武内P「また、捕まってしまいました」

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40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 18:23:03.44 ID:09UbL3Cdo
アーケード版の初代アイマスを見て酷評していたら後ろに765プロの面々がいたという展開でお願いします
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/26(金) 20:16:57.60 ID:y4qJBXx7o
まとめておきます


武内P「大人の魅力、ですか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510490903/

武内P「便秘、ですか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513243315/

武内P「起きたらひどい事になっていました」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510316855/

武内P「結婚するなら、ですか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510232193/

武内P「クローネの皆さんに挨拶を」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509970245/

武内P「あだ名を考えてきました」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510055875/

武内P「アイドル達に慕われて困っている?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509802732/

武内P「今日はぁ、ハピハピするにぃ☆」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509708830/

武内P「『次はお前だ』」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509609178/

武内P「ムラムラ、ですか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509540801/

(9/3で速報落ちの間、↓2スレでムラムラに戻る)

武内P「担当Pの浮気に困っている?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1536074352/

武内P「渋谷さんのお尻にマイクが!?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1538909260/
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/26(金) 20:20:45.44 ID:y4qJBXx7o
単発

武内P「さいきっく・おいろけビーム」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509196255/

武内P「ドスケベボディです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509290473/

武内P「トイレに、行かせてください」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509882262/

俺P「ちょっとヤダ、何よ!」市原仁奈「!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510144572/

ルパン三世 Gifted Cinderella 魔法のトワレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512567189/

興水幸子「腹パンしてやる」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1504344912/

未央「明るい笑いを振りまいて♪」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512131825/

ナターリア「安価で、高級事務所前ズシだゾ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529889347/

七海「ソイヤッ!」美波「チンポソイヤッ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523106969/

市原仁奈「マンモスの気持ちになるでごぜーます!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519617184/

市原仁奈「ゼブラの気持ちになるでごぜーます!」
http://engawa.open2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1539347429/
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/26(金) 20:24:29.58 ID:y4qJBXx7o
その他

ドモン「シコる? 一体何の話だ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517798688/

C.C.「復活したくない、だと?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517661443/

倉石「石澤! SからE! そしてXだ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1535023266/

華子「オリヴィア、ちょっと腋出して」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1535986572/

ワガハイに代わり、大王にならんか?
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1538193967/

ヒロ「ゼロツー、胸が触りたいんだ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526476383/

ヒロ「ゼロツーがちっちゃくなった?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526557913/

ゼロツー「ダーリン、一緒に寝ようよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526639610/

ゼロツー「味はミクが一番かな!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526731188/

ゼロツー「入れ替え? ボクは嫌だよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526823665/

ゼロツー「記憶を操作されてる……!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526990540/

ゼロツー「部屋替え?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527165200/

ヒロ「そういえば、イチゴとも乗れた」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527491384/
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/26(金) 20:34:06.75 ID:y4qJBXx7o
あとは10本位どこに書いたか思い出せないですが大丈夫です
昔もこれに近いペースで書いてたので極一部を除いてタイトル忘れました
この一年は後で自分で読み返す用にログをほぼ全て取ってるので安心ですね!
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 21:09:49.26 ID:XGp9SIA20
壮観やな(小並感)
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 21:43:57.39 ID:a9PgVe4y0
半端ないバイタリティだな
昔のジャンルだけでも教えて欲しい
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/26(金) 22:52:30.10 ID:y4qJBXx7o

「「あっ」」


 廊下の、丁度曲がり角。
 重なった私の声と、とっても低い声。
 もうちょっとで、ぶつかっちゃう所だったわ。


「お疲れ様です」


 時刻は、もう夕方。
 おはようございます……は、さすがに遅いものね。
 ペコリと、両手を前で揃えて、笑顔で会釈。


「お疲れ様です」


 それに、同じように彼も返してきた。
 私と違って、両手は体の横で、気を付けの姿勢だけど。
 ……ふふっ!
 両手を前で揃えてたら、可愛らしすぎますものね。


「今日も、まだお仕事ですか?」


 目の前の彼は、お仕事が恋人の様な人。
 勿論、私だってお仕事は好きですよ?
 けれど、アイドルは恋愛禁止ですから。
 両想いだとしても、公言は……ファンの方が、こう、げんなりしちゃいます……うふふっ!


