」
「食べきれるか?」
「た、多分……」

ここの売りは、安い値段でお腹いっぱいになれるところだ。そのため、常連というと学生連中が多い。
そのことを伝えていなかったため、ブリジットは目の前に置かれた定食の量に圧倒されていた。まあ、デカいエビフライが三本もあるからな。
それに加えて、盆の上にはご飯、味噌汁、お新香。エビフライの周囲にはキャベツの千切り、ポテトサラダ、切られたトマトもあるのだから、驚くのも無理はない。

「とりあえず食べようか」
「そ、そうですね」

俺はテーブルに置かれている筒から箸を抜き、手を合わせた。
ブリジットも同じように手を合わせている。

「いただきます」
「いただきます」

まず手をつけたのは味噌汁だ。油揚げとネギの入った味噌汁は素朴な味がして、それが実に俺好みで美味かった。
次にメインのチキンカツ。揚げたてなので衣はサクサクしており、あらかじめ醤油などで下味が付けられた肉厚の鶏むね肉に、良いアクセントを加えていた。
ブリジットもフォークを手に持ち、エビフライを頬張っている。

「わぁ、美味しいですね」
「安くて美味い。庶民の味方だよ」
422 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/10(日) 21:56:18.45 ID:UPURqhJ/o




「すみません。ごちそうになっちゃって」
「気にしなくていいよ」

食事を終えた俺達は、昼時前に店を出た。
案の定、ブリジットは定食を食べきることが出来ず、余ったおかずは俺が食べることになった。
おかげで、今は少し腹が苦しい。こんなことならご飯は大盛りにするべきじゃなかったな。

「あんまりこういうところには来たことないだろうけど、どうだったかな?」
「はじめて見るものがたくさんあって、ごはんもおいしくて、すごくよかったです!」
「はは。そう言ってもらえると、俺も連れて来た甲斐があったよ」

女の子があまり利用しないところだが、どうやらブリジットは気に入ってくれたようだ。

「今度、かなかなちゃんとも来ようと思います」
「あー、それはやめとけ」

アイツ、絶対ゴネるからな。


ーーーーーーーーーーーー


少し過分に腹が満たされたので、俺達は腹ごなしもかねて繁華街を歩いていた。
渋谷や原宿ほどではないが、ここいらも若者をターゲットにした店が多く、歩くだけでもそれなりに楽しめるようになっていた。
服飾店のウィンドウには、綺麗に着飾ったマネキンが並び、店先に服を置いてある店もあった。
そういったものを発見するたび、ブリジットは歩みを止め、じっと眺めたり手に取ってみたりしている。
こういうところを見ると、いくら小さくても女の子なんだなぁと感じられた。
そんなことを繰り返していると、ブリジットがある店に小走りで駆け寄った。
手を繋いだままなので、俺もブリジットに引っ張られる形であとを追うことになる。

「わぁ、かわいいですね」
「へぇ。コイツは……」

そこはアクセサリーショップのようで、リングやネックレスなどが安価で売られていた。おそらく中高生を意識した店なのだろう。
ブリジットが見ていたのは、黒塗りの棒に紫色の六花と細やかな装飾が施されたモノ。

「簪だな」
「かんざし、ですか?」
「ああ。日本の伝統的な髪飾りだよ。知ってる?」
「はい。名前を聞いたことはあります」

ファッションアイテムの一つとして使われたりすると聞いたことはあるが、実際に売られているのを見たのは初めてだ。
その周りを見てみると、これ以外にも数種類の簪が展示されていた。人気があるのだろうか?
ブリジットはこの簪が気に入ったらしく、先程からじっと見つめたままだ。
簪に付けられている値札を見ると、ずいぶんと手頃な価格だった。こんなに安いモンなのか?

「すいません」
「はい、いかがされました?」
「この紫六花の簪が欲しいんですけど……」

店員さんに頼んで、ブリジットが見つめ続けていた簪を出してもらった。
当のブリジットはというと、驚いた表情のまま俺を見上げている。

「2,625円になります」
「じゃ、これで」
「2,650円お預かりします。25円のお返しです。お包みになりますか?」
「いや、この娘に付けてもらえますか?」
「え?」

ブリジットの頭にポンと手を置いて、そう言った。ブリジットは突然のことで、状況が把握できていないようだ。

「あと、簪の基本的な付け方も教えてもらえますか?」
「かしこまりました。お嬢さん、こちらへどうぞ」
「え? あ、え? あの……?」

依然としてブリジットは困惑したままだ。その様が可愛くて、俺は自然と笑みを浮かべていた。

「行ってきな。俺からのプレゼントだ」
「あ……、ありがとうございます!!」

ブリジットは過剰なほどに頭を下げて、女性の店員さんの方に駆けていった。
あんなに喜ばれると、俺としてもプレゼントした甲斐があったと思えるよ。
423 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/10(日) 21:56:44.30 ID:UPURqhJ/o




ブリジットを店員さんにまかせている間、俺は店内の品物を眺めていた。
簪以外にも、可愛らしい装飾が施されたバレッタやコームといった髪用の装飾具が並んでいる。
そのどれもが女の子向けで、価格設定も学生に優しいものだった。

「お待たせしましたー」

ラインストーンが散りばめられたバレッタを手に取って眺めていると、先程の女性店員さんに声を掛けられた。
そちらに向き直ると、店員さんの後ろにブリジットがいた。
少し恥ずかしいのか、頬をほんのり染め、もじもじと俯いている。
いつもは美しいブロンドを後ろで一つに纏め、ポニーテールにしているが、今は髪を垂らしておらず、団子のように纏め上げて簪でそれを留めていた。
見慣れた髪型と違うだけで、ひどく印象が変わるものだ。
普段は年相応の女の子っぽさが感じられるのに、今はその中に艶やかさも感じる。
いつもは見ることの出来ないうなじと、そこに少しだけ垂れた髪。そこから色気を感じた。

「へえ、似合ってるじゃないか。うん、可愛いよ」
「あ、ありがとうございます」

俺からお褒めの言葉が出たことで、ようやくブリジットに笑顔が戻った。
笑顔もいいが、今の髪型ならさっきまでの物憂げな表情もすごく良いと思う。口には出さないけど。

「じゃ、このままもらっていきます」
「はい。ありがとうございましたー」

簪を付けたブリジットの手を握り、俺達は店を後にした。


ーーーーーーーーーーーー


「今日はありがとうございました。ごはんだけじゃなくて、こんなステキなものもいただいて……」
「気にしなくていいよ。俺も楽しかったから、そのお礼だと思ってくれれば」

その後、繁華街をぶらつきながら過ごした俺達は、時刻が五時になる前に駅前にやってきた。
周囲には、俺達のように帰宅しようとしている人達が集まり始めている。

「今日はすごく楽しかったです!」
「本当か? お世辞とかならいらないよ」
「ほんとうですよ〜。お兄さんの彼女さんがうらやましいです」
「はは……。残念ながら、俺には彼女なんていないけどな」
「え?」

その答えが余程意外だったのか、ブリジットはずいぶんと驚いた表情をしていた。
いや、俺の方が驚きだよ。こんなに地味な俺に、彼女なんているとでも思ってたのか?

「それ、ほんとうですか?」
「こんなことで見栄を張っても寂しいだけだからな。本当だよ」
「そうなんですか……」

改めて彼女の有無について尋問してきたブリジットは、俺の回答を聞くと何事か呟き始めた。
声が小さくて聞こえないが、「そっか……そうなんだ……」と言っているのだけは聞き取れた。
ブリジットさん、そんなに何度も言わないでもらえませんか? たしかに彼女はいませんが、繰り返されると傷付くんですよ。
そんなやり取りをしていると、ブリジットが乗る電車の時間が目前に迫っていた。

「ブリジットちゃん。そろそろ電車が来るよ」
「え? あ、すいません!」

なにやら考え事をしていたブリジットは、俺の声を聞いて慌て始めた。
すぐにでも駅構内に向かっていくと思ったのだが、俺を見上げたまま黙ってしまっている。はて、どうしたのか?

「あ、あの……。また、おひまなときに遊んでもらえますか?」
「うん? いいよ。ブリジットちゃんさえ良ければね」
「本当ですか!? ありがとうございます! それでは!!」

それだけ言うと、ブリジットは別れの言葉を慌しく告げ、走り去ってしまった。
また遊ぶのはいいんだが、ブリジットって俺の連絡先って知ってたっけ?
424 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/10(日) 21:57:15.15 ID:UPURqhJ/o
ーーーーーーーーーーーー


「ただいま〜」

時刻が六時になる前に、俺は帰宅した。本当なら午前中に帰ってくる予定だったのに、ずいぶんと遅くなってしまったものだ。
玄関には桐乃の靴もある。あいつ、帰ってからすぐにこのゲームをやろうと思ってただろうから怒ってるかも知れねえな。
靴を脱いで家に上がろうとしたところで、二階からドアを乱暴に開け放つ音が聞こえてきた。
程無くして、桐乃が俺の前に現れる。

「お、おう。ただいま」
「遅い」

うわぁ〜、怒ってるよこれ。頼まれたものはちゃんと買ってきたのに、理不尽過ぎるだろ……。

「あ、すまん。でもさ、ちゃんと買ってきたから。ほら、『星くず☆うぃっちメルル PORTABLE -THE BATTLE OF WITCHES-』初回限定版。
 店舗特典もあるからさ。勘弁してくれよ」
「あっそ。ねぇ、それとは別に、あんたに聞きたいことがあるんだけど……」
「え?」

あれ? 帰ってくるのが遅かったから怒ってるんじゃないの?
う〜ん、コレ以外にコイツが怒りそうな出来事……思い当たらねえな。いったい何だ?

「さっき加奈子から電話があってさ。『桐乃のカレシの連絡先を教えてほしい』って言われたの」
「ちょ、え? マジで?」
「マジよ。あたしビックリしちゃってさぁ、ワケを聞いたの。そしたら……」
「そ、そしたら……?」

ヤバい。これは本当にヤバい。
桐乃の後ろに明王が見えるぞ……。怒りの炎もはっきりと見える……。
自分の心臓の音がうるさい。喉もカラカラだ。はっきり言おう。俺は今、生命の危機をひしひしと感じている。

「『ブリジットが知りたがってんだ。なんでも、またいっしょに遊びに行きてーんだとよ』だって。よくわかんないから詳しく聞いたらさぁ……、
 今日、あんたとブリジットちゃんと一緒に会ったって言うじゃん。加奈子はあやせに呼び出されて、ブリジットちゃんのことをあんたにまかせたって言うし。
 あんたは帰ってくるの遅いし。ねぇ、こんな時間まで何してたの?」
「いや、あの……」
「何? 話が長くなりそうなら、あたしの部屋でみっっっっっちりと聞かせてもらうから。気を使わなくていいよ」
「お、おう……」

桐乃は口調こそ穏やかだが、その身から溢れ出る殺気の量は親父以上のように感じられた。
ああ、俺は明日の朝日を拝めないかもしれん……。



おわり
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/10(日) 22:00:35.11 ID:UPURqhJ/o
以上。

なんとか日曜中に投下できてよかった。
今回は>>386のネタを使ったけど、>>393>>397の夢を思い出せる機械をネタにしたものも、その内書こうかと思います。

ありがとうございました。
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 22:03:55.80 ID:N1H/vMvIO
乙 続きが気になるぜ
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/10(日) 23:03:03.07 ID:dOmCZY3K0
乙です
やっぱりブリジット√はいいね…
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [s]:2011/04/10(日) 23:13:14.71 ID:JhAiJ8Bl0
乙です

先生、続きを・・・みたいです・・・
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[ [sage saga]:2011/04/10(日) 23:16:39.31 ID:TgFGyPwQo
乙。リクエストに応えてくれてありがとう
ブリジットくぁいい。たまらんね
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[ [sage saga]:2011/04/10(日) 23:17:19.06 ID:TgFGyPwQo
乙。リクエストに応えてくれてありがとう
ブリジットくぁいい。たまらんね
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[ [sage saga]:2011/04/10(日) 23:20:17.16 ID:TgFGyPwQo
書き込み失敗って出たから再度書き込んだら二重投稿になってる……
連レスすまん
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/10(日) 23:35:14.63 ID:UPURqhJ/o
>>424
ちと訂正を。

×:今日、あんたとブリジットちゃんと一緒に会ったって言うじゃん。
○:今日、ブリジットちゃんと一緒にあんたに会ったって言ってた。

コレで意味が通る……はず。
失礼しました。
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/10(日) 23:35:48.61 ID:UPURqhJ/o
>>424
ちと訂正を。

×:今日、あんたとブリジットちゃんと一緒に会ったって言うじゃん。
○:今日、ブリジットちゃんと一緒にあんたに会ったって言ってた。

コレで意味が通る……はず。
失礼しました。
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/10(日) 23:36:15.61 ID:UPURqhJ/o
>>424
ちと訂正を。

×:今日、あんたとブリジットちゃんと一緒に会ったって言うじゃん。
○:今日、ブリジットちゃんと一緒にあんたに会ったって言ってた。

コレで意味が通る……はず。
失礼しました。
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/10(日) 23:37:40.84 ID:UPURqhJ/o
oh...
連投失礼
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 23:40:09.64 ID:dZRtvVODO
連投すんません。
なんか、うまく書き込めなくて
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/04/10(日) 23:43:40.90 ID:jw/e+BkTo
いろんなとこで連投見るんだがなにが起きてんだ?
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 23:51:24.00 ID:38H7UuEOo
エラー表示(実際は書き込めてる)

再投

エラー表示(実際はry

再投


ってことなら前であったことがある
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/10(日) 23:53:33.26 ID:UPURqhJ/o
なんか、書き込み失敗って出るんだけど書き込めてるんだわね。
ただ、反映が遅くて書き込み失敗したのかぁって思って連投しちゃうの。
統一地方選の影響?
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/11(月) 03:24:45.01 ID:7ExgNZ6lo
書き込み失敗でも、いつも念のためにスレをリロードしてみる俺に隙はなかった
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 05:19:07.44 ID:smn/g7iDO
桐乃はオチ担当
みんなしってるね
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/11(月) 11:38:09.86 ID:nEHp+IVs0
ふむ、甘噛みをプレイしながらメインヒロインに「この変態、変態、変態!」っと罵られている京介氏の様子を壁越しに聞いた、桐乃達はどういう行動に出るのだろうか?っと思った。
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 12:40:40.68 ID:eYlhmGUp0
なんか京介と黒猫らしきカップルが居たぞww

ttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1459796069?fr=chie_ansrcmd_sq-2
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 13:03:31.44 ID:3gf09kTSO
それを京黒に置き換えれば1本書けそうだね
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage saga]:2011/04/11(月) 20:56:56.26 ID:PwsM2k6to
僭越ながら数レスお借りして投下させていただきます

桐乃×黒猫で黒猫一人称、PSPあやせTrueの後というシチュエーションです

闇猫化が不憫だったのでなんとかしたいと書いたらこんなのになってしまいました
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage saga]:2011/04/11(月) 20:59:27.42 ID:PwsM2k6to

 それは、煉獄の炎のような熱気が立ち上る、真夏の昼下がり。
 私は、現世の宿敵である“茶髪女《ウリエル》”からの呼び出しに応じる形で、とある寂れた公園を訪れる。

「こんなところに呼び出して、一体何の用件かしら」

 分不相応にもこの私を召喚したその主は、既に公園の木陰にあるベンチに腰を下ろして待っていた。
 ただ、その姿からは、今日の陽光にも劣らぬようないつもの輝かしい気配は無く、深淵の闇のような静寂を纏っている。
 ……ふん、この様子では、此処でこの私との因縁に決着を付ける……というわけではなさそうね。

「まぁ、ちょっと……そんな賑やかな場所でするような話でもないし、さ」

 その口から発せられた言霊は、先程感じた今のこの女の気配同様に、まるで生気を感じられないものだった。
 この唯我独尊を絵に描いたような女が、こんなになる状況……。“予知”される事象は、たった一つしかない。

「……成る程ね。大体察しは付いたけれど……聞いてあげるわ。言って御覧なさい」
「うん……」

 その返答は、了承か、それとも諦めか。
 そして、鮮やかに彩られた唇が、不釣合いにも絶望という名の呪詛を唱え出す。

「……あいつ、あやせと…………付き合うことになったよ」

          ☆

「──ふん、ブラコンを拗らせた挙句がこの始末なのだから、あなたの自業自得も大概ね。いい気味だわ」

 事の顛末を聞き終わった私は、殊更に煽るような台詞を口にする。
 露聊かも慰撫の言葉をかける気などないわね。第一、この女のほうでも同情など求めていないでしょうし。

 ──“因果応報”というものかしらね。
 闇の宿命に生きる私が、人間風情の馴れ合いの真似事をしたところで、所詮この結末。
 ……フッ……この私ともあろうものが、とんだ茶番劇を演じたものね。

 やはり“こんなもの”は、私には不要で無縁だということがよく分かったわ。
 ハ、友達? 恋人? ──畢竟、俗物共の下らないお遊戯よ。
 仲良しごっこは、もうお仕舞いにするわ。……まあ、初めからこの女とは仲良くなんてなかったけれど。

「うっさい。あんただって何よ、そのやさぐれようは。この世のものは全て敵みたいな顔しちゃって、そんなにあいつのこと好きだったの?」

 そうして返された、あの女のいつもの憎まれ口。
 でも、その台詞の意外な内容に、心の奥深くが突き刺されたような感覚を覚え、一瞬、息が詰ってしまう。

「……わ、私は元々こんなものよ。大体、こっ、この私の眷属になる資格があんな男にあるとでも思っているのっ」

 ──クッ……、不意を突かれて、我ながら分かりやすい動揺を晒してしまったわ……。

 吃驚して眼を丸くする私に対し、『あたしには全部お見通し』とでも言いたげな顔を向ける茶髪女。
 この女に直接私の真意を話したことなどない筈なのに……私の取り繕うような言い訳など意に介さず、といった様子。
 ……ふ、ふん、勝手に解ったような気になっていればいいわ。全く、何処までも厭味な女ね。

「ハイハイ。でもまあそうだよね。あんな見る目の無いやつ、あたしたちには釣り合わないって。折角このアタシ、が、さ……っ」

 ……?
 厭味女の癪に触る喋りが、最後の方で妙に変調する。……上擦ったような、口篭ったような。

「……あ、たしが…………あたし……がっ……」

 その声と同期して、あの女の肩が震え出す。否、肩だけではなく、その体全体が。
 私にとって初めて聞く声色。私にとって初めて見るその姿。
 感極まってベンチから立ち上がり、私の胸に飛び込んでくる、それは──

「うっ……うぐっ……、うわぁあぁぁあぁぁんっ!!」

 ──熾天使の、慟哭。

 あのプライドの塊のような女が。弱味など他人には決して見せなかった、あの女が。

 人目も憚らず、私の胸に縋りついて号泣していた。

「…………ふん……莫迦な女ね……」

 この私としたことが何の気紛れか、胸元の女の背中に手を回し、そのライトブラウンの髪をそっと撫でる。
 ……本当に……莫迦な女。そして……ずるい女ね、あなたは。
 あなたが先に、私の胸で泣いてしまったら……。
 
「…………うっ……っくぅ……ぇっ……」

 ……私の泣き顔が、周囲から丸見えじゃない……。
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/11(月) 21:00:48.42 ID:PwsM2k6to
          ☆

「ぐすっ……、あ〜ぁ、お化粧ぐちゃぐちゃになっちゃった……」

 ──どれ程の時間が経っただろう。
 ようやく涙泉を枯渇させた私たちは、ひっそりと並んでベンチに腰を落ち着けていた。

「……ぐす……、本当、酷い顔ね。瞼が腫れて、そのマル顔が更に丸くなっているわよ」
「あんたって……ホント口が減らないよね……っ。じっ、自分だってっ、目真っ赤じゃんっ」
「ふ、ふん。こ、これは闇の眷属特有の邪眼の色よ。何処に目を付けているの」

 そのやり取りも相変わらず。
 今にしてみれば、こんな私たちの関係も、それ程悪くはなかったように思う。
 ただ、それも全ては捨て去るべき過去となるわけだけれど……。

「はぁ、それにしても周りに人がいなくて良かったぁ……こんな顔、人に見せられないって……。ケド、あんたで二人目かな、見られたの」
「……それは奇遇ね。私も……あなたで二人目になるわ」

 恐らくだけれど、あの女の言う『一人目』と、私にとっての『一人目』は、同一人物なのではないかしら。
 今以て近くには居ても、今となっては遥かに遠い存在となった、あの人。

「そっか。……あたしたちって、実は結構似たもの同士なのかも」

 自嘲するような、あの女の台詞。どうやら、あちらも同じ解釈に至ったようだった。
 ……そうね、性格も嗜好も正反対なのに、私たちは相手の考えていることが何となく理解出来てしまう。
 案外、無意識のレベルでは似通っているのかも知れないわね……。認める気など、更々ないけれど。

「ふん……冗談じゃないわ。あなたみたいなスイーツ(笑)と一緒にしないで頂戴」
「あたしだってあんたみたいな邪気眼電波と一緒にされたくないってのっ。……でもさ、何となく分かっちゃうんだよね。あんたの考えてるコト」
「フッ、戯言を言うわね? 人間風情にこの私の“深層心理《アカシックレコード》”が読み取れるとでも思っているのかしら」
「あんたさ、……このままいくと、今後あいつとの関わりを一切断つ気じゃないの? 勿論、その『関わり』の中に、このあたしを含めて」

 ────。

 ……何も言えなかった。
 言える筈もない。……正にその通りのことを、先程からずっと考えていたのだから。
 ……この女……、まさか本当に私の深層意識を見透かしているとでもいうの──

「やっぱりね。どうせそれがケジメだとか清算だとか言うんだろうケド、そんなのこのあたしが許すと思ってんの?」
「……余計なお世話よ。別に私がどうしようと、あなたにとやかく言われる筋合いは──」
「許さないって言ってんでしょッ!!」

 空気が、震えた。
 霹靂のようなその一声と共に、その双眸は私を捉え、睨みつける。
 先程とは違う理由で、何も言えなくなってしまう。……なんて、迫力……こ、怖いじゃないの……。

「筋合いとか、あんたがどう思おうが関係ない! あたしはこれ以上、もう何も手放すつもり無いから! 『二人目』まで、諦めるつもり無いから!!」

 それは、絶対に揺るがない決意を秘めた喚声。
 『一人目』は失ってしまったけれど、これ以上は決して譲らないという堅牢な意思を感じさせるに十分なものだった。
 
「……ま、全く……相も変わらず、我侭な女ね」

 気圧されつつも、精一杯平静を装って言葉を返す。
 初対面の頃を彷彿とさせるあの女の眼力には正直腰が引けるけれど、ここは臆して引き下がるわけにはいかない。

「このあたしが言い出したら聞かないってコト、あんたなら十分分かってる筈だよね」
「ええ、厭という程ね」

 確かに、あなたの傍若無人っぷりはこれまで散々思い知らされているわ。
 それでも、今回ばかりはこの私にだって意地があるのよ。

 ──どうやら、この女には現実というものをはっきりと突き付けてやる必要があるようね。

「でも、所詮女の友情なんて虚構に過ぎないわ。あなたの大事なお兄さんを寝取ったのは、あなたの親友ではなかったかしら?」
「うっ……、あ、あやせは別に、あたしを裏切ったワケじゃ……」
「結果的には同じ事よ。……あなただって、他に好きな男が出来たら、私のことなんか忘れて夢中になるのでしょう?」

 そうよ。今回のことで思い知ったわ。
 依存した分だけ、それを喪失したときに生じる空虚は、悲嘆と絶望の刃と化し、自らの心を抉り取る。
 そんな思いを味わうのは、金輪際御免蒙るわ。もう二度と……こんな気持ちになる位なら──

「……あたしはっ……、もう……他の男なんか絶対好きにならないっ」
「今はそう言えるでしょうね。でも、それが生涯変わらない保証があるのかしら。あなたに恋人が居ないとなれば、周りが放っておかないでしょう」

 ……所詮、あなたと私では生きる世界が違うのよ。
 あなたは光の当たる世界で華々しく生きていけばいい。それだけの美貌も、才能もあるのだから。
 そして私には静謐たる闇の世界こそ相応しい。そう、煩わしい俗世との関わりなど無用の、以前の孤高な私に戻るだけ……。
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/11(月) 21:02:22.57 ID:PwsM2k6to

「…………分かった。じゃあ、恋人作る」

 ややあって、少し拗ねたような、それでいてはっきりとした意思表示。
 ……この女にしてはやけに物分りがいいわね……少し意外だわ。まぁいいけれど。

「……フッ、そうなさいな。それがあなたにとって一番──」
「──あんた、あたしの恋人になってよ」

 ……。

 …………。

 ………………。



「………………はい??」



 ────い、今……、こ、この私の理解出来る言語の範疇を遥かに超えた台詞が飛び出した気がするわ……っ?
 
 きっ、聞き間違いかしら。聞き間違いよね。そうであって頂戴、お願いだから。

「あんたがあたしの恋人になれば、他の男は寄ってこない。女の『友情』じゃないから、虚構でもない。あんたはあたしから離れない。カンペキじゃん!!」

 願う間もなく、あの女は否応なく現実を再確認させてくる。
 ……あ、相変わらず容赦のない女ねっ。少しは現実逃避させてくれてもいいじゃない。
 というか、これが現実で本当にいいと思っているの? 寧ろ現実への冒涜じゃないの? 基本的な何かが全力で間違っている気がするわよっ?

「あ、あああ、あなた、突然訳の分からないことを言い出さないで頂戴っ。な、何がカンペキよ、エロゲーのやり過ぎで脳が腐って発酵しているんじゃないのっ」

 冷たい汗が額を伝う。
 それもその筈、私を捉えるその蒼碧の瞳は、間違いなく本気の意思を訴えているのだ。
 クッ……、無意識で相手の気持ちを読み取ってしまうというのも、こんな時には恨めしいものね……。今一瞬、軽く自己嫌悪に陥ったわ。

「なによ、ヤなの?」
「厭とかそういう以前の問題よっ。お、女同士で恋人とかなれるわけないでしょうっ」

 確かに、現実を突き付けるとは言ったわ。
 でも、これは現実というより一般常識とかモラルの類よね? 何故こんなことを力説しないといけない状況になっているのよ……っ。

「え〜、だってあんた、同人で百合とか描いてるじゃん? あ、恋人じゃなくて性奴隷のほうがいいんだっけ?」
「せっ……、に、二次元と三次元を一緒にしないで頂戴っ。──って、あなたが何時も言ってる事でしょう……っ」
「一緒になんかしてないって。あたしは、ちゃんと三次元のあんたが好きだから」
「す……っ」

 こ、こここ、告白されたっ?
 生まれて初めて受けた告白が、まさか同性からのものだなんて……っ。

 い、いえ。ち、ちょっと待って。落ち着きなさい? 確かあなた、さっきまで兄への想いで傷心していた筈よね?
 どういう思考回路を以ってすれば、こんな明後日の方向に話を飛躍出来るのよ……。

「あー、とりあえず生々しい意味じゃなくてね。一番目はあやせに譲っちゃったから、あたしの中で二番目のあんたが繰り上げ当選、みたいな?」
「……ま、全く意味が分からないわ……」

 何が「みたいな?」よ。好き嫌いは選挙じゃないのよっ。
 ついさっきまで、考えていることを何となく理解出来る、なんて思っていたけれど、とんだ大間違いだったようね。
 流石にこの芳醇エロゲ脳は人智を超えているわ。誰か一刻も早くここに病院を建てて頂戴……っ。
449 : ◆DZdqTtYy1o [sage]:2011/04/11(月) 21:03:33.63 ID:XBZBnPEc0
>>442

今日はあやせが我が家に遊びに来て、今、桐乃の部屋にいる。
そのこと自体は珍しくないが、違うのは黒猫もいることだ。
あやせと黒猫。想像するだけで背筋が寒くなる組み合わせだ。
もっとも今日は沙織もいるから、そうそう変なことにならないだろう。
だからこそ、俺はアマガミを絶賛プレイ中なんだな。


『この変態、変態、変態!』


この台詞。パソコンで聞いてもグッと来るね。

バタン ドタドタドタドタ

何だ? 騒がしいな。
バン!

ノックなしに開かれた俺の部屋のドアの方を見ると桐乃、黒猫、あやせの三人。
そして俺に詰め寄ってこう言った。

「「「あの時、録音していたなんて、最低ッ―――!!!」」」

ハモった三人の怒鳴り声に、当の三人が互いに顔を見合わせる。
ドアの方を見ると部屋を覗き込んでいた沙織が何かを思い立ったのか、
ふらつきながら俺の前に来て眼鏡を外してこう言った。

「京介さん。あの時、録音していたなんて信じられませんわ!」
「「「なっ!!!」」」

また三人がハモった。
沙織は呆然とする俺と三人を部屋に残して出て行った。
出て行くときに沙織の口元がω←こんなふうになっていたのは
気のせいじゃあるまい。

う〜ん、これは修羅場ってヤツかな?
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage saga]:2011/04/11(月) 21:04:06.28 ID:PwsM2k6to

「……あんたは、あたしのこと嫌いなの? ホントのとこ、答えて」

 急に、先程までとは打って変わって、思いつめたような口調で訊ねてくる。
 その表情は、雨の日の捨て犬のような、不安と哀愁が入り混じったような顔で──。

 ……そ、そんな顔をしないで頂戴。私が悪いことをしているような気がしてくるじゃないの……。

「そ、それは……嫌い……という程ではないけれど……」
「じゃあ好き? 何番目くらいに? 一番はあいつとして──、あ、妹ちゃんとかはナシで」

 一番を確定されているところが気になるけれど、とりあえず置いておくとして。
 ここはやっぱり真剣に答えるべきところよね……。

 妹たちを除外して、私の親しい関係にある人を挙げるとすれば。
 目の前のこの女と、沙織と、赤城さんと──。

 ──それしか思いつかないわよ、悪かったわね、呪うわよ?

 とりあえず、その中で私に一番影響を及ぼしている人物と考えると……。

「……そ、それなら……、あ、あなたが、二番目くらい……」
「なーんだ。それじゃあたしたち両想いじゃん」
「え……そ、そうなるのかしら……?」

 そうはっきり言われると、何となくそんな気もしてくる。
 確かに、あなたも私の中では大切な存在であることは間違いないし……。
 あなたにとっても私がそういう存在なら、それは両想いということになる、のかしら……?

「というわけで何も問題なし! 今日からあんたとあたしは恋人同士!」
「ちょ、ちょっと待っ……」

 頭がぐらぐらして、うまく思考が定まらない。
 「問題なし!」と断言されると、疑問を抱く私のほうが間違っている気がするし……、でもやっぱり何か問題あるような気も……。
 というか、お願いだから少し冷静に考える時間を頂戴……っ。

「ナニよ、まだなんか文句あんの?」
「……な、何かおかしい気がするのだけれど……」
「キノセイじゃないの? あ、もしかして『恋人』よりアタシの『妹』になりたい!っていうなら特別にそっちでも──」
「こっ、恋人でいいわっ!」
「ハイ決定! 恋人契約成立っと!」

 ────し、しまった……っ。

 ……この女の『妹』になどなったら、どれ程の変態行為が我が身に及ぶことか……想像しただけで背筋が凍りつく。
 それならいっそ『恋人』という、幾らか対等な関係のほうがまだしも救われる──。
 どちらかと言えば“まし”な方を選んだだけなのに、何故か告白を承諾した形になっているわよっ?

「そういうワケで、これからよろしくねっ、瑠璃っ!」
「るっ……」
「恋人同士はやっぱ、下の名前で呼び合うもんでしょ。あんたも、これからはあたしのことちゃんと名前で呼ぶこと! はい練習っ!」
「えっ……き、き……きり……? ──……桐……乃……?」
「よし!」

 満面の笑みに八重歯を覗かせて、親指を立てた右手を私の目前に突き出す。
 状況をまだ整理出来ていない私を余所に、勢いよくベンチから立ち上がり、お尻の埃をパンパンと払って。

「 は〜、何かいっぱい喋ったらノド乾いたよね〜。お化粧も直したいし、どっかでお茶にしよっ! ほらっ、瑠璃も立って!」

 そう言って、私に手を差し伸べる。
 
 その顔は、私が羨望してやまない、陽光すら眩まんばかりの目映い笑顔で。
 こんな笑顔を傍で見ていられるなら、こんな関係も悪くはない……のかしらね──などと、不覚にも思ってしまった。


 そうしてこの日──私と桐乃は、恋人になった。


 -END-(if・闇猫更生?編)
451 : ◆DZdqTtYy1o [sage]:2011/04/11(月) 21:06:40.76 ID:XBZBnPEc0
ごめんなさい。
更新せずに割り込んでしまいました。
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/11(月) 21:08:40.17 ID:PwsM2k6to
以上です。

もたもたしてたらレス被ってしまいました。申し訳ありません
あとこういう展開が苦手な方がいましたらゴメンナサイ
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagee]:2011/04/11(月) 21:23:39.85 ID:Ts4LU5XQ0
うーむ、やはりきりりん氏にはそっちの気が…。

>>451
ドンマイ。
自分でネタふっといてなんだけど、わざわざ甘噛み買わなくてもあやせたんにセクハラすれば毎日言ってもらえるんだったな。
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/11(月) 21:50:35.18 ID:WeGvFvt1o
>>452



だ・か・ら……投下するときは、テンプレにもあるけど
はっきりと投下時刻を宣言した方がいいと思うよw

じゃないと、割り込まれた方も割り込んじゃった方も気まずいでしょうが。
それに、読ませてもらっている方も気まずいし……。

>>451



まだ続くんだよね? 終わりじゃないよね?
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/12(火) 02:26:44.63 ID:rCiSbgRp0
>>452乙っした


沙織も仲間に入れてあげて……
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/12(火) 04:40:10.08 ID:0e/7LKyDO
黒猫桐乃あやせの三つ巴争奪がいいな
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/12(火) 11:06:29.49 ID:B+yXXqp1o
>>456
なんで自然に沙織をディスってるのかわからない
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/12(火) 14:38:55.34 ID:SC62Qzp2o
>>259
乙でした。私的には某アリスゲームの様相に酷似して見えましたね。
……ここまで原作の内容を下敷きにしないで“突き抜けた”設定だと、麻奈実の黒さも案外気にならないものでした。
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/12(火) 14:47:08.38 ID:t/Zw6Z0fo
>>267
乙でした。
荷物広げてよくエロゲが見つからなかったもんだな……。
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/12(火) 16:37:34.15 ID:oMi2TtSAo
>>450
乙でした。
ががが、なんか桐乃が変な感じに壊れてますね。あれで正常稼働だと言われても、それはそれで怖いですが。
逆に黒猫の反応(主に混乱っぷり)は私のもつイメージとさほど乖離していないのですが、そこまでなし崩しで流されるかなぁ?

黒猫派としては、俺の妹Pのあやせルートでの黒猫の行動は、京介を思いやった結果がことごとく裏目に出すぎていて、あま
つさえ、桐乃自身は『vsあやせ』時に京介から告白(求婚?)めいたことをされているのに比べ、黒猫には何にもフォローがな
かったですからね……。(シナリオの流れ的に仕方がなかったのでしょうけども)

もう少しまともな救済が欲しかったですね……。や、部長とか他の男とかは勘弁ですが。
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/12(火) 18:36:28.74 ID:y+X05kxm0
乙です
失恋した者同士が付き合うってのはよくあるけど、これは予想外でしたな
462 : ◆DZdqTtYy1o [sage]:2011/04/13(水) 00:29:24.77 ID:mOh69UTF0
>>449の続きです


「あんた、あたしにあんなことしたのに飽きたらず、あやせや黒いのにも!」

三人のうち、桐乃が先制口撃を仕掛けてきた。

「貴女、このシスコンに一体何をされたというの?」
「あたしの部屋で二人きりでゲームをしていたときに、耳の裏を舐めてきたの!
 信じらんない! この変態、変態、変態!」

黒猫が涼しげな表情になり、

「フッ。このスイーツ(笑)女が。
 そんなの私がされたことに比べればお遊戯みたいなものよ」
「何をされたってのよ?」
「先輩の部屋で二人きりになったときに、スカートを捲られて
 膝の裏を舐められたのよ」
「「この変態、変態、変態!」」

桐乃と黒猫の二人がハモった。

「あやせ? あやせは一体何をされたの?」
「わたしは‥‥‥」
「勇気を出して言いなさい。それがこの淫獣を葬るためには必要なことよ」
「リビングで二人きりになったときに(ピー)して、(ピ―――)されたの!」
「「「ひぃぃぃぃぃ!! この変態、変態、変態!」」」

桐乃、黒猫、そしてあやせの三人がハモった。
ははは。俺オワタ\(^o^)/
463 : ◆DZdqTtYy1o [sage]:2011/04/13(水) 00:29:57.38 ID:mOh69UTF0
「あ! 沙織にも何かしたんでしょ!?」
「さっき見ただろ? 沙織のヤツ、部屋を出て行くときにω←こんなふうな
 口になっていたぞ」
「そう言えばそうね。沙織はこういう時に悪戯心が芽生えるようだし、
 あまり鵜呑みにするのは危険ね」

さすが黒猫。沙織のパターンを把握している。

「取り敢えず、この変態に“罰”を与えるのは、妹であるあたしの役目だから」

桐乃が俺の腕を引っ張って寄せる。

「兄妹で“罰”を与えるなんてできるのかしら?」
「できるに決まってんじゃん!」
「信用できないわね。ここは先輩後輩の軛に従って、私が“罰”を与えるわ」

今度は黒猫が俺の腕を引き寄せる。

「ちょ、なにすんのよ?」
「邪魔をしないで頂戴」
「お二人とも、実際にお兄さんに“罰”を与えたことがあるのかしら?」

あやせが腕を組み、仁王立ちで割って入る。

「わたしなら、お兄さんに“罰”を与えたことがあります。
 ですから、ここは私がお兄さんに“罰”を与えることにします」

そしてあやせが俺の腕を引き寄せた。

「何をするの! このスイーツ(笑)2号が!」
「あやせ、何するのよ?」

うわあ、俺の妹と後輩と妹の親友が修羅場すぎる。
464 : ◆DZdqTtYy1o [sage]:2011/04/13(水) 00:31:07.45 ID:mOh69UTF0
「何か、莫迦らしくないかしら? この淫獣のために啀み合うなんて」
「そう言えばそうカモ」
「そうですね」

おお、悪くない流れだ。このまま、しれっと流れてしまえ!

ピロロロ

桐乃の携帯にメールだ。

「あんた、コレ‥‥‥」

桐乃のiPhoneを見ると、俺が我が家の玄関で沙織を(バキューン)している
イラストが映っていた。

「と、とんでもない淫獣ね」
「通報、いや、消去すべきですね!」
「いや、それイラストだろ? 沙織の悪戯じゃないのか?」

TRRRRRR

俺の携帯が鳴り出した。
ピッ

『京介氏? 拙者、沙織でござる』
「お前、あのイラスト!」
『友人の同人誌作家さんに描いてもらったものでござる。いかがですかな?』
「このタイミングで送るなよ!」
『ははん。やっぱり修羅場の最中でござったか』
「どういうつもりだ!?」
『どういう‥‥?』
465 : ◆DZdqTtYy1o [sage]:2011/04/13(水) 00:31:39.93 ID:mOh69UTF0
沙織のトーンが変わった。

『京介さんが私にあのような破廉恥を働いたことへの“罰”です』
「お前‥‥!」
『それでは京介氏、ご武運を!』

ツー ツー ツー ツー ピッ

「ははは、沙織のヤツ」


ふと三人を見ると何やら話し込んでいる。

「あのイラストを見たら、やっぱりムカついてきた! “罰”よ!」
「そうね。やっぱり“罰”を与えるべきでしょう」
「わたし、特殊な“罰”の与え方を知っています」

さて、光彩を失った6つの瞳に囲まれた俺に、いかなる“罰”が与えられるのか。


おわり  のはじまり
466 : ◆DZdqTtYy1o [sage]:2011/04/13(水) 00:33:16.41 ID:mOh69UTF0
本当は>>449だけでおしまいのつもりでした。
尻切れっぽかったので、追加しましたが、
京介極悪っぽくなってしまいました。
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/13(水) 00:49:01.92 ID:oOGU2YHro
アマガミ知らないと訳がわからない類の物なのかな?
私には意味がわからなかったけど、とりあえず乙って言っておくよ。
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/13(水) 00:55:24.53 ID:qWDLhJNpo
アマガミは知ってるけど、わけはわからなかったよ
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 01:05:11.74 ID:M69BqZeTo
乙ですが
先日盛大に被らせた前科もあるし
投下前に宣言する癖をつけましょう
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/13(水) 03:07:23.45 ID:TazCwSTAO
乙なんです
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/13(水) 04:09:19.21 ID:HQKeVlmn0
JRAが競走馬に対する鞭の使用回数を大幅に制限する模様。
これにならい、デフォの決め(捨て?)セリフを制限するとして引っかかるのは
桐乃「うっさい!」「[ピーーー]!このシスコン!」
黒猫「全くどうしようもない雄ね。」
あやせ「キモ、死んでください。」「通報しますよ!」
ぐらいか。意外と沙織はこういうセリフ吐かないんだな。

一瞬京介氏に対する鞭の使用制限も浮かんだが…
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 22:37:05.17 ID:uGeSCf3SO
wikiの更新止まってるけどなんかあったのかな
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/14(木) 02:51:54.74 ID:GzaS8o9oo
いつもの人と違う人が、wikiを更新したみたいだね。
乙です。

眠れないついでにギャグものの超短編を一つ。
以下、投下。
474 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/14(木) 02:52:34.38 ID:GzaS8o9oo
仮面ライダーシスドー・高坂京介は改造人間である。
彼を改造したのは、どこの誰なのか一切謎である。
仮面ライダーシスドーは、妹・桐乃のために妹の障害と今日も東奔西走、右往左往する。
だが、あえて言おう。彼は妹が大っ嫌いである!

第一話 「極道顔! 親父怪人の恐怖!」


桐乃「お父さんにオタク趣味を否定されました」

京介「俺に任せろ!」




親父「桐乃の趣味は認められん」

シスドー「出たな、親父怪人! これでも食らえ! 必殺・妹の戦果!!」バサバサバサッ

親父「この成績表や賞状の山がどうした?」

シスドー「桐乃はこれだけの努力をし、なおかつモデル活動もしている。オタク趣味ぐらい、何故認められないのだ!」

親父「一理ある。だが、R-18は認められん。桐乃は未成年だぞ」

シスドー「それなら問題ない。あれは俺の私物だからな! ハハハハハッ!!」

親父「馬鹿者がァァァァァァァッ!!!!」ブォン

シスドー「げふぅ!!」ゴッ

親父「馬鹿息子が! 俺はもう知らん! 勝手にしろ!」

シスドー「……その言葉……確かに……聞き届け……た……」ガクッ



こうして、妹の趣味は守られた。
戦え、仮面ライダーシスドー! 妹が兄離れをするその日まで!



