1:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 15:41:19.46 ID:2rhgDyLL0
彼があの部屋で忽然と消えてからどれほどの時間が経ったろう。そう思うくらい、長い長い一年だった。
あの日から、一度もあのパソコンを消していない。
彼が画面に映った------私にはよく分からない設問。『Ready?』 にEnterを以て応えたあの日。あの時。あれからこのパソコンはずっと、ブルースクリーンを保っている。
とてもWindowsのものには見えなかったあの画面だから、パソコンとしては本来予定外の動作だったのだろう。
そして、私には確信があった。
きっと、もしパソコンの電源を落としてデータを探したとしても・・・彼の実行したあのプログラムは現れないだろう。
よしんばそうでなかったとしても-----彼が文芸部室の住人だったという、最後の保証がここに残っているのだ。それを賭けてまで私はあのプログラムを見たくはない。
彼の見ていたあの画面。彼の言ったあの言葉。拒絶するように彼自身がその手で拾った、私のクセそのままの字体で書かれた、私の知らない栞。
彼が選んだのは、そっちなのだ。私に似た字を書く誰か。その誰かが彼と一緒にいて、彼と時を共にする。
私の手元あるのはただ-------白紙の、しわくちゃになった、入部届。大事に大事に、引き出しの奥で眠っている。
2:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 15:42:43.97 ID:2rhgDyLL0
すいません、超読みづらかった
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彼があの部屋で忽然と消えてからどれほどの時間が経ったろう。そう思うくらい、長い長い一年だった。
3:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 15:46:49.56 ID:2rhgDyLL0
* * *
彼の残していったものはそこら中に有った。その一つが、これ。
「さて、今日も不思議探索に出るわよ! 有希と鶴谷さん。みくるちゃんと古泉君とあたし、で別れて、駅の東西を廻りましょう」
4:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 15:49:26.60 ID:2rhgDyLL0
「貸し出しを・・・お願いします」
「はい、この二点で宜しいですね?」
「はい・・・」
5:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 15:52:45.04 ID:2rhgDyLL0
私と涼宮さんの意思が、言葉と同意とで繋がろうとした。瞬間、空が入れ替わった。灰色の濁りが全天を覆った。
全員が表情を一変させた後、直ぐに涼宮さんと古泉君だけが眉を引き締めた。
「どういうことかは、全く判りかねますが-----」
6:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 16:30:17.74 ID:2rhgDyLL0
「君たちに頼みたいことがある。そう、彼は言っているの。ちなみにその彼は------現在、地球上に居ないわ。というか、閉鎖空間に取り込まれているらしいの」
「『閉鎖空間』・・・・彼の言う、こちらの涼宮さんが創るというもの。随分、とんでもない話になってきましたね・・・・」
古泉君は憮然とした表情で佐々木さんの語る続きを待つ。朝比奈先輩は概ね理解していない様子で、鶴屋さんは話の概要をつかもうと頭を働かせているようだ。
7:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 17:52:18.89 ID:2rhgDyLL0
「さて、協力してくれるかな? 出来ればそうあって欲しいのだけれど」
「協力しない、なんて言っても始まらないんでしょうね」
「いやいや、協力しないと一言言ってくれれば君たちは強制送還してお仕舞いさ。強制できる立場ではない。
8:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 18:14:02.48 ID:2rhgDyLL0
* * *
ひとまずそれぞれの家を教えられ、私たちは『翌日に北高で落ち合おう』と別れた。朝比奈先輩は鶴屋先輩に、涼宮さんは古泉君に、私は彼女・・・彼の親友に送られて家路についた。
「長門さん。貴方は、どういった縁で彼と知り合いに?」
「え・・・あ」
9:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 18:15:19.96 ID:2rhgDyLL0
また改行編集forgot ごめんなさいの極み
* * *
ひとまずそれぞれの家を教えられ、私たちは『翌日に北高で落ち合おう』と別れた。朝比奈先輩は鶴屋先輩に、涼宮さんは古泉君に、私は彼女・・・彼の親友に送られて家路についた。
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