【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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1: ◆Z5wk4/jklI
2017/05/01(月) 21:19:54.05 ID:z+wGLY660
長くなります。

日野茜と荒木比奈の話を主に書きます。

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2: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:22:35.29 ID:z+wGLY660
 少年の目のまえに立ち、少女が言う。

「わたしね、大きくなったらアイドルになるの! 世界でいちばんのアイドル!」

 少女は一点の曇りもない笑顔だった。――笑顔であるはずだと、少年は思った。少年からはどういうわけか、その少女の顔がぼやけて見えない。
以下略 AAS



3: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:23:05.53 ID:z+wGLY660
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「……い、おい、寝るな、起きろ、おい」

 ――耳元でささやくような声がする。

以下略 AAS



4: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:26:16.63 ID:z+wGLY660
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「急なことで落ち着かないとは思うが、君にとってはまたとない成長のチャンスだ、がんばってくれよ」

 会議が終わり、撤収作業でにわかに騒がしくなっている会議室の中で、壮年の先輩社員が穏やかな顔で、激励代わりに俺の肩を叩いた。

以下略 AAS



5: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:29:36.96 ID:z+wGLY660
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 俺は病気休暇になった先輩プロデューサーの机を片付けていた。
 乱雑に詰みあがった書類の山の高さが半分になったあたりまで片付けて、ようやく俺は先輩の現状を把握することができた。
 先輩は病気の直前に大きな仕事をあらかた片付け、いまは新規ユニットのプロデュースに集中するための準備をしているところらしい。
 上司にも確認したので間違いはない。
以下略 AAS



6: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:31:33.11 ID:z+wGLY660
「先輩は、こいつになにか可能性を感じたってことか……? んっ」

 よく読むと、荒木比奈の名の横に小さく文字が印刷されている。

「……『スカウト予定』。……まさか」
以下略 AAS



7: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:33:19.47 ID:z+wGLY660
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「お姉さん、お美しいですね、よろしかったらちょっと話を聞いていただけませんか? あ、そうすか、すんません。……あ、そこのお嬢ちゃん、かわいいね? かわいいって言われない? 俺、アイドルのプロデュースしてて……急いでる? じゃ、名刺だけでも! 興味があったらでいいから……あ、すんませんでした」

 名刺をひっこめて、去っていく女性の後ろ姿に向かって俺は軽く頭を下げる。
 人通りの多いところで、カメラ映えしそうな女性を探しては声をかけ続け、一時間とすこし。
以下略 AAS



8: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:35:26.64 ID:z+wGLY660
「ま、名刺はほとんど配り終えたしな」

 俺は自分の名刺ケースを見る。残りはあと一枚だった。

 これを適当に誰かに渡して今日の仕事はおわり。
以下略 AAS



9: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:38:20.40 ID:z+wGLY660
「うわあああーっ!」

 俺は土手をごろごろと転げおちた。
 視界の上下左右が激しく入れ替わって、地面に身体のいろんなところをぶつける。
 転げ落ちるあいだ、両腕を使ってせめて頭だけはガードした。
以下略 AAS



10: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:38:52.90 ID:z+wGLY660
「あ、待って!」

 俺は、その少女を呼び止めていた。

 理由は自分でもわからなかった。気づいたら、声をかけていた。
以下略 AAS



11: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:40:48.23 ID:z+wGLY660
「……」

 空になった名刺入れを見る。

「とりあえず、これで今日のノルマは達成ってことで。戻るか」
以下略 AAS



12: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 21:42:16.32 ID:z+wGLY660
長々すいません。続きはまたすぐに。


13:名無しNIPPER[sage]
2017/05/01(月) 21:59:19.51 ID:FLWdQEwdo
期待


14: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 22:49:16.11 ID:z+wGLY660
 現実をきちんと見据えたほうがいい。
 世の中にはいくらかのトップアイドルがいる。
 その下に多数の、旬が過ぎればすぐに世間から忘れられてしまうようなそこそこのアイドルがいる。
 そしてそのさらに下には、アイドルになれなかった無数の普通の人間がいる。

以下略 AAS



15: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 22:51:52.87 ID:z+wGLY660
「ふんんぬうーーーーーーーーっ!」

 プロダクションのロビーには力のこもった声が響きわたっていた。

 入館ゲート付近に声の主を見つけて、予想が的中した俺は脱力した。
以下略 AAS



16: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 22:54:36.55 ID:z+wGLY660
「……ついてこなくてもいいんだぞ」

 俺の言葉に、茜は大きく首を振った。

「いえっ! マネージャーも最初は雑用から! なんでも見学して慣れたいんです!」
以下略 AAS



17: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 22:56:52.62 ID:z+wGLY660
 部屋に入る。確かにちらかっていた。
 だが不潔というほどではない。嫌な臭いなどは漂ってこない。
 机の上にはデスクトップパソコンと液晶ペンタブレット、それと大量の紙類。
 ざっと見たところ、マンガの原稿のプリントアウトのようだ。
 壁沿いに配置されているソファーにはタオルケットが畳まれている。
以下略 AAS



18: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 22:59:00.61 ID:z+wGLY660
「ええと、これは! なにをすればいいんでしょう!」

 茜がそう尋ねると、比奈はふふふ、と低くあやしく笑って、マウスを二、三回クリックした。
 パソコンの近くにあるプリンターが音を立て、なにかを印刷し始めた。

以下略 AAS



19: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 23:01:02.24 ID:z+wGLY660
 ひとまず、観念して作業を開始することにした。
 もし予定通りの助っ人が来れば、その時に事情を説明して交代すればいい。
 俺は上司に、出先から直帰になる旨をメールで送信する。
 それから作業指示に沿って、原稿をはじめようとし――

以下略 AAS



20: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 23:03:38.26 ID:z+wGLY660
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「お、終わった、っス……入稿、完了……!」

 時刻は午前九時五十分。
 そう言って比奈はそのままパソコンのそばの床に倒れ込んだ。
以下略 AAS



21: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/01(月) 23:05:27.09 ID:z+wGLY660
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「はぁ、なるほど……そりゃ、勘違いして申し訳なかったっス……」

 俺が事情を説明すると、比奈は俺が渡した名刺を眺め、頭を掻きながらそう言って謝った。

以下略 AAS



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