おわれ
475 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/14(木) 02:53:49.82 ID:GzaS8o9oo
以上。

夜中のバカ頭で考えたから、クオリティが低いのは勘弁してね。
ありがとうございました。
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/14(木) 02:54:58.20 ID:cK5H6AIco
テンポいいなww乙ww
477 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/14(木) 02:55:23.18 ID:GzaS8o9oo
>>474
ちと訂正。

×:仮面ライダーシスドーは、妹・桐乃のために妹の障害と今日も東奔西走、右往左往する。
○:仮面ライダーシスドーは、妹・桐乃のために今日も東奔西走、右往左往する。
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 05:34:33.09 ID:OxkEh8MX0
クソワロタww
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/14(木) 05:56:18.58 ID:rAO0C1aoo
てててててってててててっ 迫る〜ショッカ〜

のイントロがしっかり再生された。乙
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 07:41:33.67 ID:UduO2Y6SO
乙です
あやせとリアも怪人候補だなww
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 11:15:45.41 ID:OxkEh8MX0
妹が兄離れするまでって…。桐乃の様子じゃ無理じゃね?
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/14(木) 11:21:08.69 ID:iVkXuWDAO
じゃあ離れなきゃいいだろ
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/14(木) 15:34:13.55 ID:ypqSkS2E0
シスドー2号は赤城かw
484 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/14(木) 19:10:34.59 ID:GzaS8o9oo
調子に乗って替え歌にしてみた。

レッツゴー!!シスドーdays(元曲:レッツゴー!!ライダーキック)

迫る困難 地獄の瞬間
桐乃が起こす 酷いへま
兄貴の平和を おびやかす
ゴーゴー・レッツゴー 溢れる涙
シスドー「説教!」
シスドー「(土)下座!」
仮面ライダー 仮面ライダー
シスドー シスドー
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/14(木) 19:14:06.15 ID:ypqSkS2E0
>>484
そこは中の人的にライダーではなく、ファイターですよ。

呪博士役はビリー・カタギリか
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/14(木) 21:21:41.37 ID:Z+iuMl150
乙です
こういうクスッとくる小ネタもいいなぁ
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/14(木) 23:31:24.29 ID:rAO0C1aoo
> 桐乃が起こす 酷いへま

俺にもこんなセンスが欲しい
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 22:36:36.07 ID:8CH7yOIDO
みんな、鬼平を見るのに忙しいんですね。わかります。
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/15(金) 23:37:23.12 ID:tnx7oL+r0
>>484
バジーナ大佐
闇猫大使
腐女子博士
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 23:43:02.12 ID:8CH7yOIDO
>>489
瀬菜ちゃんはイカデビルに変身しちゃうのか……。
何気に合ってるなww
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/16(土) 03:16:13.76 ID:gB+8Qkl6o
イカデビルwww懐かしすぎわろすwww
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/16(土) 08:36:11.85 ID:1KIFRrMDO
瀬菜「イカ(臭い)でBL(ビー『エ』ル)、イカデビル〜!」
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/16(土) 17:21:54.31 ID:Vs+4c53Vo
>>492
ビールだけでなくエールも掛けるとは……。
やはり天才か。
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/16(土) 23:33:36.14 ID:vGSyoa3Q0
首領(ドン)キリリン
ワナビ戦闘員
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/16(土) 23:36:14.33 ID:HXF9Y6mDO
次のSSまだかな〜?と言ってみる
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/16(土) 23:55:22.96 ID:dQykAvPI0
大学生って思ったより暇なんだな
京介は暇なんてしないだろうが

誰か書いてくれないかな〜(チラッ
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/17(日) 00:24:27.00 ID:m6DGVUgJo
何か書きたい気もするけれどスパロボに忙しい…
誰か書いてくれないかな〜(チラッ
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/04/17(日) 00:48:47.50 ID:woIK7K4Q0
あえて言おう。皆スパロボで私を使いこなすのに忙しいのだと(キリッ 

と乙女座の変態上級大尉がおっしゃっておられます
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 00:51:25.16 ID:5J4cBG5SO
まあGWくらいになったらまた増えてくれるさ
その後は8巻も発売されるし
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/17(日) 00:56:57.87 ID:pVsyXH1Eo
スパロボしてねえ……。
誰か書いてくれないかな〜(チラッ
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 01:45:10.67 ID:EQDLWnpAO
チラ見連発フイタ

よほど「なにがなんでも書くぜ」ってモチベがない限り、無闇にリクを募るわけにもいかないしね
仮にそうした場合、いつものブリの人の早さは如何ばかりかと気にはなるけどww
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/17(日) 02:09:16.28 ID:75UOalBS0
>>498悲しい…。悲しい話をしよう……。

お前のsageはなんかおかしい
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/17(日) 02:54:00.49 ID:pVsyXH1Eo
つなぎがてら、短編を投下するぜ。
以下、投下。
504 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/17(日) 02:55:00.64 ID:pVsyXH1Eo
『大改造!!劇的ビフォーアフター。
 今回の依頼者は、千葉県にお住まいの女子中学生・高坂桐乃さん
 彼女は、誰にも打ち明けられない、ある悩みをお持ちなのです』

桐乃「実はあたし……オタク趣味があるんです」

『読者モデルとしても活躍する桐乃さんの意外な趣味には、スタッフも驚かされました』

桐乃「女子中学生って、日本で一番オタクを嫌っている人種じゃないですか。おまけに、ウチの両親はそういうのに偏見を持ってまして……。
   正直、打ち明けられないことは苦しいです」

『そんな桐乃さん、ついに事件を起こしてしまいます』

桐乃「今思うと、本当にバカだったなと思います。特典を貰うために、バッグの中にアニメDVDのケースを入れておくなんて……。
   それに、中身が18禁もののゲームだったので。警察官である父にそれを見られたときは、全身の血の気が引いていく感覚を味わいました……」

『お父様に趣味がバレてしまった桐乃さん。お父様は、彼女の宝物であるオタクグッズを全て捨てようとしました。
 そこで、一人の匠が立ち上がりました』

『高坂京介。桐乃さんの実のお兄さんです。彼はこの状況を、どうやって打破するのでしょうか?』



――高坂家 リビング――

京介「桐乃の趣味を……認めてやって欲しい」

親父「悪影響しか及ぼさない、くだらん趣味をか? それは出来ん相談だ」

京介「悪影響しかない、くだらん趣味って言ったな……?」


『ここで匠は、持参したバッグの中身を取り出しました。それは……』


京介「じゃあ……見ろよ、このとんでもねえ成績を。県でも五指に入ってるんだってな。それも今回に限った話じゃねーんだろ?
   あいつの成績がずっとどうだったのかなんて、親父が一番、よく知ってるはずだよな」


『桐乃さんのこれまでの努力の証です。実は彼女、校外ではモデル活動をしながら、学業も優秀、所属している陸上部では輝かしい成績を残しているのです』


親父「それがどうした。だからこそ、あのような軽薄な格好を許している。モデル活動とやらを認めてもいる」

京介「どうしたじゃねえ! ケツの穴が小せえってんだよ! あんだけ頭良くて、運動もできて、こんだけ色々才能あって、たいしたヤツじゃねえか!
   一つっくれー変テコな趣味があったからって、それがなんだよ! いいじやねーかそんくらいさあ! 多めに見てやれよ!
   たった一つ、気にくわないトコがあったくれーのことで、こっぴどく説教して、泣かせて、大事にしてたもんを捨てるって――そりゃあねえだろう!?」

親父「それがしつけというものだ」


『しかし、お父様は動じません。そこで匠は、一冊の薄い本を取り出しました』


京介「こいつは親父の、宝物なんだってな」

親父「……!?」


『それは、お父様が集めた、桐乃さんのグラビアを集めたスクラップブック。さすがのお父様も、これには動揺を隠せません』


京介「感心しねえとか口ではいいながら、アイツの仕事ぶりを、こうして宝物みてーに取っておいたりして……。嬉しかったんだろ?」

親父「……そうだな。憚る必要のない仕事だと思った。あの格好は、いまもどうかと思うがな」

京介「じゃあ、これはどうだ」


『ここで匠は、切り札を取り出しました。それは、お父様も見たことがない、とある写真』
505 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/17(日) 02:55:27.45 ID:pVsyXH1Eo
京介「桐乃がオタク趣味を通じて得た友達だ。これは、憚らなきゃならないようなもんか?」

親父「……」


『桐乃さんが本音をぶつけ合える友達と撮った写真です。そこには、とても微笑ましい光景が収められていました』


京介「学校での成績も、モデルとしての実績も、この友達も、全部桐乃が得たものだ。全部があって『高坂桐乃』なんだ!
   これを見て、まだアイツの趣味を認めねえってほざくんなら……! 桐乃の代わりに俺が親父をぶっ飛ばすぜ!?
   なんも知らねぇくせに、テキトー言ってんじゃねえよ!」

親父「……おまえの話は分かった」


『さすがのお父様も、これには参ったようです』


親父「くだらんと言ったのは、ひとまず取り消してやる。確かに俺は、何も知らん。偏見でものを言ったことは、認める。
   いいだろう。おまえに免じて桐乃の趣味を許してやってもいい。……ただし一部だけだ」


『しかし、これで全てが解決したわけではありません』


親父「あのケースに入っていたような、いかがわしい代物は許すわけにはいかん。18禁という表記の意味を考えろ」


『そう。桐乃さんは、18禁ものの妹ゲーをこよなく愛しているのです。お父様も、この趣味を認めるわけにはいきませんでした。さて、匠が取った行動は……』


京介「……あれは、俺の持ち物だ。桐乃にパソコン借りてやってたんだ!」

親父「……ほ、ほほう。……お、おま、おまえは妹の部屋で、妹のパソコンを使って、妹にいかがわしいことをするゲームをやっていたというんだな?」


『匠の突然の告白に、お父様は阿修羅の如くお怒りです』


京介「超面白かったぜ! 俺はなあ、アニメも、エロゲーも、超・大・好き・だぁ――――――っ! 愛していると言ってもいいね! こいつを捨てられたら、
   俺は俺じゃなくなっちまうんだよ! エロゲーは俺の魂なんだよ……っ!」


『匠の絶叫が、高坂家のリビングに木霊します。この無理しかない言い訳を、お父様はどう受け取るのでしょうか?』


親父「こ、この……この……バカ息子が!! 勝手にしろ!! 俺はもう知らん!!」


『なんということでしょう。匠に鉄拳を制裁し、怒りの言葉を吐き捨てていきました。それだけしかしなかったのです』




『こうして、匠の奇策により、桐乃さんの趣味は守られました。何一つ失うことなく』


桐乃「どうなることかと思いましたが、こうしてあたしの趣味は守られました。匠には感謝しています」



『大改造!!劇的ビフォーアフター。次回もお楽しみに』



つづかない
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/17(日) 02:56:12.49 ID:pVsyXH1Eo
以上。
「なんということでしょう」というフレーズを使いたかっただけです。
ありがとうございました。
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/17(日) 06:24:11.05 ID:/4hG4Y1AO
乙だけど改造はしてないよね
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/17(日) 06:59:04.63 ID:Nl72tTzAO
むしろ兄貴が改造されてるよね
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/17(日) 10:59:19.92 ID:woIK7K4Q0
>>506
乙。sagee恥をかいた甲斐があったというものだ
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/04/17(日) 13:46:21.12 ID:e+TBAYNr0
>>502それ違うグラハムさんやwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
511 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:28:32.31 ID:tbBN9wvGo
初めてブリジットを書いてみたけど、やっぱブリジットって難しいわ。
途中から、何を書いているのか怪しくなってくるし……。
ブリジット派の人がいたら、中途半端なSSですんませんでしたっ。
実はオイラ、黒猫派だったんだ……ほとんど書いてないけど。

題名『リトルプリンセス』

投下:午後8時40分から 投下します(17レス)
512 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:40:13.46 ID:tbBN9wvGo

春休み最後の日曜日、俺はめずらしく早起きして出掛ける支度をしていた。
人と会う約束をしていたからなんだが、そう言ってしまえば元も子もねえか。
俺が今日会う約束をした相手というのが、ブリジット・エヴァンス、なんと十歳。
いくら俺に彼女がいないからって、そこまで守備範囲を広げたわけじゃねーよ。
ブリジットが先日、俺に相談事があるといって電話を寄越してきたのが発端だった。

『……あの、マネージャーさんに折り入ってご相談したいことがあるんですが、
 今度の日曜日にでも会っていただけますか?』

ブリジットとは、俺が加奈子の臨時マネージャーを務めたときからの知り合いだった。
あのときは、桐乃が欲しがっていたフィギュアを手に入れるためにあやせと協力して……。
いや、そうじゃねえ、あやせの策略にまんまと嵌められたんだっけか。
その後、加奈子とブリジットがあやせと同じモデル事務所に入ってからも、
加奈子があやせの言い付けを守り、ちゃんと禁煙しているのか確認するためと称して
あやせに頼まれ臨時マネージャーを引き受けたこともあった。

そんな経緯から俺はブリジットと知り合い、台本の読み合わせや飲物の買い出しなんかを通じ、
彼女とは何かと親しくする機会があった。
と言うわけで、そのブリジットからの相談ともなれば、無下に断るわけにもいかない。
なにも、ブリジットに会うのがいやだってわけじゃない。
美少女小学生から相談事を持ち掛けられるなんて、そうあるもんじゃないしな。
ただ、今回に限っては、会う前から何かいやな予感がして……。

『それで、待ち合わせの場所なんですが……』

ブリジットが電話で指定した場所というのが、近所の中学校近くの児童公園だった。
そのとき既に、俺の脳は反射的に警告を発していた。
なぜ地元でもないブリジットが、あの公園を知っているんだってな。
咄嗟に俺は、秋葉原で待ち合わせないかと逆にブリジットに提案した。
秋葉原と聞いてブリジットは少し慌てた様子だったが、仕舞いには俺の提案を了承してくれた。
そして今日、その日を迎えたわけだ。
513 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:41:04.32 ID:tbBN9wvGo

俺が秋葉原の駅に着くと、ブリジットは既に改札口で待っていた。
しかし、今日は秋葉原に来るときにいつも利用している電気街口ではなく、
三ヶ所ある改札口の一つ、昭和通り口で待っていた。
こちらはラジオ会館や秋葉原UDXとはちょうど反対方向になる。
今じゃ秋葉原では超有名になっちまったブリジットを、
俺があまり衆目に晒したくなかったっていうのが理由なんだけどな。

「よお、待たせちまったかな」
「あっ、マネージャーさん、おはようございます」

ブリジットが丁寧に頭を下げて挨拶をすると、周囲の視線が俺に集まるのが分かる。
ブロンドヘアの幼い美少女が俺みたいなのに挨拶すりゃ、当然かも知れんけどな。
それにしても、改めて間近で見ると、ブリジットってやっぱ可愛いや。
細くて柔らかそうなストレートのブロンドの髪の毛といい、
年齢の割には出る所は出ているのに、それでいて顔はまだ幼いなんてな。
俺の中で、何かが目覚めそうだよ。

それにしても、俺に向けられた周囲の視線の痛いことといったら……。
俺がブリジットの肩に手でも掛けようもんなら、速攻で通報するヤツが現れるかも知れん。
ここは慎重を期して、一定の距離を保つのが賢明かも。
俺は見知った顔がいないか、周囲を良く確認してからブリジットを喫茶店に誘った。

「ブリジットちゃんは、朝飯は食って来たのか? 実は俺、まだ何にも食って無くてさぁ」
「えっ、あっ、わたしも今日はまだ何も……」
「よしっ、じゃあ決まりだな。今日は俺が奢るから遠慮なんかしねえでくれ、な」
「……あ、ありがとうございます、マネージャーさん」

ブリジットは俺の言葉に頬を赤らめ、丁寧にお辞儀をした。
アルファ・オメガのコスプレをしているときのブリジットも可愛いとは思ったけど、
私服のときのブリジットには、それにも増して清楚さと気品を兼ね備えた可愛さがある。
彼女が超短いスカートでお辞儀をすると、周囲の男共が一斉に振り返った。

「なっ、ブリジットちゃん、早いとこ行こうぜ」
514 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:41:44.22 ID:tbBN9wvGo

男ってのは、どうして可愛い女の子のミニスカートにこうも素直に反応するのかね。
いくら可愛いからって、ブリジットってまだ十歳じゃねえか。
俺はロリコンじゃねえから、そういった連中の気持ちなんか分からんけどな。

気が付いたら俺は、ブリジットの手をしっかりと握って歩き始めていた。
まあ、そうは言っても加奈子より身長は高いし、それに胸だってそれなりに……

「あ、あの、マネージャーさん……」
「あっ、すまねえ。……歩くの、ちっとばかし早かったよな」

危うくあっちの世界に足を踏み入れるところだったよ。
俺はブリジットに合わせて少し歩調を緩めたが、繋いだ手はそのままにして置いた。
急に手を離すのも何か悪い気がしたし、それに喫茶店だってすぐ近くだもんな。

秋葉原で喫茶店に入るときには、十分に気を付けなくちゃいけねえ。
喫茶店の扉を開けた途端にメイドさんがお出迎え、じゃあ洒落にもならねえよ。
俺は以前に一度だけ立ち寄ったことのある、ごく当たり前の喫茶店にブリジットを案内した。
モーニングセットを二人分注文してから、俺は早速ブリジットに言った。

「ところでさぁ、俺はもう、おまえらのマネージャーでもねえし……だろ。
 だから、そのマネージャーさんって呼び方はどうにかなんねえかなぁ」

俺にそう言われて、ブリジットは少し困った表情を浮かべた。
だけど、いつまでもマネージャーって呼ばれるのは、俺にも違和感があるんだよ。
ブリジットは下を向いたり上を向いたりとしばらく思案した挙句、

「あの、それじゃあ……お兄さん?」
「ちょっと待ってくれ。……その呼び方だけは勘弁してくれ。
 “お兄さん”って呼ばれると、なんでか知らんけど背筋が寒くなってくるんだ。
 ……まあ、仕方ねえか。やっぱ、今まで通り“マネージャー”でもいいや」
515 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:42:40.06 ID:tbBN9wvGo

俺のことを“お兄さん”と呼ぶヤツは、俺の知る限り一人しかいない。
桐乃の裏の親友で、俺の友達でもある黒猫が俺をからかって呼ぶ時は“兄さん”だし、
本来そう呼ぶべき実妹の桐乃に至っては、俺のことなんか“あんた”だもんな。
それでも、何度かは“兄貴”って呼んでくれたこともあるけど……

「あの、マネージャーさん、この近くに公園はありませんか?」

桐乃がかつて俺のことを“兄貴”と呼んでくれた日のことを想い出していたら、
俺はブリジットが目の前にいることも忘れて、しばらくの間、感傷に浸っちまった。
あいつも、小さい頃は素直でいいヤツだったのになってな。
今頃あいつは俺のことなんかすっかりと忘れて、アメリカの空の下で頑張っているんだろうよ。
目の前のブリジットと桐乃が重なって見える気がして、俺は慌ててかぶりを振った。

「公園に何か用でもあんのか? 
 ……喫茶店にいるのに、わざわざ公園のトイレってわけでもねえもんな。
 そういや、電話でも公園で待ち合わせしたいって言ってたけど」
「マネージャーさんにご相談したいことが、少し広い場所じゃないと……」
「まあ、ブリジットちゃんがそこまで言うなら……」

モーニングセットのコーヒーを啜りながら、俺は秋葉原の地図を頭の中に広げた。
しかし、何度も来たことのある場所とはいえ、電器屋かゲーム屋、それ以外にはブリジットと
加奈子も出演したコスプレ大会が開かれた、秋葉原UDX周辺くらいしか思い浮かばねえ。

「……上野なら……上野公園なら、そんなに離れてもねえか」
「あっ、上野公園ならわたしも知っています。たしかパンダさんのいる所ですよね」
「そりゃあ上野動物園は公園の中にあんけど、パンダが見たいわけじゃねえよな?」

上野公園と聞いて、ブリジットの眼が俄かに輝いた。
秋葉原から上野公園までなら、歩いたところでほんの一キロ足らずのもんだ。
俺がブリジットを小脇に抱えるか、肩に担いで歩いて行ってもいいんだけどな。
そうすっと俺は上野公園に着く前に別の所へ連れて行かれそうなんで、
今回は電車で行くことにしたんだ。
喫茶店での朝飯を済ませ、俺とブリジットは再び秋葉原の駅へと向かった。
516 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:43:32.51 ID:tbBN9wvGo

秋葉原から山手線で二つ目、御徒町駅の次が上野駅。
駅に降りてから公園口の改札を抜ければ、目の前はもう上野公園だ。
ちょうど桜が満開の時期とも重なり、上野駅の駅前はかなりの人出で賑わっている。
ここでもブリジットと俺の取り合わせは、否応なく周囲の注目を浴びていた。

上野公園は、俺がよく行く児童公園なんかとは比べ物にならないくらいに広い。
美術館なんていったら三つもあるし、道を挟んで博物館まである。
ブリジットが喫茶店で眼を輝かせていた上野動物園も公園の敷地内にあるし、
駅から左手にしばらく歩いて行けば、ボート乗り場もある不忍池がある。
別に今日がデートって言うのなら、その手の所が定番なんだろうけど……。

「まあ、何にしてもここに突っ立ってるわけにもいかねえし、公園の中に入るか」

いつまでも駅前にいても目立つだけだし、俺はブリジットに水を向けてみた。
しかし俺の言ったことが聞こえなかったのか、
ブリジットは落ち着きなくキョロキョロと辺りを見回していた。

「ブリジットちゃん? どうかしたのか?」
「いっ、いいえ。……マネージャーさん、今何かおっしゃいましたか?」

俺はブリジットの不審な様子に何となく違和感を覚えたんだが、
相談に乗ると言った以上、その相談内容を聞く前に帰るわけにもいかねえ。
これでも俺を頼って相談を持ち掛けてくれたんだ、最後まで面倒を見ねえとな。

「ここに突っ立っててもしょうがねえだろ。中に入ろうぜ」
「はっ、はい……」

ブリジットを促すつもりで、俺は彼女の手を取って歩き始めた。
俺に手を握られて、ブリジットは頬を赤く染める。
こういう素直な反応を示されると、俺の方が何だかドキドキとしちまうよ。
大体、俺の知っている女共ときたら、ロクでもねえヤツらばかりだしな。
厨二病丸出しのヤツとか、藤原紀香と同じスリーサイズでぐるぐる眼鏡とか、
それに隙あらば通報しようとするヤツもいるし。
517 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:44:15.58 ID:tbBN9wvGo

上野公園の中は、どこを見渡しても桜が満開に咲き誇っていた。
桜の木の下でビニールシートを広げ、花見の準備をする中高年のグループや、
小さな子供を連れた若い夫婦が何組も眼に映った。
しかし公園が広いせいか、駅前ほど人の多さは気にはならない。

「――で、俺に相談ってのはどんなことだ?」
「はっ、はい……それが、その……とっても言いにくいことなんですけど……」

顔を赤らめて、モジモジと身体をくねらせ言い淀むブリジット。
かっ、可愛いいじゃねえか。
これで十歳っていうんだから、世の中どうかしてんじゃねえのか。
やっぱ、このままブリジットを小脇に抱えて……なんていう妄想を無理やり払いのけ、
近くの自販機で二人分の飲物を買うと、俺は適当なベンチを指差して言った。

「あの辺に座ってから、ゆっくりと話を聞こうか、なっ」

俺には、ブリジットが緊張している様子が手に取るように分かる。
ブリジットが外国人でいくら発育が良いとはいえ、所詮はまだ小学生だ。
親父さん以外の男と二人きりになるなんて、今までなかったんだろう。

ベンチに座ってから、俺は先ほど買ったオレンジジュースを手渡してやった。
可愛い小さな手でプルトップを開けるのに苦労しているブリジットを見ていると、
俺の理性が崩壊しそうになってくる。

「俺に貸してみな、開けてやっから」

カシュッという音と共にプルトップが開いて、俺は缶をブリジットに返した。

「マネージャーさんって、お姉さんが言っていた通り、本当に優しい人なんですね」
「――誰が言っていたって?」
「あっ、え、えーと……事務所の先輩のお姉さんです……」

事務所の先輩といっても、あの加奈子が俺のことを褒めるわけはねえ。
第一、ブリジットと加奈子とは歳の差こそあれ、言ってみれば同期みたいなもんだ。
そうなると、俺の頭にはたった一人のヤツしか思い浮かばねえ。
518 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:44:50.36 ID:tbBN9wvGo

「その事務所の先輩ってのは、あやせか? あやせだろ、あやせなんだろっ」
「マ、マネージャーさん? ……あ、あの、その、ふっ、ふぇ」
「えっ、あ〜申し訳ないっ。ブリジットちゃんのことを怒ったんじゃねえんだ。
 この通り謝っから、なっ、勘弁してくれ、なっ」

半ベソをかいて今にも泣き出しそうなブリジットに、俺は両手を合わせて謝った。
何で俺はあやせの名前が出ると、こうも過敏に反応しちまうのかね。
俺は引きつりそうになる顔を必死に抑えながら、ブリジットに優しく言った。

「ブリジットちゃん、ちっとばかし電話してえとこがあんから待っててくれ、な」

涙目になりながらも不思議そうな顔で俺を見るブリジットに一言断ってから、
俺は携帯のアドレスからある人物の電話番号を選択すると、迷わず発信ボタンをプッシュした。
数秒後、携帯からツ、ツ、ツ、という断続音に続いて呼出音が聞こえるのに続いて、
俺のすぐ背後で聞き覚えのある着メロが聞こえてきた。

俺は手に持っていた缶コーヒーを一気に飲み干すと、背後の木の植え込みに狙いを定め、
その空き缶を思いっきり投げ付けてやった。
すると空き缶を投げ付けた植え込みが俄かに騒がしくなり、
知った顔のヤツが携帯を片手に血相を変えて飛び出して来るじゃねえか。

「おっ、お兄さん! そんなことをして、人に当たったらどうするつもりですかっ!」
「誰かと思えばあやせじゃねえか。おまえ、そんな所で一体何やってんだ?」
「わ、わたしがどこで何をしていようと、お兄さんには関係のないことじゃないですか。
 それと、空き缶はちゃんと所定の場所に捨ててください」
「へいへい。……ところで、携帯が鳴ってっけど、いいのか?」

俺は自分で投げ付けた空き缶を拾いながらあやせの顔をチラリと見ると、
あやせは仕方がないといった表情で携帯を耳に当てた。

「……はい、あやせです」
「よっ、俺だけど……あやせ、今どこにいる?」
「……お兄さんの目の前にいます。って、そんなに苛めなくてもいいじゃないですか」
「誰も苛めてねーだろ。それはあやせの考え過ぎだって、なあ、ブリジットちゃん」

糸電話じゃあるまいし、何で電話の相手と面と向かって話さなきゃなんねえんだよ。
519 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:45:32.32 ID:tbBN9wvGo

俺とあやせの世にも奇妙な光景を見ていたブリジットは、
肩から提げていた小さなポシェットから何やら取り出すと、トコトコとあやせに近づいた。

「あやせお姉さん、お姉さんから渡されていた……これ、お返しします」
「ブ、ブリジットちゃんっ!? そ、それはいま返さなくても――」

俺は携帯を切りながら、慌てふためくあやせを尻目にブリジットに優しく語り掛ける。

「なあ、ブリジットちゃんが手に持ってるヤツ、俺に見せてくんねえか?」
「おっ、お兄さん、それは何でもないんです。決して怪しいものでは……」

ブリジットはあやせをチラリと見てから、それを俺に手渡してくれた。
やっぱ事務所の先輩よりも、元マネージャーの方がブリジットの信頼度は上なんだよ。
ブリジットが持っていた物は、一見すると携帯電話と見紛う外観をした代物だった。
俺は受け取ったブツを矯めつ眇めつ眺めてからあやせに聞いた。

「あやせ、これはCMで見たことあるけど、ココセコムっていうヤツじゃ?」
「……わたしには事務所の先輩として、
 お兄さんの魔の手からブリジットちゃんを守る義務があるんです」
「おまえなぁ、言うに事欠いて俺の魔の手って、そりゃあんまりだろうが」

俺は、あやせがてっきり開き直るのかとも思ったが、どうもそうではなかった。
自分の言っていることに無理があるってことは、十分承知しているらしい。

「こんなことまでして、本当は悪いと思っているんですよ。
 もし、お兄さんが怒ったのなら、別にわたしのこと殴ってもいいですよ。
 だって……わたしは、いつもお兄さんに酷いことしているんですから……」

あやせは上目遣いで俺にそう言ってから、俯いてしょんぼりとしちまった。
重苦しい沈黙の時間が、俺とあやせの間に流れる。
ブリジットは、ココセコムが何かなんて全く知らない様子だった。
むしろ、それをあやせに返そうとしたことであやせが俺に殴られるんじゃないかと、
今にも泣きそうな顔でオロオロとするばかりだ。
520 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:46:28.96 ID:tbBN9wvGo

しかし、俺とあやせの気まずい雰囲気を打ち破ったのは、ブリジットだった。

「あ、あの、マネージャーさん、あやせお姉さんは……」
「分かってるって、心配すんな。俺はあやせのことを殴ったりなんかしねえから。
 あやせだって俺が絶対に殴らないって、百も承知なんだからさ」

自分の方が悪いと思ってしょんぼりとしていたあやせも、今の俺の言葉に安心したらしい。
ようやくいつものあやせらしい明るい笑顔に戻った。

「そんなことはないですよ。……本当に、わたしが悪いと思っているんですから。
 でも、たしかにお兄さんって、わたしがどんなに酷いことをしても怒ったりしませんよね。
 どうしてだろう、なんでかなぁ、ねぇ、何でなんですか?」
「あやせ、おまえは知っててそういうこと言ってんだろ」

俺はあやせからどんな酷い目に合わされようが、殴ったりなんかしない。
別に、惚れている者の弱みってわけじゃねえよ。
あやせに限らず、桐乃にしろ麻奈実にしろ、女を殴る男なんて俺は最低だと思っている。
とは言うものの……男を気安く殴る女って何なの? なあ、あやせさん?
初めの内こそ不安そうな顔で俺たちのやり取りを聞いていたブリジットも、
仕舞いには上気した顔で、俺とあやせを交互に見ながら興奮した様子で俺に聞いてきた。

「マネージャーさんとあやせお姉さんって、もしかしたら恋人同士さんなんですか?」
「――なわけねえだろっ」
「ブリジットちゃん、お兄さんは、わたしのことが好きで好きでしょうがないのよ」
「なわけねえだろ。ブリジットちゃんになんつーこと言ってんだよっ」
「あら? それじゃあお兄さんは、わたしのこと嫌いだったんですか?」
「……………………」

今日はブリジットが相談に乗ってくれって言うから来たのに、
これじゃあ話が一歩も先に進まねえじゃねえか。
ブリジットは俺が次に何を言うのか期待するような眼差しをしているし、
あやせは憎たらしいほどの笑顔で俺を見つめているし……。

「――で、その話は横に置いとくとしてだな、相談事ってのは一体何なんだ?」
521 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:47:02.89 ID:tbBN9wvGo

あやせは今までの俺とのやり取りなんかまるっきり忘れたかのように、
しれっとした顔でブリジットの相談事というのを話し始めた。

「お兄さんは、ワイヤーアクションというのをご存知ですか?」
「ワイヤーアクション?」

ブリジットはと言えば、俺とあやせが恋人同士だと勝手に勘違いしているようで、
今も顔を真っ赤にしてふわふわとしている。
心ここに有らずというのは、今のブリジットのようなことを指すんだろうよ。
もしかしたら、あやせはブリジットが俺に上手く相談内容を説明出来ない事態を見越して、
それで密かに俺たちの後を付けて来たんだと善意に解釈してやるかね。
かなり無理があるんだけどな。

あやせの説明によれば、ブリジットの相談事というのはけっこう複雑だった。
要約すれば、ブリジットと加奈子によるコスプレショーが以前にも増して人気を博し、
それに気を良くした主催者側が、どうやら更なる演出を考えたらしい。
それが、ワイヤーアクションを取り入れたメルルとアルファ・オメガによる空中戦なんだと。
馬鹿じゃねえの。しかし、肝心の俺への相談事ってのが未だに分からねえ。

「コスプレショーでワイヤーアクションをやるってことは分かった。
 それで、俺にどうして欲しいんだ? まさか、俺にそのワイヤーを引っ張れとでも?」
「何をわけの分からないことをおっしゃっているんですか、もう」

わけが分かんねえのは、おまえの方だろっての。
俺はしばし、あやせからワイヤーアクションについてのレクチャーを受けることになった。
あやせの話では、身体に装着したハーネスというベルトにカラビナという金属の輪を取り付け、
更にそのカラビナに取り付けたワイヤーロープを上から引っ張り挙げることで、
出演者が空中に舞い上がったように見せる仕掛けなんだと。
あやせからレクチャーを受けたところで、それが俺とどんな関係があるのか全く見えねえ。
522 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:47:42.29 ID:tbBN9wvGo

「それでお兄さん、ここからが大切なんですが……
 ブリジットちゃんは、空中に引っ張り挙げられることには何の問題もないんです。
 高所恐怖症でもないようですし。
 でも、こんな感じで身体を水平にする場面になると、上手くバランスが取れなくなるんです」

あやせはミニスカートにも拘らず深く腰を曲げ、手を前に伸ばした格好で俺に説明した。
俺はその説明に軽く頷きながら、あやせの後ろに何気なく回り込もうとすると、
それに気付いたあやせの表情が急に険しくなった。

「ブチ殺されたいんですか?」

俺はあやせに蹴り飛ばされた尻をさすりながら、ワイヤーロープで引っ張り挙げられ、
空中に浮かんで加奈子扮するメルルと対戦しているブリジットの姿を頭に描いた。
それにしても、『星くず☆うぃっちメルル』のステージは今も大人気らしい。
二人があの衣装のまま空中で対戦するとなれば、さぞかし大きなお友達が喜ぶことだろうよ。
だが、ブリジットのアルファ・オメガはともかく、あのヒモみてえな衣装のメルル(加奈子)が
よくも承知したもんだよ。まあ、俺には関係ねえけど。

「空中でその姿勢は、たしかにバランスが取りにくいだろうけど。……で、俺にどうしろと?」
「お兄さんは、クラシックバレエやアイスダンスでリフトという技をご存知ですか?
 男の人が、女の人を両手や片手で持ち上げる技なんですが」
「……俺、何も聞かなかったことにして、このまま帰ってもいいか?」

俺はあやせとすったもんだの末、そのリフトという技を結局やる羽目になった。
二人の言い争いを心配そうに見つめるブリジットの瞳が、俺にイヤとは言わせなかった。
それに、相談事を抱えたブリジットを何とかしてやりてえと思ったのも事実だった。
523 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:48:19.42 ID:tbBN9wvGo

俺たち三人は、地面の柔らかそうな芝生の生えた場所へと移動し、何度も手順を確かめた。
万が一にも失敗して、ブリジットが怪我でもしたら大変なことになるからな。
先ず初めに、俺は両膝を地面に着けてからブリジットの腰の辺りに手をやった。
そして、あやせは俺の背後に立って、ブリジットが頭から落ちないように身構えて準備した。

「ところでさぁ、ブリジットちゃん、おまえミニスカートだけどいいのか?」
「えっ、あっ、はい、ステージ用のパンツを穿いていますから大丈夫です」
「あっ、そうなんだ」
「お兄さんっ、真面目にやってください。……ほんとに変態なんだから」

あやせに頭を叩かれながらも、気を取り直して先ずは一回目。
さすがにブリジットは運動神経がいいのか、上手く俺とのタイミングを見計らって、
体重を移動させながら俺の両手に自らの身体を乗せてきた。

「うっ、こ、こうしてみると、なんとか出来ねえこともねえが……
 ブリジットちゃん、体重は幾つだ?」
「は、は、はいっ、よ、四十三キロです。……ご、ごめんなさいマネージャーさん」
「ま、まあ、それほど重くもねえか。……で、どうよあやせ、ブリジットちゃんの様子は」
「うーん、そうですね。悪くはないんですが、少し頭が下がってるかなぁ」

あやせの指導の下、俺とブリジットは何度もリフトを繰り返した。
しかし、ようやく形も様になってきたところで、あやせが飛んでもねえことを言い出した。

「この高さなら、それほど問題は無いようですね。
 でも、実際のステージではもっと高い位置でやるんですよ。
 お兄さん、今度は立ったままの位置で、ブリジットちゃんをリフトしてみてください」
「あやせって、可愛い顔して飛んでもねえことを平然と言うのな、分かっちゃいたけどさ」

どうせ俺が拒否したところで、あやせは一度言い出したら許してくれそうにもねえし、
ブリジットはブリジットで澄んだ瞳でまた俺を見つめることが眼に見えてたしな。
俺は無駄な抵抗は諦めて何度か屈伸運動を繰り返してからしゃがみ込むと、
ブリジットの腰を両手でガッチリと掴んだ。
もう、どうなっても知らねえからな。
524 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:48:56.42 ID:tbBN9wvGo

「よっ! ど、どうよっ、ブリジットちゃん、怖くねえか?」
「は、はいっ、大丈夫です。……でも、少しだけくすぐったいです」
「あやせ、ブリジットちゃんのスカートが目に掛かって前が見えねえんだ……
 後ろにいるんだろ? 何とかしてくんねえかな、このミニスカート」
「お兄さんには、その方がいいんじゃないんですか?」

初めから数えて十数回目のリフトを成功させた頃には、俺の腕はパンパンになっていた。
このままブリジットを下ろせば、一気に力が抜けて地面に落としちまうかも知れねえ。
俺はブリジットを一旦自分の肩で受け止め、抱きかかえながら地面に下ろそうとした。

「ブリジットちゃん、ちょっとだけスカートが捲れちまうけど……我慢してくれな」
「いっ、いいえ……マネージャーさん……あ、あの……えっ、あっ……」

ブリジットを抱きかかえた際、妙に柔らかで弾力のある感触を頬に感じたんだが、
それが何なのか確かめている余裕はなかった。
ブリジットを見ると、なぜか顔を真っ赤にして俯いたままモジモジしている。
一方、これだけやればいくら何でも十分だろうと思ってあやせを見ると、
あやせは地面にひとり腰を下ろし、不機嫌そうな顔で俺を見据えていた。
この眼は、絶対に何かロクでもねえことを考えている眼だ。
すると俺の視線に気付いたのか、あやせは急に表情を和らげ立ち上がった。

「ブリジットちゃん、今からお姉さんが見本を見せるから、しっかりと見ていてね」
「は、はいっ、あやせお姉さん、よろしくお願いします」

あやせはブリジットにそう言ってから、その場で何度も屈伸運動を繰り返した。
おいおい、冗談だろ。いくら事務所の先輩で後輩思いだからって……何考えてんだよ。
まさか、本気で言ってるわけじゃねえよな。
525 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:49:46.00 ID:tbBN9wvGo

あやせは準備運動を続けながら、ブリジットに優しく何やら語り掛けていた。
その一方で、俺には無表情の顔を向ける。

「よしっ、こんな感じかな。……それではお兄さん、お願いします」
「――って、やっぱそういう流れかよっ。いや、つーか、あやせだってミニスカートだろうが。
 まさか、おまえもブリジットちゃんのように下に何か穿いてんのか?」
「お兄さんに心配して頂かなくてもけっこうです」

だめだ、何か分からんけどあやせのヤツ、スッゲー怒ってる。
一旦あやせがこうなると、誰も手を付けられねえことは既に学習済みだった。
仕方なく、俺はしばらく腕を揉んでからあやせに声を掛けた。

「どうなっても、俺は知らんからな」

俺は足元を確かめてから腰を落とし、あやせのウエストと腰の中間くらいに手を添えた。

「あれ? あやせって、ブリジットちゃんよりも細いの?」
「変態!! お兄さんどこを触っているんですかっ! ブチ殺しますよっ」

あやせに頭を叩かれながらも、俺の手はそのまま。
だって、この情況になったことは偶然でも、俺があやせの腰周りを触ることは必然、だろ。
あやせに手の位置を修正され、俺は再び腰を落としリフトのタイミングを計った。
怒りが治まらない様子のあやせは、俺の肩に手を掛けた後、軽く膝を曲げ一気に……

「あやせっ! タイミングがバラバラじゃねえかっ」
「おっ、お兄さんこそ……しっ、しっかりと持ち上げてくださいよっ」

公園にいる他の奴らから俺たちはどう映っているのかと思うと、俺は哀しくなってきた。
あやせは俺の肩に両手を置いたまま爪先立ちで背伸びをした状態だし、
俺は俺で腰を落としたまま、あやせの腰に手を廻し彼女の胸に顔をうずめていた。
公衆の面前で、誰に憚ることなく抱き合うバカップルといったところか……。
しかも、妙な体勢で。
526 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:50:38.99 ID:tbBN9wvGo

慌ててブリジットを見ると、彼女は俺たちに背を向けて電話の真っ最中だった。
電話の相手と英語で話している様子から、多分親父さんだろうと俺は見当を付けた。
俺に抱き締められ、と言うよりも、胸に顔をうずめられてすっかり固まっていたあやせも、
恥ずかしさと怒りの入り交じった表情で俺を突き放すように身体を離した。
これじゃあ、ブリジットに俺たちが恋人同士と勘違いされても仕方ねえよな。

ちょうどそのとき、ブリジットが電話を終えて俺たちに振り向いた。

「マネージャーさん、パパが両国国技館にお仕事で来ていてるそうなんです。
 ……それで、あ、あの、その……パパが動物園に……」
「両国国技館に、ブリジットちゃんのパパが相撲でも取りに来てんのか?」
「お兄さんっ、ブリジットちゃんは一言もそんなこと言ってないじゃないですか」

俺も一度会ったことのあるブリジットの親父さんが、仕事で近くまで来ているらしい。
ブリジットは俺とあやせに何度も礼を言い、俺たちはブリジットと加奈子のステージが
大成功するようにと願った。
何はともあれ、ブリジットの相談事とやらに多少なりとも俺は貢献出来たようだった。
三人で他愛もない話に花を咲かせていると、ブリジットの携帯が再び鳴り、
親父さんが公園の入り口に到着したと知らせてきた。

「じゃあな、ブリジットちゃん。……でぶっちょの親父さんにもよろしくな」
「は、はいっ、今日は本当にありがとうございました。
 あの、マネージャーさんのこと、これからは“お兄さん”と呼んでもいいですか?」

そんなキラキラとした瞳で言われたら、俺だってダメだなんて言えるわけがねえだろ。

「ブリジットちゃんがそう呼びたいなら、俺はそれでも構わんよ」
「そ、それじゃあ……お兄さん、あやせお姉さん、今日はありがとうございました」

ブリジットは溢れるような笑顔を俺たち見せると、
丁寧にお辞儀をしてから公園の出口に向かって小走りで駆けて行った。
時々振り返りながら手を振るブリジットに向かって、俺とあやせも手を振って応える。
まるでイギリスからやって来た、“小公女ブリジット”って言葉がぴったりだよ。
527 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:51:19.99 ID:tbBN9wvGo

ブリジットの後ろ姿が見えなくなるのを待って、俺も出口に向かって歩き出した。

「じゃ、あやせも気を付けて帰れよ」
「お兄さんっ、いくら何でもそれは無いんじゃないですか?」
「そうは言うけどさぁ、あやせだって何か用があるから上野まで来たんじゃねえのか?」
「……………………」
「悪かったよ、冗談に決まってんだろ。……そんな恨めしそうな顔すんなよ。
 あやせにそんな顔されたら、俺はどうすりゃいいんだよ、だろ」
「だったら、わたしのお願いも聞いてもらえますか?」

あやせのお願いなんてロクなモンじゃねえことくらい、初めから分かってはいたんだ。
でも、あやせからお願いされると、つい浮かれちまう自分が妙に可笑しかった。
情けないと言うのかも知れんけどな。

「で、あやせのお願いってのは?」
「この先の不忍池に、ボート乗り場があるんです」
「あやせがボート乗って、俺はそれを見ていればいいのか?」
「そんなことをして、何が楽しいんですか? 一緒に乗るのに決まってるじゃないですか。
 もちろん、ボートを漕ぐのはお兄さんですけど」

あやせに催促されるまでもなく、俺たちの足は自然と不忍池へと向かった。
俺の腕に、さり気なく自分の腕を絡めてくるあやせに戸惑いながら……。

桜並木の下を歩きながら、あやせは何が可笑しいのか穏やかな笑みを浮かべている。
花がたわわに咲き、枝先を垂らした桜の木の下であやせは急に立ち止まると、
記念に二人で写真を撮ろうと言い出した。

「これじゃまるで、初めっからあやせとのデートみてえだな」
「それでもいいじゃないですか。だって、今日は桜も満開なんですから。
 それに今日を逃したら、今度はいつ来られるのかわからないじゃないですか。
 ねっ、そうでしょ、お兄ーさんっ」
「ぶら下がんなっつーの、そんなことしたら重いじゃねえか。
 ……そういやさ、あやせもスカートの下に、何か穿いて来てたのか?」
「見たいんですか? ちなみに、わたしの体重はブリジットちゃんと一キロしか違いませんから。
 それよりも、もしもブリジットちゃんに手を出したら……」

いくらなんでも十歳の女の子に手を出すほど、俺の守備範囲は広くねえよ。
それに、ブリジットと俺じゃあ釣り合いが取れねえだろっての。
528 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/04/17(日) 20:52:46.19 ID:tbBN9wvGo

だからといって、俺があやせと釣り合うとも思ってねえけど。
あやせは読モをやっているだけあって人並み以上に可愛くて美人だし、
スタイルだって申し分の無いことは、さっきのリフトのときに実証済みだった。
あやせがどういうつもりで、いま俺とこうして腕を組んでいるのかは分からねえ。
からかわれているのか、それとも……

「まあ、お兄さんのことだから、わたしが言わなくてもわかっているとは思いますけど。
 あっ、そうだ、ボートに乗る前にソフトクリームを買ってくださいね」
「俺があやせにソフトクリームを買う理由が分かんねえよ」
「桜とボートといったら、後はソフトクリームというのが定番じゃないですか」

そんな定番なんて、俺は今まで聞いたこともねえよ。
あやせの頭ん中にも、もしかすっと桜の花が咲き捲くってるのかも知れねえけどな。
それにしても、今頃はブリジットも大好きなパパと動物園で楽しんでいることだろうよ。
イギリスから遥々とやって来たリトルプリンセス、ブリジット・エヴァンス。
俺を悩ます頭痛のタネが、また一人増えちまった。

「ソフトクリームを一つだけ買って、お兄さんと半分ずつというのもいいですねぇ」
「おまえ、本当にあやせか? また何か、飛んでもねえことを企んでんじゃねえのか?」
「うふっ、いいんですよ。だって、もう春なんですから」

俺はボート乗り場の入り口で料金を払おうとして、何気なくボート池を見た。
マジかよ、家族連れの他はどこを見渡してもカップルだらけじゃねえか。

「あやせ、本当にここでボートに乗るつもりか?」
「そうですよね。……出来れば、あの白鳥さんの形をしたのに乗りたいんですが」
「そういうことを聞いてんじゃねえんだけど…………ま、いっか」

スワンボートは三十分で七百円ね。……まあ、一時間も乗っかってりゃ十分だろ。

「あっ、お兄さん、その前にソフトクリームぅ」


(完)
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/17(日) 21:02:09.13 ID:NETvaEF3o
あやせかわいいになっとる!
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 21:03:45.60 ID:qIpbSJcIO
乙、あやせやっぱし可愛いわ
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/17(日) 21:11:20.65 ID:m6DGVUgJo

ブリジットくぁい……あれ?


ブリジット棒なのは悪くないよ。ブリジットは棒かわいいよ
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 21:11:27.37 ID:IhS9OdDIo
おい



GJ
ズボン脱いだ後に履きなおしたけど
なぜか余裕で賢者になった
俺もリフトしてぇ・・・
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/17(日) 21:12:22.07 ID:SudF/NZe0
おつー。
どこで分岐したんだろww
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/17(日) 21:29:41.09 ID:ghNbYChIO
ブリジットあやせとか俺得過ぎる
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/17(日) 21:30:58.87 ID:IfEQ4iEl0
ブリジットからのあやせ…乙です
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [s]:2011/04/17(日) 21:43:46.73 ID:Aq1TrzJe0
乙です

貴方の書くあやせにはいつもにやにやさせてもらうな....
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/17(日) 22:48:45.98 ID:UcejgYgQ0
超乙
あやせが可愛くてニヤニヤが止まらない
氏はあやせにとり憑かれてるんじゃ?
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 23:05:29.77 ID:5J4cBG5SO

黒猫派なのにここまで可愛いあやせが書けるっていうのもすごい話だww
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/17(日) 23:08:38.58 ID:2o/mc6rR0

ギャルゲーならここでボートが沈没するんだが、あやせが下手にカモメに餌やろうとして襲われる展開(こち亀参照)もいいなw
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/17(日) 23:43:34.47 ID:qh10RGu00
これnice boatじゃね?
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/17(日) 23:47:39.41 ID:2o/mc6rR0
そうか、山でも海でもなく池に沈められるのか
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/17(日) 23:47:40.78 ID:sQMbLYooo
ドットがねぇぞ?
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/18(月) 05:40:37.06 ID:j1OdoIPWo
第二次スパロボZ始めた桐乃が、アルト機フル改造して無双し始めるところまで想像した
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 08:40:26.87 ID:b3lCBasDO
ブリジットSSだと思ってたらあやせ無双だった
いつのまにこんなに好感度上げやがったんだリア充京介め
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 08:52:09.26 ID:BJ49d15DO
>>543
んで、お前達が俺の翼だの二股宣言でイラッ☆になって兄貴に八つ当たりですねわかります。


参戦俺妹声優は兄貴だけだよね?
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/18(月) 12:22:41.63 ID:b7CU6S7AO
乙だが10歳の女の子で43キロは重すぎると思うよ
身長がある程度あって出るとこ出てても無理がある
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 15:39:28.34 ID:Y8DmHqnbo
>>546
そういう設定だからここで文句言っても……

イギリス人(女性)の平均調べてみた。
10歳 143.3(0.9)cm 40.0(0.9)kg
11歳 151.4(0.7)cm 47.9(1.3)kg
括弧内は標準偏差。
ちなみにブリジットは151cm 43kg
だから異常じゃないよ。
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 15:46:18.80 ID:4NgcyR0bP
俺もブリジットちゃんピザッってるなと思ってたけど標準なのか
これだから道程は困る
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/04/18(月) 17:31:40.58 ID:VJOix/x10
ブリジットには身長的な意味ではもう成長してほしくない
おっぱい的な意味ではまだまだ成長してほしいが
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/18(月) 19:38:46.97 ID:taCHgkfpo
原作で身長や体重、スリーサイズのデータを確認すると、
何で女の子たちはこんなに背が高いの? ってことになる。
あやせなんか、166センチ 44キロ って、マジかよ。
ちなみに、桐乃は165センチ 45キロだった。
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 20:36:00.38 ID:HsCVfgkVo
作者が身長コンプレックスなんだろ
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/18(月) 21:03:56.70 ID:xdevEnjL0
中猫改め日向ちゃん(仮)の話書けたんで投下させていただきます。
念のため、幼女ルートではないです。
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/18(月) 21:04:57.65 ID:xdevEnjL0
「ハア…」

さっきから耳に響いている『ザーザー』って音を聞いていたら、自然と溜息が出てしまう。

夕立にしては長い雨が降り注ぐ中、俺はひたすら家路に向かって歩いていた。右手には傘をさし、左手には某ゲーム専門店の名前が入った袋をぶら下げて。
そう。俺はいつもの通り、桐乃のヤツに妹ゲーを買いに行かされていたのだ。
なんでもこのゲーム、シスカリの最新作且つ、ゲストキャラクターにメルル等の様々な他作品妹キャラが参戦しているらしい。
どこのスマ○ラだ!と突っ込みたくもなるのだが……つまり、桐乃にとっては夢のような代物なのである。
おそらく内容的にもかなり賛否両論の作品になると思うのだが、とりあえず桐乃同様、俺にとってもメルル参戦は嬉しいことだった。
だってそれで全年齢対象になったおかげで、わざわざアキバのショップに行かなくてもこうして手に入れることが出来たんだからな。
まあ…そうは言っても3軒ハシゴしてようやく手に入れたんだけどね………。
『断ればいいだろ』と言うヤツもいるかもしれんが、悲しいことに俺は「カリビアン――」という言葉にゃ逆らえねーんだよ。
そして俺に更なる追い討ちをかけたのがこの天気。俺が店を出て帰ろうとした途端、急に振りだしやがった。
今日の天気予報にはこんな突然の降雨の情報は一切なかったはずだぞ?俺のカバンにたまたま傘が入れっぱなしだったから助かったようなものの…。
ったくアイツ、俺をこんな目に遭わせてやがって!これで労いの言葉一つなかったらさすがにグレてやるからな!

…と、こんな感じで、俺が自らの境遇を嘆いていた時だった。
鳴り止まぬ『ザーザー』に混じって、なんだか聞き覚えのある声が聞こえてきたのだ。


「高坂く〜ん!!!」

声のする方を見てみると………道路を挟んで反対側に、声の主・黒猫の妹の日向がいた。なにやら俺を見つけて嬉しそうに手招きしている。
こいつがいるのは某大型デパートの入り口の屋根の下。
そうか。改めてよくよく考えてみると、こっから黒猫の家まではそんなに遠くないな。
この状況から考えて、呼び止められた用件はだいたい予想できるが…もちろん、断る理由もない。

「今そっち行くからちょっと待ってろ!」

雨音に負けないように叫び返して、俺は歩行者信号が青になるのを待ってから日向がいる方に小走りで向かった。

「会えてよかったぁ〜!今あたし傘持ってなくてさ、帰れなくて困ってたんだよね〜!お願い、家まで傘に入れてって!」
「やっぱりな……そんなことだろうと思ったぜ。ほら、早く入れよ。」
「さんきゅ〜高坂くん!助かったぁ〜…」

そう言って日向は俺の隣に寄り、空いた傘のスペースに丁度よくおさまった。これならどっちかが傘の外に追いやられる心配はなさそうだ。
それにしても、やはりこいつも雨宿り難民だったか…。確かに、今日の雨は予測困難だしな。俺が傘持ってたのも偶然だし。
まあ少しの間かもしれないが、話し相手が出来たからよしとするか。

黒猫と付き合い始めてから、自然と日向・珠希と交流する機会も多くなった気がする。
現にこの間五更家で夕飯をご馳走になった時も、黒猫が料理してる間、俺は珠希に本を読み聞かせたり日向に勉強教えてやったりして過ごしていた。
自分で言うのは変かもしれないけど、俺はわりとこいつらとも上手くやっていけてると思っている。少なくとも…嫌われてはいないと思うぞ?
そして同じ妹なのに、二人とも桐乃とは全然印象が違う。
珠希は年齢に見合った純真さの持ち主だ。何か頼まれたり甘えられたりすると、俺はつい言うことを聞いてしまう。
いや、別にロリコンだからとかじゃなくてだね…。
んでもって日向は………

554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/18(月) 21:07:15.82 ID:xdevEnjL0

「なんかさ〜、こうやって相合傘してるなんて…あたし達って恋人同士みたいじゃない?
 どうしよ〜!友達とかに見られてウワサになっちゃったりして〜!」
「なっ!?なに言ってんだよお前は!?」
「冗談冗談!そんな顔しないでよ!高坂くんの彼女はルリ姉でしょ?わかってるってば〜」
「リアクションに困る冗談をかますな!」

…そう、日向はこんな感じ。“マセガキ”という称号がよく似合う、かなり活発な女の子だ。
本人に心の底からの悪意がないのはわかっているが、悪戯心満載のこいつには俺もたまにドキッとさせられる。

「ねえねえ。最近ルリ姉とはどうなの?上手くいってる?やっぱりラブラブ?」
「べ、別に、普通だけど…。」
「ええ〜!まだ付き合いたてなのに、もう『普通』なの〜!?じゃあさ…キスは?ねえ、ルリ姉とキスした?」
「し、してねーよ…」
「うっそだぁ〜!だってあたし昨日見たよ?高坂くんがウチから帰る時、別れ際に二人がキスしてるとこ!」
「なに!?お前、どっから見てたんだよ!?」
「…あ、ホントにしてたんだ。わざわざ隠さなくてもいいのに〜!ラブラブゥ〜♪」
「なっ!?こ、このやろっ………」

…また見事にやられちまった。
なんというか…こいつはこんな感じで自分のペースに持っていくのが上手なヤツだ。
小学生女子相手に翻弄されている俺の気持ち、誰かわかってくれるヤツいるんだろうか?
とにかく、このまま日向ペースで話し続けたら、これ以上何を喋らされるかわかったもんじゃねえ。
早いトコこの話題を切り上げなければ…。

「キスって最初はどっちから仕掛けたの?やっぱ高坂くん?それとも…まさかルリ姉ぇ!?」
「お、俺の話はもういい!と、ところで……お前、あそこで何してたんだ?」
「え!?あ、あたし!?」

我ながら無難な話題を振ったと思ったんだが、日向は珍しく若干動揺している様子だ。なんつーか、ちょっと恥ずかしそうっていうの?
そう言えば今日の日向はやけにオシャレしているような気がする。こりゃ、もしかすると………

「いやっ、あたしはっ別に…か、買い物に行っただけだよ!?」
「その格好して一人で買い物ねえ………」
「そ、そうだよ?買い物に行ったんだよ!」
「ふーん…」

俺がわざとらしく疑いの目を向けると、日向は俺からサッと視線を逸らした。
ふっ。マセてると言っても所詮は小学生だな。嘘をついてるのがすぐにわかるぜ。
まっ、こいつならボーイフレンドの一人や二人いてもおかしくなさそうだが…アテが外れてても困るしな。
何より大人気ないから、小学生いじりはこのへんにしておくか。

「…まあいいや。話は変わるが、今日は姉ちゃんはバイトの日だよな?なぁ、アイツって今日いつ頃帰って………」
「そ、そういう高坂くんこそ!こんな雨の日にどこ行ってきたの?」
「…え!?お、俺!?」

さあ、今度は俺が焦る番みたいだな。
人がせっかく話を変えようとしてやったのに!しかもカウンター仕掛けてきやがった!!

