過去ログ - 【咲-Saki-】「あなたへ」
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 21:39:20.85 ID:K0pC2q+ao
咲x和 or 久 です。
どこに着地するかは分かりません。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:名無しNIPPER[sage]
2015/11/04(水) 21:41:04.30 ID:JVgsNCMkO
サンキューヒッサ


3:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 21:41:18.88 ID:K0pC2q+ao
「じゃあ〜問題! この場合、皆ならどの牌を捨てるかな?」

 仕事から疲れて帰りテレビをつけると、懐かしい声が聞こえてきた。
 いつもならその名前が出るだけで番組を変えるのだけど、今日は仕事で大ポカをやらかしたせいで、その気力もない。
 もしかしたら、その姿から気力を貰おうとしたのかもしれない。


4:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 21:45:37.07 ID:K0pC2q+ao
 結局それが裏目に出てしまったようだ。久しぶりに見た彼女は相変わらず、いや、思っていた以上に綺麗になっていた。「牌のおねえさん」として可憐さを保ちながら、それでも大人の艶やプロとしての凛々しさ、タレントとしてのオーラを放っていた。

 髪型変えたんだ……

 もう何も関係ないくせに、そんな事を思ってしまう。
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 21:52:00.83 ID:K0pC2q+ao
――――
――

 8年前

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 21:56:06.95 ID:K0pC2q+ao

 私も和ちゃんのことは好きだった。
 けど私のそれは「恋愛」だったのか「友情」だったのか、はっきりは判らなかった。

 少し前まで姉と和解するために強くなることばかり考えていたのだから仕方がないだろう。
以下略



7:名無しNIPPER[sage]
2015/11/04(水) 21:59:48.87 ID:kQoBH1S8O
和咲も久咲も好きなので期待


8:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 21:59:52.37 ID:K0pC2q+ao
 和ちゃんが転校してからは毎日電話をするようになった。
携帯を買ってからはメールもするようになった。写真の遣り取りもした。
毎日が楽しかった。
楽しくて、でもどこか後ろめたさがあった。



9:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:09:07.35 ID:K0pC2q+ao

 2年生になり暫くして、清澄高校麻雀部は廃部になった。

 そしてその時、自分の感じる後ろめたさの正体に気が付いてしまった。

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:09:54.60 ID:K0pC2q+ao

 それでも時々、心が軽くなることがあった。
「恋愛」にしろ「友情」にしろ、私は和ちゃんのことが好きなのだと純粋に思えたとき、和ちゃんのことを大切にしたいと思えたとき、私は私の心を洗い流すことが出来た。

 けれどそれは一時的なもので、心に根付いた黒いそれは直ぐにまた芽を出した。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:14:50.69 ID:K0pC2q+ao

 そしてあの日、私は初めて、和ちゃんからの電話とメールを無視した。

 何度も鳴る携帯に、私は罪悪感に押し潰されそうになった。
そして同じくらい、何と言うか……楽だった。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:16:08.15 ID:K0pC2q+ao

 「用事」が多くなるにつれ、私はどんどん上手く話せなくなっていった。
時には自己嫌悪から不機嫌な声で電話にでたこともあった。

 それでも和ちゃんは私の下手な言い訳に、毎回付き合ってくれた。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:21:58.41 ID:K0pC2q+ao

 どっちから言ったかのは憶えていない。ただもうそういう雰囲気だった。
こういうのも自然消滅というのだろうか?

 その日は特に何も感じなかった。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:26:22.74 ID:K0pC2q+ao

――
――――

 朝6時、目覚まし時計が鳴っている。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:29:33.47 ID:K0pC2q+ao

 あれから彼女とは2回程しか会っていない。
それに「会った」といっても、本当に顔を合わせた程度だ。

彼女のプロ入団祝いでも気まずくて、二言三言話して逃げてしまった。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:32:57.51 ID:K0pC2q+ao
――

 私は今、いろいろあって龍門渕家の図書館(私立図書館や学校図書館など)の司書をしている。

 流石は龍門渕というべきか、蔵書の質も量も超一級である。
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:37:22.12 ID:K0pC2q+ao

 この日、誰に見られているわけでもないのに、急に思いついたように私はいつもと違う角を曲がった。

 ……この先には清澄高校がある。

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:45:11.18 ID:K0pC2q+ao

 あの美しかった桜は枯れ果て、葉の一枚もついていなかった。
もう冬の底なのだから当たり前なのだけど、やっぱり悲しかった。

 今日は朝までずっとここにいよう。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:47:07.79 ID:K0pC2q+ao

 空が白み始めてきた。
結局和ちゃんは来なかった。

当たり前だ、誰も私がここにいることを知らないのだから。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:52:23.76 ID:K0pC2q+ao

「まあ、何でもいいわ! 顔色酷いわよ、体もこんなに冷えてるじゃない! こっち来なさい、シャワーあるから!」

 問答無用とばかりに清澄高校の宿直室へと連れて行かれた。
その間私は、文字通り声を出せなかった。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:54:58.39 ID:K0pC2q+ao

 久さんの家に着くと、途中のコンビニで山程買ったお酒を冷蔵庫に運び込む。

 久さんは「ごめんなさいね。今テーブルの上片しちゃうから。美穂子がいるときは綺麗にするんだけど、居ないとどうも怠けちゃうのよね」とテーブルの上にある、小テストの答案や、自校や他校の牌譜を片付け始めた。

以下略



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