過去ログ - 唯「ボディがお留守だよ!」
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897:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:06:30.23 ID:HS1jkPFAO
澪「表で待ってるから」

 勝手に話をつけてくれという事なのだろう。
澪はしずかとすれ違いざまに、冷たく呟いて部屋を後にした。
叩き付けるように閉めた扉の音だけが残った。
以下略



898:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:06:56.12 ID:HS1jkPFAO
江藤「で、どうするの?」

 外方を向いたまま江藤が呟いた。
それでもなお数秒ほど押し黙り、しずかはようやく口を開く。

以下略



899:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:07:23.45 ID:HS1jkPFAO
江藤「良いわよ」

しずか「えっ……?」

 江藤が大した間も置かずに即答した事にしずかは思わず肩を揺らした。
以下略



900:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:07:49.28 ID:HS1jkPFAO
 治療過程は語るものでもなかった。
姫子の顔色、傷口、痙攣などの症状から彼女に盛られた毒をほんの数分で見抜くと、江藤は一本の血清を打った。
ただそれだけだった。

しずか「すごい……。お医者さんみたい」
以下略



901:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:08:17.13 ID:HS1jkPFAO
江藤「……毒を扱うには多くの知識と経験が必要なのよ。それこそ貴女達の本分の武術と同じようにね」

 腕を捲り、無数の注射痕をしずかに見せる。
そして彼女は物憂げな面持ちで溜め息を吐いた。

以下略



902:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:08:45.91 ID:HS1jkPFAO
しずか「……才能の違いが秋山さんを怖がる理由なの?」

江藤「才能? あの子と私の差を才能の差と称するのは少し違うわね」

 江藤は自嘲染みた笑みを零して口元を手で覆った。
以下略



903:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:09:18.53 ID:HS1jkPFAO
 物憂げに顔を伏せ、ベッドに横たわる姫子の頬をそっと撫でるとしずかは大きく溜め息を吐いた。

江藤「ふふっ」

 その様子を見て江藤は含み笑いを漏らす。
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904:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:09:49.53 ID:HS1jkPFAO
 言いながら江藤は服の下の包帯を器用に解いてゆく。
少し変色したそれが床にかさ張ってゆくのを見てしずかは眉を顰めた。

江藤「自分を死の近くに置いてそれを打破する事に喜びを感じるのか。敵を生かさず殺さず、自分の手の内で弄んで悦びを感じるのか。付き合いも無い以上深くは知らないけれど……」

以下略



905:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:10:25.71 ID:HS1jkPFAO
 生々しい傷は果たして痕を残さず消え去るのだろうか。
その答えはしずかにも江藤にも解らない。だが二人ともこれだけは理解している。
弱者の証として刻まれたその刻印には背負う者を一生苛ませる力があるという事を。
たとえ、その傷が消えたとしても。

以下略



906:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:10:59.23 ID:HS1jkPFAO
しずか「…………」

 恐らく次の一言が自分と江藤が交わす最期の言葉となるだろう。
理屈ではなく本能がそれを察し、しずかはそれを聞き逃すまいと意識を集中させた。
江藤はまるで死にゆく武人のように力強く、どこか安らかな目をしずかに向ける。
以下略



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