「いやっ、俺はだな…ちょ、ちょっと買い物に………」
「…あれ?それ何の袋?なんか買ったの?見せて見せて!」
「あっ!?おい!!やめっ………」

俺がそれっぽい言い訳を必死でひねり出していたその時だった。
日向は突然俺の方へ手を伸ばすと、桐乃の夢と希望が詰まった袋をすごい速度でひったくった。
そして俺が奪い返す間もなく、日向は袋の開け口にあるテープを器用に剥がして、その中身――『真妹大殲 シスカリプスEX』を取り出した。
美少女(しかも全員妹属性の幼女)が集結したピンク色のパッケージのそのソフトは、明らかに俺が持っていては不都合なブツである。
無論、彼女の身内に見られていい品では絶対にない。

「いやっ!?これは、違っ………」
「へえ。高坂くんって、こういうの好きなんだ〜!なんか意外〜♪」
「ま、待て!あのな、これは俺のじゃなくて…」
「大丈夫大丈夫!こう見えて、あたし口固いんだから!みんなには内緒にしておいてあげるって!」
「あ、ああ…」

うーん…ホントに俺は無実なんだがなぁ………。
日向は俺の弱みを握って、明らかに『してやったり』という表情をしている。まあ要するにいつものマセ顔ってわけ。
これじゃ完全にさっきと立場が逆転しちまった模様だ。
…でも、日向が黙っててくれるのは不幸中の幸いかもしれんな。桐乃の趣味を説明するはまだ早すぎる気がするし…。
俺が変な誤解されたままっていうのはかなり納得いかんが、後でなんとか……………

555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/18(月) 21:08:39.35 ID:xdevEnjL0

「あ、でもぉ〜、あたし最近糖分足りてない気がするんだよね〜。なんか甘いモノ食べないと、後で口滑らしちゃうかも!?
 うっかりお母さんとかに言っちゃったらヤバいな〜」


…って、なんだと!?


「あーあ、あたし、ポッキーが食べたいな〜」
「お、お前なぁ…俺を脅迫する気か!?」
「脅迫なんてしてないよぉ〜。あたしはただ『ポッキー食べたい』って言っただけだよ?」

もういいよ!そのニヤニヤした顔を見ただけで、お前が言いたいことは十分伝わったよ!
この段階で『ルリ姉の彼氏が妹ゲー買ってたんだよぉ〜』とか親に言われたら、さすがに取り返しがつかねーだろ!!
いや、どの段階で言えば丸くおさまるのかもわからんが………とにかく絶対ダメだ!!!


「見て見て高坂くん!そこにコンビニがあるよ?」
「………。」

こうなってしまった以上、もはや俺に他の選択肢は残されていなかった…。




☆☆☆☆☆


「ありがとうございました、またおこしくださいませ〜」

「…満足か?」
「うん、満足満足。ありがとね!さすが、高坂くんは優しいなぁ〜!あのルリ姉がホレちゃったのも、なんかわかるかも〜!」
「へーへー…そうかいそうかい……………」

結局俺はポッキーだけでなく、ガムやらポテチやら、その他のお菓子も色々買わされてしまった。
今月は小遣いにそこまで余裕なかったってのに…思わぬ出費をくらっちまったぜ………。
しかもお前、『糖分が足りない』って言ってなかったか!?なのに何でポテチ買わせたんだよ!!
…なんて心の中で一人虚しくツッコむ俺をよそに、日向はのん気に買ったばかりの板チョコをつまんでいる。
その様子を見ていたら、思わずこんな質問もしてみたくなるってもんだ。

「ったく………お前は俺を何だと思ってんだ?」
「え?あたしの中での高坂くんのポジションってこと?そうだな〜、高坂くんはぁ〜…」

…おいおい、そんなに迷うことか?それとも…俺には直接言えないようなモンだと思ってるのか?
こっちは軽い気持ちで訊いたのに、こんな風に予想以上に考え込まれるなんて何か変な感じだ。
しかも、そこそこ間が空いたわりに日向の答えは至って超シンプルなもので………。

「高坂くんは、『ルリ姉の彼氏』でしょ?」
「え!?そ、それだけ?」
「それだけ?って……コレって、結構重要な役割だと思うよ?
だってほら、厨二病…だっけ?ルリ姉ってとにかくあんな感じでしょ?あれとフツーに付き合っていられる男の人って、絶対高坂くんぐらいだって!」
「は、はあ…」

黒猫…。お前、妹に結婚の心配されてんぞ………。

「ってことはだな…要するにお前は、俺のことを『すげえ物好き』みたいに思ってるのか?」
「うーん……まっ、そうとも言うかな?…あっ、でもそれだけじゃないよ?あたしにとっての高坂くんはねぇ………」

少し脱力してしまった俺を見たからなのか、慌てて日向が何か付け加えようとしたその時だった。


556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/18(月) 21:11:20.63 ID:xdevEnjL0


ゴロゴロゴロゴロ…ドーン!!!!!

「ん?」
「きゃあっ」
「!?」

突然、どこかに少し大きめの雷が落ちた。
音を聞く限り遠くの方だとは思うが、外で響く雷鳴はなかなかの迫力がある。
…とは言っても、俺みたいな高校生男子ともなると、これくらいじゃいちいちビビったりはしねえ。
俺がビックリしたのは………雷と同時に、急に抱きついてきた日向に対して、だ。
心なしか、こいつちょっと震えてるような…?
雨で少し冷えてしまっていた俺の足に、女の子特有の柔らかくて温かい感触が伝わってくる。
そして俺は、気がつくと自分でもよくわからないうちに、日向の頭にそっと手を置いていた。

「ひ、日向…?大丈夫か?」
「えへへ…ちょっとびっくりしちゃった………」

話しかけられるまでずっと俺の身体に顔をうずめていた日向は、照れた様子で顔を上げながら答える。
その様子は不覚にも………ちょっと可愛かったかもしれない。

「…なんか意外だよ。お前でも雷怖がったりすることあるんだな?」
「あ、あたしだって女の子なんだよ?もうっ、高坂くんって乙女心全然わかってないんだから!!」

俺の無神経さはついに小学生をも憤慨させちまったらしい。まあ、憤慨っつーか呆れられてたような気もするけど。
そして日向は、少し恥ずかしそうにしながらこう続けた。

「で、でもね………普通にこういうこと出来るのが、あたしの中でのもう一つの高坂くんのポジションかな?」
「…はい?」

こ、これが俺のもう一個のポジション?

「なあ…『鈍感で女の子の気持ちがわからない男』ってのが、お前の中での俺のポジションなのか?」
「違うよ!高坂くんってどうしてそんなに鈍いの!?高坂くんは………あたしと珠希の『優しくて頼れるお兄ちゃん』って意味!!」

…え?こいつ、今なんて……………?

557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/18(月) 21:12:04.88 ID:xdevEnjL0

「うーんと………正式には、『優しくて頼れるけどちょっと抜けてるお兄ちゃん』かな?」
「おい!何でわざわざ『ちょっと抜けてる』足したんだよ!?
 で、でも……お前、俺のことそんな風に………」
「…実はあたし、もちろんルリ姉も好きだけど……ウチにも優しいお兄ちゃんがいたらいいな〜、なんて思ったことあったんだよね。
 ほら、ウチって男の人いないでしょ?
 そしたら高坂くんが来て…。ルリ姉だけじゃなくて、あたしや珠希とも仲良くしてくれて。
 あたし、ちょっと嬉しかったんだ。
 珠希も言ってたよ?『おにぃちゃん、やさしくてだいすき!』って。」
「日向………。」

今の日向はマセガキじゃなく、普通のかよわい小学生の女の子だった。
言ってることがからかい目的じゃないのは、鈍い俺でもわかる。
だってこいつのこんな姿は、今まで見たことなかったから。

「二人の邪魔はしないようにするからさ。だからこれからも………ルリ姉ばっかりじゃなくて、ちょっとはあたし達にも構ってね?
 その………たまに甘えたりしてもいい?」
「ああ、わかったよ。俺でよかったら、えーっと……い、いつでも甘えてくれていいんだぜ?とにかく、これからもよろしく頼むな。」


こいつが俺のことをそんな風に思ってくれてたなんて…悪い気はしない。っていうか、結構嬉しい。
これからは黒猫だけじゃなく、義妹達へのサービスもちょっと多目にしてやろうかな?
むしろ、日向と珠希も連れてデートに行ったりするのもいいかもしれん。

…っと、そんなことを考えながら、俺は当然のごとくこう思っちまったのさ。
俺の義妹がこんなに可愛いわけが……「それじゃ、早速甘えちゃおっかな?」……………って、なんだって???

決め台詞を途中で打ち切られて消化不良気味、且つ突然の申し出に驚く俺に、日向は速攻でずうずうしく“甘えて”きた。
そのニンマリした顔つきからは、さっき抱きついてきたしおらしい印象は微塵も感じられない。

「実は今ね、珠希が幼稚園のお友達の家で遊んでるんだけど…ルリ姉から、あたしが迎えに行くようにって言われちゃったの〜!
でもさぁ……あたし、これから見たいテレビあるんだよね…。
…ってことで高坂くん、あたしを送ったら、今度は珠希を迎えに行ってきてくれない?」
「………はあっ!?」
「ダメ?ちゃんとわかりやすい地図あるし、ここからそんなに遠くないよ?」
「……………。」
「お願いします!“お兄ちゃん”!!!」
「わかったよ!行きゃいいんだろ行きゃあ!!!」
「やりぃ〜!やっぱり高坂くんは頼りになるぅ〜!」

…これも日向だ。うん。こういうとこもひっくるめて、俺の義妹なんだ………。
これからこいつと長く付き合っていくには、こういうのにも徐々に慣れていかなきゃダメなのかな?

「ほら、そういうことならちょっと急ぐぞ!だって、珠希が待ってるかもしれないんだろ?」
「あ〜待ってよ高坂くん!速い!速いって!」

この悪天候の中を再び遠出する覚悟を決めた俺は、ひとまず“第一任務”を果たすために五更家へと足を速めた。
義妹の――日向の手を引きながら。

(終わり)

…ん?なんか忘れてる気がするんだけど………気のせいかな?

558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/18(月) 21:13:37.51 ID:xdevEnjL0

(おまけ)

「あ〜もう!あのバカ、ゲーム買いにどこまで行ったのよ!!!
 …も、もしかして………アイツ、傘持たないで行っちゃったとか!?ったく、傘なしでこの天気なんて帰って来れるわけないでしょ!?
 ホントに使えないんだから!!!
 しょ、しょうがないわね…結局あたしが迎えに行かなきゃいけないじゃん…。
 いや、アイツのためじゃないし!あたしにプレイしてもらえるのを待ってる、妹ちゃん達のためだし!…さてと、何着て行こっかな〜♪」

559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/04/18(月) 21:15:10.26 ID:qkKYDjewo
あれ? 日向って母猫の名前じゃないの?
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/18(月) 21:15:50.11 ID:xdevEnjL0
以上です。
何故かSSでは五更家が母子家庭っていう設定が多いので、それを使ってみたり…。
お目汚し失礼しました。
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/18(月) 21:17:12.51 ID:dYiA1SwYo
>>552
おつ!よかったぜ!
特に最後の桐乃は想像余裕でした
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 21:20:10.11 ID:6XubIlYSO
>>559
確か母猫説と中猫説があったような
ちなみに俺は中猫だと思ってた

>>560
乙です
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/18(月) 21:59:13.08 ID:donyEyzdo
実は黒猫の母親はロリババアで見た目は小学生
婿の様子をこっそりと伺うために口調まで小学生にして近づいてきた
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [s]:2011/04/18(月) 22:16:13.34 ID:qTPL7Xk70
なに?その神発想は...

wktkしてきた!
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/18(月) 23:03:39.25 ID:BXK0uajeo
>>528
乙だぜぃ。
あれ? >>322でブリジットって言ってたのに、どうなってるんだ?
ま、良かったからいっか。次回も期待なのよ。

>>560
乙だぜぃ。
中妹もいいが、たまには末妹がメインでもいいんだぜ?
次回も期待。
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/18(月) 23:55:19.52 ID:Y0d5s40AO
乙!
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/19(火) 00:47:11.28 ID:L6/uMRMT0
乙!

日曜日に久しぶりに瀬奈アニメ見たら中の人が少女漫画の編集部で働いてたな。
京介氏の進路は今のところ

警察官僚→「千葉大学の何が悪い!」
空軍→「君の存在に心奪われた男だ!」(瀬菜得)
民間航空会社→「お前たちが俺の翼だ!」(二股√)
モデル事務所のマネージャー→ロリコン√
出版社→乙○部(瀬菜得)
田村屋→地味子√

568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/19(火) 02:12:31.28 ID:yYMH1hR20
>>550
3サイズを考慮に入れると、割と妥当な数字だったりするからなおのこと困る。
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/19(火) 02:29:56.52 ID:RqbK+jhAO
>>550
化物語よりはマシ
妹や彼女に身長超えられるとか、俺なら耐えられない
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 03:21:31.61 ID:66GU35uDO
身長高い女の子って、俺は結構好きだなぁ。

170cmくらいじゃ、それ以上の女の子ってそれなりにいるしなぁ。
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/19(火) 03:24:20.63 ID:wSbZlJvGo
かぼちゃワインか…
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 03:29:17.81 ID:66GU35uDO
>>571
なんとも古い作品を出してきたなぁ。
調べたら、連載開始したの生まれる前だったぜ。
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 05:30:07.60 ID:6IDiCRfDO
>>560
義妹にかまけすぎて実妹にキレられるところまで見えた
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 05:45:30.76 ID:5PuXT3HDO
>>573
実妹意外とちょろいし、義妹を遊び相手に与えてれば結構ごまかされんじゃね
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 08:14:06.51 ID:5Km/zelSO
まとめwikiの管理人さんって失踪しちゃったの?
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/19(火) 15:22:57.62 ID:6pyPzM5E0
>>571-572
エルの身長は公式設定が無いっぽい?
180cm弱と勝手に思っていたww

ツレの身長が168cmだけど、それでも大柄の部類になるかな。

ちなみに、「Theかぼちゃワイン」ね。
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/19(火) 16:33:43.61 ID:Xegi8VPt0
日本人男性の平均身長が170cm、日本人女性の平均身長が160cmだったはず
平均より10cm近く上なら大柄と言ってもいいんじゃないか?
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 16:47:39.98 ID:66GU35uDO
平均が160ねぇ
だから日本人はロリ巨乳が多いのか
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/19(火) 17:19:28.91 ID:d3y3RIBKo
>>528
> 「ブリジットちゃん、ちっとばかし電話してえとこがあんから待っててくれ、な」
なんか京介の柄が悪いな。ブリジット相手に『あんから』って……。

> また何か、飛んでもねえことを企んでんじゃねえのか?
空を飛ぶあやせか。着地点はきっと縛られて逃れることのできない京介だなw
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/19(火) 17:35:00.21 ID:d3y3RIBKo
>>528
やべぇ、579で乙忘れてツッコミだけでしてた。申し訳ない。
というわけで、改めて乙でした。次作も期待している。黒猫をw


>>555
乙。面白かった。俺も日向=中猫派だな。粗筋のあの台詞回しからして。

> だってほら、厨二病…だっけ?ルリ姉ってとにかくあんな感じでしょ?あれとフツーに付き合っていられる男の人って、絶対高坂くんぐらいだって!」
> 黒猫…。お前、妹に結婚の心配されてんぞ………。
付き合う=結婚って気が早いな京介……。
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/19(火) 18:07:30.88 ID:CqGW0hT50
>>580
あっ!日向(仮)の台詞が抜けてる!
ご指摘ありがとうございます。wikiに掲載していただいた分はちゃんと訂正しておいたんで…。

やっぱり日向は中猫…だよね?お母さんとかじゃない…よね?
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/19(火) 18:23:39.66 ID:Z7PQk1CGo
>>580
“とんでもない”を“飛んでもない”と表記するのは誤用だったね。
次回は麻奈実の予定なんだ(それも超シリアスな)。
スッゲーつまらないから期待しないでね。
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 18:26:16.97 ID:5Km/zelSO
久しぶりの麻奈実SSか
楽しみ
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 19:42:05.70 ID:66GU35uDO
>>582
ダチョウ倶楽部式のネタ振りにしか見えない
期待
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 22:56:26.67 ID:uUzaBTgIO
>>577
普通に160もないだろ158程度だったはず
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/20(水) 04:15:27.55 ID:stbytuZI0
ふむ、黒猫氏は猫耳を使って平均身長に合わせているということか
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/20(水) 06:51:20.02 ID:stbytuZI0
小ネタ投下します。
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/20(水) 06:53:20.75 ID:stbytuZI0
『やがて この体も 風に』
某有名古本屋チェーン店に出入りしている読者諸兄なら一度は聞いた曲があるであろうこの曲、俺も気になっていたんで、色々、と言っても、gから始まるポータルサイトで調べただけなのだが、今密林で購入しようとしているところだ。
「さて、後は代引きで…。うん、『この商品を購入している人は、他にもこんな商品を購入しています。』?」
画面が小さいのでクリックしてみると、そこには明らかに少女漫画チックな青年、ぶっちゃけるとBLっぽいソフトが…。
『くっ、聞いていないぞ、ガンダム!』
奴隷が俺の気持ちを代弁してくれたようだ。
「まじかよ、この曲って、もともとBL系のイメージソングだったのか。」
無視して、このままCDだけ購入しようと思ったのだが、
『ゲームの内容を確かめもせずBLと断定するとは、それは士道不覚語というものではないかね?』
などと、のたまいやがった。
「おいおい、いくら新撰組がモデルとはいえ、誰がうまいことを言えと。(お前はワナビのラストネームの少年にしか眼中に無いんじゃねえのか?)」
『確かに。私は少年に心奪われた存在だ!だが、同時に乙女座の私にはこのゲームにもセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられないのだよ!』
「はぁ、どうなっても知らねーぞ。」
『構わん。ああ、代金は技術部主任にまわしてくれて構わんよ。』


続かない
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/20(水) 11:47:25.38 ID:I8sbgm1AO
読解力がない俺にはちょっと意味がわからなかった
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/20(水) 12:22:51.20 ID:yimHbN5AO
難易度が高い
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/20(水) 12:38:16.82 ID:pA8t/aqDO
某有名古本屋



某名古屋に見えた
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/20(水) 13:15:30.87 ID:iGtgf1aDO
乙。
伏せ言葉が多すぎて、早水リサのブログみたいだったなww
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/22(金) 17:19:02.40 ID:OYaLBVADO
過疎
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/22(金) 19:17:40.28 ID:6XajQRYSo
そろそろ14話配信だな
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/22(金) 23:18:50.26 ID:m9wEewVIO
どこかに京介×瀬菜ちゃんで純愛ものを書ける猛者はおらんかのぅ。。。
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/23(土) 08:36:39.65 ID:NA6Az4Km0
瀬菜ちゃんはどうしても腐要素入れないと難しいし、でもそれだとギャグっぽくなっちゃうからね
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/23(土) 09:10:14.03 ID:AtE5TPQAO
>>596
腐要素より赤城兄が…ww
別にギャグ入ってもいいんじゃない?
それでも純愛は出来るだろう
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/23(土) 09:17:32.20 ID:fgLBrK/Xo
一回書いたことあるけど瀬菜の書きづらさは異常。書いててキャラが安定しない
俺がへぼいってのもあるが
599 :sage :2011/04/23(土) 09:45:25.37 ID:42Bnh0z/0
>>594
26日だってな
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/04/23(土) 11:25:41.15 ID:B25kNcCk0
配信15話はゲー研が舞台になるが、
今度のホワイトボードには何が書かれるだろう。
「竹澤彩菜」か?
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/23(土) 11:58:03.39 ID:N0GvtP+DO
「仲村悠一」か「ミスター・シスドー」じゃね?
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/23(土) 20:23:22.89 ID:f2RZg3CDo
雑談独り言 ぱふぱふ
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/hikky/1303554036/53

           ,:::-、       __
      ,,r::::::::::::〈:::::::::)    ィ::::::ヽ
      〃::::::::::::;r‐''´:::::::::::::::::::::ヽ::ノ
    ,'::;'::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     l::::::::::::::::::l::::::::::●::::::::::::::●:::::ji
    |::::::::::::::::::、::::::::::::::( _●_)::::::,j:l  クマー!
    }::::::::::::::::::::ゝ、::::::::::|∪|_ノ::;!
.    {::::::::::::::::::::::::::::`='=::ヽノ:::::/
    ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/
      `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ
【ラッキーレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/23(土) 22:32:52.85 ID:kVehkVGKo
まとめWikiの管理人さんが席を外してしばらく経つようですが、
時をほぼ同じくして気になる“まとめブログ”を見つけたんですが……
偶然でしょうか?
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/23(土) 22:35:45.60 ID:kVehkVGKo
>>603のつづき

すみません。気になるって言いながら、URL貼るの忘れちゃって

http://matoneto.net/
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/23(土) 23:51:48.12 ID:ylPD964AO
意味がわからないよ
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/24(日) 00:30:04.90 ID:K0RZsUtDO
>>582の麻奈実SSまで、他の投下はないのかしら?
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/24(日) 01:01:07.73 ID:EukJvy5/0
それじゃあ麻奈実SSまでの繋ぎってことで、ちょっとした小ネタ投下します。
608 :『会いたくなっちゃった』 [sage saga]:2011/04/24(日) 01:01:58.76 ID:EukJvy5/0

ブーッ、ブーッ…

俺が寝床に就こうとしたその瞬間、突然携帯のバイブが鳴り出した。
しかも、すぐに鳴り止まないところから考えると恐らく電話だろう。

ったく…こんな時間に誰だよ?少しは俺の迷惑も……………って、○○からだと?
なんだ、俺の彼女じゃねえか…。


A.麻奈実
B.黒猫
C.沙織
D.加奈子
E.あやせ
F.桐乃

609 :『会いたくなっちゃった』 [sage saga]:2011/04/24(日) 01:02:47.32 ID:EukJvy5/0

《A.麻奈実》


ったく…こんな時間に誰だよ?少しは俺の迷惑も……………って、麻奈実からだと?
あいつが夜に電話してくるなんて珍しいな。

「もしもし?」
『もしもし、きょうちゃん?起こしちゃったかなぁ?もしもそうだったらごめんね…。』
「大丈夫だ。起きてたぜ。まあ、たった今寝ようとしてたとこだったけどな。
それで…突然どうしたんだ?何かあったのか?」
「そっか…寝ようとしてたんだね…。う、ううん!何でもないの!変な電話してごめんね!あの、それじゃあまた明日…」

それまでのスローペースな喋り方から一転、麻奈実は突然テンポを早めて電話を切り上げようとしている。
こりゃ明らかに変だ。『何でもないの』なんて絶対に嘘だろう。
何かありそうだと思った俺は慌てて麻奈実を止めることにした。

「ちょっ、待てよ!そんな風に言われたら余計に気になるだろ?何かあるんだったらちゃんと言ってくれ。
その…お、俺たち、付き合ってるんだからよ。」
『う、うん…。じゃあ言うね。…あのね、えーっと……………』

麻奈実はなんだかやけに恥ずかしがっているような気がする。
そしてこいつの口から出てきたのは、およそ“らしくない”言葉で…。

『きゅ、急に…きょうちゃんに会いたくなっちゃって………。』
「…麻奈実?」
『でも、もういいの!きょうちゃんの声も聞けたから…。おやすみ、きょうちゃ…』
「…いいよ。」
『…えっ?』
「今からそっち行くからちょっと待ってろ。」
『で、でも…時間も遅いし、きょうちゃん寝るところだったって………』
「俺がいいって言ってんだからいいんだよ!着いたらメールすっから、そしたら出てきてくれよ?」
『…ありがと、きょうちゃん。じゃあ待ってるね。』

控えめとはいえ、普段麻奈実がこうやって自己主張することなんて滅多にないんだ。
だからたまにはお願いの一つくらい聞いてやらないとな?

俺は、微笑んだ麻奈実の顔を思い浮かべながら、隣部屋の主を起こさないようにそっと外出仕度を始めた。


(麻奈実編・終わり)

610 :『会いたくなっちゃった』 [sage saga]:2011/04/24(日) 01:03:36.18 ID:EukJvy5/0

《B.黒猫》


ったく…こんな時間に誰だよ?少しは俺の迷惑も考えて……………って、黒猫からだと?
あいつはまだ起きてるのか。でもなんか夜型っぽいもんな。

「もしもし?」
『…先輩、期は熟したわ。』
「…はい?」
『今宵は満月。我々闇の眷属は、汚らわしき天使どもの殲滅を願って定例の儀式を催さなければならないのよ。
…そういうことだから、今から私の“仮の”住まいに来て頂戴。』
「ぎ、儀式?それ…俺も参加しなきゃいけないのか?」
『当然でしょう?私と契りを交わしたあの瞬間から、先輩は夜の使い魔となったのよ?』

何が“仮の”住まいだよ。アレ、正真正銘お前の実家じゃねえか…。
俺の彼女は付き合ってからも相変わらずこんな感じだ。まっ、それも引っくるめて黒猫だから今更どうこう言う気はないけどな。
…だが、ウトウトしてる時にこんな話を聞かされる俺の身にもなってくれ。これから満月の度に儀式なんてやられたんじゃたまったもんじゃねえよ…。

「なあ黒猫…悪いけどさ、その話は今度にしてくれねーかな………」
『なっ!?』
「いや、もう時間も時間だしさ…続きは明日の休み時間にでもゆっくり聞くよ。だから…」
『ダ、ダメよ!今日でなければ意味が…。
…だったら、私が先輩の家に行くわ。それなら文句はないのでしょう?』
「ま、待て待て!お前一人で夜道を歩かせるわけには………あーもう!わかったよ!俺が行くよ!!!」
『そ、そう?わ、わかればいいのよ…。
でも…私の従属とはいえ、急な誘いに応じてくれたことに対してはその………い、一応礼を言っておくわ。』
「ったくお前ってヤツは…。わざわざこんな時間にやらなくてもいいだろ?そんなにその儀式ってやつが大事なのか?」
『…察して頂戴。』
「ん?今なんか言ったか?」
『な、何でもないわ!そ、それより、その……暖かい格好をしてくるのよ?夜は意外と冷えるものなのだから…』

慣れたつもりでいたけど、あいつの厨二病にはたまに困る時があるぜ…。
でもさ、それに付き合っちゃう俺も、“あっちの世界”に片足突っ込んじゃってたりしてな?
まあたまには夜の散歩も悪かないけどさ。
ほら、こうして夜空には綺麗な三日月が………ってあれ?あいつ、儀式は満月にやるとか言ってなかったっけ?

結局黒猫が何を望んでいるのか半信半疑のまま、俺の姿は外の暗闇へと消えていった。


(黒猫編・終わり)

611 :『会いたくなっちゃった』 [sage saga]:2011/04/24(日) 01:04:43.51 ID:EukJvy5/0

《C.沙織》

ったく…こんな時間に誰だよ?少しは俺の迷惑も……………って、沙織からだと?
どうでもいいけど、沙織の名前を見た途端、@ω@みたいな顔文字が頭に浮かぶのは俺だけじゃないはずだぜ?

「もしもし?」
『おおっ、やはり起きておられましたか京介氏!大方、きりりん氏にエロゲ進行を強要させられていた、というところですかな?』
「ち、ちげーよ!そんなワケねえだろっ!!」

そう言いながら俺の目の前にあるPCには『妹と恋しよ♪』がしっかりと起動されている。
こいつの洞察力には恐れ入ったもんだ。

「それはそうと…急にどうしたんだ?何か用か?」
『相変わらず鈍いですな〜。実は拙者、京介氏に会いたくなってしまったのでござるよ〜!今から我が家まで御足労願えませぬか?』
「ええっ?今からお前んちに来てくれってことか?」
『まあ、平たく言えばそういうことですな。』

沙織はなかなかストレートだ。恋人からこんなことを言われるとなんか照れちまう。
…でも、沙織の家はさすがにイチャイチャするような軽いノリで行ける距離じゃねえからな………。

『な、なんだかあまり乗り気ではなさそうな気が…。京介氏は、拙者と会うのが嫌なのでござるか?』
「嫌なわけないだろ!お前がそんなこと言ってくれるなんて嬉しいし、俺もお前に会いたいと思ってるよ。
でもさ…これからはちょっと………。明日学校が終わったらすぐ行くよ!それじゃダメなのか?」
『む〜……………京介氏、実は拙者、たった今シャワーに入ったばかりなのでござるよ?』
「…え?」
『そして無論、我が家には拙者以外誰もおりません!』
「う、うん?」
『…こ、ここまで言っても夜這いをかけに来てくださらぬのですか!?拙者、少しショックでおじゃる………』
「よ、夜這いって!?お、お前なぁ………」

い、いきなり何てこと言い出すんだよこいつは!?
いくら深夜のテンションだからって………いや、沙織はいっつもこんな感じか。

「と、とにかく!明日学校終わったらマッハで行くからさ!明日は二人っきりでどっかデートにでも…」
『拙者は今すぐに会いたいのでござるよぉ………こうなれば、最後の手段っ!しばし待たれよ!!!』
「あっ!おい!!!」

沙織が勢いよく電話を切ってから5分後くらい。
今度は俺の携帯に一通のメールが届いた。


From:沙織
Message:京介さん。やはり私、一人では寂しいですわ…。

むっ…眼鏡なしver.口調で誘うつもりか…。あいつ、ここぞという時は自分のギャップ萌え利用してくるからな………
しかもよく見てみると、『添付ファイル有』の文字が。なんだろう?画像…?
…なっ!?なんだと!?

俺の携帯画面には……………なんと、バスローブを着こんで挑発的な表情を浮かべる沙織(眼鏡なし)の姿が映し出されていた。
もちろん、例の超絶エロい胸元を惜しげもなく晒して。

…一応断っておくが、俺は別に身体目的で沙織と付き合ってるわけじゃねえぞ?
で、でも、これは、これはさすがに――

To:沙織
Message:今すぐ行くからそのまま待っててくれ!


(沙織編・終わり)
612 :『会いたくなっちゃった』 [sage saga]:2011/04/24(日) 01:05:31.91 ID:EukJvy5/0

《D.加奈子》

ったく…こんな時間に誰だよ?少しは俺の迷惑も……………って、加奈子からだと?
だったら仕方ないな。あいつに人の迷惑なんて考えられるワケねえし…。

「もしもし?」
『もしもし京介?つか電話に出るのおせーよ!もうちょっと早く出られねーワケ?
…ところでオメーさ、今すぐ加奈子に会いてーだろ?』
「…は?」

相変わらずムチャクチャなヤツだ…。こんなヤツとそこそこ長く付き合ってるなんて、自分でもスゴイと思うぜ。

『しょうがねーから会ってやるヨ!今から特別にウチに来させてやっから、さっさと準備しろよな!』
「お、おい!お前いきなり何言って…」

…そうか、わかったぜ。こいつ、こんな時間だってのに俺に会いたくなったんだな?まったく、素直じゃねえけど可愛いヤツだ。
どうするかって?もちろん会いに行ってやるさ。
でも…いつものワガママの仕返しに、ちょっとだけからかってやろうかな?ちょっとだけ。

『出来るだけ早く来いよ?か、加奈子だってそんな暇じゃねーんだからサ!』
「…いや、明日も早いし、今日は遠慮しとくよ。」
『はあっ!?加奈子がわざわざこんな時間からオメーに会ってやるって言ってんのに、その優しさを受け取らねーってのかよ!?』
「俺も眠いんだよ。じゃ、おやす…」
『ま、待てよテメー!そ、そんなこと言うんだったらなぁ……か、代わりに他の男呼んでやっかんな!
加奈子と一緒に夜を過ごしたがってる男なんて山ほどいるん…』
「そうか。んじゃ、今夜はそいつらと楽しく過ごせよ。それじゃ、俺マジで寝るから…」
『きょ、京介ぇ…』

…さてと、悪ノリはこのくらいにしてくか。
実のところ、俺はこうして加奈子と電話をしながらすっかり外出準備を整えていた。
普段偉そうにしてるこいつも十分焦ってくれたみたいだし、そろそろネタばらしといこうかね。

「…なーんてな。冗談だよ。今からそっちに行ってやるから少しの間………」
『………ばか。』
「…え?」
『テメー、そんなに…そんなに加奈子に会いたくねえのかよぉ………』
「か、加奈子…?いや、今のはほんの冗談で………」
『も、もういい!テメーとなんか、京介となんか…一生会ってやらねえかんな!!この…バカ野郎!!!』
「いやっ、だから話を聞………ガチャッ!」

俺の弁解も虚しく、加奈子は俺に罵声を浴びせて電話を切ってしまった。
心なしか最後の方は涙声だったような気がする。

その後何度か電話をかけても、加奈子はいじけているのか出てくれない。
ほんの悪戯心だったのに、すげえ申し訳ないことをしちまったな。
やっぱり、慣れないことはするもんじゃねえってことか…。


加奈子に会いたい。いや、こうなったら絶対会わなきゃいけねえ。

その一心で、俺は急いで家を出た。


(加奈子編・終わり)
613 :『会いたくなっちゃった』 [sage saga]:2011/04/24(日) 01:06:12.23 ID:EukJvy5/0

《E.あやせ》

ったく…こんな時間に誰だよ?少しは俺の迷惑も……………って、ラブリーマイエンジェルあやせたんからだと!?
こりゃ寝てる場合じゃねえ!

『もしもし?お兄さん?』
「あやせ、用件はわかってるぜ!急に俺に会いたくなったんだろ!?」
『ええっ?わ、私はただ、寝る前に“おやすみなさい”って言おうと思って…』
「いいっていいって!照れ隠しはその辺にしとけ!!今すぐお前の王子様が駆けつけてやるから、ちょっとだけ待ってろよ!!!」
『あっ、ちょっとお兄さん!?今は両親も寝ちゃってるし、急に来られても困りますってば!!』

ホントは嬉しいくせに、俺の天使も素直じゃねえよなぁ。
戸惑う(フリをしている)あやせの制止を振り切って、俺は気がつくと、寝巻きに上着を羽織って飛び出していた。

待ってろよ!!!ラブリーマイエンジェルあやせたん!!!!!


(あやせ編・終わり)

614 :『会いたくなっちゃった』 [sage saga]:2011/04/24(日) 01:07:36.03 ID:EukJvy5/0

《F.桐乃》

ったく…こんな時間に誰だよ?少しは俺の迷惑も……………って、桐乃からだと?
あいつ、なんだって電話なんか?すぐ隣の部屋にいるのに………

…と、そんな疑問を抱きながらも、とりあえず電話に出てみる俺。


「もしもし?」
『…ねえ、今からそっち行って一緒に寝てもいい?』
「え?いや、別にいいけど…」

そう返事するやいなや急に電話が切れ、すぐに桐乃が枕を持って部屋に入ってきた。

「…きた。」
「お、おう…。そ、それじゃあ、寝るか?」
「う、うん…」

今、俺と桐乃は同じベッドで寝ている。
でもいざこうしてみると何とも気まずいもので、会話がまったく弾まない。
さて、この空気をどうしたもんか………そうだ。この沈黙を打ち破るついでに、さっきの件でも聞いてみるか。

「そ、そういえば…なんでさっきは電話だったんだ?壁越しにでも言ってくれれば…」
「バカ!壁越しに聞こえる声って意外と大きいのよ!?もし下に聞こえたらどーすんのよ!!!」

確かにな…。何かの拍子で下に聞こえちゃマズいかもしれん。

実は、俺と桐乃が“兄妹”から“恋人”になったのはついさっきなわけで…。まだ当然両親に報告なんてしていない。
そりゃいつかは言わなければならないことくらいわかっているのだが………さすがに、『今日付き合って今日報告』ってのは、何となく早すぎるような気がしたのだ。

「でもさ、だったら電話なんてかけなくても最初からこうやって直接…」
「う、うるさい!そ、そんなに電話に食いつかなくてもいいでしょ!?
だって……『今日から兄貴と恋人なんだ』って思ったら、直接言うの恥ずかしかったんだもん……………」
「桐乃…」

そういえばそうだよな。今日からこいつは俺の妹であり、俺の彼女でもあるわけだ。
なんかそんな風に意識したら、急に俺も恥ずかしくなってきちまったじゃねーか…///

「こ、今度からは、いつでもこうやって来てくれていいんだからな?一々電話なんて必要ないんだぞ?」
「だからもう電話の話はいいって!
…でも………ありがと。おやすみ、兄貴…」
「ああ。おやすみ、桐乃…」

それからちょっとすると桐乃がスウスウと寝息をたて始めたが、こっちは何だかドキドキしちまってなかなか寝付けない。
結局俺は桐乃の頭を撫でながら、しばらくその愛らしい寝顔を見つめていた。


(桐乃編・終わり)

615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/24(日) 01:08:09.88 ID:MZBH/PWMo
>>603
一応、居るみたいだよ。
数ヶ月前にメンバー登録の申請したらちゃんと対応してくれたからね。
しかしメンバーだと既存のページを消せないんだよな……。
まとめた時の余分なダブりを消したりしたかったんだが。
まあ、他にもやりたいことはあって、そっちはできるから問題ないんだけどね。
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/24(日) 01:10:49.38 ID:EukJvy5/0
以上です。
もうなんか全体的にボツネタ集なんですが、あくまで繋ぎってことでお許しを…
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/24(日) 01:16:50.91 ID:MkYTU1rAO
>>616
乙乙乙乙乙乙ッ
電話それ自体を取り上げたエピは安定感あって良いね。
あやせの場合だけ京介が明らかにアレで吹いた

あと何人かいるなぁ…ゴクリ
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/24(日) 01:17:45.88 ID:5IJJCRdYo
>>616
さあ、早く続きを書くんだ
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/24(日) 01:29:43.88 ID:8BGftx5r0
>>616天才ってやつか……

また頼むぜ
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/24(日) 01:39:28.05 ID:+a1ZPpoDO
あやせにだけテンションの上がり方がww
新刊でもセクハラすんのかなー
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/24(日) 01:53:46.67 ID:DtJ2Vd2No
赤城ルートはー?
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/24(日) 02:06:40.77 ID:8smtzsvX0
>>621
瀬菜ちゃんホーム
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/24(日) 05:26:04.22 ID:iJ70sQQSO

加奈子√は続くんだよね?
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/24(日) 21:22:25.69 ID:yQlhcNtDO
黒猫の儀式とさおりの写メはまだか
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/25(月) 10:56:48.25 ID:lGAVlfkj0
こんな昼から投下させてもらいます
麻奈美が出るけど>>582さんとは違ってシリアスの欠片も見当たらないんだな
626 :チキンと地味子の急展開 [sage saga]:2011/04/25(月) 10:58:10.42 ID:lGAVlfkj0


その日も俺は深く考えずに田村屋に向かい、麻奈美の部屋に入った。
特にやることも無いので、仕方なく参考書を開き、幼馴染み様にご教授の程を賜っている。

「ふわ〜あ……結構時間経ったか?」

「うん。きょうちゃんも今日は、集中してやってたね」

「ああ、なんだかんだでテストも近いしな。今のうちに積み重ねとこうと思って」

「きょうちゃん偉いね〜。いい心掛けだと思うよ」

「まあ、麻奈美と一緒じゃないとこうはいかないんだけどな」

 自分で言った通り、俺は幼馴染みが居ないとロクに勉強をしない傾向がある。
もし麻奈美が居なければ、テスト直前にひーこら言いながら必死に勉強している
だろう。

 改めて言うのもなんだが、俺の幼馴染みは本当に素晴らしい。
俺のことを気遣ってくれるのはもちろん、その時その時に必要なモノを的確に与えてくれる。
それはねぎらいの言葉だったり、厳しい指摘だったり、たまには甘いお菓子だったりする。
そんな幼馴染み様に、俺は昔から甘え続けていた。

 ただ、それはあくまでも幼馴染みという関係であり、決して男女の関係ではない。
よく周りから付き合っているのか、と聞かれるが、俺はその質問にノーと言い続けている。
その答えに周りは嘘だ、と言うが事実なのだからしょうがない。
そしてその後に必ず続くのが、付き合う気はあるのか、という質問だ。

 この質問に関しては、俺はごまかし、はぐらかしながらやり過ごして来た。
正直、答えられないのだ。俺と麻奈美が付き合う?
それは手を繋いだり、キスをしたり、あんなことやこんなことをしたりするというのか。
そんなピンク色のイメージが出来ないから、俺は麻奈美と付き合わないのだろう。

 ただ、麻奈美が俺以外の誰かと付き合うというのには、非常に抵抗がある。
非常に抵抗がある、なんて格好付けた言い方をしたが、はっきり言って嫌だ。
っていうか信じられねえ。麻奈美が? 俺以外の男と? あんなことやこんなこと?
ふざけんな、と言ってしまいたくなる。

 ああ、どうしようも無い我が儘なんてことはわかっている。
恋人でも家族でも無い俺が、麻奈美の恋なんかに口を出せるわけが無いからな。
それでも俺は、麻奈美が誰かと付き合うのを許せない。
じゃあ、やっぱり好きなんじゃないかって?
……違うんだ、何って言ったら良いかはわからないんだが違うんだ。
こう、うーん……独占欲……じゃなくて、ジャイアニズムでもない……ええっと……。
ああ! もういい、とりあえず麻奈美が誰かと付き合うのは嫌だ!
理由無し、考え無し、ただの男子高校生の理不尽な我が儘と受け取ってくれ!

627 :チキンと地味子の急展開 [sage saga]:2011/04/25(月) 10:59:30.17 ID:lGAVlfkj0


「きょうちゃん、なんだが眠そうだね」

「ああ……ちょっと最近夜更かしが続いちまってな」

「へえ〜、何してるの?」

 妹に色々するエロゲーです!

……なんて言えねー、絶対言えねー。
さすがの麻奈美でも、これには苦笑いどころかドン引きするだろうな。
くそっ……桐乃のヤツめ、また新作が出たとかでエロゲーを五本も寄越しやがって。
「全部コンプしなきゃ許さないから」、じゃねーよ!
何が悲しくて夜な夜なエロゲーに勤しまなきゃならねえんだ!
ふざけるな、私は一人で寝させてもらうぞ、なんて台詞はもちろん言えない。
ただただ、妹様から賜った至高のエロゲーを涙を流しながら夜更かししてクリアする。
そんなんで学校に行くわけだから眠いのも無理は無いよな。

「まあ……色々あってな」

「そっか〜、大変なんだねえ」

「そういうことにしといてくれ。……しかし眠い。なあ、麻奈美」

「なに、きょうちゃん?」

「ちょっと寝させて貰ってもいいか?」

「えっ!? え〜っと……うーん……」

「ああ、さすがにダメだよな。悪い悪い、じゃあ家帰ってから寝るから今日は」

「だ、ダメ! 帰っちゃうのはダメ!」

 あれ? 今日の麻奈美さんはなんだかいつもと様子が違いますよー?
こんな大声聞いたのは久しぶりかもな。

「あ、ご、ごめんね。急に大声出しちゃって……」

「い、いや、別にいいんだけど……どうしたんだ?」

「あの……今、眠いんだよね?」

「ああ、だから寝たいから帰ろうかなあなんて」

「だ、だから……その……」

 なんだろう、この目の前でモジモジする生命体は。幼馴染み科の新種だろうか。
なんてふざけた事考えてる俺も、少しは動揺してるのかもな。
しかし、その後の麻奈美の台詞にはさすがに動揺を隠せなかった。

「一緒に……寝よう?」

「……へっ?」

 上目遣いの幼馴染み様はトンデモ発言を宣われました。
628 :チキンと地味子の急展開 [sage saga]:2011/04/25(月) 11:00:13.30 ID:lGAVlfkj0


……あれ? 桐乃のヤツ、妹もの以外にも幼馴染みもののエロゲーも混ぜてたのか。
つまりこれはエロゲーなんだな、きっと。
まさか麻奈美が上目遣い+赤い顔+ちょっと涙目+眼鏡なんて完璧なコンボを…
…って麻奈美はもともと眼鏡だろうが!


「きょ、きょうちゃん? 黙っちゃってどうしたの?」

「はっ……! いや、何でもない。ところでおまえ、今……」

「あの……ほら、きょうちゃん前もわたしの部屋で寝ていったし、前に泊まったりもしたから。
 だから別にわたしの布団で寝てもおかしく無いよね?」

「いや、今おまえ、一緒にって言ったよな?」

「そ、それは……わたしも眠いんだけど布団はちょっと今は一つしか無いから…
…」

「じゃあやっぱり俺は帰るとす」

「それはダメ!」

「……えー」

「うう……えっと、だからやっぱりわたしと一緒に……」

 どうやら麻奈美は俺と一緒に布団で寝たいらしい。
これだけ書くと物凄くアレなんだが、麻奈美と俺の関係ならコレもありなのではとも思える。
なぜなら、何も起こらないという確信があるからだ。
むしろ落ち着いて寝られるかもな。こいつの近くに居ると落ち着くし。

「はあ……わかったわかった。狭くなるかもしれんがご一緒させてもらうよ」

「えっ、本当に?」

「本当に本当に本当だ。ほら、さっさと寝てバッチリ睡眠取るぞ」

「う、うん!」

 そんなこんなで俺は麻奈美の布団に一緒に入ることとなった。
まあそれが間違いっちゃ間違いだったんだけどな。
629 :チキンと地味子の急展開 [sage saga]:2011/04/25(月) 11:01:12.79 ID:lGAVlfkj0


「よいしょ……やっぱり狭いねー」

「だから言ったじゃねえか」

「うん、でも悪くないかも」

「……意味が良くわからんがほっとこう」

「あ〜ひどいよ。それにしても、きょうちゃん逞しくなったね」

「ああ……? まあ逞しくって程ではないけど、成長はしてるからな」

「成長期だもんね、いいな〜」

「いいな〜……って、なんだよ。おまえも成長したいのか?」

「う、うん。女の子には色々悩みがあるんだよ」

「女の子? お婆ちゃんの間違いじゃねーの」

「きょうちゃん、相変わらずひどい……」

「はいはい、さっさと寝ようぜ」

 そう言ってから俺はすぐに眠りにつくことが出来た。
麻奈美もおそらく一緒ぐらいのタイミングで寝たのだろう。

「……ううん、おー、寝たなあ……」

 有り得ないくらいリラックスして寝ていた、とは起きてからわかった。
おかげで疲れもいい感じに取れ、なんだか体も軽い。ちょっと左腕が痺れてるのが不思議だけどな。
もしかしたら我が幼馴染みからは、リラックスさせる何かが発せられているのかもしれない。
さて、その幼馴染みは……。

「まだ寝てるか……気持ち良さそうに寝てるな」

 こいつ、眼鏡をかけたまま寝ちまったのか。
って気付いたら俺の腕が枕にされてるよ。ちょっと重いと思ったのはこれが原因だな。

「ううん……きょうちゃん……」

 ……寝言か。夢の中でも俺を呼びやがって。二人で縁側でお茶飲んでる夢でも見てるのかもな。
十人並みとは前に言ったが、寝顔はなかなか可愛……いかんいかん、寝起きだからか変なことを考えてしまった。

「……きょうちゃん……」

 はいはい、きょうちゃんはここに居ますよー。それにしてもこいつ、本当に気持ち良さそうに――、

「……すき……」

 ……はい? 何か聞き慣れない単語が聞こえたような気が。

「……きょうちゃん……すき」

 鍬? 鋤? 隙? なるほど、夢の中で俺と麻奈美は農業をしている。
そして俺の鋤の使い方が隙だらけだ、と言いたいのだろう。
ハハハ、こやつめ、なかなか愉快な夢を見やがって。

「きょうちゃん……だいすき」
630 :チキンと地味子の急展開 [sage saga]:2011/04/25(月) 11:02:00.48 ID:lGAVlfkj0


 ……ああ、薄々は感づいていたさ。
その「すき」は「好き」なんだろうって。
いくら俺でもこの「好き」の言い方を取り違えたりはしない。
これは、Lの次がOの「好き」だろう。

 思えばそういう雰囲気が無かったわけじゃない。
クリスマスを一緒に過ごしたこともあるし、修学旅行や運動会、卒業式なんかも一緒だった。
そんな長い時間を過ごして、いわゆる男女のいい感じな雰囲気がゼロだったなんてことは無い。
なんとなく見つめ合ったり、手が触れたり、そんなことも一度や二度では無かった。

 それでも俺達は、この「幼馴染み」という関係を続けてきた。
この関係は非常に楽だ。お互いを気遣いながらも下心という下衆なモノが一切無い。
打算なしの緩くて暖かい関係、それが俺と麻奈美の全てだった。

 ただ、そんな関係がいつまでも続くとはもちろん思っていない。
いつか二人のどちらかに恋人というものが出来れば、この関係を今まで通りに続けることは不可能だ。
何も気にせず、かつ心配し合う。これは今しか出来ない。
だからこそ、俺達は「幼馴染み」として二人で歩き続けた。

 その二人が、もし「恋人」という関係になってしまったら。
はっきり言おう、俺はそれが怖い。
今までみたいな関係が終わってしまう、なぜだかそんな考えを俺はいつからか持つようになった。
俺のことに関しては勘のいい麻奈美のことだ、きっとこんな俺の考えも気付いているかもしれない。
それでもこいつは何も言わず、ただ俺と「幼馴染み」を続けてくれた。

 ああ、寝起きだからな。こんな変なことを考えちまったのかもしれない。
でも、多分これは正解だ。今の俺の素直な気持ちがこれなんだろう。

 さて、自分の気持ちに気付いたところで、俺は何をすればいいのだろうか。
自覚したばかりだが、俺は相当なチキン野郎だ。
いきなりこの関係を変えることは出来ないだろう。
改めてその麻奈美の顔でも眺めてみるか。

「……すー……」

 うんうん、人の気も知らないで良く眠ってるよコイツ。
なんだろう、なんだか無性に悪戯したくなってきた。もちろんそういうのじゃ無いヤツだぞ。
まずはこの鼻でも……おおっ。

 俺の視線は今、一点で止まっている。
その場所は、麻奈美の唇だ。
なんだかプリッとしていて触ると気持ち良さ……ああ! マズい、意識したら余計にマズいぞ!
……でも、もしこの唇と俺の唇が……うおお! 落ち着け、落ち着くんだ!
一度麻奈美への思いを確認した後にこれは拷問だ。生き地獄と言ってもいい。

 ……ダメだ、もう麻奈美を起こして帰ってから水を頭から被るしか無――、

「きょうちゃん……すきだ……んっ」

 気付いた時には遅かった。目の前に麻奈美の顔がいっぱいに広がっている。
その距離は数センチ、そして唇と唇に至っては――ゼロ。

 ああ、悪いか、悪いよな。俺は寝てる幼馴染みにキスしちまったんだよ。
本当にチキンだな、俺。我慢出来なかったとはいえ、これは無いよな。

 ……悪い、麻奈美。いつか必ずちゃんと言う。それまでこれは秘密にさせてくれ。
そう思いながら俺は、麻奈美の頭の下から左腕を抜き、布団から出た。
寝た状態から座った形に変わり、立ち上がろうとしたその時。
後ろから声が聞こえた。

「きょうちゃん……キスだけでやめちゃうの?」
631 :チキンと地味子の急展開 [sage saga]:2011/04/25(月) 11:02:44.61 ID:lGAVlfkj0


「ま、麻奈美!?」

「……ごめんね。わたし、起きてたんだ」

「えっ……? ってことはまさか」

「うん……あれは寝言じゃないよ」

「あ、ああ!? しかもそこから起きてたって……つまり」

「……キスって、気持ちいいね」

 そう言った麻奈美の頬は赤らんでおり、いかにも照れくさそうだった。

 なんてこった……あの寝言は全部意識的にやったもので、しかもキスしたのももちろんバレている、なんて……。
恥ずかしさと何とも言えない気持ちで叫びたくなってきた。っていうか叫ばないとやってらんねー!
そんな感じであー、だとかうー、なんてやってた俺に麻奈美はさらに追い討ちをかける。

「えっと……キスしたってことは、きょうちゃんもわたしと同じ気持ちなんだよね?」

「うっ……」

 痛いところを突かれた。
この状況でそれは否定出来ないし、否定しないイコールそれはつまり俺も麻奈美を好きっていうのと一緒なわけだ。
いや、確かにぶっちゃけ好きですよ? ああ……ついに好きって自覚しちゃったよ。
なんとなく意識の中でも「好き」って単語は出したく無かったんだけどな。
ただ、自覚したばかりのこの気持ちを今すぐ麻奈美に言う気にはなれない。
何故かって? 俺はチキン野郎なんだよ、察してくれ。
そんなチキン野郎を幼馴染み様は逃がそうとはしない。

「違うの?」

「あー……その、ほら。キスってどんなもんかなあって、興味湧いてさ!
 で、ちょっと魔が差したっていうかそういうヤツでな。決して好きとか……」

 何このヘタレチキン。キスしといて魔が差したなんて良く言えるよな。
まあ、俺なんですけどね! ……いや、本当に気が動転しただけなんだよ。

 多分、麻奈美はこう言ってしまえば「そっか〜」っで終わらせてくれるはずだ。
とりあえずこの場はこれで終わらせておきたい。
でも、そんな事許されるわけが無い。さすがの麻奈美もこれは無理だってわけだ。

「きょうちゃん……わたし、そんな都合のいい女の子じゃないよ」

「……えっ?」

「一緒に居たい時に居て、キスしたい時にキスする……。
 そんな、きょうちゃんの都合だけでいいようにされるような女の子じゃない」

「麻奈美……」

「わたしは……きょうちゃんとこういうことがしたかった。
 ううん、きょうちゃんとじゃなきゃ嫌。他の男の人なんて考えられない……」

 麻奈美は少し目に涙を浮かべながら俺に言った。
その目は真っ直ぐに俺を見つめ、微動だにしない。

「きょうちゃんは……どう? わたしが他の男の人とキスしたりするの、想像できる?」

「俺は……」

 ここまで麻奈美に言わせちまったんだ。
いくらチキン京介と言えども、もう自分に嘘は吐かない。
632 :チキンと地味子の急展開 [sage saga]:2011/04/25(月) 11:03:55.37 ID:lGAVlfkj0


「……嫌だ、麻奈美が他の男と一緒に居るのなんか見たくねえ。
 俺以外の男と二人っきりとか絶対許さない。っていうか無理だ。
 しかも、おまえが俺以外の男とキス? ……ふざけんな! そんなの想像できるわけねえだろが!!」

 一気にまくし立ててみたが、これは酷いな。
醜いってもんじゃない、自分で言ってて吐き気がする。
悪いな、麻奈美。
おまえの幼馴染みは独占欲と我が儘が強いヘタレチキンの最低野郎だったみたいだ。
それでも、麻奈美はそんな汚い俺を相変わらずの笑顔で受け入れてくれる。

「そっか……わたし、嬉しいよ。きょうちゃんもわたしと同じこと考えてくれてたんだね」

「……ああ、そうだよな。おまえはいつでもそうやって、俺を包み込んでくれてたんだ」

「わたしも……きょうちゃんが隣に居るから、こうしてきょうちゃんの前で笑顔
で居られるんだよ」

 なんだ、簡単なことじゃねえか。
俺と麻奈美は変わらない、変わるわけがないんだ。
「幼馴染み」が「恋人」に変わろうがそんなのどうでもいい。
俺が居て、麻奈美が居る。それだけで俺達は十分だった。
もう迷うことも恥じることも無い。ただ、ありのままを伝えよう。

「麻奈美……」

「……うん」

「おまえは、これからも俺の側に居てくれ。そして笑っていて欲しい。
 俺もおまえの側にずっといる。……だから、俺の我が儘を受け入れて欲しい」

「……いまさらそんな当たり前なこと言われても、何もわたしは変わらないよ。
 ずっときょうちゃんの側に居続ける。今までも、そしてこれからも」

「……ありがとう」

 そう言って俺は再び麻奈美との距離をゼロにした。
今度は……間違って無いよな?

