1:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2011/01/31(月) 01:24:45.16 ID:FEAaW2qY0
その日、私はむし暑い部室棟の廊下を走り抜け、音楽室に向かっていた。
長い長い階段を上り終える頃には、背中がじっとりと汗ばんでいた。暑い、あつい。
「お疲れ様です。すみません、掃除で遅れて――」
こんな暑い日なのだから、先輩達はムギ先輩の冷たい麦茶でHTTを満喫しているか、暑さでグダグダになっているかのどちらかだと思っていた。
ところが、実際にはそのどちらでもなかった。
「何してるんですか?」
部室の隅。そこで、先輩達がしゃがみこんでいた。
こんな暑い日にあんなに密着して……見てるこっちが暑くなりそう。
ムッタンを肩から下して、近づいてみると、
「おっ、梓か。遅かったな」
「はい、すみません。ちょっと掃除が長引いて……主に純のせいですけど」
「佐藤さん、だっけ?」
「鈴木です。それより、先輩、そんなところで何してるんですか?」
実はな、と律先輩が口を開いたところで、もっさりショートの頭がこちらを向いた。
唯先輩。
私を見るや否や、不穏なオーラをまき散らしてゆっくりと立ち上がる。
すこぶる嫌な予感がする。っていうか、予感というよりこれはもう予定調和に近い。
「あーずーにゃーん!」
なんでこの人は予備動作もなしに人に抱きつけるのだろうか。
途端に、温かいと形容するには余りにも強烈な暑さが襲ってきた。制服越しにジワリと伝わるそれに、思わず顔をしかめる。
2:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2011/01/31(月) 01:28:36.31 ID:FEAaW2qY0
「暑いです、離れてください!」
「大丈夫! もうその心配はいらないからね!」
「は、はい? 何言ってるんですか、先輩。とうとう暑さで頭がおかしく――」
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2011/01/31(月) 01:36:09.11 ID:FEAaW2qY0
>>1です。
うっかり板を間違えてしまいました。
移転のお願いは出してきましたので、移転が完了するまでsageで続けたいと思います。
4:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2011/01/31(月) 01:38:54.94 ID:FEAaW2qY0
「これ、わざわざ買ってきたんですか?」
「ううん、たまたま家で余っていたから、持ってきたの」
冷蔵庫がたまたま余る家? 深く考えるのはやめた。ムギ先輩だし。
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2011/01/31(月) 01:44:45.74 ID:FEAaW2qY0
流石はムギ先輩といったところか、冷凍庫から出てきたのは全てハーゲンダッツだった。
まあ予想通りではあったから別に驚かなかったけど。
「ちべたくておいしー!」
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2011/01/31(月) 01:49:21.79 ID:FEAaW2qY0
せっかくアイスで涼んでいるのに、ベタベタで見ているこっちが恥ずかしくなるようなやり取りを見せられて、少し気分が悪くなった。
ムギ先輩を見ると、スプーンに掬ったアイスがポタポタと零れ落ちるのも気にせず、その光景に見入っていた。
やれやれ。
……。
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2011/01/31(月) 01:54:43.19 ID:FEAaW2qY0
「しょうがないですね、まったく……」
「そういえば、あずにゃんは何味食べてたの?」
「私ですか? 私は抹茶をいただきました。おいしいですよね、抹茶」
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2011/01/31(月) 02:00:18.02 ID:FEAaW2qY0
「当たり……? どういうこと?」
「アイスを食べ終わった後に、棒に『当たり』が書いてあったら、買ったお店でガリガリ君と交換できるんだよ」
律先輩の言葉に、ムギ先輩の瞳がキラキラと輝いていた。
9:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2011/01/31(月) 02:06:10.72 ID:FEAaW2qY0
「んぐんぐっ……はぁ……はぁ……な、なんて大きなアイスなの。おまけに、すごく固いわ」
「それがガリガリ君の魅力だよ。外はカチカチ、中はシャリシャリ。んー、おいしい」
「アゴが痛くなりそうだわ……ペロペロしてたらいつまで経っても食べ終わりそうにもないし」
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