「いえ……今日は、あがりです」


 まあ、珍しい。
 貴方が、こんな時間に恋人を置いて帰るだなんて。
 ……そう思ったのが、顔に出てしまったみたい。
 彼が、右手を首筋にやって、何とも言えない顔をしてる。


「明後日から、忙しくなりますから」


 言われて、ふと、思い至る。
 シンデレラプロジェクトの、二期。
 その企画が、いよいよ始まると噂で耳にしていた。
 何にせよ、今度の子達も、


「ふふっ! 人気の、二期……うふふっ!」


 に、なると思いますよ。


「……はあ」


 だって、貴方がプロデュースするんですもの。
 とってもキラキラした、良い笑顔のアイドルになると思うんです。
 ねっ、そうでしょう?


「……」


 もう、困った顔をしてないで、何か言ってくださいな。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/26(金) 23:20:29.40 ID:y4qJBXx7o
  ・  ・  ・

「「……」」


 二人で、エレベーターが来るのを待つ。
 私も彼も、あまりお喋りな方じゃない。
 だから、無言。
 無言で、チラリと横を見る……あ、寝癖。


「……どうか、されましたか?」


 私の視線に気付いて、彼がこちらを見た。
 背の高いこの人は、同じく背の高い私でも、ちょっと見上げる。
 ……っとと、いけない、いけない。


「明日も、お仕事ですか?」


 寝癖が立ってますよ、とは言わない。
 だって、今日一日、寝癖がついてたって事でしょう?
 お仕事は終わりなのに、最後の最後で言うのも可哀想じゃないですか。


「いえ、明日は休みですね」


 まあ、珍しい。
 貴方が、明日一日恋人を放って置くだなんて。
 ……また、思っていることが、顔に出てしまったみたい。
 彼が、右手を首筋にやって、何か言いたげな顔をしてる。


「明後日から、忙しくなりますから」


 言われて、ふと、思いつく。


「フレッシュな子達を迎える前に……リフレッシュ?」


 ――チーンッ。


「……」


 エレベーターの、到着音。
 まるで、今のダジャレが失敗だったと言ってるみたいなタイミング。
 だから、思わず真顔でそっちを見たら、



「……っふ」



 横から、空気が漏れるような、笑い声が。


「……」


 スタスタとエレベーターに乗り込み、ボタンに指をかける。
 彼は、慌ててエレベーターに乗り込んできた。
 ムッとしたけど、今ので、スッとしました。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/26(金) 23:52:56.36 ID:y4qJBXx7o
  ・  ・  ・

「「……」」


 二人で、エレベーター内で、無言。
 無言のまま、一階まで降りて行く。
 彼は、どこかソワソワしてて。
 私は、それがちょっぴり楽しい。


「あ……あの」


 私の背後から、意を決した声。
 とっても緊張してるみたいじゃないですか。
 そんな声を出されたら、ちょっぴり意地悪したくなっても、ね?
 ふふっ、仕方ないと思うんです。


「はい、何ですか?」


 彼を見ずに、ツンッとすまし声。
 言い終わった後、思わず笑いそうに。
 だから、コホンと咳払い。
 それで、何を仰るつもりですか?


「……すみません」


 なんて、消え入りそうな声。
 可哀想になっちゃったのと、モヤッとした気持ちが、半々。
 また、無言。
 早く……エレベーター、着かないかしら。


「あっ……明日の、ご予定は?」


 少しトーンの高い、焦った声。
 私がさっき聞いたから、話題に選んだのかしら。
 だとしたら、少し、手抜きだと思うんです。
 答えますけど、その続きはどうなさるつもりですか?


「明日は」


 ――チーンッ。


「……」


 エレベーターの、到着音。
 開いていく、ドア。
 言葉を遮られて、何も言えずに居たら、



「……っくく」



 後ろから、押し殺したような、笑い声が。


「……」


 ポチリと、ボタンを押す。
 目的の階に着いたエレベーターのドアが、私達を乗せたまま閉まっていく。
 彼は、慌ててドアの間に手を滑り込ませた。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 00:38:59.33 ID:tpe1QzXHo
  ・  ・  ・

「カンパーイ♪」
「……乾杯」


 居酒屋で、向かい合って、乾杯。
 私はハイボール、彼はビール。
 二つのジョッキが、カチンッと音を立てる。
 ……ああ、美味しい。


「まさか、お誘い頂けるなんて」


 思ってもみませんでした。
 しかも、奢り。
 自分のお給金で飲むのとは、また、味わいが違いますね。
 ふふっ! 味わいは違っても、どっちも味は良い……うふふっ!