「……えへへ」

「はあ……言っちまったよ。でも、なんかいいな……こういうの」

「そうだね。ところできょうちゃん……」

「ん? なんだよ」

「えっと……さっきのって、ぷろぽーず、なのかな?」

「なっ……!」

 そんな感じで俺の顔が真っ赤になって、麻奈美はそれを見て笑った。
おそらく、こうやって今まで通りに過ごして行くのだろう。
うん、悪くない。むしろ最高だな。

「ねーねー、どうなの〜?」

「うるさいっつうの!」
 


    end
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/25(月) 11:06:34.09 ID:lGAVlfkj0
以上です。あれ、二人しか出てないぞ。俺は沙織が好きなのに
なんかいろいろアレですが大目にみてください。どうも失礼しました
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/25(月) 11:23:34.04 ID:EM1Kjqjko
おつーです

俺妹はどのキャラも魅力的だからもちろん麻奈美も好物でした
ただ心が捻じ曲がってるせいで、どこで暗い話を加えたら面白いかなとか考えた俺は黒猫に踏まれるべき

沙織が好きなら沙織も書いていいのだよ?ネチョもグチョもヌルヌルも入れてもかまわんよ?
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/25(月) 11:58:42.90 ID:4NuSiGy2o
>>633
乙でした
沙織が好きとか仲間ですね、好きなように書いていいんじゃよ?チラッチラッ

>>634
エロ描写なんか突っ込んでいいのここって?
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/25(月) 12:03:02.91 ID:5Oq+6wWHo
乙。積極的な麻奈実は珍しい

>>635
投下前に断り入れればいいらしいぞ


誰かブリジット√書いてくれないかな(チラッ
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/25(月) 13:29:35.79 ID:snDzQBRDO
>>633
乙!
幼なじみとの約束で東大めざすような世界からオタクになった身としては、こーゆー幼なじみ物は大好物だ
幼なじみと恋人との微妙な距離感いいよな! まぁ上のはそーゆー距離感とは違うベクトルな上、内気な後輩好きだったが……


>>636
ま た お 前 か

いいぞもっと言え
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/25(月) 13:38:58.37 ID:lUKKRg5To
誰かブリジット√書いてくれないかな(ギロリ
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/25(月) 13:44:48.84 ID:phgdR3eAO
乙だけど名前間違ってる…
麻奈美じゃなくて麻奈実ね
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/25(月) 13:50:50.41 ID:IVPwEOYSO
周期的に発生するブリジット需要ww
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/25(月) 13:51:45.03 ID:9GJ7+fBy0
もはや名前直すまでかテンプレ
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/25(月) 13:54:03.79 ID:Ph2Hp7SAO
あちゃー、真奈美と間違えてて全部直したおkと思ったらこれだよ…orz
一から原作読み直して来ますまじすんません
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/25(月) 19:53:02.85 ID:co1j+f690
安西先生、リアルートが見たいです・・・
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/25(月) 20:14:47.33 ID:znmFaeFz0
たまに発生する幼女ブームか

誰か珠希ちゃんルート書いてくださいお願いします
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/25(月) 20:24:34.09 ID:9hOdiReAO
>>633
GJ
ベルフェゴールさんマジ策士
京介はもっと幼なじみの有り難さを身に沁みて感じるべき
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/25(月) 23:08:39.38 ID:GGp1DpXAO
周期的な需要はブリジットのみかと思っていたが、幼女全般に及んでいたとは……
このスレにはロリータ循環なるものが存在するのかもしれないな……
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/04/25(月) 23:12:29.03 ID:cvepDx3Lo
そろそろ8巻もでるけど8巻予想SS書いた人の続編は発売前にはこないのかな…
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 07:28:10.00 ID:p3Px2PnSO
ロリ組もいいけど,最近桐乃と黒猫のSSも少ない気がする
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/26(火) 07:59:37.97 ID:ljmE+jFAO
あやせがいればいいんじゃないですか?
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 09:43:41.92 ID:p3Px2PnSO
それもそうだな
あやせがいればいいや
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 11:32:46.99 ID:l2hHVVZYo
俺も珠希ちゃん√キボン
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/26(火) 15:18:25.86 ID:owxBEH6G0
配信14話、地上波じゃ石原的に絶対放送できない単語を連呼しまくってたなw
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/26(火) 15:44:52.19 ID:8WWfEGEqo
クンニやら[田島「チ○コ破裂するっ!」]やら連呼してたアニメもあるくらいだ
あの程度ならどうってことあるまい
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/26(火) 16:47:32.26 ID:Nt0bIvZB0
>>633
乙です
麻奈実が策士になったら最強ですな
次回も期待してます

>>648
桐乃は個別スレで大量にあるし、黒猫モノはエロパロスレで賑わってるみたいだし…
要するに、今ここでは幼女とあやせが求められている…みたい
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 16:53:42.33 ID:7Y8X14qDO
それでも俺は、沙織と瀬菜ちゃんを求め続ける。
自分じゃ書かないけど。
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 17:58:10.09 ID:YVbv6q8DO
>>665
YOU!書いちゃいなYO!
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 19:11:00.79 ID:SeIPMC4Uo
幼女が一堂に会するネタを思いついたが、口調が判らんので思いつかなかったことにした
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 19:47:22.77 ID:7Y8X14qDO
>>665
それ、面白そう!
書いてくださいお願いします!!
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage]:2011/04/26(火) 19:54:31.47 ID:LxHTeMa40
おいおい>>665にそんなプレッシャー与えてどうするんだ君たちはww
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/26(火) 20:56:08.48 ID:VcJeI+Sm0
リアとブリジットの3Pなら考えたこともある
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/26(火) 20:57:03.99 ID:Oa1G/+gZo
ひゃっはー今からサフ吹いてそれから塗装だー!
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/26(火) 20:58:23.84 ID:Oa1G/+gZo
ごめん誤爆。わざとじゃないんだ許して
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 21:06:35.99 ID:SeIPMC4Uo
>>665
奇才現る
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/26(火) 21:11:42.49 ID:3FEONJaJo
踏み台だあああああああああああああああああああああああああああああっ!!
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/26(火) 21:32:53.59 ID:kQrvVSHl0
 
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/26(火) 21:36:24.46 ID:PnxCnbFAO
無責任に未来に期待しても、そこには失望しかない
そのことを彼は教えてくれた、そうだろう?
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/26(火) 21:38:29.21 ID:3FEONJaJo
未来は自分で切り開け。面白いSSが読みたいなら自分で書け。
つまりはそういうことか……。
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/26(火) 21:48:20.90 ID:44C5UywAO
なんで深イイ話の流れになってるのwwww
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 21:57:03.19 ID:SeIPMC4Uo
描かれた絵画よりも、真っ白なキャンバスこそが無限の可能性を秘めているということか
なるほどね
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/26(火) 22:00:26.54 ID:3FEONJaJo
>>669
ミロのヴィーナスは腕が無いからこそ美しい。それと同じというわけですね。
深イイ〜話ぃ〜♪たったいっぷんでぇ〜♪
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 22:02:19.50 ID:q6h5QImho
このスレの住人はなんてポジティブなんだwwwwwwwwww
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/04/26(火) 22:07:49.97 ID:a3+g2ejAO
病院の窓の話思い出したわ、実は窓の外に見えるのは壁だったってやつ
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/26(火) 23:01:00.32 ID:Nt0bIvZB0
またまた繋ぎってことで、即興で書いたブリジット(?)の話投下します。
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/26(火) 23:02:35.83 ID:Nt0bIvZB0
「ごめんなさい、ごめんなさい…」

イベント終了後、ブリジットはスタッフの人たち一人一人にとても申し訳なさそうに謝っている。

今日のコスプレイベントにはちょっとした寸劇があったんだが、その中で、芝居が一瞬止まるというちょっとしたアクシデントが起こった。
原因は………そう、他ならぬブリジットが台詞をド忘れしてフリーズしちまったからだ。
ブリジットがミスるなんて珍しい。観客もいつもより多かったし緊張していたのかもしれない。
まあ、加奈子が見事なアドリブを発動したおかげで、イベント進行には全く影響はなかったんだけどな。
認めるのはやや悔しいが、アイツには一種の才能のようなものを感じざるを得ない。
チンチクリンだけど容姿だって悪くないし、これでアレさえなければ……………

「ったくよぉ…台本くらいちゃんと覚えとけっつーの。これだからガキと一緒はヤなんだよな!」
「か、加奈子!?」
「なんだよクソマネ?なんか文句あっか?おいブリジット!オメーのピンチを救ってやった加奈子様に超感謝しとけよ?
んじゃ、加奈子はおっ先〜♪」
「お、お前なぁ…」
「ごめんね、かなかなちゃん…。本当にごめんね………」

…ほらな?言ってる側からこれだよ。俺が目で『やめろ』って合図送ってもお構いなし。
このクソガキ、ブリジットを責めるだけ責めて帰りやがった。なんて性格の悪いヤツなんだろう。
相手は小学生なんだぞ?こういう時くらい年上として優しい言葉かけてやれねえのかよ?俺だったらこいつにだけは絶対に助けられたくねえな…。


…と、そういうわけで加奈子が帰ってしまった今、部屋には俺とブリジットだけが残った。
ブリジットはしょんぼりして俯きながらベンチに座ったままだ。
何となく声をかけにくい雰囲気だけど、このままこいつをほったらかして帰るなんて俺には出来ねえ。
とりあえず俺は、ブリジットの隣にゆっくり腰掛けた。

「な、なあブリジットちゃん?そんなに落ち込まなくてもいいんじゃないかな?ほら、イベントだってちゃんと成功しただろ?」
「………。」
「か、加奈子だって、あれはアイツなりの激励っていうかなんていうか…。きっとさっきのも………」
「………。」

自分では精一杯の明るくて優しい声を出したつもりだったが、ブリジットから反応はない。
この子は小さいながらに真面目で純真な子だ。
前述の通り、犯したのは大したミスじゃないんだが、きっと必要以上に気にかけてしまっているに違いない。
…でもそう言えば、誰かが言っていたな。『落ち込んでる人に余計な慰めは逆効果だ』って。
だが、ここまで来たらもう後には引けない。俺は必死にブリジットを慰める言葉を模索していた。
こんな時ってどうすりゃいいんだろう?昔、桐乃が泣いていた時俺はどうしてたんだっけ?いや、でもそもそも桐乃とブリジットじゃタイプが違うし……………

なんてことを考えながらふとブリジットの方を見ると、俺は段々こいつの顔が崩れていくのに気がついた。そしてついに、その目にはジワッと涙が浮かんできて――

675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/26(火) 23:03:20.22 ID:Nt0bIvZB0

「ふえぇぇぇん……マネージャーさぁ〜ん!!!」
「うおっ!?ブ、ブリジット!?」

俺は思わず焦って声を出しちまったよ。部屋に他のヤツがいなくて本当によかった。きっとすごく間抜けな様子だっただろうからな。
…え?何で声出したかって?そりゃお前………きゅ、急にブリジットから抱きつかれたからだよ………。

「…ひぐっ…うっ……マネージャーさぁん」

俺の胸の中で、しばらくの間わんわん泣き続けるブリジット。
こうなると益々どうしていいかわからない。俺に出来たのは、ぎこちない手つきで頭を撫でてやることくらいだった。

「わ、わたしのせいでみんなに迷惑かけちゃって…も、もし嫌われたりしちゃってたら………ふぇっ……ひぐっ………」
「ブリジットちゃんがいつもちゃんと頑張ってるのはみんな知ってるよ。だから誰も怒ったりしてないだろ?
 こんなんで嫌われたりするわけないじゃないか。」
「そ、それに、わたし…おうちでも頑張って練習したのに………」
「しょ、しょうがねえよ!ド忘れしちゃうことなんて誰だってあるし、運が悪かっただけだって!
 …そうだ!確かさ、明日も同じイベントあるんだろ?だったらその時にリベンジしてやればいいんじゃねえか?」
「で、でもっ、明日も失敗しちゃうような気がして……うう………」

…ダメだ。こんなに弱気で元気のないブリジットはもう見たくねえ。
今までこの子は小さいながらに俺のことを気にかけてくれてたってのに、こういう時に何もしてやれないなんて…。

この子を、何とかして元気付けてやりたい。

そう思うと、咄嗟に俺は………俺は、思わずブリジットを抱き締めていた。


「…マネージャー………さん?」
「大丈夫だよ!ブリジットちゃんなら明日は絶対イケる!俺が保証する!!だからもう泣くな!!!」

突然の抱擁に驚いたのか、その瞬間、ピタッと泣き止むブリジット。
それは自分でもまったく予想外な行動で、どうして急にブリジットを抱き締めたのかはよくわからない。
でも、こうなってくると自分でも勢いは止められなくなってきていて…。
気がつくと俺は、また変なことを口走ってしまっていた。

「で、でも私…あんまり自信が………」
「じゃ、じゃあこうしようぜ!もし明日ブリジットちゃんがリベンジ出来たら………俺、1個だけブリジットちゃんの頼み何でもきいてやるよ! だから………」
「…ほ、本当ですかマネージャーさん?本当に、何でも………?」
「お、おう!何でもだ!何でも、ブリジットちゃんの好きなこと言ってみてくれ!!」

…と、勢いで言っちまったはいいが、もちろん俺はその後をまったく考えていなかったわけで。
なんかとてつもないことお願いされたらどうしよう?まあ、加奈子と違ってブリジットだからそんなに酷いことは言わないと思うけど…。
しかし、そんな心配を他所にブリジットが出してきた要求は、俺の予想の斜め上で……………

「そ、それじゃあ、そのぅ……マ、マネージャーさんに、ギュッてしてほしいです………」
「え……?」
「も、もう一回、こんな風に、私をギュッてしてください!」
「ギュッて…お、俺が!?」
「…ダメですか?」

…いや、ダメじゃないよ?ダメじゃないけどさ…。
それって結構恥ずかし「や、やっぱり、ダメなんですか………?」……うっ!?

こっちを見上げながら、潤んだ瞳で訴えかけてくるブリジット。その様子を見たら、さすがのヘタレの俺も、こりゃもう断れねえって思った。
それにさ、誰かが言ってただろ?『男に二言はない』ってさ。俺も自分で言ったことにはちゃんと責任は持たなくちゃな。

「わ、わかった。もしブリジットちゃんが明日リベンジ出来たらその………ギュッてすればいいんだな?や…約束する。
 その代わり、ブリジットちゃんもいつまでも泣いてないで元気出してくれよ?」
「は、はい!もう泣きません!マネージャーさん、約束ですよ?私、明日は絶対失敗しないように頑張りますから!!」

俺がOKするとブリジットは顔をパッと輝かせ、ようやくニコッと笑ってくれた。
これこれ!ブリジットはやっぱ、この笑った顔が一番いいんだよ!!
こ、これがまた見られるんなら……な、何回ギュッてしてもいい………かもな?

…さて。そういうわけで、俺は明日のステージを色んな意味でドキドキしながら見守ることになりそうだ。



(終わり)
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/26(火) 23:03:52.42 ID:Nt0bIvZB0

ツカツカツカツカ…

って、なんだ?足音?

バタン!!!

それはあまりに突然で、俺は最初まったく反応出来なかった。
なんと控え室に、さっき帰ったはずの加奈子が飛び込んできたのである。

「や、やいブリジット!オ、オメーにはどうせハナッから期待してねーし、オメーがちょっとぐれーミスったって加奈子様が何とかすっからいいんだよ!!
だ、だから……そんな風に、いつまでもウジウジしてんじゃ……………って、テメーら何やってんだよ!?!?!?」

勢いよくドアを開けて戻ってきた加奈子は、デレセリフの途中で硬直した。
まあ、そりゃ当然の反応だろうな。目の前で俺とブリジットが抱き合ってるんだから………。

「な、何だよコレ…?何でクソマネとブリジットがハグしてんだよ!?」
「かなかなちゃん…。もしかして……私のために、わざわざ戻ってきてくれたの………?」
「あはは…。か、加奈子!お、お前、結構いいとこあるじゃねえか!ハハ、ハハハハ…」
「う、うるせーブリジット!ク、クソマネも笑ってんじゃねえ!!」

笑ってんじゃねえよって言われてもな…。
この状況は、もう笑うしかないだろ……アハハハハ……………。

「つ、つかテメーら、そういう関係だったのかよ!?加奈子だってなぁ…加奈子だって……ホ、ホントはクソマネのこと………チクショー!!!!!」
「!?泣かないでかなかなちゃん!?わ、私…何か悪いこと言っちゃった?」
「おい加奈子!?お前、今なんて……?」
「な、泣いてねーし!何も…言ってねえし……ヒグッ………」

…この後、何故か半泣きになった加奈子の誤解を解くのはすげえ大変だったんだぜ?
しかも俺が全力で恋人関係を否定したら、何でかわからんがブリジットまで不機嫌になっちゃったりしてさ。

加奈子がブリジットに対抗して自分にも“ごほうび”を要求してくるっていう話は、また機会があったらな?

(ホントに終わり)
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/26(火) 23:06:54.83 ID:Nt0bIvZB0
以上です。
まあ少しでも幼女成分補給していただけたらなぁ…なんて。
お目汚し失礼しました。
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/26(火) 23:08:42.77 ID:Oa1G/+gZo
乙。ブリジットくぁいい。


あの棒っぷりが無性に聞きたい。配信最終話にちょっとくらい出てくれないかな
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 23:17:56.07 ID:p3Px2PnSO

でも個人的にはかなかなちゃんの方が可愛かったww
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/27(水) 00:02:28.85 ID:GAe7hqhn0
またの機会って今さっ!
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/27(水) 00:19:05.04 ID:nM3F6G8yo
乙。
いいねいいね、こういう直球デレは。
またの機会って今さっ!

俺も久しぶりに書いたから、投下するよ。

投下:AM 02:00から
カプ:特になし
展開:なんちゃって科学
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 00:48:04.86 ID:3iqCY1WDO
ブリジットの棒っぷりを今初めて聞いてきた

リアル片言日本語だと考えればあれはあれで……



俺もハグされたい
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/27(水) 02:02:59.09 ID:nM3F6G8yo
刻限だな。投下開始だ。
ちなみに、>>397のネタをアレンジしたものだ。
684 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/27(水) 02:03:41.61 ID:nM3F6G8yo
「ところで皆の衆。来週の日曜は何かご予定がおありですか?」

日曜のアキバ、いつものメイドカフェ。
そこで先程入手した戦利品をお披露目している中、沙織がこう切り出してきた。
いきなりなんだ? とは思いつつも、俺達は素直に答える。

「俺は何もないけど」
「あたしも特には」
「私も、今のところ何もないわ」

揃いも揃って予定がないとは、なんともさびしい気もするが、それは今気にすることではない。
俺達の答えは沙織にとっては都合が良かったらしく、口をωにしながら、沙織はある提案をしてきた。

「それは重畳。では、来週の日曜、皆様のお時間を拙者にいただきとうござる」
「それはいいけどよ、なにをするんだ?」
「実は、皆様にはある実験に参加していただきたいのです」
「実験?」

学校の授業以外ではなかなか聞くことの出来ない「実験」という単語に、桐乃が顔をしかめた。
顔には出さないが、俺と黒猫も内心では不安を覚えている。
それを察知してか、沙織はすかさず説明を開始した。

「実験とは申しましても、危ないことをするわけではありません。皆様には、三時間ほど眠っていただくだけでござる」
「眠るだけの実験……というわけではないのでしょう?」
「黒猫氏の仰るとおり。実験というのは、皆様が睡眠中に見た『夢』の内容を記録する、というものでござる」
「『夢』の記録?」
685 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/27(水) 02:04:07.71 ID:nM3F6G8yo
ーーーーーーーーーーーー


そして次の日曜。
俺、桐乃、黒猫は都内某所にある研究機関にやってきた。
門前にある警備員の詰め所に氏名を伝えると、程無くして厳めしいゲートが開かれ、中へ通された。
訪問者のための待合室に通され、しばらく待つように言われた俺達は、備え付けのソファに座り、思い思いに時間を潰し始めた。
それから二分ほどして、清楚なワンピースを纏った美女と研究員らしき白衣の男性がやってきた。

「皆様、よくお出でくださいました」
「ま、友達の頼みだからな。無下にはできねえよ」
「そうそう。それに、なんか面白そうだしね」
「人間如きの力を見るには、いい機会だっただけよ」

言葉は違えど、俺達が言いたいことは同じだ。要は、「気にするな」と言いたいだけである。
沙織は柔らかな笑みを浮かべながら、俺達に静かに頭を下げた。
それから、一緒にやってきた研究員に指示を出し、今日行う実験の説明を始めた。
前回集まったときにも大まかなことは説明されたが、今回は専門家による詳しい説明だ。
インフォームド・コンセントというものらしく、俺達はこの説明を聞いた上で、この実験への参加を決められるらしい。
つまり、拒否することも可能だということだ。

これから行う実験は、沙織が言っていたとおり「『夢』の記録」をするというものだ。
被験者は、睡眠に入る前に記録に必要な器具(ヘッドギアみたいなもの)を装着し、三時間ほど眠る。
その器具を使い、レム睡眠中に発する脳波から夢の内容を映像化し、外部記憶装置に記録するらしい。
すでに5,000人ほど実験に参加してもらい、これまで事故は起きていないので比較的危険性は低いと説明された。

大体はこんな感じだ。沙織から聞いていたのと大差はない。
あとは、この器具にはアメリカのなんとか大学で研究されているVR(Visual Rebuilding)技術が使われてるだの、
ゆくゆくは遷延性意識障害(俗にいう植物状態)の患者の治療に使うだのという説明もあったが、専門的過ぎる上に興味がないのでほとんど覚えていない。
研究員による説明が終わると、俺達に一枚の書類が手渡された。実験参加への同意書である。
参加に当たって、色々と誓約事項があるのだ。
普通だったら「事故が起こってもこちらは責任を取りませんよ」なんて書かれたりするものだが、この同意書には書かれていなかった。
逆に「事故が起こった場合は、いかなる賠償にも応じます」なんて書かれてやがる。余程、安全性に自信があるのかね。
あとは、この実験に関する出来事をいかなる企業にも口外しないこと、なんてことが書かれてるくらいだ。
これは技術流失を防ぐための措置だろうな。と言っても、俺達のような学生にはあまり関係ないように思えるが。
俺は同意書に名前を記入し、用意された朱肉を親指に塗って判を押した。隣を見ると、桐乃と黒猫も同じようにサインし、判を押していた。

「実験へのご協力、感謝します。係りの者が来るまで、しばらくお待ちください」

研究員のおっさんは俺達がサインした同意書を集めると、部屋を後にした。

「急なお願いで申し訳ありませんでした。今回の実験、父からわたくしの友人にも参加してもらえないかどうか聞いてくるように頼まれたもので……」
「沙織が気にすることじゃねえよ。それに、こう言っちゃあなんだが……ちょっとだけ楽しみなんだよな」
「楽しみ……ですか?」
「おう。だってよ、普通はすぐに忘れちまう『夢』の内容が見れるんだぜ。考えただけでワクワクしねえか?」

俺の話しぶりがおかしかったのか、沙織は柔らかく微笑んだ。いつもとは違うお嬢様モードだから、不覚にもドキッとしちまったのはここだけの秘密だ。
研究員のおっさんが出て行ってから十分後、違う研究員の人が部屋にやって来て、俺達を案内してくれた。
686 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/27(水) 02:04:48.92 ID:nM3F6G8yo
ーーーーーーーーーーーー


案内された部屋には、簡素なベッド、その周囲には仰々しい機械とコード。その先にはこれまたゴツい機械が設置されていた。
その機械の近くには、研究員が数名作業をしていた。
ちなみに桐乃と黒猫は、俺とは違う部屋に案内されている。何でも、夢の内容を他者に知られないための配慮だとか。個人情報保護ってヤツかね。

「では、そちらのベッドで眠っていただけますか。時間になりましたら起こしますので」
「あ、はい。わかりました」

部屋に案内してくれた研究員に促され、俺は上着を脱いでベッドに横になった。
手首に脈拍を測るためのバンドを巻かれ、あらかじめ説明されたヘッドギアを装着された俺は目を閉じた。
睡眠を促進するためのアロマでも焚かれているのか、程無くして俺の意識は深く深く落ちていった。






「……さん。こ……かさん」
「ん……」

なにやら声が聞こえる。けど、俺は眠いんだ。もう少し寝かせてくれよ。

「こう……さん。高坂さん、起きてください」
「……んあ」

体を大きく揺さぶられ、俺の意識は強制的に覚醒された。
周囲を見渡すと、見慣れない白衣の人物が数人。それとゴツい機械群が目に入った。

「おはようございます、高坂さん。ご気分はどうですか?」
「へ……? あれ……?」
「実験は無事終了しましたよ。どこか優れないところはありますか?」
「い、いえ! 大丈夫です!」

「実験」という言葉で、俺は今の自分の状況を思い出した。
俺の言葉を聞いた研究員は笑顔を浮かべ、眠気覚まし用の熱いハーブティーを差し出してくれた。

「今見た夢の内容、覚えてらっしゃいますか?」
「え……と、ぼんやりとは」
「結構です。その内容を忘れる前に、記録した内容を確認していただけますか?」
「はい、わかりました」

ハーブティーを飲み終え、意識が完全に覚醒した俺は研究員に連れられ、夢の内容を記録した機械が設置してある場所に向かった。
大きなモニタには、様々なデータが映し出されていたが、それぞれが何を意味しているのかは俺にはわからない。
そのモニタに、新たなウィンドウが表示された。

「ここに高坂さんの夢の内容が表示されますので、確認をお願いします」
「わかりました」

俺は夢の内容を思い出しながら、指示されたウィンドウを見つめた。え〜と、確かあやせが出てきた気がするんだよな。
場所は……俺の部屋だっけか?

『お兄さん、今日は大事なお話があるんです』
『メールにも書いてあったな。それで、どうかしたのか?』

俺の記憶は正しかったらしく、ウィンドウには俺とあやせが映し出されていた。
場所は俺の部屋。服装は互いに制服。俺は椅子に座り、あやせは俺のベッドに腰掛けていた。現実ではお目にかかれない光景だ。
687 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/27(水) 02:05:15.27 ID:nM3F6G8yo
『その、ですね。えっと……』
『どうした? 言いにくいんなら日を改めるか?』
『い、いえ! どうしても、今日伝えたいんです!』

あやせはなにやら切羽詰った様子だ。というか、俺は夢の中でもあやせに相談をされてるのかよ。あれか? 俺って実は相談されるのがすごく好きなのか?
そんなとりとめもない事を考えていると、ウィンドウ内のあやせはなにやら決心した様子で立ち上がり、椅子に座る俺に近付いていった。

「なっ!?」

あやせの次の行動を見た俺は、つい大きな声を上げてしまった。
だが、待ってほしい。あやせの行動を知れば、俺が驚いてしまったことも理解できると思う。
その……なんだ。夢の中のあやせはな……俺に近付いて……いきなりキスしてきたんだよ。しかも口に!
わかってくれるだろっ!? いくら夢の中とはいえ、あやせが俺にキスしてきたんだぜ!? そりゃ大声も出るってもんだ!
っていうか、これって俺が見た夢の内容なんだよな? なんて夢を見てるんだよ、俺!!
たっぷり十秒はあっただろうか。あやせはようやく、唇を離した。現実の俺同様、夢の中の俺も驚いている。

『あ、あやせ。一体何を……』
『わたし、お兄さんが好きなんです。必死でそれを隠してきましたけど、もう無理なんです。もう、この気持ちを抑えられないんです』
『いや、だからってよ、いきなりすぎるだろ』
『それについては謝ります。でも、もう抑えられないんですよ。だから……今日は、お兄さんにわたしの全てを奪ってほしいんです』
『は? そりゃどういう意味……』

夢の中の俺があやせの真意を聞こうとしたが、それは出来なかった。
なぜなら、あやせはいきなりスカートに手を掛け、ファスナーを降ろし始めたからだ。
ファスナーが全て降ろされ、灰色のスカートがあやせの細い腰から落ち……る前に、映像が終了した。

「え?」
「ここから先は、性的な内容が多分に含まれる映像となっていますので、この場ではお見せすることが出来ません」

間抜けな声を上げてしまった俺に、研究員の一人が優しく語り掛けてきた。
そう言えば、これって実験だったんだよな。それで、ここにいる人達は俺の夢の内容を……。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!! 今すぐ消えてなくなりたい!!

「それで、夢の内容はどうでしたか? 覚えていたものと変わりありませんか?」
「……はい。詳細は覚えていませんけど、出てきた人物と場所は合ってました」
「そうですか」

俺の回答を聞いた研究員は、手に持っているボードの上の紙になにやら書き留めている。
今すぐこの場を立ち去りたいが、どうしても、どうしても聞いておきたいことがあった。

「あの……」
「はい、どうかされましたか?」

手元の書類に何かを書きながら、研究員は俺の声に反応してくれた。
俺は意を決して……どうしても聞きたいことを口にした。

「この映像って、もらえるんですかね?」
688 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/27(水) 02:05:49.84 ID:nM3F6G8yo
ーーーーーーーーーーーー


翌週の日曜。
俺達はいつものようにアキバに集まり、いつものカフェで他愛のない会話に花を咲かせていた。
最初は今期のアニメや新作ゲームの話だったが、ふとした瞬間に先週の実験の話になった。

「そういえば、皆の衆。先週はいかがでしたかな?」

沙織は他愛のない会話の延長として、この話題を振ってきたのだろうが、俺の内心は穏やかなものではなかった。
だってよ、内容が内容なだけに、あまり口にはしたくないんだよ。
桐乃や黒猫、沙織に知られるのもよろしくないが、あやせに知られるのはもっともよろしくない。最悪、俺はこの世とおさらばするかもしれんからな。
とか言いつつも、あの時見た夢の内容は、DVDに焼いてもらったんだけどな。ベッド下の秘蔵コレクションとは別の場所に大事に大事に仕舞ってある。
俺の内心とは裏腹に、桐乃と黒猫は楽しげに話し始めた。

「あれはすごかったよね。最初は胡散臭いなぁって思ってたけど、あとで映像見せてもらって驚いたもん」
「そうね。人間風情が、あのような魔具を造り出すとは、さすがの私も驚愕したものよ」
「はっはっはー。驚いていただけたようで何よりです。こちらとしても、大いに助かりましたからな。改めて御礼を言わせてくだされ。ありがとうございました」

沙織は快活に笑うと、体躯に比べて小さな頭をぺこりと下げた。

「ところで、京介氏達はどのような夢を見たのですか?」
「それって、こんなところで話してもいい内容なのかしら? 確か、無闇やたらに話すなと言われていたと思うのだけれど」
「心配には及びませんぞ、黒猫氏。夢の内容だけなら問題ないでござるゆえ」
「そう」

黒猫の質問にきっぱりと答えた沙織は、某有名女優と同じサイズである立派な胸を張り、自身の見た夢の内容を話し始めた。

「ちなみに拙者は、百式で宇宙(そら)を賭ける内容でしたぞ。いやはや、本物のバジーナになったようでしたな」
「私はこの仮初の器ではない、本来の器と力を取り戻して、この世を闇に沈める内容だったわ。あの感覚、ずいぶんと久しぶりだったわね」

沙織も黒猫も、なんともコイツ等らしい内容の夢を見たようだ。
一方、桐乃は……。

「どうかされましたか、きりりん氏? なにやら、お顔が赤いですぞ?」
「へ!? な、なんでもない! 大丈夫だから!!」

何を慌ててるんだ、コイツは。もしかして、俺みたいに恥ずかしい内容の夢だったのか?

「どうせ、貴方の大好きなメルルが出てくる夢でも見たんでしょ?」
「う、うん! そうなんだぁ〜。メルルとアルちゃんがあたしの妹でさぁ〜。うへへ……」
「きりりん氏、よだれが垂れておりますぞ」

夢の内容を思い出しているのだろう。桐乃はだらしない笑みを顔の貼り付け、半開きの口からよだれを垂らしていた。
ったく、これでティーンに人気の読者モデル様だってんだから、大したもんだよ。
689 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/27(水) 02:06:18.10 ID:nM3F6G8yo
「しょうがねえな。ほれ」
「んぅ……」

俺はポケットからハンカチを取り出し、桐乃の口を軽く拭いてやった。
桐乃は顔を赤らめたまま、俺にされるがままだ。黒猫と沙織はそんな俺達を、ニヤニヤしながら眺めている。

「おし、取れたぞ」
「ん……。ありがと」

ありゃ? 文句の一つでも言われると思ったが、礼が返ってきたぞ。コイツ、調子でも悪いのか?
俺がそんな失礼なことを考えていると、黒猫が声を掛けてきた。

「ねえ、さっき聞いた夢の内容。本当にメルルが出てくるものだったのかしら?」
「な、何言ってんのよ!? 当然でしょ。そんなことで嘘つく理由なんかないじゃん」
「本当にそうかしら?」
「あんた、何が言いたいワケ?」

さっきまで和やかな空気だったのに、なんでいきなり一触即発な状態になるわけ? 全く訳がわからないよ。
どうしてこの二人はすぐに口論になるんだい?
桐乃は黒猫を射殺さんばかりに睨みつけているが、黒猫の方はそんな桐乃の視線はどこ吹く風という感じだ。

「別に。ただ、貴方が見た夢の内容に、まだ登場してない人物がいるのではと思っただけよ」
「はん。妄想も大概にしときなさいよ、クソ猫。ま、一応聞いてあげるわよ。その出てきてない人物って誰よ?」
「決まってるじゃない。貴方の大好きな大好きな……お兄さんよ」

黒猫は桐乃に質問に答えて、俺に意味深な視線を寄越してきやがった。
おい、そこで俺に振るな。沙織も口元をωにしてニヤけるんじゃねえ。で、桐乃はと言うと……。

「ふ……ふ……」

なにやら小刻みに震えてやがる。
ヤバイ。何がかはわからんが、とにかくヤバイ。とりあえず、今は桐乃から距離を取った方がいい。俺のゴーストがそう囁いている。
桐乃から離れるため、俺が席を立とうとした瞬間……、

「ふざけんなぁぁぁぁっ!! そんなことあるワケないでしょうがぁぁぁぁぁぁっ!!」
「あいたぁぁっ!!」

桐乃が振り降ろした拳が、俺の脳天にクリーンヒットした。



おわり
690 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/27(水) 02:07:10.36 ID:nM3F6G8yo
おまけ

――深夜 桐乃の部屋――

桐乃「ふへ……ふへへ……」←イヤホン装備中

桐乃『おにぃ〜ちゃん♪』

京介『ん? どうかしたか、桐乃。いきなり抱きついてきて』

桐乃『ん〜ん。なんでもな〜い♪』

京介『そうか』ナデナデ

桐乃『んん〜。お兄ちゃんの手、きもちいい〜』

京介『そりゃよかった』

桐乃「ふへへ……おにぃ〜ちゃ〜ん……」

ガチャ

京介「お〜い、桐乃。渡されたゲーム、コンプした……」

桐乃「ふにゃあああああああああああああああっ!! いきなり入ってくんなぁぁぁっ!!」ブォン!

京介「うごぉっ!」ゴンッ!



おわり
691 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/27(水) 02:08:58.01 ID:nM3F6G8yo
以上。
久しぶりだったからか、前はどんな風に書いてたのかわからなくなることが多々あったぜ。
空想科学ADVシリーズは面白いから、やったことない人はやってみるといいよ。

ありがとうございました。
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/27(水) 03:43:30.22 ID:yrZxi5Ej0
乙!
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 03:52:31.91 ID:47h5315AO
>>677
乙。
王道加奈子ものの破壊力、侮りがたし。
ブリジットも可愛いよ〜
京介こうなったら「俺の翼」しかないなッ

>>691
乙。
この京介は死亡フラグを立ててるような…
この後の一悶着への布石ですねわかります


今夜のスレは糖度高くて大変満足
甘ったるい話、バンザイ\(^O^)/
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 08:57:14.13 ID:+x8mldMDO
あやせの淫夢DVD絶対見つかるよね…
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 17:14:56.94 ID:3iqCY1WDO
>>694
あやせ「ななな……///なんでこんな物を持ってるんですか!変態!ぶち○しますよ!!」

京介「そ、それはだな……ってゆうかなんで念入りに隠しておいたそれの存在を知ってる!」

あやせ「え……それは……お兄さんが他の女にうつつ抜かしてないか(キリノに有害な物や変態行為をしてないか)調べる為です!」

京介「本音と建前逆になってるぞ(゚Д゚;)!?」

あやせ「うぅ〜……お兄さんは、私とああいった事したいですか?」

京介「え?」




俺にはこの程度が限界だ
後は任せた
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/27(水) 18:07:37.80 ID:HUh7oYAl0
>>691
乙です。
個人的にこういう科学ネタは好きなんで面白かった。
つか、京介が羨ましいんですが…
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/04/27(水) 19:20:43.82 ID:fNWDX4Td0
>>695
あやせの黒さを出すなら、こう。

「お、お、お兄さん? こ、このDVDはッ!?」
「あ、いや、それは、つまり‥‥‥」
「信じられません! 盗撮していたなんて!!」
「は? いや、だからそれは」
「一体、部屋のどこにカメラを仕込んだのですか?」
「カメラって何だよ? 何の話だよ?」
「惚けないで下さい! だって、あのまんまが映っているじゃないですか!!」
「え? だってコレは俺の‥‥‥」

‥‥‥‥‥‥

「お、覚えてないんですか、お兄さん?」
「何を?」
「‥‥‥いや、何でもないです」
「あやせ、おかしいぞ?」
「そ、そうですね! わたし、疲れているみたいです! 全部夢でしたね!!」


夢じゃねえけど、ま、いいか。

と、狼狽気味のあやせを前に納得する俺がいた。


いじょ
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 20:40:07.66 ID:skKen9Ewo
>>695
>>697
なぜベストを尽くさないのか
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/27(水) 22:18:27.64 ID:4BfdJTKAO
>>695
>>697 Don't be afraid
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/27(水) 22:39:38.51 ID:yrZxi5Ej0
ちょっとスレ民にたずねたいのですが...

俺妹9(偽)の2章ってないのかな?

まとめで読んでいてこれだけ抜けてるので気になってしまって...
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 22:47:40.44 ID:H+BuYUfVo
9-2はまだ未定のはず
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/27(水) 22:58:45.34 ID:yrZxi5Ej0
>>701

ありがとう しばらくネット離れしてたから、その間にでてるかなと思って探してたんだけど。まだ来てないのね...
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 13:14:20.11 ID:xh738dPDO
9偽って初めて聞いた
アドレス貼ってくれないか
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 13:16:53.61 ID:W0a1Pa6Go
まとめwiki見ればあるよ
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 13:39:28.31 ID:5lYjRqRDO
京介「高き坂を登り、京(みやこ)にて総ての人々の仲立ちとなる男……高坂京介だ」


こんな京介さんだったら、黒猫は惚れないな
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 15:33:06.95 ID:5lYjRqRDO
「俺の後輩がこんなに可愛いわけがない」コミック化か。
黒猫人気あるなぁ。
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 15:48:10.80 ID:Kzbb2zWSO
よし
誰かとびきり甘い黒猫SSを
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage]:2011/04/28(木) 17:01:14.60 ID:nxwCrPix0
「俺の妹が身長180cmなわけはない」があるなら
「俺の妹が邪気眼厨二病なわけがない」があってもいいと思うんだ
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/28(木) 17:30:41.22 ID:xrf41NtEo
>>708
言いだしっぺの法則と言うのがあってだな。

黒猫が妹だと、高坂家は四兄妹?
それとも、桐乃が三姉妹?
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/04/28(木) 17:39:18.98 ID:Fj6fU6Mzo
>>708
そういや理想郷で五更京介ものみたなぁ
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 18:11:08.28 ID:bh5KeLZ0o
俺の妹が金髪幼女なわけがない
俺の妹が小生意気なガキなわけがない
俺の姉が貧乏なわけがないと思いたい
俺の嫁はマジ天……ぶげはぁ!?

どれが一番需要があるんだろうか
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/28(木) 18:25:26.42 ID:s9CBCGnAO
俺の双子の兄が…いや、何でもない
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 18:39:54.77 ID:cym4lSzDO
>>711
金髪棒幼女とマイエンジェルかな……


スパロボでグラハムかブシドーかアルトが 「俺(私)の○○が〜な」的な発言してくれないかな……


714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/28(木) 18:51:39.34 ID:IWcnWqz10
>>710とてもいいものを教えてくれた……


個人的には妹かなかなちゃんがみたい
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 18:54:30.50 ID:CiPFS7BIo
俺が妹の妄想の餌食になっているわけがない
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/28(木) 19:26:31.68 ID:7GyAdEnzo
「金髪幼女なわけがない」書いてみたいがブリジットが妹になる状態というか状況が思いつかない…
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 20:15:57.77 ID:5lYjRqRDO
俺の義妹が世界最速なわけがない
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 20:26:14.52 ID:5lYjRqRDO
>>716
妹にこだわるなら養子設定。
こだわらないなら従姉妹とかの親戚設定などはいかが?
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/04/28(木) 20:59:24.89 ID:esvTLxvc0
おいおい。素晴らしい妹達のオンパレードじゃねえかwww
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/28(木) 21:03:29.02 ID:Cd1VWO1Ao
こことエロパロ板のSSスレって住み分け的な何かって存在するの?
書いたらどっちに投下すればいいのかちょっと迷うんだが
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/28(木) 21:05:16.90 ID:xrf41NtEo
>>720
直接的な性描写が有るか無いかぐらいだと思っている。
エロパロでも、性描写が無いSSは多々あるが。
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/04/28(木) 21:07:32.92 ID:Fj6fU6Mzo
こっちでも>>1に書いてる通りエロとか投下前に断り書きすればokだし
好きな方に投下していいんじゃない?
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/28(木) 21:14:52.32 ID:WEOu9nPQ0
偽8巻と偽9巻の人はいずこに。
9-2と9-5だっけ?を楽しみにしてるんだが。
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/28(木) 21:28:41.29 ID:sNwgj7L10
>>723

あの人はVIPで書いてる人だよ〜

こっちで呼んでも来ないよ〜
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 21:49:28.27 ID:5lYjRqRDO
コミックス最新刊、読了。

麻奈実マジ天使。
あやせマジ魔王。
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/28(木) 22:12:09.26 ID:l2I8LkCK0
>>716
どうしても思いつかないならif設定でもいいと思う
どんな内容の話を書きたいのかにもよるけど…
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/29(金) 00:53:28.35 ID:vU+odYwuo
そう言えばメルルとアルファのEXモードって何も言及ないよね?
見た目幼稚園児=5才前後ってことは17,8才ぐらいの外見になるんだろうか
まあリアルのステージ上で演じるようなことはないだろうが…
728 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/04/29(金) 01:45:40.73 ID:R1hxvlW/o
「お兄ちゃん起きてー」
「ん……んん? どうした?」
「一緒にメルル見よ」
「わかったわかった、じゃあリビングに行くか」
「うん」

休日の朝から俺に「一緒に子供向けアニメを見よう」と擦り寄ってくる金髪幼女は舞莉実堵。この漢字書くのめんどくさいから以下ブリジットな。
DQNネーム(笑)っていう突っ込みも禁止だぞ。なんせ俺のかわいい妹だからな。
綺麗なブロンドヘアーに、兄妹であるはずの俺とは似ても似つかない整った顔立ち。
そして若干感情がこもっていないように感じられるトーンの会話が特徴の女の子。

ちなみに“かわいい妹”と“俺”の容姿が似ても似つかないと言ったのは、単に俺がブ男というわけではない。
なんというか、もっと根本的に違う。端的に言うと人種が違うようにしか見えない。
ブリジットの金髪は地毛だし、その顔立ちは日本人離れどころか完全に西洋人だ。

この子が生まれたときは一体どこの子と取り違えたのか、あるいはお袋が浮気でもやらかしたのかと一家騒然となった。
しかし、その後のDNA鑑定で親父とお袋の子であることがしっかり証明されている。
俺の家系の遠い祖先に西洋人でもいて隔世遺伝でも発生したのだろうか。
まあ、そんなことは考えてもわかるわけがないし今は置いておこう。

「まだー?」
「はいはい、今行くよ」

手早く寝間着から普段着に着替え、ブリジットに急かされるまま一階へと向かう。
ブリジットがメルルのDVDをセットしている間に洗面と歯磨きをすませる。これが俺の休日のいつもの流れとなっていた。
そして、リビングに戻るとちょうどブリジットが準備を完了したところだった。

「あんたも飽きないわねえ」

リビングではお袋が朝飯食べている最中だった。その隣では親父が新聞を広げている。
ちなみに我が家では寝坊した者にくれてやる朝飯はない。そういうルールになっている。

「いや、俺はもうとっくに飽きてるよ……」

毎週毎週1話から現時点での最新話までを繰り返し見せられたらそりゃあ飽きるよ。
すると、

「お、お兄ちゃん飽きちゃったの?」

俺の言葉を聞いたブリジットが目に涙をためてこちらの様子を窺っていた。

「い、いやいや飽きてないぞ! さっきのはお袋のとの“あんたも飽きないのか”というやりとりに飽きたっていう意味だ!」
「ほ、ほんと?」
「おう! だから今日も一緒にメルル見ようぜ!」
「うんっ」

どうやらブリジットは機嫌をなおしてくれたらしい。目を爛々とさせてリモコンを両手で持ち再生ボタンを押す。……このやりとりももはや何度目だろうか。
お袋の呟きに突っ込む俺。それを勘違いするブリジット。そして必死に妹様のご機嫌をとる俺……。
だが、こんな休日の過ごし方も悪くない。俺はそう思っている。

「ほんと、飽きないわねえ」
「……そうだな」
729 : ◆5yGS6snSLSFg [sage saga]:2011/04/29(金) 01:49:23.46 ID:R1hxvlW/o
「俺の妹が金髪幼女なわけがない」の冒頭部分でした

いざ妹ブリジット書いたらもはやブリジットっぽさのかけらもなくなった
敬語でしかブリジットらしさをかけない能力の低さが恨めしい

金髪幼女なわけがないは俺にはまだ早かったようだ
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/29(金) 02:34:00.29 ID:XRbPFcOAO
どんだけブリ好きなんだ、あんたって人はー!

