867:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:50:56.75 ID:CgKSQ36AO
澪「じゃあ立花さんをお願い。そうだな……終わるまでグラウンドで待ってて」
しずかは力強く頷き、貯水タンクから飛び降りた。
澪「あ、ちょっと待って。ついでにこれも……」
868:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:51:26.39 ID:CgKSQ36AO
文恵「逃がすと思う?」
澪「逃げてもいいよ。個人的な恨みがあるわけでもないし、むしろそっちの方が助かるな」
安い挑発に文恵が澪をきつく睨むと、死神の鎌が這い寄った。
869:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:52:02.17 ID:CgKSQ36AO
氷が急速に溶けてゆき、文恵の視界を埋め尽くさんばかりに白い靄が広がる。
自分の掌すら視覚出来ないほどに靄が広がるまでにそれほど時間は掛からなかった。
文恵「…………」
870:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:52:33.14 ID:CgKSQ36AO
文恵「進む!」
退くのではなく進む。
たとえ攻撃が当たらずともそれは敵の動きを抑制する枷となる。
だがそれはあくまで視界不安定という条件が平等ならばの話だった。
871:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:53:01.54 ID:CgKSQ36AO
文恵「氷……?」
鏡のように煌めく鋭利なそれは触れずとも分かるほど冷気を放っていた。
氷ならば溶かせる、そう思って炎で溶かそうとしたその時、耳障りな音が靄の奥から響いた。
肉を殴打する音が断続的に鳴り、それと付属で風子の短い悲鳴が聞こえる。
872:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:53:32.47 ID:CgKSQ36AO
血が溜まっていたのだろうか、風子は大きく咳き込むと吐血した。
四つん這いの体勢になり、呼吸を整えている彼女の真横に靄の中から飛んできた鎌が突き刺さる。
澪「大人しく逃げてれば追いかけもしないのにさ」
873:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:54:03.05 ID:CgKSQ36AO
文恵「何で倒れてないの!? トップランカーにも立てない格下なんかに……私達が負ける筈無いじゃない!」
澪「…………」
澪は再び困ったような顔をして頬を掻く。
874:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:54:33.52 ID:CgKSQ36AO
文恵「……覚えてて。今は退くけど必ず、必ずその首取ってやるから」
澪「そんなに値打ちのある首でもないけどなぁ。建前上序列も二桁だし……」
どうでも良さそうに欠伸をする澪に更なる憤りを覚えたが、文恵は辛酸を嘗める想いでその怒りを噛み殺した。
875:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:55:01.47 ID:CgKSQ36AO
澪「忘れ物しないようにね。じゃあまた明日、学校で」
文恵を見ないまま落ちていた刀を拾い上げ、そのまま放り投げる。
素直に受け取ってしまえば自分がどこまでも惨めに思えてきそうで、文恵はそれを受け取るのをためらった。
876:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/25(金) 00:55:50.36 ID:CgKSQ36AO
しずかに渡すよりも端に置いておくよりも、二人を相手にする自分が持っていた方が良いという判断は文恵が知れば直ぐに引き返して怒り狂うようなものだろう。
だがそれを実現する力が澪にはある。
絶対の彼方を越えた武人を二人相手にする事など、今の澪にとっては昼下がりのコーヒーブレイクと何ら変わりは無いのだ。
澪「アフターケアまでしたくないんだけどな……」
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