「私も……自分でも、そう思います」


 ジョッキが、トンッと置かれた。
 琥珀色の液体は、もう、残り半分になっている。
 良い飲みっぷりじゃないですか。
 これは、私も負けてられませんね。


「ですが、思えば……良いタイミングでした」


 良いタイミング?
 お通しの、小さな小鉢に入った煮物を口に入れたタイミングでの、一言。
 だから、少しだけ首を傾けて、何言わずに質問する。
 どういう事ですか?


「……以前のお礼も、出来ていませんでしたから」


 お礼?
 一体、何の……あっ。
 この、ひじきとお豆の煮物、美味しい。
 ……ええと、お礼……お礼……。


「お礼をされる様な事をした覚えが……」


 思い出そうとしても、覚えがありません。
 けれど、何か良いことをしたんですよね。
 それで、美味しく、楽しく、お酒が飲めるなら。


「ふふっ! ちくわを、ただちに食わねば……うふふっ!」


 小さな、可愛らしい磯辺揚げ。
 それを口に放り込むと、


「私は、たこわさを……たこはさっと、食べます」


 なんて、下手っぴなダジャレが聞こえてきた。
 流れる、沈黙。
 彼は、ビールのジョッキをグイと煽ると、


「……頑張ります」


 なんて、顔を赤くしながら言った。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 01:24:10.58 ID:tpe1QzXHo
  ・  ・  ・

「……ふぅ」


 ベッドの中でコロリと寝返りをうって、息を吐く。
 私は、アイドル。
 彼は、プロデューサー。
 解散したのは、とっても早い時間。


「……」


 二人で飲むのなら、仕方がないけれど。
 それにしても、飲み足りませんでした。
 シンデレラだって、ギリギリまで遊んでたのに。
 あの人ってば、魔法使いよりも時間に厳しいんだもの。


「……」


 コロリ。
 ベッドの中で、また寝返り。


「……」


 ガバリ。
 ベッドの上で、上半身を起こす。


「……」


 チラリ。
 ベッドの横の、携帯に目をやる。


「……」


 ピカリ。
 光った。


「……」


 光に向けて、手を伸ばす。
 つい、と指を滑らせて、メッセージの詳細を確認。
 彼らしい、真面目な文面。
 ……何て返そうかしら。


「……」


 ――『是非、また誘ってください』


 この一文を入れるかどうか。
 ほんのちょっとだけ考えて、消した。


「……ふふっ!」


 ――『次は、今日のお礼に私が奢りますね』


 こう言われたら、逃げられないでしょう?




おわり
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 09:08:25.82 ID:KlmJdL9IO
策士だな楓さん
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 13:20:09.25 ID:lmo4Ey5Lo
>>46
昔というかルパンとローゼンメイデンの7ドールズもこの人だった気が
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 15:33:53.87 ID:tpe1QzXHo
貼り

天羽斬々「手作り弁当だ、食べるが良い」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1540613779/


>>35
こうやって、思いついたら我慢せず書いて忘れるのが大事だと思ってます
出来の良し悪しはそんなに気にしてません
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 20:33:48.68 ID:tpe1QzXHo
覚えてるのを一部

ハルヒ

古泉「射精が止まらなくなりました」
http://punpunpun.blog107.fc2.com/blog-entry-1070.html

東方不敗「えらい美人がそこに居おったわ」
http://minnanohimatubushi.2chblog.jp/archives/1364907.html

ローゼン

水銀燈「お腹の空洞でキノコを栽培してみたわ」
http://punpunpun.blog107.fc2.com/blog-entry-942.html


この二作品と、金時にある古いギアスはいっぱい書きました
あとは、


明久「姉さんと? 一緒に寝てるけど」
http://blog.livedoor.jp/date_o/archives/51016212.html

光太郎「萌? 最近よく聞くなぁ」
https://slpy.blog.fc2.com/blog-entry-2085.html


こんな感じで、数本だけ書いた作品が沢山です
コテ酉はつけない主義なので、ここまで過去作晒したのは初めてです
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 20:50:02.15 ID:tpe1QzXHo
この一年の俺は、昔の俺と張り合えてると思います
前に過去作晒して質問した時は微妙でしたが、今は断言出来ます


『アイドルマスターシンデレラガールズ』は、数年ぶりに書くきっかけになった作品です
その作品に対して、昔の俺に劣ったまま終わるのでは申し訳が立ちませんでした
なので、これがモチベーションの一つですね!