たぶんブリジットの魅力はキャラクター自体よりも関係性に依るところが大きいからじゃないかな>っぽさ

いや、然れどもキャラ立ちが不十分なわけじゃないし、焦点を定めにくいだけで面白そうではあるよね。妹ブリ
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/29(金) 03:36:25.73 ID:wlSKsi3AO
普通にいい妹だな
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 07:33:48.77 ID:LG0ttZZDO
名前はせめてもうちょっとどうにかしてあげようぜwwwwww
DQNネームすぎるwwwwww

適当なif設定で母方がクォーターだったが覚醒遺伝したから、それ相応の名前(カナ表記)にしたとかでもいいんじゃない?
さすがにその漢字は可哀想だwwww

後は可愛いからおk
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 09:16:36.19 ID:ZtsOvwfDO
こっちの方が治安いいからエロなしならこっちでいいだろう
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/04/29(金) 13:01:19.26 ID:vMftoo9o0
まだここだけじゃブリジットの可愛さが全部出てないぞ!
という訳で続編頼む。コスプレとか色々あるじゃないか!!
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 13:02:45.33 ID:7SO/HEJzo
珠希ちゃんSSまだ〜?
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/29(金) 14:23:36.94 ID:zQ+YPnLi0
公式アンソロの珠希ちゃんはすごく可愛かった
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 14:33:37.24 ID:qc7p+fLDO
瀬菜ちゃんのデートSSを書きたいのだが、デートコースで行き詰まる……。
どうやって書いたらいいものか?
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/29(金) 14:33:37.56 ID:zQ+YPnLi0
連投スミマセン
>>729
乙です!
冒頭で終わらせるには惜しいと思われ
妹が加奈子にイジメられてムッとする京介とか見てみたいなぁ…
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 15:14:31.25 ID:RJkAuXUSO
瀬菜ちゃんとデートか
普通に乙女ロードに連れてかれそうで怖い
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 16:52:54.53 ID:ZEfyVaGMo
瀬菜ちゃんはデート相手とどっちから誘ったかによりそうだな〜
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 17:34:43.02 ID:qc7p+fLDO
ぼんやりと展開は出来たから、とりあえず書いてみる。
大型連休中には投下できるといいな。
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 20:25:26.29 ID:fhQIq+AVo
瀬菜ちゃんデートは、最初は乙女モードなのに次第に地が出始める展開しか思いつかんww
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/04/29(金) 20:29:59.32 ID:R1hxvlW/o
瀬菜√は京介にマスケラのコスプレ大会参加させたらいいんじゃね?
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/04/29(金) 23:18:40.14 ID:zQ+YPnLi0
珠希ちゃん難しい…。自分の技量じゃこれが限界です…。





「まったく…あの人はいつまで寝ているのかしら?もうすぐ夕飯が出来るというのに…。
 珠希、ちょっと私の部屋まで行って先輩を起こしてきてもらえない?」
「ねぇさま、おにぃちゃんをおこせばいいんですね?わかりました!」

みなさんこんにちは!ごこうたまきです!
きょうはおにぃちゃんがねぇさまのおへやでねてしまったので、ねぇさまがそのあいだにおにぃちゃんのぶんもばんごはんをつくることになりました。
わたしはいまからおにぃちゃんをおこしにいくところです。

おにぃちゃんはねぇさまとちぎりをかわしたおとこのひとです。ねぇさまとおにぃちゃんはとってもなかよしです。
きっと、ねぇさまとおにぃちゃんは“けっこん”するんだとおもいます。
おにぃちゃんはやさしくて、ねぇさまだけじゃなくてわたしやおねぇちゃんともよくあそんでくれます。
えほんをよんでくれたり、わたしといっしょにめるるごっこをしたりもしてくれます。
だからわたしも、おにぃちゃんがだいすきです!


「おにぃちゃん、おにぃちゃん、ごはんのじかんですよ?」
「う……う〜ん……………」

わたしがたくさんゆさゆさしても、おにぃちゃんはおきてくれません。おにぃちゃんはねむたそうにねがえりをうってしまいました…。
わたしはこまってしまいました。おにぃちゃんはどうしたら……………あっ!

わたしは、きょうようちえんでせんせいがよんでくれた『しらゆきひめ』のおはなしをおもいだしました。

おひめさまがおうじさまにしても、おきてくれるんでしょうか………?





☆☆☆☆☆


「ふあ…あ〜あ…………って、うわっ!?」

目が覚めると、俺の目の前にドアップの珠希の顔が広がっていた。

「おはようございます!おにぃちゃん!」
「た、珠希!?こんなところで何やってんだ?」
「ねぇさまに『おにぃちゃんをおこしてきて』っていわれました!」

…そうだ。黒猫と一緒に横になってたらいつの間にか寝ちまって………。
でも、アイツも俺の腕枕で寝てたはずなのにどこ行ったんだろう?って、もうこんな時間か。きっと黒猫は先に起きて夕飯の仕度でもしてるんだろう。そういえば居間の方から何だかいい匂いがしてくる。

それにしても………何故かすごく寝起きがいいような気がするのはどうしてだろ?


「ねぇさまがおにぃちゃんのぶんのごはんもつくってくれたんですよ!」
「えっ?あいつ、俺の分も夕飯用意してくれてるのか?なんか悪いな…。
 そ、それより珠希?俺の顔になんかついてる?」
「?なにもついてないですよ?それよりおにぃちゃん………おうじさまとおひめさまは、はんたいでもだいじょうぶでしたね!」
「…へ?」
「おにぃちゃん、ねぇさまがまってますよ!はやくはやく!」
「お、おう…」

王子様とお姫様が反対…?何言ってんだ?
やけにニコニコ笑っている珠希にちょっとした疑問を感じながらも、俺はその小さな手に引かれながら居間に向かった。

(終わり)
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/04/29(金) 23:27:40.18 ID:o6TeUlpAo
乙ン
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 23:34:48.56 ID:RJkAuXUSO
一瞬,全編ひらがな語りの長編かと思ってドキッとしたww
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/04/29(金) 23:53:45.94 ID:vMftoo9o0
乙!
可愛いなあほんとに
黒猫、知らなくていいこともあるんだよこの世には
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 23:56:40.89 ID:MlVIDrNkP
京介の初めての相手は珠ちゃんだったということですね
749 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/30(土) 00:52:16.57 ID:R8W0Wd2So
世に「兄妹」は数多いれど、その意味を正しく理解している人間はどれほどいるだろうか。
決して少なくはないと信じたい。
だが、ウチの妹はその「理解していない側」の一人であることは間違いない。
そう、アイツの中では「兄=奉仕者」という図式が確立している。

休日の朝。
遅刻というペナルティを気にせず眠っている俺に、災厄が降ってきた。
惰眠を貪るという高尚で重要な任務を全うしている俺の腹部に、突然衝撃が襲ってきたのだ。

「ぐほぉっ!」

なんとも間抜けで醜い呻き声を上げながら、俺は衝撃に見舞われた腹部を見る。
そこには、あれほど強烈な一撃を放ったとは思えないほど華奢な足があり、その踵は綺麗に俺の腹に刺さっていた。
その足の持ち主は……、

「いつまで寝てんだ、バカ兄貴。さっさと起きろ」

俺の三歳年下の妹、加奈子だった。

「痛えだろうがっ! もう少しマシな起こし方をしやがれ、加奈子っ!」
「わざわざ可愛い妹が起こしに来てやったんだぞ。怒られる筋合いはねーっての」

相変わらず、クソ生意気な妹だ。兄に対する態度がなっていない。
痛みと怒りですっかり目が覚めてしまった俺は、掛け布団をどけ、体を起こした。
そこで気付いたのだが、このクソ生意気な妹は妙に洒落た格好をしていた。

「なんだ? どっか行くのか?」
「ちっと買い物」
「そうかい。気をつけてな」

妹に優しい言葉を掛け終え、顔を洗うべくベッドから抜け出した俺の脛に、またも痛みが走った。
原因は……言わずもがなだ。

「〜〜〜〜〜っ! バカスカ蹴るんじゃねえよっ! 俺はサンドバッグかっ!?」
「バカ兄貴がまだ寝ぼけてるのがワリーんだよ。それより、さっさと準備しろっての」
「はぁ?」

なに言ってやがんだ、コイツは。準備ってなんのことだよ。
俺の表情から心情を読み取ったのか、加奈子は盛大に溜息を吐いた。その仕草のムカつくことムカつくこと……。

「兄貴も付き合うんだよ。加奈子の買い物」
「なんで俺が……」
「加奈子〜、今、すっげ〜欲しいものがあるんだけどー。ちょお〜〜〜〜〜〜っと手持ちが足んないんだよね〜〜♪」

なるほど、大体わかった。
要するに、コイツは俺にたかりに来たってワケだ。
まったく、コイツは兄貴をなんだと思ってんだ。俺はお前のサイフじゃねえっての。

「ねぇえ〜。お・ね・が・い♪」

ぐあああああああああああああっ!! 気色悪いぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!
お前の本性は知ってるんだから、ンな猫撫で声出されても無意味だっつーーーのっ!!
……仕方ない。今回だけ。今回だけだ。
これ以上この態度を取られ続けたら、俺の健やかな精神に重大な欠陥を生じさせる可能性があるからな。
それだけだぞ。他意はない。

「はぁ……。わぁーったよ。準備するから、少し待ってろ」
「やったー♪ サンキュー兄貴」

無事承諾を得られた加奈子は、いつもの生意気な態度とは打って変わって、女の子らしく喜びを表現し、俺の腰に抱きついてきた。
ったく、現金なヤツだ。普段からこういう態度なら良いのにな。

「んじゃ、手早く顔洗って、メシ食ってくるから」
「いってらっしゃ〜い」

出かける準備をするために部屋を出る俺を、加奈子は満面の笑顔で、手を振りながら見送った。
750 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/30(土) 00:53:23.09 ID:R8W0Wd2So
if兄妹シリーズに乗っかってみた。
それにしても、このかなかなちゃんは可愛くないな。
だから続かない。

突然失礼した。
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/04/30(土) 01:07:32.66 ID:FZwV4XDJo
乙ン
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/30(土) 01:25:18.30 ID:kiobV8RGo
どちらも乙だぜ
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/04/30(土) 01:26:28.92 ID:FZwV4XDJo
感想書き忘れてた連投スマン
この加奈子めっちゃかわいいぜ
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 01:28:51.35 ID:e+o+kMQwo
オタ趣味のない桐乃っぽいなww
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/30(土) 01:46:19.04 ID:WvXYKGiAO
>>744
たま「ねえさま、NTLってなんですか?」
黒猫「!?」

>>750
京介加奈子兄妹ならいがみ合っても冷戦無さそうで微笑ましいわ〜
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 09:24:02.56 ID:4ezY6HBQo
>>744
よくやったあああああああああああああああ
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/30(土) 14:19:42.45 ID:uZnfCPHAO
>>750
加奈子かわいいよ加奈子
兄貴を頼りにするあまり、ついたかってしまう妹ってのは、ある意味王道。

キャラクター的に桐乃ほど徹底したツンは出来なさそうなのも、当たりが強すぎなくていいかもしんない


if兄妹ものか……いやでもこれ以上困難な課題を積むわけには…
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 14:44:33.13 ID:e+o+kMQwo
長女 フェイト
次女 地味子
三女 黒猫
四女 あやせ
五女 桐乃
六女 加奈子
七女 ブリジット
八女 日向
末女 珠希


という謎電波を受信した
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 14:45:36.03 ID:7avuDTjDO
>>758
ナチュラルに沙織をディスるなよ……。
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 14:48:06.91 ID:4ezY6HBQo
祖母 地味子
母   沙織

でいい
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 15:21:55.54 ID:F+IG/hXco
>>759
沙織は姉妹というよりは、近所の頼れるお姉さんポジだな
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 15:34:02.91 ID:fIzE7c89P
そして誰にも話題にされないリア
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/30(土) 15:39:11.10 ID:OMpRjrioo
「俺の妹がこんなに病んでるわけがない」はまだですか
764 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/04/30(土) 16:48:55.05 ID:R8W0Wd2So
>>763
兄妹仲と言うのは、大きく分けて二つの種類があると俺は思っている。
「めちゃくちゃ仲が良い」か、「関心など全く無い」かのどちらかだ。
俺にも妹がいるが、兄妹仲ははっきり言ってめちゃくちゃ良い。
ただ……、ウチの妹はちょっと特殊だとは思うがな。

夕日の朱が住宅街のほとんどを染める中、俺はいつものように幼馴染の田村麻奈実と帰路についていた。
近所の丁字路に差し掛かったとき、その陰から女子中学生が二人が現れた。一人はよく見知った顔だ。
二人の内の一人――艶やかな黒髪を持つ中学生が俺に気付き、気さくに声を掛けてきた。

「お兄さん! お兄さんも今、帰りですか?」
「そうだよ。奇遇だな、あやせ」

中学生にしては大人びた容姿、濡れ羽色の長髪を持つこの女の子の名は高坂あやせ。俺の可愛い可愛い妹だ。
あやせは俺の隣にいる幼馴染の姿を見ると、笑顔で挨拶をした。
不思議なのは、その笑顔が少し怖いことだが、俺はもう慣れている。

「お姉さんもこんにちわ」
「こんにちわ、あやせちゃん。ところで、隣の娘はだれかな?」

あやせが纏う雰囲気に気付いていないのか、麻奈実はにこやかに挨拶を返した。
あやせの隣にいる美少女は、麻奈実に声を掛けられ、少し困ったような笑顔を浮かべて自己紹介をした。

「はじめまして。あやせさんのクラスメイトの新垣桐乃です」
「俺は高坂京介。あやせの兄貴だ。妹が世話になってる」
「こんにちは〜、田村麻奈実です。あやせちゃんとは幼馴染なんだ〜」

新垣さんの自己紹介に続けて、俺と麻奈実も自己紹介をした。
それにしても、この娘もあやせに負けず劣らずの美人だ。
ライトブラウンに染められた長髪、中学生とは思えないほど発達したスタイル、手や耳には幼さを感じられない装飾品の数々。
それ以上に、この娘が放つ雰囲気は、凡人である俺には眩しささえ感じられた。これがオーラってやつかな?

「桐乃は、わたしの大事な大事な親友なんですよ」
「ちょっと、やだ〜。恥ずかしいよ、あやせ」
「本当のことなんだから、恥ずかしがることなんてないよ、桐乃」

あやせに「親友」と言われた新垣さんは、本当に恥ずかしそうな声をあげ、あやせの肩を軽く叩いた。
いくら大人びているからと言って、こういうところはほかの中学生と変わらないんだな。見てて非常にほほえましい。

「新垣さん。これからも、あやせと仲良くしてくれな」
「はい。あたしも、あやせのことは大切な親友だと思ってますから」

俺の言葉を受けて、新垣さんは笑顔でそう返してくれた。夕日のせいなのか、彼女の頬がほんのり赤くなっているように見えた。
その笑顔は本当に可愛くて、俺もついつい笑顔になってしまう。こういう状況でなければ、傍からは初々しいカップルに見えるかもしれない。
だが、それは長くは続かなかった。妹の一声で、強制的に終了させられたからだ。

「桐乃。わたし、ちょっとお兄さんと寄る所があるんだけど……」
「あ、そうなんだ。いいよいいよ、あたしのことは気にしなくて」
「本当にゴメンね。お姉さんも、少し兄を借りていいですか?」
「うん、いいよ〜。相変わらず仲良いね〜」

寄る所? そんな約束してたっけ?
俺がここ数日の出来事から該当しそうな項目を洗い出している間に、新垣さんと麻奈実は歩き出してしまった。
俺とあやせは、手を振りながら二人を見送った。姿が見えなくなったところで、あやせは俺の右腕に自分の腕を絡ませた。
これだけ聞くと、ほほえましい気持ちのなるだろ? でもな、事実はそうじゃないんだ。
あやせは両腕は、俺の右腕をがっちりホールドしてるんだよ。
なんでそんなことをするかって? 俺を「逃がさない」ためさ……。

「お兄さん、いつもの公園に行きましょう。この時間、あそこなら『誰もいない』ですから」
「お、おう……」

そこでやっと気付いた。あやせは怒っているって。
多分、さっきの出来事が原因なんだろうが、どこで怒らせちまったのかは見当もつかない。
あやせがこうなっちまうと、俺に拒否権は一切ない。下手に抵抗すれば、より大きな怒りを買うことになる。
こういう場合は、おとなしく言うことを聞くのが得策なのだ。
だから、俺はあやせの言うことを素直に聞いた。今日の説教は短いと良いな……。



こんな感じ?
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/30(土) 16:54:23.32 ID:OMpRjrioo
わっふるわっふる
かまつづ
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/30(土) 17:01:23.30 ID:R8W0Wd2So
>>765
いや、続かないんだけどね。
展開を全く考えてないからね。
あやせものは、黒猫派のスペシャリストさんにまかせるよ。
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/30(土) 17:21:15.99 ID:Qn0YUJV2o
上のブリジット妹で誰も淡雪ちゃんという反応がないことに絶望した
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 17:51:25.63 ID:0CfO48eSO
実際いろんなCPに挑戦してる書き手さんが多いけど,ホントのところ皆さんは何派なんだろうか
ちょっと気になる
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 18:13:05.01 ID:5Op7OD/DO
>>764
続きは…続きはないんですか!?
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/30(土) 18:15:06.90 ID:OhZOZVqPo
>>768
沙織派です
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/30(土) 19:02:42.43 ID:R8W0Wd2So
>>768
沙織が好きです。
書きやすいのは女の子が出てこないSSです。
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/30(土) 19:20:28.08 ID:OMpRjrioo
何を隠そう実はブリ派でね
だが妹にしたいのは桐乃
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 19:43:37.52 ID:Z3ORxpizo
加奈子派だから誰か加奈子SSを書いてください
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/30(土) 20:27:02.30 ID:cIHkcWw10
>>768
CPと言うより五更三姉妹が好きです
でも皆さんの作品読んでるうちに加奈子も気になってきてしまいました
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/30(土) 21:02:24.62 ID:uZnfCPHAO
加奈子派ただしアストレイ
正統派には足を向けて寝られない

でも潜在的には桐乃派でもあるなぁ

お題を募ったり拝借するのもエキサイティングながら、
特定の普遍的なテーマやシーンから膨らますのもまた楽しからずや。
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/30(土) 23:42:29.36 ID:ZQ5rVPMz0
かなかな派だけどぶっちゃけSS読むたびにその作品のカプに染まることはできる
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 00:31:46.83 ID:8Z0bGDzDO
>>776
おばあちゃんが言っていた。
「SSと読者は時として化学反応を起こす。何があってもおかしくない」と。
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 09:19:23.41 ID:hZ86D9rIo
日向ちゃんSSマダー?
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 10:13:17.92 ID:3XRK5hVSO
信じていればきっと誰かが書いてくれるさ!
780 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 13:13:30.10 ID:fomMeBZw0
もしも〜が妹だったらで一つ思いついたので今日の午後5時から投下します。
桐乃⇔あやせ置換でカップリングは特になし
781 : ◆kuVWl/Rxus [sage]:2011/05/01(日) 13:58:27.99 ID:df86TCXAO
>>768
きりりん派です
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 14:46:57.38 ID:DVqKtqVDO
>>768
マイエンジェル


orzメニューぇ……

783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/01(日) 16:36:42.78 ID:yhS5muyN0
>>764
あやせ可愛いよあやせ
GJでございます

>>768
天使派です!書いてないけどな!
784 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:04:47.10 ID:fomMeBZw0
俺の名は高坂京介。どこにでもいる普通の高校二年生だ。
取り立てて自慢できるような特技や能力など無いが、
相手が誰であろうと自慢できるものが一つだけある。
妹のあやせである。

容姿端麗にして性格は生真面目で面倒見が良い。
やや思い込みが強い部分があるものの、それは一途さ故のこと。
最近ではティーン誌の読者モデルなどでも活躍するまさにラブリーマイエンジェルなのである。
これで妹じゃなかったら本気で結婚してくれって言うくらいなんだけどな・・・

「お兄さん、起きて下さい。早く起きないとご飯さめちゃいますよ」
「う〜ん・・・キスしてくれたら起きる」
「な、な、朝から何を言ってるんですかこの変態っ!ぶち殺しますよっ!?」
「あやせになら殺されてもいい」
「も、もう!いい加減にしてください!わたしは今から学校に行くんですから!」
「・・・今から?早すぎないか?」
「桐乃と一緒に行くんです。桐乃は朝練があるから朝早いんです」
また来たよこの展開が・・・
自他共に認めるシスコンの俺の(いや、こんな可愛い妹なんだから当たり前だろ?)
目下、最大の悩みがこの桐乃というクソアマの存在である。

新垣桐乃――容姿端麗にして成績優秀スポーツ万能、まさに絵にかいたような完璧超人だ。
だからとにかく凄く目立つ奴で、同級生であればその存在を知らない者などいない。
それは妹のあやせだって例外ではなかった――

まあそれだけなら問題ない。俺はそんな女に興味は無いし、あやせさえいれば十分なのだ。
だがしかし、ひょんなところからあやせと桐乃との関わりが出来てしまった。
実はこの新垣桐乃、前述の評価だけでも相当なものなのに読者モデルまでやっているのである。
つまり、あやせの仕事仲間ということだ。
それまではただ遠くから見るだけの存在だったのに、
あやせと桐乃はあっという間に仲の良い友人になってしまった。
それ以来、あやせはことあるごとに「桐乃は〜」「桐乃が〜」「桐乃に〜」「桐乃の〜」と連呼する始末。
くそ、こうなるんだったらやっぱりあやせがモデルをやるって言った時にもっと反対しておくべきだった!

そんなわけで俺はこの直接会ったこともない新垣桐乃という女に敵意を燃やしているのである。


785 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:05:28.48 ID:fomMeBZw0
「こんにちわ〜」
「おじゃましまーす」
「ちーっす」
そんな日々を送っていたところ、ある日あやせが友達を家に連れてきた。
その中になんとあの桐乃が居やがった。なんでわかるかって?ふん見くびって貰っちゃ困る。
俺は妹の載った雑誌はすべてチェックしてるしその写真は全て切り抜いて保存してある。
だが困ったことに最近の写真ではこの桐乃と一緒に写っているものが多々あるのだ。
しかもあやせ本人はそれを嬉しそうに報告してくるからたまったもんではない。
おっと、話が逸れたな。つまるところ俺は桐乃の顔は知ってたってことだ。

「いらっしゃい」
だがしかし、内心どう思っていようと可愛いあやせの友達に邪険な態度などとれるはずもない。
にこやかに挨拶して部屋に戻ることにする―――――聞き耳をたてるためにな!


壁に耳を当てると、隣の部屋の会話が聞こえてきた――

『だからぁ〜、そんなのいないってば!』
『うそだぁ〜、じゃーケータイ見してみ?』
『だ、だめ、それはだめ。プライバシーの侵害だから』
何の話だ?

『もう、とぼけて!ねえってば!桐乃〜相手はどんな男なのぉ?』
『だからぁ!あたしに彼氏なんていないってば!』
・・・・・ほうほう、これはつまり桐乃に彼氏がいるのではないかとあやせ達が問い詰めてる訳か。
あやせに彼氏疑惑が出ているわけではないんだな、ふぅ安心したぜ。
だが人の家に来てても話題の中心は桐乃なのか。ちょっと気に食わねぇ・・・

『そ、そうそう、ところであやせってお兄さんいたんだね?知らなかったよ』
『・・・う・・・そ、それが?』
『なんでそこで嫌そうな顔するの?優しそうな人だったじゃん』
お?なんか無理やり話題を変えにかかったみたいだな。
だがあやせよ、何故そこで嫌そうな顔をするんだ?お兄ちゃんは悲しいぞ。

『や、やさしいのは間違いないんだけど、わたしに構いたがりすぎて困ってるっていうか・・・』
『シ、シスコンなのっ!?』
『う、うん・・・たぶん』
こ、困ってたのか!?くそぅ、俺はこんなにもあやせのことを思っているというのに!
だが何で桐乃はあんなにシスコンに食いついたんだ?そんなに話題を変えたかったのか?

結局その日はこいつらが帰るまでひたすら壁に耳を当てていた――
おかげで新しいあやせたん情報を入手できたし、よかったよかった。
・・・興味もない話もさんざん聞かされたけどな。
だが冷静に考えれば敵のことを知っておくのはいいことだ。念の為メモっておくか。
あやせの事ならすべて頭に入るが、他のことは書き留めておかないと忘れてしまうしな・・・


786 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:05:59.49 ID:fomMeBZw0

そして夏休み――
今日、俺は東京ビッグサイトそばの国際展示場前に来ている。

最近、桐乃が構ってくれないと愚痴るあやせの付添だ。
今日はここで撮影があったのだが、モデルは現地集合で現地解散ということで、
一人であやせを行かせるのに反対した俺が荷物持ちとしてついて来たのだ。

撮影は順調に進み、午後から雨という予報だった天気も持ちこたえてくれた。
雨が降り出す前に帰りたいものだが、このビッグサイトの混みっぷりは何なんだ?
いくら東京といってもこんなに人がたくさんいるのは初めて見る――
しかも何か異様な恰好をした連中もちらほら見かける。何かのイベントだろうか?
何の気なしに見渡していると見覚えのある奴が目に飛び込んできた――

「・・・あれ、桐乃じゃねーか?」
「え?あ、本当だ!ねぇ桐乃〜!!」
あやせはそのまま駆け出して行った。

「あは、やっぱり桐乃だ。やだ、なに、どうしたのー?」
「あ、あやせっ!?」
「ウソぉ、嬉しー。待ち合わせした訳でもないのに偶然会っちゃうなんて。すっごいよね!
 わたし達見えない絆で結ばれてるのかも・・・あ、わたしなんかストーカーみたいなこと言ってる?」
「う・・・ん!すっごい偶然・・・!」
喜色満面ではしゃいでるあやせと違って桐乃は見るからに困惑している。
そもそもこいつは一体ここで何をしていたんだろう?
ふと、周りを見るとひときわ目立つ“いかにもオタク”と言った感じの
ぐるぐるメガネをかけた背の高い女と、ゴスロリファッションに身を包んだ少女がこちらを見ていた。

「な、何か用か?」
「失礼しました。ひょっとするときりりん氏のお知り合いですか?」
「き、きりりん氏!?」
なんだそりゃ!?
いや、おそらくその音の響きと状況から察するに桐乃のことを言ってるんだろうが、
こんな奇妙な呼び方をする奴を実際に見たのは生まれて初めてだ。

「あ、あいつの知り合いかってことか?それなら答えはYESだ。
 いま桐乃と話してる女の子の兄だよ。妹は桐乃の友達なんだ。君達もそうなのか?」
目の前の女の子達からあやせ達の方に視線を移すと、
桐乃がこちらをやけに気にしているように見えた――

「い、いえいえ!違います!どうやら人違いだったようで失礼いたしました!」
慌てふためいた様子で手をぶんぶん振ると、そのままそそくさと離れていった――
何事?桐乃は少し安堵したような、まだ困惑してるような微妙な様子だ。
以前家で見かけた時の落ち着き払った態度とかけ離れている。
よく事態が呑み込めないまま、俺はあやせ達に近づく――


787 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:07:15.46 ID:fomMeBZw0

「偶然だな、今日はどうしたんだ?」
「えっ?あ、あやせの兄貴?そっちこそ二人でどうしたの?まさかデート?」
「はっはっは、嬉しいことを言ってくれるな!いかにもその通りと言いたいが違う」
「今日の撮影はここであったんだよ。桐乃はどうしてここに?」
「え、あ、あはは!え〜っとね・・・」
特に変な質問でもないと思うのだが、なぜ答えないのだろう。
それとも聞かれたらまずいような事でもしていたというのだろうか?
さっき俺に声をかけてきた二人とも関係があるのかもしれない。

「さっきあそこの奴らに声かけられたんだけどお前の知り合いか?」
「し、知らないよあんなキモい連中っ!」
うわ・・・確かに俺もそう思ったけど、見ず知らずの奴にキモいとか性格わりーぞお前・・・
兄妹二人して軽く諌めるも、桐乃は『急ぐから』とこの場を離れようとするだけだった――


「――待って!!」
それを引き留めたのはあやせだ。ガッチリと桐乃の手首を握り逃がすまじというような様子で

「桐乃、どうして逃げるの?」
「べ、別に逃げたわけじゃ・・・」
「嘘、それは嘘」
断定。あやせは桐乃の言い訳を押し潰すように瞬時に否定をかぶせてきた。

「嘘、嘘、嘘。・・・嘘つかないでよ。・・・だって逃げたじゃない、逃げたでしょ?
 逃げたよね!?なんでわたしに嘘つくの?」
・・・な、なんだ突然この迫力は。これは本当に俺の妹のあやせなのか?
虹彩の消えた瞳に恐怖すら覚えながら恐る恐る声をかける

「あ、あやせ?あのさぁ・・・」
「うるさいっ!!」
「ヒィッ!!」
「お兄さんは黙っててくれます?今はわたしと桐乃が話しているところなので」
「ごめん・・・なさい・・・」
こ、怖い。セリフだけ見ると『わたし、ちょっと怒ってます』くらいに見えるかも知れないが、
実際は違うからね?ポツポツ降り出した雨とあやせの長い髪も相まって
まるでホラー映画の世界にでも迷い込んでしまった気分だ・・・
普段から妹にセクハラ連発して怒らせてる俺だが、こんな怒りは見たことは無いぞ?


788 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:08:09.57 ID:fomMeBZw0

「ねえ、桐乃は知ってたはずだよね?わたしが嘘が嫌いだってこと・・・
 嘘つく人が大っ嫌いだってこと!!なのにどうして嘘つくの?わたし達親友じゃなかったの?」
「ち、違う・・・」
「何が違うの?ほらまたそうやって黙り込む。桐乃らしくないじゃない。
 ショックだなぁ・・・親友だと思ってたのに」
「・・・その辺にしとけよ、友達だって言えないことの一つや二つあるだろう?手ぇ放してやれ」
あまりの様子にあやせを諌めて手を放させる。

「あっ、ごめんなさい。痛かった?」
「・・・ううん、大丈夫・・・」
とは言うものの桐乃の手は赤くなっていた。どんだけ強く握ってたんだよあやせ・・・

「でも、わたし桐乃のことがすっごく心配で!何か嫌な予感がするの!
 ・・・・・どうしても見過ごしちゃいけないような気が・・・・・」
「うぅ・・・」
「――その紙袋、何が入ってるの?」
その言葉が引き金になったのか、そのまま弾けるように桐乃は駆け出した――

「待って!!」
とっさに伸ばしたあやせの手がその紙袋にかかり、引き裂かれる――
雨の降りだす中、ぶちまけられた紙袋の中身に三人とも硬直する。

最初に動いたのはあやせだった。
散らばった本の中の一冊を拾い上げページをぱらぱらと捲る――

「安心して。誰にも言わないから。あなたみたいな人が・・・こういうものを・・・
 皆に信じてもらえるとも思えないし・・・。でもっ」

      バサッ

そのまま地面に落とすように本を手放し、抑揚の全くない声で言い放った。

「ごめんなさい、そういう人とは今後お付き合いできません。
 お願いですから学校でも話しかけないで下さいね――」
あやせはそのまま一瞥もせずに駅に向けて歩き出した――

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜疲れた〜〜〜〜〜〜〜」
雨に濡れたままだったとか、荷物を持っていたとか、そんなことは全部二次的な要因にすぎない。
表情を固まらせたまま、一言もしゃべらないあやせと家に帰りつくまで――
その精神的な苦痛が今日一日の疲れを倍増させていた。
あんなあやせの様子は14年間あいつの兄をやってて初めて見たのだ。しかも絶交宣言だと?

今まで見たことの無いあやせの一面を引き出したのが桐乃だと思うと何か歯痒くて仕方ない。
だが、あの忌々しいクソ女(桐乃)とあやせが縁を切るのは大歓迎だと一人ほくそ笑む。

この時俺はまだ事態を軽く考え過ぎていたのかもしれない――
789 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:09:20.56 ID:fomMeBZw0
「ねぇ、京介。最近あやせに何があったの?」
「友達と喧嘩したらしいんだよ・・・」
「本当にそれだけ?もう一週間もあんな調子じゃない・・・」
最近の我が家の空気は暗い――それは仕方がない。我が家の守護天使あやせたんに元気がないのだ。
思春期の女の子なんだから悩み事くらいは当たり前だろうと言っていても、
一週間もあんな調子じゃあ、お袋も心配するってもんだ。

「あんたお兄ちゃんなんだから、何とかしてあげないさいよ」
「なんとかって言ってもなぁ・・・」
本音を言えば二人が仲直りして、またあやせが桐乃にばっかり夢中になるのは気に食わない。
だが今の状態がいいものと思えないのも事実――あの天使の笑顔が見れないのは俺も辛い。
てっとり早く立ち直らせるには仲直りさせるのが一番なんだろうなチキショー!

「わぁーったよ!!なんとかしてみる」
どうすりゃいいのか皆目見当もつかないまま返事が出来るのは、やっぱり愛しの妹の為だからかねぇ・・・


「とは言ったもののどうすっかなぁ・・・」
まず情報を整理してみよう。
あの時、桐乃があそこに居たのはコミックマーケットというイベントに参加するためで、
そのコミケとやらは同人誌といって素人が自分の創作物を売ったり買ったりするものらしい。
そして最大の問題は、桐乃があの時持っていたのは、その・・・いかがわしい物だったってことだ。
潔癖症のラブリーマイエンジェルには受け入れがたい物だったらしい。
女の子だろうとそういう物に興味を持つのは自然なことだ、とも思うが、
俺は中身を見てないんだからあまり無責任なことは言えないんだよな・・・

それにあやせはいわゆる“オタク”という人たちを犯罪者予備軍として見てるフシがある。
だからオタクの祭典に桐乃が参加していたって言うだけで相当ショックだったのだろう。

「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜どうすりゃいいんだろう?」
深いため息をつきながら近所をぶらぶらしていると、
見たことのある少女の姿が目に入った――

一目見たら忘れないだろう夏場にもかかわらずゴテゴテと飾り立てられた黒いドレスを着た少女。
あの日、俺に話しかけてきたぐるぐるメガネ女のツレだったはずだ――
790 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:09:55.63 ID:fomMeBZw0
「き、君っ!」
思いもよらぬ邂逅にセンチメンタリズムな運命を感じつつ話しかける――
アレ?なんか俺妙なこと口走ってる?

「なにかしら?」
振り向いたその少女の目は赤く、頭には猫の耳が生えていた。
何だこれは?俺はいつの間にワンダーランドに迷い込んでしまったのだ?

「その、覚えてないか?つい先日会ったと思うんだが・・・」
「ナンパ?ふっ、調子に乗らないで頂戴。
 この私に人間風情が気安く声をかけていいと思っているのかしら?」
「も、申し訳ない!だが大事なことなんだ。新垣桐乃という女のことで話がある」
非日常という表現がピッタリくるような雰囲気の女の子―黒猫と名乗った―に
あやせが知らない詳しい事情を聞くことにした――



ざっと纏めるとやはりこの子とあのぐるぐるメガネは桐乃の友人らしい。
それも“オタク友達”だということだ。
本人も自分の趣味が大きな声で言えないと思っていたらしく、
趣味の話はネットのコミュニティだけでしていて、そこで二人と知り合ったらしい。
家が近かったこともあり、あの日は三人でコミケに来ていたというわけだ。
学校の友人(=あやせなど)に趣味を秘密にしているという事を知っていた二人は、
出会った様子からそっちの知り合いと察してあの場を去ったという事らしい。
だがあんな怪しい確かめ方だとバレバレだと思うんだけどなぁ・・・

「私から言わせれば自業自得ね、自分の趣味をヘタに隠すからそうなるのよ」
「でも隠してなかったらそれはそれで大変だったと思うんだが・・・」
「違うわ。
 隠していたということは、誰というよりまず自分が自分の趣味のことを見下していたのよ。
 本当に好きなら開き直るべきよ。そう思わないかしら?」
「ん〜まあそういう見方もできるか・・・」
俺自身、シスコンシスコンと周りの連中からからかわれることもあるが、
あやせ至上主義の俺からすればむしろ褒め言葉だしな。

「で、その桐乃の趣味って具体的にどうなんだよ?」
「どう?というと?」
「妹に聞いても『いかがわしいもの』の一言だけで要領を得ないんだよ」
「それは本人から聞いたらどうかしら?取り次いであげてもいいわよ?」
「本当か?それなら頼む!」
「妹さんの為に必[ピーーー]ぇ・・・聞きしに勝るシスコンだわ」
どうなるか楽しみ・・・そう小声でつぶやいた黒猫の声は俺の耳には届いてなかった――

791 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:11:19.86 ID:fomMeBZw0
「久しぶりだな」
「・・・うん」
目の前にいる少女は新垣桐乃――のはずだ。
というのも以前から受けていた快活な印象は無く、あやせと同じように猛烈に沈み込んでいた。
こんな様子じゃ外で見かけても気が付かなかったかもしれない・・・

「えっとさ、話を聞きたいんだけどいいかな?」
「べつにイイケド・・・あんた何の為にこんなことしてんの?」
「あやせの為に決まってるだろうが!お前の変な趣味のせいであやせが落ち込んでんだよ!」
落ち込んだ様子があやせを思い起こさせて、その原因であるこいつが急に腹立たしくなった。
だが、俺の言葉に桐乃は猛烈に反応してきた――

「へ、変な趣味って何よっ!!少なくともあんたにだけは言われたくないわよっ!!」
「ああっ!?なんでそうなるんだよ!!大体あやせが落ち込んでるのもお前のせいなんだろーが!!」
「“それ”よっ!!あんたは何かにつけてあやせあやせって・・・バカじゃないの!?」
「なんだとっ!?俺のあやせへの思いをバカにすんじゃねーよ!!」
妹をとられたような思いがあった為か、ほぼ初対面にもかかわらず歯に衣着せぬまま怒鳴りあう。

「うっさい!!このシスコン変態バカ兄貴!!」
「シ、シスコン変態バカ兄貴だぁ・・・!?」
「何か間違ってる!?言っとくけどねぇ!
 あんたの度を越した変態行為はあやせから聞いてるんだからね!!」
「な、何を聞いてるっていうんだっ!!」
「お、女の子に何言わせるつもりなのよ、この変態っ!!」
「誰が変態だっ!?」
「自分の胸に聞いてみればいいでしょ!だ、大体妹相手に結婚しようとかふつう言う!?」
「う、うるせー!!そんくらい可愛いってことだろうが!!」
「うん。あたしもあやせはすっごくいい子だと思う・・・」
すると、桐乃はいきなりスっと落ち着いた様子に変わった――

792 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:11:58.00 ID:fomMeBZw0
「なんだよ、いきなりおとなしくなりやがって・・・」
「あんたって本当にあやせが大事なんだね。羨ましい・・・」
「・・・どういう事だよ」
「あんたんとこのお父さん、警察の人なんでしょ?結構厳しい人らしいじゃん」
「・・・・・まあそうだな」
「あたしのお母さんもさぁ、PTAの会長とか色々やってて厳しいんだよね」
「らしいな。ちょろっと聞いたことはあるよ」
本当は盗み聞きしてたんだけどな。

「しかもあたし一人っ子じゃん?おかげで親の期待通りにしないといけなくてさ、
 息苦しいったらありゃしないの・・・」
「それに何の関係があるんだ?」
家庭の悩みなんて多かれ少なかれどこにでもあるもんだろう。
そんなことで同情されるとでも思ってるのか。

「・・・・・兄貴がいるって知ってから、よくあやせがあんたの話をするんだよね・・・」
「そ、そうなのか!?」
「キモッ!!なんでそんな嬉しそうなのよ!!」
「す、すまん・・・」
「・・・まあいいけど。あやせは口では迷惑そうに言ってるけどサ」
「め、迷惑なのか・・・」
改めて聞かされるとやはり悲しい。だが迷惑と言われてもこの思いはどこにぶつければいいんだよ?
「でもさ、あたしはあやせがあんなにいい子なのはあんたのおかげだと思うんだよね。
 厳しいお父さんに色々言われたとしてもさ、
 あんたみたいに自分よりも妹を優先してくれる兄貴が居たら心強いと思うし、
 あたしも、ずっと頼りになる兄貴が居てくれたらなって思ってたから・・・」
な・・・なんて嬉しいことを言ってくれるんだ・・・!今はこいつが天使に見えるぜ!

「だから、あたしそういう本とかゲームとか集めてたの・・・」
「・・・・・は?」
「だから・・・も、もういい!とりあえず読んでみればいいでしょ!」
ドサッとテーブルの上に出されたのは数々の薄い本と『妹』の文字が輝く“何か”のパッケージ。

「なんだこりゃ?」
「あ、それPC版。最初はPS2から出てたんだけどPCに移植されてから別シリーズ化したやつね。
名作ではあるけど、ちょっと古いし内容もハードだから初心者にはおススメしない」
いや、だれもそんなこと聞いてねーし。そもそもこの『妹と恋しよっ♪』って何よ?
素人にはお勧めしないってお前はプロなのか?何のプロだよ?
何か延々と語りだす桐乃に圧倒されるばかりだった・・・

793 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:13:14.56 ID:fomMeBZw0
「――で、どう?」
「ど、どうとは?」
「だから、その、感想。あたしの趣味を見た」
「び、びっくりした」
「・・・それだけ?」
それ以外にどんな感想持てばいいんだよ?
妹モノのエロゲーにハマってる女子中学生なんて初めて見たぞ。

「やっぱりおかしいかな、あたしがこういうの持ってるの・・・」
「・・・まあ、あやせは受け付けないだろうな」
「なによその盛大な自己否定」
「えぇっ!?」
「あ、あのねえ!
 言っておくけど兄妹で恋愛とか結婚ってのは神話の昔から語り継がれてる物語なの!
 ちょっとエッチな描写があるとかって言うのは本質じゃないの!!
 それにこれを否定するんなら自分達はどうだっていうのよ!?
 シスコンが犯罪ならあんたの存在もアウトでしょ!?それでもいいって言うの!?」
た、確かにその通りだ。俺は自分のこのあやせへのたぎる思いが悪だとは決して思わない。

「あ、あやせだってあたしと喧嘩して落ち込んでるって言ったじゃん!
 だからあんたが説得してよ!!大事な妹の為なら何でもするんでしょ!?」

「まさか出来ないなんて言うつもり?あんたの妹への思いってその程度?
 妹が毛嫌いしているアニメやゲームにも負けちゃうくらいショボイの!?」

次々と焚き付けてくる桐乃の言葉に頭に血が上る――

「見くびるなよ!!やってやろーじゃねーかっ!!!」

売り言葉に買い言葉?いいや違うね!!
桐乃の趣味を認めさせることは俺の気持ちをあやせに伝えることでもあるんだ!!

794 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:13:56.59 ID:fomMeBZw0
――近所の公園にあやせを呼び出す。初めのうちは桐乃に隠れていてもらう。
まず直接顔を合わせることくらいしてくれないと話しにならない。

「お兄さん、どうしてこんな公園で話なんてするんですか?家では駄目なんですか?」
「ああ、家だと親父が居るから大きな声で言えないこともあるだろ?」
「お父さんに聞かれて困る話をする方が間違ってます」
「いや、そういう事じゃない。お前の友達のことだ。
 なあ、あやせ。いい加減桐乃と仲直りしたらどうなんだ」
「・・・どういう事ですか?」
「あいつの趣味のことは聞いたよ。俺も正直驚いたし、お前の気持ちもよくわかる」
「じゃあ、話すことは何もないです」
「まてよ!!俺はお前に聞きたい!!俺の気持ちは迷惑か!?」
「な、何のことですか!?」
「俺が・・・あやせを思う気持ちだ。可愛いと思う。大事だって思う。愛してると言ってもいい!
 お前が生まれてから14年間ずっと見守ってきた・・・この俺の気持ちは気持ち悪いか?」
「に、兄さんはいつもそうです!!こっちの都合も気持ちもお構いなしに暴走するから・・・!!
 だから困るんです!!わたしの一言ですぐ傷付くし、落ち込むし・・・大喜びするし・・・」
「その通りだ、お前が落ち込めば俺も落ち込むし、お前が嬉しいなら俺も嬉しい。
 そしてお前が幸せなら俺も幸せなんだよ。お前はこの俺の・・・この兄の気持ちを否定するのか!?」
桐乃の頼みもあるが大半は自分の為だ。
どっちでも構わないと強がって開き直って、今まで聞けなかった妹の本当の気持ち。

「・・・教えてくれよ」
「兄さんみたいな人は・・・・・迷惑ですけど、嫌じゃないです」
「ほ、本当か!?」
「そ、そうやってすぐ一喜一憂するから言い難いんです!!」
「そ、そっかごめんな。でもさっき言った通りだよ。俺はお前が落ち込んでるととても悲しい」
「・・・・・はい」
「原因はわかってるよ、あの日からだもんな」
あやせはうつむいたまま答えない。

「あいつと友達になってから、しょっちゅう話題に出してただろ?それだけでわかるよ、
 お前があいつを大好きだってこと。――そしてそいつと喧嘩してるから辛いんだってこと」
「・・・・・」
「あやせが大好きな俺からすれば、お前をあいつに盗られるみたいでちょっとヤだけどな、
 お前が落ち込んでるよりずっといい」
「お兄さん・・・」
「いい加減仲直りしないか?」
「え・・・?」
物陰に隠れていた桐乃が出てくる――途端にあやせの表情が険しくなる。

「・・・どういうつもりですか?」


795 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:14:35.98 ID:fomMeBZw0
「・・・お前と仲直りさせるために呼んだんだよ」
「ひ、久しぶり・・・」
ひときわ緊張した様子で桐乃が出てくる。
思い返せばこいつが最後に会ったあやせはあの状態だったからな、緊張するのも無理はない。

「いまさら・・・何の用なんですか?新垣さん」
ぐ・・・、さっきの様子から説得できたと思ったのになんだこの態度の差は!

「あやせ・・・、お前が気持ち悪いって言った桐乃の趣味はさ、
 俺のお前への気持ちと同じようなものだろ?なんでそんな嫌がるんだ?」
「そ、そうよ!!よく読みもしないで人の趣味否定しないでよ!!
 いいじゃんあんたにはこんな兄貴がいるんだから!!」
「一緒にしないでっ!!!」
鬼の形相とでも言うような様子で桐乃を怒鳴りつける――

「わたしのお兄さんと・・・よく知りもしないでそういう話を好む人たちを一緒にしないで!」
「な・・・何よ」
「よく知りもしないのは・・・桐乃の方だよ!
 お兄さんがどれだけ私を大切にしてくれてるか知らないで・・・
 それをあんなのと・・・あんな汚らわしいものと一緒にしないで!」
「あ、あたしだってあんたの兄貴みたいな兄弟が欲しかったの!
 そういうのに憧れるのが悪いって言うの!?」
「うるさい!あんな犯罪者予備軍が書いたようなモノが良いはずがないでしょう!!」
もの凄い形相で桐乃を責めたてるあやせ――
これはきっと桐乃への思いの裏返しだ。さんざん聞かされてきた俺には分かる。
あやせは桐乃が大好きで、尊敬してて、友人であることを誇りに思ってたくらいだ。
だから、桐乃が自分が嫌悪するオタクという人種だったことが耐えられないんだろう――

涙を浮かべる桐乃――
第三者の俺ですら耳をふさぎたくなるような暴言――
そして、その言葉を発するあやせ――

あやせの心が桐乃への好意と憎悪で壊れそうになっている――
やめてくれ。もういいから!!もうわかったから!!!

「もうよせ!!あやせっ!!」

796 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:15:28.59 ID:fomMeBZw0
なぜか俺が泣きそうな顔で止めに入る――あやせは怪訝そうな顔で俺を見つめる。
さっきも言ったよな?俺はあやせが良ければ全てが良いシスコン変態バカ兄貴だって。
だから、自分が犠牲になることくらい屁でもねーんだよ!
あやせにこんな顔させてこんなこと言わせるくらいなら・・・、俺が地獄に落ちてやらぁ!!

