13: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 16:33:37.53 ID:4yJ+Tv6jO
ふいに、玄関にかけてあったカレンダーが目に入る。
なんだ、あれ。何年前のなの。西暦おかしくない?
「待ってるから、早く。学校行きたくないのは分かったから」
14: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 16:43:13.58 ID:4yJ+Tv6jO
「……声変。声変り?」
だから、風邪だって。
「あゆむ、男っぽいって思ってたけど、ついに」
15: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 16:50:48.25 ID:4yJ+Tv6jO
そうして、30分歩かされた。
小学生の歩幅は小さく、学校までの道のりがとても遠く感じられた。
この距離なら、絶対に車で行くのに。
とは言っても、肉体的に疲労したわけではなく、私の体は案外と元気だった。
16: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 17:00:49.34 ID:4yJ+Tv6jO
「なに、その声? 声変り?」
同じ事を言われた。
「風邪だって。さっきから、頭おかしいの」
17: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 17:12:41.63 ID:4yJ+Tv6jO
小学生のやることは訳が分からない。
と、思いつつも、よく考えれば酔っぱらった女は、だいたいこんな感じだから、
精神年齢は小学生の時からみんな変わっていないに違いない。
教室に半ば強引に引きずられ、案内される。
18: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 17:21:27.81 ID:4yJ+Tv6jO
しかし、同時にあまりにも鮮明過ぎて頭を抱えた。
いくら病気とかって言っても、こんなに細かくリアルに覚えておけるものなんだろうか。
「ねえねえ、班分けどうやって決めるか聞いた?」
19: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 17:32:53.70 ID:4yJ+Tv6jO
担任の先生は和代という漢字だったのを、黒板の隅に引っ掛けてあった名札で思い出した。
朝の会が終わり、日直が最後に『今日のエピソード』と言って、今日ではなく昨日あった出来事(とにかくなんでもいい)を、
みんなに1分間でスピーチするという催しも終わり、それでも未だに全くと言っていいほど心ここにあらずだった。
後ろの席にいた子が、指先で背中を突いてきた。
20: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 17:39:51.90 ID:4yJ+Tv6jO
つんつん、と今度は腕を突かれた。
「ねえ、シール貼ってるよね? 一枚ちょうだい」
手を出された。
21: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 17:52:48.92 ID:4yJ+Tv6jO
お上品そうな顔をしていて、どこかお嬢様気質のある子だった。
あの子は、確か転校生だ。5年の時にこっちに引っ越してきたんだっけ。
トイレの入り口まで来て、みやちゃんが爪を研ぐように私の首を掴んだ。
「みやちゃん、ちょ、痛い痛い」
22: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 18:04:26.53 ID:4yJ+Tv6jO
そう、そして旅行の日の夜。私は二人に対してどっちつかずの最悪な対応をしてしまったんだ。
それを、もう一度味あわなくちゃいけないなんて。
トイレから戻ると、1時間目はすぐ始まった。
何か打つ手はと考える間もなく、時間は流れていった。
23: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 18:13:29.11 ID:4yJ+Tv6jO
それから授業を受けて、給食を食べたりして、私は本当に小学生に戻ったようだった。
その日、やすはもみやちゃんも委員会の活動があるらしく、私は一人で家に帰ることになった。
「あゆむ、ほんとに一人で帰れる?」
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