加えて、本当にスレ住民の方に恵まれたのが非常に大きいです
こんな書き方、いつだって簡単に荒らしてスレを潰せる状態です
それだけじゃなく、板が落ちて一ヶ月以上別板に行ったりもしました

なのに、一年保った
多分、これは物凄い事なんじゃないかと思ってます

ネタ振りや、何でもないと思われてる様なレスにも本当に助けられてたんですよ
書き手としては、最高の環境で書けた一年でした
本当に、ありがとう
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 21:06:14.20 ID:tpe1QzXHo
コピペブログの管理人さん達も、ありがとう
中には、懐かしい奴だと覚えてたり、思い出したのも居るんじゃないかな?

兎にも角にも、まとめないでくれと頼んで、そうしてくれた事に感謝を
載らなくても良い、って思って良い……ってのを見せたかった
載らないメリットは、この一年の流れを見ればなんとなくわかるかな、と
コピペブログ的には迷惑だろうけどさw


あとはまー、色々あるけどこの辺にしときます
あんまり長くなってもアレですしね
俺はこの板に書きに来たし、皆さんは読みに来たんですから


次がラストです
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 21:50:44.49 ID:tpe1QzXHo

「……」


 シンデレラプロジェクトのプロデュースをして、一年。
 この一年は、本当に色々な事があった。
 そう……本当に、色々な事が。


「……」


 オーディションとスカウトで集められたメンバー。
 誰もが個性的で、それぞれ、全く違う輝きを放つアイドル達。
 その、眩い光に照らされて、私にも変化があった。
 貴女達に変えられてしまった、と言ったら、彼女達はどんな表情をするだろうか。


「……」


 やはり、笑顔だろう。
 14人が、別々の想いを込めた笑顔を向けてくるに違いない。
 私は、プロデューサーだ。
 アイドルの方にプロデュースされてしまうとは、とんだ笑い話だと、そう、思う。


「……」


 デスクの上の資料ファイルに指を滑らせる。
 タイトルは『シンデレラプロジェクト』。
 この中には、この一年の、彼女達が歩いてきた軌跡が詰まっている。
 勿論、全てではないし、一冊のファイルに収まり切る程、
彼女達は容易く、軽快に階段を登ってきた訳ではないが。


「……」


 時に挫折し、苦悩し、涙を流した時もあった。
 すれ違いも、衝突も、危機も無かったとは言えない。


 だが、それがあったからからこそ、今の彼女達があるのではないか。


「……」


 何の壁にもぶつからず、ただ、決められたレールの上を走る。
 そこに、本人の意志は存在せず、強引に道を歩ませていく。
 ……昔の私は、そういった面があったかも知れない。
 かつて、私の元を離れていってしまった彼女達は、それを嫌ったのだろう。


「……」


 椅子に、深く座り直す。
 そして、もう一冊のファイルに、手を伸ばす。
 タイトルは『第二期、シンデレラプロジェクト』。
 表紙を開き、中のプロフィールを順に見ていく。


「……」


 今度は、決して手を離さないと、心に誓う。
 見つけて、見失い……そして、また探し出した、シンデレラ達の手を。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 22:31:07.95 ID:tpe1QzXHo
  ・  ・  ・

「――おや」
「部長」


 プロダクション内にある、休憩スペース。
 その、自販機の前で、今西部長と出会った。


 ――カタンッ。


 缶が落ち、音を立てた。
 恐らくだが、缶コーヒーで、喫煙所に煙草の供として持っていくつもりだろう。
 喫煙所の設置に関して、部長は本当に努力されていたので。


「缶コーヒーで良いかい?」
「いえ、部長、それは……」
「なあに、遠慮するな」


 部長は、鼻歌を歌いながら小銭を投入し、自販機のボタンを押した。


「ちょっと、小銭がいっぱいになってしまってね」


 そう言いながら、こちらにコーヒーの缶を差し出してくる。
 一瞬躊躇ったが、先の物と合わせてコーヒーの缶は二つ。
 受け取らないわけにもいかず、ここは、お言葉に甘えておこう。