「もう、それ以上友達を傷つけるな・・・」
「・・・あんな趣味を持ってる人なんて友達じゃありません!」
「・・・あれは桐乃の趣味なんかじゃないぜ」
「え・・・?」
俺の唐突な告白にあやせも桐乃も呆然とする。

「あれは俺のなんだ。俺が桐乃に頼んで買ってもらったやつなんだ!」
「・・・どういう事ですか?返答次第ではブチ殺しますよ?」
「へっお前にだったら殺されてもいいね!!もう一度言うぜ、あれは俺のなんだ!
 さっきも言ったが俺はなぁ、あやせの事が大好きなんだよ!愛してると言ってもいいね!
 出来ることなら結婚したいくらいだ!!
 でも世間でそんなことが許されていないことくらいわかってる!
 だから集めてたんだよ!兄と妹の許されざる愛の物語を!!
 お前を不幸にするわけにはいかないだろう!?
 だから俺はああいう本やゲームで自分を慰めていたんだ!!
 現実には出来ないことを想像して、報われた気になってたんだよ!
 気持ち悪い?犯罪者予備軍?どう言おうとお前の勝手さ!!
 だけどそれなら俺が何を思おうと勝手だろう!!
 俺がお前のことを好きな気持ちも、俺の勝手だろう!!
 この気持ちを誰であろうと・・・お前にだろうと否定されてたまるかよ!!
 いいかよっく聞け!!俺は妹が・・・妹が・・・
 大っっっ好きだーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
俺の魂の叫びとともにあやせの瞳から虹彩が消える――
おお、桐乃だけじゃない。俺もあやせにこんな表情させることが出来たんだな。

そんな呑気なことを考えていたらマイエンジェルのハイキックが飛んできた――

「な、な、な、何を言っているんですかっ!!この変態っ!!」

愛しの妹の声を聴きながら俺は気絶した――

797 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:16:30.78 ID:fomMeBZw0
―――――あれ以来、俺はあやせに口をきいてもらえない。
目すら合わせてもらえなくて寂しくて死にそうだ

「いいじゃん、そろそろシスコン卒業すれば」
「よくねーよ!!もとを辿れば完全にお前のせいだろうが!!」
「まーまー!あたしはわかってるから!それに感謝してるって!」
「お前に感謝されても嬉しくねーよ・・・本当に感謝してるならあやせの誤解といてくれ」
「それってまたあやせと喧嘩しろっていう事?」
「こ、このヒキョー者!!」
「へへ〜、でもホントにアリガトね。おかげであやせと仲直り出来たしさ」
強引ではあったが、あやせは桐乃と仲直り出来たし、以前の元気も取り戻した。
それは喜ばしいことだ。だが俺の気持ちはどうなるんだっていう・・・

「そもそも親父やお袋に言われたらどうなるか・・・」
「あやせはそんな子じゃないよ。あんただって知ってるでしょ?」
「それはそうだが・・・今回に限れば自信がねーよ・・・」
内容が内容だから、俺を本気で気持ち悪いと思ってるかもしれない。
もしあのセリフが親父に伝わったら、冗談抜きで家から追い出されるだろう。

「いいじゃん、そうなったらうちの子になれば」
「意味わかんねーよ!」
「あたし、あんたみたいな兄貴が欲しかったんだよね」
「俺はお前みたいな妹欲しくねーよ!!」

                                         終わり
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/01(日) 17:26:35.98 ID:7zHzhRBOo
時空がネジ曲がってもやはりシスコンか・・・ww
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 17:30:00.80 ID:ZW6RrpTDO
GJ!
立場入れ替えたら障害なくなって桐乃ルートになってるなww
800 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/05/01(日) 17:36:06.75 ID:fomMeBZw0
あれ?790にフィルターかかってる?

テスト

必死
ひっしねぇ・・・
必[ピーーー]ぇ・・・
しねぇ・・・
[ピーーー]ぇ・・・
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/05/01(日) 17:38:21.21 ID:Z1xZGq4xo
sage sageになってるぞ
sage sagaにしないと
802 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/01(日) 17:52:06.80 ID:fomMeBZw0
>>801
なんだと?

リトライ
必死ねぇ・・・
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 17:56:02.14 ID:8Z0bGDzDO
乙だぜぃ。
焼き直し感は否めないが、なかなか良かったと思う。
しっかし、この京介さんは赤城と話が合いそうだな。
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 18:37:02.37 ID:ZtmZv2HAO
妹あやせマジヤバイ。
乙!

制限のない桐乃といい感じに拮抗しそう。
この関係だと本編以上にシリアスになる予感もする
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/01(日) 18:45:41.05 ID:U5eOnhnH0
面白かった
あやせ妹バージョンもっと見たい。
しかし、高坂あやせより新垣京介のほうが変え方としてはいいと思う。
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/01(日) 18:48:01.30 ID:W86Y36ODo

ひさびさにがっつりボリュームのあるSSだった
807 :sage :2011/05/01(日) 20:44:38.84 ID:zo1rA3Zq0
つーか凄く良い出来なんですけど
続くんですよね?
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/01(日) 20:46:44.74 ID:W86Y36ODo
文字置き換わっちゃう仕組みってホント誰得だよね・・・
いい加減無くしたら良いのに
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/01(日) 21:08:33.60 ID:eQdrCbPx0
乙です!

ここ最近あやせスレに入り浸っている俺得なSSありがとうございました!





...まだ続くよね?
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/01(日) 21:29:09.36 ID:KN9EA78B0
乙です!
もっと妹あやせと他キャラの絡みが見てみたいので続き期待してます!
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/01(日) 21:33:52.57 ID:iQOiV0Qv0
GJ!

あれ?京介×あやせだと思ってたら京介×桐乃だったでござる。
この兄貴なら桐乃さん完全に惚れただろ
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 21:43:33.29 ID:3XRK5hVSO
いいねこのif妹SSの流れ
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 22:45:06.52 ID:BjCF52xho
黒猫とあやせが酒飲んでた話の人って単発?
あのグダグダさとか好きなんだけど
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 23:40:25.69 ID:Lc8wuoiBP
いろんな作者のこのシリーズを見たい
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/05/02(月) 00:54:18.84 ID:b8eHCiKAO
>>813
まとめwikiに三作ある。
あと主に高校時代を書いた個スレもある。
>>331参照
813の好きそうなユルエピもあったよ
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 12:43:37.93 ID:UwgD7IsSO
なかなか日向ちゃんSSが来ないなー
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/05/02(月) 13:13:20.23 ID:+PAxhSNG0
乙です。
妹ではない桐乃というのも、なかなか良いものだと気付かされました。
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 15:46:30.44 ID:+dM8gOBjo
>>797
すんげー面白かった
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 15:48:37.27 ID:+dM8gOBjo
続き待ってるよ
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/02(月) 15:49:56.33 ID:B5rz5U/co
「俺の妹がこんなに病んでるわけがない」は是非シリーズ化してほしいところ
原作焼き直しだろうと構わん
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 15:58:05.45 ID:9vI6xbqDO
ふむ。
桐乃留学ってなったら、またあやせが落ち込んで、それを見兼ねた京介さんがアメリカに渡るのか。
これをやるためには、京介さんと桐乃の間に、それなりの交流が必要だな。
822 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/02(月) 16:23:55.49 ID:1S+vzCEQ0
感想ありがとうございます
続編希望の声が来るのも予想外ならその声がこんなに多いのも予想外でした

よくよく考えれば『口も利かない状態になって終わり』じゃあ、あんまりですよね
なんとかあやせと京介の仲直りまで書いてみます

思いつかなかったらギブアップするのでその時は言い出しっぺの皆さんよろしく!
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/02(月) 16:28:09.66 ID:B5rz5U/co
イヤッホオオウ(AAry
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/02(月) 16:49:02.76 ID:mFJe3er6o
*     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッホオォォォォォォォウ!!!!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *     +    。     +   。 +
     〈_} )   
        /    ! +    。     +    +     *
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/02(月) 18:19:24.65 ID:Hu1OcsqA0
来ちゃったなこれは!
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/02(月) 18:59:17.43 ID:B5rz5U/co
こうなったら色んなif妹シリーズでそれぞれシリーズ展開してくれないかな
俺は原作焼き直しでも構わないし、焼き直しなら書く側もすらすら書けるし
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/05/02(月) 19:45:11.27 ID:YAzr57nIo
>>822
スレ立てるん?
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/05/02(月) 19:54:20.05 ID:h1SvtAJ0o
立てる必要性が見当たらない
829 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/02(月) 20:10:15.22 ID:1S+vzCEQ0
はい、立てません
書き上げてからこのスレに投下という形になると思います

あやせと京介が絡む場面の数から、焼き直しの流れだとおのずと限界があるので
あんまり長くせずあやせと京介が仲直りして終了という形にしたいと思ってます
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/02(月) 20:10:39.57 ID:anLs0onPo
仲直りで終わりにするならいらないと思う。
書いてて、もうちょっとだけ続くんじゃって感じになったら立てた方がいい
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 20:12:21.33 ID:zSSlBHpIO
マジで期待する
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/02(月) 20:18:09.69 ID:AvdjwWEAO
沙織が妹の話は別スレに行ってたし長くなりそうなら新しくスレ建てるって感じでいいんじゃないかな
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 20:40:57.94 ID:i3M2vDFSO
>>815
ありがとう。
カプが不安だけど読んでくる
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 20:45:50.87 ID:NFRclDfSO
質問なんですが、加奈子やブリジットが出演してるステージってライブ演奏的なものですかね?
ヒーローショーみたいな寸劇はやったりはしないですかね
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/05/02(月) 20:47:38.86 ID:h1SvtAJ0o
事務所次第じゃね
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/02(月) 20:50:10.99 ID:mFJe3er6o
>>834
原作じゃ、アニメの名シーン再現とかやってるって書いてあったはず。
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/02(月) 21:54:38.32 ID:Fiocwbml0
妹あやせの続編か
楽しみが増えて何よりだ
838 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/02(月) 22:19:09.42 ID:D+xw36Tuo
if妹で小ネタですが1本書いてみました。
いつも展開が、ワンパターンですいません。

投下:22時30分から 投下します(6レス)
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/02(月) 22:21:14.83 ID:JiNAqJH+0
期待
840 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/02(月) 22:29:58.30 ID:D+xw36Tuo

俺は玄関先で靴の底の泥をよく落とし、服に付いた埃を軽く払ってから
ドアのレバーハンドルに手を掛けた。
泥なんか付けたまま家に入ると、妹のヤツに怒られちまうんだよ。
玄関の上がり口に腰を下ろし、俺が靴紐を解いていると、その音を聞きつけたのか
妹が早速リビングから出てきた。

「お帰りなさい、お兄さん。……で、今日はどうでしたか?」
「うーん、今日はそれほどの収穫はなかったよ。
 何かの昆虫らしい化石がいくつか見つかっただけさ。
 俺は専門家じゃねえから、そのへんはよく分からんけどな。
 それにしても、今日は疲れた〜」

何で俺が化石の発掘なんかしてるかって……別に趣味でやってるわけじゃねえよ。
俺の親友の赤城ってヤツが、サッカー部の他に、最近になって遺跡発掘研究会とかいう
わけの分からん同好会に入ったもんだから、俺も仕方なく付き合ってるだけさ。
そもそも遺跡の発掘と昆虫の化石の発掘って、違う分野なんじゃねえのか?

俺の見たところ赤城のヤツ、どうやらその同好会に気になる女の子がいるらしい。
赤城は極度のシスコンで、妹の瀬菜にしか興味がねえのかと思ってたけど、
どういう風の吹き回しなのかね。まぁ、俺には関係ねえけどさ。

「お兄さん、お風呂なら沸かしてありますけど……
 お腹が空いているようでしたら、先にご飯にしますか?
 それとも……わ・た・し?」

いつものことだよ。あやせのヤツ、兄貴をからかうのがそんなに面白いのかね。
まだ中三のくせに、わざとらしく腰をくねらせやがって。
だがなぁ、俺だって健全な男子高校生なんだよ。
妹にからかわれていると分かっていながら、ついむきになっちまう。

「おまえはなぁ、なんつーカッコしてんだ、そのミニスカートは何とかなんねーのかよ。
 家の中だってのに……短過ぎるだろうが。
 おまえ、ジャージ持ってんだろ? 家の中じゃあジャージ穿いてろよ」
841 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/02(月) 22:30:30.86 ID:D+xw36Tuo

それじゃあパンツが見えそうじゃねえか。
俺だって本音を言えば、あやせがミニスカートを穿いてくれんのは嬉しいけどさ、
やっぱ、実の兄貴としては、そんなこと口が裂けても言えねえだろ。

「わたし、家の中だからこんなに短いの穿いているんですけど……
 外ではここまで短いスカートは穿きません。それでもだめですか?」

あやせはミニスカートの裾をちょっとだけ摘まみながら、不満そうな顔つきで俺を睨みつけた。
俺がどういう反応を示すかと、試そうとしている目つきだ。
そんな手に俺が易々と乗るわけはねえだろ。
それにしても、外では穿かないって……どういうことだ?
まさかあやせのヤツ、実の兄貴の俺を挑発してるんじゃねえだろうな。
どんだけ俺が普段から妹に、つーかあやせに欲情しそうになるのを抑えていることか。
もしもあやせが実の妹じゃなけりゃ、今頃はあんなことやこんなことや……

「ま、まぁ……ジャージってのは極端かもしれねえけどさ、
 あやせだってもう中三なんだからよう、サザエさんに出てくるワカメちゃんじゃねえんだから、
 パンツ見せながら家ん中を歩くなって言いたかっただけさ」
「…………お兄さん、わたしのパンツ見たんですか? この変態っ!」

そんなわけで、つい口が滑っちまった俺はあやせからローキックを食らって床に転がり、
あらためてローアングルであやせのパンツを拝んだ後、ほうほうの体で風呂場へと逃げ込んだ。
俺は風呂場の脱衣所の戸を勢いよく閉めながら、思いっきりあやせに言ってやったよ。

「あやせっ! 俺が風呂に入ってる間、絶対に覗くんじゃねーぞっ。
 もし覗いたら……俺、泣いちまうからなっ!」

あやせは何も言ってはこなかった。
耳を澄ましてみても、廊下は静まり返っていて人が近づいてくる気配はねえ。
幾らあやせだって、実の兄貴の裸を覗き見る趣味はねえだろうしな。
もしかすっと、パンツの一件で、怒って自分の部屋に行っちまったのかもしれん。
そういやさっき、ドカドカと階段を上る音が聞こえてたもんな。
842 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/02(月) 22:31:12.93 ID:D+xw36Tuo

俺は風呂場の脱衣所の戸をそっと開け、あらためて廊下に誰もいないことを確認してから、
安心してゆっくりと服を脱ぎ始めた。
まぁ考えてみれば、あやせのヤツは俺が外から汚れて帰ってくるだろうと気遣って、
あらかじめ風呂を沸かして置いてくれたんだろう。
さっきは少し言い過ぎちまったかもしれん。仕方ねえ、風呂を出たら謝んなきゃな。

すぐにでも湯船に飛び込みたいところだが、そうするとお湯が汚れちまうと
いつもあやせが口を酸っぱくして言うもんだから、俺はそれに従って丁寧に身体を洗うと、
ようやく湯船に身体を沈めた。

「やっぱ、妹はいいよなぁ〜。……弟じゃあ、ここまではしてくんねえだろうしな。
 あやせを産んでくれたお袋には、感謝しなくちゃいけねえよな」
「お兄さん、感謝するのなら、わたしに感謝してくださいね。お風呂を沸かして置いたのも、
 こうしてバスタオルと下着を持ってきてあげたのも、全部わたしなんですから」

心臓が止まるかと思っちまったよ。
俺が慌てて風呂場のガラス戸に眼を向けると、その型板ガラスの向こう側には
バスタオルらしきものを手に持って仁王立ちをしている、あやせのシルエットが映っていた。
そういや俺、着替えも何も持たずに風呂に入っちまったんだっけ。
どんだけあやせってヤツは、気が回るヤツなんだかね。

「これで風呂場のガラス戸がガチャっと開いて、お兄さんお背中を流しましょう――」
「お兄さんっ! 心の声がダダ漏れじゃないですかっ。
 ……本当に開けちゃいますよっ」
「あやせっ、それだけは勘弁してくれ。俺にも心の準備っつーモンがあんから」
「もう、冗談はそれくらいにしてください。着替えは、ここに置いておきますから」

あやせの気遣いに感謝しつつ、俺は風呂場にも鍵を付けるって考えたヤツにも感謝した。
だって、あやせが脱衣所を立ち去る際に、小さく舌打ちするのを聞いちまったんだもん。
俺は風呂場の外の気配に全神経を集中させ、音を立てないように風呂から上がると、
あやせが用意してくれたパンツを速攻で穿いた。
843 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/02(月) 22:31:56.17 ID:D+xw36Tuo

俺がパンツ、といってもトランクスとTシャツというラフ過ぎる格好でリビングへ行くと、
あやせが冷蔵庫から麦茶を出してグラスへ注いでくれた。
もうさっきのことは怒っていないようで、あやせはいつもの笑顔だった。
俺の妹にして置くのは勿体ねえなと思いつつも、やっぱ妹で良かったんだとも思ったよ。
だってそうだろ、妹じゃなかったら、こうしていつも一緒にいられねえじゃねえか。
俺が麦茶を飲み干すのを待っていたかのように、リビングのソファーに座っていたあやせが
おもむろに声を掛けてきた。

「お兄さん、来週のお兄さんの誕生日のことなんですけど……」
「俺の誕生日っていうことは、あやせの誕生日でもあるわけだろ。
 ……で、それがどうかしたのか?
 今年は二人とも受験生だから、プレゼントはお互いに自粛しようってことだったけど」

何を隠そう、俺と妹のあやせは、歳は三つ違いだけど誕生日は偶然にも同じなんだ。
兄妹で誕生日が同じなんて、めずらしいことかも知れねえけどな。
俺たちがガキの頃、お袋なんか、ケーキを買うのが一回で済むって喜んでいたけど。
あやせが中学生になると、家族で誕生日を祝うこともなくなっちまった。
俺はあやせが可哀想になっちまって、それ以来は兄妹だけで誕生日祝いをするようになった。

あやせはガキの頃から、何かってーと俺にまとわり付いてきた。
俺もあやせの世話を焼くのはイヤじゃねえし、むしろ率先してやってきたつもりだ。
そんな俺たちを見て、『おまえら兄妹じゃなくて、本当は恋人同士なんじゃねえのか』なんて、
口の悪い友人の赤城によくからかわれたもんさ。
以前は赤城からそう言われて、俺も少し変なのかと真剣に悩んだ時期もあるけど、
あやせのような可愛い妹を持っちまった兄貴なら、誰だってこうなるさ。
そう言ってる赤城だって、てめえの妹の瀬菜にベッタリじゃねえか。
お互い様ってもんだよ。

「ええ、ですからわたし、お互いにお金を掛けなくてもいいプレゼントを考えたんです。
 品物はわたしがあらかじめ用意しましたから、
 お兄さんには、それにサインをして頂くだけでいいんです」

俺もさぁ、超短いミニスカートでソファーに座っているあやせを前にして、
この格好のままリビングの椅子に腰を下ろす勇気は持ち合わせちゃいねえんだ。
取りあえず、あやせにはこのまま待ってもらうことにして、俺は部屋に着替えを取りに戻った。
それにしても、あやせが用意したプレゼントって何だ?
844 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/02(月) 22:32:39.75 ID:D+xw36Tuo

俺がスウェットのズボンを穿いてリビングへ戻ると、気付いたあやせが後ろ手に何かを隠した。
俺の動きを眼で追いながら、何やら悪戯っぽい笑顔で俺を見ていやがる。
たぶん後ろ手に隠したモンが、さっきあやせが言っていたプレゼントなんだろう。
金は掛けねえし、俺はサインをするだけだっつーから、大したもんじゃねえんだろうけど。
俺の妹は、たまに兄貴の俺が想像もしねえようなことを思い付きやがるからな。
サインだけだって言われても、用心するに越したことはねえ。

「――で、俺は何にサインをすりゃあいいんだ?」
「これにお願いします。……下の方に、サインをするところがあるでしょ」

あやせが俺にサインをしろと差し出したものは、映画のチケットくらいの小さな紙片だった。
しかし、俺がサインをする部分以外はあやせが手で隠しているもんだから、
幾らなんでも俺だって気軽にサインをするわけにはいかねえ。
どう見ても映画のチケットなんかじゃねえし、よく見りゃ手作りのような気もする。
たぶん、あやせがパソコンで作ってプリントアウトしたモンなんだろう。

「どうしたんですか、お兄さん? サインをしないつもりですか?」
「いや、そうは言っても、これが何なのか分からんのにサインできねえだろ」
「お兄さんは、妹のわたしの言うことが聞けないんですか?」

俺はあやせの声のトーンが変わったことにビビリながら、そっと妹の顔を窺った。
あやせの顔からは笑顔が消え、その瞳からは光彩が消失していた。
このまま俺が押し黙っていれば、あやせの口から『ぶち殺しますよ』との台詞が飛び出すのも
時間の問題だろう。いや、俺の命の問題かもしれん。

「な、なぁ、あやせ……もしも俺がサインしなかったら、どうするつもりだ?」
「……お兄さんがサインをしないなんて、わたしは全く考えていませんけど。
 もしそういうことになれば、“お兄さんが、わたしの下着を盗みました”って、
 お母さんに言い付けるだけです」
「おまえなぁ、そんなウソをお袋が信じるとでも………………」

俺は、あやせの言う通りに黙ってサインをした。
845 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/02(月) 22:34:05.60 ID:D+xw36Tuo

一度サインをしちまった以上、あとは煮るなり焼くなり好きにしてくれっつーの。
何だかんだ言ったって、俺とあやせは昔からけっこう仲がいいんだよ。
時々、兄妹であることを忘れちまいそうになるのが怖いんだけど。

「それでは、お兄さんからサインももらいましたから、これはわたしが預かって置きます。
 その代わりに、お兄さんには、誕生日プレゼントとしてこれを差し上げます」

あやせがそう言って差し出した物は、さっき俺がサインをした物と同じような紙片だった。

「……ふぁーすと・きすよやくけん? 何じゃこりゃ?」

つい棒読みしちまった。
手に取って良く見りゃ、その紙片には“ファースト・キス予約券”って書いてあった。
有効期限は無期限、そのうえ譲渡禁止って文言も明記されている。
つまり、あやせのファースト・キスを頂ける券ってことだよな。……そのまんまだけど。
あやせは少し顔を赤らめながら、ジッと俺を見つめている。
俺の妹は一体何を馬鹿なことを考えてんだよ、と思う前に、
すぐにこの券を引き換えようとしていた俺がいることに気が付いた。

しかし冷静になって考えてみれば、俺がこの券を持っている以上、
あやせがどこの馬の骨とも分からねえヤツに、ファースト・キスを奪われる危険性はなくなる。
そう考えれば、妹思いの兄貴としては安心この上ない。
ところで気になることがひとつだけあった。
さっき俺が無理やりサインをさせられたモンも、これと同じような予約券の類なんだろう。
兄妹でお互いに“ファースト・キス予約券”を持っていたって、意味ねえもんな。

「なぁ、さっき俺がサインしたヤツも、何かの予約券なんだろ?
 ……やっぱ、気になるんだよ。あやせが俺に“ファースト・キス予約券”をくれたんなら、
 俺はおまえに、何の“予約”をやったことになるんだ?」

あやせが俺に見せたその“予約券”にも、有効期限は無期限、譲渡禁止って文言が明記されていた。
だが、俺のもらった“ファースト・キス予約券”とは明らかに違う点が、ひとつだけある。
それは、あやせが手に持っている“予約券”には、予約券という文字の左側に入るべき名称が、
今はまだ空白になっていることだった。


(完)
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/02(月) 22:42:50.42 ID:Hu1OcsqA0
乙!

あなたの書くあやせは本当一味濃いね!今日も美味しくいただきました...
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/02(月) 22:45:29.23 ID:Fiocwbml0
乙です
やはりあなたが黒猫派とは信じられないww
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/02(月) 23:49:06.70 ID:Ovj8Wzqk0
乙ですぞ!
いつも楽しみにしてます。
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/03(火) 00:03:54.06 ID:JxX+ackv0
なんで(完)なんだよ!!
続きが気になって仕方ないじゃないか!!
あやせ妹、超可愛い。
妹あやせ、桐乃親友も全然アリだな。
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 00:09:54.01 ID:VWnDh+vAO
乙乙
なんて言えばいいのかよくわからないが、すごい兄妹見てしまった感


if妹むずかしい。
独自性を出せないのがネック。
ぐぬぬ…
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 01:02:34.86 ID:sxICE1260
超乙
氏はあやせ派を萌[ピーーー]気か・・・
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/03(火) 01:59:17.07 ID:NFJMqSAYo
乙だぜぃ!

このあやせさん、いつもよりデレ度が高過ぎる!
こんな妹、現実にいるわけねえじゃねえか!!
次も期待してます。


俺も瀬菜ちゃんのSS書けたから、二時から投下しまっす。
if妹ものじゃないけど、勘弁してね。
853 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:00:16.71 ID:NFJMqSAYo
皆さんこんにちは!
赤城瀬菜、15歳。花の高校一年生です。
今日は、あたしの語りでお話を進めていこうと思うのでよろしくお願いします。

平日の朝。あたしは姿見の前で自分の服装をチェック中です。
制服じゃないですよ。私服です。
なんで平日なのに制服じゃないかって? ふっふっふ、それはですね……今日は創立記念日でお休みなんです!
と言うわけで、あたしは朝から出掛ける準備をしているんですよ。
あたしの格好ですか? 今日はちょっと涼しげな格好ですよ。もう夏も終わりなのに、気温はまだまだ高いって予報でも言ってましたしね。
前面に大きく「99」とプリントされた淡いピンクのTシャツ。カーキのチノパン。頭には白のキャスケット。
うん。ラフだけど、だらしなさは感じられない。これでいいかな。
持ち物のチェックも終わってるし……、あ、肌寒くなるといけないからカーディガンもバッグに入れておこう。
さて、これで準備万端。時間もちょうどいい頃合いだし、出掛けますかね。
玄関でお気に入りのスニーカーを穿いていると、リビングからお兄ちゃんが出てきました。
一応説明しておきますね。お兄ちゃんの名前は赤城浩平、18歳。あたしと同じ学校に通う高校三年生。
あたしに対して過保護すぎる面もあるけど、いいお兄ちゃんですよ。
最近は、ある人とのカップリングで、あたしの妄想の餌食になってますけど。ふふふ……フヒヒww。
あ! 言っておきますけど、お兄ちゃんはシスコンだけど、あたしはブラコンじゃないですからね。いや、本当ですって!?

「お兄ちゃん、おはよ。お休みだからってだらけ過ぎじゃない?」
「おお、瀬菜ちゃん。おはよう。あれ? 出掛けるのか」

お兄ちゃんはあたしの忠告を聞き流して、質問を返してきました。受験生なのに、こんなんで大丈夫かな?

「うん。ちょっと友達とね」
「へぇ〜。お、男か?」
「違う違う、女の子だよ。じゃ、いってきま〜す」
「おう、気をつけてな」

まったく……。一緒に出掛ける相手を真っ先に気にするなんて、相変わらずだなぁ。
でも、ゴメンね。お兄ちゃん。あたし、ウソ吐いちゃった。
本当は、一緒に出掛ける相手って男の人なんだ。
でも、そう言ったら反対するなり付いて来るなりしちゃうから仕方ないんだもん。
あたしは少しだけ罪悪感を感じながらも、意気揚々と家を出ました。
854 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:00:46.11 ID:NFJMqSAYo
ーーーーーーーーーーーー


時刻は09:50。待ち合わせの時間は10:00なので、まだ十分も余裕があります。
けれど、あたしの待ち人はもう約束した場所についていました。何時に着いたんだろう?
でも、時間を守れるって良い事だと思います。あたし的にはポイント高いです。
あ、そうだ! ちょっとおどかしてみようかな。背後に回って、そっと、そぉ〜っと近付いて……うりゃっ!

「おわっ!?」
「ふふっ。だ〜れだ?」

驚いてる驚いてる♪ 作戦成功!
あたしは後ろから、彼の目を両手で覆ってます。でもこれ、ちょっと恥ずかしいですね。
あたしも163cmあるから、女子にしては背の高い方だと思うんですけど、彼は170cm以上あるので、自然と体が密着しちゃいますから。
背中おっきいなぁ。やっぱり男の人だなぁ。普段はそういうことを感じないからか、ちょっとドキドキしてる。
最初は驚いていた彼も、すぐに落ち着きを取り戻して、あっさり回答してきました。

「瀬菜だろ」
「正解です。やっぱ、わかっちゃいますか」

すぐに正解されたので、あたしは両手を離しました。
視界が戻った彼はあたしの方に振り向き、ちょっと困ったような感じで笑顔を浮かべてます。
そうですね。困ってるというより、しょうがないなぁって感じと言った方がわかりやすいかな?
なんだろ? お転婆な妹に向ける表情、って感じかな?

「それにしても早いですね、高坂せんぱい」
「それは瀬菜も同じだろ。まだ十分前だぞ」
「そういう高坂せんぱいは、いつからここにいたんですか?」
「五分前くらいかな。だからそんなに待ってないよ」

と言うことは、せんぱいは約束の十五分前にはここに着いてたんだ。五分だけとはいえ、ちょっと待たせちゃったな。
今度はもう少し早く来ようとあたしが思っていると、高坂せんぱいのお説教が始まりました。

「それはともかく。さっきみたいなことは感心しないな、瀬菜」
「なんでですか?」
「お前、恥ずかしくないのか? 俺は少し恥ずかしかったぞ。やるのはいいけど、もう少し人目を気にしろ」
「気をつけま〜す。でも、せんぱい。恥ずかしかったのは、人目があったからだけですか〜?」

あたしは「意地の悪そうな笑み」を意識しながら、高坂せんぱいに聞き返してみました。
せんぱいは「は?」って感じの表情を浮かべてます。
確かに、人目があったからっていうのも理由の一つだと思いますけど、せんぱいが恥ずかしかったのはそれだけじゃないと思うんですよね。
あたしは自分の胸を両手で持ち上げながら、せんぱいに詰め寄りました。

「あたしの"コレ"が、背中に当たってからじゃないんですか〜?」
「ばっ、バカ! そんなはしたないマネをするんじゃない!」

ふっふ〜、焦ってますね〜。これは当たりかな。
なんとか動揺を隠そうとしてますけど、無駄ですよせんぱい。あたし、桐乃ちゃんから聞いてるんですから。
せんぱいのベッドの下にある本に載ってる女の子達、おっぱいの大きい娘が多いらしいですね。
おまけに漏れなく眼鏡をかけてるとか。
つまり、胸もおっきくて眼鏡っ娘のあたしは、せんぱいの好みにがっちりマッチ! してるんですよね?
あ、顔赤い。ふふっ、かわいいなぁ〜。もっといじめたくなっちゃうなぁ。

「ほら〜、どうなんですか? 素直に白状した方がいいですよ、せ・ん・ぱ・い♪」
「……ま、まあ。それもある……かな……」

往生際が悪いですね。どうせあたしが目隠ししてる間、頭の中では「おっぱいおっぱい」なんて考えてたクセに。
ま、これ以上はかわいそうだし、あたしも恥ずかしいし、このぐらいにしておこうかな。

「はいはい、そういうことでいいですよ。素直じゃないですね〜」
「う、うるせえよ。ったく、恥ずかしくないのかよ」
「もちろん恥ずかしいですよ。でも、せんぱいがかわいい反応してくれるから、つい悪乗りしちゃうんです」
「年上の男に向かって『かわいい』とか言うな」

照れ隠しのつもりだと思うんですけど、せんぱいはあたしの頭を軽く叩いてきました。
あ、でも全然痛くないですよ。アレです。スキンシップの一つって感じです。
さて、せんぱいをからかっていたら約束の時間になっちゃいました。でも、あたし達が乗る電車の時間にはまだ早いな。

「せんぱい。まだ時間もあるから、飲み物買ってきてもいいですか?」
「それなら俺も行くよ。さっきので一気に喉が渇いちまった」
「せんぱいって、エロゲーマーなのに初心ですね」
「ほっとけや」
855 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:01:13.50 ID:NFJMqSAYo
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時間はちょっとだけ過ぎて、あたしたちは今、電車の中にいます。
電車の中は空いていて、座席もちらほら空いてました。なので、あたし達は二人並んで座席に座ってます。
今日の目的地はちょっと遠いので、これはありがたいですね。

「さて、こっからが少し長いな」
「そうですね。東京を跨いじゃいますからね。でも、車で行くよりはいいじゃないですか。負担も少ないですし」
「そりゃそうだな。俺達はどっちも免許は持ってないけど」
「免許取ったら、どこか連れてってくださいね、せんぱい」
「へいへい」

む、そんなにメンドくさそうな返事をしなくてもいいじゃないですか。傷付くなぁ。
でも、最近わかってきたんですけど、こういうときのせんぱいってメンドくさそうですけど、決して嫌なわけじゃないんですよね。
来年の夏頃なら取ってると思うし、海とか連れてってもらおうかな。五更さんや真壁せんぱいも一緒に。
でも……。その頃には、せんぱいはもう卒業してるんですよね。
と言うか、あと半年ぐらいで卒業かぁ。さみしいなぁ。
部長はどうするんだろ? 何回も留年してるって言ってたし、いい加減卒業しないのかな?

「そう言や、今日のことは赤城に言ってあったりするのか?」
「へ?」

あたしがちょっとセンチメンタルになっていると、高坂せんぱいが話し掛けてきました。
この人はさみしくないのかな?

「どうかしたか?」
「あ、いえ。なんでもないですよ。はは……」
「ふぅん、そっか。で、兄貴には言ってあるのか?」
「まさか。そんなことしたら、お兄ちゃん付いて来ちゃいますよ」
「それもそうだな」

高坂せんぱいはあたしの言葉に納得して、うんうんと頷いていました。
と言うか、せんぱいの中でもおにいちゃんは「重度のシスコン」という認識なんですね。いったい、どれだけ妹話をせんぱいに振ってるんだろ?

「アイツはそういうヤツだもんな。ましてや、相手が俺なんて言ったら、学校で何をされるかわかったもんじゃねえ」
「一気に気まずくなりますね」
「ああ。まず間違いないだろうな」
「そしてすれ違う二人。けれど、心はお互いを求め、より一層意識し合う。やがて自分の本心に気付いた二人は……フヒヒww」

あ、いいなこのシチュ。
もしそうなったら、和解した後はどんなカップリングになるんだろ?
お兄ちゃんが強攻めのせんぱいが弱受け? それとも、空白の期間を埋めるような強攻め×強受け?
いや、もしかしたら無理矢理……フヒヒww。

「おい」
「あいたっ!」

あたしが妄想の海に浸っていると、後頭部に強い衝撃を感じました。
駅前のときとは違い、高坂せんぱいが強めにあたしの頭を叩いたようです。

「いい加減にしとけよ。俺とお前の兄貴はそういう関係じゃないって言ってるだろうが」
「む〜。いいじゃないですか、妄想なんですから」
「どうせやるなら本人のいないところでしろ」
「じゃ、いないところなら何してもいいんですか?」
「……駄目だ」
「え〜。せんぱいのけち」
「ケチじゃない。ったく、お前の行く末が心配だよ……」

もう、またぬか喜びさせるなんて、せんぱいひどい。
でも、さっきの言葉ってなんか……。

「せんぱい。今の言葉、プロポーズみたいでしたね」
「はあっ!? お、おまっ! 何言って……」
「ちょ、ちょっとせんぱい!? 声が大きいです!」

もう! なにをしてるんですか!
せんぱいが急に大きな声を出すから、ほかの乗客の皆さんがこっち見てるじゃないですか!?
ああもう! 恥ずかしいったらありゃしない!

「もう、人目がどうとか言ってたのに、せんぱいも似たようなモンじゃないですか」
「す、すまん。でもよ、瀬菜がいきなり変なこと言うから……」
「そうですか? だって、『お前の行く末が心配だよ……。こりゃ、俺が一生面倒見てやらねえとな』って続くんじゃなかったんですか?」
「違うからね!? 全然! そんなこと! 考えてなかったからね!」
「だから声が大きいですって、せんぱい!?」

言った傍からまた大声出して!? もう、せんぱいの行く末の方が心配ですよ、あたしは……。
856 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:01:45.53 ID:NFJMqSAYo
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JR千葉駅を出発して、約一時間半。
一回乗り換えのあと、目的駅に到着し、そこから徒歩で一分。ようやく本日の目的地に到着しました。
テレビで見たことのある日本らしくない大きな門が見え、調味料のような香辛料のような嗅ぎなれない匂いが周囲を漂っています。

「さ、着きましたよ! 本日の目的地!」
「まさか、瀬菜と中華街に来ることになるとは思わなかったよ」

そう。あたしたちの今日の目的地は横浜! 最初に中華街を訪れたのは、もうそろそろお昼ごはんの時間だからです!
それにしても、すごい匂いだな。中華街は初めてだけど、こんな匂いがするんだ。
服に匂いが付きそう……。

「まあ、中華街がメインじゃないですけど、そろそろいい時間ですからね。せっかくだからってだけです」
「そうだな。せっかく横浜に来たんだしな。そりゃそうと、瀬菜は結構来るのか?」
「横浜には何度か。でも、中華街は初めてです」
「へぇ〜。ちょっと意外かも」

む! せんぱい、なにか失礼なことを考えてませんか?
なぜかわからないけど、そんな気がすごくすごくしますよ!
それにしても、テンション高いなぁ、あたし。

「言っておきますけど、腐女子だからって、いつでも池袋やアキバに行くわけじゃないんですからね。あたしも女の子なんだから、渋谷とかにも行きますよ」
「そりゃそうか。すまん」
「わかればいいんです。それに、桐乃ちゃんだって渋谷とか行くでしょ? それと同じですよ」
「おお、すげえ納得した」

ふぅ、せんぱいが納得してくれてなによりです。
でも、桐乃ちゃんを例に出した途端納得するってのは、なんか釈然としないなぁ。

「まずはメシか。この店で食べたいみたいな希望とかあるのか?」
「いえ、そこらへんはまったく考えてないです。歩きながらでもいいかなと思ったので」
「んじゃ、適当にぶらついてみるか」
「はい」

大方の方針も決まったところで、あたしは先輩の右腕に、自分の腕を絡めました。
さあ、しゅっぱーつ♪

「なあ、瀬菜。別に腕を組まなくても良くないか?」
「そうですか? 平日とはいえ、人も多いからいいじゃないですか」
「そりゃそうなんだが、その、なんだ……」
「どうしたんですか? 歯切れが悪いですね」

せんぱい、しどろもどろですね。いえ、いいんですよ。理由はわかってます。
どうせまた、頭の中では「おっぱいおっぱい」とか思ってるんでしょ?

「いや、そのな。当たってるからさ」
「なにが当たってるんですか? はっきり言ってくださいよ」
「その……、お前の……胸が、な」
「ああ、胸ですか。気にしないでください。わざとですから」
「故意かよ!?」

いや〜、いい反応するなぁ。これを見るのが楽しくて、ついつい意地悪しちゃうんですよね。
それにしても、せんぱいって本当に初心ですね。

「まあまあ、いいじゃないですか。せんぱいも嬉しいでしょ?」
「お前なぁ……。女の子の発言じゃないぞ、それ。お前の中身って、実はセクハラオヤジなの?」
「む、失礼しちゃいますね。あ、アレですか? セリフが気に入らなかったんですか?」
「は?」
「いや、せんぱいのことだから『当ててんのよ』って言ってほしいのかと」
「なにその無駄な気遣い!? 全然違うからね!」
「はいはい。そういうことにしておきましょうか」
「お前……」

いやいや、本当にいい反応するなぁ。せんぱいって、リアクション芸人の才能があるのかも。
でも、せんぱいも人のこと言えないと思いますけどね。発言が娘を持つお父さんのソレだし。
と言うか、せんぱいって「セクハラ先輩」でしたね。

「ほら、早く行きましょうよ。あたし、おなか空きました」
「へいへい。仰せのままに」
「うむ。良きに計らえ」
「ははっ、なんだそりゃ」
857 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:02:36.84 ID:NFJMqSAYo
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「う〜ん、お陽さまが気持ちいいですねぇ〜」
「ちっと、暑いけどな。ほれ、お茶」
「あ、ありがとうございます」

中華街でランチを食べた後、あたしたちは山下公園に来ました。
膨れたおなかをこならせるのと、ちょっとのんびりする意味合いも込めて。
この山下公園、来たことない人にはわからないと思いますけど、すごく大きいんですよ。
周囲を見渡せば、家族連れやカップル、散歩中のおじいちゃんやおばあちゃんがたくさんいますけど、
さっきの中華街みたいなごみごみした雰囲気はまったくありません。
開放的、って言えばわかりますかね?
ベンチで一休みしているあたしのもとに、飲み物を買いに行った高坂せんぱいが戻ってきました。
せんぱいもベンチに座り、自分用に買ってきたペットボトルのお茶の蓋を開けて中身を飲んでます。

「美味しかったですね、さっきのお店の料理。お野菜もシーフードも」
「そうだな。けど、毎日アレだとちょっと困るな」
「ふふっ、そうですね。和食の味に慣れていると、少しキツいですね」
「ああ、たまにならいいけどな。値段も手頃だったし」

さっき食べた料理の感想を話しながら、あたしも買ってきてもらったお茶に口をつけました。
せんぱいの言う通り、今日は少し暑いので、よく冷えたお茶が体に入ってくる感覚が心地いいです。

「さて、これからどうする? マリンタワーにでも行くか?」
「う〜ん。それもいいですけど、元町の方に行きませんか?」
「ってえと、元町商店街とかか?」
「はい。えっと、今は元町ショッピングストリートって言うんでしたっけ」

せっかくせんぱいと二人きりなんだから、デートらしいデートをしたいんです、あたし。
あ、だからと言ってマリンタワーがデートに適していないってワケじゃないですよ。あそこも有名なデートスポットですしね。

「なんか買いたいものでもあるのか?」
「いえ、特にないです。ただ、せんぱいと歩いてみたいなぁと思っただけですよ。その、イヤ……ですか?」
「そんなこたねえよ。んじゃ、もう少し休憩してから行ってみっか」
「はい!」

予定も決まったところで、あたしたちはもう一度お茶を飲み、ベンチから離れて山下公園内を少し散策してみました。
食後のお散歩ですね。
858 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:03:16.52 ID:NFJMqSAYo
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食休みを終えたあたしたちは、少し歩いて元町商店街にやってきました。
お客さんの高年齢化が進んでるって聞いてましたけど、あたし達みたいなカップルもいましたよ。

「結構人がいますね」
「俺達みたいなヤツらも多いんだろ。あとは大学生とか」
「あ、なるほど」

そう言われると納得ですね。
大学って自分で講義を選択するんでしたっけ? そうなると、平日でも時間が空く人もいますよね。

「ところで瀬菜。この腕組みはまだ続くのな」
「もちろんですよ。せんぱいも嬉しいでしょ?」
「まあ、嬉しいっちゃ嬉しいけど……」
「じゃあ、気にしない気にしない♪ さ、時間には限りがあるんですから早く行きましょう」
「お、おい!」

まだ渋ってるせんぱいを無視して、あたしは腕を組んだまませんぱいを引っ張って歩き始めました。
ここって、服とか靴以外にも色んなお店があるんですね。
装飾品や雑貨、家具。レストランやカフェもあるし、美容室や医薬品を売ってるお店もあるんだぁ。
あ! あれって人力車!? でも、なんで人力車があるんだろ?

「せんぱい、人力車がありますよ」
「ん? ああ、そうだな。何でこんなところにあるんだろ?」
「……せんぱい、何見てたんですか?」
「いや、なんでもねえ」

せんぱいの様子がおかしい……。
まさか、エッチなお店でもあったのかな? もう、ホントにセクハラ先輩ですね。
どれどれ、先輩はあっちの方を見てたから……、

「せんぱい、メガネ屋さんが気になるんですか?」
「い、いや、そんなことはないぞ」

桐乃ちゃんの言う通り、せんぱいってとんでもなくメガネフェチなんですね。
でも、なんでこんなにどもってるんだろ? 別にメガネ屋さんに行きたいなら言ってくれればいいのに。
もう、しょうがないなぁ。

「ほら、せんぱい。あそこ行ってみましょう」
「へ? いや、いいって。俺は別に……」
「あたしが行ってみたいんですよ。ほら、四の五の言わない!」
「お、おい瀬菜!」




「いらっしゃいませー」

せんぱいを引っ張りながら、あたし達はお店の中に入りました。店内は広くて、内装もオシャレな感じでした。
展示されてるフレームを見ると、どうもブランド品を数多く扱っているみたいですね。

「せっかくここまで来たんですから、せんぱいも自分用のフレームを選んでみたらどうですか?」
「いや、俺は別に目は悪くないし……」
「最近はオシャレとして、伊達眼鏡を掛ける人も多いですから。気にしなくていいですよ」
「いや、でも……」

ああもう! 歯切れが悪いなぁ!
せんぱいの悪いところは優柔不断なところですね、まったく。
あたしは未だに抵抗を続けるせんぱいの背中を、思い切り引っ叩いてやりました。
店内にバチンッ! と音が響いてます。

「いった! おい、いきなり何しやがる!」
「せんぱいがいつまでもウジウジしてるからですよ〜だ。ほら、試しに選んでみてください。あたしはあたしで見て回りますから」

あたしはせんぱいをほっぽり出して、展示されているフレームを見て回ることにしました。
さすがのせんぱいも、これだけ言えば自分から動いてくれると思います。
一人だけで帰っちゃうような人じゃないですしね。


店内の散策を始めてから数分後、あたしの目に一つのメガネフレームが留まりました。
淡いグリーンのセルフレームです。
普段はアルミやチタンといった細いフレームを愛用しているので、こういう分厚いセルフレームって手に取ったことが少ないんですよね。
色もかわいいし、値段もそんなに高くないし、これいいなぁ。
でも、メガネってレンズ代も上乗せするとバカにならない金額になっちゃうんだよなぁ。
こういうとき、伊達眼鏡の人が羨ましくなったりします。
まあ、コンタクトをつけて、フレームだけ掛けるって手もありますけど、目にものを入れるとかちょっと怖いし。
さて、せんぱいの方はどうなったかな?
859 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:03:45.58 ID:NFJMqSAYo
「せんぱい。良いのありました?」
「ん? まあ、な」

あたしに発破をかけられたせんぱいは、素直にメガネフレームを見て回っていたようですね。うん、良きかな良きかな。
で、せんぱいの手を見てみると、一つのメガネフレームが握られてました。

「掛けてみてくださいよ。せんぱいのメガネ姿、見てみたいです」
「ん、ちょっと待ってろ」

そう言ってせんぱいは、手に持っていたフレームを掛けてくれました。
どうやらシルバーカラーのチタンフレームですね。レンズ部分は細身の台形。
テンプル付近のレンズ部分が、台形の下の部分になってます。

「どうだ?」
「う〜ん。悪くはないですよ。『鬼畜眼鏡』の主人公みたいで」
「なんだそりゃ?」
「知らないんですか!? あの有名なアダルトホモゲーを!」
「わかった。そのゲームについてはここで喋るなよ。絶対喋るなよ」

おっといけない。自分の性癖をまた大声で叫ぶところでした。ふぅ、自重自重。
深呼吸をして自身の中の欲望を落ち着け、改めてせんぱいの眼鏡姿を鑑賞しました。
う〜ん、やっぱりなぁ。

「せんぱいって、何気に目つきが悪いから、そういう細身のフレームを付けると印象がキツくなっちゃうんですよね」
「……さりげなく人を傷付けるなよ」
「あ、すいません。でも、キツくなるのは事実ですよ。だから……こういう方がいいと思います」

あたしは手近にあった黒のセルフレームを手に取り、先輩に掛けさせてみました。
さっきのフレームと違って、レンズ部分が大きいものです。

「うん。やっぱり、こういうレンズが大きいものの方が良いと思いますよ。あ、あたしはさっきのも好きですけど」
「そうか。もしメガネを掛けることがあっても、お前の前ではさっきのようなヤツは絶対掛けないようにする」
「え〜、そんなぁ〜」
「当然だろ。いきなり『鬼畜眼鏡』とか言われるこっちの身にもなれっての」

う〜、せんぱいのけち。別に掛けてくれてもいいじゃないですかぁ〜。
は!? まさか、ああいうキツいメガネを掛けるのは、お兄ちゃんの前でだけと言う意味!?
と言うことは、そこでせんぱいの強攻めが……フヒヒww。

「瀬菜、妄想を今すぐやめて涎を拭け」
「え? あ、すいません。また欲望が体の端からにじみ出てしまったみたいで」
「いや、だだ漏れだったぞ。ところで、お前も気に入ったのがあったのか?」
「ありましたよ。これです」

あたしはさっき見つけたフレームを掛けてみました。
ああ、度が入ってないから世界がぼやける……。

「う〜、なんにも見えない。で、どうですか?」
「へぇ、結構印象変わるな。うん、可愛いと思う」
「そうですか? えへへ♪」

やった、せんぱいに褒められちゃった。どうしよう。これ、ますます欲しくなっちゃったなぁ。
あたしが元のメガネを掛け直してせんぱいを見ると、せんぱいは一生懸命フレーム選びをしてました。

「なにしてるんですか、せんぱい?」
「ん? いや、ちょっとな。……おお、あったあった」

せんぱいが手に取ったのは、朱色のアルミフレームでした。レンズ部分は逆三角形の釣り目形。
せんぱいはそのフレームを、あたしに差し出してきました。
もう、意図が見え見えですよ。

「せんぱい……」
「えと……その…………スマン」
「はぁ……。いえ、いいですよ」

あたしは溜息を吐きつつも、せんぱいが差し出してきたフレームを手に取り、掛けてみました。
うう、世界がぼやける……。

「どうですか?」
「おお……。良い。すごく良い……」
「なんだか素直に喜べませんね」
「おお! その表情、良いな」

もう、本当にセクハラ先輩ですね。
860 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:04:17.02 ID:NFJMqSAYo
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元町ショッピングストリートを堪能したあたし達は、今は港の見える丘公園に来ています。
結局なにも買わず、色んなものを見て回りながら少しお茶をしたくらいですけどね。
この公園はその名の通り、横浜港を一望できる高台にある公園で、眼下には港や横浜ベイブリッジが見えます。

「せんぱい、夕日が綺麗ですね」
「ここは日没から夜にかけての景色が売りらしいからな。ま、こういうところに来ないと、こうやって夕日をまじまじと見ることなんてないだろうけど」
「もう、そういうこと言っちゃダメですよ。ムードぶち壊しじゃないですか」
「う……。す、すまん」

あたしの指摘が応えたのか、せんぱいはしゅんとうな垂れてしまいました。仔犬みたいでかわいいなぁ。
その後はしばらく欄干にもたれ掛かりながら、じっと夕日を見ていました。
どれくらいそうしていたのかな。多分、五分くらいだと思います。あたしはせんぱいの方に身を寄せて、せんぱいの顔を下から覗き込みました。

「瀬菜?」

せんぱいがあたしの顔を見つめて、名前を呼んでくれましたが、それだけです。
せんぱいのニブチン。鈍感。

「せんぱい。夕日、綺麗ですね」
「おう、そうだな」
「とってもいい雰囲気だと思いませんか?」
「ん? そうだな」

これだけ言っても駄目かぁ。
やっぱり、はっきり言わないと伝わらないんだ。

「せんぱい」
「おう」
「キスしてください」
「わかった、キスだな。…………は?」

はっきり言ったら、間抜けな顔で聞き返されてしまったでござるの巻。
遠回しに言っても、はっきり言っても駄目だなんて、せんぱいは意地悪だなぁ。
861 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:04:44.53 ID:NFJMqSAYo
「だって、デートなんですよ。こんな綺麗な場所で、いい雰囲気なんですよ。当然じゃないですか」
「いや、そうは言うがな。人目もあるし……」
「せんぱい、女の子にここまで言わせておいてなにもしないんですか? あたしに恥をかかせるつもりですか?」
「う……」
「男なら、思い切って来てくださいよ。あたしは『したい』って言ってるんです」

さあ、あたしは言いたいことを全部言いましたよ。どう出るんですか、せんぱい?
せんぱいはしばらく悩んでいましたが、やがて……、

「わかった。そこまで言われたら、俺も引き下がれねえよ」
「と言うか、ここまで言われないと覚悟を決められない、って方が正しいと思いますけど」
「お、おい。あんまりいじめるなよ。…………いくぞ」
「はい」

せんぱいはあたしの肩を掴んで、体を自分の方に引き寄せました。
あたしは目を瞑り、せんぱいが来てくれるのを待ちます。
あれだけ言っておいてなんですけど、あたしもすごくドキドキしてます。
視覚を自分で封じたからか、心臓の音がうるさいくらいに聞こえます。ドクン、ドクンって。
ああ、きっと今のあたし、すっごく顔赤いんだろうなぁ。恥ずかしいよぅ。
せんぱいの気配が近付いてくるのがわかる。もうすぐ、あたし……。

ちゅっ♪

「よ、よし! したぞ」

せんぱいの気配が離れていって、声が聞こえました。
そこで、あたしはようやく目を開けました。さっきまで暗闇の中にいたので、夕日が眩しいです。
せんぱいの顔を見ると、夕日の色でも隠れないほど顔を赤くして、そっぽを向いてました。
その顔を見て、あたしは自然と溜息を吐いてしまいました。

「せんぱいって、ホント意気地なしですね」
「おい!? ちゃんとしたじゃねえか!」
「あれだけ大見得切って、したのはちょっと触れるだけのキス。はっきり言って、期待外れもいいところです」
「ぐ……」

せんぱい、言い返してこないところを見ると、自分でもそう感じてるんですね。
しょうがないなぁ。今回は、これで及第点としておきますよ。

「今日はこれで許してあげます。今度のデートは期待してますからね」
「へ?」
「さ、帰りましょう。これ以上は家に着くのが遅くなっちゃいますから」
「ちょ、おい! 瀬菜!」

まだ何か言いたそうにしているせんぱいの手を引いて、あたしは駅に向かって歩き出しました。
せんぱい。今度は、せんぱいからキスしてきてくださいよね。


おわり
862 : ◆lI.F30NTlM [sage saga]:2011/05/03(火) 02:06:27.05 ID:NFJMqSAYo
以上。
※キャラ崩壊注意の表記を忘れていたぜ。
瀬菜ちゃんにあえて普通のデートをさせてみた。
瀬菜ちゃんには、俺が女の子にしてほしいことをさせてみた。
少しでも萌えていただけたら嬉しいぜ。

ありがとうございました。
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/03(火) 02:30:49.41 ID:PwLOGHAE0
>>862GJ

瀬菜ちゃんらしさが出てよかった
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 02:50:09.33 ID:cNZ9tF+Y0
乙!

