高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「お互いを待つカフェで」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:55:42.51 ID:i6ln0z2d0
カップを傾けようとして、抹茶ラテはさっき一気飲みしたことを思い出した。ちょっとくらい残しとけばよかった。
店員さんを目で追うけど、こういう時に限って店内にいない。たぶん他のお客さんの注文に対応する為にキッチンにいるんだと思う。
誰かに縋ろうとしたけど、今一番いてほしくて、そしていてほしくない人はここにいない。最近増えたお客さん2人も、今日はいない。
いっそ顔も名前も知らない人に話しかけてやろうか。……なんてね。さすがにそこまで人に飢えてない。

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:56:12.68 ID:i6ln0z2d0
テーブルに突っ伏せてしまいそうになったけど、今視界を閉ざすのは危ないと思ったから、左手で頬杖を作って顔を支えた。
心地いい薪の音が聞こえてくる。……ちょっと落ち着こっか、私。
だってここは素敵な場所。心に浮かんだ不安も、疲れも、時間をかけて取り除ける場所。藍子の大好きなカフェ。

藍子から返信が来た。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:56:42.91 ID:i6ln0z2d0
何に不安を抱いているのか分からなくなっちゃった。
藍子のことが理解できているかどうか? 藍子の為に何かしてあげられるかどうか? ……思ったんだけど、どっちもなんていうか、馬鹿馬鹿しいよね。
藍子のことが分からないなら、今みたいに藍子から聞けばいい。藍子が何かしてほしいって言ってもないのに、余計なお節介を焼く必要もない。点数が足りないなら一緒に解答欄を直せばいいだけだよね。
藍子のことが好きだって胸を張って言えないのなら、たとえ真心じゃなくてもいい。「好き」って言い続ければいいだけのこと。点数の桁なんて私が勝手に増やしてしまえばいいんだ。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:57:42.78 ID:i6ln0z2d0
やがてカフェの出入り口が開く。早歩き気味でちょっと息を荒くした、私の大好きな子がやってくる。


藍子「お待たせしましたっ……ごめんなさい、加蓮ちゃんっ!」

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:58:16.06 ID:i6ln0z2d0
加蓮「はぁ? 怒りまくってるけど。目の前でポテトの最後の1本を取られた時の100倍くらいは怒ってるけど」

藍子「ぜんぜんそう見えないけれど……でも、はい。分かりました。お話しますねっ。私、お仕事の関係で雑貨屋さんに行っていたんですけれど――」


以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:58:43.03 ID:i6ln0z2d0

……。

…………。



14:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:59:43.78 ID:i6ln0z2d0
――おしゃれなカフェ(別の日)――

加蓮『ごめん少し遅れる すぐ行くね』


以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:00:12.52 ID:i6ln0z2d0
学校で使っているものとは違う、最近、メモやお絵かきに使っているノートを取り出します。
白紙のページを開いて、かばんからシャープペンシルを探して。
それから、ちょっと気になったことがあったので、「加蓮」と書いてみました。むずかゆかったので、「ちゃん」と付け足しました。

最近、よく見るようになった2文字です。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:00:43.02 ID:i6ln0z2d0
藍子「……あっ、店員さん♪ こんにちは」


注文していたホットココアを、店員さんが持ってきてくださいました。受け取ると、店員さんは目だけを私の向かい側に向けます。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:01:13.18 ID:i6ln0z2d0
店内に流れる音楽が途切れるのと同時に、店員さんは一礼して去っていきました。
去っていく店員さんの背中を、目で追います。テーブルの真ん中手前側に置かれたココアから、甘い香りが漂ってきました。

しばらくすると、流れる音楽の種類が変化します。自然の音によるヒーリングソングから、オルゴールのアレンジソングへ。
これ、どこかで聞いたことがある――なんて耳を澄ませて、曲名を思い浮かべるのと同時に、時計の針が大きな音を立てました。
以下略 AAS



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