「ありがとうございます」


 感謝の言葉。
 言うべき場面、当たり前の事にも関わらず、何故か部長は少し驚いた顔をしていた。
 私の反応は、驚くようなものだっただろうか。
 気が付かない内に、私の知り得ない何かをしてしまったのだろうか。


「……ああいや、すまんすまん」


 口を開きかけた所を部長に制止された。
 その顔には――笑顔が。
 ニコニコと、人の良さそうな笑みが浮かんでいた。
 一体、どういう事だろうか。


「すみません、ではなく……ありがとうございます、が来るとは思わなくてね」
「えっ?」


 言われて、ふと、気付く。
 以前の私だったならば、部長の言う通りの反応をしていただろう。
 それが、意識せずに、似ているようでまるで違う言葉が口から出た。
 小さいようで、とても、大きな変化。


「……」


 何と言っていいかわからず、右手を首筋にやり、言葉を探す。
 思えば、この癖も部長と接する内に、いつのまにか染み付いていた。
 先程の変化も、恐らくは、彼女達の影響だろうと思う。
 しかし……どう、返したものか。


「きっと、彼女達の影響だろうねぇ」


 自分の中で思い至った結論を言い当てられ、より一層、返しに困る。
 部長は、そうなるとわかっていて、先の発言をしたのだろう。
 この人は、私を試し、からかうような事を時折する。
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 22:32:33.78 ID:tpe1QzXHo
  ・  ・  ・

「――おや」
「部長」


 プロダクション内にある、休憩スペース。
 その、自販機の前で、今西部長と出会った。


 ――カタンッ。


 缶が落ち、音を立てた。
 恐らくだが、缶コーヒーで、喫煙所に煙草の供として持っていくつもりだろう。
 喫煙所の設置に関して、部長は本当に努力されていたので。


「缶コーヒーで良いかい?」
「いえ、部長、それは……」
「なあに、遠慮するな」


 部長は、鼻歌を歌いながら小銭を投入し、自販機のボタンを押した。


「ちょっと、小銭がいっぱいになってしまってね」


 そう言いながら、こちらにコーヒーの缶を差し出してくる。
 一瞬躊躇ったが、先の物と合わせてコーヒーの缶は二つ。
 受け取らないわけにもいかず、ここは、お言葉に甘えておこう。


「ありがとうございます」


 感謝の言葉。
 言うべき場面、当たり前の事にも関わらず、何故か部長は少し驚いた顔をしていた。
 私の反応は、驚くようなものだっただろうか。
 気が付かない内に、私の知り得ない何かをしてしまったのだろうか。


「……ああいや、すまんすまん」


 口を開きかけた所を部長に制止された。
 その顔には――笑顔が。
 ニコニコと、人の良さそうな笑みが浮かんでいた。
 一体、どういう事だろうか。


「すみません、ではなく……ありがとうございます、が来るとは思わなくてね」
「えっ?」


 言われて、ふと、気付く。
 以前の私だったならば、部長の言う通りの反応をしていただろう。
 それが、意識せずに、似ているようでまるで違う言葉が口から出た。
 小さいようで、とても、大きな変化。


「……」


 何と言っていいかわからず、右手を首筋にやり、言葉を探す。
 思えば、この癖も部長と接する内に、いつのまにか染み付いていた。
 先程の変化も、恐らくは、彼女達の影響だろうと思う。
 しかし……どう、返したものか。


「きっと、彼女達の影響だろうねぇ」


 自分の中で思い至った結論を言い当てられ、より一層、返しに困る。
 部長は、そうなるとわかっていて、先の発言をしたのだろう。
 この人は、私を試し、からかうような事を時折する。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/27(土) 23:15:45.80 ID:tpe1QzXHo
  ・  ・  ・

「……」


 廊下を歩いていると、前方から長身の女性――美城専務が。
 彼女とは、何度も衝突した。
 アイドルのプロデュース方針で……何度も。
 その方針の違いは今でも変わらず、しばしば、軽い口論のようにもなる。


「……」


 美城専務の改革は、成功したと言えるだろう。
 経営者としての彼女は、非常に優秀だ。
 強引な手法を取りながらも、寛容さも持ち合わせている。
 ロマンチシズムとリアリズムが、同居している方だ。