この瀬菜ちゃんなら兄貴から奪ってしまう!

え?普段の瀬菜...お断りします

865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 03:06:27.33 ID:VWnDh+vAO
だだ甘すぎる……
貴重なものを読ませてもらったー
乙乙

そーね、割と無計画に横浜デートとか行くと、中華街で昼食>山下公園で一息なんてのは定番か。
このあとマリンタワーには行かなかったのかな。夜景一望もまた雰囲気いいと思う。
昼間天気よければ遊覧船なんかもアリだろね

何にせよ、ご馳走様でした。
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 03:08:18.89 ID:bGfkDf2Fo
眼鏡に巨乳にブラコン
BLと出会わなければヒロイン級になれたな…
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/03(火) 03:10:37.27 ID:NFJMqSAYo
>>865
横浜なんて、部活の遠征でパシフィコに行っただけだから、
ネットで調べて頑張って書いてみたんだよ。
おかしいところがあったらごめんね。
おいちゃん、地方民でゴメンね。
ちなみにマリンタワーには行ってない設定です。
この京介さんは、黒猫から告白されてない設定です。
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 03:12:12.89 ID:f7PK/005o
京介ってどこの大学(県内か県外か)目指してるとかいう表記あったっけ
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 03:12:35.56 ID:bGfkDf2Fo
赤レンガ倉庫とか定番デートスポットですな
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/03(火) 03:16:45.65 ID:NFJMqSAYo
>>868
麻奈実と同じ大学ってだけで、具体的には書いてなかったんじゃねえかな。
俺はよく千葉大学をSSに出すけど。
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 03:18:15.28 ID:f7PK/005o
>>870
麻奈実と同じ大学だっけ…それすら忘れてたわ。ありがとう
あと文理の記述もなかったよね?
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/03(火) 03:23:16.46 ID:NFJMqSAYo
>>871
ちゃんと明記されていたことは無かったんじゃないかな。
俺は文系だと思ってる。
京介さん、よく英単語とか英語の例文のカードを使ってるから、ってだけで想像しただけなんだがね。
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 03:29:08.74 ID:f7PK/005o
>>872
ありがとう。俺も文系イメージだわ
書き溜めの参考にさせてもらいます
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 03:35:17.73 ID:LCK/2w5DO
ヤンデレばっか見てきたせいか最初から好感度MAXのあやせ新鮮だわww
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/03(火) 07:45:10.50 ID:acyfbSyp0
>>862
ナイスおっぱい!
貴重な瀬菜ちゃんSSをありがとうございます。
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 07:47:37.34 ID:LCK/2w5DO
>>862
せなちーのヒロイン力高ぇ!
こんなポテンシャルがあったとは
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 08:05:48.33 ID:2SMIG3wu0
>>865

なんだろう?中の人繋がりで某アニメの金髪ツインテール巨乳さんで再生されてしまったww
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 11:28:41.27 ID:zkfpfVvAo
>>862
最高だったよおおおおおおおおおおおおお
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/03(火) 12:44:36.44 ID:iqZAqmA10
乙です。
可愛いけれど適度に腐った素の瀬菜ちゃんも見え隠れしてて、とてもいい感じでした。
次回も期待してます。
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/05/03(火) 15:05:58.66 ID:oUcIOowO0
「女の腐ったような奴」という古い死語的表現があるが、
これからは復権するかも知れないな。
もちろん、そっちの意味で。
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 15:06:09.05 ID:4/ksJD0+P
>>865乙〜
しかしこの瀬菜ちゃんがいたら麻奈実の居場所がなくなってしまうww
属性かぶってる+巨乳があるから幼馴染っていうぐらいしかアドバンテージががが
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 17:54:50.64 ID:/2DvMWSDO
>>881
発酵(腐的な意味で)物と天然(惚け)物ではかなり違うぞ!
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/03(火) 18:09:26.52 ID:whZ14DnAO
>>882
腐ったみかんは他にもうつる…
後は分かるな?
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/03(火) 19:41:14.91 ID:iqZAqmA10
俺の幼馴染が腐っているわけがない
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 19:49:48.47 ID:/D0uiU2DO
if幼馴染シリーズがはじまるの?
886 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:21:38.00 ID:fK0gY2ago
黒猫派なんですけど……
気が付けば、あやせばっかり書いているという摩訶不思議。

ところで、京介メインのちょっと暗めの小ネタでもと思いながら書いてたら、
何だか長くなっちゃって……ちょい役ですが、黒猫も出ています。

題名:『春うらら』

投下:20時30分から 投下します(14レス)
887 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:30:00.56 ID:fK0gY2ago

こんな筈じゃなかった。俺なりに頑張ってきたつもりだった。
夫として、家族の一員として精一杯尽くしてきたというのに……。

俺はテーブルに置かれた用紙を見つめながら、緊張と屈辱感に震えていた。
用紙には、はっきりと離婚届と印刷されている。
ご丁寧なことに必要事項は既に記入済みだし、妻の欄には捺印までしてある。
あとは俺が夫の欄に自分の名前と住所を記入し、最後に判を押すだけだ。
只それだけで、こんな紙切れ一枚で、俺とあいつの結婚生活に終止符が打たれる。

「……お義母さん……どうしても、別れなきゃいけないんでしょうか?」
「京介さん、私も主人も、よくよく考えてのことなの……
 あなたと娘には、このさい別れて、人生をやり直す方が一番良いと思うのよ。
 あなたたちはまだ若いのだし、幸いなことに子供もいないのだから……そうではなくて?」

あいつの実家から呼び出された時点で、話というのが何なのか大方の予想はついていた。
しかし、予想していたとはいえ、こうして目の前に離婚届を突き付けられると……。
俺に甲斐性がないことは、俺自身が一番分かっていた。
それでもあいつは俺の愛を受け入れ、俺と結婚してくれた筈なのに。
すべてはお義母さんの差し金で、あいつだって離婚までは考えてなかったんじゃ……

「京介さんが納得できないというのは、私もそれなりに分かってはいるつもりよ。
 でもね、今回のことは……離婚の件は、娘のあやせから言い出したことなの。
 夫婦の間のことだから、他人がとやかく言うことではないけれど……
 娘が不幸になると分かっているのに、親としてそれを見過ごすわけにはいかないわ。
 それにあなたにも、あやせの夫としての責任があったのではないかしら?」

俺はあやせの両親に対して、まったく頭が上がらなかった。
今から三年前のこと、俺は大学の卒業をまじかに控えても就職先が決まらず、
当時あやせと交際していた俺を気遣って、彼女の親父さんが世話を焼いてくれたんだ。
あやせの親父さんは地元の議員で顔も広く、各方面にもそれなりのツテがあった。
888 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:30:31.89 ID:fK0gY2ago

俺は、大学を卒業すると同時にあやせと結婚した。
あやせにとっては学生結婚になっちまったが、彼女がそれを強く希望したんだ。
頑張ろうと思った。あやせのためにも、そして、俺なんかのために骨を折ってくれた
親父さんのためにも。……しかし、現実はそう甘いもんじゃなかったよ。

あやせの親父さんが東奔西走して、やっとのことで紹介状を書いてくれたその会社は、
某一流企業の関連会社の下請けと取引のある、社長を含めて社員三人の小さな会社だった。
その会社にとって、俺は数年ぶりの新入社員だということで大歓迎された。
社長さんは奥さんの尻に敷かれ、いつも怯えているような人だったけど、
俺を家族の一員のようにして温かく迎え入れてくれた。
たしかに、社長以外は専務の奥さんと経理部長の娘さんだけなんだから、
俺以外は家族ってわけなんだよな。

会社勤めを始めて一ヶ月なんてもんは、瞬く間に過ぎちまう。
初めての給料日、俺はあやせに何か買ってやろうと思い、朝から落ち着かなかった。
あやせもご馳走を作って待っていると言って、俺を笑顔で送り出してくれた。
片道一時間の自転車通勤、その日の朝は、ペダルを踏む俺の足も軽かった。
いつものように朝礼を終えて書類を確認すると、俺は取引先へと向かった。
俺はこの会社で初めての総合職として、毎日靴の底をすり減らして営業に駆けずり回った。

「ご契約の条件と内容は、これでよろしいでしょうか。
 ……それでは、今後とも当社をどうぞよろしくお願いいたします」

この会社に入社して、初めて契約が取れた瞬間だった。
すぐにでもあやせに電話してこの喜びを伝えたかったが、俺はぐっと我慢をした。
こんなことくらいで有頂天になってちゃいけねえ。
この先も一件でも多く契約を取って、あいつを幸せにしてやらなくちゃ。
俺は胸ポケットに入れた携帯をスーツの上からギュッと押さえ、次の取引先へと急いだ。
889 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:30:58.98 ID:fK0gY2ago

その日はひと通りの取引先に顔を出した後、夕刻になって帰社すると、
社長の奥さんから給与明細の入った茶封筒を手渡された。
俺は経理部長の娘さんと軽く冗談を交わしながらさり気なく席を離れ、
薄暗い雑居ビルの廊下を突っ切ってトイレに入ると、封筒から給与明細を取り出した。

「……学生んときの、バイト代の方が多いんじゃねえのか?」

俺はタイムカードを押すと、重い足取りで帰路についた。
家で待っているあやせに、駅前の花屋でバラの花を一輪だけ買ってはみたものの……
自転車のペダルが朝と比べるとどうしようもなく重かった。

帰宅してから俺は、給与明細の入った封筒とバラの花をあやせに差し出した。
あやせは封筒の方は受け取らず、バラの花だけを受け取った。

「お兄さんが汗水垂らして働いて得たものなんですから、
 それは、お兄さんが全部使ってください。
 わたしはお兄さんが買ってくれた、このバラの花だけで十分です」

あやせと結婚して本当に良かった。
何度も死ぬんじゃねえかと思うほど酷い目に遇わされようが、
コツコツとあやせイベントをクリアしてきた努力が報われた心地だった。

俺は妹の親友のあやせに初めて出会ったとき、一瞬のうちに恋に落ちた。
いわゆる一目惚れってヤツさ。
あやせの言うことなら、俺は何でも聞いてやった。
どんなに困難なことでも、あやせの笑顔が見られるならと一生懸命に頑張ったんだ。
しかし、どうしても思うようにいかなかったことが二つだけあった。
ひとつ目は就職、そして二つ目が……

「お義母さん、京介です。……只今帰りました」
890 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:31:36.08 ID:fK0gY2ago

そうだよ、新婚だってのに、あやせとの新居が用意できなかったんだ。
俺の実家で、俺の両親と一緒に暮らすという選択肢は初めからなかった。
何しろ実家には、妹の桐乃がふてぶてしく居座っているんだからな。
もしも、俺の実家であやせとの新婚生活を始めようと思えば、
当然のこと、今までの俺の部屋が俺たち夫婦の部屋となるわけだ。
考えてもみろよ、隣の部屋には桐乃がいるんだぜ。

あやせとも話し合って、しばらくは彼女の家に厄介になることとなった。
一人娘のあやせを両親も、特にお袋さんの方は手元に置きたかったようだしな。
つまり俺は、サザエさんのマスオさん状態なわけさ。

執務室の重い扉を押し開けると、あやせのお袋さん、じゃなくてお義母さんは、
机の上の書類から眼を離し、無言で応接セットのソファーを指し示した。
口元に上品な笑みを浮かべてはいるものの、目が笑ってねえ。
俺は軽く会釈をしてから、ソファーに浅く腰を掛けた。

「京介さん、毎日お仕事ご苦労様です」
「い、いいえ……ぼ、僕なんか新人ですから、まだ右も左も分からなくて……」
「まあ会社勤めというものは、そういうものよ。そのうちに慣れるわ。
 ……ところで、たしか今日は、京介さんの初めてのお給料日だったわね」
「は、はい、給与明細はこちらに――」
「いいえ、別に私に見せる必要なんてないのよ。
 京介さんの通帳は、娘のあやせが管理しているのだから……そうでしょう」

何なんだよ、このプレッシャー……。
サザエさんのお袋さんのおフネさんは、マスオさんにもっと優しいじゃねえか。
まさかこの先、毎日の帰宅の挨拶に加えて、給料日イベントが加わるんじゃ……。
だけど、あやせと結婚できたんだから、これしきのこと我慢しなけりゃいけねえよな。
頑張って仕事して給料も上がれば、俺もアパートくらい借りられるようになるだろうし。

「京介さん、そろそろお夕食にしましょうか」
「は、はい。……それでは、僕は着替えてから食堂へ参ります」

あやせとの夢のような新婚生活を期待していた俺が甘かった。
それもこれも、俺に甲斐性がねえのが原因だから文句も言えねえけど。
俺の救いは、今も変わらぬあやせの天使のような笑顔と……言わせんな恥ずかしい。
891 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:32:12.63 ID:fK0gY2ago

あやせと結婚してから、三年目が経過しようとしていたある日のことだ。
俺はマスオさん生活にも慣れ、会社での仕事もようやく軌道に乗ってきたというのに……。

いつものように仕事を終えて夕飯の買物をしてから帰宅すると、あやせは家にいなかった。
散歩にでも出掛けているんだろうと軽く考え、お義母さんの執務室をノックしてみると、
お義母さんも部屋にはいなかった。
議員を務めているお義父さんは、地方視察で帰宅は深夜になると聞いていたから、
そのとき家にいたのは俺だけだった。

「……メモくらい、置いて行ってくれてもいいじゃねえか」

俺は着替えを済ませてから日課になっている風呂掃除を終えると、
リビングのソファーに座って、ひとり缶ビールを飲んでいた。
普段なら夕飯前にビールを飲むことなんかねえけど、なんだか無性に腹が立ってきたんだ。
いくら安月給とはいえ、俺は一日も休むことなく会社勤めしてんだよ。
それなのにこの家の女共ときたら、お義母さんは県政モニターとかで年中家を開けるし、
あやせだって料理を作ってくれたのなんか、最初の一年目だけじゃねえか。
俺は、この家の住込みのメイドさんじゃねーよっ。

二人が帰宅したのは、俺が三本目の缶ビールを飲み干したときだった。
お義母さんは、リビングのソファーで缶ビールを飲んでいた俺を一瞥すると、
鼻で笑って自分の部屋へと引き揚げて行った。
あやせは哀しそうな眼差しで俺を見つめ、無言のまま俺の側に寄ってきた。

「あやせ、俺になんか用でもあんのかよ」
「…………お兄さん、あまり飲み過ぎると、身体に毒だと思いますよ」
「そりゃあ悪うござんしたねっ。……どーせ俺は、この家の使用人でござんすよ。
 俺が身体を壊したら、風呂掃除も料理も、てめえらでやらなくちゃなんねーってか」
「お兄さん、わたしはそんなつもりで言ったんじゃあ……」

分かってはいた。あやせがそんなヤツじゃないってことはな。
すべては、あのクソババアの差し金だった。
俺とあやせが仲良くしていると、決まってあのクソババアは俺に用事を言いつけた。
同じことが何度も繰り返されりゃあ、いくらあやせだって母親に遠慮しちまうよ。
俺はその日、あやせの家を飛び出して実家へ帰った。
892 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:33:00.33 ID:fK0gY2ago

結婚して以来、俺はあやせの両親に遠慮して、一度も実家へ帰ったことがなかった。
まだ若いからと、あやせとの結婚に反対した親父やお袋に合わせる顔もなかったし、
何よりも妹の桐乃に会うのが怖かった。
桐乃から、一番の親友だったあやせを奪っちまったのは俺だもんな。
そんな俺を桐乃がどう思っているかなんて、想像するだけでも怖かった。
しかし、それらはすべて俺の杞憂に過ぎなかったと、帰ってみて初めて分かったよ。

あやせの家を飛び出してきた俺を、親父もお袋も温かく迎え入れてくれたんだ。
ちょうど夕飯時で、俺はお袋に急かされるままに手を洗い食卓についた。
久しぶりに食べるお袋のカレーは死ぬほど美味かったよ。
親父は相変わらずの無口だったが、晩酌をする口元が緩んでいたのが印象的だった。
俺が最も恐れていた桐乃は終始無言のまま、黙々とカレーを口に運ぶだけだった。
結局、帰宅してから夕飯が終わるまで、俺と桐乃が会話を交わすことは一切なかった。
仕方なく食器を流しに置いて、俺は荷物を持って自分の部屋へと階段を上がった。

俺は自分の部屋のドアを開けた瞬間、その場に立ち尽くした。
なぜかって、俺がこの家を出たときと、何一つ変わっちゃいなかったからさ。
綺麗に掃除はされてたけど、俺が残していったものはすべてそのままになっていた。
この部屋は俺が出て行ったときから、時間が止まってたんじゃねえかと思うほどだった。
すぐに俺は階段を駆け下りると、キッチンで洗い物をしていたお袋に礼を言った。
しかし、お袋の返答は、俺の予想を遥かに超えるものだった。

「京介、あんたの部屋はね、桐乃が誰にも触らせなかったのよ。
 母親のわたしにもね。……あんたの部屋には、誰も入れさせないといって聞かなかったの。
 そうじゃなかったら、今頃はとっくに物置になってたわ」

俺は溢れ出る涙を拭うこともなく、階段を駆け上がると桐乃の部屋のドアをノックした。
しばらくすると静かにドアが開かれ、不機嫌そうに桐乃が顔を出した。
喉元まで言葉が出掛かってるのに、久しぶりに桐乃の声が聞けるってのに……

「……桐乃……ありがとな。俺……俺さぁ……」

桐乃は不機嫌そうな顔を作るのにも限界がきたらしく、頬をひくつかせながら俺に言った。

「お、お帰りなさい……バカ兄貴」
「……ああ……ただいま」

実家へ戻った日の夜、俺は久しぶりに自分の部屋のベッドで眠った。
893 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:33:32.51 ID:fK0gY2ago

翌朝、俺は数年ぶりにお袋に起こされて目が覚めた。
眠気まなこで周囲を見回すと、そこは永年住み慣れた懐かしい俺の部屋だった。
机の位置も、洋服ダンスの位置も、何もかもが俺の記憶通りだ。
只ひとつ違うことと言えば、カレンダーだけが新しいものに架け替えられている。
カレンダーに描かれた絵を見りゃ、誰がやってくれたかなんてすぐに分かる。

俺が家を空けていた数年の間、あいつは毎月この部屋に来ては一枚ずつカレンダーを捲って、
そして捨てていたんだろう。……いつ帰るとも分からねえ、そんなバカ兄貴のためにな。

「ところで京介、あんた会社はどうするの? 新しいところでも探すつもり?」

お袋の言うことはもっともだった。
いま勤めている会社は、元はと言えばあやせの親父さんのコネで入社できたんだしな。
今更どんな言い訳をしたところで、俺は新垣の家を飛び出して実家に帰っちまったんだから、
お義父さんだって内心穏やかじゃねえだろう。

「取りあえず出勤はするよ。無断欠勤なんかしたら信用を無くしちまうからな。
 それに、取引先のお客さんにも迷惑を掛けたくねえし」
「京介が就活のとき着ていたスーツなら、クリーニングに出してタンスに入れてあるから、
 今日はそれを着て行きなさい。……ワイシャツなんかもタンスの中にあるわ。
 ……京介、あとで桐乃に、ちゃんとお礼を言っときなさいよ。
 あんたがいない間に、桐乃が全部やっといてくれたんだからね」

そのことについては、昨夜寝る前にタンスを開けて分かっていた。
俺がいない間、桐乃がこの部屋に誰も入れさせなかったとお袋から聞いて、
誰がここまでやってくれていたかなんてな。

「ねぇ、京介。……あんた、あやせちゃんと結婚するよりも、
 桐乃と結婚した方が良かったんじゃないの?」

笑えなかった。なんたって、俺も今、お袋と同じことを考えていたからさ。
それにしても、桐乃はなぜ俺のためにここまでしてくれるんだろう。
家族として一緒に暮らしていたときは、ことあるごと俺を邪険にしていたのにな。
離れて暮らしていたからなのか、それとも桐乃のヤツ……。
894 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:34:09.65 ID:fK0gY2ago

いつもより早めに会社に出勤すると、俺は早速社長に呼ばれた。
あやせのお袋さんが手を回したらしく、今回の一件は既に社長の耳にも入っていた。
俺は当然クビになるもんだと覚悟を決めていたが、社長は笑って不問に付してくれた。
会社に迷惑を掛けたならともかく、家庭の事情で社員をクビにしていたら、
零細企業なんか簡単に潰れちまうんだとさ。
それに、俺は唯一の総合職だし、今じゃ取引先からもご指名を頂戴するほどだ。
この会社の将来は、俺の双肩に掛かっているようなもんなんだと。

ざまあみやがれってんだよクソババア。
旦那が議員だか何だか知らねえが、てめえは只のクソババアじゃねえか。
あやせを産んでくれたことに感謝しちゃあいるけど、それ以外はクソババアなんだよ。
通販で化粧品を買い漁りやがって、その金だって元はと言えば市民の税金じゃねえか。
旦那は私利私欲もなく、地元のために尽くしているっていうのによ。
なーんてな。……それにしても、クビにならなくて本当に良かったよ。

だが、俺もこのままじゃいけないことくらい分かってはいる。
感情に任せて嫁さんの家を飛び出しちまうなんて、男のやることじゃねえよな。
あやせのことは今も愛しているし、俺がお義母さんの言いつけに従ってさえいれば……。
情けなくて涙が出るよ。こんな筈じゃあなかったのにってな。


午前中の得意先回りを済ませて公園のベンチでアンパンをかじっていると、
俺の携帯の着メロが鳴った。着メロからあやせだってすぐに分かったよ。
たった一日声を聞いていないだけなのに、その声には妙な懐かしさがあった。
しかし、あやせの声にどこか切羽詰っているような重苦しい雰囲気を感じ取って、
何となくいやな予感がしたんだ。

『お兄さんですか? あやせです……』
「……昨日は、すまねえことしちまったな。
 おまえに何も言わずに家を飛び出すなんて、俺らしくもねえよな」
『いいえ、そのことはいいんです。
 あの……今日会社が終わったら、家に来るようにと……母が申しています』
「………………分かった。今日は定時で上がれると思うから、まっすぐに行くよ」

俺はあやせとの電話を切ってから、牛乳と一緒にアンパンを飲み込んだ。
あのクソババアが今更俺に用なんて、大体想像がつくけどな。
その日は仕事を定時で切り上げ、憂鬱な気分であやせの家へと向かった。
895 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:34:52.66 ID:fK0gY2ago

応接室のテーブルを挟んで、俺とお義母さんとの間には重苦しい空気が漂っていた。
目の前に突きつけられた離婚届から眼を逸らし、俺はただ黙って床を見つめる。

「京介さん、私もね、別に暇を持て余しているわけではないのよ。
 いつまでも黙っていないで、さっさと離婚届にサインをしてもらえないかしら。
 そもそも私はね、あなたたちの結婚には反対だったのよ。
 初めから、あなたが新垣家の人間として相応しいとも思えなかったしね」

口元に薄ら笑いを浮かべたクソババアに対して、俺は何の反論もできなかった。
就職にしろ、あやせとの生活にしろ、何もかも新垣家に世話になっている俺には
反論する余地なんかひとつもありゃしねえ。
俺はただ言われるままに、目の前の離婚届にサインをするしかねえんだろう。

テーブルに置かれた万年筆を無視し、俺は胸ポケットからボールペンを取り出すと、
離婚届の夫の欄に自分の名前を書こうと身を乗り出した。
まさにそのとき、応接室の扉が勢いよく開き、あやせが血相を変えて入ってきた。

「お兄さんっ! 本当にサインをするつもりですかっ!?
 わたしは、お兄さんと別れたくなんかありません、そんなのいやですっ!」

あやせの澄んだ綺麗な瞳からは、大粒の涙が溢れ出ていた。
しかし、今のような甲斐性のない俺には、あやせの母親に逆らってまでして
あやせとの結婚生活を続けることは困難だって目に見えている。

「あやせ、分かってくれ……。
 今の俺には、おまえに洋服のひとつも満足に買ってやれねえ。
 お義母さんのおっしゃるように、こうするのが一番――」
「お兄さん、わたしはそんな贅沢なことは望んではいません。
 わたしが望むことは、いつもお兄さんがわたしの側にいてくれる、それだけなんです」

あやせのうそ偽りのない台詞を聞いて、俺の心は決まった。
やはり、裏で糸を引いていたのは、目の前のクソババアだったんじゃねえか。
俺はあやせをしっかりと抱き締めると、クソババアを思いっきり睨みつけてやった。
クソババアは憤怒の表情で立ち上がると仁王立ちになり、見る見ると膨らんでいった。
膨張するクソババアに俺とあやせは部屋の隅まで追い詰められ、
俺たちの運命もこれまでかと諦めかけた矢先、クソババアは大音響と共に爆発した。
896 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:35:38.94 ID:fK0gY2ago

俺は額にびっしょりと汗を浮かべ、肩で荒い息を吐きながら辺りを見回した。
悪夢っていうモンは、いつなんどき見るか分かったモンじゃねえよ。
座ったまま眠るとロクな夢を見ないって、いつだったか誰かに聞いたことがある。
見回せばいつもの部屋、いつもの家具、まったく変わり映えのない風景だ。

そして、俺がもっとも心安らぐいつもの……

「お兄さん、それじゃあわたしは、お夕食のお買物に行って来ますから。
 ……今日は、何か食べたいものとかありますか?」

台所で洗い物を済ませたあやせは、天使のような笑顔で俺にそう訊くと、
はにかみながらエプロンの裾で濡れた手を拭っている。

「あやせの好きなモンでいいよ。……ツワリが、まだ重いんだろ?
 ところでさぁ、俺たちは結婚してから三年にもなるんじゃねえか、そうだろ。
 いつまでも“お兄さん”って呼び方はおかしいんじゃねえのか?」
「そっ、そうですよね。……わたしたちは、もう誰が見ても夫婦なんですものね。
 じゃ、じゃあ……あ、あなた――」

照れくさいのか、今にも消え入りそうな小さな声だった。
だけど、結婚して以来、あやせが俺のことを初めて“あなた”と呼んでくれた。
天にも昇る気分っていうのは、まさにこのことだと思ったね。
俺はこのまま天に召されようと地獄に落ちようと後悔はしねえ。
嗚呼いとしのラブリーマイエンジェルあやせたん。

西日の当たる六畳一間の和室、カセット式ガスコンロしかねえ小さなキッチン。
他にはトイレとユニットバスだけの、本当に安普請で小汚い小さなアパートだ。
電車が通過するたびに、地震かと思うほどアパート全体が激しく揺れる。
しかし、俺とあやせにとっては、これ以上望むべくもない愛の巣だ。
897 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:36:25.24 ID:fK0gY2ago

あやせとの結婚を目前にしていたあの頃、俺は憂鬱な日々を送っていた。
いわゆるマリッジブルーっていうものなんだろうな。
ずっと想い続けたあやせと結婚できるんだ、そう自分自身に言い聞かせていたんだ。

「お兄さん、トイレなんか共同でもいいじゃないですか。
 お風呂だって三日に一度くらい銭湯に行かせてもらえれば、それで十分です」

あやせは当初、俺の安月給を慮ってそう言ってくれたんだろうが、
幾ら甲斐性のない俺でも、あやせにそんな惨めな思いはさせられねえだろ。
潔癖症のあやせが、風呂を三日に一度なんて耐えられるわけがねえ。
俺は死に物狂いで不動産屋を駆けずり回って、ようやく今のアパートを見つけた。
新婚生活が、こんな惨めなアパートからスタートするなんて夢にも思わなかったよ。
それでもあやせは、だるまクレンザーで台所の錆を落としたり、
すっかり日に焼けて変色しちまった畳に何度も雑巾を掛けてくれた。
あんなに綺麗だったあやせの手にアカギレを見つけたときは、俺は心底哀しかった。

「あやせ、幾ら拭いたって、それ以上は綺麗になんねえよ。
 ……あとは俺がやっておくから、あやせは少し休んでいてくれ、な」
「お兄さんに、水仕事なんかさせられませんって。
 これは妻であるわたしの役目なんですから。お兄さんこそ休んでいてください」

あやせはバケツで丁寧に雑巾をすすぐと、笑顔でまた畳を拭きだした。
その様子を部屋の隅で見ていた俺は、なぜだか涙が溢れて止まらなかった。
あやせがなぜ俺なんかと結婚してくれたかなんて、今更語るのも野暮ってモンだし、
それに正直言って俺自身も良く分からなかった。
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/05/03(火) 20:36:29.56 ID:0J/hKBP2o
おいwwwwww
899 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:36:59.98 ID:fK0gY2ago

それはそうとして、俺たちに待望の赤ちゃんができた。
あやせはエプロンを丁寧にたたみ、卓袱台の上にそっと置くと、
お腹に優しく手を当てながら俺を見つめてまた笑った。

「あなた、この前の検診のときに、桐乃に会ったんです。
 桐乃の赤ちゃんも順調だって聞いて、わたしも嬉しくなっちゃって……。
 生まれるのは二人ともまだまだ先のことなのに……ついベビー用品のお店へ行って、
 二人であれこれ見てきたんですよ」

桐乃が結婚したのは今年の春だった。
大学を卒業するのを待って、結婚式を挙げたわけだが……
どう計算しても“できちゃった結婚”じゃねえか、ったく桐乃のヤツ……。

桐乃が俺に結婚すると告げてきたとき、正直言って俺は複雑な気持ちだった。
俺が桐乃を置いて家を飛び出し、勝手にあやせと結婚しちまったことは、
長い間お互いの心にわだかまりを残した。
しかし、結婚式の当日、花嫁衣裳の桐乃が俺に向かって言ったひと言が、
俺たちの間にあったわだかまりを消し去ってくれた。

「兄貴、長い間ありがとね。……これからも、ずっとあたしの兄貴でいてね」

桐乃は、世界で一番可愛い俺の妹だよ。
どこに出したって恥ずかしくねえ、最高の妹だ。
その桐乃が選んだ相手も最高のヤツだった。
俺と同い年だってのに、今や宝飾デザインの世界では知らねえ者はいないらしい。
見た目は頼りねえが、あいつならきっと桐乃を幸せにしてくれる。
それに比べて俺は……。
900 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:37:48.44 ID:fK0gY2ago

子供が生まれたら、いくらなんでもこの部屋じゃあ狭過ぎるよな。
せめて、もう一部屋は欲しいところだ。

「ところであなた、桐乃があなたのこと、とても心配していましたよ。
 ……あのバカ兄貴、もしかしたら無理してるんじゃないかって。
 わたしも、最近あなたが働き過ぎじゃないかって、とても心配なんです」
「そんなことねえって、誰だってこれくらい働いてるさ。
 俺、もっと頑張って働いて、もうちっとマシなアパート見つけっから、な」
「あなた、わたしはそんな贅沢なことは望んではいません。
 わたしが望むことは、いつもあなたがわたしの側にいてくれる、それだけなんです」

どこかで聞いたことのある台詞だったが、そんなことはどうでもよかった。
俺はあやせの笑顔が見られるなら、それだけで頑張ることができるんだ。
最近は仕事が忙しく、残業続きで疲れが溜まっているのは自分でも分かるんだがな。

「あっ、俺も買いたいモンがあるから、あやせと一緒に行くよっ」
「……あなた、言ってくだされば、わたしがついでに買ってきますけど」
「あやせのお腹の中には、俺たちの大切な赤ちゃんがいるんだからよぉ、
 俺だっておまえのことが心配でしょうがねえんだ、察してくれよ。
 すぐに支度すっから、ちっとばかし待っててくれ、な」

そう言って、俺は腰掛けていたドリームラブチェアから立ち上がった。
しかし、立ち上がった途端に血の気が引くような感覚に襲われ、
すぐにそれは急激な落下感へと変わった。
奈落の底へ突き落とされたような暗闇の中、全身を伝わる激しい痛み。
まさか、働き詰めの俺の身体に、何か異変が――

あと数ヶ月で、俺とあやせの赤ちゃんがこの世に生まれて来るんだ。
俺はまだ、死ぬわけにはいかねえんだよ。
もっともっと働いて、あやせと生まれて来る子供を幸せにしてやらなくちゃ。
近くで俺を呼ぶ声が聞こえる。……俺は、一体どうなっちまうんだ?
くそう、身体が動かねぇ……。
901 : ◆Neko./AmS6 [sage saga]:2011/05/03(火) 20:38:17.19 ID:fK0gY2ago

「きょうちゃんっ、だいじょうぶ〜?」
「高坂っ、おまえ何やってんだ? 新学期だってのに寝ぼけてんじゃねーよ。
 春眠暁を覚えずってやつか? このぶぁーか」

俺は上半身を引き起こし、痛む肘や腰を摩りながら辺りを見回した。
そこには、すぐ後ろの席で心配そうな顔つきで俺を覗き込む麻奈実と、
前の席で腹を抱えて爆笑している赤城がいた。

一瞬にして現実に引き戻された俺。
三年生に進級し、幼馴染の麻奈実と親友の赤城とは、また同じクラスになった。
新学期が始まって最初の授業だってのに、いきなり自習になるとはな。
教室の窓際の席に座っていた俺は、春のうららかな陽射しに照らされ、
校庭に咲く桜を眺めているうちに居眠りをしちまったらしい。
それにしてもあやせのヤツ、夢の中でまで俺を弄びやがって……

待ってろよっ! ラブリーマイエンジェルあやせたん!

おまえとの結婚だけは、いつの日かきっと正夢にしてやるぜ。
俺は椅子に手を突いて立ち上がり、赤城に向かって不敵な笑みを浮かべてやった。
赤城は机をガタガタと揺らしながら、最近映画で見たっていう“あしたのジョー”の
“丹下段平”の台詞を大声で叫んでいる。
しかし、この場をどう繕うかで頭が一杯の俺には、そんな赤城に付き合っている暇はねえ。
取りあえず、あやせの方は今度デートに誘って、一言文句を言ってやるしかねえだろ。
ふと、教室の窓から外を見下ろすと、一匹の黒猫が校庭を駆け抜けて行くのが見えた。


(完)
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/03(火) 20:39:51.27 ID:WK82IxIbo
桐乃が京介以外と結婚とか余計なネタ入れるんなら最初に注意つけておいてくれよ・・・・。
そうしたらスルーすっからさ・・・・。
読んじまったじゃねーか・・・・。
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 20:54:45.11 ID:J6qg1Doko
この時期にこの内容を注意書き無しはちょっと不味かったかと

内容はいい感じなだけになおさら
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 21:01:14.65 ID:4/ksJD0+P
>>901
内容は確かによかった。読んでて面白かったし、こういうのもありかなと思った。
でも、やっぱり注意書きは欲しかったなあ……
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/03(火) 21:03:24.94 ID:0J/hKBP2o
ならテンプレに入れといてやれよ
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 21:09:33.80 ID:LCK/2w5DO
悪夢から覚めたらまた夢で…?
批判されてる桐乃が結婚あたりは対比にしてもNTR臭があるからやめたほうが
やるならスポーツマンとして成功した赤城が女子アナと結婚してとかでOK
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 21:31:15.74 ID:cNZ9tF+Y0
おまえら...

乙も無くなにを文句ばかり書き込んでるのよ...

>>901乙です!俺も黒猫好きかつあやせ派だから、毎度あなたのSS楽しみにしてるよ!
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/03(火) 21:33:37.16 ID:JUm0xcf6o
注意書き入れといてって何様だよ
入れてほしいなら読む前に自分から言うべきだろ普通
こっちは読ませてもらってるんだから
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/03(火) 21:37:09.58 ID:WK82IxIbo
一つ尋ねるけど、テンプレにあるこの文は飾りか何か?
>>・鬱、エロ、NTR、オリキャラ、クロス作品の場合は、投下前に断り書きをしましょう
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/03(火) 21:43:53.51 ID:qq/N6Ibfo
どこに引っかかってるのかわからない
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 21:44:15.04 ID:cNZ9tF+Y0
>>909

いや...特に鬱ってレベルでもないしエロやNTRにも引っかかってないけど?
あやせ両親がオリキャラってことかな...
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/03(火) 21:46:57.71 ID:Ch11pn7SO
続き期待
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/03(火) 21:49:32.25 ID:WK82IxIbo
桐乃が京介以外とってことでNTR臭がするってことだ。

別にそういうのを書くなって言ってるんじゃなくて、最初に書いてたらスルーするよって話だろ。
主人公×ヒロイン以外のカプは登場させてほしくない人間も存在するわけだし。
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 21:50:08.32 ID:/D0uiU2DO
乙だぜぃ。
それにしても、あやせってこんなに献身的だったっけ?って思っていたら、夢オチだったでござる。
次も期待だにゃー。
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/05/03(火) 21:50:14.85 ID:0J/hKBP2o
なんで桐乃が本ルートなんだよ馬鹿なの?
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 21:52:44.02 ID:4/ksJD0+P
確かに乙もなしだったのは不味かった。すみません

今更かもだけど>>901乙です
上でも言ったけど話は面白かったので次も楽しみにしてます


>>909
どっちかって言うとこれかな

>・被り、苦情防止のために事前に投下時刻とカップリングを宣言しておくのもオススメ

出来れば途中で桐乃が……みたいな注意は欲しかったってことです。
黒猫好きな人で京介以外とくっつく描写がいやって言うのと同じことかと。
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/03(火) 21:54:41.91 ID:WK82IxIbo
だから主人公以外とくっついてるのが注意で書いてあればスルーするって言ってんだろ?
誰も必ず桐乃と京介をくっつけろなんて言ってねーだろ馬鹿か。
別に書くなって言ってるわけじゃねーよ。
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 21:59:32.49 ID:4/ksJD0+P
ごめん、安価間違えた
>>916>>909じゃなくて>>916宛だった。誤解すまん
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 21:59:59.09 ID:cNZ9tF+Y0
>>913

なるほど。けどここはいろんなカプがある俺妹SS本スレだよ
桐乃SSのみ読みたいなら桐乃スレの方がいいのでは?
書かれたSSに乙しないで不満を書くのはあまりいい反応とは言えないのでは...
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 22:00:50.61 ID:4/ksJD0+P
あう、また間違ってる……>>911宛です。

すいません、もう黙りますわスレ汚しすまんかった
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 22:19:03.48 ID:cNZ9tF+Y0
>>920...素直な人だな

あなたの出した注意事項は書いておいたほうがいいかもと思います
あとテンプレ持ち出したなら
・SS作家さんには惜しみない賞賛を
これは大事だと思ったな
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/03(火) 22:31:39.54 ID:WK82IxIbo
>>919
ちょっと勘違いしてるようだけど、別に桐乃SSだけを読みたいわけじゃあない。
別に黒猫でも沙織でもなんでもいい。
ただ、京介以外とくっついてるなら注意書きが欲しいってだけだ。

乙なかったのは不意打ちで読んでしまってちょっと嫌な気分になってたせいだな。
失敬。
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 22:47:52.74 ID:cNZ9tF+Y0
>>922

こちらも過剰反応しすぎていたよ...自分のレスみて言い過ぎを自覚しました
924 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/03(火) 22:51:33.81 ID:rYSaHQKH0
流れぶった切ってすみません
24時から投下します>>797の続きです
カップリングは京介×あやせ、時々桐乃
15〜16レスくらいになりそうです
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/05/03(火) 22:56:59.41 ID:s6sebYrAO
>>922

結局、桐乃×京介以外の桐乃は認めない(キリッ
って言ってるようなもんだろうww

脊髄反射でくだらないレスするくらいなら自分でSS書いてみたら?

926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 23:15:00.46 ID:zU0swR9e0
桐乃厨はアホしかいないな
余所で迷惑かけるならキャラスレに引っ込んでろよ、マジで
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/03(火) 23:20:43.73 ID:WK82IxIbo
だから最初に書いておけば輪姦SSだろうがなんだろうが好きに書けばいいじゃん。
自分の趣味にあわないのはスルーするだけなんだから。

いちいちつっかかってくんな。
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 23:28:02.64 ID:zU0swR9e0
↓こういうイチャモンをつける人もいるから作者は大変だ

292 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 22:30:40.18 ID:a7zZTH8k0 [4/6]
>>288
SSなのに何を言って……と思ったら桐乃が京介以外と
出来婚するってのが確認された。

けどSSだしなぁ…………ごめん、やっぱ無理。
それでもSSスレで文句言うのはやめようね。

307 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 23:25:48.33 ID:bsOJdhst0
>>298
>なにその暗黒物質 寿命が縮まるレベル
確認してきた。かなりひどい。
・純粋に京介×あやせエピかと思ったら、唐突に桐乃×御鏡挿入。NTR系の場合マナーである注意書きなし。
・結局話は夢オチで、京介→あやせは京介の願望なのだが、桐乃×御鏡は夢の中とはいえ京介があっさり認める。なぜ『兄弟仲良し』だけ強調する?
・それまでの話と全く関係なく最後に黒猫との関係を暗示

もう、なんだか怒りというよりこんなことする連中ばっかりで悲しくなってきた・・・
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 23:28:19.04 ID:VSAUUfDbo
落ち着け俺も桐乃厨だが、さすがにカリカリしすぎた。

わすれてた
>>901
乙でした
そして黒猫はちょい役だったけど、本人が出てないな
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/03(火) 23:36:27.24 ID:dMpVD2a9o
SLが通った跡みたいでわろた
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 23:41:21.83 ID:YCWmiCoSO
てか他の場所(桐乃キャラスレ?)での発言をわざわざ引っ張ってここで煽るのもどうかと思うがな
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/03(火) 23:43:20.72 ID:YmqHLBoOo
ID:zU0swR9e0
こいつはどうみても煽り屋だろ
最近本当にこの手の馬鹿が増えたよな
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 23:45:33.48 ID:YCWmiCoSO
今までだと、俺妹避難所スレでよく見られてた馬鹿騒ぎが
俺妹関連のいろんなスレに拡散してる感はあるな
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 23:54:38.50 ID:FKtl1Jmg0
>>931
桐乃信者だけど桐乃キャラスレで合ってるよ。
「SSだから別に〜」という趣旨のレスもあるのに>>928だけ引っ張ってきてるみたい。

作者の方、SSですから自由に書いてください。
確かに桐乃の扱いで不満を感じる桐乃信者もいるでしょうが、基本的に2次創作に対して
口を出す筋合は各キャラファンにないはずです。
注意書き云々については考慮して頂けた方が嬉しいのは確かですが、板のルールに則って
いるのであれば問題ないと思います。頑張ってください。

以上、長文失礼しました。
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/05/03(火) 23:57:22.98 ID:tdbv8Qcqo
じゃあ女キャラが京介意外とくっつく描写がある場合は予告するってことでいいだろ
936 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:00:10.98 ID:iWfXVOwW0
ではそろそろ投下開始します
今回は完全に京介×あやせなので、京介×桐乃派向きではありませんので注意して下さい
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 00:00:33.10 ID:5Tpr86P/0
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1304319599/280n-

それならどうぞ自分の目でご覧になっていただきたい
938 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:00:56.78 ID:iWfXVOwW0

「はいこれ」
「なんだこりゃ?」
「エロゲー」
「ふざけんなっての!!」
あらためて自己紹介しよう。俺の名は高坂京介、どこにでもいる普通の高校生二年生だ。
取り立てて自慢できる特技や能力など無い男だが、唯一、自慢できるものがある。
妹のあやせである。身も心も美しい俺の妹はまさに地上に降りた天使と表現するに相応しい。
そんな妹を持つ俺は、14年間兄として妹を守り続けていた――そう、あの日までは・・・

「一応、あんたのモノってことになってんだからさあ、一通りやっとかないとマズいっしょ?」
「俺は本来こんなものに興味なんてねーんだよ!!」
さっきから話しているのは新垣桐乃――ラブリーマイエンジェルあやせたんの親友である。
この桐乃という女、俺の妹に負けず劣らず凄い奴で、
成績は県でトップクラス。スポーツも万能で海外留学の話も来るほど。
その上マイエンジェルと同じく雑誌の読者モデルをつとめるくらい外見は美しい――中身は最悪だけどな!

「へぇ〜、逆らうんだ?もう学校でのあやせの話は聞きたくないの?」
「ぐ・・・!この鬼!悪魔!」
ワケのわからない脅迫だと思うか?まあ、普通はそうだろう。順を追って説明してやる。
実はこの桐乃、普通にしてれば人生勝ち組間違いなしの多才な女には人には言えない趣味があった。
――エロゲーである。
なんとこの女、何をトチ狂ったか知らないが“妹モノのエロゲー”が大好物で、
そういったゲームや同人誌などを買い集めていた“オタク”という奴だったのだ!
まあそれだけなら別に問題ない。当然その趣味は隠していたし、俺に実害があったわけではないからな。
問題はそれがあやせにバレたという事だ。
忌々しいことこの上ないが、桐乃はあやせの親友である。
あやせは桐乃のことが大好きで、尊敬してるといってもいいほど敬愛していた。
その桐乃がこんないかがわしい趣味を持っていたことで俺の天使は猛烈にショックを受けた。
その落ち込みぶりは凄まじく、俺は何とか立ち直らせようと奔走し、ついに最終手段をとったのだ。

『これらのモノは桐乃の趣味じゃない、俺が桐乃に頼んで買ってもらったものだ』

どうだ?最悪な言い訳だろう?
妹に向かって、妹いかがわしいことをするゲームや本などを集めるのが俺の趣味だと、そう言ったのだ!
その結果、あやせと桐乃は仲直りできたのだが、俺があやせから口もきいてもらえなければ
目も合わせてもらえなくなるほど嫌われてしまうことは、火を見るよりあきらかだった――

「週明けまでにコンプしておくこと、感想聞くからね。そしたらまたあやせの様子教えてあげる」
「いっぺん地獄に落ちやがれっ!!」
あやせ依存症にかかっている俺は定期的なあやせたん成分の補給が無ければ発狂してしまうだろう。
だが、先ほどの理由から、俺は家の中でもまったくあやせと触れ合えない。完全に無視されている。
そんな俺が唯一あやせたん情報を聞くことが出来る相手が、嫌われる原因になった桐乃とは何の皮肉だろう。
しかもこいつはそのことを盾に俺に自分の趣味を押し付けてくるのだからたまったもんではない!
だがしかし、現状、俺に選択肢は無かった――

939 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:01:55.02 ID:iWfXVOwW0

「京介氏もお人好しでござるなぁ」
「沙織ほどじゃねぇよ」
今日、俺は桐乃の家に来ている。メンバーは俺と桐乃のほかに黒猫と沙織――桐乃の“オタク友達”だ。
あいつをフォローする訳ではないが、桐乃のオタク趣味は妹モノのエロゲーだけじゃない。
女の子向けのアニメ『星屑うぃっちメルル』の大ファンでもあるのだ。
今日はそのアニメの良さを教える為に鑑賞会を開くということで4人が集まった。

兄妹の恋愛モノが好物の桐乃は、俺みたいな兄貴が欲しかったと言って何かにつけ俺を引っ張りまわす。
さっき言った通り、あやせのことを取引材料にしてな。
だが悪いことばっかりじゃなかった。桐乃に振り回されてオタクの集まりに何度も顔を出した俺は、
オタクという連中が世間で言われているような奴らじゃないってわかってきた。
そりゃあ率直に言って変な奴らだよ。でもな、悪い奴じゃあないんだ。
好きなものに夢中になってるだけの、そんな連中だったんだよ。こんな集まりを開くくらいにな。

「そうね、こんな低俗なアニメの鑑賞会に付き合うというだけで、私も沙織も十分お人好しだわ」
「はぁ〜?あんたまだメルルの良さがわかってないの?どんだけ厨二病こじらせてるのよ」
「あら?あなたこそマスケラを見てもまだその考えを捨てないなんて、どこまでもお子様なのね」
「なんですってぇ!?」
「まあまあ、せっかく今日は京介氏もご一緒ですので、それぞれのアニメの良い点だけを語り合おうではありませぬか」
――この調子だ。
最近わかった事だが桐乃と黒猫はよく好きなアニメのことで討論する、そして大体ケンカになる。
だが決して仲が悪い訳ではなく、お互い『好きなものは譲れない』というだけで、実はむちゃくちゃ仲がいい。

「で、あなたはどちらが面白いと思ったのかしら?」
「・・・俺はもともとこういうのに興味無いんだからわかんねーよ」
「ふう・・・、それならあなた何のためにここに来たのかしら?相変わらず妹の為?」
「それ以外に何がある」キリッ
「シスコン変態バカ兄貴」ボソッ
「お前が言うんじゃねーよ!!」
「可哀想に・・・この女のせいで愛しの妹君との仲を引き裂かれてしまったのね」
「くぅっ・・・!お前はわかってくれるのかっ!?」
「ええ、だから私が代わりに妹になってあげてもいいわよ?・・・兄さん」
「やっぱりからかってるだけだなお前もっ!」
万事この調子だ。
桐乃も黒猫も同じように俺を兄貴呼ばわりしてからかいやがる。冗談もほどほどにしろってんだ!

・・・だが、少しありがたいというのも事実なんだよなぁ。
あやせが口をきいてくれなくなってもう2ヶ月以上が経つ。
季節と同じように俺の心が冷え込んできてるのを、かろうじて食い止めているのがこいつらの賑やかさだ。
なんだかんだで桐乃はあやせの様子を逐一教えてくれるし、今日みたいな集まりに引っ張り出されては
こいつらの世話を焼くことで、かろうじてあやせに手を出さずに済んでいる。・・・変な意味じゃないぞ?
妹の為に何かしてないと落ち着かない俺は、もともと結構な世話焼き体質だったみたいなんだ。
そこらへんがあやせたんと同じなのも、きっと仲のいい兄妹だからに違いない!ああ、違いないとも!

「はぁ・・・もういいよ、実際お前ら手のかかる妹みたいなもんだしな・・・」
「兄貴もわかってきたじゃん!ご褒美にメルルのDVD貸してあげる」
「いらねーよっ!!」
「いいからいいから!せめてタナトスちゃんが出るまでは見ないと絶対損だって!!」
――こう言われて俺は桐乃から無理矢理押し付けられたメルルのDVDを家に持って帰るハメになった。
だが、わざわざ見る必要なんて無いだろう?別に興味なんて無いんだから。
だからこのDVDは、俺の部屋のベッドの下のダンボールで眠りにつくことになったのだ――
940 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:02:42.38 ID:iWfXVOwW0


「「「いただきます」」」
「はい、召し上がれ」
――最近の我が家の食卓は静かである。理由は簡単であやせがしゃべらないからだ。
あの日以来なんとかあやせと仲直りしたいと思ってる俺は、ずっと機会をうかがっていて
こういう食事の時の家族の会話にチャンスを見出していたのだが、
あやせはそれを避けるために、ついに食事中はまったくしゃべらなくなってしまった。
親父がもともと寡黙な人間だったこともあり、お袋も心配していたのは始めのうちだけで
ほどなく、この状態が『当たり前』になってしまったのだ・・・

だが今日は違った。
カチャカチャと食器の音だけが響く食卓に、数週間ぶりに会話が飛び出したのだ――

「ねえ、そういえばお母さんが子供の頃ってどんなアニメがあったの?」
「なあに突然?」
「わたしの友達がね、最近小さい子向けのアニメをまた見てるんだって」
「へぇ〜、年の離れた妹でもいるのかしら?」
「そうみたい。別の友達から勧められたみたいで一緒に見てるんだって」
「ふ〜ん、面白いのかしら?」
「妹と見てる人の方はね、全然面白くないって言ってるんだけど、勧めてる人はすっごく良いって言ってるの」
「両方ともあやせの友達なの?」
「うん、片方は最近知り合った人なんだけどね」
「それじゃあ大変ねぇ、どっちに話を合わせてもケンカになるんじゃない?」
「そうなの。だから自分でも見てみようかと思って」
「なんてアニメなの?」
「星屑うぃっちメルル」
ブゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!

「きゃあ!!」
「な、なによ京介突然!?」
「ゲホッゲホッ!!す、すまん!!味噌汁が気管に入ったんだ!!」
思わず味噌汁を盛大に噴出してしまった。
今、あやせは何て言った?星屑うぃっちメルル?何故その単語があやせの口から飛び出してくるんだ!
だが、困惑する俺を尻目にあやせは黙々と食事を続けるだけだった。
なんで?どうしてそのアニメの話題が桐乃からじゃなくあやせから出るの?
こんなの絶対おかしいって!!わけがわからないよ!!
怒られる俺を放っておいて、あやせはすぐに食べ終わり部屋に帰っていった――


ほどなくして俺も自室に戻るが、心中は穏やかでない。先ほどのあやせの爆弾発言が耳から離れないのだ。
大体あやせからあのアニメの名前が出ること自体、異常事態だ。
一つの懸念から俺は自分のベッドの下を調べ始める・・・・・無い、無い、アレが無い!!

「なんで?どうして?なんでなくなってるの?」
思わず声が出る。大体アレは桐乃の物で、なくしたとなったらあいつから烈火の如く責められるのは目に見えてる。
下手をすると、もう学校やモデル活動中のあやせたんのことを教えてもらえなくなるかもしれない!
涙目になりながらもう一度探し始めると、部屋のドアのきしむ音がした――

「探し物はこれですか?お兄さん」

941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 00:02:49.53 ID:xFb7rJpXo
>>935
>>1に書いてあることけどね、それh

このやりとりもいつもなら数レスで流されるようなことだけど
桐乃派がピリピリしてるからこういうことになったんだろうな

というわけで早く8巻でないかなー
942 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:03:06.16 ID:iWfXVOwW0

不意にかけられた声に驚いてドアのほうを向く――そこには表情の消えた俺の天使が立っていた。
何ヶ月ぶりかに正面から見れたあやせの顔は相変わらず美しく、そして恐ろしかった。
その手には俺が桐乃から押し付けられた『星屑うぃっちメルル』のDVDが握られていた。

「どうしたんですか?質問に答えてください。これはお兄さんの物じゃないんですか?」
久しぶりに話しかけてもらったというのに、その内容がこんな尋問だなんてあんまりです神様。

「黙っていたところで無駄ですよ、先ほどの様子からお兄さんがこのアニメを持っていたことは明らかです」
「・・・・・持ってちゃおかしいか?」
後から言い訳できるくらいにははぐらかしながら答える。そして確認しなければならない。
もし、このアニメが桐乃のモノだとわかった時、あやせがどう反応するのか?
仮にあのエロゲーや同人誌と同じようにこのアニメにも嫌悪感を示すのであれば、俺のものだと言い張らねばなるまい。
でないと何の為にこんな役回りを買って出たのか―――――くぅ!今更ながら桐乃が憎いっ!!

「おかしいと思ってるから、桐乃に頼んで買ってもらってたんでしょう?」
「えっ?」
「男子高校生よりも女子中学生の方がこういうモノは買いやすいと思った気持ちはわかります。
 それに・・・・・このアニメは桐乃自身も見てるそうですし」
こ、これはどういうことだ?ひょっとしてさっき夕飯の時に出た話は半分マジなのか?

「し、知っていたのか?桐乃がメルルを見ているってこと・・・」
「お兄さん・・・最近ずいぶん桐乃と仲が良いみたいですね?」
「だ、ダメか?あいつと仲良くしてちゃ・・・」
「ダメに決まってるじゃないですかっ!!
 同じアニメが好きなだけならまだしも、あんな本やゲームを桐乃に買わせるなんてっ!!
 どうして最近桐乃の様子がおかしいのか、やっと理由がわかりましたっ!!
 お兄さんが桐乃を悪の道に引き擦り込んでいたんですねっ!!!」
ち、違うぞ!あやせ!それはむしろ逆だ!!桐乃が俺を変態の道に引き擦り込んでるんだ!!
しかし本当のことを言う訳にもいかず、反論できない。
今更ながらあやせの仲で桐乃>>越えられない壁>>俺の図式が成立しているのを実感して泣きたくなった。

「そ、そもそもお兄さんがこのアニメを好きな理由だって寒気がします!!
 純粋に楽しんでるだけならまだ許せましたけど、アレは許容範囲を超えてます!!」
「きょ、許容範囲ってなんだよ!?」
「うるさい!それ以上しゃべるな変態っ!!これはこのまま没収します!!」
な、なんだってーーー!?もし捨てられでもしたら俺が桐乃からどんな目にあわせられるか!!

「待て!待ってくれ!!わかったから!!それはそのまま持ってっていいから!一つだけ頼みを聞いてくれ!!」
「そんなことを言える立場ですか?」
「ど、どうせ処分するくらいなら桐乃にあげてくれ!!あいつもこのアニメは嫌いじゃないみたいだし、
 迷惑かけたお詫び代わりにあいつに渡してやってくれ!!」
必死の頼みが功を奏したのか、なんとかメルルのDVDは桐乃のもとに戻ることになった。
だが、その交換条件として、今後あやせの許可なく桐乃に近づくことを禁止されてしまった。
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/04(水) 00:03:26.46 ID:UawCmOre0
桐乃スレにも居たことあるし黒猫スレにも居た事があったが
キャラスレの民度はやっぱりあやせスレが一番だったな...(個人的には)

944 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:03:29.97 ID:iWfXVOwW0


「ふ〜ん・・・それで最近あたしを避けてたんだ」
「当たり前だ!これ以上あやせたんに嫌われてたまるかっ!!」
「もうこれ以上嫌われるなんてありえないくらい、嫌われてると思うけどね」
「もうやめて!!俺のライフは0よっ!!」
先日の約束を破ったらどうなるかなんて想像したくない。なのに桐乃はお構いなしに俺にちょっかい出してくる。
まあ、俺としてもあやせの話を聞けるのは大歓迎なのだが、こうやって会ってることがバレたらと思うと頭が痛い。

「でも失敗だったな〜。あやせがメルルもダメだなんて言うとは思ってなかった」
「テメーみたいなオタクの感覚をあやせたんに押し付けるのが間違ってるんだよ・・・」
「ん〜〜、でもさぁ、親友そっくりのキャラが出てたら見せたくなるでしょ?」
「え?何のことだよ?」
「はぁ?あんた目腐ってるんじゃないの?タナトス・エロス!あやせにそっくりだったでしょ?
 ま、まさかあんた、あれだけ言ったのに見てなかったって言うのっ!?」
『ご褒美に貸してあげる』――あの言葉に偽りはなかった。つまりはそう言うことだったのだ。
桐乃に見せられたファンブックには、あやせそっくりのキャラクターが描かれていた――

「こ、こっ、こっ!このキャラが動き回って活躍する話があったというのか!?」
「敵役だけどね。ちなみに声も結構あやせに似てるんだよ」
「ぬぁんっっってこったぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!」
アニメを見なかったことをこんなに後悔する日がこようとは思ってもいなかった!

「また貸してあげたいけど、あたしもあやせには嫌われたくないからゴメンネ?」
「くっ!くぅっ・・・!悔しいがしかたない!チャンスを逃した俺が悪かったんだからな・・・」
知っていたなら間違いなく見てたとも!!しかし手遅れだ。あやせはあのアニメを見ることも許してくれない・・・
・・・まてよ?そういえばあの時あやせは何て言ったっけ?『純粋に楽しんでるだけならまだ許せました』だったよな?

「・・・・・あのさ、お前あやせになんて言って説明してたの?」
「あやせの兄貴はあやせにそっくりなキャラが出てたからこのアニメにハマったって言っただけだけど?」
「やっぱり俺がこんな目にあってるのはお前のせいじゃねーかよっ!!!」
そんな理由で自分の兄貴がこんなアニメを見てると思ってたら、そりゃ禁止したくもなるわ!!

「なによ〜、あんたがメルルにハマる理由なんてそれ以外ありえないみたいだし、間違ってないでしょ?」
「な、なんだよそれ」
「べっつに〜?どうせ皆にはつまんない子供向けアニメにしか見えないんだって、よーっくわかっただけ」
・・・そうか、こいつは純粋にメルルが好きなんだよな。
そりゃあやせにそっくりなキャラがいたことも、あのアニメを楽しめた理由の一つだろうが、
それだけが理由なら全話通して見る必要もないし、あんなに熱く語れるはずもないよな・・・

「いや、その・・・すまん」
面白くなかった。いや、俺には面白いと思えなかった。これは事実だからしかたない。
だがそれでも俺があのアニメを見るならば、『それ』が理由であると説明するのが一番無理がない。
桐乃は桐乃なりに俺のことを考えていてくれたのか・・・?

「もういいって、そのかわり今日はたっぷり付き合ってもらうから」
「ケータイ小説の為の取材だっけ?」
「そ、今日のことはあやせにも話は通してあるから安心していいからさ」
「ヘイヘイ、それじゃ行きますか」
冬も近い寒空の下、何の因果か俺は桐乃と渋谷の街を見てまわったのだった――

945 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:04:23.58 ID:iWfXVOwW0

そんなこんなで桐乃や黒猫たちに振り回されている日々を送っていたところ、
ある日あやせからとんでもない頼み事をされたのだった――

「お兄さん、ご相談があります」
「はい!なんなりと!」
「も、もう何のマネですかっ!?」
「ふっ・・・忘れたのか?俺はあやせの頼みなら何でもきいてしまう男なんだぜ?」
「ふ、ふざけるのはやめて真面目に聞いてください!」
「わかったよ、どうしたんだ?」
桐乃との無許可接触禁止令を出してから、あやせは俺を無視することがなくなった。
理由は桐乃を俺から守る為らしい。

もともと俺が桐乃と話をするのはあやせのことを知る為であって、
あやせ本人と話が出来るなら桐乃と仲良くする必要なんてない。
ならばあやせが俺の相手さえしてれば桐乃と俺との接点なんて必要ないのだ。
流石に露骨にそんなことは言えなかったらしいが、桐乃があやせにそういうニュアンスを伝えたところ、
俺があやせに無視されるということはなくなったのだ。
なんにせよラブリーマイエンジェルとまた顔を見て話が出来るようになったことは凄く嬉しいので、
細かい事情なんてどうでも良いってのが本音だけどね。

「その前に一つ聞きたいんですけど、この前の桐乃の取材ってなんだったんですか?」
「あ?ああ、なんかケータイ小説書く為に色々見てまわりたかったんだと。
 女の子一人じゃ物騒だってことで付き添いを頼まれたんだよ」
「それはわたしも桐乃から聞いてます!具体的にどこに行って何をしたか聞いてるんです!」
「どこで何をって・・・渋谷ぶらついて店見てまわって買い物したくらいだぞ?」
「本当にそれだけですか?」
「ああ、あやせに誓ってやましいことなど一つもない!」
「もう!なんでわたしに誓うんですか!?」
「俺の天使だからな。それより頼みって何なんだ?」
照れたようにほほを少し赤らめながら口を〜←こんな風に結んで俺を睨むあやせたん(←カワイイ)
お前のためならどんなことでもやっちゃうよ?さあなんでも頼んでみなさい!

「遠慮しないでいいって!俺はあやせを悲しませるようなことだけは絶対にしない。
 いつだろうと、どこだろうと、どんな時だろうとあやせの味方だぞ」
「・・・・・ウソツキ」ポソッ
「ん?何か言ったか?」
「・・・何でもありません」
「そうか?言いにくいなら紙に書いて渡してくれてもいいぞ」
「そしたらその紙をどうするつもりですか?」
「ラミネート加工して大切に保管するに決まってるだろ」
「バカじゃないですか!?」
「ハハハ、まあいいから言ってくれよ。俺はあやせの頼みを聞くことが生き甲斐なんだから!」
冗談で雰囲気をほぐしながら(いや本当は全部本気だけどね?)もう一度たずねる。
あやせは優しい子だから頼み事するのにも躊躇しちゃうんだよな。

「じつは、その・・・すごく言い辛いんですけど・・・」
「うん」
「お兄さん・・・わたしの彼氏になって下さい・・・」
946 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:04:49.44 ID:iWfXVOwW0

真新しい衣服を身に纏い、俺は空を仰ぎ見る。澄み切った快晴からは暖かい日差しが降り注ぎ、冬の寒さをやわらげる。
クリスマスのイルミネーションに彩られた街並みを、おしゃれな格好をした若者達が歩いていた。

「お、お待たせしましたっ」
顔を上げると照れくさそうな微笑を浮かべた俺の彼女がそこにいた。
この愛しの彼女の名は高坂あやせ。長い黒髪としなやかな脚、すらりと均整のとれた身体。
幼さを残した顔にはしかし、肉親さえ魅了してしまうほどの色気があった。
あやせが現れたとたん周囲がざわめく。俺みたいな奴と待ち合わせしてたのがこんな美少女とは思わなかっただろう。
どうだすげえだろ、という優越感とともにあやせに手を伸ばし声をかける――

「あやせの為なら何時間だろうと待てるぜ。――行くか」
「はい」
嬉しそうに頷いて自然に腕を絡めてくる。肘に当たる柔らかな感触にドキリとしながら繁華街の方へ向かう。

「あ、あのう」
「な、なんだ」
「今日は“京介さん”って呼んでいいですか?」
「突然どうした?」
「だって・・・その方が恋人らしいじゃないですか・・・」
よほど恥ずかしかったのかあやせは真っ赤になってしまった。かくいう俺も負けないくらい真っ赤だったけどな。
どこから見ても初々しい恋人同士だ――さて、どうして俺がこんなうらやましい状態になったか順に説明しよう。



「お兄さん・・・わたしの彼氏になって下さい・・・」
「よしわかった結婚しよう!必ず幸せにするぞ!」
まさかあやせから愛の告白をされる日が来るなんて思ってもいなかった!
1秒と待たず快諾し、早速式場の予約をしようと動き出すと思いっきりひっぱたかれた――

「は、話は最後まで聞いてくださいっ!!」
「な、なんだよ?俺は相手があやせなら何の不満もないぞ?」
「違います!さっきのは続きがあるんです!お兄さんに彼氏のフリをしてもらいたいんです!」

――回想はさらに続く――

「どうも、赤城京介です」
偽名を名乗りながら目の前の女性に挨拶をする。

「はじめまして、藤真美咲です」
そういって差し出された名刺には株式会社エターナルブルー代表取締役 藤真美咲とある。
この藤真社長(美咲さんと呼ぼうか)はあやせの所属しているモデル事務所の親会社の社長で、
今回あやせを専属のモデルとしてスカウトしたいと言って来たのだ。
これはとても光栄なことなのだが、それを受けるとは日本から離れることを意味するらしく、
なるべく穏便に断りたいあやせは『彼氏がいて、その人と一緒に居たいので無理だ』と伝えたらしい。
そしてこの日は二人で美咲さんを説得する為の面談をすることになったのだ――

947 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:05:27.51 ID:iWfXVOwW0

「話はあやせちゃんから聞いてるのよね?」
「ええ、大体は」
「だからね、京介君。あやせちゃんと別れて頂戴。お金なら言い値で払うわよ?」
「フッ、お断りします。お金の問題じゃないでしょう?なぜならっ!俺はあやせを愛しているからっ!!!」
バチンッ――いきなり隣からビンタされた。

「こ、公衆の面前で何を叫んでるんですかっ!!」
「俺はいつだろうとどこでだろうと言えるぞ!なんら恥じることはない!」
「わ、わたしのことが好きならわたしのことも考えてくださいっ!わたしが恥ずかしいじゃないですか!」
真っ赤になって目を潤ませながら恥らうあやせ――そんな俺たちのやりとりを見て美咲さんが一言。

「ふぅん・・・ラブラブってわけね」
「当然です!!」
あやせの肩を抱き寄せながら胸を張る――またビンタが飛んできた。

「セ、セクハラはほどほどにして下さいっ!!」
「・・・もういいわ、とりあえずあやせちゃんに彼氏がいることはわかった」
「じゃ、じゃあ・・・」
「でもまだ諦めた訳じゃないわよ。意外とすぐ別れちゃうかもしれないしね」
「そ、そんなことありません!!」
あやせが大声で反論する。まあ当然だ、兄妹の絆は一生切れることは無いんだからな。

「ふぅん。話は変わるけどあやせちゃん明日はおヒマ?新宿でウチ主催のイベントがあるんだけど来てみない?」
「あ、明日は無理です!」
「どうしてかしら?」
「明日はわたし達デートの約束があるんです!」
「この時期だとクリスマスデートかしら?でも恋人なのにイブにデートはしないの?」
「イブの日は家族で過ごすので、その前に二人でデートするんです」

と、まあこんな感じだったのだ。
結論から言うとこの日の説得は失敗に終わった。
この日の俺達の様子だけでは納得しなかった美咲さんが、
デートの様子を監視して本当に別れさせるのが無理なのか確かめるつもりらしいと、
あやせのモデル仲間からタレコミがあったのだ。

「説得は失敗か〜〜〜」
「・・・でも、これって逆に好都合ですよね?」
「え?」
「美咲さんはわたし達が監視されてることに気付いてるって知らない訳ですから・・・」
「なるほどっ!思いっきりラブラブなデートを見せ付けて諦めさせる訳だな!?」
「だ、誰もそこまで言ってません!!」
「違うのか?それ以外に方法は無いと思うんだが」
「・・・・・必要以上にセクハラしたら絶交ですよ!?」
「まかせとけっ!!」
こうして俺はあやせたんとラブラブデート(しかも本人公認)をすることになったのだ。ヒャッホウ♪

948 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:06:01.51 ID:iWfXVOwW0

「まずはどこに行く?」
「きょ、京介さんの行きたいところでいいですよ」
「そ、そうか。それじゃあそうだな・・・」
なにせデートなんて生まれて初めてなものでどうすりゃいいのかわからない。
だからつい桐乃からさせられたエロゲーの主人公達のデートコースを選んでしまったことを誰が責められよう?

「ベタで定番すぎるけど、映画でも行くか?」
「はい!」
満面の笑みで返事をするあやせ(←マジ天使)演技だとしても嬉しすぎるぜ!!
結局、午前中は二人でお涙頂戴のラブストーリー映画を見ることになった――

「うう〜感動です・・・」
「あやせもこういうの好きだったんだなぁ」
「も?もって誰のことですか?」
「え?いや、別に一般論だけど・・・」
映画を見終わって二人で感想を言い合ってた間はすごく上機嫌だったのに、急に表情が陰ってしまった。
どうしたんだよ?そりゃ、実はついつい桐乃と取材に出かけた時のことを思い出してしまったけどさ・・・
何とか空気を変えようと別の話題を出すことにする。

「お、お腹空いてないか?そろそろ昼飯にしようぜ!」
「そうですね?どこにしましょうか?」
「あやせは行きたいところとかないのか?」
「京介さんと一緒ならどこでもいいです」
おお・・・!!天使だ、ここに天使がおる・・・!
そうだよな!!食事ってのは何を食うかじゃない、誰と食うかが大事なんだ!
ファミレスとファーストフードは禁止とかぬかすどっかの女に、あやせの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいぜ!

「よし、それならあそこにしようぜ!」
どこでもいいと言われたら逆に良いところに連れて行ってあげたくなるのが兄貴の情ってもんさ。
以前、桐乃から聞いた女子中学生たちの憩いの場、ちょっとだけ贅沢なスイーツショップに行くことにした。

「ここは・・・?」
「いい雰囲気の店だろ?桐乃から聞いてたんだ。あやせが来たがってたって」
「――はい、嬉しいです・・・・・」
あれ?なんでこんな微妙な表情をするんだ?ひょっとしてあいつが言ってたのは嘘だったのか?
しかしここまで来て引き返すわけにも行かず、店員さんに案内されて窓際の席に着く。
店の中はケーキショップらしく甘い香りが漂っていた――

「さて何を頼むか」
メニューをぱらぱらとめくりながら見ていると、あやせが一つのメニューを指してきた。

「こ、このカップル専用のメニューから選んで良いですか?」
真っ赤になりながら提案してくるあやせにつられて俺の顔も赤くなる――
しばし二人して硬直していると、聞いたことのある声が聞こえてきた。

949 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:06:37.29 ID:iWfXVOwW0

「あっれ、あやせじゃねー?」
「か、加奈子!」
「うーす」
見るからに意地の悪そうな笑みを浮かべるツインテールの少女は、以前家に来たこともあるあやせのモデル仲間だ。
これは誤算だった。よく考えればあやせ達の中で評判ということは、
こうして顔見知りと鉢合わせる可能性も高かったのだ。さっきあやせが微妙な表情をしたのもこれが原因か。

「なに?デート?へぇ〜あやせカレシいたんだぁ」
「う、うん!そうなの!でも皆には内緒にしててね!?」
ふぅ助かった。よく考えればあやせの知り合いで俺の顔を知ってるのは桐乃くらいのもんだろう。
数ヶ月前に一瞬顔を合わせただけの奴の顔なんて普通は覚えてないよな。やれやれホッとしたぜ。

「ん〜?ベツにいいけどぉ〜、まさかタダで黙ってろっては言わねーよなぁフツー」
「わかった。俺が奢ってやるからおとなしくしてくれ」
「・・・・・じゃ、一緒に食べよっか」
目が笑ってなかったよ、あやせたん・・・・・
結局、あやせとの初めてのデート、初めての食事は二人っきりというワケにはいかず、三人ですることになった。
しかし加奈子よ、お前明らかにお邪魔虫だぞ?目つきの通り性格悪いのか?あやせ、友達は選んでくれよ・・・

「ふぅ〜ごちそうさま〜〜〜」
「奢りだと思って好き放題たのみやがって・・・!」
「んだぁ?見た目も地味なら甲斐性もねーのかよぉ」
「なんだと?」
「さっきから思ってたんだけどぉ〜カレシさんさー、ぶっちゃけなんか地味だしぃ。
 あやせと全然釣り合ってないと思うんだけどー。あやせってぇ、この人のどこが良かったの?」
ほっとけやと内心思いながら、あやせを見る。あやせならその気になれば彼氏なんてすぐ出来るだろう。
それこそ本物じゃなくてただの彼氏役だとしても、ホイホイついてくる男は居るはずだ。
なのに・・・なんで俺に頼んだんだ?

「加奈子には関係無くない?」
「は、はぁ?」
「わたしが京介さんを好きな理由なんて、わたしだけがわかってれば、それでよくない?」
「ま、まあそうだけどよぉ・・・」
最近時々見せる虹彩の消えた瞳で抑揚無く言い放つ――怒ってるのかな?

「か、カレシさんの方はどうなんだよ?こ、こいつちょっと怖くねぇ?どこに惚れたんだよ?」
「ああ?俺か?」
「そ、そう!!人の一人や二人くらいなら埋めたことありそうな女と付き合ってる理由!!」
「フッ、愚問だな。俺があやせを愛する理由など、あやせがあやせであるからというだけで十分だ!」
そうとも!生まれた時から見守ってきたんだ。俺があやせの幸せを願う理由なんてそれで十分だろう?

「わ、わかった。あんたらがお似合いだってよーくわかった・・・そ、そんじゃなあやせ!」
そう言ってそそくさと店を出て行ってしまった――

「えへっ、お似合いですって♪」
「・・・あいつが言ったのってなんか違う気がするけどな」
まぁ、ここは素直に褒め言葉として受け取っておこう。

950 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:07:34.69 ID:iWfXVOwW0

時刻は夕方という頃、デートを終え俺たちは監視の目があるため最後は別々に家に帰ることにした。
あやせを駅まで送り、俺はそのままとめておいたチャリにまたがり家路を急ぐ。
俺が帰りつく頃にはあやせはもう家で俺の帰りを待っていた――

「さっき美咲さんから電話があったんですけど、ひとまず私のことは諦めてくれたみたいです」
「そっかーよかったー!!あやせがヨーロッパに行くなんて冗談じゃないからな!」
「・・・本当にそう思ってるんですか?」
「え?なんでそんなこと聞くんだ?」
もしかして美咲さんがまだ諦めてなければ、またあやせたんとデートできるかもしれない
という考えがチラっと頭を掠めたのがバレたのか?

「・・・・・もういいです。それより京介さんに言いたいことがあります」
「な、なんだ?」
「今日のデートのことです!もう、ダメダメじゃないですか!」
「えっ!?ええぇーーー!?ダメダメだったの!?」
「そうですよ!今日のデートコース、ほとんど桐乃のケータイ小説通りだったじゃないですか!」
「そ、それは仕方ないだろう?俺デートなんて初めてだったんだし・・・」
「そういうことを言ってるんじゃありません!わたしとのデートなのに桐乃のことばっかり考えるなんて失礼です!」
ええ?なにそれ?
確かにデートコースを考えたりするのに桐乃から教わったことを思い出してたりしてたけど、
それは全部あやせの為であって他に理由なんて一切ないぞ?

「・・・・・ひょっとして、楽しくなかったのか?今日のデート・・・」
「京介さんはどうだったんですか?」
「俺はムチャクチャ楽しかったさ!あやせと一緒に色んなところ行けて色んなもの見て!
 楽しくないはずがないじゃないか!」
「・・・・・嘘つき」
「え?」
「嘘つき嘘つき嘘つき!!
 わたしが楽しくなかったのになんで京介さんは楽しかったんですか!?
 前に『お前が落ち込んでると俺も落ち込む』って言ってたじゃないですか!!
 あれは嘘だったんですかっ!?」
「う、嘘じゃないさ!あやせだって今日は楽しそうにしてたじゃないか!!」
「今日は・・・!今日のは・・・デートじゃなかったんですか?今日は彼氏だったんじゃないですか?
 あれじゃぁ・・・あれじゃ今までの『兄妹のお出かけ』と全然違わないじゃないですかっ!!!」
「な、なんで泣いてるんだよ?今日のデートはそんなにダメな出来だったのか?
 俺は俺に出来る限りのことをやったつもりなんだぞ!?」
わけがわからずあやせに問い詰める。だが返ってきた言葉は俺を地獄の底へ叩き落す言葉だった――

「もういいです!次からは本当の彼氏に頼みますからっ!!」

そう言い捨てて去っていった――

「ほ、本当の彼氏・・・?本当の彼氏・・・?
 本当の彼氏だとぉおーーーーーーーーーーーっ!!??」

951 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:08:07.27 ID:iWfXVOwW0


「はあ?あやせに彼氏?」
「そうだ!お前は何か聞いたことは無いか?」
「あるよ、クリスマスよりちょっと前の日にデートしてたところを見たってクラスの子が言ってた」
「それ以外で!!」
それは明らかに俺のことじゃねーか!
っていうかあのクソガキ口止めしたにもかかわらず言いふらしてやがるのか?まったくふざけてやがる。

「それ以外っていってもなー、あやせも結構モテるからそういう話はあっても変じゃないと思うけど」
「そ、そうなのか?」
「って言っても学校の男子とかじゃないよ?
 あたしら最低でも3つ以上年上でないとそういう対象にはならないって普段から話してたし」
「じゃあどこでそんな話が出るんだよ?」
「仕事?ほら撮影の時とかって結構いろんな人と会うじゃん。社会人も含めて」
「どんなロリコンだよ!!」
「まだ十代でも仕事持ってる人っていたりするよ?エタナーのデザイナーさんとかもそうだし」
「エタナー・・・?」
それは確かあの美咲さんお抱えのファッションモデル兼デザイナーの御鏡のことか?
聞いた事がある・・・ってか目にした事がある。あやせの載ってた雑誌に記事があった。
俺と同い年なのに、既に色んな場面で名を馳せている“男版桐乃”みたいな奴が居たはずだ・・・

「ってかさー、なんでいきなりそんな事聞いてきたの?」
「ああ、実はな・・・」
俺は桐乃に大体の事情を説明した。
美咲さんからスカウトが来たこと。穏便に断りたいとあやせが言ったこと。
理由に『彼氏と離れたくない』と言ったこと。俺が彼氏役を頼まれたこと。
・・・そして、本当の彼氏がいるとあやせが言ったこと。

「それが本当なら御鏡さんあやしいかもね」
「んだとっ!?」
「うん。あの人とは何度も仕事で顔合わせてるしさ、それにあんたに代役を頼んだんでしょ?」
「・・・それが何の関係あるんだよ」
「あやせの彼氏が御鏡さんなら、美咲さんは二人ともヨーロッパに連れて行けばいいだけでしょ?
 それが出来る立場の人なんだから。それがわかってたから、あやせはあんたに代役頼んだんじゃないの?」
・・・・・なんてこった。確かにそれだと筋が通ってしまう。彼氏が居ながら俺に彼氏役を頼んだのは、
本物の彼氏では日本に留まる為の理由にならなかったからだとするなら、あやせの彼氏は御鏡・・・?
絶望に打ちひしがれていた俺に桐乃が話しかけてくる。

「あんたホントにシスコンだよねー、妹に彼氏くらいでここまで落ち込む?」
「ま、まあいつかは必ず来ることじゃん?仕方ないって!!」
「それにさ、御鏡さんなら大歓迎でしょ?あんないい人なかなかいないんだし!」
「あやせを不幸にするような人じゃないと思うから大丈夫だって」
「それにあんたもそろそろシスコン卒業したほうがいいって!」

「・・・・・もういい加減にしなよ、いいじゃんあたしがいるんだし」
「なんだよそれ」
「・・・あたしがずっと兄貴の傍にいてあげるからさ」
「この期に及んでエロゲーネタかよっ!!」
「あはは、バレた?ってかちゃんとやっててくれたんだ、アレ」
「・・・可愛い妹の頼みだからな」
「彼女でもいいよ?」
「バカいうな!」
相変わらずだなこいつは・・・好き勝手に俺を振り回して・・・・・でも――

「ありがとな、桐乃」

952 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:08:46.71 ID:iWfXVOwW0


「ただいまー」
あやせの彼氏が誰なのかはっきりしないまま、もやもやした気持ちを抱えていたこの数日。
家に帰ると見慣れぬ靴が一足置いてあった。誰か客が来ているのか?
耳を澄ますとリビングからおふくろの声が聞こえてくる――


「えー?それで新垣さんはいつから?」
「まあ、それじゃあやせと姉妹になっても安心ね」
「あら、あやせ。どうしたの?」
「それにしても京介はまだかしらね?」


何の話を誰としてるんだ?新垣さんだと?もしかして桐乃が来てるのか?

「ただいまー、ひょっとして桐乃が来てるのか?」
「あ、お帰り京介!!もうお母さんびっくりしちゃったわよ?」
「へ?なにが?」
「彼女が出来たのならせめて報告くらいしなさいよ。今来てくれて話をしてるところなのよ?」
「はあっ!?」
いきなりのトンデモ展開に思考がついていかない。
リビングを見るとそこにはあやせと桐乃が並んですわっていた。
いや、別に変なことじゃない。この二人は親友なんだ。家に遊びに来るくらい当たり前だ。
問題は桐乃が俺の彼女としてやってきたという話をお袋がしてることだ。

「ふふふ、あんたもやるわねぇ、あんな可愛い子をつかまえるなんて」
「いや、桐乃はあやせの友達だろ・・・?」
「そうねぇ、あんたあやせには感謝しないといけないわね」
「ちょっとマジで意味がわかんないんだけどっ!?」
「照れなくていいわよ、お母さん応援しちゃうから!それじゃ、あたしは買い物に行くから後は仲良くするのよ〜」
そういって俺達三人を残しておふくろは出て行ってしまった。
後には先ほどとうって変わって静まり返った空気につつまれたリビングが残る。

「え〜と桐乃?これはどういうこと?」
「ありがとうって言ったじゃん?だからあんたのシスコン卒業に協力してあげようと思って」
「ま、まさかあの彼女でもいいって言ったのは本気か?」
「な〜んで冗談だと思うかな・・・あ、そっかぁ!
 普段から冗談で愛してるとか言ってるからあたしのも冗談だと思ったとか?」
「な、なにを言ってるんだ!?」
「――お兄さんっ!!!」
急にあやせが立ち上がり声を上げる。俯いてる為に顔は良く見えない――
だが何か怒っていることはその様子からうかがい知れた。

「本当なんですか?桐乃とお付き合いしてるってこと?」
「実はまだだけど、その予定」
「桐乃には聞いてませんっ!!」
こ、怖えぇ!!いつかのコミケの時の比じゃないぞ?
あやせが桐乃にこんな態度をとることがありえるなんて!!

「どうなんですか?本当に桐乃の言う通りなんですか?」
そう聞いてくるあやせに少しずつ怒りにも似た感情がわいてきた――

953 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:09:34.53 ID:iWfXVOwW0

「・・・・・だったらどうなんだよ?」
桐乃の言葉を一切否定せずにあやせに聞いてみる。こいつだって俺に何も話してくれなかったじゃねーか。

「俺と桐乃が付き合うのに、なんの不都合があるんだよ!!」
「は、反対するに決まってるじゃないですかっ!!お兄さんみたいな人に桐乃を任せるなんて無理です!」
「なんであやせが決めるんだよ!?そりゃ桐乃はお前の大親友だろうけどさ!
 こういうことは当人同士で決めることで、横からごちゃごちゃ言うことじゃないだろう!?」
「こ、この場合は別ですっ!!大体お兄さんはわたしのお兄さんじゃないですか!
 わたしには口を出す権利があるはずです!」
「そんなことっ!俺に何の相談も報告も無しに彼氏を作った妹にとやかく言われたくねーよ!!」
「―――――ッ!!?」
「先に裏切ったのはお前のほうだろうがっ!!!」
ああ、そうか。わかったよ。これが本音だ。――ずっと見てきたのに。ずっと愛してきたのに。
桐乃のほうを大事にするようになったあやせに、いつの間にか恋人まで作っていたあやせに。
俺は裏切られたような気になっていたんだ。

「・・・・・じゃないですか」
「あ?」
「先に裏切ったのはお兄さんの方じゃないですか!!」
「何言ってやがる!!」
「あの時、あんな事言っておきながら、裏切ったのは兄さんじゃないですか!!
 わたしが、わたしがどんな気持ちでいたか考えもせずに、桐乃とばっかり話をして!」
「あ、あやせが無視してたんだろうが!!」
「ちょっとびっくりしてただけじゃないですか!!それなのに全然話しかけてくれなくなって・・・
 いつの間にか桐乃だけじゃなくて、黒猫さんとも仲良くなって・・・!!」
「お前黒猫のこと知ってるの!?」
「調べたんです!!
 そしたら『兄さん』とか呼んでもらってるって話じゃないですか!!
 兄さんは誰の兄さんなんですかっ!?わたしの兄さんじゃなかったんですかっ!?」
「アレはこいつらが俺をからかってそう呼んでるだけだってーの!!」
「言い訳なんて聞きたくないですっ!!
 わたしの知らないところで、いろんな人と勝手に仲良くなって・・・
 一緒に遊んだりしてて・・・桐乃とデートまでしてたりとかっ・・・!
 わたしがっ・・・!わたしがっ・・・!その時どんな気持ちだったかも知らないでっ!!」
「何のことだよ!?大体お前だって俺に黙って恋人まで作ってんだろうがっ!!」
「あれは嘘ですっ!!」
「嘘ぉっ!?」
「おにっ、お兄さんがちっともわかってくれないからっ!!だからわたしっ・・・!!」
ぼろぼろと涙をこぼしながら泣きじゃくるあやせ――
何でそんな悲しそうにしてるんだよ?なんでそんな嘘ついたんだよ?お前は嘘が嫌いな子だったじゃないか。
・・・・・なんで俺はこんなこともわからなくなってるんだろうな?

「わたっ・・・!わたしっ・・・!!わたしっ!!」
「いいよ、もういい。頼むから泣くな。俺まで悲しくなっちまうだろうが」
あやせの頭に手を置いてやる。そのまま抱きしめて頭を撫でて慰める――

「俺が悪かったから・・・謝るからもう泣くな」

954 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/04(水) 00:10:29.66 ID:iWfXVOwW0


あやせの嗚咽だけが響く静寂を引き裂いたのは桐乃だった――

「泣いててもいいから早く言っちゃいなよ」
「え?」
急に桐乃に声をかけられて思わず振り返る。なんかあやせの方を向いて不思議な表情をしている。

「本当、あやせが羨ましい。あたしもこんな兄貴が欲しかったなあ・・・」
「桐乃・・・?」
「ほらぁ!はっきりさせないと盗られちゃうよ?あたしの他にもライバルはいるんだからね?」
どういう意味だよ。ライバルとか盗られるとかって・・・
ふと、自分の腕の中を見るとあやせが俺をじっと見つめていた。

「な、なんだどうした?俺の顔に何かついてるか?」
「・・・・・い、今からつけるんです」
ぐいっと顔を引き寄せられたかと思ったら、俺のほっぺたにあやせの唇が触れた。

「えっ?えっ?えぇ〜〜〜〜〜〜〜!?」
「なんでそんなにびっくりするんですかっ!!」
「だって・・・だって・・・」
「あんたってさぁ、ほんっとに鈍いよねぇ。そこだけはあやせが可哀相だわ」
「どういう意味だよ!?」
「へっへ〜、それは愛しの妹様から聞けばいいじゃん。もう、あたしから聞く必要ないでしょ?」
意味深につぶやいて『それじゃあね♪』と桐乃は去っていく――
この状況で俺になにをしろと?

「お兄さん?」
「あ、ああ。どうしたあやせ?」
「お兄さんは、わたしのお兄さんなんですよ?」
「もちろんそうだ」
「一生ですからね?」
「当たり前だろ!」
「それならいいです」
ポフっと再び俺の胸に顔を埋める。猛烈に可愛いのはいいんだけど、そのまま一人で納得しないでくれよ。
俺にはイマイチこの状況が飲み込めてないんだ――

「あの・・・」
「な、なんだ?」
「わたし・・・本当はあの告白嬉しかったんです・・・」

うなじまで真っ赤に染め上げて告げられたその告白に、俺の意識はブッ飛んでいった――

見たかお前ら!!俺の妹はこんなにも可愛い!!



                       今度こそ終わり
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 00:13:37.27 ID:I2WgBobDO
とりあえず、>>901GJ
マイエンジェルはやまなきゃ絶対良妻賢母になれるはずだ!

やまなきゃ……


んで、NTRうんぬん言ってる奴は『寝取られ』の意味見てこい
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%9D%E5%8F%96%E3%82%89%E3%82%8C



こういう事もあるならテンプレも一部改変した方がいいかもね
>>・鬱、エロ、NTR、京介以外の男性とヒロインのカップリング描写、オリキャラ、クロス作品、の場合は、投下前に断り書きをしましょう


こんな感じとかに

NTRだけだと人によって受け取り方が違っちゃうみたいだし
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 00:20:05.15 ID:xFb7rJpXo
>>936
乙でした。そして割り込みして申し訳ありませんでした。

この京介、あやせルートをメインにして、桐乃と黒猫も同時攻略してね?

もげろ
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/04(水) 00:21:20.13 ID:RcmcPQyQo
wikipediaとか勘弁してください
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/04(水) 00:21:33.80 ID:UawCmOre0
>>954乙!

投下中にへんなレスはさんですみませんでした...OTL
期待以上のアンサーSSありがとうございました!
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/05/04(水) 00:25:20.41 ID:SY7U4edVo
>>955
これが言いたかった
物語にメインで絡んでなくても京介意外とくっつくなら〜みたいな?


まあそこまでしなくてもいいかもしれないけどね
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/04(水) 00:28:11.12 ID:EH9nfv6Eo
くそっ、京介爆ぜろwwww
でもラストはともかく原作の京介よりもよっぽど健全なシスコンに見えるなww
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 00:32:25.72 ID:I2WgBobDO
>>954
GJ!こんな妹俺も欲し…… いや、妹だと手が出せないし……



>>959
下手にいざこざ起きるよりはちょいと付け加えとく方がいいんでない?
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 00:41:18.07 ID:5Tpr86P/0
桐乃厨のせいでめんどくさいことになったなぁ
こうやって一部の馬鹿が暴れるせいで規制が強化されていくんだな
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/04(水) 00:53:05.61 ID:pl9tHhKoo
>>954
GJ!

> 京介以外の男性とヒロインのカップリング
つっても、原作だって誰か一人以外は京介とずっとカップルでいられないし
ごく一部の馬鹿は無視すればいいだけじゃないの?
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 00:54:06.99 ID:bmb3CSBSO
俺妹ってそんな規制の引き金ひくほど過激な作品でもないし
作品見てない一般人にも名前が知られるようなメジャーな作品でもないと思うけど
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/04(水) 00:54:25.54 ID:EH9nfv6Eo
ヒロイン以外の男性と京介のカップリングはどうなるのでしょうか!?
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 01:07:48.92 ID:rmG82JFDO
>>965
瀬菜ちゃんカワイイよ。瀬菜ちゃんは悪くないよ
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/04(水) 01:35:17.85 ID:fpYVWRGAO
>>954
GJ
最高です
原作シーンは消化したから、次はオリジナルシーンですね
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 03:08:16.80 ID:eOo781nDO
>>954
あやせメインだけど同時攻略っぷりがハーレムルートっぽいww
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 03:34:15.15 ID:N5kKTzEIO
桐乃厨よりも何よりも過剰反応厨をどうにかしないとな……
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 04:47:56.01 ID:MaCL/oDDO
ん〜 暫くぶりに来て変な流れだったから一通り流し読みしたけど
ぶっちゃけ京介が誰かと結婚してたり付き合ってたりしたら、他の
相手が京介とくっつく訳ないんだから、書く必要性感じないんだけど

そもそも以前赤城と麻奈実がくっついてるのをどっかで(こっちか
エロパロか忘れたが)見た気がするんだが、別にあーだこーだと
荒れてなかった気がする
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 04:53:39.09 ID:h/jcR339o
中には京介に自己投影してる方もいらっしゃるから難しい
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/04(水) 07:05:30.60 ID:UawCmOre0
俺が、俺達が京介だ!!
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 08:08:44.08 ID:e8VAfdWIO
いっきに80レス増えてて焦った笑


どれもおもろかったで
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 08:40:25.18 ID:I2WgBobDO
わかった! 京介以外とくっつく描写がヤダ!って言ってるの……


まさか各ヒロイン達じゃね?
そう考えれば……
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 09:22:40.31 ID:eOo781nDO
>>974
脇になったヒロインが主人公以外と結婚したという記述は嬉しくないから書かなくていいという話だろうに
いったいなぜ京×桐のカップリング以外はNGだと主張しているかのように言い出すんだ
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/05/04(水) 09:28:10.84 ID:pkta+IZTo
なんでネタレスにマジレスしてんだよwwwwww
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 10:44:01.72 ID:9qsXMmUSO
そんなこんなで加奈子SSはまだですか?
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 10:47:29.47 ID:I2WgBobDO
>>975
書いてるのがヒロイン達だったらと妄想したら萌ない?的なネタなのにマジレスすんなwwww


むしろ俺は誰かとくっついた未来ならそういった表現も有り派な人間だし、他CPを否定する気もないぞ。
ごたごたする可能性があるから注意書きはしといた方がいいかもとは思ってるけど

後、残念ながら私はあやせやブリ派だ!
言わせんな恥ずかしい
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/05/04(水) 10:53:26.15 ID:O7rZK7KAO
最近のあやせたんSSの多さに、俺そろそろ死ぬんじゃないかと思うくらいに幸せだわwwwwww
遅まきながらGJの言葉を送らせて頂く!
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/04(水) 11:38:47.91 ID:aItC21zeo
というか一々桐の葉がどうとか煽るのが居るからねぇ
あやせと御鏡だろうが黒猫と誰かだろうが出てきたら同じ反応するだろ

それはともかくさらなるエンジェル分カモン!
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/04(水) 11:52:48.88 ID:LQvFbrKgo
>>954
乙だニャン。
俺もこんなキュンキュンするSSが書きたいぜぃ。
次回も期待。

>>980
まあ、まずは次スレを立ててからな。
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/04(水) 12:15:56.29 ID:qrXHeMC40
あやせ妹ものの続き来てた!!!
しかも、更に面白くなっていたという。
サイコーでした。
あやせ妹、桐乃ガールフレンドがここまで収まりがいいとは・・・
続き見たいです(^_^)
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 12:16:40.31 ID:MvrfxqiC0
>>965

アーッ!

984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 12:18:32.03 ID:nVs/0STuo
珠希ちゃん√を誰か早く
手遅れになっても知らんぞ・・・
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/04(水) 12:42:58.01 ID:LQvFbrKgo
出掛ける前に……。

俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.10
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1304480500/
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/04(水) 12:44:03.51 ID:aItC21zeo
あらすまん、建てれないなんだろうと調べてた…
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/04(水) 12:44:57.73 ID:LQvFbrKgo
>>986
こっちはVIPみたいなことは無いから。
キニシナイキニシナイ。
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 12:51:39.49 ID:INbsJh6SO
ようやくプロット固めたから今日中に書き上げたいな

沙織は周りがツンデレばっかりだからビッチポジ(言い方は悪いが)でバランス取れると思うんだ
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 13:06:25.99 ID:6Y2HIJUHP
>>954
乙です
仲直りまでやるっていうからどうするかと思ったら一気に原作の最後まで言ったからびっくりしたww
でも面白かった!GJ
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 14:20:26.66 ID:QF5VIDlJ0
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 14:23:58.10 ID:QF5VIDlJ0
雨女
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 14:28:30.91 ID:QF5VIDlJ0
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 14:48:09.07 ID:QF5VIDlJ0
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 14:51:37.33 ID:GGRljRBIO
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 14:55:01.08 ID:QF5VIDlJ0
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 15:00:36.97 ID:4PdUg9JDO
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 15:03:22.98 ID:QF5VIDlJ0
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 15:07:33.18 ID:QF5VIDlJ0
椿
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 15:24:40.86 ID:QF5VIDlJ0
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 16:01:49.18 ID:9qsXMmUSO
珠希ちゃんペロペロ
1001 :1001 :Over 1000 Thread
              /\
            /:::::/
     ,. - 、 /:::::/     . 、
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ここだけデュエルアカデミア @ 2011/05/04(水) 13:11:30.96 ID:A6DLY+0u0
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彼女が欲しいAKBSKEスレ @ 2011/05/04(水) 13:10:16.23 ID:5rmry90IO
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俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.10 @ 2011/05/04(水) 12:41:40.70 ID:LQvFbrKgo
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なるみ と戯れよう! @ 2011/05/04(水) 10:34:47.34 ID:hPdf6bHkP
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【ガスの季節が】VIPでサバイバルゲーム避難所【やってくる】 @ 2011/05/04(水) 08:04:26.07 ID:x6mHSmAh0
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