「……」


 彼女のプロデュース方針は、間違っているとは言えない。
 経営者としては当然の選択であるし、
多くのファンの方を得るという事に関しては、最短のルートとも言える。
 利益を出す、という点に関しては、正しい。
 時に、それがアイドルの方の意思を蔑ろにしてしまうのが難点だが。


「……」


 だからこそ、私達が――プロデューサーがいる。
 会社のために動く経営者ではなく。
 アイドルの方のために動く存在として。
 ……会社人として間違った考え方だろうが。


「……」


 それらを理解した上で、美城専務は経営に携わっている。
 彼女からしたら、私が一番問題のある人間なのかも知れない。
 しかし、その問題をこそ、彼女は望んでいるのでは無いかと思う節もあるのだ。
 そうでなければ、今、私はこの廊下を歩いては居ないだろう。


「おはようございます」


 距離が近づき、挨拶をした。


「ああ、おはよう」


 専務もまた、それに返した。
 すれ違いざま、チラリと私の首元に目をやったのは、身だしなみの確認か。


 ――クライアントに最初に会うのは、アイドルではなく君だ。


 かつて言われたあの言葉に従い、注意を払うようにしている。
 口元が微笑んでいた様に見えたのは、満足して頂けたからか、
それとも、彼女の態度が丸くなったと、そういう理由だからかは、わからない。


「……」


 私達は平行線ではあるが、彼女から学ぶ事は、多い。
 特に、その平行線を超えてくる、アイドルの方に関する事は。
 だが、意識してお互いあまり話さないようにはしている。
 ポエムバトルと言われるのは、私も専務も御免だからだ。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 23:58:20.35 ID:dTuStCUR0
シリアスな世界でもポエムバトルの認識なのかw
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/28(日) 00:00:08.66 ID:Y5yjIzLeo
  ・  ・  ・

「……」


 346プロダクションの、玄関ホール。
 以前はプロジェクトクローネの垂れ幕だけに染められていたが、今は違う。
 あれは、現在進行中の、別のプロジェクトのものだろう。
 いずれは、あそこにもシンデレラプロジェクトの、第二期のものがかかる予定だ。


「……」


 346プロダクションの外観は、少し、威圧感を感じる。
 その大きさと、大手プロダクションという肩書が、そうさせるのだろう。
 正に、城と表現するに相応しい。
 この城から、お姫様達――シンデレラ達は、階段を登っていく。


 時に、手を引き。
 時に、手を引かれ。
 時に、見守りながら。


 私は、それを誇りに思う。


「……」


 自分自身の力で笑顔を引き出す……それが力になる。
 笑顔の力――パワーオブスマイル。
 私達、プロデューサーが作ったものではない。


 アイドルの方の、本物の笑顔が魅力なのだ。


 ……と、そう、考えている。
 プロデューサーの仕事とは、それを引き出す手助け。
 そのためならば、おとぎ話の様に、魔法をかける事も厭わない。
 ……実際は、私は魔法など使えず、逆に助けられる場面も多いが。


「……」


 それでも、私は――毎日が楽しい。
 夢中になっている……夢中になれるものを探している――


 ――アイドルの方達を見続けているのだから。


 働きすぎ、仕事のしすぎだと言われてしまう時もある。
 しかし、ライフワークなのだから、仕方がない。



「プロデューサー!」



 正面玄関のドアが開き、アイドルが――シンデレラの方が、入ってきた。
 光を浴び、そして、自らもキラキラと輝くその姿を見て、



「良い、笑顔です」



 笑顔で言った。



おわり
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/28(日) 00:04:41.44 ID:Y5yjIzLeo
こんなくだらないもん最後の最後まで読んでくれてありがとう


良い一年だった!!!!!!
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 00:19:07.39 ID:cjbaxfkT0
これで完結なのかな?大量のクオリティの高い作品達を楽しませてもらいました、お疲れ様でした
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 01:14:56.23 ID:sV4v726Vo
げぇもしかしてC.C.シリーズ書いてた作者の人か…?そらまぁよく書けるはずだよ
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 01:18:07.54 ID:0kYwJEdJ0
一年間お疲れ様でした
次回作も楽しみに待ってます
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 01:31:26.72 ID:UaN+VJXK0
まとめが入り口を広くしてる節はあるけど板に人がほしいもんね、載せないからこそ年中人で賑わってたのかな
知ったのは最後の3ヶ月ぐらいだけど毎日めちゃくちゃ楽しませてもらいました
また別のジャンルでも同ジャンルでも楽しみにしてる
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 02:20:35.73 ID:/lCIwlbu0
貴方の作品を毎日読む事が習慣になっていました。
一年間楽しい作品をありがとうございました!
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 02:25:47.98 ID:B4FZKWXho
ああ、終わってしまった…
アニメや劇場版や武目線のギャルゲーとか続報がないなか武分を摂取できたのはただただ幸運でしかない

毎日毎日毎日と書き綴るタフネスとそれでいて確かな文体の美しさを保ち続けたのはほんと凄まじいの一言に尽きる

お疲れさまでした。本当にありがとう。どんなジャンルであれまた読める日を楽しみにしてます
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 05:23:01.13 ID:kTzJ6o6K0
お疲れさまでした
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 05:48:33.38 ID:f7ZgYkOy0
一番楽しみにしていたSSが終わってしまった
寂しいけれど、お疲れ様でした
何度かリクエストに答えてもらって嬉しかったです
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 07:40:08.46 ID:D79NA6c9O
おっつおっつ
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 08:35:40.85 ID:yu5iqcZD0
長いことお疲れ様でした
アニデレは中々扱いの難しいのか、SSも少なくなっていたので楽しんで読んでいました
また、気が向いたら名前を伏せて書いて欲しいです

あと最後の話は最後まで真面目と見せかけて脱糞で終わるんじゃないかとドキドキしていました
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 11:17:25.93 ID:3lJOPMTg0
最初の板からずっと見てたけど武内Pのssが少なくなっていく中安心して読めるあんたの板があったのは心の支えだったよ
リクも数回しか出したことないけど長く楽しませてもらった、ありがとう!
またあんたのssを見る日を待つことにするよ
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 13:36:10.76 ID:3lJOPMTg0
最初の板からずっと見てたけど武内Pのssが少なくなっていく中安心して読めるあんたの板があったのは心の支えだったよ
リクも数回しか出したことないけど長く楽しませてもらった、ありがとう!
またあんたのssを見る日を待つことにするよ
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 13:37:09.82 ID:3lJOPMTg0
連投すまん・・・一生ROMるわ
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 15:04:57.22 ID:5FEW9n+so
シリアスからギャク、シュールと様々なものを読ませてもらって楽しかった
気が向いたらまた帰ってきてほしい
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 16:48:17.08 ID:ykQWxEKF0
長い間楽しませていただきました。
本当にありがとうございました。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 18:50:54.47 ID:yfe/uVbV0
武内P好きとしてはただただ感謝しかない
おつかれさま
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 20:35:19.35 ID:kQw6IrZXo
愛がなくても書けるけど愛がなければ続かない
それを再実感しました
また会う日まで
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 22:38:59.87 ID:ZkAUGOV30
貴方の武ドルSSは幅広いネタに溢れ最高でした。
願わくばまた書いてくれると嬉しいです。ありがとうございました!
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 23:44:39.53 ID:kjkTamX90
おわっちまうのかよーーー!!
時々まとめなら上がってくる武内Pssが終わっちまって悲しい
気が向いたらまた書いてくれよな!
もちろん他作品の新作も待ってます!
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/28(日) 23:58:26.50 ID:aM+dEWuWo
あ、最後に一言解説を


・アイドルマスターは一年
・この一年オチに言及されてた
・12時を過ぎてIDが変わったら俺はただの名無し


これ以上のオチはそうそうないんじゃね?


ってことで、じゃあの!!!!!!
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 15:37:14.97 ID:DQ/7sc5n0
楽しかったぜ、またどこかで会えることを祈ってる
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/18(日) 11:24:17.21 ID:teoeR9dI0
無いのがわかっていても、習慣は止められないからかまた見に来てしまう…
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 21:51:01.89 ID:xEwhZcpd0
また次回作が来ることをいつまでも楽しみに待ってるぜ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/04/29(月) 18:13:52.28 ID:boFvdKq00
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/06(月) 02:16:55.80 ID:V4c1iQLtO
またいつか気が向いたら書いて欲しい
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